音楽という食物

ジャズ系を中心に好きな音楽について

Joe Chindamo Trio/AMERICA!-plays the Paul Simon songbook

2011-01-20 23:18:42 | ジャズ




ピアノトリオによるPaul Simon作品集ということで。
Joe Chindamoは一枚だけ持っていましたが、この企画は当時即飛び付きました。

Simon & Garfunkel時代の曲が多いので先のPaul SimonのソロというよりはSimon & Garfunkelのカバーという感覚です。そしてこれはなかなかの好盤だと思います。


まずJoe Chindamoは間違いなくPaul Simon大好きだろうというのが伝わってくるのが良い。そしてどういうテイストで仕上げていこうかというのが見えていて、おそらく本人にとっても満足な仕上がりだったと思われます。

アレンジがきめ細やかに練られていてキメも多いのですが、しつこすぎずうるさくならず、ひたすら聴きやすい。その分ジャズ的なスリルには欠けると思うのですが、これはこれで良いと思うのです。

テーマだけ凝っていて→ソロに入ったら4ビートになり→それが10分も続き結局いつものジャズと同じ、、、
というパターンはよくありますが、そこからは離れた作品です。スタジオで丁寧に愛情を持ってPaul Simonを楽しく仕上げました、という。そう、丁寧というのが合っています。そして原曲では少し陰りのある彼らの音楽がカラッと明るく表現されています。Brad MehldauもよくPaul Simonを取り上げますが彼とは正反対と言えるでしょうね。


曲はAmericaで始まってAmericaで終わります。やりたい曲はたくさんあっただろうに。一つの作品として綺麗に仕上がるようにアイディアを寝かせていたかどうかはわかりませんが、ジャケットも含めて丁寧に仕上がっており、非常に好意的にこの作品を受け取っています。


ネタはまだまだあるんだから続編も期待したいんですが、さすがにここだけに突っ込んでくることも無いのかな。アコーディオンを使って映画音楽集もやっているみたいだから、幅広く楽しい方向の音楽を追求しているんでしょう。アレンジもそうですが、ピアノの音がもう明るいので。こういう音は続けては聴かないのですが必ずたまに登場します。そういう持続力がこの作品にはあります。





Joe Chindamo Trio/AMERICA!-plays the Paul Simon songbook
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1.America
2.The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)
3.El Condor Pasa (If I Could)
4.Mrs. Robinson
5.Keep The Customer Satisfied
6.Scarborough Fair (trad.)
7.Goodbye Frank Lloyd Wright
8.Cecilia
9.Old Friends
10.Fifty Ways To Leave Your Lover
11.Bridge Over Troubled Water
12.The Sound Of Silence
13.America (REPRISE)


Joe Chindamo : piano
Matt Clohesy : bass
David Beck : drums
 


2002年作品




Paul Simon/Greatest Hits, Etc.

2011-01-20 03:03:42 | 洋楽




私の両親はあまり音楽を聴きません。
特に父親はよく歌ってますが、聴いているのは見たことが無い。

小5の時、私の熱望で自宅にミニコンポ(なんか懐かしい響き)が来てから父も知人からのお勧めということでCDを何枚か買ってきた。

Paul Simon/Greatest Hits, Etc.
Miles Davis/In a Silent Way
George Winston/Autumn
ホルスト:組曲「惑星」

という4枚です。知人の親切心が感じられます。どれに引っかかるか試しているようですね。そして案の定というか、ミニコンポが目新しくなくなると共に父は全く聴かなくなり、母はGeorge WinstonのAutumnが大好きになりました。私も子供ながらこれはいいなぁと思いましたが、やはりC-C-Bとか安全地帯なんかのほうが全然好きでした(笑)。Miles Davisは異次元の音楽で今風で言うと「意味分かんないんだけど」という感じだったと思います(今ではMilesの中では5本の指に入るくらい好きです)。

Paul Simonも当時はものすごく「古い!」と感じる音楽で、それほど好きではなかったと思うのですが、高校生の頃突然「何これ、ものすごく良い!」と180度見方が変わったのを憶えています。

Simon & GarfunkelのPaul Simonというのが一般的な認知のされ方だと思うのですが、私はSimon & Garfunkel時代よりPaul Simonのソロのほうが全般好きです。音作りの原材料が好みという感じだと思いますが、音楽の「天気」みたいなものも違いますよね。

この「Greatest Hits, Etc.」は結構古いベスト盤なので後の「Graceland」などは全然含まれないのですが、その辺りが入っている最近のベストよりこちらのほうがしっくり来てしまいます。ここはやはりベスト盤で入門してしまったので個人的にひとつの作品として捉えているからだと思います。


ここで聴かれる名曲の数々、特に
「Still Crazy After All These Years」
「Me And Julio Down By The Schoolyard」
「Something So Right」
「Kodachrome」
「I Do It For Your Love」
「50 Ways To Leave Your Lover」
「Mother And Child Reunion」
「Loves Me Like A Rock」
「Take Me To The Mardi Gras」
など(全然抜粋されてないですが)、好きすぎて何書いていいかわかりません。
ひたすら暖かい曲の数々、「ハートウォーミングな~」なんてよくある言い回しですが、こんなんではまだまだ足りません。


そして曲の良さもありますが、やっぱり音作りの原材料が好みなんですね。
大学生のころ気付いたのですが、ジャズサイドから見るとSteve Gadd,Richard Tee,Bob James,Phil Woods,Michael Brecker,David Sanborn,Anthony Jacksonなどのクレジットが目に留まります。蒼々たるメンバーが大人しくいい仕事をしているのがしっかりと効いているんですね。Phil Woodsは「Have A Good Time」で派手に華を持たせてもらっているけど、ジャズ聴きしていない当時でも「カッコいいなぁ」と思えました。やっぱりPaul Simonの采配というのが作曲と同様、素晴らしいのだと思います。



この「Greatest Hits, Etc.」はウォークマンのデータが容量不足のため足したり消したりを繰り返している中で、全くいじられることなく居座る作品のひとつです。長年楽しませてもらっている信頼と自分の好みはもう揺るぐことは無いのだと思います。




Paul Simon/Greatest Hits, Etc.
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1. Slip Slidin' Away
2. Stranded In A Limousine
3. Still Crazy After All These Years
4. Have A Good Time
5. Duncan
6. Me And Julio Down By The Schoolyard
7. Something So Right
8. Kodachrome
9. I Do It For Your Love
10. 50 Ways To Leave Your Lover
11. American Tune
12. Mother And Child Reunion
13. Loves Me Like A Rock
14. Take Me To The Mardi Gras




1977年作品