ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ

2006年9月より、米国のハーバード大学ケネディスクールに留学中の筆者が、日々の思いや経験を綴っていきます。

Kenndy School CommunityとJapan Caucus(その2)

2007年12月08日 | ケネディスクールのイベント

 世界中から集まった約900人の学生たち、そして教授陣が「Ask what you can do」をモットーに様々なイベントを企画・実施するコミュニティー、ハーバード・ケネディスクール。

 そんなケネディスクールに今年は24人の日本人が学んでいます。前職は僕と同じく中央官庁からの派遣組が約3分の1、そしてコンサルティング等の民間企業、国際機関、NGO、地方自治体、JICA、日銀、マスコミ等、さすがケネディスクールだけあり、日本人だけを取って見ても実に多様。

 こうしたケネディスクールに所属する日本人学生及びその家族同士の親睦を深めると共に、日本人も持ち前の団結力を活かして日本の文化・政治・経済を紹介するイベントをケネディスクールの内外に発信するためのグループが、今年僕が会長を務める「ケネディスクール Japan Caucus」であり、日本人学生全員が所属しています。

 経験も趣味も特技も様々なこれだけのメンバーが力を合わせれば、ケネディスクールの内外で様々な日本の「ソフトパワー」を発信し、一人でも多くの「日本ファン」をつくるための面白いイベントが企画できそうです。 

 そうは言っても、皆、慣れない環境の中で勉強に追われる日々。Japan Caucusに関わるモチベーションも同じでない中、「思いつきを実行に移す」のは簡単なことではありません。

 例えば僕が入学したてだった昨年9月のJapan Caucusのミーティングでも面白そうな案が幾つも出たものの、結局「思いつきを実行に移す」ことができたのは映画「Koko yakyu(高校野球)」の放映と、Korea-Japan Trip、そして日本に興味がある人向けへのメールマガジン「Discover Japan」の発信のみとなりました。

 結果、Korea-Japan Tripという一大イベントの企画・実施を通じて、「約25万円もの費用と春休み全部を日本に投じたい」という程、元々日本に深い興味・関心を持っていた学生たちに、日本をより深く理解してもらう機会を提供することは出来たものの、ケネディスクールで学ぶ学生たち全般に対して広く日本を発信し、興味を持ってもらうきっかけを提供することは殆どできませんでした。

 こうした昨年の反省の上に立ち、今年のJapan Caucus最初のミーティングの場を使って導入を試みたのが「Project Team形式」。

 これは、一人一人にケネディスクール内で実行したいと思うイベントを挙げてもらい、その希望を元に各イベント企画・実行のためのProject Teamを作るもの。第2回のミーティングの場で各チームからどのようなイベントをどのように、そしていつまでに実行するという企画書を発表してもらい、その内容に沿ってイベント実現に向けて動いていくというもの。

 このような体制をJapan Caucus内で取ることで、せっかくの「良い思いつき実行に移していく」ために、一人一人がオーナーシップを持って各イベントにかかわることができるのではないか、と考えました。

 また、Japan Caucusの代表としてこのような体制を導入する背景には、自分のリーダーシップのスタイルに対する二つの問題意識がありました。

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 そもそもJapan Cacusは完全にボランタリーな組織。イベントの企画・実施にいくら汗をかいたところで、一銭の金にもならないし、単位ももちろん来やしません。こうしたボランタリーな組織のメンバーを如何に動機付けし、そして価値あるイベントの実施に向けて動かしていけるかは、僕が官民協働ネットワークCrossover21の活動を続けてく中での一つの課題でありました。

 また、これまでの人生を振り返って色々な活動に代表として関わってきた経験を見つめなおしてみると、

 「君は色々頑張るけど、少し自分で抱え込みすぎじゃないか?もっと人に任せる術を覚えないと、これからもっと大きな組織や集団を動かす立場になった時に回らなくなるかもしれないよ。」

 「任させることで「頑張ろう」という気持になる人は多いからね。君が仕事を自分でやろうとすると、短期的には生産性は高いと思うかもしれないけれど、長期的なグループ全体の生産性が思うように上がらなくなってしまうかもしれない。」

といったアドバイスや忠告を同期や先輩から頂いたことが思い出されます。Japan Caucusの代表として、同期や一年生に彼らの希望をもとに各自がリーダーとしてJapan Caucusを引っ張って行ってもらえるような環境・雰囲気作りをするにはどうしたらよいか?

 こんな問い掛けから生まれてきたのがProject Team形式のCaucus運営の私的なバックグラウンドなのです。

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 そして秋学期が終わろうとしている今、振り返ってみるとJapan Caucusはかつてない数のイベントを実施し、キャンパス内の掲示板には、日本関連のイベントを告知するビラが次々と貼られていきました。

 日本・韓国・中国、3か国共催の伝統料理持ち寄りのパーティや映画ナイト、そしてカラオケパーティ、昨年から引き続き取り組んでいる日本を紹介するメールマガジン、そしてKorea Japan Tripに向けたInformation Session等、次回は今年ケネディスクールに所属する日本人が力を併せて企画したイベントの詳細をお届けしようと思います(つづく)。

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