何かの義務感に押され、衛兵2はりんの尾行を続けている。
衛兵2『・・はぁ・・ぜぇ・・はぁ・・(・・まだ着かないのかな・・・)』
そもそもはプレゼントを渡してご飯を共にしようという目的であったが、もはや渡すタイミングを失い、自身が持っていた不安材料を確認する為だけに行動しており、その足を逆向きに変えることはできないでいる。
普段からファンブルグ兵員訓練所にて日夜汗を書いている体力はあったが、それを上回るりんの歩きの早さや足腰の強さに衛兵2は驚くばかりであった。
衛兵2『(すごいなぁ・・・木こり師さんてみんな足腰こんなに強いのかなぁ・・)』
不慣れな踏み場や通常の何倍もの歩くスピードにももが悲鳴をあげはじめている。徐々にりんとの距離も開きはじめていた。
衛兵2『・ぜぇ・・はぁ・・ぜぇ・・はぁ・(・・まずい・・・どんどん離れていく・・)』
足があがらないほどに限界を迎え、りんを見失いかけていたそのとき、木造の一部屋ほどしかないであろう小さな家が見えてきた。
衛兵2『(ぁ・・やっと見えてきた・・・あそこかな・・)』
りんの歩く方向はその向かった先の建物が目的地であると語っている。
近づくにつれ、りんのきれいな風貌とは不釣合いなかなり古びた家が見えてくるのだった。
その小さめの家は壁にはつる草がへばりつき、周辺の雑草もとくに手入れをすることもなく、まるで物置のような佇まいである。
衛兵2『・・ここは・・家じゃない?・・・・・・隠れ家・・・?』
衛兵2は直感でそう感じたのだった。そしてりんの迷うことのない歩みから何度も足を運んでいることが伺えた。衛兵2は見つからないよう木々に隠れ、りんの様子を見ている。
衛兵2『・・・ゴクッ・・・。』
りんは慣れた手付きで腰程に伸びている生い茂た雑草を手でかき分けてノックをすることもなくその家に入っていった。立て付けが悪いのかドアは隙間風が入るほど傾き、その大きな開閉音は離れた場所にいる衛兵2の耳に入ってきている。
ギギ・・・ギィィィィィィィ・・・・・バタンッ・・・
衛兵2『(・・やっぱりあの家が目的地だったんだ・・・)』
憧れの人の何かを知ってしまいそうで帰ろうかさい悩まされていたが、衛兵2はとうとうりんの目的地である場所まできてしまっていた。
すると僅か一分ほどのあっという間の短い時間でまたりんは家を出てどこかに向かい歩き始めている。
衛兵2『(ぁ!!もう出てきた!・・・荷物を取りに来ただけ・・?)』
荷物を背負い、先程とは違いかなり急いでいるように小走りで来た方角とは逆向きに進み、ほんの一瞬で目に見えないところまで行ってしまっている。
衛兵2『(は・・はやい><;)』
すでに衛兵2には追いかける体力が残っていなく、もう諦める他なかった。隠れていた大きな幹の木に背中をずるようにもたれかかりながら地面に尻餅をついている。
衛兵2『は~・・・行っちゃった・・』
衛兵2の頭の中にはいろいろな感情が巻き起こっている。
プレゼントを渡すことができなかった自己の弱さへの嫌悪感。
結果的に尾行してしまっている罪悪感。
りんは何しにここへ来ているかの疑問感。
なぜこのような不便な場所に住んでいるのか。
もしくは誰かがあの家にいるのか。
そもそも住まいとしている場所なのか。
数多い疑問を解決する方法はひとつ。
衛兵2は、りんがどこかへ行ってしまったその建物の中を無性に見たくなってきてしまったのであった。
衛兵2『・・・・・。』
その今にも壊れてしまいそうな古びたドアを見つめ、悩んでいる。
衛兵2『(・・ぃゃ・・・もう今日は帰るべきかな><;・・・でも・・気になる・・・ちょっと見るだけなら・・)』
帰るべきだという思いを持ちつつも、その足は恐る恐るりんの行った建物へ向かってしまっているのだった。
衛兵2『・・・・・・。』
重い足どりでありながら、何某かの疑念を打ち払う気持ちは強く、すぐに建物近くまで来る事ができている。近くで見ると老朽化が激しいものだとわかることができた。
継ぎはぎのような立て板が何枚も敷き詰められてひとつの壁になっており、あらゆる草に覆われていることがわかった頃には、衛兵2はすでにドア前に辿り着いてしまっていたのだった。
衛兵2『・・・・きちゃった><;』
木造の独特な匂いと周りの生い茂る草の香りを嗅ぎながら衛兵2はドアと壁の隙間を見ようか見まいか悩み、暫く黙り込んでいる。
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第壱百弐拾七話のここからの推奨BGMです。
http://jp.youtube.com/watch?v=d6_QiD2CbQI
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衛兵2『・・・・・・・・。』
衛兵2『・・・・・・・・・・・・・。』
衛兵2『・・・・・・・・・・・・・・・・・・><;』
いけないとわかっていながらもドアと壁の隙間に目を凝らすように中を見てみるのだった。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・。
夕過ぎの弱い光が建物の隙間や窓から入るのみで暗くうまく中を探れない。
腕や顔にまとわりつく蚊を払いのけながら必死に目を細めて見てみると、そこには人の気配はなく、何か物がたくさん置かれていることだけは見て取れた。
衛兵2『・・誰もいない・・・何かたくさん置いてある・・・・・なんだろう・・・。』
しかしその物が何であるかわからないでいることに苛立ちを覚えながら、ドアノブに
手をやるとなんと鍵はかかっていないことがわかったのだった。
衛兵2『(・・ぁ・・・ぁ・・・開いている・・・どどどどどどうしよう><;)』
ドアを開けるというたったひとつの動作でりんの全てがわかってしまいそうな予感を衛兵2は感じたのだった。額には汗が流れ、なぜか足がすくんでいる。
衛兵2『(・・・・・足が・・すくんでる・・みちゃいけないもの・・・なのかな・・・><;)』
頭と正反対の行動を腕がしていた。左手でゆっくりとドアノブに手をかけ、ノブを回そうと力を入れ始めている。
衛兵2『(・・だめだ・・ここまで来たんだ!・・・・りんさんごめん・・見るよ><;!)』
流れている汗や武者震いを始めた足をそのままに、恐る恐るドアを開けてみるのだった。
ギギ・・・・ギギィィィィィィィィィ~・・・・・
衛兵2『・・・これは・・』
その家の中は、およそ衛兵2の予想とはかけ離れたものが並んでいるのであった。
左の壁には無数の弓が壁に取り付けられて置かれ、右の壁には斧や短剣などの武器が並んでいる。奥には数千本にもなるであろう多種多様な矢が置かれ、火薬や治療薬もありそこは武器格納庫であることに衛兵2は気づいたのであった。
脇を見ると、そこには・・・
衛兵2『・・・そ・・・そんな・・・・』
第一連隊や自警団が血眼になって追っている犯人の服装が置いてある。
いろいろな保護色になる為なのか幾種類も置かれていた。
衛兵2は平衡感覚が鈍くなり立ちくらみがするほど驚き、開いた口が塞がっていない。
と、その時・・・
背後から、風などではない何者かが力を使い開けたであろうはっきりとしたドアの開く音が、衛兵2の耳に入ってきたのだった。
・・・・・ギギ・・・ギギィィィィィィィィーーーーー