当時摩擦と潤滑にかけては第一人者だった曽田範宗教授(1911-1995)の摩擦係数の話は興味深く聞けた。もちろん私が学生時代のことで、浜松まで足を運んで講演をしてくださったのである。卒業研究の根幹を成す摩擦の問題に大きなヒントをいただいたものだ。
ところで仙台市の青葉区と泉区の境界に水の森公園という古き良き仙台市を髣髴とさせる雑木林の奇麗な公園がある。その泉区側の駐車場脇に北側斜面となる緩やかな斜面がある。
雪が積もるとなかなか融けず、休日には市民とりわけ幼児をもつ家族が橇で遊べるゲレンデと化す。長さが40ないし50メートルであり、斜度も手ごろな緩斜面だから未就学児童にとっては天国だ。
とはいえ街中のゲレンデであるから、朝はカチカチに凍り、午後には腐った雪に変わる。すべりに適した摩擦係数が刻一刻変化するのである。さらにリフトやロープトウがあるわけではないから混雑してくると足跡によりゲレンデはボコボコになり、これも摩擦係数に影響を及ぼすのである。最悪の場合橇が滑らなくなるから、摩擦係数の適切な選択が必要だ。ゲレンデが荒れる午後は避けたほうがよい。
しかしそんな変化はお構いなしに幼児は寒さの中喜々として橇遊びに興じている。当家の孫はまだ立つこともできないのだが、大きくなったら是非このゲレンデで遊ばせたいものだ。(写真は水の森公園で遊ぶ子どもたち)
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