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「カネムラさん」にされちゃった!「400勝投手」金田正一

2006年02月14日 | Baseball/MLB

(後輩の内海に「カネムラさん」と呼ばれ、勝ち星も「300何勝」に減らされてしまった?金田正一氏)

昨日、読売ジャイアンツの宮崎キャンプを訪問していたOBの広岡達朗氏が、ファームの練習を中断させて延々と選手たちを叱責する光景があったという。
その直前、同じくOBで400勝投手の金田正一氏と原辰徳監督が談笑していると、ウォームアップを終えて近くを通りかかった内海哲也に原監督が「この人誰か知っているか?」とたずねたのだが、内海は「はい、金村さんです」と即答してしまったという。さらに原監督が助け舟を出すつもりで「何勝したか知ってるか?」と聞くと、今度は「300何勝ですよね」とさらに恥の上塗り! しかし「300何勝」なんて中途半端な数字を答えるくらいなら、内海も切りのいい所で「400」って応えればよかったのに、ない頭を無理して絞るから、かえって墓穴を掘ったのだろう(笑)。さすがに原監督も恐縮しまくって、内海の頭をポカリとやったそうだが。
この光景を見て怒ったのが当のカネやんではなく広岡氏で、なぜ内海当人でなかったのかはわからないが、ファームの選手たちを集合させ、延々とお説教に及んだという。
「世代の違いで済まされる問題じゃない。歴史に対する不勉強にも程がある。過去に立派な人がいて巨人軍は発展してきたんだ!」
「(読売ジャイアンツの創業者)正力松太郎氏は『巨人軍は常に紳士たれ』を遺訓としてチームに残したが、紳士たる者は先輩に対して敬意と理解を深めなければならないぞ!」

まあ、よりによって間違えたのが400勝投手、殿堂入り野球人、そして何よりもジャイアンツの永久欠番「34」の金田さんだから、広岡氏が怒る気持ちも十分理解できる。
ただそうした「歴史軽視」の傾向は大巨人軍には何十年も前からありましてね。たとえば桑田真澄が沢村賞を受賞したとき、記者に沢村栄治の永久欠番となっている背番号を聞かれて「4」と答えたり(正しくはもちろん「14」。「4」は同時期に永久欠番になった黒澤俊夫の背番号)、槇原寛己も54から「17」に背番号が変わったとき、その番号が戦前は日本初の100勝・200勝・300勝投手のヴィクトル・スタルヒン、戦後は日本初の完全試合投手・藤本英雄がつけていた栄光の背番号だってことを知らなかった。そうした「歴史忘却主義」は球界、メディア、ファンの間で蔓延しているが、詳しくは私のサイトに掲載している論文「右打ちのシューレス・ジョー~日本の『野球史観』を考える」に書き連ねているので、ぜひご一読を!
http://www.k2.dion.ne.jp/~ryoscafe/sub8.htmにアクセスして題名をクリック。PDFファイルです)。

しかしですね、私が思うに、広岡氏が本当に叱るべきなのは、やはり渡邉球団会長以下、読売球団のフロント連中だと思う。そもそも「名門巨人」ともあろうものが、新人選手が入団したとき、どうしてチームの歴史や永久欠番になっている、あるいは殿堂入りをしていたり、チームに貢献しているOBたちの業績をきちんと研修のような形で教えられないのか。まして、金田投手のように永久欠番にまでなっている選手を、入団して3年にもなる選手が知らないというのも問題だろう(報知新聞のサイトにきちんと掲載されているのにね)。これがメジャーの球団だと、有力OBがフロントや専属ブロードキャスターなど何らかの形で引退後もチームに関わっていることが多いし、またヤンキースなど歴史のある球団は毎年必ず「オールドタイマーズデイ(OB戦)」を開催している。その日はグラウンドでの練習を行なわずに、OBの紹介と彼らによるゲームが行なわれ、OBと現役選手の交流の場にもなり、ファンも大いに喜んでいるわけだ。「球界の盟主」を気取るなら、なぜそうしたことを率先してできないのだろう。
まあ今回「救い」だったのは、カネやん自身がルーキーの辻内を「杉内」と間違えて、清水にたしなめられたって「オチ」がついたこと(笑)

しかし内海の「野球バカ」ぶりも相当問題だ。実は内海を中学時代に教えていた人物というのが、このBlogでも取り上げた、京都・京田辺市で13歳の少年を熱中症死に追いやり、両親から告訴された少年野球チームの総監督である。ただただ非科学的で狂気じみた猛練習を科すだけで、ベースボールという競技と、それを築き上げてきたパイオニアたちへの敬意を教えることができず、またプロ野球選手に必要な「野球知能」を仕込むこともできなかった(内海が大器と言われながら大成できないのはまさにそれが最大の原因である)という、指導者としていかにその中身がカラッポの人物であったかを改めてうかがい知ることができた。まさに「この師匠にしてこの弟子」ではないだろうか。そんな彼に飛躍のきっかけを与えられる素晴らしい指導者、たとえば斎藤雅樹にとっての藤田元司氏のような人物(もちろん今年からコーチに復帰した斎藤自身がその役割を果たしてくれれば最高なのだが)との出会いがあることを、内海のためにも願ってやまない。(あと、個人的には今日のネタを提供してくれてありがとう。心から感謝しています)

(追記)

田村大五さん(ベースボール・マガジン社顧問)がBBM社ウエブサイト上に連載中の「Web版 白球の視点」で、この話題を取り上げています。下記アドレスから「Web版 白球の視点」にアクセスしてみてください。

http://www.bbm-japan.com/wb/

 



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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ま、教育してくれれば (Ryo Ueda)
2006-02-23 23:18:35
一応、巨人軍における「歴史のお勉強」の大切さを、少なくとも原監督は十分に理解したようですね。

内海がカネやんや杉下さんを「知らない」ことよりも、とにかくフロントがきちんと分かるように教育しておかないのが良くありませんね。

選手会の松原事務局長には、新人選手の研修の一環として、野球体育博物館の見学を取り入れたらって提言をしたことがあり、ご賛同をいただいています。そういえば松原さんは、BSの討論番組で一緒になった元投手K氏(当ブログ参照)に怒り心頭だったそうです。そりゃそうだよな(笑)。
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内海投手に追試 (urata ryoichi)
2006-02-23 17:57:53
面白い報道がありました。かねむら騒動の次に、キャンプを訪れていた杉下茂、小松辰雄氏を原監督が 「誰だか知っている?」と聞いたそうです。知らないで顔を真っ赤にして逃げ去ったそうです。

あとから、「過去の選手の顔写真などで、勉強していたのだが載っていなかったんですよ」とコメントありとか。まあ、勉強していたんですね。

どんな資料に目を通していたかしらないが、杉下氏は巨人のコーチをしたこともあるのに、載っていないのですかね。資料の見直しをして欲しいですね。しかし、往年のスタープレヤーを、今見ると、「えっつこんな小柄だった?」と訝ることもあり、孫くらいの年齢差もあると、難しい点もあり、今は内海君に多少同情もしています。

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あぶないな(笑) (Ryo Ueda)
2006-02-21 15:30:24
私よりもずっと若いんですけどね。もう「中身」は80台かもしれません(笑)。私を含めたスカパー!コメンタリーの「若手組」は全員鍛えなおさないといけないでしょうね(笑)。
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宮崎行って来ました (jeter)
2006-02-20 20:45:19
節丸サン、放送席入りするとき、階段に足踏みはずし

そうになりながら働いてました。(笑)
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TBありがとうございます (破壊王子)
2006-02-17 01:06:10
ものすごーく内海に好意的な見方をすると(こんなことで頭が真っ白になる彼のメンタリティ=プロとして如何なものかとは思いますが)金田正一と澤村栄治を混ぜちゃった可能性が・・・広岡氏の終身打率くらいの確率ですが・・・あるかもしれません。

カネやんはもう「ヘルベルト・フォン・カネヤン」と名乗ってもいいくらいの人物です。週刊ポスト限定巨人軍全権監督の名前は間違えちゃいけません。
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おっしゃるとおり (Ryo Ueda)
2006-02-16 20:50:31
>カネやんみたいな”おもろくて訳の判らない”おっさんを知らないというのは、タイガースの川藤氏やムッシュを知らないのと同じ位、人生を損している様にも自分は思います(笑)。



まったくおっしゃるとおりだと思います。

チームプレーヤーとしての金田投手(国鉄時代)はとても理想的なチームリーダーとは言いがたく、チームへの勝利に貢献したという点では断じて稲尾投手のほうが上です。

ただ、個人プレーヤーとしての金田投手はある意味、ONでさえ足元に及ばない存在でもあります。実際、性格が記録が残っていないニグロリーグなどを除けば、通算400勝以上をマークしたのはサイ・ヤング、ウォルター・ジョンソン、そして金田投手の3人しかいません。

星飛雄馬、藤村甲子園、番場蛮、宇野球一(アストロ球団)、水原勇気と野球漫画の主人公にサウスポーが多いのも完全に金田さんの影響です。

たまたま一昨年、金田投手についての原稿を書く機会があったのですが、現役最多勝投手の工藤公康が生まれた1963年のシーズンに300勝を突破したり、とにかく彼の作った記録はいずれも桁外れ。開幕戦で長嶋が4打席4三振を食らった1958年も、勝率を除く最多勝、防御率1位、奪三振王、最多完封の投手4冠に輝いたまさに絶頂期だったのですから、いかに超大物といえどもルーキーの長嶋が太刀打ちできる相手ではなかったわけです。ミッキー・マントルも日米野球で三振に討ち取られていますしね。

まあ高所から見下ろすような言い方(特に広岡氏のような=笑)は私もあまり好きではありませんが、それでも野球に限らずいろいろな業界のパイオニアを軽視する傾向が日本の社会に強いのはいいことではないですね。どんなに昔の人でもすごかった人はすごい! サッカーの世界だって未だに釜本を上回るストライカーは生まれてないわけですから。彼の全盛期を知っている者として言わせてもらえば、アレだけ点が取れるフォワードなら「人格」なんかどうでもいいやと(笑)。まあでも三浦カズやゴン中山の全盛期でも及ばない存在だったのは確かです。
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広岡氏怒る! (giants-55)
2006-02-16 20:28:42
初めまして。書き込み及びトラックバック有難うございました。



この件、賛否両論というよりも、広岡氏に対して否定的な御意見が多かった様に、ブログを廻っていて感じました。「老害だ!」とか「OBという事で威張りたいだけでは?」といった御意見も見受けられました。自分が若かりし頃、年配の方から頭ごなしに物事を言われたりして、「偉そうに威張るな!」と良く思っていましたので、そういった気持が在るのは理解出来ます。



唯、年配の意見を全て相容れないものとして却下してしまう風潮も疑問を感じています。例え人間性や思考が合わない相手で在っても、"取り敢えずは”聞く耳を持ち、やっぱり駄目な意見なら却下する。中に良いと思われるものが在れば、自らの肥やしにするといった、柔軟さが必要なのではないかと、自分の反省も含めて感じます。



歴史認識って重要だと思うんです。威張りたいだけのOBの”戯れ言”には耳を閉ざし、そうではない有益な意見には耳を開く。過去の名選手からは得られるものも少なくないと思うんです。「古いもの(考え方)=全て駄目」というのではなく、今もプロとして生きて行く為には有益なノウハウが在ると思うし、一見古くて今は役に立たない様な意見でも、それを上手くアレンジ(換骨奪胎)して、今に活かすという方向性も在りなのではないかと。



そして、何方かが書かれていたのですが、カネやんみたいな”おもろくて訳の判らない”おっさんを知らないというのは、タイガースの川藤氏やムッシュを知らないのと同じ位、人生を損している様にも自分は思います(笑)。



又、広岡氏が怒るべきはナベツネを始めとしたフロント連中ではないかというのは、全く同感です。唯、広岡氏はマスメディアを通じてかなり辛辣にナベツネ批判をしているOBの一人の様に思います。



後、柴田氏の件、情報在り難うございました。流石にV9の記憶は晩年の頃をボンヤリ覚えている程度なので、こういった情報は非常に貴重ですし、在り難く存じます。



柴田氏は江夏投手に滅法強かったんですね。あれだけの大投手に強かったのに、一度もシーズン打率が3割を越したことが無かったというのも、これ又不思議な所では在ります。



柴田氏が調子に乗って発言し、”ドン”に一喝されたというのは然も在りなんという話で笑ってしまいました。柴田氏は、ポーカー賭博で捕まった際、その謝罪会見にウサギがニンマリ笑っている”トランプ柄”のセーターで登場したという、実に”御笑いセンス”に秀でた方ですから(笑)。



これからも、色々御教示の程宜しく御願い致します。
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sadakun_dさま (Ryo Ueda)
2006-02-16 14:30:09
でも、たとえばヤンキースの投手が、永久欠番になっていて殿堂入りもしているホワイティ・フォードが球場に来ているのに「GMさんですか?」ってことはあまり考えられないんですよね。ヤンキースタジアムのあちこちには球団の歴史を示すモニュメントも多いし、メディアガイドにも詳しく掲載されている。ベースボールっていうのは「過去・現在・未来」が連綿とつながっている文化ですから。たとえは変かも知れないけど、「ウルトラマンマックス」見ている子供でも初代ウルトラマンやセブンは知ってるでしょ?
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巨人の歴史と生き証人 (sadakun_d)
2006-02-16 13:07:37
内海投手、がんばって、300勝してくれよ。このトラブルが、きっかけで、猛烈に投げまくるとか。



巨人の歴史どうのこうのも、広岡だから、ぶつくさと、言うんだけど、他人なら、「やいやい、最近の若いやつは!」で、おしまいですよ。



また、巨人の選手、練習で、手一杯じゃないのか。そんな「頭を使う、巨人の歴史」だなんて、いやがるだろうね。コアな巨人フアンでないかぎり。
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原さんはらはら (おりがみ)
2006-02-15 08:41:54
こんにちわ。

別にプロ野球選手に歴史と時事ネタの筆記試験をしろとは申しませんが、これはあまりにもお粗末な出来事ですね。

内海君、そしてカネやんも・・。





どんなに周りにチヤホヤされても「おれはマダマダなんだ」という自分に対する厳しさを持つ事は大事です。いい意味での自尊心と謙虚さを持てる子に育てたいものです。親も指導者も。



なにしろ身を置く世界のトップがしょーも無いのでねぇ・・。
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