アイデアリズム idealism daydream

嘘や夢であって欲しかった その16 強制執行(=差し押え)の書類

前回から

2005/03/17

その15の続きです。

強制執行に必要な書類の紹介

 強制執行に必要な書類をご紹介します。
 なお、強制執行は色々なタイプがありますので書類も様々です。例は私の行う「給料債権」の強制執行の場合です。


1.執行力のある債務名義



 その12で少しお伝えした「第一回口頭弁論」の「調書」です。
 私は少額訴訟でしたので、第一回で既に"判決"が出ています(1枚目の右上)。
 それから「被告は原告に対し、金員を支払え」と裁判所からの命令であり、「被告は原告に対し、債務を負う事を確認する」とはなっていません(2枚目の第2"主文"の1)。また、少額訴訟の場合は自動的に「仮執行」が出来ます(2枚目の第2"主文"の3)。

 こういう裁判所から「被告は原告に対してお金を払いなさい(命令)」というお墨付きの命令文章を「債務名義」と言うそうです。
 また、少額訴訟は「仮執行が出来る」という事からも「執行文(=強制執行が出来る旨の文)」付きなのです。

 本当は判決が出て双方に調書が届いてから2週間、原告や被告が異議を申し立てない場合、初めて判決が確定します。仮執行というのは、その2週間を待たずに強制執行しても良いですよという意味です。

 通常訴訟の場合、強制執行したい場合は「判決文に"執行文"を書いてもらう手続き」が別途いるそうです(執行文が無い場合、執行力がありませんので強制執行が出来ません)。


2.送達証明書



 上記の「判決文」が被告の手にも渡っているという証明書です。法律では「抜き打ちでやる差し押え」は禁止しています。そういうわけで被告にも「第一回口頭弁論調書」を送るのですが、"被告にも調書が届きましたよ"という証明、というわけです。

 もし被告が不在だったり調書の受け取りを拒否しても「公示送達」という方法があります。これは裁判所にある掲示板に「調書を出しましたンで」とお知らせを入れて「送達した事にする」ことです。行方不明者に対して訴訟したい時によく使うやり方だそうで・・・。

 とりあえず、この「送達証明書」は判決が出されて1週間くらい後に審理した裁判所に行って発行してもらいます。図では印紙をまだ貼っていませんが、150円分の収入印紙(100円+50円)が必要です(収入印紙や切手は郵便局で買います)。

 ここまでが簡易裁判所での手続きです。


 強制執行は地方裁判所にある「債権差押係/仮差押・仮処分係」でしますので、ここからは地方裁判所で手続きをとります。

3.債権差押命令申請書



 これは「債務者が支払いをしないんで、強制執行の命令を出して下さい」という申立書です。添付書類も一緒に書いて出します。

 少し注意なのは裁判の呼び名と強制執行の呼び名が変わる事です。
 私は訴訟を起こしたので裁判では「原告」、かつ、お金を貸しているので強制執行では「債権者」です。私の相手は訴訟を起こされたので裁判では「被告」、かつ、お金を借りているので強請執行では「債務者」です。

このあたりが紛らわしいよね、全く・・・


4.当事者目録



 誰が誰に対してどのようにするのか、当事者が分からないと話になりません。まずは債権者の住所氏名、債務者の住所氏名を書いた内訳です。

 私の場合、給料を差し押えたい・・・ということで、形としては「債務者が勤めている会社に対して、債務者に払う給料の一部を私にまわして欲しい」ということになります。
 私のほうから見ると、債務者が勤めている会社=債務者の一部、となりますので、債務者が勤めている会社を"第三債務者"として書きます。
 なお、外国に本社がある会社の場合は「送達場所」を別途書き、日本の支社にします。そうしないと外国にこの書類達が行ってしまいます。


5.資格証明書



 当事者が法人(会社)の場合は「商業登記謄本」が必要です。商業登記謄本は「法務局」で発行してもらいます。1冊1,000です。

 私の場合、第三債務者が会社なので1冊必要でした。


6.請求債権目録



 差し押えたい金額の内訳です。

 私の場合の内訳は、

  1. 元本は、445,480円
  2. 未払利息は、2004年12月10日から2004年12月31日までの21日間で、年率18%における未払い利息分の4,600円。計算方法としては、元本445,480円×年率0.18×(日数21日÷365日)=4613.4354円、です(端数は切り捨てらしい)。
  3. 遅延損害金は、2005年1月1日から2005年3月16日(この書類を出した日)までの75日間(31+28+16日)で、計算方法としては、元本445,480×年率0.2628×(日数75日÷365日)=24,055.875円、です(こちらの端数はなぜか切り捨てないらしい)。
  4. 執行費用は、合計7,970円。収入印紙4,000円分+資格証明書交付手数料の1,000円は商業登記謄本のお金+切手(1100円+1050円+500円+90円+80円)です。

7.差押債権目録



 何を実際に差し押えるのかという内訳です。

 私の場合は「給料債権」ですので図のようになります。


8.陳述催告申立書



 これはオプション扱いの申立書です。この書面は「第三債務者に差し押えの結果を書面で回答してもらう事を希望する」ものです。

 私の例で具体的に挙げると、「債務者がいくらの給料やいくらの賞与をもらって、そのうちの1/4支払いました」という詳細な結果の事です。

やっぱり詳細に知りたいよね・・・

 とりわけオプション扱いにも関わらず、この申立をしない人はほとんどいないそうです。
 もし、このオプションを希望しない場合、執行費用は580円安くなるそうです(500円切手+80円切手が不要)。

つづく

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