音楽という食物

ジャズ系を中心に好きな音楽について

Bill Evans , Scott LaFaro , Paul Motian / Complete Village Vanguard Recordings 1961

2014-05-06 09:20:38 | ジャズ




人はなんだかんだ言ってもどんなところでも暮らせる。
今の時代、最低限のものは揃っている。
凝ったつくりの家は、どれだけ必要なものなんだろうか。

車もそう。なんなら無くてもいいという人も増えている。

いろんな物の基本的な質が上がっている現代、頑張って突き詰めても、突き詰めなくてもそんなに変わらないんじゃないか、

というようなことを、ぼんやりと渋滞の車の中で考えていました。
ここ数年の中でなんとなく頭の中に回っていることです。


音楽も人を黙らせるような「凄い」音楽より、踊れるような「楽しい」音楽の方が健康的ではないのか。
「凄い」って本当に必要なんだろうか。
「楽しい」だけで十分間に合っている人は多いのではないか。


でもなんとなく、自分は「楽しい」では元気が出ないのです。
困った人間だなと。
「楽しい」の方が絶対輪も広がると思うんですが。


と、こんな具合にとにかく元気が出ない、仕事中の車中。


渋滞がひどいのでカーステレオの無い車の中で音楽を聴くことにしました。
スマホに結構音楽を詰め込んでいるので、そこから直です。
聴こえるんだろうか?
ドアのポケットに突っこんで少しでも反響させようとしましたが、やはり知れてます。
車は走りだして余計に聴こえない。

選んだのはEvansの例の盤です。
かすかに聴こえる音ですが、確実に「凄い」の方です。

驚いたことにこの音で車の中を、頭の中を完全に支配します。
ベースなんて100%聴こえてないんですが。

そして不覚にも「My Romance」の光のようなイントロで涙してしまったのです。
音楽で泣くとか、相当レアです。夜でよかったなぁ。



・・・色々考えた挙句、この平和ボケの日本においてこそ、
違和感を感じるほどの「凄い」は必要なのかも、という思いに至りました。

特に何にも困っていないはずなのですが、実はそれこそがすでに困った状況なのかもしれません。
波の立たないフラットな日常、そこからエイッと飛び出すのには意図的な仕掛けが必要。

飛び出せるなら何でも良い。自分には「凄い」が必要。



そんなことを自分に言い聞かせながら。




・・・・ちなみにおそらくこの作品は自分にとってのベストです。
20年くらい聴いてきましたが、断言しちゃっていいかなと。
そんなんで例外的に11点です。






Bill Evans、Scott LaFaro、 Paul Motian / Complete Village Vanguard Recordings 1961
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disk1

1. Spoken Introduction
2. Gloria's Step (Take 1, Interupted)
3. Alice In Wonderland
4. My Foolish Heart
5. All Of You (Take 1)
6. Announcement And Intermission
7. My Romance (Take 1)
8. Some Other Time
9. Solar


disk2

1. Gloria's Step (Take 2)
2. My Man's Gone Now
3. All Of You (Take 2)
4. Detour Ahead (Take 1)
5. Discussion Repertoire
6. Waltz For Debby (Take 1)
7. Alice In Wonderland (Take 2)
8. Porgy (I Loves You, Porgy)
9. My Romance (Take 2)
10. Milestones


disk3

1. Detour Ahead (Take 2)
2. Gloria's Step (Take3)
3. Waltz For Debby (Take 2)
4. All Of You (Take 3)
5. Jade Visions (Take 1)
6. Jade Visions (Take 2)
7. ...A Few Final Bars

Bill Evans-piano
Scott LaFaro-bass
Paul Motian-drums



1961年作品


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2 コメント

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いまだに (ken)
2014-05-10 10:56:41
私のブログにコメント頂き、ありがとうございました。GW前後はインターネットがちょっとイヤで失礼しました。

LP狂いのなかで、エヴァンス・ラファロの当時のモノラル・プレスで4枚買いました。より、彼らが身近に(リアルに)聞こえ、深く満足しました。未だに、このライヴの2枚は何回も何回も、ターンテーブルを回して聴いています。

で、先日の海賊盤で音質なんかと関係ない、音の凄さを知って、少々複雑な心境。

そんな、いまだにエヴァンス狂いです。
音質 (ki-ma)
2014-05-16 09:14:52
遅くなりましてすみません。。。
救いなのは音質に関わらず、鳴っている音は生きてこちらにちゃんと届く、ということかと最近思います。
音、良いに越したことは無いですけどね(笑)。
またお願いします。

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