クルス『ぜぇ・・はぁ・・忠告するぜ・・戦いには型は必要ねんだ・・遊びも必要ってことだ・・・さぁ・・立てよ・・もっと見せてくれ』
息絶え絶えにクルスはオムーが言うと、オムーはいまだフラつく頭をブルブルと震わせて焦点を合わせようと必死だ。
オムー『ぜぇ・・はぁ・・想像以上だったぉ・・・でも・・俺からも忠告することがあるぉ・・』
クルス『あぁ?』
剣を杖がわりにやっと立ち上がったオムーは、再度唾を飲み込みながら喋った。
オムー『・・・確かに型に縛られては柔軟性はないかもしれない・・でも・・遊びすぎは禁物だぉ!!!!』
突如、クルスの上空からエネルギー弾が舞い降りてくるのだった。
ギューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
司会者『おおおおぉとぉ~~~!!!!!何が起きたぁ~!!!!!』
王様『んーωー?なんじゃ?何が起きた!?』
トカマク『空からエネルギー弾が落ちてきたわ!』
肩にまっすぐと当たりダメージを負ったクルスは堪らなく膝をついた。
ザッ・・・・
クルス『な・・・・なん・・・・だと・・・・』
りん『すごい!!』
アメル『(ノwノ)』
エビちゅ『あの弾は始めに放ったものでちゅね( ̄ω ̄ )』
王様『上空にて待機させておったのか・・・ーωー;』
ニコシア『思いがけない攻撃じゃな(`ω´.;)』
クルスの肩にて弾き、上空へ向かったエネルギー弾をまだ尚操作し、隙を見て放つその技術もバルタルトならではの攻撃であった。
オムー『クルスが本当に俺を倒しにかかってたら・・・こんな余裕はなかった・・トドメをさせてもらうぉ=ω=.;』
余りの衝撃に体を動かすこともできずに膝をつくクルスを抱え上げ空高くジャンプしたオムー。
ドヒューーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
司会者『オムー選手!!!クルス選手を抱え上げ上空へ登ったぁ~!!』
最高点に辿り着いたオムーは、クルスの頭から落下させるようそのまま体を上下反転させた。
りん『トドメね・・・』
互いに顔を隣合せにし、落下風を受けた髪をそのままにクルスとオムーは、戦いを終えようとする言葉を交わしていた。
オムー『クルス、これで決着だ・・』
クルス『・・・ぅ・・・最高の戦いだったぜ・・・・』
司会者『クルス選手へのトドメの攻撃かぁ~!!!』
ニコシア『まったく・・・クルスという名か・・覚えておくかのぉ・・驚かせてくれる男じゃった(`ω´.)』
りん『クーちゃん・・・』
しかしクルスは落下スピードが増す中、思いがけない行動にでるのだった。
クルス『でもな・・オムー・・俺は・・・負けるわけにはいかねーんだ・・』
オムー『この後に及んで何を言うんだぉ=ω=.;』
クルスは剣を取り出し、自らの腹に刺した。
ズザッ!!!!
オムー『な・・なにを!?』
クルス『ふ・・ふふふ・・・ふははははは(゜Д゜)』
司会者『どういうことだぁ!?クルス選手、オムー選手のトドメの大技の前に自らの腹に剣を刺したぁ~!』
ニコシア『なんじゃ・・あやつは何をしておる(`ω´.;)』
りん『あれは・・まさか・・』
ズズズッズズッ!!!!
そしてさらに貫通し、オムーの腹へ。
抱えていたオムーの腹へも到達し、両者の体をクルスの剣が突き刺している。
ズバッズズズッズウズズッ!!!!!
オムー『ぐほっ!!!!な・・・・なんて奴だ・・・ぐ・・・』
クルス『・・言っただろう・・・俺は・・負けん・・負けるくらいなら道ずれだ・・・』
エビちゅ『落下ダメージの道連れ・・・でちゅね( ̄ω ̄ ;)』
hanana『クルスさんやっぱりこわい人でし(^0^;)』
トカマク『彼らしいわ・・』
アメル『ひぇぇ(>w<`)』
そしてクルスの落下する体から離れることができなくなったオムーは逃げる術もなく、またたく間に二人は地面へ落下してしまうのだった。
ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
観客たちも固唾を飲んで見守る煙の中、うっすらと倒れた二人が見える。
王様『・・・ゴクッーωー;』
ニコシア『・・・(`ω´.;)』
りん『・・・・オムー、くーちゃん・・』
アメル『・・オムさん・・クルスくん・・(ノw;)』
hanana『・・・・。』
トカマク『・・・・・。』
エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』
その二人に残された体力はなく、かろうじて息をしてはいたが、ぴくりとも動かないその二人の状態は見て取れる。すかさず駆け寄った審判は両手で試合終了宣言を司会者へ合図した。
司会者『・・・この戦い・・・両者・・引き分けぇ~!!!!!』
壮絶なる戦いを称え、観客席からは歓声が鳴り止まない。
『わぁぁあぁああああああぁぁあ!!!』
『ああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!』
『すごい戦いだったぞぉ~!!!!』
ニコシア『・・・・いやはや・・言葉もでん(`ω´.;)』
王様『あれがクルスじゃーωー;』
アメル『二人は無事なの(・w・´)!?』
りん『えぇ・・大丈夫よ・・早く救護班呼ばないと』
遠くから救護班を呼ぶ声が流れてきている。
『救護班~!!!』
『こっちだぁ~!!!!』
クルスとオムーが抱きかかえられ、救護室へ運ばれていく。
ニコシア『オムは・・オムは無事なのか(`ω´.;)?』
王様『大丈夫じゃーωー心配するな、実は甘やかしてるんじゃろう』
ニコシア『馬鹿な(`ω´.;)わしはスパルタ教育じゃっ』
次なる試合をと冊子を見ていた司会者は、我に気づいたかのように目を見開き、首をトーナメント表に伸ばし、眉間にしわを寄せこう言った。
司会者『・・と・・ということは・・決勝戦は・・不戦勝により、hanana選手の・・勝利だぁ~!!!!!!!』
『わぁぁぁああああああぁぁぁぁぁ』
『おおおおおおおおおおおぉぉぉぉ』
またさらに会場のボルテージが高まった。
決勝戦へ進むはずであったクルスとオムーは互いに倒れてしまっている。すると決勝戦進出者のhananaが不戦勝により優勝となることは必然だ。
かつてボルケノゴーレムを飼い虐待を起こしていた男も見に来ていた。役たたずと言い放っていたペットが優勝となるその仕打ちは落胆せざるを得ない。
男『う・・嘘だろ・・・あのゴーレムが・・・優勝・・・トホホ・・ORZ・・・』
りん『やったねhanaちゃん(*^^)v』
hanana『ほぇ(^0^)?どうしたんでしか?』
とうもろこしを食べていたボルケノゴーレムも何が起きたかわかっていない。食べカスを口の周りにつけたままhananaの横でキョロキョロと辺りの騒ぎを気にしている。
ボルケノゴーレム『グフ?』
司会者『そして決勝戦勝利ということで・・・ファンブルグ国!トカマク様主催!国内最強武術大会!!!優勝者は・・・・若干5歳の少女!!!hanana選手の優勝です!!!』
『わぁぁぁああああああぁぁぁぁぁ』
『おおおおおおおおおおおぉぉぉぉ』
地響きを伴う歓声と共にそう告げられると、母親は卒倒してしまい、父親に抱きかかえられている。
母『ha・・・hanaが・・・』
父『そうだぞ母さん!hanaが優勝だ!!すごいぞっ!!』
湖乃『お姉ちゃんかっくぃぃねっ(^0.^)!湖乃もお姉ちゃんみたいになるぅ!!』
司会者『誰が予想できたことでしょうかぁ~!!!!』
ニコシア『なんともわからんものじゃ(`ω´.;)てっきり我が子が優勝かと思っていたがな・・』
りん『道を聞いてきたあの子が優勝・・わからないものね^^;』
エビちゅ『エビちゅはわかってまちた( ̄ω ̄ )』
王様『おみゃあ本気でぶっ倒そうとしてたじゃねぇかーωー;』
衛兵から優勝者授与の式へのお呼びがかかり、hananaとペットのボルケノゴーレムが闘技場中心へ案内されていく。
夏の日の夕暮れ前。高低差ある夏の気圧を感じさせる風が闘技場にもなだれ込んだ。清々しくにこやかなその少女の表情に3万人の観客たちの視線が飛ぶ。
司会者『本当に優勝おめでとう^^』
hanana『ぁ・・・ありがとうございましでし(^0^;)ハハ・・緊張するでし・・』
司会者『君がhanana選手の助っ人として活躍したゴーレムだね?どうだろう気分は^^』
すかさずボルケノゴーレムにも意見を仰ぐ司会者。
ボルケノゴーレム『グンフッゴッフッグフングゲフグフッ!グングゲ!ゴフグンゲッ!』
無論ボルケノ語までの通訳がいない司会者は対応に困っていたが笑顔で誤魔化している。
司会者『・・・・嬉しそうですね^^それでは・・・hanaちゃん優勝賞金200mGは何に使うつもりかな^^?』
この時、hananaの周囲の人間の頭は欲が渦巻いていた。
王様『・・・まてよ・・・hanaちんは我々の国の兵士になってくれるといってくれてたな・・ということはその部隊に司令を与えるわしは200mGを・・・(ーωー*)ムフフ』
りん『ぇ・・でもまだhanaちゃん子供よね・・ていうことは部隊の先輩である私にも・・(*´∀`*)あの服もしかしたら買ってくれるのかな』
トカマク『hanaちゃんは私の直属の部下よ・・・そう・・私は第一連隊の隊長だから。じゃ・・じゃぁ・・少しくらい・・センスのいい鎧なんかお願いすれば発注できるのかしらね・・ウフ』
アメル『hanaちゃんと仲良くしてて良かったぁ(´w`*)プリンたくさんおごってもらうんだからっ』
エビちゅ『hananaの能力を開発したのはエビちゅでちゅ・・・ということは200mGは(°ハ°)エビちゅのもの』
周囲の視線が飛び交う中、爽やかな風により前髪が僅かに動くも、じっと立ち止まったまま笑顔を絶やしていないhanana。タイミングを計るように口を開いた。
hanana『アハッ(^0^)優勝賞金はもう決めてるでしっ!!全部ボルケノさんのご飯を買うでしっ!!!』
王様『;`;:゛;`(;ー;ж;ー; )ブフッ』
りん『;`;:゛;`(;゜;ж;°; )ゴフッ』
トカマク『;`;:゛;`(;゜;ж;゜; )ゲフッ』
アメル『;`;:゛;`(;゜;w;゜; )ドフッ』
エビちゅ『;`;:゛;`(; ̄;ж; ̄; )ポフッ』
司会者『良かったですねぇ^^ゴーレムさん』
ボルケノゴーレム『ゴフングッ!!!!!』
怒涛のごとく押し寄せる歓声が鳴り止まない。
『わぁぁぁあぁあああああああぁぁぁぁ』
『あああああああああぁぁぁぁぁぁぁ』
hanana『ピースピース(^0^)v』
ボルケノ『グンフグンフッ!!』
かくして誰も予想だにしない少女が、武術大会のトップに君臨し幕を下ろした。
少女とその何倍もある体のボルケノゴーレムはリングにて、いつまでもいつまでも歓声による地響きを感じ手を振っていた。
~次回 hanana編 エンディング~