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「ガケっぷち」の清原が迫る大記録とは?

2005年12月22日 | Baseball/MLB
清原和博は、来季オリックスでプロ20年目のシーズンを迎える。DH制があるとはいえ、毎年のように故障に見舞われ続けている近年のことを思えば、「復活」は決して容易なことではないだろう。
ただ、清原には残された、そして絶対に達成して欲しい大記録がある。
今シーズンを終えて、清原は通算1491打点を記録し、「1500」にあと「9」と迫っている。
最近はOPS(出塁率+長打率)やRC(得点創造力)など、打者の実力を測る目安も新たに出てきたが、それでも「打点」がチャンスに強い打者の代名詞ともいえる部門であることは、まあ揺るがないだろう。
通算1500打点は、日本のプロ野球史上、次の選手たちしか達成していない。
1)王貞治(2170) 2)野村克也(1988) 3)門田博光(1678) 4)張本勲(1676) 5)落合博満(1564) 6)長嶋茂雄(1522) 7)大杉勝男(1507)清原はこの7人に次ぎ、歴代第8位に名を連ねている。広島の黄金時代を支え、ともに通算500本塁打を達成している山本浩二(1475)、衣笠祥雄(1488)でさえ、この1500クラブには入会していない。また現役で清原に次ぐ打点をマークしているのは、金本知憲の1023(24位)、田中幸雄の1003(25位)、古田敦也の1001(26位)だから、大物が次々とメジャーに移籍する近年の傾向を考えても、清原のあと1500打点を超えられそうな打者は当分お目にかかれないかもしれない。

メジャーでもまた、「1500」は大変な数字だ。今季が終わった時点で、メジャーの歴史上、1500の大台を達成した選手は、1位のハンク・アーロン(2297)、2位のベーブ・ルース(2213)を含め(ただし、「打点」の概念がなかった19世紀に主にプレーした2076打点のキャップ・アンソン1575打点のジェイク・ベックリーは除く)41人を数えるが、そのうち、アーロン、ルース、ルー・ゲーリッグ、スタン・ミュージアル、タイ・カッブ、ジミー・フォックス、エディ・マレー、ウィリー・メイズ、メル・オット、カール・ヤストレムスキー、テッド・ウィリアムズ、デーブ・ウィンフィールド、アル・シモンズ、フランク・ロビンソン、ホーナス・ワグナー、レジー・ジャクソン、トニー・ペレス、アーニー・バンクス、グース・ゴスリン、ナップ・ラジョイ、ジョージ・ブレット、マイク・シュミット、ロジャース・ホーンスビー、ハーモン・キルブリュー、アル・ケーライン、ウィリー・マッコビー、ウィリー・スタージェル、ハリー・ヘイルマン、ジョー・ディマジオ、トリス・スピーカー、サム・クローフォード、ミッキーマントルの32人が殿堂入りを果たし、まだ殿堂入りを果たしていないアンドレ・ドーソンもおそらく向こう数年のうちにはメンバーに連なるだろうし、まだ資格のないカル・リプケン、ハロルド・ベインズ、フレッド・マグリフ、現役のバリー・ボンズ、ケン・グリフィーJr.、ジェフ・バグウェルも確実もしくは有力で、ラファエル・パルメイロとサミー・ソーサはヤバいかなと(笑)、とにかく1500打点はほとんどイコール殿堂入りの切符を意味しているのである。

日本のメディアは、そもそもONでさえ初年度殿堂入りさせなかったほどおろかな記者たちが投票資格を持っているので、落合が選ばれても名球会みたいに拒否するんじゃないかと(笑)心配してしまうのだが、そもそも松井秀喜が2004年に日米通算1000打点を記録したときも、ほとんどそのことを取り上げるメディアはなかった。今回も、新聞やテレビの報道で清原について、「あと9に迫った1500打点」を紹介する媒体は、私の知る限り皆無である。
本人の傍若無人な態度にも少なからず責任はあるのだが、それにしても調子のいいときはそうした振る舞いをたしなめることもなくおだてるような記事ばかり書いて、それが不振に陥ったり、ケガに見舞われると「落ち目の三度笠」とばかりに叩きまくるメディアの論調には非常に腹立たしいものがある。ピアスがどうのと書きたてる前に、どうしてこれほどすごい記録に清原が迫っていることを、1行でも紹介してやろうとしないのか? 「1500」という数字のすごさを知っている記者が少なすぎるとはいえ、清原はまことに気の毒な環境で野球を続けてきたのだと思わざるを得ない。
オレが清原に言いたいのは、「君はFA資格を得たとき、野茂を追ってメジャーに行くべきだった」ということなのである。


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2 コメント

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打点のこと (urata ryoichi)
2006-02-13 17:35:07
気持ちのよいコメント有難うございます。

日本のスポーツ記者のレベルの低さは驚ろくべきで、三流芸能記者並みの感覚しか持っていないのではないのかと、いつも思っていましたが、すかっとしました。

清原が好きとか嫌いとかの論議の前に、プレヤーとしての実力をなぜ、正しく評価しないのか。しないのなら、野球以外のことを書くなよと思っています。



知り合いのベテラン記者から、「門田が、甲子園球場に

入る時に、だれも大選手だったことに気がついていないのは、淋しいね」と聞いたことがあります。マスコミが取り上げる選手だけがすぐれているのではない・・・という視点がもっとあっていいです。

今回のようなコメント楽しみにしています。
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Unknown (Ryo Ueda)
2006-02-13 17:55:42
こちらにもコメント、ありがとうございます。

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