音楽という食物

ジャズ系を中心に好きな音楽について

Drew Gress/7 Black Butterflies

2011-01-06 00:03:09 | ジャズ




これもHersch絡みで気に入ったベーシストのリーダー作です。
しばらくこうやって同じ所で探し続けるだろうという感じです、今までの自分からして。

しかしこれ、やってくれます。
ベーシストのリーダー作って何かあるからたまりません。
彼らの頭にしか描けない何かって確実にある気がします。
プロデューサーにDavid Tornとありますが、そういえばECMのDavid Torn/Prezensを持っていました。メンツが3人被ってますね。ここも大きく関係してると思われます。

典型的なクインテットの編成ですが、オクテットくらいに感じる。
静寂から荒れ狂うまでの起伏の激しさ、複雑な展開、5人横並びな貢献度で奏でるテーマ。いや、どこまでがテーマなんだか。そして5人揃って一体何が見えているんだか。

Drew Gressは自身の曲とアレンジで主張していますが、ソロで始まる曲もありベースもしっかり目立っています。この人のプレイ、やっぱいいですね。音が好きです。

しかし最もすばらしいのはこのビターな楽曲の数々、けっして優しいものではありませんが確実に「何色」かにはなっている。そしてそれを全員が共有しているみたい。喃語を話す子供達が意味の無い言葉を発しつつ、ちゃんと伝えたい何かを伝え合ってうんうんとうなずいている様子を重ねてしまった。宇宙語で会話する5人の地球人。ジャズメンはそういう人多いでしょうが、自分にとっては久々にそういう感覚を持った作品。

複雑な曲でも伝える側がしっかり主張すればきちんと伝わるという好例だと思います。
しかしこのビター感、甘口のあいだあいだに聴きたくなります。




Drew Gress/7 Black Butterflies
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1. Rhinoceros
2. Bright Idea
3. New Leaf
4. Zaftig
5. Bas Relief
6. Blue On One Side
7. Wing & Prayer
8. Low Slung / High Strung
9. Like It Never Was



Drew Gress-bass
Ralph Alessi-trumpet
Tim Berne-alto saxophone
Tom Rainey-drums
Craig Taborn-piano



2005年作品





多摩美術大学図書館(伊藤豊雄)

2011-01-05 02:32:14 | 住宅・建築・家具




近いので前から行こう行こうと思っていたのですが、どうも車で行けないようだし買い物の際に外から見えているので見た気になっていたのですが、今日は子供を置いてフリーにさせてもらえたので行ってみました。多摩美術大学図書館(八王子)伊藤豊雄氏の設計です。

一か八かで車で突入。守衛さんに聞いてみるとやっぱり車はご遠慮くださいということでしたが、それ以前に「今日はまだ閉館中だよ」と。あらら。しかし「30分くらいだったら外からだけなら良いですよ」とこちらからお願いする前に言ってくださった。見学者に対する対応に慣れている感じ。ありがたや。しかも無人というのは結構貴重なんでは。気兼ねなく写真も撮れるし。


ということで早速建物に近づく。



すごい塊感ですね、これは。中には宇宙人が居るんじゃないかと。



ここが入り口?。白いドア枠が唯一普通っぽい。



結構湾曲しています。



これだけ大きい建物の角があり得ないくらい鋭角。



ちょっと寒気がします。そして美しいです。



この鋭角が「先端」的な居場所を作っていて面白い。



中はこんな。構造兼意匠。伊藤豊雄の真骨頂ですね。
照明や家具までよく合っています。
しかしこの未来と過去が合わさった様な世界は素晴らしい。





図書館は2階なんですね。中に入れなかったのは痛いけど貴重な見学が出来ました。
今度はバスか自転車でまた来ようと思いつつ、、、。









Alexis Cole/Someday My Prince Will Come

2011-01-03 23:44:07 | ジャズ




新年のタワレコ、相変わらずのFred Hersch絡み買い。Venus Recordsが紙ジャケで¥1500という再発をしている中で発見。あれ?Venusで弾いてたのか。

歌伴でのHerschは聴いたことがないのとVenus Recordsでどういうプレイをしているのか、そしてあの音質で聴いてみたいという思いもあり。個人的にはこのレーベルカラーでも個性を残せる人だと思っています。

この作品はディズニー集ということです。といってもスタンダード集というのとそんなに変わらないと思う。ピアノの他にハーモニカやフルートが印象的。ハーモニカは毎度のToots Thielemansかと思いきや違いました。

ヴォーカルのAlexis Coleという人は初めて聴きます。特徴的なものは見いだしにくいですが、普通に良いですね。ジャズヴォーカルってどうしても毛嫌いしてしまうアクを持っていて苦手な人が多いんですが、それが無いだけで満足です。聴き込めばもっと気に入るかもしれません。

そしてHerschのピアノは期待通り素晴らしい。歌伴でこれ以上何を求めるかという内容。単なる伴奏やソロではなく、出しゃばることは無くとも有機的に絡んで展開してこの作品をひとつ上の質へ押し上げている。音のひとつひとつの根拠が、出どころが一般的な歌伴ピアニストと全然違う感じです。ベースとドラムが抜けるトラックも数曲あるため、ヴォーカルとピアノがこの作品の中核ということになると思います。よってソロは無い曲があってもHerschの貢献度は全編高く、この音質もあって頭がトロトロになってしまいました。

子供を膝に乗せてご飯を食べさせながら聴いていたのですが、妻に「寝てんの?!」と言われてしまいました。いや、聴いてんの。

イメージなんですが、ヴォーカリストはファインアート系、ピアニストはデザイナー系の人が多い気がしているんですが(あくまでイメージ)、Herschは完全にファインアートのほうですね。ヴォーカルとの相性かなり良いと感じました。こっち方面もチェックしてほうが良さそうですね。またまた手が回らない感じになりそうです。




Alexis Cole/Someday My Prince Will Come
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1. For Now For Always
2. Home Is Where The Heart Is
3. If I Never Knew You
4. La La Ru
5. Let Me Be Good To You
6. Love
7. Once Upon A Dream
8. Remember When
9. So This Is Love
10. Someday My Prince Will Come
11. The Second Star To The Right
12. When You Wish Upon A Star



Alexis Cole-vocal
Fred Hersch-piano
Steve LaSpina-bass
Matt Wilson-drums
Gregoire Maret-harmonica
Don Braden-tenor & Soprano saxs and flute




2009年作品