これもHersch絡みで気に入ったベーシストのリーダー作です。
しばらくこうやって同じ所で探し続けるだろうという感じです、今までの自分からして。
しかしこれ、やってくれます。
ベーシストのリーダー作って何かあるからたまりません。
彼らの頭にしか描けない何かって確実にある気がします。
プロデューサーにDavid Tornとありますが、そういえばECMのDavid Torn/Prezensを持っていました。メンツが3人被ってますね。ここも大きく関係してると思われます。
典型的なクインテットの編成ですが、オクテットくらいに感じる。
静寂から荒れ狂うまでの起伏の激しさ、複雑な展開、5人横並びな貢献度で奏でるテーマ。いや、どこまでがテーマなんだか。そして5人揃って一体何が見えているんだか。
Drew Gressは自身の曲とアレンジで主張していますが、ソロで始まる曲もありベースもしっかり目立っています。この人のプレイ、やっぱいいですね。音が好きです。
しかし最もすばらしいのはこのビターな楽曲の数々、けっして優しいものではありませんが確実に「何色」かにはなっている。そしてそれを全員が共有しているみたい。喃語を話す子供達が意味の無い言葉を発しつつ、ちゃんと伝えたい何かを伝え合ってうんうんとうなずいている様子を重ねてしまった。宇宙語で会話する5人の地球人。ジャズメンはそういう人多いでしょうが、自分にとっては久々にそういう感覚を持った作品。
複雑な曲でも伝える側がしっかり主張すればきちんと伝わるという好例だと思います。
しかしこのビター感、甘口のあいだあいだに聴きたくなります。
Drew Gress/7 Black Butterflies
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1. Rhinoceros
2. Bright Idea
3. New Leaf
4. Zaftig
5. Bas Relief
6. Blue On One Side
7. Wing & Prayer
8. Low Slung / High Strung
9. Like It Never Was
Drew Gress-bass
Ralph Alessi-trumpet
Tim Berne-alto saxophone
Tom Rainey-drums
Craig Taborn-piano
2005年作品