物理現象でよく「見かけの」という言葉を使う。できるだけ平易に自然現象を伝えようとする自然科学者の知恵の産物だ。
凡人にはわかりやすい。納得できたような気分になる。
例えば火星の逆行運動(見出しのアニメbyWikipedia)は、地球から見た相対的な火星の動きが怪しく移動することを見かけの火星の動きと言う。しかし絶対座標を用意して客観的に見ればそのようなことはない。
火星は怪しく動くことなく淡々と太陽の周りを等速で回っているのである。
さて最近の日本経済を見てみよう。
安倍政権が日本円をずぶずぶ投入した結果、円安が進んだおかげで輸出企業は軒並み業績向上となり、政府は強い日本経済が戻ってきたと小躍りしている。
まさに見かけの経済である。恩恵を受けるのは一部の投資家や投資をあおる信託や証券会社、大手の輸出企業。
しかし中学生でも「強い日本経済ってウソでしょ」と言う。
全体的に活況に見える。大金をずぶずぶ無定見に投入したのだから。しかし利益は一部の人にしか回らない。平均的には投入した大金の分だけプラスに転じたように見えるが、膨大な借金は果てしなく増えこそすれ減ることがない。
安倍政権は「今さえ良ければよいのだ。後世のことなど糞食らえ、俺の知ったことではないのだ。」と言っているようだ。全世界が日本のフクシマを心配しているのにまさかの厚顔無恥な原発輸出。国民はそのトリックに早く気づかなければならない。