ピアノトリオによるPaul Simon作品集ということで。
Joe Chindamoは一枚だけ持っていましたが、この企画は当時即飛び付きました。
Simon & Garfunkel時代の曲が多いので先のPaul SimonのソロというよりはSimon & Garfunkelのカバーという感覚です。そしてこれはなかなかの好盤だと思います。
まずJoe Chindamoは間違いなくPaul Simon大好きだろうというのが伝わってくるのが良い。そしてどういうテイストで仕上げていこうかというのが見えていて、おそらく本人にとっても満足な仕上がりだったと思われます。
アレンジがきめ細やかに練られていてキメも多いのですが、しつこすぎずうるさくならず、ひたすら聴きやすい。その分ジャズ的なスリルには欠けると思うのですが、これはこれで良いと思うのです。
テーマだけ凝っていて→ソロに入ったら4ビートになり→それが10分も続き結局いつものジャズと同じ、、、
というパターンはよくありますが、そこからは離れた作品です。スタジオで丁寧に愛情を持ってPaul Simonを楽しく仕上げました、という。そう、丁寧というのが合っています。そして原曲では少し陰りのある彼らの音楽がカラッと明るく表現されています。Brad MehldauもよくPaul Simonを取り上げますが彼とは正反対と言えるでしょうね。
曲はAmericaで始まってAmericaで終わります。やりたい曲はたくさんあっただろうに。一つの作品として綺麗に仕上がるようにアイディアを寝かせていたかどうかはわかりませんが、ジャケットも含めて丁寧に仕上がっており、非常に好意的にこの作品を受け取っています。
ネタはまだまだあるんだから続編も期待したいんですが、さすがにここだけに突っ込んでくることも無いのかな。アコーディオンを使って映画音楽集もやっているみたいだから、幅広く楽しい方向の音楽を追求しているんでしょう。アレンジもそうですが、ピアノの音がもう明るいので。こういう音は続けては聴かないのですが必ずたまに登場します。そういう持続力がこの作品にはあります。
Joe Chindamo Trio/AMERICA!-plays the Paul Simon songbook
●●●●● ●●○○○
1.America
2.The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)
3.El Condor Pasa (If I Could)
4.Mrs. Robinson
5.Keep The Customer Satisfied
6.Scarborough Fair (trad.)
7.Goodbye Frank Lloyd Wright
8.Cecilia
9.Old Friends
10.Fifty Ways To Leave Your Lover
11.Bridge Over Troubled Water
12.The Sound Of Silence
13.America (REPRISE)
Joe Chindamo : piano
Matt Clohesy : bass
David Beck : drums
2002年作品