トミーさんの井戸掘り勉強塾

[マチャアキJAPAN、2011ネパール、2012ザンジバル、2015カンボジア][2013/Dash島]テレビ出演

井戸掘りの 「イドセン」

井戸掘り30年、個人職人の井戸屋さんです。 時代と共に井戸掘りの機械は随分変わりました。 小さな機械で井戸を掘る昔ながらの井戸屋はほとんど姿を消しました。 このブログより、井戸掘りの理屈を皆さんに提供していきたいと思います。 「自分で井戸が掘りたい」「井戸について知りたい」など、井戸についてご質問のメッセージを頂ければ詳しくお答えいたします。 個人職人の井戸屋さん「イドセン」http://www.idosen.sakura.ne.jp/idosen/

井戸の調子が悪い!ではなく、あなたが調子良すぎる

2015年08月26日 | 日記
今日は久々に愚痴をこぼしたいと思います。

井戸の調子が悪いと言う連絡を受けますが、

本当に調子の悪いと思えるものはほとんどありません。

何を言っても圧倒的に多いのはメンテナンス無しの使いっ放しです。

「10年前に50万円かけて作ったのに、もう壊れるの?」

いやいや、50万円と言っても掘削する地層などによって工事金額が異なったり

工事内容で金額が異なるわけですから、

まるで50万円の冷蔵庫が壊れたような感覚で考えられても困りますね。

多くの人が勘違いしてるのは、井戸と水道と同じに思ってはダメです。

井戸は水道のように浄水された水を汲み上げていません。

鉄分や藻など目には見えないけど、含まれてることが多いです。

また、微粒の砂なども出てくることも多々あります。

井戸は、30年も40年もメンテナンスせずに使えるものもあれば、

わずか1年2年で水の出が悪くなるものもあります。

例えば、皆さんが300万円で新車を買ったとします。

300万円で買った車を燃料だけ入れて10年乗りっ放しにしますか?

おそらく、オイルがドロドロになってエンジンが壊れる

タイヤもツルツルに減って「ボーン!」

ブレーキも効かなくなったり、あっちこっちガタガタになっちゃいますよね。

だから、井戸も時々車検のように手入れをしないとダメなんですよ。

鉄分の多い井戸は、車で例えると悪路を走ってるようなものです。

沼や砂浜や砂利道などを走る4WDの車は常に洗ったりグリスしたり、

頻繁にメンテナンスが必要です。

毎日、高速道路を時速80kmで長距離で走るトラックはオイル交換や

タイヤの交換は早いですが、ほとんど故障しません。

オフロード100km走るのと、高速道路を100km走るのでは

車に対するダメージは全然違ってきます。

ですから、井戸も車と同じようにそれぞれ状況によって変わるのです。

確かに、何十年もメンテナンス無しで使える井戸もあります。

それは、砂も出ず、鉄分も藻もでず、常にポンプダメージがなく、

かつ、パイプに不純物が付着しない井戸なのです。

見た目綺麗でも、不純物が混入した井戸は異常が出てくるのは早いです。

「実家の井戸は30年でも動いてるのに、何で家の井戸は・・・怒!」

気持ちはわかりますが、何度も言いますが所変われば条件も変わるのです。

完全に壊れる前に手をいれる事ですね。

でも、井戸に関しては皆さん考え方が無頓着で、

完全に壊れるまで使ってるというのが現状のようです。

昔、水道が普及されてなかった時代、

人々は度々井戸のメンテナンスをしてたのですよ。

80歳以上のお年寄りに聞いてみてください。

手押しポンプの木玉の交換やパッキンの取替、井戸の洗浄、

砂が出ないように、手押し井戸の出口には砂こしのための布の袋が付けてあった。

水は生活に絶対必要なもの。

そのため、井戸を大切にし、神様をまつり、粗末にすることなく使っていたのです。

私は言いたい!

日本は水道という素晴らしい水を供給している。

水道が通ってない地域は別だが、水道があるのに井戸がいるのか?

災害があっても一時的に不便だが、給水車は来るし、じきに水道も復旧される。

しかし・・・

自然の地下水の魅力を感じる人には井戸はあって欲しいものだ。

鉄分があろうが、藻が出ようが、匂いがあろうが、

井戸ってこういうものなんだよね。って、分かってる人が井戸を持てば良い。

だから、井戸水と水道水を同じに考える人は井戸を欲しいと思ってはいけない。

そう私は思うのです。


大手企業の井戸の維持費は、年間に何千万円もかけている所も珍しくありません。

井戸は自然の水を汲み上げています。

使っていれば調子が悪くなるのは当然です。

調子がいいのは、井戸を大切にしないあなたではないでしょうか?・・・苦笑


では( ̄^ ̄)ゞ



井戸ポンプから水が出ない原因

2015年08月22日 | 日記
確か以前にもポンプの故障の原因を書いたと思いますが、

あまりにもお問い合わせが多いので、もう一度お話したいと思います。

井戸ポンプの故障の原因は何か?

と言うより、井戸ポンプからなぜ水が出ないのか?という事に説明いたします。

お問い合わせがあり現地に行ってみると、ほとんどポンプの故障ではありません。

井戸のポンプって意外に丈夫で20年30年と動いているのも珍しくありません。

モーターが焼けたと言う事例は、私の場合あまり記憶にありません。

ほとんどが故障ではなく、ちょっとした不具合なのです。


順番に説明いたします。


その1、モーターが回っていない

1.ブレーカーのスイッチが切れてませんか? 必ずどこかにスイッチがあります。

2.モーターが「ウーン」と言ってるが回らない。 インペラーに砂が噛んでいる。

インペラーに砂などが噛みモーターが回らず、モーターが熱をもってきます。
それが理由でブレーカが切れ、正常な動作ができなくなります。
モーターの軸にマイナスドライバーがはまる切れ込みがありますので
マイナスドライバーをはめ込んで、強制的に左右に回すと軽く動くようになります。
分からなければ、モーターを外してインペラーを掃除しても良いです。
モーターが動き出すときは、ちょっとした砂の粒子を噛むだけでも
モーターに無理がかかってしまうのです。


その2、 モーターが回っているが水が出ない

1.呼び水が落ちて水を吸い上げない。 呼び水を満タンに入れましょう。

2.呼び水は入れたが、それでも水が上がらない。 インペラーの消耗かも?

地上式ポンプの場合、吸い込み側のどこかに水が戻らないように逆止弁があります。
そこに不純物が付着するとポンプ内の水が井戸に戻ってしまいます。
そのため、呼び水が空の状態になるので水は上がってきません。
呼び水を入れても全然水が出なければインペラーの消耗が考えられます。
実は、インペラーがある程度消耗していても水は汲み上げてきます。
しかし、いったん呼び水を落としてしまうと上がってきません。
理由は、逆止弁が機能して水が満水状態であれば即水を吸い上げます。
しかし、水が落ちてしまうと、まず給水管の空気を吸い上げなければなりません。
この空気を上げきって初めて水が出てくるわけです。
それができなければポンプの替え時なのですが、実は裏技があります。
言葉では説明が難しいのですが、井戸内の給水管の先端にフードバルブをつけて
吸水管に水をいれ満水にしてやると水は汲み上がってくるはずです。
でも、仮に水が出たとしてもポンプの寿命は短いですね。
この説明の意味が分からない人は、残念ながらポンプの交換ですね。

それから、意外に多いのは給水管の破損による空気漏れです。
給水管のどこかから空気が入ると水は上がりません。
砂こし器を付けている場合、そこから空気が入り込んでる事も多いです。
また、砂こし器の網の目詰まりで水が出ないこともよくあります。

圧力センサーのフロートの引っ掛かりでスイッチがうまく作動しないこともあります。
鉄分などの付着でフロートが動かずスイッチが入らなかったり、
蛇口を閉めてもいつまでもポンプが止まらないと言う現象が起こります。
センサーを外して掃除しましょうね。


今日の説明は言葉だけでは難しいかもしれません。
しかし、この言葉の意味が分からない人は多分自分で対処できないと思います。

井戸のポンプは突然壊れるというケースは少ないです
インペラーの消耗が無ければ、まず井戸ポンプは使えるはずです。


もう一度簡単に言います。


井戸ポンプの不具合の最も多いのは、この2つ

1.インペラーの砂の噛み付き

2.鉄分や藻などの不純物による逆止弁やセンサーの不具合


ポンプ以外の不具合は、

給水管の破損や劣化による空気漏れ


以上の事が、不具合の90%を占めています


あと、インペラーの消耗はインペラーの交換ですが、

正直、ポンプを新品に交換したほうが良いと思います。


以上のように、よっぽどでない限りモーターなどの故障は少ないです。


最後に、「ギャー」って言う異音や、圧力タンクやモーター軸からの水漏れは

もうポンプの交換をおすすめします。


やっぱり、今日の説明は難しかったかな?




自作の井戸掘りに感動しました。

2015年08月20日 | 日記
何気なくYoutubeを見てたら打ち込み井戸の動画が出てきました。

動画投稿者の「井戸掘り明さん」

確か、このブロクにもコメントかメッセージを頂いたような記憶があります。

動画はココで見てくださいね https://www.youtube.com/watch?v=VigBvP9aHYY

投稿されてた井戸の工法は打ち込み井戸でした。

鉄管をブレーカー(はつり機)のバイブで打ち込む方法です。

この方法は、私はやっていませんが、プロの井戸屋さんでもやっています。

ボーリング調査で行う標準貫入試験のN値と言う数値の低い比較的軟弱な地層で行います

打ち込み井戸に適した地層とは、密度のルーズな砂や砂利層に適しています。

もちろん柔らかい粘性土にも対応できますが、この粘性土が打ち込み井戸には厄介です。

鉄管を打ち込むということは杭を打ち込むという事と同じです。

パイプの先端は鉛筆の先のように尖っているのが一般的です。

打ち込む時の力は先端にかかります。

杭を打ち込んでいると、だんだん入りが悪くなりますよね。

誰もが、打ち込む事によって先端の地層が押しつぶされ固くなると思いますよね。

実は、杭の入りが悪くなるのは先端ではなく側面の摩擦力のためなのです。

皆さんが杭を打ち込んだ後に、打ち込んだ杭を引き抜いてみてください。

おそらく抜けないと思います。

パイプの先端は尖っているため、横へ横へと土をかき分けていきます。

木に打つ釘も同じ原理なので、打ち込めば釘抜きでないと抜けませんよね。

この摩擦を軽減させるために先端部分をパイプより少し太くします。

太くした分、打ち込む速度は落ちますが、摩擦力が少ないためどんどん入っていきます。

そして先端が太い分、打ち込まれるパイプの周りに隙間ができます。

ここへ泥水などを入れてやれば、パイプは摩擦で締め付けられる事がなくなります。

通常の井戸屋さんは泥水を使わず機械で打ち込んでしまいますが、

やはり、場合によっては泥水を充填しながら打ち込むこともあります。

井戸掘りには教科書はありません。

理屈な計算式などのマニアルはありますが、

ほとんどが職人さんの経験と技が大いに活かされています。

井戸掘りとは、いかに細く見えない穴を深く掘ることができるか?

また、いかに掘った穴を崩さず自立させるかにかかってきます。

最近は、技量も関係なく大型機でガンガン掘っていく物が増えましたが、

狭い敷地でコツコツと昔ながらの井戸掘りも良いのではないでしょうか?

私は、3mで井戸が出来たという人を馬鹿にはしません。

浅かろうが深かろうが、自分で地下から水を出せたと言うことは

生きていくべき働きをしたと評価します。

打ち込み井戸でも、堀井戸でも、堀鉄管を打ち込むパーカッションでも

いろいろアレンジしてみてくださいね。

きっと、どんな地層に対してどんな掘り方が良いか分かってくるはずです。

このブログを参考にして井戸掘りを挑戦してくれる人がいることに

大変嬉しく思いました。


では(o・・o)/

井戸の掃除・つまりのメンテナンス

2015年08月15日 | 日記
今日は30年以上もメンテナンス無しで使用した井戸を復活させてきました。

今年の冬まで、何とか使っていたということですが、

赤水が酷くなり、ポンプが動かなくなったということです。

ポンプは何とか動くようになりましたが、使える状態ではありませんでした。

新しいポンプに交換という事で井戸内のパイプを抜き上げてみると・・・



やっぱり凄い鉄分がパイプに付着しています。

写真はすでに乾いた時に写したものなので分かりづらいですが、

抜き上げた時は、触れないぐらいのドロドロの滑りが付いていました。

こうなれば、ただパイプを入れ替えるだけでは復活はできません。

井戸内をブラッシングで付着した滑りを落としながら汲み上げです。

ブラシの付いたワイヤーを挿入して汚れを落とし、

ベーラーと呼ぶ道具で赤錆の泥状のものを汲み出します。

目詰まりによって井戸内に地下水が入り込まないため

水を注入しながらの作業です。

この作業の部分の写真を撮り忘れました・・・(´Д`;)ヾ ドウモスミマセン

付着した汚れを落とし、目詰まりもある程度なくなり地下水が入ってきました。

こうなれば、コンプレッサーによる洗浄に切り替えます。



写真のように井戸内に汲み上げ用のホースを入れ、コンプレッサーで吹かします。

説明が口頭では難しいですが、コンプレッサーの空気に変化させます。

変化という言い方もおかしいのですが、

つまり、パイプ内をうがいのようにボコボコ吹かし、

汚れを落としながら、空気によって汚れた水を吹き上げます。



ホース内から大量の汚れ水が出てきます。

写真では、ある程度汲み出した後なので、褐色の濁り水程度にしか見えませんが、

最初は泥の塊ののような状態でドロドロと出てきました。

このように、根気よく何度も吹かしながら洗浄し吐き出します。

4時間くらい経って、ようやく綺麗な水になってきました。



水量も徐々に増え、毎分50L以上の水量になりました。

おそらく、30年以上の年月で付着した汚れは90%取り除けたと思います。

井戸は、完全に使えなくなるまで知らんふりするのではなく、

水が汚れ出したり、水量が減ったり、異変を感じたら早めにメンテナンスするべきです

今回のこの井戸は、塩ビパイプが入っていたので助かりましたが、

鉄管の井戸なら復活は出来なかったと思います。

車でもオイル交換やエレメントを定期的に交換します。

井戸も数年に1度は点検してあげたいですね


では(o・・o)/


打ち込み井戸は寿命が短い

2015年08月12日 | 日記
打ち込み井戸という言葉を聞いたことがあると思いますが、

今日は、打ち込み井戸の寿命についてお話したいと思います。


打ち込み井戸とは、文字通りパイプを打ち込む工法です。

昔、水道が普及されていない時代は、どこの家にも井戸がありました。

手押しポンプ(ガチャポン)が無い時代は手掘りの井戸でした。

いわゆる、つるべ井戸という桶で井戸水を汲み上げる井戸ですね。

時が過ぎ、真空式の手押しポンプ(ガチャポン)が登場すると、

それまでのように人が穴に入って手で掘る井戸ではなく、

鉄のパイプを打ち込むという簡単な工法が主流となり、

掘り井戸のような共同井戸ではなく、各家庭に打ち込み井戸が増えていきました。

実は、打ち込み井戸というのは比較的軟弱な地盤の平野部に多く見られ、

小高い丘や硬い地層の地域で見られる手押しポンプの井戸は、

ほとんどが手掘りの掘り井戸から汲み上げられています。

このように、打ち込み井戸は地層の硬い地域では不向きと言えます。

ところが、時代とともに人力で打ち込むのではなく、

振動の打ち込み機(バイブ)によって機械的に打ち込むようになり、

そこそこ硬い地層でも無理やり打ち込んで井戸を作ってしまいます。

ここからが、本題に入っていきますのでよく読んでくださいね。

私のところに井戸の相談依頼が来る中で一番多いのが、

打ち込み井戸のトラブルの御相談なのです。

もちろん相談内容は「水が出ない!」「水が枯れた!」と言う悲鳴です・・・笑

それは、水が枯れた訳ではありません。

はっきり言って、井戸が腐ったというか、パーになったというか、

寿命が来たのです。

寿命が来た理由は、鉄管のサビの侵食や目詰まりが原因です。

目詰まりならブラッシングという工法で井戸の復活はできるのですが、

サビによる腐食で鉄管の肉厚がなくなり穴が空いたら・・・ご臨終(チ~ン)ですね。

もう、その井戸はパーになったと思ってください。

実は、鉄管の破損箇所のほとんどは、鉄管の継ぎ目部分なのです、

継ぎ目はネジによって継ぎ足すためネジの部分が肉薄になります。

そして、ゴンゴンと打ち込むことによって潰れてしまうこともあるのです。

つまり、打ち込み井戸のリスクとは、

完成した直後であっても、運が悪ければ壊れる寸前状態ということもありえるのです。

また、打ち込むことによってネジ山が緩み、その部分から空気を吸うこともあります。

地質調査などを経験されてる人なら誰でも知っていることなのですが、

打ち込むということはネジを緩ます働きがあるのです。

みなさんが、古いボルトが緩まないときボルトの頭をハンマーで叩くことありませんか?

叩くことによってねじ山同士が潰し合い若干の隙間を作ってしまう事もあるのです。

と言うことで、打ち込み井戸とは、どこでも万能ということはありません。

私は今まで、お客さんの依頼で打ち込み井戸で仕上げた井戸は1つもありません。

すべて掘削による工法であり、掘った穴に塩ビパイプを入れるやり方です。

鉄管と塩ビ管では井戸の寿命は数倍、いや数十倍の差があるかもしれません。

と言うことで、今日は打ち込み井戸の寿命についてお話しました。