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「打者走者は初芝」が徹底されていれば……

2005年10月18日 | Baseball/MLB
メジャーのホワイトソックスに続き、日本のパ・リーグでも千葉ロッテマリーンズが31年ぶりのリーグ優勝を果たした。ペナントレースでは勝ち越しており、ホークスとは常に互角に渡り合い、試合内容も素晴らしかったから、もうこの優勝にケチをつけるつもりはない。プレーオフ制度の是非は、これから連盟や各球団が話し合う問題である。それにしてもマリーンズとホワイトソックスは、ユニフォームもそうだが(もともとマリーンズがデザインを真似しているのだが)、チームカラーがよく似ている。傑出した選手はいないが、チームとしてのレベルが高く、面白い試合を披露している。

さて、2年連続で涙を飲んだホークスだが、やはり初芝が打席に立った場面がカギだっただろう。三塁のバティスタとショートの川が交錯して初芝を生かしてしまったのだが、当たりは三遊間への強いが平均的な当たり、しかも打者走者が球界屈指の鈍足として千葉の子供なら誰でも知っている(?)初芝であることを考えれば、あれは三塁手に捕らせる打球である。初芝を出塁させてしまったことよりも、あの場面では(軽傷だったとは言え)バティスタと川がそれぞれ負傷して、ピッチャーの心理に不安要素を与えたことが大きかった。
「打者は初芝=鈍足」→「打球は三遊間に飛んだが抜けるような打球ではない」→「打者走者・初芝の足なら三塁手が送球しても十分に間に合う」
このことが初芝が打席に立った段階からホークスの守備陣に徹底されていれば、川があの打球にしゃしゃり出てくる必要はなかったのだ。たらればは禁句かもしれないが、もし城島が出場していたら、すかさず三遊間に指示を出して、初芝はアウトになっていたかもしれない。もちろん初芝の激走は素晴らしかった! 激賞ものである!
野村克也氏の「ID野球」は、もちろん実際はもっと高度な内容だが、基本はこうした「事前の情報収集・分析の徹底」である。ノムさんはちょっとひねくれてものをいう部分があって、それが反発を招くこともあるが、こうしたことを分かった上で彼の解説を聴くとやはり面白い。

4試合目からようやくテレビ東京が実況したが、視聴率は昨日が17%! 最初から放送していれば、もっと盛り上がり数字も上がったのではないか? それでもテレ東の英断には拍手を送りたいが。ただ、ほんの10分ほど(野村克也氏の解説)を除いて、私はスポーツアイESPNで中継を楽しみました。スカパー!のパートナーである節丸裕一さん、そして元NHKの島村俊治さんの放送は安心して聞ける。島村さんはオリンピック放送など数多くの名実況で知られる人で、私自身、NBAはこの方の放送でなじんだようなものだった。島村さんも節丸さんも、民放地上波のアナウンサーに比べると声のテンションが落ち着いているのが本当にありがたい。

それにしてもマリーンズは、もっと早くペナントを奪回できたのではないか? 前年まで万年Bクラスだったチームを就任1年目で2位に引き上げた監督を解任した、あのメガネの「総監督」のご乱心さえなかったら……。日本球界にGMやプロのフロント定着の流れを遅らせた、あのオッサンの罪は本当に重い。殿堂入りを剥奪してやりたいくらいである。


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