高速バスに乗った。
乗る前に 嫌な予感 がしていた。
乗り場で出発時間の大分前から、 酔っ払いのおじさん が座っているのだ。
寝ている のか うなだれている のかはわからないが、明らかに異常。
出発迄はまだ時間が有ったので私はお茶をして時間をつぶしたのだが、
出発時間が近づき乗り場に向かうと、そのおじさんはまだ座っていたのである。
おいおい、乗るの?(涙)
並んでいる他の乗客達も不安そうだ。
おまけに酔っ払っているのだかよくわからない、他のおじさん迄隣にいて
訳のわからない事を話している。
いよいよ乗る予定のバスが来たが、私はこのおじさんは当然 乗車は拒否される のだと
思っていた。
運転手さんは
責任が取れない事 助けてあげられない事 何かあったらどうしようも無い事
等を言っていたが、一緒にいたおじさんが余計な事に
自分が付いているから大丈夫
だと言うのだ。
そりゃ、この人にとってこれしか帰る方法が無いのだろうし、しんどいのを我慢
して長い時間、ずっと待っていたのもわかる。
だけど、一緒にバスに乗る者にとっては恐ろし過ぎる。
黙って乗って寝ていてくれればいいけど・・・ そう思った。
運転手さんがとうとう折れた。
・・・折れないでくださいよ(涙)
おじさんはバスに乗ろうとしたが、乗る事が出来ない。
足がふらついて力を失い、一人で乗れないのだ。
こんな人を乗せたって、降ろしてその後倒れたらどうするのだろう?
だから、乗せる事が間違いじゃないの?
自分で歩けるならまだしも、バスに一人で乗れないんだぞ
おじさんは一番前の、運転席のすぐ後ろに座った。
ビニール袋を持たされて・・・。
はっきり言ってこれだけで苦情ものだと思う。
本数があったら、私は迷わず次のバスにしただろう。
だけど、目的地まで距離が有る上に本数が少ない。
JRで特急を使う事も考えたが値段も大分違うし、バスの方が時間帯によっては早い。
そして何よりバスは割安で楽なのだ。
この判断が私の間違いだった。
お金がかかっても特急に乗れば良かった。
バスが発車した。
高速に入ってしばらくすると、おじさんが
もぞもぞと動き始めた
運転手さんがマイクを通して慌てて止める。
一人で歩けないおじさんが、運転中のバスの中を歩ける訳が無いのだ。
トイレ行きたいの? 気持ち悪いの?
おじさんは何回かこの動作を繰り返す。
その度に運転手さんがミラー越しに注意する・・・ 高速を運転中ですよ?(涙)
注意されるとおじさんは大人しくなる。
しかし、すぐに又もぞもぞを始める。
お客さん、駄目だよ・・・ 禁煙だよ
煙草を吸おうとする。
おじさん、頼むから止めて
心の中で どきどき していた私。
おじさん、勘弁してくれ
ちょっと怒りがこみあげてきちゃった私。
おやじ、いい加減にしろよ~っ!
私は叫びたくなった。
一緒にいるから大丈夫と言ったおじさんだって、何が大丈夫なんだ?
隣の席に座っていて押さえる訳でもない。
酔っ払いおじさんと通路を挟んで座ってシートベルトをしたら、私達と同じ
全然関係の無い ただの乗り合わせた人
じゃないの。
乗せたのが間違いだ。
運転手さんは
乗車拒否
が心配だったのかもしれない。
だけど、乗り合わせた乗客は皆、
命が心配なんですけど(号泣)
高速をかっ飛ばしている時に何度もミラーを見て、話をされていたら
ドキドキもんですよ。
運転手さんも被害者だろうけれど、これはいくら何でも無いだろう。
私は高速運転中は、生きた心地がしなかった。
高速を降りた時のあの安堵感。
企業に苦情の電話と言うものを、ほとんどした事がない私だが・・・ さすがに
後日、家に帰って高速バスの会社に苦情の電話を入れたのだった。
運転手さんも今回は被害者だろうけれど、ああいうのは乗せないで欲しい
と。
乗車拒否の事も有るだろうし色々と判断に困るだろうから、そういう事例は
出来ればマニュアル化してください
とお願いした。
今度ああいう場面に遭遇したら、私は迷わず特急に乗る。
しくしく。