聴覚障害者制度改革推進中央本部ブログ

ここは、聴覚障害者制度改革推進中央本部の公式ブログです。
(2010年4月16日付で、名称を変更いたしました)

■第12回 全国中途失聴者・難聴者福祉大会in万博・名古屋 大会決議文

2005年07月20日 | 報告
2005年7月16~17日、名古屋にて第12回全国中途失聴者・難聴者福祉大会が開催されました。この大会では「大会決議」を決議しました。
以下、全文を掲載します(文末にPDF版も置いています)。
=====
大会決議 (平成17年度・名古屋大会)

難聴者・中途失聴者が自立し、生活していくために「聞こえの壁」を個々のニーズに応じた方法で解消できるようここに決議します。

1.障害者自立支援法は、中途失聴・難聴者の社会参加を保障するものにして下さい。 
重度の人ほどあるいは積極的に社会参加しようとする人ほど負担の大きい応益負担に反対します。 
(説明)
   障害者自立支援法の細部にわたる要望は以下に展開し、基本的な問題について、要求するものです。

2.聴覚障害の認定の在り方の見直しを求めます。
ICF(国際生活機能分類)に基づき、難聴は生活の場面におけるコミュニーション障害であることの確認を求めます。
(説明)
   聴覚障害を医療モデルから生活モデルに変更することを求めるものです。
   障害の認定方法が変更されないため、障害者自立支援法が制定されても大部分の難聴者が支援の対象にならない問題があります。

3.難聴者に必要な補聴器と補聴援助システムの給付を求めます。
 難聴者が必要な補聴器の給付が受けられるように制度の改正と補聴援助システムを日常生活用具に取り入れることを求めます。
(説明)
   実際に難聴者が必要とする補聴器の給付が受けられるように実態に合わせた補聴器給付制度に改善することと日常生活用具に一つもない補聴援助システムの採用を求めるものです。

4.要約筆記通訳制度への転換を求めます。
中途失聴・難聴者の権利を保障する要約筆記通訳者の養成と派遣を全ての自治体で実施して下さい。
(説明)
   社会福祉法第二種事業としての要約筆記事業を全ての都道府県、市町村(特別区を含む)での実施を求めるものです。奉仕員事業から専門性のある通訳事業の転換を図ることで、中途失聴・難聴者の権利と要約筆記者の身分の保障に繋がります。

5.要約筆記の団体派遣を制度化して下さい。
中途失聴・難聴者の団体活動は障害の特性からも社会参加の重要な形です。都道府県の社会参加総合推進事業として実施して下さい。
  (説明)
   障害者自立支援法は、障害福祉サービスは個人に対する給付となるので団体派遣は対象になりませんが、中途失聴・難聴者は障害受容の上でも、同じ障害を持つ仲間と出会って、交流することが非常に重要です。

6.全ての障害者向けの放送を実施するガイドラインの制定を求めます。
字幕放送の義務付けと放送受信機のバリアフリー規格の制定を求めます。
(説明)
   総務省の字幕放送普及のための行政の指針は2007年度までであり、生放送などを除き、またNHK教育テレビやその他の放送の目標が明確でないことから2007年以降は法的な義務付けを求めます。また聴覚以外の障害者向け放送の実施のためのガイドライン作成、テレビの字幕受信回路内蔵の義務付けを求めるものです。

7.交通、防災、教育、娯楽施設や映画等のメディアのバリアフリー法制定を求めます。
(説明)
   タクシー・バスを含む交通機関、火災を含む非常時の災害防止、教育におけるコミュニケーション支援と環境整備、公衆の集まる劇場や娯楽施設の情報保障、DVDなど記録系メディアの字幕義務付けなどを求めるものです。
   教育への要約筆記派遣は制度の違いから、項を分けています。

8.国連障害者権利条約に、中途失聴・難聴者の権利の保障を含めるよう働きかけてください。そして、国内では国連と同様の障害者権利法の制定を求めます。
(説明)
   国連障害者権利条約の中に、字幕や文字による通訳、補聴器と補聴システムの整備などを条文に明記すること、そして国内では障害者基本法と別に、罰則のある障害者権利法の制定を求めるものです。

9.中途失聴・難聴者が関わる施策形成の場への当事者の参加を求めます。
各行政機関の設ける各種委員会に当事者の参加を保障して下さい。
(説明)
   障害者自立支援法の障害認定の審議会や障害福祉計画策定の場に当事者の参加を求めることと、各省庁または外郭団体の設ける委員会に全難聴の参加を求めるものです。


平成17年7月16日
社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会

【大会決議】(PDF版)

最新の画像もっと見る