
昭和8年発行の『勝地讃岐と其産業陣営』より
東讃の引田醤油の大衆的印象は、実に抜くべからざるものがある。
凡そ世人の脳裏に刻む印象とは、善にして感激に発し悪にして慊焉憎悪に帰するであろう。
然して引田醤油の印象こそは、300余年の古き生産歴史とこれを彩る品質の誇るべき民衆的印象ではある。近時一般醤油界は、多事を思わせつつあるは事実にして、即ち近代科学の発達はその醸造界にも普遍して或いは早造り法又は化学的醤油のと幾手法を以て動々濫醸の傾きあり。したがって必然業界の平静は、破らるるの結果となれるが、しかし乍らこの近代社会現象は、何れの部面にも現れ、吾劣れじと大衆の我田引水的感覚特に専念するの情勢にして、この間引田醤油は依然本来の生命たる品質の牙城を死守し、堅持するところに即ち引田醤油たる面目がある。ここに近時引田醤油の気を吐くものに岡田醤油合資会社があるが、200年の輝く歴史と品質で売る親しみも深き池田屋醤油のそれである。
(中略)その醤油醸造を近代科学に溺れず、従として自然の醸造風味を一義とし、更に利に趨らず、事業の永遠性を至念するの良果にして、常に清新なる意気を以てする研究活動は商品の上に示現されてここに至るのである。
今から80年前の記事とは思えない程、今現在でも通ずると言っても全く差し支えないと思う。
現在も尚、その手法を継承しつつ、進化させつつ、それでも大事なところは守りつつ、かめびし醤油の意気を感じさせられる。
平成25年3月撮影。
→国登録有形文化財 かめびし屋(岡田家)3【東かがわ市引田】
←国登録有形文化財 かめびし屋(岡田家)1【東かがわ市引田】
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