第7期市民意見広告運動の経過と成果について
○ 読売新聞・西日本新聞・東京新聞 3紙への掲載実現
賛同者、賛同団体の皆さん、第7期市民意見広告運動は目標額を上回る賛同金が寄せられ、広告「武力で平和はつくれない・9条の実現こそ平和への道です」を読売新聞全国版、西日本新聞、東京新聞に掲載できました。
賛同金は4月30日現在28,783,227円、4月12日の賛同金締め切りに間に合った賛同者数は 8,535件でした(公表可7,600件/匿名希望935件)。なお掲載には間に合わなかった 4月30日までの賛同者は313人です。この方々にも7期の賛同者として報告書をお送りしています。
すべての賛同者、賛同者を増やすための努力をしてくださった皆様および日々の作業の支援をしていただいた皆様に感謝いたします。
○ 掲載紙決定の経緯
掲載紙の決定はできるだけ多く人の目に意見広告がふれることを念頭に検討しました。また、私たちの意見に賛成・反対に関わらず意見広告の紙面が注目されることも期待しました。読売新聞は改憲を社是とし意見広告掲載予定日の5月3日憲法記念日にも何らかの「改憲キャンペーン」を紙面で展開することが予想されました。その中に私たちの9条改憲反対の意見広告が掲載されれば、きっと読者の注目を惹くと考えました。後述しますが、読売新聞のモニター調査でそれは証明されました。
『読売』に多額の掲載料を支払うことに違和感や抵抗を覚える方もいらっしゃるでしょう。しかし意見広告をマスメディアに掲載する目的は《世論に訴え世論を変える》ためです。どうぞご理解いただきますようお願いいたします。
西日本新聞(福岡・長崎・佐賀の3県をカバーする地方紙)と東京新聞については、発行部数、掲載料、当日のほかの意見広告との競合を避けるなどさまざまな要件を考えてこのような組み合わせとなりました。
参考
今回掲載の3紙の合計発行部数は1,142万部です。
読売新聞(1,000万部) 西日本新聞(85万部) 東京新聞(57万部)。
なお、昨年の掲載紙の合計発行部数は1,155万部でした。
○ 広告紙面について
前回まで「9条実現」と大書した広告を三回続けて出してきました。今回もこれを使うのかどうかという議論から始まりました。
“「9条実現」は私たちの運動のなかでは定着したが、世の中全般の人に理解してもらったとはまだ言い難い。”
“9条の持つ意味をやさしく表す言葉はないのか”
多くの人に9条の持つ意味を知ってもらうことが大切という結論になり、9条のもつ非武装・不戦を表す「武力で平和はつくれない」とその回答としての「9条の実現こそ平和への道です」をセットにして訴えることにしました。
「武力で平和はつくれない」は副題「私たちが改憲に反対する14の理由」・市民意見広告運動編集(2007年4月合同出版刊)の本のタイトルですが、より多くの人の心にすっと入っていく言葉として選びました。
デザインは今年も鈴木一誌さんが無償で引き受けて下さいました。ご覧になってわかるように、昨年の日本地図から発展させた丸い世界地図のなかに賛同者名を並べ、その濃淡で陸地と海を表すというすばらしいデザインです。単色を追加できたことでさらに目を引く紙面を作ることができました。鈴木さんに改めて深く感謝申し上げます。
アピール文では9条だけでなく、25条(生存権)と結びつけ、9条無視の軍事大国化が福祉予算の切り捨てにつながることを訴え、また9条実現に向けて、積極的な平和外交によってこそ私たちの安全が保障されると主張しました。タイミングよく4月17日の名古屋高裁による航空自衛隊のイラクでの活動が9条1項に違反するという明確な判断を文中に入れることができました。
○ 運動の経過(1)参院選挙と安倍政権自壊がもたらした影響
賛同チラシの作成は安倍政権の自壊のあとで、改憲の動きがどうなるか、賛同者がこの動きをどうとらえるかについて議論しながらの作業となりました。与党の惨敗で改憲の危機は政治日程からはずされたことは確かですが、一方で国民投票法は成立しており2010年の5月には施行されるという事態を事務局としてどう受け止めどう伝えるのか、議論しつつ意見の集約をし、チラシの文章を確定しました。(今回は、意見広告運動を初めて知る人を想定し、A4二つ折りのチラシで運動の説明を表紙にわかりやすく記すスタイルをとりました。)
チラシ作成時の改憲の危機は遠のいたのかという議論は結局第7期を通しての悩みとなりました。つまり、改憲の危機は遠のいたように見える分だけ、賛同者に危機感がなくなり賛同金が集まらないのではといった危惧が最後まで残りました。
○ 運動の経過(2)2回の集会とさまざまな賛同広告
今期は運動が始まる前の10月と3月に講師を招いて講演会を開催しました。(2回とも市民の意見30の会・東京との共催)
10月10日の集会「どうなる9条改憲? どうする9条実現!(より巧妙に進む改憲化に抗して)」では、出来たてのチラシを集会参加者に配るつもりでいましたが、安倍首相の突然の辞任でチラシの書き直しが必要となり配布がかないませんでした。しかし、講師に澤地久枝さん、鈴木一誌さんをお迎えし、また参院に当選まもない川田龍平さんの発言もあり、会場の豊島区民センターは満員となりました。
3月23日の集会は「格差・貧困・戦争と憲法」と題し、憲法学者で九条の会呼びかけ人の奥平康弘さん、ジャーナリストの堤未果さんを迎えて開かれ(於東京仕事センター)150人の参加者がありました。
今期はさまざまな活字媒体に賛同を募る広告をだしました。賛同広告は以下のとおりです。
・12月 キリスト新聞
・ 3月 婦人之友、カトリック新聞、週刊金曜日、信徒の友、全国保険医新聞、日刊ゲンダイ(2回)
また、3月に入ってから前回までの賛同者と今回すでに賛同してくださっている方へ賛同チラシとともに「今年の意見広告の意義は重大!戦争国家か平和国家か ― いまが分かれ目です」という文書を送りました。その反響は劇的で4月9日に目標額の2500万円を達成することができました(会計報告を別紙に記載しました)。
○ 大阪意見広告運動との連携
各地にはその地方で圧倒的なシェアをもつ地方紙があり、全国紙中心の私たちの運動はともすると首都圏に偏りがちになっています。そこで各地のグループに「同じ5月3日に9条改憲に反対する意見広告をだしませんか」と呼びかけをしました。その結果、大阪に「とめよう改憲!大阪意見広告運動」が立ち上がり、連絡をとりあいながら運動をすすめました。週刊金曜日の賛同広告にこの紹介を載せました。同運動は5月3日に毎日新聞大阪本社版に5段の意見広告を実現しました。初めての試みでしたが来年以後も同様の呼びかけを続け、各地で同日に9条改憲に反対する意見広告が市民グループの手によって掲載されるように努力を続けます。
○ 7期の広告についてのご意見、来期の意見広告運動についての提案を事務局までお寄せください
一昨年から今年にかけて改憲への動きは急加速、表面上の急停止というものでした。そのなかで意見広告では2回続けて「非武装・不戦の憲法をかえさせない」と呼びかけ、賛同を募ってきたのですが、この次の運動をどう展開するかは非常に難しいものになるでしょう。各新聞の世論調査で9条改憲反対が賛成派を上回っているという結果は私たちをはじめとする市民運動の着実な成果ではあるのですが、このことが意見広告賛同者にある種の安心感を与えたとしたら、それは意見広告運動のマンネリ化を打破する道を模索する必要性を示しています。
名古屋高裁の違憲判断にもかかわらず、続行されている米軍を支援する航空自衛隊の空輸活動や、「自衛隊海外派兵恒久法」制定の動きなど私たちの「平和的生存権」はますます侵害されています。この次の意見広告は「生存権」というキーワードを軸に「9条を実現」する政治を求めるというスタンスが必要となってくるのではないでしょうか。
5月4日から6日にかけて開催された「9条世界会議」(意見広告は広告紙面でこの会議を紹介しました)は、全国で延べ3万人の参加者で大成功しました。大マスコミによらない広報・宣伝でもこれだけの人が集まれることを示しました。また一方で3万人もの人数が集まったイベントに対するマスコミの扱いの冷淡さも映し出しました。意見広告運動という形で市民がお金を出し合って大マスコミの紙面を買い取って市民の運動を誇示することはますます必要になっていくでしょう。みんなで智恵と力を出し合って、9条改憲を阻む運動を広げていきましょう。
○ 読売新聞・西日本新聞・東京新聞 3紙への掲載実現
賛同者、賛同団体の皆さん、第7期市民意見広告運動は目標額を上回る賛同金が寄せられ、広告「武力で平和はつくれない・9条の実現こそ平和への道です」を読売新聞全国版、西日本新聞、東京新聞に掲載できました。
賛同金は4月30日現在28,783,227円、4月12日の賛同金締め切りに間に合った賛同者数は 8,535件でした(公表可7,600件/匿名希望935件)。なお掲載には間に合わなかった 4月30日までの賛同者は313人です。この方々にも7期の賛同者として報告書をお送りしています。
すべての賛同者、賛同者を増やすための努力をしてくださった皆様および日々の作業の支援をしていただいた皆様に感謝いたします。
○ 掲載紙決定の経緯
掲載紙の決定はできるだけ多く人の目に意見広告がふれることを念頭に検討しました。また、私たちの意見に賛成・反対に関わらず意見広告の紙面が注目されることも期待しました。読売新聞は改憲を社是とし意見広告掲載予定日の5月3日憲法記念日にも何らかの「改憲キャンペーン」を紙面で展開することが予想されました。その中に私たちの9条改憲反対の意見広告が掲載されれば、きっと読者の注目を惹くと考えました。後述しますが、読売新聞のモニター調査でそれは証明されました。
『読売』に多額の掲載料を支払うことに違和感や抵抗を覚える方もいらっしゃるでしょう。しかし意見広告をマスメディアに掲載する目的は《世論に訴え世論を変える》ためです。どうぞご理解いただきますようお願いいたします。
西日本新聞(福岡・長崎・佐賀の3県をカバーする地方紙)と東京新聞については、発行部数、掲載料、当日のほかの意見広告との競合を避けるなどさまざまな要件を考えてこのような組み合わせとなりました。
参考
今回掲載の3紙の合計発行部数は1,142万部です。
読売新聞(1,000万部) 西日本新聞(85万部) 東京新聞(57万部)。
なお、昨年の掲載紙の合計発行部数は1,155万部でした。
○ 広告紙面について
前回まで「9条実現」と大書した広告を三回続けて出してきました。今回もこれを使うのかどうかという議論から始まりました。
“「9条実現」は私たちの運動のなかでは定着したが、世の中全般の人に理解してもらったとはまだ言い難い。”
“9条の持つ意味をやさしく表す言葉はないのか”
多くの人に9条の持つ意味を知ってもらうことが大切という結論になり、9条のもつ非武装・不戦を表す「武力で平和はつくれない」とその回答としての「9条の実現こそ平和への道です」をセットにして訴えることにしました。
「武力で平和はつくれない」は副題「私たちが改憲に反対する14の理由」・市民意見広告運動編集(2007年4月合同出版刊)の本のタイトルですが、より多くの人の心にすっと入っていく言葉として選びました。
デザインは今年も鈴木一誌さんが無償で引き受けて下さいました。ご覧になってわかるように、昨年の日本地図から発展させた丸い世界地図のなかに賛同者名を並べ、その濃淡で陸地と海を表すというすばらしいデザインです。単色を追加できたことでさらに目を引く紙面を作ることができました。鈴木さんに改めて深く感謝申し上げます。
アピール文では9条だけでなく、25条(生存権)と結びつけ、9条無視の軍事大国化が福祉予算の切り捨てにつながることを訴え、また9条実現に向けて、積極的な平和外交によってこそ私たちの安全が保障されると主張しました。タイミングよく4月17日の名古屋高裁による航空自衛隊のイラクでの活動が9条1項に違反するという明確な判断を文中に入れることができました。
○ 運動の経過(1)参院選挙と安倍政権自壊がもたらした影響
賛同チラシの作成は安倍政権の自壊のあとで、改憲の動きがどうなるか、賛同者がこの動きをどうとらえるかについて議論しながらの作業となりました。与党の惨敗で改憲の危機は政治日程からはずされたことは確かですが、一方で国民投票法は成立しており2010年の5月には施行されるという事態を事務局としてどう受け止めどう伝えるのか、議論しつつ意見の集約をし、チラシの文章を確定しました。(今回は、意見広告運動を初めて知る人を想定し、A4二つ折りのチラシで運動の説明を表紙にわかりやすく記すスタイルをとりました。)
チラシ作成時の改憲の危機は遠のいたのかという議論は結局第7期を通しての悩みとなりました。つまり、改憲の危機は遠のいたように見える分だけ、賛同者に危機感がなくなり賛同金が集まらないのではといった危惧が最後まで残りました。
○ 運動の経過(2)2回の集会とさまざまな賛同広告
今期は運動が始まる前の10月と3月に講師を招いて講演会を開催しました。(2回とも市民の意見30の会・東京との共催)
10月10日の集会「どうなる9条改憲? どうする9条実現!(より巧妙に進む改憲化に抗して)」では、出来たてのチラシを集会参加者に配るつもりでいましたが、安倍首相の突然の辞任でチラシの書き直しが必要となり配布がかないませんでした。しかし、講師に澤地久枝さん、鈴木一誌さんをお迎えし、また参院に当選まもない川田龍平さんの発言もあり、会場の豊島区民センターは満員となりました。
3月23日の集会は「格差・貧困・戦争と憲法」と題し、憲法学者で九条の会呼びかけ人の奥平康弘さん、ジャーナリストの堤未果さんを迎えて開かれ(於東京仕事センター)150人の参加者がありました。
今期はさまざまな活字媒体に賛同を募る広告をだしました。賛同広告は以下のとおりです。
・12月 キリスト新聞
・ 3月 婦人之友、カトリック新聞、週刊金曜日、信徒の友、全国保険医新聞、日刊ゲンダイ(2回)
また、3月に入ってから前回までの賛同者と今回すでに賛同してくださっている方へ賛同チラシとともに「今年の意見広告の意義は重大!戦争国家か平和国家か ― いまが分かれ目です」という文書を送りました。その反響は劇的で4月9日に目標額の2500万円を達成することができました(会計報告を別紙に記載しました)。
○ 大阪意見広告運動との連携
各地にはその地方で圧倒的なシェアをもつ地方紙があり、全国紙中心の私たちの運動はともすると首都圏に偏りがちになっています。そこで各地のグループに「同じ5月3日に9条改憲に反対する意見広告をだしませんか」と呼びかけをしました。その結果、大阪に「とめよう改憲!大阪意見広告運動」が立ち上がり、連絡をとりあいながら運動をすすめました。週刊金曜日の賛同広告にこの紹介を載せました。同運動は5月3日に毎日新聞大阪本社版に5段の意見広告を実現しました。初めての試みでしたが来年以後も同様の呼びかけを続け、各地で同日に9条改憲に反対する意見広告が市民グループの手によって掲載されるように努力を続けます。
○ 7期の広告についてのご意見、来期の意見広告運動についての提案を事務局までお寄せください
一昨年から今年にかけて改憲への動きは急加速、表面上の急停止というものでした。そのなかで意見広告では2回続けて「非武装・不戦の憲法をかえさせない」と呼びかけ、賛同を募ってきたのですが、この次の運動をどう展開するかは非常に難しいものになるでしょう。各新聞の世論調査で9条改憲反対が賛成派を上回っているという結果は私たちをはじめとする市民運動の着実な成果ではあるのですが、このことが意見広告賛同者にある種の安心感を与えたとしたら、それは意見広告運動のマンネリ化を打破する道を模索する必要性を示しています。
名古屋高裁の違憲判断にもかかわらず、続行されている米軍を支援する航空自衛隊の空輸活動や、「自衛隊海外派兵恒久法」制定の動きなど私たちの「平和的生存権」はますます侵害されています。この次の意見広告は「生存権」というキーワードを軸に「9条を実現」する政治を求めるというスタンスが必要となってくるのではないでしょうか。
5月4日から6日にかけて開催された「9条世界会議」(意見広告は広告紙面でこの会議を紹介しました)は、全国で延べ3万人の参加者で大成功しました。大マスコミによらない広報・宣伝でもこれだけの人が集まれることを示しました。また一方で3万人もの人数が集まったイベントに対するマスコミの扱いの冷淡さも映し出しました。意見広告運動という形で市民がお金を出し合って大マスコミの紙面を買い取って市民の運動を誇示することはますます必要になっていくでしょう。みんなで智恵と力を出し合って、9条改憲を阻む運動を広げていきましょう。