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(メジャー18年でようやくワールドシリーズへとたどり着いたウォルター・ジョンソン)
ナ・リーグのディヴィジョンシリーズPhillies対Redsの第1戦に先発するロイ・ハラデイはメジャー13年目にして初のポストシーズン登板となる。
最多勝、サイ・ヤング賞など数々の栄光に輝き、今シーズンは完全試合も達成した現役最高の先発投手も、昨年まで在籍していたBlue Jaysが激戦のア・リーグ東地区でyankees、Red Soxの後塵を拝し、近年躍進してきたRaysにも追い越される形でプレーオフ進出に手が届かなかったため、大舞台に立つ機会に恵まれなかった。
ハラデイのキャリアにオーヴァーラップするのが、通算417勝(歴代2位、20世紀以降デビューの投手では1位)、メジャー歴代1位の110完封を誇る大投手ウォルター・ジョンソン(Washington Senators)だ。サイドハンドからの唸るような豪速球を武器に「The Big Train(人間機関車)」のニックネームを献上され、1910年から10年連続20勝以上、12回の最多奪三振など、あらゆる個人記録を手にしたジョンソンも、現役生活を全うしたSenatorsが弱小チームだったため、長い間ワールドシリーズには縁がなかった。
1920年には「飛ぶボール」の採用でベーブ・ルースを中心にホームラン量産時代に突入した影響もあり、連続20勝が10年で途切れて8勝に終わり限界説もささやかれたが、1924年、リーグ最多の23勝をあげて5年ぶりに20勝投手にカムバックすると、若き監督兼二塁手バッキー・ハリスの好采配や、主砲グース・ゴスリン、好打者サム・ライスらの活躍もあり、Senatorsはア・リーグ創立24年目にして初のリーグ優勝を果たした。
シリーズの相手は4年連続でナ・リーグを制していた名門New York Giants。地元グリフィススタジアムでの初戦に先発したジョンソンは
実に延長12回を完投しながら最終回に2点を失って3対4で敗れ、2勝2敗のタイで迎えた第5戦でも8安打6失点でGiantsに王手をかけれらてしまう。
第6戦でSenatorsがタイに追いついて迎えたグリフィススタジアムでの最終戦は、Senatorsが4回に1点を先取すると、Giantsが6回に3点を入れて逆転、8回裏にハリス監督が自ら2点タイムリーを放って同点に追いつくと、9回からジョンソンがマウンドに立ち、4イニングスを5奪三振の無失点に抑え、両チーム譲らず延長戦に突入する。
12回裏、Senatorsは相手の2失策に乗じて一死一、二塁のチャンスを迎えると、リードオフマンのエド・マクニーリーがレフト線へのタイムリー二塁打を放ってサヨナラ勝ちを収め、勝利投手となったジョンソンはワールドチャンピオンの座に輝いた。実にメジャー生活18年目でようやくたどり着いた「頂点」だった。
保留条項に選手の身分が縛られていたジョンソンの時代に比べ、FA導入後選手の移籍が活発となった現在のメジャーリーグで、ハラデイが13年目にしてようやくポストシーズンに初登板を果たすのは遅い部類に属するだろう。
分業制が当たり前となった時代にあって、毎年リーグトップの完投数を争うなど、ジョンソンやクリスティー・マシューソン、クローヴァー・アレクサンダーらがしのぎを削った“Pitcher's Era”の雰囲気を漂わせるハラデイが、初のひのき舞台でどんな快投を見せるか、大いに注目していきたい。
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