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「復興支援ロゴ」が物語る、被災地支援の「知恵」なき日本プロ野球機構(NPB)

2011年04月16日 | Baseball/MLB

(社会的事業に貢献するための「現金」を生み出している「ジャッキー・ロビンソン・デイ」の記念ロゴ)

 

 日本プロ野球機構(NPB)が震災復興支援のシンボルとして発表し、全12球団の選手たちが着用するヘルメットに貼られている「復興支援エンブレム」なるものを見て、「ヤル気あるのか?」と感じた野球ファンは私ひとりだけではないだろう。

 NPBロゴのバット&ボールを「!」マークにあしらうだけの仕事だったら、小学校低学年の生徒でもできる。

 大事なのは「精神」であって、「形」ではない、と「やっつけ仕事」をした連中はほざくかもしれない。だが、こうしたロゴもきちんとしたものを作れば「お金」に代わり、それを復興支援に回すことができるのだ。

 今回とケースは違うが、4月15日はメジャー初のアフリカ系アメリカ人プレーヤー、ジャッキー・ロビンソンが1947年にBrooklyn Dodgersの一員としてデビューした日で、これを記念してMLBでは「ジャッキー・ロビンソン・デイ」を全球場で開催し、記念ロゴも作られている。

 DodgersのHPを閲覧すると、ワッペンのほか、ロビンソンの背番号「42」入りのTシャツ、フォトフレームなど数多くの商品が販売されており、売り上げの一部はチャリティーに寄付される。
http://shop.mlb.com/family/index.jsp?categoryId=3571313&cp=&view=all

 

 報知新聞社のMLBデスク蛭間豊章記者のBlog「Baseball Inside」には、4月3日付で「出遅れプロ野球、ロゴマークで支援を」のエントリーが掲載されたが、「NPBの12球団統一ロゴマークは簡潔すぎてダサい。今必要なのはお金です。お金を生まない支援は支援と言いません。支援していますよ、というポーズに過ぎない」との手厳しいコメントが寄せられている。

http://weblog.hochi.co.jp/hiruma/2011/04/post-2bb9.html#more

 

 NPBは一部球団の親会社・関連会社であるメディア企業に遠慮して、日本シリーズ放映権に「推薦局制度」なるものを設け、その結果、公式戦、オールスターゲーム、プレーオフ、日本シリーズをパッケージにして「独占放映権」として売却することができず、そのうち近年の不況のあおりで民放キー局がプロ野球中継に消極的になり、昨年の日本シリーズは全試合の全国放映ができない事態に陥った。このことが象徴するように、NPBは商標権や放映権のビジネスを「現金化」して、財務強化を図る発想や知恵が根本的に欠落しているし、それは現コミッショナーや廃止された両リーグ会長職をはじめ、歴代の機構幹部や職員の多くが「天下り」によって占められてきたことが原因のひとつであったことは間違いない。

 先日の開幕戦騒動に象徴される「KY」ぶり、使えない「復興ロゴ」しか生み出せない知恵のなさ、そして親会社の宣伝媒体から脱しきれない「公共性」の欠如──NPBに巣くう欠陥体質の大本をたどると、某人気球団の資産価値を20年足らずの間に激減させた「あの男」に行きつく。何度も当Blogで主張してきたが、一般の企業ならば、これほど自社・関連会社の資産価値を減少させた経営者は間違いなく取締役を解任されるし、場合によっては株主代表訴訟の対象にもなるだろう。

 NPBの「KY」や「知恵のなさ」、「公共性の欠如」は、やがて日本におけるベースボールの「国民的娯楽」としての地位を揺るがしかねない事態を招くことになりかねないと、「ダサくて使えない復興支援ロゴ」はまさに物語っているのだ。

  

 

 



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