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眩しい太陽・・美しい月・・そして世の中所詮金でちゅ

伝説の獅子たちが活躍する笑い泣き感動ありのアクションストーリー (c)2008hiyoko.現在原画製作中!

第弐百五拾弐話

2012-09-23 | 本編

 

 

 

 

 

 

最後に現れた巨大な海賊船。
しかし甲板では大きな爆発と怒声が聞こえている。
既にそこでは戦闘が行われているようであった。

ドーーーーーーンッ!!!

『あああぁぁぁ!!!』

『うぉぉぉおおおぉ!!!』

 

りん達の船に乗り込んだ敵艦隊の隊長は訝しげに頭を傾げた。

『…なんだ…何が起きてる?』

『わかりません。母船との連絡が先ほどから途絶えております。』

 

 

ドゴーーーーーーーンッ!!!

 

『そこだぁ~!!!』

『うぉぉおおあぁぁ!!』

 

 

母船からは火の手が上がり、聞き覚えのある怒号と共に海賊兵らは海へ投げ飛ばされるように吹き飛ばされている。

 

りん『…え…う…嘘でしょ?』

ハプティ『っ!!!』


よろめきながらクルツは海賊母船の甲板を眺めると息を呑むように驚いた。


クルツ『っ!!!』


敵兵の群がる足元に倒れながら、その脚の隙間から垣間見るその船上には見に覚えのある姿があった。
まだ動ける他の者達も、徐々に母船にて共に戦う者が誰であるか気づき始める。

 


エビちゅ『まさか( ̄◇ ̄;)!!』

王様『……う…ぐ…。』

hanana『っぁ!!!!!』

 

それは大きく、優しく、強い背中。
大きく肩を揺らし息を整えていたその男は鎧などは着ていない。
もはや気組みのみで動いていると思える程に傷だらけのその体の持ち主は苛立ちと僅かな安堵を覚えていた。
片方の顔をこちらへ向け舌打ちをし、八重歯を出し悪戯な笑みを浮かべながら言った。


『チッ!油断しやがって!』

 

もう疑う余地はなかった。その太く低い声。
満身創痍とはいえど、その姿形は忘れるものはいない。

 

クルツ『クルス兄ちゃんキタ━━━ヽ(*´□`)ノ゛━━━ァ!!!!!!』

りん『くーちゃん!!!!!!』

ハプティ『クルスくんだー\(^o^)/!!!!』

hanana『クルスさ~んヾ(≧∇≦*)ノ!!!』

エビちゅ『なかなかドラマチックな登場でちゅね( ̄◇ ̄;)!!!』

 

ポケットからMP回復薬を取り出し、hananaへ投げた。

 

hanana『(ノ。^0^)ノ[●]パシッ』


受け取った瓶を一気に飲み干すhanana。

 

hanana『ウグッ…ウグッ…ウグッ…プハー♪\(*´▽`)o゜★*:・。☆』

エビちゅ『なかなかの飲みっぷりでちゅね( ̄ω ̄ )』

クルス『呼んだか(゜Д゜)?hanana』

hanana『はいでしぃ~ヾ(≧∇≦*)ノ!!約束覚えててくれたんですねぇ~!!』


大地に足を力いっぱい踏みしめ、両手に青白いエネルギーを溜め込んでいるhanana。


hanana『ピースファーラー!!!!!!!!!!』


詠唱と共に両腕を上げると空いっぱいに広がる青い霧が皆を包んだ。
すぐさまオムーや透くんたちを蘇らせ、瀕死状態であった王様やエビちゅたちも全回復している。

 

オムー『おっ!!クルスがいる(=ω=.;)なんでだっ!?』

透くん『ありがとう…クルスさん…。』

 

クルスはポケットからさらにMP回復薬を取り出し、エビちゅへも投げた。

 

クルス『ほらよ(゜Д゜)』

エビちゅ『( ̄ω ̄ )ノ[●]パシッ…もらわなくても勝てまちたが、一応もらっておきまちょう』

 

するとこちらを向いているクルスの後ろから図体の大きい敵海賊兵が斧を振りかぶっており、
それにいち早く気づいたオムーは叫び知らせた。


オムー『…ックルス!!!!うしろだぁ~(≫ω≪.;)!』


グサッ!!!!


鈍い音が聞こえてくる。

 

しかしクルスの戦いを楽しむかのような笑みは消えていない。
オムーに言われるも前、クルスは剣を逆手に持ち替え後ろの敵の腹めがけて串刺していたのだった。


オムー『っ!!!』

クルス『…てめぇらと一緒にするな…俺の辞書に油断という文字はねぇ』


振り返り様、クルスは相手を一瞬で両断する。怒号と共に。


クルス『うぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉ!!!!』


一筋の光が見えてくる。
元いた仲間も加わり、一向は自分達に再び力を呼び戻し戦い始めた。

 

オムー『よっしゃぁ~(≫ω≪.)!!!本気出すお!!!』

hanana『いくでし><!!!!』

ハプティ『っしゃぁああぁ!!』

エビちゅ『エビちゅの逆襲のはじまりでちゅ( ̄ω ̄ )!』

さっちゃん『ぼくも戦います!!』

クルツ『うぉぉおおぉおお(>Д<)!!』

ヌコル『微力ながらわたしも戦います!』

透くん『わたしもがんばる!!!』

りん『さぁ!!みんなっ!第二ラウンドの始まりよ!!!』




 


第弐百五拾壱話

2012-01-01 | 本編









オムー『りん!!』


りんの一瞬の陰りある目に気づいたオムーは奮起させんと叫ぶと、りんはすっくと立ち上がりエビちゅに指示を飛ばした。


りん『エビちゅ!!!!キャビンで攻撃魔法を!』


エビちゅ『承知ちまちた( ̄ω ̄ )』

 

キーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!


ドゴーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!!


床が壁になったかと思える程にまたも大きく船体が揺れる。
必死に柱などに掴まり堪える一同の体力は限界に近い。


hanana『落ちるですぅ~><』

オムー『絶対に柱から手を離しちゃ駄目だぞ!!』

 

徐々に周囲の敵の船は接近をしている。

 


りん『ハプティ!!!前方の船がこっちへ来るまで左からの侵入を防いで!!!』

ハプティ『うんわかった(>w<´;)!!』


りん『クルツも左!!私が援護射撃する!オムーは後方を!はなちゃんは回復を続けて!!』


オムー『わかった!!』

クルツ『はいっ(>Д<)!!!』

hanana『わかりましたっ!!』

 

りん『さっちゃん!操縦はもういいわ!もう囲まれてる!船の火を消して!ヌコルちゃん!浸水の修理をお願い!透くん!補助魔法とみんなの回復を!』


さっちゃん『はい!!!今いきます!!』

ヌコル『わかりました><!!』

透くん『うん!』

 


ドッゴーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!


とうとう敵船が左から船体を擦るようにぶつかり、その木のぶつかる衝撃音と共に海賊は威勢ある声で乗り込み突進してきた。勝利を確信し蛮声とも言える男たちの声が船内にも入る。


『うぉぉおおおおおおぉぉぉぉ!!!!』

『乗り込めぇ~!!!!!』

『おおおおおおぉぉぉぉ』


クルツ『うぉぉぉおおお!!!』

 

カキーンッ!!!ジャキーーーンッ!!!


左から敵が乗ってくるのをクルツがせき止め迎え討つ。


りんは指揮をしつつ、王様の倒れている場所まで駆け寄っていた。


りん『王様!!大丈夫ですか!?』

王様『・・・く・・なんのこれしきーωー;皆は・・皆は無事か・・』

りん『えぇ無事よ!後方のキャビンに入って魔法攻撃を!少しは壁になる場所だから!エビちゅは先にそこにいってるわ!!』

王様『わかったぁ~(>Д<♯;)!!』

 

キーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!!!

ドゴーーーーーーーーーーンッ!!

 


転覆してしまうほどにまたも船体が斜めに傾き、波しぶきも嵐のように船体へ降り注いでいる。


バシャバシャバシャバシャッ!!!!


ドゴーーーーーーーーーーンッ!!!

 

船尾へも後続の敵船がたどり着き、衝突と共にドッと敵兵たちが押し寄せてきた。

 

オムー『メテオノヴァ!!!』


一瞬にして暗雲を作り上げ、炎の岩を敵船へ降らせると、一隻は大ダメージを受けおののいている。


オムー『ダメだ≫ω≪.;!!!詠唱が間に合わねぇ!!!その後ろからも来てるぞ!!』


キャビン中にいるエビちゅがタイミングよく詠唱を終えていた。


エビちゅ『まずは一隻吹き飛ばしてあげまちゅ\( ̄ω ̄ )/』

オムー『頼む≫ω≪.;!!!』

エビちゅ『セカンドクラフトォーーーー\( ̄◇ ̄ )/!!!!』


ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!!


エビちゅの放ったエネルギー弾は船尾にいる一隻を粉みじんに吹き飛ばす。

 

オムー『おっしゃぁあああ≫ω≪.;!!ナイスッ!!エビ・・・』

 

ヒュンッ!!!!!!!!


オムーの右頬を砲弾がかすり、通り過ぎていく。


オムー『え・・・』



オムーのいる後ろはエビちゅと王様のいるキャビンだ。
その砲弾はオムーの頬にかすり傷を作るとまっすぐにキャビンへ向かっていた。

 

ドゴーーーーーーーーーーーーンッ!!!

 

船体内部をも抉るように凹ませ、こちら側も大打撃を追ってしまっている。

 

りん『な・・・キャビンが・・』


後続の船がまたも押し寄せ、兵士たちが乗り込んでいる。

 

オムー『くそっ≫ω≪.;!!くそっ!!!うぉおおおお!!!』


ジャキーーーーーーーーンッ!!!!


船内へ伸びる階段したからも、ヌコルの悲痛な声がりんへ突き刺さる。


ヌコル『りんさん!!!もう浸水が激しすぎて間に合いません><!!!も・・・もう持ちません!!!!』


成す術がないりんは返答ができず、左からの海賊への攻撃をしたままだ。

 

りん『・・・・連射!!!!!』


りんの弓が左からの兵士たちへ寸分の誤りなく突き刺さる。


りん『どうすれば・・・』

 

左側からの侵入防御に加勢していたハプティも敵の多さに圧倒されていた。

 

ハプティ『りん(>w<`;)敵の数が!!!あと少ししたら船首側から敵くるよ!!!』


よく見れば、さらに大きな敵船が船首側から近づいてきていた。


オムー『りん!!やべーぞ≫ω≪.;!!あれが海賊の本隊の船だ!!!でかい!!!』

 

キーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!


ドゴーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!!


足元へ着弾し、吹き飛ばされるりん。

 

りん『・・ぅ・・ぅぅ・・』

ハプティ『hanaちゃん!!りんの回復!!!』

hanana『はい><!!!』


りんの視界からは、皆が真横に戦っている姿がぼんやりと見える。
近くから声が聞こえた。


『・・・・すまん・・りん・・すまんのぅ・・』


倒れつつ、近くへ目をやれば王様が倒れていた。


りん『王様・・・』


溢れる涙をこらえつつ、呼びかけたりん。


王様『わしのせいじゃ・・・全部・・わしの・・』


横からも聞き覚えのある声が聞こえてきている。


『諦めるでないでちゅよ・・・・まだ・・まだでちゅ・・』


りん『エビちゅ・・・』

エビちゅ『さぁ・・立つでちゅ・・みんなを指揮するでちゅ・・・』

王様『わしも・・諦めん・・・最後の一兵になりたるとも』

 

渾身の力を込めて立ち上がるりんの目の前は火の海だ。

 

キーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!


ドゴーーーーーーーーーーンッ!!!!

 


ハプティ『透くん!!!』

オムー『回復役がはなたんだけになったぞ≫ω≪.;!!』

 


キーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!

ドゴーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!

 

hanana『オムさん><!!!』


オムー近くへ砲弾が着弾し、船尾が跡形もなく吹き飛んでいる。
直打してしまった為か、オムーは瀕死だ。

 


オムー『む・・無念だぉ・・・』

ハプティ『はなちゃん(>w<´;)リバイブを!!!』

hanana『・・・MPが・・も・・もうありません・・』

 


キーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!!


ドゴーーーーーーーーーーーーンッ!!!!

 

クルツ『り・・りんさん!!!船首から大きな船がもうそこまでっ><!!』

 


原型を留めていない船が傾き海へ沈みかけ、船内は海水が溜まり始め、船の火は尚一層強くなっている。仲間も瀕死に。回復もできない。絶体絶命とはまさにこのことだろう。


とその時。りんはある光景を目にするのだった。

 

りん『あれは・・・。』







第弐百五拾話

2011-12-19 | 本編





それは僅かに開いた窓から入る一本の矢であった。枕に頭をあずけたままのハプティは、目を見開き音のある方へ向かせると、向かいのドアに刺さっているのがわかった。


ハプティ『え・・・・うそ・・・』

 

すると今度は窓ガラスを割り、何本もの矢が部屋の中に入ってくるのだった。

 

バリンッバリンッ!!!!


カカカカカカッ!

パリンッ!!


ハプティ『キャッ(>w<=)』


たまらなくベッドの横に転がり落ち、床にへばりつきながらハプティは壁にできた矢の様を眺めている。


バリンッ!!!!


カカカッカカッカッ!

パリンッ!!


一頻り窓のガラスを全て割り、とめどなく壁へ、寝ていたベッドへ刺さり、壁から落ちた矢は身を引いたハプティの目の前へ落ちてきている。

 

カカカカカカッ!!!!

カッ!!

バラッバラバラッ!!


ハプティ『あわわわわわ(>w<´;)』

 

すると離れた場所で弾道の音ととれる音と爆発音も耳に入ってきた。

 

ヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!

ドゴーーーーーーーーーーーン!!

 

ハプティの足元である船体が大きく揺れる。

 

ハプティ『な・・なに・・・どうしたの・・?』

 

りんの声も聞こえる。


『面舵いっぱい~!!!!!』

 

ヒューーーーーーーーーーーン!

ドゴゴゴーーーーーーーン!

 

さっちゃんらしき声も耳に入ってきた。


『はい!!』


ドゴーーーーーーーーン!!

 

と同時。頭上の屋根は赤い火と共に吹き飛び、似つかわしくない満点の星空が火煙りの間から見え隠れしている。

ハプティ『はわわわ(>w<;)』

周囲の船体の燃える熱さと入り交じる海上の冷たい風が夢でないことを告げている。大きく右へ左へ傾く船体キャビンの残った壁にしがみつき、片膝をついたハプティに対して怒号が飛ぶ。


『伏せろハプティ!!なにしてる!!』


キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!


誰の声かもわからず従い身を伏せると、ハプティは次なる爆轟の衝撃波によって船横の手すりまで勢いよく飛ばされ体をぶつけた。

 

ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!

ゴロゴロゴロゴロッ!!ドドッ!!!!


ハプティ『ふぁっ(>w<´;)』


傍まで駆け寄ってきたのはオムー。
オムーの横から火煙りと共にうっすらとキャビンの様子が見える。腰上の建物が真横へ爆風で吹き飛びキャビンは半壊してしまっていた。


オムー『危なかった・・≫ω≪.;』

ハプティ『オムさん!!ねぇっこれって!これって(>w<´;)!』

オムー『西からの砲撃で俺も吹き飛ばされたぉ!!エステンブルグの残党狩りかもしれない!』

 

ヒューーーーーーーーーーーン!

ドゴゴゴーーーーーーーン!

 

壊れた材木なども吹き飛ばすように船体は大きく揺れている。二人とも手すりに掴まり辺りを見回すと、船体の燃える火のみが皮肉にも明かりとなり、キャビンだけではない、船全体が半壊していることに気づくのだった。


オムー『なんてことだ・・。』


よく見ればオムーは左足から出血をしている。


ハプティ『足!大丈夫!?』

オムー『静かに!!』

 

大きな幾度となく続く爆発音の中で、僅かな声を確認するようにオムーは耳を周囲へ傾けている。

ハプティ『あ・・はい(>w<;)』

 

ヒューーーーーーーーーーーン!

ドゴゴゴーーーーーーーン!

 

弾道の音と爆発音は鳴り止まない。
立っていることさえままならない二人は辺りの音に意識を集中させている。

 


キーーーーーーーーーーーーーーン

ドゴーーーーーーーーーーン!!


ドゴゴゴーーーン!!


『クルツ!敵は何隻かそこから見えるだけ教えて!敵の規模、詳細を!』

『はいっ!』


燃え上がった火の粉も頭上から落ちてくる。りんの声がその爆発音に混じり聞こえてきた。その声は船首の方角からだ。

 

『ヌコルちゃん!浸水の確認を!hanaちゃん!みんなの回復を!』

『はいっ!!』

『はいでしっ!』

オムー『りんだ!!りんたちの声が向こうからする!!』

 

キーーーーーーーーーーーーン!!

ドゴーーーーーーーーーーン!!!!

 

船の荒だった動きから周囲の波しぶきが足場を滑らせ、手すりや建物の残骸を掴んでいなければたちまち海へ放り出されてしまう程に揺れている。瓦礫が散乱している船横の道で、何度も転がりながら匍匐前進をしているエビちゅがいる。

 


エビちゅ『怪我はないでちゅか!?』

ハプティ『エビちゅだ!!えっと・・あの・・その・・・オムさんが左足を怪我してるよ(>w<´;)』

オムー『こんなの怪我のうちにはいらねぇお!エビちゅこそ大丈夫か!?』

エビちゅ『なんとか大丈夫でちゅ!!』


キーーーーーーーーーーーーーーン

ドゴーーーーーーーーーーン!!

 

オムー『くそ≫ω≪.;あとをつけられてたのか!!』

エビちゅ『残党狩りでちゅね!』

ハプティ『王様だ!あそこに王様が倒れてる!!』

 

よくみれば、うしろの瓦礫に王様が埋もれて倒れている。

 

ハプティ『王様!!!大丈夫!?』


オムーは慌てて瓦礫をどけると王様はやっと意識を取り戻したようであった。

 

王様『はっ(゜Д゜♯)な・・なんじゃ!!敵襲か!?』

オムー『あぁそうみたいだ!』

 

キーーーーーーーーーーーーーーン

ドゴーーーーーーーーーーン!!

 


再び船体が大きく揺れ、海へ放り出されそうになる王様を掴みこらえるオムー。


王様『わわわわ(゜Д゜♯;)』

オムー『ここにつかまってるんだ!王様!』


すると半壊したキャビンの残骸の向こう。
りんの声が届いてきた。


りん『王様!エビちゅ!オムー!ハプティ!無事!?』

王様『あぁ大丈夫じゃーωー;』

エビちゅ『なんとかでちゅ( ̄ω ̄;)』

オムー『大丈夫だ!』

ハプティ『他のみんなは(>w<;)!?』

 

りん『透くん!!みんないたわ!!回復に徹して!』

透くん『はい!!』

 

 

王様『あかん(゜Д゜♯;)!!火が消えとらん!燃えてしまうぞぃうぉぃ!!!』

オムー『駄目だ!不用意に立ち上がったら駄目だ!!』

 


キーーーーーーーーーーーーーーン

ドゴーーーーーーーーーーン!!


『ぐぁっ!!!』

『ぐぉっ!!』


砲弾がオムー間近に着弾し、オムーは倒れてしまい、王様も大きく揺れる船体により船首へ放り出されてしまっていた。


オムー『ぅ・・・ぐ・・』

ハプティ『オムさん!!!透くん!回復を!!』

透くん『はい!!』

エビちゅ『りん!王ちゃまが吹き飛ばされたでちゅ!』

 

半壊した中央偵察塔によじ登り、くまなく見渡したクルツはりんへ叫んだ。


クルツ『旗からエステンブルグではないようです!盗賊のようです!西より1隻!後方より2隻!北東からも1隻です!おおよそ100兵、石火矢!投石!砲弾!
剣槍兵多し!統率が取れています!』

 

船底浸水確認をしてきたヌコルが帰ってきた。


ヌコル『浸水!!船体東から浸水です><!!!!』

 

キーーーーーーーーーーーーーーン

ドゴーーーーーーーーーーン!!


ドゴゴゴーーーン!!

 

りん『・・・・まずい・・全滅する・・。』





第弐百四拾九話

2011-11-24 | 本編






深夜にもなれば、空も海も黒い。上も下もない真っ暗な世界の中に明かりを灯したいっせきの船が佇んでいる。エビちゅの昔話が終わり、現実に戻る一同の耳には置き時計の音が響いてきていた。



チク・・タク・・チク・・・タク・・・・

 

乾いた喉を潤すため、一升瓶のいいちこを喉を鳴らして飲みゲップをしたエビちゅの目は眠たげだ。


エビちゅ『・・・hananaの入隊の話はこんなとこでちょうか・・( ̄ω ̄*)ゲフ』

クルツ『(゜∀゜*)ノおもしろかったぁ~!はなちゃん優勝したんだねっ!!』

hanana『恥ずかしいノ-ノ;』

さっちゃん『楽しかったぁ~^^ノ』

王子『ふぉっふぉっ(*´ω`*)』

ハプティ『思い出すなぁ…(・w・´)』

オムー『そういえばはなたん初代優勝者だったなぁ=ω=.』

hanana『まぐれ過ぎなのでし^^;(滝汗』

ヌコル『りんさんのギルドマスターになった経緯もわかりました^^』

りん『そういえばそうね(*´▽`*)』

 

それとなく見た腕時計が思いがけない時間になっていることに気づき、りんは二度見をしてしまっている。

 

りん『え・・・あらもうこんな時間なのね^^そろそろ寝ましょ』

エビちゅ『エビちゅはもうオネムでちゅ( ̄ω ̄*)』

オムー『じゃぁ寝ようか=ω=.』

ハプティ『おふとんタイムだ(´w`=)』

クルツ『はぁ~い\(^0^)/』

さっちゃん『はぁ~い\(^0^)/』


一同は食卓を離れ、それぞれの部屋で就寝の準備を始めた。



ある者は歯磨きを、

 

シャカシャカシャカシャカシャカ・・・


オムー『=皿=.』

 

またある者はそそくさとベッドに入り、

 

hanana『(-_-)ZZZ』

 

またある者は日記を、


カリカリ・・・


ヌコル『φ(。。)』

 

またある者は入眠前のストレッチを、

 

りん『いっちにっさんっしっ(*´▽`*)』

 

またある者は酒を飲み、


グビッグビッグビッ

 

エビちゅ『ゲフッ( ̄ω ̄*)』

 

またある者は筋力トレーニングを、

 

ギッギッギッギッ


クルツ『さん・・・し・・・ご・・(>д<♯)』

 

またある者は変装カツラを取り、


バリバリバリ・・

王様『痛ぇのぅ・・(ーωー;)わし船に乗ってるときくらい変装やめるか・・いやしかし王子でいるほうが見栄えがいいという・・・』

 

またある者はお気に入りのぬいぐるみを枕元に置き、昔話の余韻を楽しむように莞爾として微笑みながら目を瞑り、自らの入眠を楽しんでいる。

 

ハプティ『むにゃむにゃ(´w`=)』

 


とその時。

 

 

ハプティの目を覚まさせるには十分過ぎる程の音が目の前から起こったのだった。
その音は無味乾燥としており、冷たさまで伝わってくる。

 

カッ!!!!!!!!!

 

ハプティ『え・・・・(°w°=)なに・・・』

 

 


第弍百四拾八話

2011-11-20 | 本編






雲が大きな太陽を隠しては見させ、夏も終わりかけた昼下がり。王様から呼ばれ、図書室に併設された書斎にやや足早に向かうりん。石造りのその廊下とりんのブーツの足音は、豪華な絨毯にて和らげられている。


コッコッコッコッ

 

城が盆地にあることも手伝い、天井と胸あたりまである横壁の間から来る風はやや強めだ。壁には円柱の石塔が等間隔に並び、その間からはファブルグ町が一望できる。心地よい風を受け、町を見渡しながらりんは呟いた。


りん『なんだろ・・。王様からのお呼びって久しぶりね。』


書斎前につくと衛兵1がかかとを音を立てて合わせ、きびきびと敬礼をした。


カッ!!!!

衛兵1『ご苦労様ですー。-ゝ!!!』

りん『おつとめご苦労さまです(*´▽`*)入ります』

衛兵1『どうぞ!今王様が図書閲覧中であります。』


衛兵の敬礼に足を合わせ挨拶をしたりんは分厚めのドアを遠慮がちにノックした。


コンコンッ!!

 

『むほ?りんか!?よいぞ!!!』

 

部屋の中から王様の返事が聞こえたのを確認し、ドアを開くと独特の旧い書物の臭いが鼻につく。


りん『あ・・この香り久しぶり^^』


木製の机や椅子、無数に並んだ本棚のの奥で王様とトカモクが書斎机にて何やら話をしているのが見えた。否応なしに目に入る本棚に置かれている本のタイトルを横目でみつつ、歩を進めるりん。毎度おなじみ、回復治療関連の本の隙間に紛れている卑猥な本をりんは思い出した。

 

りん『・・・そういえばなんかあったな・・』

 

<カボチャアイスの作り方>(貸し出し中)

<これはうまい! カステラケーキの本当の作り方 >


<HP回復薬Ⅳの作り方>

<団地妻 ザ・テクニシャン>

<週刊えびちゅ(返品しました 絶版)>

 

りん『うわぁ・・やっぱりあった・・』

 

王様『おーωーきたか、ほれ!ちこうよれ!』

りん『ぁっはいっすいません(*´▽`*)』


我に帰ったりんは、止まった足を再び動き始め、王様とトカモクのいる机にようやくたどり着いた。

 

トカモク『どうしたの?顔火照ってるけど』

りん『ぇ・・ぁ・・そ・・・そそ・そうですか?』

王様『さっそく本題に入ろうーωー』

 

その時。子供の喜び叫ぶ声が書斎まで響いてきた。

ワーーーキャーーーーー!!!!

 

書斎の窓からは城の庭が見える。
王様はすっくと立ち上がり、その窓を見るように近寄り言った。


王様『本当にわしは幸せじゃーωー』


再び子供の笑う明るい声が窓から聞こえてくる。

キャハハハハハ!!!


王様は庭で遊ぶ子供らに目を向けているのか、背後から視線を落としている姿をりんは見て取れた。そして王様はトカモクやりん達をその場所へ来るよう手招いた。


庭先が見える窓からりんは下へ目をやると、それはいつも見る仲間たちが遊ぶ姿であった。hananaやボルケノゴーレムを中心に、クルスやオムーにアメル、エビちゅもいる。顔を口ばかりにするその皆の笑顔はついこちらも笑ってしまうほどに無邪気だ。


王様『単刀直入に言おうーωー今トカモクと話していたのじゃよ。獅子と呼ばれる強い者たちがたくさんこの国にいるようになったーωーお主を含め、アメル、クルス、オムー、エビちゅ、hananaじゃーωー』

りん『はい』

王様『直近の衛兵部隊を作りたいのじゃーωーそこでじゃ、獅子と呼ばれる者達をまとめ上げ指揮するものがいると思うてのぉ』


りん『ぇ・・・それが・まさか私にとでもお言いになるつもりですか!?』

王様『あぁそうじゃーωー頼まれてくれるな?』

りん『無理です><』


りんの頭には経験も指揮権も上回るトカモクがなぜならないのか疑問に思い、視線をぶつると、トカモクはその視線を優しい眼差しで首を横に振った。

トカモク『あなたしかいないわ^^』

 

直近部隊の指揮という重い責任。りんは返事に困った。しかしそんな悩みなど露知らず。下の庭にて他の皆は楽しそうに遊んでいるのがりんの目に入る。

 

先日の大会にて負傷した際の包帯を巻いているオムーはhananaに何か喋っている。

 

オムー『はなたん=ω=.次は何して遊ぼうか?』

hanana『うんとね(^0^)うんとねっうんとねっ』

アメル『なんでもいんだょ(´w` )』

hanana『ボルケノさん何がいい(^0^)?』

ボルケノ『ガガッグ!!!』

hanana『わかった(^0^)ノ!!かくれんぼするぅ!!』

エビちゅ『もっと気品のある遊びにしたいところでちゅが致し方ないでちゅね( ̄ω ̄ )』

クルス『そんなガキの遊びに俺は付き合わんといけないのか・・(゜Д゜;)』

ニコシア『もしかして・・わしもするのか・・(`ω´.;)この歳で・・』

オムーと同じように包帯を巻いたクルスは面倒臭そうに言い始めると、hananaが被せるように言った。

 

hanana『じゃあクルスさん鬼ぃ~(^0^)ノ!?』

クルス『なぜそうなるw一番面倒臭い役じゃねぇかw』

アメル『まぁまぁ(´w`=)きっと一番鬼みたいだからだよ』

クルス『なんかいったかアメル(゜Д゜)』

アメル『さぁみんな隠れよーぅ(´w`=)ノ』

ボルケノ『グワンゴォーーー!!!!』

hanana『エビちゅ一緒に隠れよう(^0^)ノ!!あの木の上とかいこうよう!』

エビちゅ『声大きいのでばればれでちゅ( ̄ω ̄ )』

オムー『よぉーしっ=ω=.俺隠れるのは得意だぉ』

ニコシア『したらばわしも本気出して隠れるとするか(`ω´.;)』


仲間を思い、統率し、皆の命や王様をお守りする最終決定をするのは自らが一番よいのかもしれない。そうりんは思うのに時間はいらなかった。

 

りん『・・・・わたししか・・いない?』

王様『決定じゃーωー』

トカモク『アメル救出の際の指揮には才能を感じたわ。あなたしかいないわ。』

りん『は・・・はぃ・・』

王様『ほれあれを見てみぃーωー』

 

王様はhananaを見るようりんに促した。
そこには無邪気に皆と遊ぶhananaの姿が見える。

hanana『どこ隠れよっかな(^0^)ノ』


王様『あんなに小さな子まで伝説の獅子として力を持つようになったーωーおみゃーのようなしっかりとした者が今必要なのじゃ』

りん『・・・・わかりました。わたしがみんなを指揮隊長として務めさせて頂きます。』

トカマク『頼むわ^^』

王様『あの少女が来てから・・我々も変わった気がするのぉ^ω^』

りん『変わった?』

王様『安らいでいるといったら正しいのか・・・さすが伝説の回復魔術師じゃな^ω^』

 

再びhananaたちの笑う声が聞こえ、それに目をやる王様たち。

 

hanana『きゃはははははははっ(≧∇≦)ノ彡ボルケノさんまたなんか壊したぁ~w』

 

庭先に目をやれば、ボルケノゴーレムが隠れようと必死に地面を掘り起こしているのだが、その場所は王様の盆栽を育てている土地。次々と策を壊し、地面を掘っている。

 

バキッ!!ボコッ!!

立派な盆栽や植木が勢い良く宙に舞い、真っ白な庭のテラスが泥だらけになっている。

 

ボルケノ『グンフッ!!!グンフッ!!!』

エビちゅ『王ちゃまの城でちゅ( ̄ω ̄ )好きにするといいでちゅ』

アメル『なにやってんだw』

オムー『またかぉww』

クルス『ww』

ニコシア『わしはみてない・・わしはみてないぞ(`ω´.;)』

hanana『きゃはははははははっ(≧∇≦)ノ彡もう駄目だよぅ~また怒られるよぉ~w』

 


勢い良く窓を開け、王様は書斎から叫んだ。


王様『てめぇらまたかこんにゃろ(▼Д▼♯)柱に引き続き盆栽畑まで壊しやがってぇ~!!』

トカモク『・・コホン。』

りん『全然安らいでない気が・・・。』

トカモク『血圧の薬が最近増えたわ^^』

王様『ぜぇ・・はぁ・・・ぜぇ・・(▼Д▼♯)』

 

りんの視線を感じた王様は咳払いをし服を整えていたが、上下に動く肩は隠せていない。


王様『ま・・・まぁ多少問題はあるようじゃが(ーωー;)いずれにしても、奴らはこの城を守ってくれる。その統率ができるのは同じ伝説の獅子であるりんしかいないのじゃ。』

 

ビキッ!バキバキバキバキッ!!


突如何かが割れるような音と共に、勢いよく水が吹き出る音が聞こえてくるのだった。


ジャッジャジャァ~!!!!!!!


外を見れば、地面したにある水道管が壊され、人が乗れる程に大量の水が勢いよく吹き出していた。

 


hanana『きゃはははははははっ(≧∇≦)ノ彡もう駄目だよぅ~また怒られるよぉ~w』

ボルケノ『グフッ?』

アメル『噴水だ(´w`=)』

ニコシア『・・・・・(°ω°.;)』

エビちゅ『夏に水浴びは気持ちいいでちゅね( ̄ω ̄ )』

オムー『今度はなんだww』

クルス『ww』


王様『てめぇら出入り禁止にするぞ(▼Д▼♯)城がいくつあっても足らんわ~!!』

りん『守っているというより・・・むしろお城を壊してる気が・・・。』

トカモク『血圧の薬がまた増えそうね^^』

王様『ぜぇ・・はぁ・・・ぜぇ・・(▼Д▼♯)』

 


底抜け騒ぎをしている彼らの空では巨大な入道雲がゆっくりと動き、隣にある眩しい太陽と庭先にできた噴水は彼らに大きな虹をプレゼントしていた。




りん『ぁ・・・虹だ・・きれい・・』

アメル『あらきれい(´w`=)』

オムー『すげぇ=ω=.』

hanana『うわぁ(≧∇≦)ノ彡きれいでしっ』

エビちゅ『いい演出でちゅ( ̄ω ̄ )マネージャー』

クルス『きれいだな(゜Д゜)』

トカモク『粋なことするじゃない^^』

ニコシア『ふ・・・風流じゃな(`ω´.;)』


暖かい日差しと共に七色の光がテラスと空を見上げた皆を彩っていた。
またもファブルグ国に誕生した伝説の獅子。彼らの行く末はこの空のように明るいはずだ。

 

 

ボルケノ『グンフッ!グンフッ!』

hanana『ボルケノさ~ん待ってぇ~!!(≧∇≦)ノ彡きゃはははははっ』

 


  ~ 回想の章(hanana編) 完 ~

 

 

 

 

 

 

 


第弐百四拾七話

2011-11-12 | 本編






クルス『ぜぇ・・はぁ・・忠告するぜ・・戦いには型は必要ねんだ・・遊びも必要ってことだ・・・さぁ・・立てよ・・もっと見せてくれ』

 

息絶え絶えにクルスはオムーが言うと、オムーはいまだフラつく頭をブルブルと震わせて焦点を合わせようと必死だ。


オムー『ぜぇ・・はぁ・・想像以上だったぉ・・・でも・・俺からも忠告することがあるぉ・・』

クルス『あぁ?』

 

剣を杖がわりにやっと立ち上がったオムーは、再度唾を飲み込みながら喋った。

 

オムー『・・・確かに型に縛られては柔軟性はないかもしれない・・でも・・遊びすぎは禁物だぉ!!!!』

 


突如、クルスの上空からエネルギー弾が舞い降りてくるのだった。

 

ギューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!

 

ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!

 

司会者『おおおおぉとぉ~~~!!!!!何が起きたぁ~!!!!!』

 


王様『んーωー?なんじゃ?何が起きた!?』

トカマク『空からエネルギー弾が落ちてきたわ!』

 

 

肩にまっすぐと当たりダメージを負ったクルスは堪らなく膝をついた。

 

ザッ・・・・

 

クルス『な・・・・なん・・・・だと・・・・』

 


りん『すごい!!』

アメル『(ノwノ)』

エビちゅ『あの弾は始めに放ったものでちゅね( ̄ω ̄ )』

王様『上空にて待機させておったのか・・・ーωー;』

ニコシア『思いがけない攻撃じゃな(`ω´.;)』

 

クルスの肩にて弾き、上空へ向かったエネルギー弾をまだ尚操作し、隙を見て放つその技術もバルタルトならではの攻撃であった。

 

オムー『クルスが本当に俺を倒しにかかってたら・・・こんな余裕はなかった・・トドメをさせてもらうぉ=ω=.;』

 

余りの衝撃に体を動かすこともできずに膝をつくクルスを抱え上げ空高くジャンプしたオムー。

 

ドヒューーーーーーーーーーーーーーーン!!!!

 

司会者『オムー選手!!!クルス選手を抱え上げ上空へ登ったぁ~!!』

 

最高点に辿り着いたオムーは、クルスの頭から落下させるようそのまま体を上下反転させた。

 

りん『トドメね・・・』


互いに顔を隣合せにし、落下風を受けた髪をそのままにクルスとオムーは、戦いを終えようとする言葉を交わしていた。

 

オムー『クルス、これで決着だ・・』

クルス『・・・ぅ・・・最高の戦いだったぜ・・・・』

 

 

司会者『クルス選手へのトドメの攻撃かぁ~!!!』

 

ニコシア『まったく・・・クルスという名か・・覚えておくかのぉ・・驚かせてくれる男じゃった(`ω´.)』

りん『クーちゃん・・・』

 

しかしクルスは落下スピードが増す中、思いがけない行動にでるのだった。

 

クルス『でもな・・オムー・・俺は・・・負けるわけにはいかねーんだ・・』

オムー『この後に及んで何を言うんだぉ=ω=.;』

 

クルスは剣を取り出し、自らの腹に刺した。

 

ズザッ!!!!

 

オムー『な・・なにを!?』

クルス『ふ・・ふふふ・・・ふははははは(゜Д゜)』

 

司会者『どういうことだぁ!?クルス選手、オムー選手のトドメの大技の前に自らの腹に剣を刺したぁ~!』

 


ニコシア『なんじゃ・・あやつは何をしておる(`ω´.;)』

りん『あれは・・まさか・・』

 


ズズズッズズッ!!!!

 

 


そしてさらに貫通し、オムーの腹へ。
抱えていたオムーの腹へも到達し、両者の体をクルスの剣が突き刺している。

 

ズバッズズズッズウズズッ!!!!!

 

オムー『ぐほっ!!!!な・・・・なんて奴だ・・・ぐ・・・』

クルス『・・言っただろう・・・俺は・・負けん・・負けるくらいなら道ずれだ・・・』

 

エビちゅ『落下ダメージの道連れ・・・でちゅね( ̄ω ̄ ;)』

hanana『クルスさんやっぱりこわい人でし(^0^;)』

トカマク『彼らしいわ・・』

アメル『ひぇぇ(>w<`)』

 


そしてクルスの落下する体から離れることができなくなったオムーは逃げる術もなく、またたく間に二人は地面へ落下してしまうのだった。

 


ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!

 


観客たちも固唾を飲んで見守る煙の中、うっすらと倒れた二人が見える。

 


王様『・・・ゴクッーωー;』

ニコシア『・・・(`ω´.;)』

りん『・・・・オムー、くーちゃん・・』

アメル『・・オムさん・・クルスくん・・(ノw;)』

hanana『・・・・。』

トカマク『・・・・・。』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』

 


その二人に残された体力はなく、かろうじて息をしてはいたが、ぴくりとも動かないその二人の状態は見て取れる。すかさず駆け寄った審判は両手で試合終了宣言を司会者へ合図した。


司会者『・・・この戦い・・・両者・・引き分けぇ~!!!!!』


壮絶なる戦いを称え、観客席からは歓声が鳴り止まない。


『わぁぁあぁああああああぁぁあ!!!』

『ああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!』

『すごい戦いだったぞぉ~!!!!』

 


ニコシア『・・・・いやはや・・言葉もでん(`ω´.;)』

王様『あれがクルスじゃーωー;』

アメル『二人は無事なの(・w・´)!?』

りん『えぇ・・大丈夫よ・・早く救護班呼ばないと』

 

遠くから救護班を呼ぶ声が流れてきている。

『救護班~!!!』

『こっちだぁ~!!!!』

 

クルスとオムーが抱きかかえられ、救護室へ運ばれていく。


ニコシア『オムは・・オムは無事なのか(`ω´.;)?』

王様『大丈夫じゃーωー心配するな、実は甘やかしてるんじゃろう』

ニコシア『馬鹿な(`ω´.;)わしはスパルタ教育じゃっ』


次なる試合をと冊子を見ていた司会者は、我に気づいたかのように目を見開き、首をトーナメント表に伸ばし、眉間にしわを寄せこう言った。

 


司会者『・・と・・ということは・・決勝戦は・・不戦勝により、hanana選手の・・勝利だぁ~!!!!!!!』

『わぁぁぁああああああぁぁぁぁぁ』

『おおおおおおおおおおおぉぉぉぉ』


またさらに会場のボルテージが高まった。
決勝戦へ進むはずであったクルスとオムーは互いに倒れてしまっている。すると決勝戦進出者のhananaが不戦勝により優勝となることは必然だ。

かつてボルケノゴーレムを飼い虐待を起こしていた男も見に来ていた。役たたずと言い放っていたペットが優勝となるその仕打ちは落胆せざるを得ない。


男『う・・嘘だろ・・・あのゴーレムが・・・優勝・・・トホホ・・ORZ・・・』

 


りん『やったねhanaちゃん(*^^)v』

hanana『ほぇ(^0^)?どうしたんでしか?』

 

とうもろこしを食べていたボルケノゴーレムも何が起きたかわかっていない。食べカスを口の周りにつけたままhananaの横でキョロキョロと辺りの騒ぎを気にしている。

ボルケノゴーレム『グフ?』

 


司会者『そして決勝戦勝利ということで・・・ファンブルグ国!トカマク様主催!国内最強武術大会!!!優勝者は・・・・若干5歳の少女!!!hanana選手の優勝です!!!』

『わぁぁぁああああああぁぁぁぁぁ』

『おおおおおおおおおおおぉぉぉぉ』

 

 

 

地響きを伴う歓声と共にそう告げられると、母親は卒倒してしまい、父親に抱きかかえられている。

 

母『ha・・・hanaが・・・』

父『そうだぞ母さん!hanaが優勝だ!!すごいぞっ!!』

湖乃『お姉ちゃんかっくぃぃねっ(^0.^)!湖乃もお姉ちゃんみたいになるぅ!!』

 

司会者『誰が予想できたことでしょうかぁ~!!!!』

 

ニコシア『なんともわからんものじゃ(`ω´.;)てっきり我が子が優勝かと思っていたがな・・』

りん『道を聞いてきたあの子が優勝・・わからないものね^^;』

エビちゅ『エビちゅはわかってまちた( ̄ω ̄ )』

王様『おみゃあ本気でぶっ倒そうとしてたじゃねぇかーωー;』

 

衛兵から優勝者授与の式へのお呼びがかかり、hananaとペットのボルケノゴーレムが闘技場中心へ案内されていく。

 

夏の日の夕暮れ前。高低差ある夏の気圧を感じさせる風が闘技場にもなだれ込んだ。清々しくにこやかなその少女の表情に3万人の観客たちの視線が飛ぶ。

 

司会者『本当に優勝おめでとう^^』

hanana『ぁ・・・ありがとうございましでし(^0^;)ハハ・・緊張するでし・・』

 

司会者『君がhanana選手の助っ人として活躍したゴーレムだね?どうだろう気分は^^』


すかさずボルケノゴーレムにも意見を仰ぐ司会者。


ボルケノゴーレム『グンフッゴッフッグフングゲフグフッ!グングゲ!ゴフグンゲッ!』


無論ボルケノ語までの通訳がいない司会者は対応に困っていたが笑顔で誤魔化している。

 

司会者『・・・・嬉しそうですね^^それでは・・・hanaちゃん優勝賞金200mGは何に使うつもりかな^^?』

 

 

この時、hananaの周囲の人間の頭は欲が渦巻いていた。


王様『・・・まてよ・・・hanaちんは我々の国の兵士になってくれるといってくれてたな・・ということはその部隊に司令を与えるわしは200mGを・・・(ーωー*)ムフフ』

りん『ぇ・・でもまだhanaちゃん子供よね・・ていうことは部隊の先輩である私にも・・(*´∀`*)あの服もしかしたら買ってくれるのかな』

トカマク『hanaちゃんは私の直属の部下よ・・・そう・・私は第一連隊の隊長だから。じゃ・・じゃぁ・・少しくらい・・センスのいい鎧なんかお願いすれば発注できるのかしらね・・ウフ』

アメル『hanaちゃんと仲良くしてて良かったぁ(´w`*)プリンたくさんおごってもらうんだからっ』

エビちゅ『hananaの能力を開発したのはエビちゅでちゅ・・・ということは200mGは(°ハ°)エビちゅのもの』

 


周囲の視線が飛び交う中、爽やかな風により前髪が僅かに動くも、じっと立ち止まったまま笑顔を絶やしていないhanana。タイミングを計るように口を開いた。


hanana『アハッ(^0^)優勝賞金はもう決めてるでしっ!!全部ボルケノさんのご飯を買うでしっ!!!』


王様『;`;:゛;`(;ー;ж;ー; )ブフッ』

りん『;`;:゛;`(;゜;ж;°; )ゴフッ』

トカマク『;`;:゛;`(;゜;ж;゜; )ゲフッ』

アメル『;`;:゛;`(;゜;w;゜; )ドフッ』

エビちゅ『;`;:゛;`(; ̄;ж; ̄; )ポフッ』

 

司会者『良かったですねぇ^^ゴーレムさん』

ボルケノゴーレム『ゴフングッ!!!!!』

 

怒涛のごとく押し寄せる歓声が鳴り止まない。

『わぁぁぁあぁあああああああぁぁぁぁ』

『あああああああああぁぁぁぁぁぁぁ』



hanana『ピースピース(^0^)v』

ボルケノ『グンフグンフッ!!』


かくして誰も予想だにしない少女が、武術大会のトップに君臨し幕を下ろした。
少女とその何倍もある体のボルケノゴーレムはリングにて、いつまでもいつまでも歓声による地響きを感じ手を振っていた。




  ~次回 hanana編 エンディング~





第弐百四拾六話

2011-11-12 | 本編





オムー『おぅ、みせてやんよ=ω=.』


オムーの魔法剣が再び光り出す。
しかしその輝き及びその音は今までとまた違う。


ヴゥルルルルーーーーーン・・・

 

王様『バルタルトの強さはその技数にあり、じゃったなーωー?ニコシア』

ニコシア『うむ(`ω´.)同じ相手に同じ魔法攻撃はせん。』

りん『すごい・・手の内を見せずに勝つということなのね?』

 

クルスの突進により再びの剣の攻防が始まった。


クルス『うぉぉおおおおおぉぉ!!』

オムー『うぁあああぁぁぁぁ!!!』


ジャキーーーーーン!!

ジャキーーーーーーーーーーーーーン!!!


やっと追いついた歓声のボルテージは高く、夕暮れの闘技場をさらに熱している。


王様『されど相手はクルスーωー奴は別名を各地にもっておった』

ニコシア『別名・・じゃと(`ω´.)?』

王様『奴は掛け試合に幼少から参加しておる猛者じゃよーωー』

アメル『掛け試合ってなんですか(`・w・)?』

りん『互いの命を掛けて賞金を稼ぐ闇の試合のことよ・・・そんな無茶なことを・・』

アメル『ひぇぇ・・・』

 

気組みはあれど、二人の深の心は平常心。
ニュートラルにて戦わねば適切な判断を見誤る。

互いにそう動く理由。それは気合任せなどの運命に委ねるものではない。
今まで経験してきた最善の剣筋を選び、無心に振るっている。

常に最良の最高の選択肢を選ぶその戦いの場におき、怒りや悲しみ、邪念は寧ろ弊害だ。
それは深い没入と適切なストレス、そして達成感から生まれる無我の境地に似ている。

絶妙なその剣の交じり合いは互いにライバルとしての位置を越え、敬い尊ぶ念までも生まれさせていた。

 

オムー(強い・・・りんだけじゃない・・ほんとに強い奴はいっぱいいるぉ・・・父ちゃん・・)

クルス(・・・こいつ・・すげぇ・・もっと見せてくれ・・)

 

オムー『アイスフロスト!!!』


クルスの足が地面と共に突如氷つく。

 

ビキキキキキキキキッ

 

クルス『!?』

 

身動きの取れないクルスと距離を取りながらオムーは詠唱を再び始めている。


オムー『アウバリルドラ!!!』

 

りん『アイスフロストでクルスが身動きが取れなくなってるわ!』

アメル『あわわ・・(ノwノ)』

王様『奴の過去の名でこういうものがあったーωー』

ニコシア『闘技場での名ということか(`ω´.)』

 


しかしクルスは持ち前の怪力で地面と共に凍りついた足を引き剥がすのだった。

 

クルス『うぉぉぉおおおぉぉ!!!』

 

バゴココンッ!!!!!

 

オムー『(なんて奴だ・・)』

 

ニコシア『な・・・アイスフロストから足を引っこ抜きおった(`ω´.;)』

 

クルスの再度の突進により剣の攻防が始まるも、オムーは途中止めしていた詠唱を唱え終え、その魔法攻撃があたるようあえて体勢を崩した。

 

ズザッ!!!


司会者『おぉっとぉ~オムー選手!体勢を崩したぁ~!!!!』


歓声も決着が付くのではとどっと盛り上がった。


『わぁぁぁああああああああぁ』

『おおおおぉぉぉぉぉぉ』

 

ニコシア『あれはトラップじゃ(`ω´.)フフ』

hanana『トラップってなんでしか(^0^)?』

エビちゅ『嘘のことでちゅよ( ̄ω ̄ )』

王様『あえて隙を見せて相手に大ぶりをさせ、その相手の隙に攻撃をしかけようとしておるのじゃよーωー』

りん『わざと油断させているってことよ^^』

 


オムーは体勢を崩すと同時、詠唱を唱え終えていた。


オムー『・・メダフォース・・』

 

クルスの横っ腹目掛け、新たなエネルギー弾が迫っていたがクルスは気づいていない。体勢を崩したに見せたオムーへの大振りのクルスの剣は空高く身構えられた。


するとクルスはふと横に目をやるのだった。それはエネルギー弾が向かってくる方角。

 

クルス『へへ・・いいトラップだ』

 

りん『気づいていた!?』

ニコシア『どういうことじゃ(`ω´.;)!?なぜ逃げんのじゃ!?』

王様『奴は防御など考えておらんーωー最大の攻撃こそが奴の真骨頂、それがトラップであろうとチャンスはチャンス』

 

ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!

 

司会者『クルス選手に再びあたったぁ~!!!!』

 

直に受け止めた体の鎧もろとも吹き飛ばし、焼け焦げた肌と血腥い匂いを充満させたリング場には、笑みを浮かべたクルスが剣を高く上げている。

 

プス・・・プス・・・


王様『アランテの地での掛け試合にて、奴には別名があったーωーマルカスじゃよ』

ニコシア『マ・・・マルカスじゃと(`ω´.;)!?』

アメル『またアメさんの知らん名前でた(・w・`)マルカスて?』

りん『闇の掛け試合での賞金王よ・・・』

王様『奴は明日を見ずに戦っておるーωー今の勝ちを優先してな・・命など惜しんでおらん・・そう・戦いこそが全てなんじゃよ』

 


クルス『いい・・・攻撃だぜ・・・オムー・・』

オムー『・・・く・・・・』

 

瀕死の重傷を負いつつも、チャンスをものにしたクルスはオムー目掛けて剣を振り下ろした。

 

ズバッ!!!!


オムー『ぐはっ≫ω≪.;!!!!』

 

慌てて立ちの姿勢に戻るや否や、クルスの鋭い剣が何重にもなり仕掛けてきている。

 

ガガガガガッ!!!!

 

オムー『う・・・・く・・・・』

クルス『うぉぉぉおおおおおおぉぉぉ!!!!』

 

ジャキジャキーーーーーーーンッ!!!


剣を交え固まると、クルスはオムーの顔めがけて唾を吹きかけた。


クルス『ペッ・;(゜Д゜)』

オムー『なっ≫ω≪.;なんだお!!!』


目に受けたオムーの目は一瞬見えなくなり、隙を突き足を払い倒れるオムーへ突き刺すように剣を立てたクルス。しかし咄嗟に体を転がしたオムーの数センチ横の地面に穴が空くのみ。

そしてよろけつつも起き上がったオムーに待っていたのは地面の砂を拾い上げたクルスの靴からの砂利の目潰し攻撃だ。

 

オムー『ぅ・・・くそ・・・きたねぇお≫ω≪.;』

 

クルスはオムーの兜を吹き飛ばすほどの威力で頭部へ重大なダメージを与えた。


ガギッ!!!


ゴロゴロゴロゴロゴロ!!!

 

オムー『ぐはっ≫ω≪.;・・・ぜぇ・・はぁ・・・・』

クルス『ぜぇ・・・はぁ・・・まったく・・・甘ぇぜ・・』

 

王様『クルスは戦いにルールなどない、それがルールなのだと幼い頃からわかっておったーωーそれが生きる術だとのぉ』

ニコシア『・・・・・(`ω´.;)』

 

脳震盪を起こしていたオムーは起き上がろうとするも、再び膝をついてしまう。
それを見つつクルスは言った。


クルス『汚ぇだ??そりゃあ戦場では褒め言葉だぜ?バルタルトにはこの選択肢はなかったかい?』







第弐百四拾五話

2011-11-12 | 本編




空気が突如張り詰め、再び動きの止まった二人を見た司会者も生唾を飲み凝視している。
頭上にいくつかの魔方陣を形成させたオムーは鍔を両手で握り締め目を閉じた。

 

司会者『こ・・今度はなんだ・・。』

 


ニコシア『どういうことじゃ・・奴は・・・詠唱を待っている(`ω´.;)?』

王様『まったく律儀な奴じゃなクルスはーωー』

 


オムーは両手剣をゆっくりと下げ、強く握り締め詠唱を始めた。
3万人以上の観客が見ているなど嘘であるかのように二人の周りには音がない。
耳鳴りがするほどに静寂なリングに、魔法剣の鍔元から不思議な電気流体が迸る音だけが響いている。

 


・・ビビッ・・・・バチバチッ・・・

 

そしてオムーは目を見開くと同時。
見合わせたクルスの怒号に合わせるかのように突進した。

 

クルス『うぉぉぉおおおぉぉぉおお!!』

オムー『うぁぁぁああああ!!!』

 


剣の攻防の制空権と違う距離にて、オムーは突進しながら剣を高々と上げた。


オムー『リバイア!!!!!』


ヴゥーーーーーーーーーーーーーーーーン・・・・


某かのパワーがまとわりついたその双刃の剣。
向かい寄るクルスへ照準を合せ、オムーは至近距離にてエネルギー弾を放った。


オムー『ガンッ!!!』

 

まるで剣が伸びたかのようにクルスの顔前まで接近したオムーのエネルギー弾


ドヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!

クルス『(゜Д゜)?』


突如褐色の発光体を目の当たりにし、仰け反るように咄嗟に避けれたクルスの代償は肩へのダメージだ。


バチッ!!!!!


肩にかすれた弾は角度を変え上空へ上がっていく。


クルス『ぐっ!!!』

 

隙をつき剣による連続攻撃を浴びせるオムーの剣筋に迷いはない。
淘汰された魔法剣の使い手は完全に打ちのめしにかかっていた。


しかしダメージを受けたままオムーの攻撃に合いの手をかけるように防戦しているクルスの表情には不思議と笑みがこぼれていた。
今度は先ほどとは逆にクルスを圧倒し、オムーはクルスを弾き飛ばした。


オムー『うぉぉぉぉおおおおおお!!!!』

クルス『・・くそ(゜Д゜;)』


ジャキーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!


空中に飛ばされたクルスの着地点へ再び照準を向けるオムー。


オムー『リバイア・・・ガン!!!!!』


クルスがかろうじて地面に受身を取ったその時、エネルギー弾がクルス目掛けて押し寄せ、よける術がないその状態にてクルスは腕をクロスして受け凌ぐ他なかった。

 

ドゴーーーーーーーーーーーーン!!!!

 


司会者『おおおおぉっとぉ!!!当たったぁ!!!』


連続攻撃を終え、肩を上下に動かし息を整えているオムーの前方にある煙はクルスの姿を隠している。
リングを覆い隠さんばかりのその煙の大きさは衝撃の大きさを物語っていた。


オムー『ふぅ・・はぁ・・・=ω=.;』


すさまじい戦いに歓声も追いついていない。


hanana『ふぁぁ・・すごいでし(^0^)』

エビちゅ『あれがバルタルトの戦法でちゅか( ̄ω ̄ )』

りん『多彩よね。いろんな魔法攻撃があるみたいね・・・。』

ニコシア『うむ(`ω´.)修行は怠っていなかったようじゃな』

王様『手ぬるいーωー』

アメル『・・・手ぬるい??』

 


煙が徐々に薄れ始め、傷を負った腕を顔前にクロスしたままのクルスの姿が現れ始めた。

 


クルス『・・・はぁ・・ぜぇ・・・そんなもん・・かよ・・』

オムー『ん・・=ω=.;?』

クルス『もっといろいろ見せてくれ・・・』





第弐百四拾四話

2011-07-24 | 本編





身の危険を察知した鳥獣はその土地を離れると言われている。クルスとオムーの戦いも例外ではない。鳥や虫の鳴き声さえも辺りからは消えていた。


選手観覧席に来ているボルケノゴーレムの足がまた僅かに震えているのがわかったhananaは、何倍も大きくゴツゴツとしたゴーレムの手をさすりながらゴーレムの顔を伺うように見上げ呟くように言った。


hanana『ボルケノさん・・・』


下がり始めた太陽の横にボルケノゴーレムの赤黒い顔がある。大きな体がhananaへの太陽の直射を遮り、優しい光がhananaへあたっている。


ボルケノ『グフ・・・』

 

 

挨拶代わりとなる切り抜き攻撃を終え、凄まじい波動を伴う攻撃を繰り出したクルス。それを魔法剣により受けきり、距離を取るオムーの肩には、雷が落下したかのような衝撃を受け飛散した石畳の破片がパラパラと上空より落ちてきている。

 

王様『あの二人の本域の戦いは見たことがないのぉーωー』

りん『練習試合でもなかったわね』

エビちゅ『初交戦でちゅか( ̄ω ̄ )』

トカマク『えぇ・・そうね』

アメル『私はどっちを応援したらいいの・・・?』

 

 


肩上に担がれるように重く太い剣をがっちりと両手で持ったクルスはオムーを睨みつけ、対するは、腰下にてだらりと剣を下ろし、静かな表情にて構えているオムー。対峙する二人の静と動の明確な無駄のない攻防。


ひとたび攻撃があれば怒涛の歓声が場内を埋め尽くし、二人がじっと静かに構えると物音ひとつしない静寂な空間を作り上げる。その一挙手一投足は、全てのものを飲み込む引力を持っていた。

 

 

互いに剣を構えながらゆっくりと摺り足で横へ居を変える二人。広い闘技場の中央にて両者の足を擦るその音が僅かに響いている。

 

ジリジリ・・


・・ジリジリ・・・


僅かな呼吸をしつつ、クルスが動きを煽るように左へ、右へと動いている。

 

ジリジリ・・

・・ジリジリ・・・

 


短絡な前進は隙を見せてしまう。横移動は直線距離の接近を鈍らせ、隙を伺う上等手段である。


リング上にて二人は右へ、左へ。時に静止し、時に円を描き、故意ではない陰と陽の文様が石畳のリングにうっすらと作られていた。徐々にクルスが制空権を破っていく。

 

 

オムー『・・・=ω=.』

クルス『いくぞ(゜Д゜)』

 


隙のない両者であるからこそ迎える両者の迷い。
不意を作ることが、両者の次の一手を探させていた。
その静寂を破ったのは他でもない。クルスだ。


クルス『っらゃぁぁあああ!!』

 

強い踏み込みから振り上げられた剣。オムーは即座に左へ移り、下げられていた剣をそのままクルスの脇腹めがけて切り上げる。


ジャッ!!!

 

零コンマの戦い。素早い回避と同時に放たれたオムーの切り上げ攻撃。豪腕を持していたクルスにスピードを持って反撃をしたオムーの口角が僅かに上がる。しかし、クルスはぐるりと回転し振りかぶった上段剣を下段からの剣へと替えた。

 

オムー『=ω=.!!』

 

クルスの剣筋は、オムーの切り上げ斬線を邪魔するかのように交じらい、聞いたことない鋼の衝突音を轟かせ、空を切らせた。

 

ジャキィィィッィィィッィィン!!!!!

 

オムー『なっ=ω=.;!!!』

 


余りにも激しいぶつかり合いにより、はじけ飛ぶはずの剣をなんとか片手で持ち、空を泳がせている二人。剣術でいう『死に体』とはこのことだ。『死に体』は僅かに作る攻撃も防御もできない隙間。素早く元の構えになるか、或いは次なる攻撃を繰り出した方が有利になる。

 

エビちゅ『死に体でちゅね( ̄ω ̄ )』

王様『うむーωー』

 

オムーははじけ飛びそうになった剣をかろうじて片手から両手に戻し、すかさず切りかかろうとしたその時。クルスの柄頭がオムーの肩を捉える。


ガッ!!!


オムー『ぐはっ≫ω≪.;!!』

クルス『ッフン!!!』

 

クルスはそのまま横へ薙ぎ払う攻撃をしかけ、

 

クルス『うぉぉぉぉおおおお!!!』

ブンッ!!!

 


なんとか防御をするが、余りの直打されたクルスの豪腕により、足が地面から浮き上がり、
勢いよく体ごと弾き飛ばされてしまうオムー。

 

ガキーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!

 

オムー『くっ≫ω≪.;!!』

 

 

ゴロゴロゴロゴロ・・・

 


クルス『・・ハァ・・・フゥ・・・(゜Д゜)』

 

深追いはせず息を整えるクルスは何か言いたげだ。

3万人の観客は息を呑み、またしても静からの動きに感動を覚え、
オクタゴンリングに歓喜極まる声援が飛んでいる。

 


『おおおおぉぉぉぉぉぉおおおぉ』

『オムー!!!!』

『わぁぁぁあああああああああぁぁ』

『クルスー!!!!』

 

 

アメル『オムさん(>w<`;)』

ニコシア『剛と柔の戦いではなかったか(`ω.´)』

りん『クーちゃんはパワーだけじゃないわ』

 

地面に転がったオムーは、重たそうに自身の体を持ち上げ立ち上がった。

 


オムー『・・・く=ω=.;』

 


剣でのみの戦いには 多少部が悪い。
それを知っていたクルスは距離をとり言った。

 

クルス『へへっ(゜Д゜)使えよ』

オムー『・・・・うむ=ω=.』







第弐百四拾参話

2011-07-18 | 本編







夏の日は長い。大会開催から時間の経過はしており、やや日が暮れ始めているとはいえ、まだ太陽の日は強い。


プルグという砂地にのみ咲く花には、寄り添う大きな葉があることが特徴的だ。夏の暑い日はみなその葉を仰ぎ、ほのかに甘い香りを漂わせ、暑さを凌いでいる。


りん『まだ暑いわね(*^▽^*;)』

エビちゅ『エビちゅはアイス買って来るでちゅ( ̄ω ̄;)』

りん『てら^^』


ニコシア『プハァー(`o.´♯)この酒うまいのぉ』

王様『じゃろう(*´ω`*)ファンブルグの地酒じゃぞ?』

hanana『おじーちゃんお酒くさいでし(>_<)!!モゴモゴ』


慌てて母親がhananaの口を塞いだ。


母親『ご無礼を申し訳ありません><!』

りん『いいんです(*´▽`*)じじぃで』

王様『国王で(ーωー;)』

 


・・・・・・


・・・


・・

 

薄暗い闘技場地下の連絡通路に響く一人の足音。
駆け足となるその店舗の持ち主はアメルだ。

アメル『えっと・・(・w・;)もう試合はじまっちゃうかな・・』


東西に分かれた道がアメルを物理的にも悩ましていた。東の道へ行けばクルスの待機している選手控え室へ。西の道へ行けばオムーの待機している選手控え室へ行ける。

一歩東の道へ踏み出すもすぐに止まり、西へ体が向き直る。そして西へ足を踏み出すも、東へ体が向いている。アメルは試合前の応援をしにどちらを先にいこうか迷っていた。


アメル『あれ・・・わたしどっち先に行こうか迷ってる(・w・;)』

 

どうせなら選手観覧席で待っていれば良かったと後悔するも、どこか不安な気持ちがここまで足を運ばせ、二度三度繰り返し立ち止まってしまっていた。


アメル『クルスくんに負けて欲しくないし、オムさんにも負けて欲しくないぁ~迷う・・なんでわたしって優柔不断なんだろう(・w・`;)試合はじまっちゃう、よしっクルスくんからいこう!』

 


・・・・・・・・・

 

・・・・

 

・・

 


やや息を切らしたアメルはクルスのいる選手控え室ドアを恐る恐る開けた。


ギ・・ギギィ・・


大きく足を開き椅子に座ったクルスは、肩を大きく上下にさせながら背中を見せている。同年とは思えぬ程のその大きな背中をもったクルスの背中からは湯気が昇っていた。

 

アメル『ぁ・・クルスくん・・(・w・;)』

 

吐息と共に、面倒くさそうにクルスは言った。

 

クルス『俺が負けると思ってか?』

 

背を向けながらクルスは問うた。


アメル『ぇ・・・・(・w・´;)?』


クルスは近くにあったコップを口へ運び、豪快にそれを飲む喉からは大きな音が漏れている。


ゴキュッ!ゴキュッ!ゴキュッ!

 

割れるほどの勢いで机に置くクルスは、大きく息を吐き言った。


クルス『俺は負ける気がしねぇ・・・いってやれ、二度と話せなくなるかもしれんぞ?』

 

戸惑い動こうとしないアメルを諭すようにクルスは闘気を放つ横顔をアメルに見せ促した。

 

アメル『ぅ(・w・;)うん・・』

 

 

すぐにアメルはオムーのもとへ走った。
この焦燥感はいったいなんなのだろう。

剣闘士と呼ばれる闘う者にとり、相手の力量はわかってしまうことが常だ。しかしそれが頂点に達するほどの強さを持った者たちにとり、その概念はあてはまることはないのかもしれない。

アメルはクルスの絶対的な強さを知っている。そしてオムーの絶対的な強さをも知っている。

生か死かという戦いではない武術大会であるため、一定のルールに則った戦いになることは当然なはずであったが、クルスとオムーの戦いには不安が残っていた。

その何某かの不安がアメルを走らせているのかもしれない。大会における優勝をもっと超越した何かを欲している二人を理解していたアメルは、ただでは済まされないものになることを感じていたのだった。

 

・・・・・・

 

・・・


 

なんとか間に合ったアメルはオムーのいる控え室ドアをゆっくり開いた。するとクルスとは対照的に、オムーは静かに目を閉じ、椅子の上であぐらをかいていた。

 

アメル『オムさん(・w・;)』

 

なぜかそれ以上の言葉は出てこない。
ゆっくりと目を開けたオムーはまっすぐとアメルをみつめ言った。

 

オムー『ごめん。アメル=ω=.』

アメル『・・・・(・w・;)』

オムー『俺は負けるわけにはいかない=ω=.クルスは・・・生きて返ってくる保障はないぉ』

アメル『わたし何ていったらいいかわからなくて(・w・;)オムさんに負けてもらいたくないし、クルスくんにも負けてほしくないし。』

オムー『アメルらしいな=ω=.』

 

すると、控え室に地響きと共に歓声が届いてきていた。

 

『わぁぁぁぁぁああああああああああぁぁぁ』

『ああああああああああぁぁぁぁぁ』


歓喜、狂喜ともとれるその声々はクルスのリングインを暗に知らせている。すっくと立ち上がったオムーは、剣を持ち連絡通路へ歩き始めた。


オムー『俺らは戦う運命にある。いつかクルスとは戦いたいと思っていた=ω=.あいつもそう思っていたはずだぉ。』

 

暗がりの遠くから眩い光を注いでいる連絡通路へ入って行くオムーは、そう言い、颯爽とリングへ向かって行く。

 

アメル『オムさん・・・』

 


・・・・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

360度からの声援に両手を挙げて応えているクルスの表情は自信で満ち溢れている。

 

クルス『こい(゜Д゜)オムー』

 

司会者のオムーの登場を仄めかす仕草をみた観覧席からは、またも声援がリングへ届き始めている。暮れているとは思えぬ程の熱気を帯びている会場観客席。興奮を抑えきれず座っている者はいない。

 

司会者『続いてぇ~!!オムー選手の登場だぁ~!!!』

 

『わぁぁぁあああああああああああぁぁぁ』

『ああああああああああああああああぁぁぁ』

 


王様『はてさて(ーωー*)どうなることやら』

エビちゅ『この予想は難ちいところでちゅね( ̄ω ̄ )』

りん『二人とも頑張ってぇ~(*^▽^*)ノシ』


王様は酒のつまみである豆を一粒口にいれ、転がすように味わいながらニコシアの表情を伺っている。

 

王様『ふぉっふぉっ^ω^緊張するじゃろ?』

ニコシア『ま・・・まぁのぉ・・(`ω.´;)どこまで修行ができているかじゃな』

王様『クルスは舐めたらあかんぞぃーωー奴は本物じゃ』

ニコシア『わしがいたルルカスの地でもクルスの名は知られておる(`ω.´;)』

王様『奴の強さはのぉ・・』


『わぁぁぁあああああああああああぁぁぁ』

『ああああああああああああああああぁぁぁ』

 

そう言い始めた王様とニコシアの会話を遮るように会場のボルテージが上がった。

 

審判の両者を近づけさせる指示をするまでもなく、既に二人はリングインすると同時に近づいている。その二人の目は仲間を見る目ではない。


既に戦闘モードになっている二人の距離が短くなるにつれ、会場のボルテージが断続的に高まっていく。

その互いの距離の詰め方は審判のルール説明のためではないことは明確だ。その二人の勇ましい歩み寄りは制空権の交わりを望むものであった。


『わぁぁぁあああああああああああぁぁぁ』

『ああああああああああああああああぁぁぁ』

 

ルール説明をするはずの審判は、睨み近づきすぎる二人の胸を抑え、詰め寄りを制止した。両者背の高いクルスとオムーをかろうじて抑え止めている審判は必死だ。


審判『ちょっと待ちなさいっ!落ち着いて!!』


まっすぐとクルスを見つめ直立しているオムーとは対照的に、クルスは体力を持て余すかのように上体を左右に大きく揺らしながら牙を見せオムーを睨みつけている。審判がルール説明などしていたが、二人の耳には入っていない。

 

オムー『本気で潰しにいくぉ=ω=.』

クルス『上等だ(゜Д゜)こいや』

 

二人の胸を力強く抑えている審判は、場外にいる審判に制止しきれないことを表情で伝えると、そのやりとりを察知した司会者はすかさず叫ぶ。


司会者『それでは試合開始だぁ~!!!!』


『わぁぁぁあああああああああああぁぁぁ』

『ああああああああああああああああぁぁぁ』

 

審判は咄嗟に離れると、クルスとオムーの距離は数十センチ。この距離は利き手とは逆にある脇差を抜く余裕はない。二人は各々の左にある脇差しを左手にて逆手でもち、抜くと同時に上体を傾け攻撃をしようと剣を滑らせる。

超至近距離にて可能な零コンマの剣攻撃、力こそないが、瞬時に相手を切ることができるそのタクティクスは両者一致していた。


互いが体を傾け、逆手剣を互いに滑らせ、鋭い音が場内に響き渡る。


ギュィッキィィィィィ~ン!!!!


鍔元をもった左手をそのままに、右手を添えオムーに突きを放つクルス。


クルス『うぉぉぉおおおぉぉ!!!』


逆手剣を滑らせたあと即座に、傾く上体に習うように転がり距離をとるオムーは、寸でのところでクルスの切っ先をかわした。

振りかぶりつつ瞬時に距離を詰めたクルスはすでに振りオムーの頭目掛けて剣を振り下ろしており、順手に持ち替えたオムーは咄嗟に左手を添えるように交差してクルスの剣を受け止めると、乾いた剣と剣の重なる音とともに、

 

ジャキィィィィィィィンッ!!!!

 

そのクルスから放たれた剣からの闘気から、オムーの背中後ろの石畳のリングには、クルスの剣に沿ってまっすぐと大きな亀裂が走っている。

 

ガガガガガガガガガガッ!!!!!


大きくできたリングの亀裂の周囲には掘り起こされたかのように岩や破片が飛び散っている。それはまるで稲妻が落下したかのような破壊力であった。

クルス『受け止めたか(゜Д゜)』

オムー『さすがクルスだぉ=ω=.』




『わぁぁぁあああああああああああぁぁぁ』

『ああああああああああああああああぁぁぁ』




りん『・・・すごぃ・・。』

王様『・・・(ーωー;)』

ニコシア『これほどまでか(`ω.´;)』

アメル『・・・クルスくん、オムさん・・・』


司会者『(なんという戦いだ・・・言葉もでない・・)』






第弐百四拾弐話

2011-05-09 | 本編









二人の額にジワジワと溢れ始めた汗。
要因は、この夏の日照り、或いは戦いを前にした緊張だ。

観客たちがリングへ注目する中、王様は酒のつまみ探しに必死であった。歓声に紛れている王様の声が僅かにオムーの耳に入る。

王様『オムー!つまみもっと何かないのかのぉ(ーωー*)』

 

『わぁぁぁあああああああぁぁ』

『ああああああぁぁぁぁぁ』

 

オムー『ん=ω=.??なんだよ王様、今それどころじゃないんだよっ!そこにあるよ!』

王様『つまみがないと落ち着いて戦いもみれんのじゃ(ーωー*)』


オムーはアメルとhananaの試合が始まろうとしている石畳のリングから目を離せず、明後日の方向を指差し示している。

 


ガサゴソッ

ガサガサゴソッ


よろよろと皆の足元をふらつく王様を心配そうに見ているりんは声をかけた。

 

りん『王様なにやってんの??アメルたちの試合始まるよ!』

王様『どこじゃ(ーωー*)ゲフッ』

 

クルス『エビちゅ!アメルにやった猫は近接攻撃だけか(゜Д゜)?』

エビちゅ『それは見てのお楽しみでちゅ( ̄ω ̄ )』

 


周囲が半ば立ち上がるように中腰でオクタゴンリングを見入る中、一人うずくまり、袋と格闘している王様の鼻息は荒い。

 

王様『誰じゃ片結びにしたのは(ーωー*)』

ガサゴソッ

ガサガサゴソッ

 

オムー『アメル油断するなぉ=ω=.!!!』

トカマク『あの猫・・・詠唱をしてるわ・・・まさか』

ニコシア『なるほどのぉ(`ω´.)』

王様『のほ(*´ω`*)これはうまそうじゃ』


酔った王様の手はおぼつかず、手に取った缶詰がポトンと地面に落ち、選手観覧席とリング場を挟む芝生に転がっていってしまっている。


ポトンッ・・・・コロコロコロ・・・・


王様『これ(*´ω`*)なぜ離れる。もっとちこうよれ。』

 

答えるはずもない缶詰を追い、おぼつかない足取りで芝生へ入っていく王様。元来、リングでの戦いの激しさから観覧席に危険が及ぶことがないよう、距離が設けられた空間だ。

ぎゅうぎゅうに敷き詰められた観覧席とは違い、リングを囲む芝生はある意味特等席である。夏の日照りがあるとはいえ、風の通り道となる芝生は火照った顔を冷やすには丁度いい。

開放感を得た王様は盛り上がる真後ろの観覧席を尻目に、手に取った缶詰を眺め、ドスンと尻を置き、袖で蓋を拭き、満面の笑みを浮かべている。


キュッキュッ


王様『ビールにはやっぱりこれじゃな(*´ω`*)ゲフッ』

オムー『飛ばしていけ=ω=.!!アメル!!!』

エビちゅ『hanana!迷うことはないでちゅ( ̄ω ̄ )全力でいきなちゃい!』

 


司会の始まりの声が闘技場へ響き渡った。

 

司会者『それでは試合開始だぁ~!!!!』


『わぁぁぁあああああああぁぁ』

『ああああああぁぁぁぁぁ』


りん『さぁ!はじまったわよ(*^▽^*)!』

ニコシア『うむ(`ω´.)』

トカマク『ゴーレムに恐怖心はもうないようね』

クルス『さてアメルどうする(゜Д゜)』

 


hanana『レバッタ・・・ミウデアルテス・・・リガンダリムタ \(-_-)/』



hananaの詠唱により空中に赤い魔方陣がうっすらと見えてきている。


ブァーーーーーンッ!!

 

と同時ボルケノがアメルへ突進を始めた。


ボルケノ『グワンゴォーーーーー!!!』

 

ズシンッズシンッ!!

ズシンッ!!

 

 


アメル『よしっ!!炎使いぬこ(ーwー´)ノ!!フレイアローだ!!』

炎使いぬこ『ミィーヾ(`-´=)』

 

ボルケノゴーレムの地響きを伴う突進に合わせ、フレイアローの指示をアメルは猫に飛ばした。


とその時。リング近くにて片手にもったビールを勢いよく開け、続いてもう片方の手に取れた缶詰の蓋を思い切り開けた。

 

プシューッ!

パカッ!!


王様『のほ(*´ω`*)』

 


すると、魔法を放出しようとしていた炎使いぬこの頭上にあった真っ赤な魔方陣は、なぜか音もなく消えてしまっていた。

 

炎使いぬこ『ミィ(・0・=)???』

アメル『ぇ(ーwー´)?』

 

それに気づくや否や炎使いぬこは一目散にそれの発信源である王様へ飛び跳ねながら駆け寄っている。


スタタッ!!

スタタッ!!!


炎使いぬこ『ミィッミィッヾ(^-^=)!!』



向かうべき敵とは90度垂直に違う方向へ突然走り出す猫にアメルは動揺を隠せない。

アメル『炎使いぬこさん(・w・´;)?どこへ・・・』

 

司会者『おぉーっとぉ~!!!アメル選手のペットが距離を取ったぁ~!!』

 


りん『詠唱が止まったわ!』

トカマク『作戦変更?』

オムー『なっなんだ=ω=.;?』

クルス『これはまさか・・・(゜Д゜;)』

エビちゅ『( ̄ω ̄ ;)』

ニコシア『なんじゃ(`ω´.)』

 

満面の笑みで王様へ駆け寄る猫に気づいた王様もそれに応えるように腕を広げた。

 

スタタッ!!

スタタッ!!!

炎使いぬこ『ミィッミィッヾ(^-^=)!!』

王様『おぉーどうしたぬこちゃん\(*´ω`*)/我が胸に飛び込むんじゃ!』

 

 

大きくジャンプした猫は芝生に着地し、いっぱいに腕を広げる王様を素通りし、足元にあったシャケの缶詰に食らいついている。

 


シュパッ!!!

スタタッ!!

 

炎使いぬこ『ガツガツガツガツヾ(^~^=)!!』

王様『・・・・・\(*´ω`*)/』

 

石畳の八角形のオクタゴンリングは芝生に囲まれ突出している。舞台となるそのリングから降りれば場外負けとなってしまう。しかし躊躇なくアメルの猫は着地してしまっていた。



司会者『おぉ~っとぉ~!!!アメル選手の戦闘ペットが場外だぁ~!!hanana選手の勝利ぃ~!!!』


『わぁぁぁあああああああぁぁ』

『ああああああぁぁぁぁぁ』


hanana『あれ^0^;何が起こったんでしか??』

ボルケノ『グフ???』

 


炎使いぬこ『ミィッガツガツッ(^~^=)フミィ!!』

アメル『・・・・(・0・´;)』

 

意外な展開への驚嘆と呆気のない結果に、大きな歓声の中、笑い声も飛んでいる。


『わぁぁぁあああああああぁぁ』

『あっはっはっはっ』

『ああああああぁぁぁぁぁ』

 


戦いを直視できずに両手で目を覆っていたhananaの母親の肩に父の手がゆっくりと乗った。

 

父『母さん・・・また・・hananaが勝ったぞ・・・』

母『えっ!?』

湖乃『キャハハ!!(^0.^*)ノ彡☆バンバン!! お姉ちゃんまた勝ったぁ~!!』

 

りん『あんなとこで王様は何やってんの・・・』

 

王様『・・・・・\(*´ω`*)/』




クルス『www』

トカマク『アメル・・・』

オムー『ま・・まぁ怪我がなかったからよしとするか・・ハハ=ω=.;』

ニコシア『あの猫ちゃんはシャケ缶が好みなんじゃろうか(`ω´.)』

クルス『弱点があったんだなw』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ ;)』

 


炎使いぬこ『ガツガツガツガツヾ(^~^=)!!』

 

王様に接近するアメルの表情はまさに鬼の形相だ。



アメル『王様こんなとこで何やってんすか(▼w▼♯)!!猫をおびき寄せちゃってるじゃないすかっ!!』

王様『知らんわ(▼Д▼♯)!!このシャケ缶はオムが買ってきたんじゃ!!』


アメル『オムさぁ~ん(TwT♯)!!』

オムー『俺=ω=.;!?ぁっでもこれは・・エビちゅの調教に問題があるんじゃないのかぉ!』


アメル『エビちゅ~(▼w▼♯)』

エビちゅ『想定外でちゅ( ̄ω ̄;)エビちゅに責任はありまちぇん』

 


予想外の場外負けを喫し、うずくまるアメルの肩をポンッと叩き、クルスは選手控え室へ向かっていく。


クルス『さすがアメルだ(゜Д゜)おもしれぇもん見させてもらった!ありがとな!』

アメル『見せようと思って見せたんじゃないし(▼w▼♯)!!』

 

クルスが控え室に向かう姿をみて我に返ったオムーも、そそくさに
後を追っている。


オムー『俺も控え室いかないとっ=ω=.』

りん『二人とも頑張ってぇ~(*^▽^*)ノシ』

ニコシア『それにしてもあの少女が決勝戦に進出か・・いやはや(`ω´.;)』

 

誰も予想することができなかった無名の少女の決勝戦進出。それは自らも予測などできるはずもなかった。


hanana『なんかよくわからないけど勝ったみたぃだねっボルケノさん^0^ノ!!』

ボルケノ『グンフッ!!』

 

司会者『それでは~!!時間を入れ、第二回戦!第二試合となります!!』

『わぁぁぁあああああああぁぁ』

『ああああああぁぁぁぁぁ』

 

続いて行われるのはトーナメント第二回戦第二試合だ。この勝者が決勝戦にてhananaと戦うことになる。至上最も衝突が激しくなると予想されるクルスvsオムー。


壮絶必至のこの戦いは、ハイクラスな戦いになることは誰しも認めている。そう言わんとばかりに、選手控え室へ向かうオムーとクルスの背へ、既に盛大な期待の声援が送られていた。

 


『わぁぁぁあああああああぁぁ』

『クルス~!!!』

『オムー!!!』

『ああああああぁぁぁぁぁ』

 

王様『ぬこちゃん旨かったか(*´ω`*)?』

炎使いぬこ『ミィッヾ(^-^=)』







第弐百四拾壱話

2011-04-23 | 本編



『わぁぁぁぁぁああああああぁぁぁ』

『あああああぁぁぁぁあああぁぁ』


大音声消えやらぬ闘技場。
3万人を超える観衆の目は二人の少女へ向けられている。


控え室からの細い連結通路にて、その大きな音声は二人を乗せ、地面から突出している八角形のリングに雪崩れ込む。

 

歓声の中歩くアメルは緊張からの吐き気を催していた。


アメル『あぁ~吐きそうーwー;』


気遣うように炎使いぬこは、立ち止まったアメルの靴を撫でている。

 

炎使いぬこ『ミィーヾ(^-^=)』

 

 

一方相対する方角からは、hananaたちの登場だ。蟹股でゆっくりとリングへ向かうゴーレムの肩には、まだ幼いhananaが笑みを浮かべながら座っている。

 


王様『むほっもう二人の登場かーωー?』

りん『うわっアメル猫連れてる!かわぃぃ(*´▽`*)』

エビちゅ『エビちゅのあげまちた( ̄ω ̄ )』

オムー『アメルだ!アメルがんばるんだぉ=ω=.!!』

 

両手でしっかりとゴーレムの顔にしがみついてるhananaは、360度取り囲む民衆の熱狂ぶりを眺める若干の余裕が出ているようだ。


hanana『あはっ^0^すごいねっ!ボルケノさん!』

ボルケノ『グンフッ!!』

 

二人のリングインと共に、主審は中央へ一足先に立ち止まり、二人へ中央へ集まるよう合図をしている。

 

 

トカマク『あの子は強い。アメルは初めから全力でいかないとやられるわ。』

クルス『だろうな(゜Д゜)』

 


遠目からみると対照的な対峙が見て取れる。ゴツゴツと岩でかためられた大きな体のゴーレムと幼い少女。対面するは、足ひざにも届かない小さな猫とhananaより若干歳上となる少女。審判員が間にて話し始めると、hananaとアメルは同じように首肯する。


戦いに相手を慈しむ気持ちなどいらない。それは自らを守る為、それは大切な人を物を守る為にある。否、プライドを守る為でもあるだろう。

自らの強さを欲し上がれば上がるほどその思いは強く。自らの獅子となる戦闘力を受け止める相手を無心に探していたのかもしれない。その第二の戦う意味がいまだ解せぬ二人に安堵はない。互いに気組みある視線を対敵へ飛ばす二人。

 

地を踏みしめるアメルの目は獅子の目に。詠唱を始めたhananaの目も打倒のみに徹する目に。

 

りん『始まるわ・・・。』

王様『さぁ、見ものじゃーωー楽しませてくれぃ!』

 

 

審判員が二人のもとを離れ、司会者へ向かい手を挙げた。すると緊張と期待を一挙に届けるかの如く、司会者の張り裂けそうな声色が闘技場に声が響く。


司会者『準備ができたようです!』

 

オムー『飛ばしていけ=ω=.!!アメル!!!』

エビちゅ『hanana!迷うことはないでちゅ( ̄ω ̄ )全力でいきなちゃい!』

 


手を広げ身構え戦闘体勢になったゴーレムの足は地を踏みしめ砂利を僅かに除ける音が両者の耳に入っている。

 

ジリッ


ジリジリッ

 

hanana『ボルケノさん!!いこう!!』

ボルケノ『ガフッ!!!』

 

炎使いぬこ『フーヾ(`-´=)』

アメル『うおおおおぉぉぉ!!!!』

 

司会者『それでは、試合開始だぁ~!!!!』











第弐百参拾九話

2011-01-03 | 本編







いよいよファンブルグ国 トカマク主催 国内最強武術大会も第二回戦となる準決勝試合を迎えることとなった。

暫しの休憩時間。
昼過ぎとなったファンブルグ闘技場。
真夏日の日差しは未だ強いが若干日が下がり始めており、闘技場を4分する十字の道に吹き抜ける風が心地よい。

 

りん『ふぅ~(*^▽^*;)ちょっと日照り弱まってきたんじゃない?』

オムー『だぬ=ω=.』

 

 

王様に連れられ、hananaの家族も第一連隊の観覧席に顔を出した。

 


王様『よーωーノ若いのたち』

アメル『あ!国王だ(・w・´)』

オムー『ん?誰だ=ω=.?』


王様の側を歩く家族に目を向けたオムーが即座に聞いている。

 

王様『ふむーωーこの方々がhanaちゃんのご家族じゃ』

母『はじめまして』

湖乃『はじままして(^0.^*)!』

 

hananaの父と母の丁寧なお辞儀と、頭に束ねた団子髪を勢い良く地面へ振りながら、不慣れで元気な挨拶がりん達へ届く。

 


りん『かわいいわね(*^▽^*)初めまして!もしかしてhananaちゃんの妹かな?』

 

子供の視線に合わせるように中腰になり、満面の笑みで挨拶をするりんに合わせ、他の者達も挨拶をした。

 

湖乃『うん(^0.^*)!このですっ!』

 

第一連隊の観覧席にいたhananaへ母は駆け寄り、力強く抱きしめている。

 

母『・・・・・。』

hanana『お母さん(^0^;)どうしたんでしか・・』

 


すっと腕の力を緩め、hananaの顔をまじまじと見つめている母。しかし何も言わず、涙を浮かべながら笑顔で顔を横に振っている。


王様『お父さん、お母さんーωーどうぞ、第一連隊への入隊のご許可を頂きたい』

 

既に願い出ていた王様はhanana本人のいる前で、第一連隊や総指揮トカマクの前での家族の承認をもらいたく、この場へ連れて来たのだった。

休憩時間とはいえ、喧騒な闘技場の観覧席。
そんな中、相反するりん達やhananaの家族たちの沈黙が続いている。

 


母『はい・・・本人が望むのであれば・・お国のためであれば、』


父と妹の湖乃は黙って聞いている。

 

王様『どうじゃhanaちゃん^ω^わしらと一緒にこの国を守るのじゃ』

hanana『この国を・・守る・・?』

王様『そうじゃ。わが国は今エステンブルグから度々襲われておるーωーもしhanaちゃんの力があれば、今の戦いのようにゴーレムやいろいろな人たちの苦しみを助けることができるのじゃ』

 


今先程の壮絶な戦いを思い出すかのように一瞬目を逸らし考えると、hananaは二つ返事に答えた。

 

hanana『はいでしっ^0^ノ!!hana頑張るでしっ!!』




第一連隊一同に安堵の顔が並び、挨拶を改めてしている。

 

りん『良かった(*^▽^*)わたしはりんていうの。よろしくね。』

クルス『俺はクルスだ(゜Д゜)よろしくな』

オムー『俺はオムーだぉ=ω=.よろしくだぉ』

トカマク『私がファンブルグの総指揮をさせてもらってる者よ^^これからよろしくね』

アメル『わたしがファンブルグの鉄壁の壁役アメさんね(●´w`)ニヘッ』

ニコシア『わしは第一連隊のものではないがのぉ(`ω´.)お主が第六の獅子とお見受けした。以後よろしゅうじゃ。』

王様『もう一人エビちゅというたわけもんがおるんじゃがーωー』

hanana『・・・エビちゅさんも第一連隊なんでしね^0^;』

 

クルス『あぁそうだ。全くエビちゅの奴とんでもねぇ呪文つかいやがって(゜Д゜)』

オムー『見た面は幼児でも中身は王様なみに歳いってるからな=ω=.ボケてきてるのかもだぉ』

クルス『それはいえてるなw』

王様『ふぉっふぉっ^ω^』

 

エビちゅ
『何かいいまちたか( ̄ω ̄ )?』

 


クルス『;`;:゛;`(;゜;ж;゜; )ブフッ』

オムー『ぶwwww`;:゛;`;・(≫ε≪.;)』

王様『`;:゛;`(;▽;ж;▽; )バフッ』

 


王様『か・・帰ってくんの早いのぉーωー;』

エビちゅ『リードブルース魔法を舐めるでないでちゅよ( ̄ω ̄ )テレポートでちゅ』

アメル『もはやなんでもアリ(ーwー´)』

hanana『あっ!エビちゅだぁ~!エビちゅのかばー><』

エビちゅ『なんでちゅかいきなり( ̄ω ̄ ;)』

hanana『いじめっこでしっ><』


王様『まぁhanaちゃん聞きなされーωーエビちゅはhanaちゃんの奥底の力を引き出す為にあのように辛辣な修行の場を与えたのじゃよ』

hanana『・・・・・><』

王様『まぁ確かに最後の暗黒魔法は愚か者のすることじゃがなーωー』

エビちゅ『あれはエビちゅもやり過ぎたと思ってまちゅよ。あれは劇場版で使う予定だったこと忘れてたんでちゅ( ̄ω ̄;)』

アメル『何の話だ(ーwー´;)』


王様『まぁhanaちゃん^ω^許してやるんじゃ。こやつも反省しておる。』

 


反省という言葉を聴いたhananaの視線がエビちゅの目に飛ぶ。

 

エビちゅ『・・・・( ̄ー ̄)』

 

エビちゅの相変わらずの顎を上げた高慢な表情は変わることを知らない。


hanana『は・・反省・・エ・・エビちゅが・・?』

 

 

王様『うむーωーこやつもこう見えて大人じゃ』

エビちゅ『 (ノ) ̄ω ̄(ヾ)ムニムニ・・・』

 

hanana『そうなんでしか><?』

 

 

王様『そうじゃ^ω^だから許してやっておくれ』

エビちゅ『o< ´ ̄ω ̄` >oヒ゛ローン』

 

hanana『反省してない気が(-_-;)』

 


横でふざけているエビちゅにやっと気づき、エビちゅの胸倉を掴む王様の血管が切れそうだ。

 

王様『てめぇ横で何やってやがんだ(▼Д▼♯)こっちは気つかって間入ってやってんだぞ!!』

エビちゅ『さ・・次の試合は誰でちたっけ( ̄ω ̄ )?』

りん『えっと・・・』

 

トーナメントの冊子をパラパラとめくるりん。
すると突如王様の耳元で鼓膜が破れんばかりの大声が響き渡るのだった。

 

 


衛兵2
『お話中すいません!!!』

 王様『ぐおっщ(▼Д▼щ♯) 』

 

王様『うるせぇパゲッ(▼Д▼♯)!!!耳元で騒ぐないったじゃろがぁ!!鼓膜がいくつあってもたらんわ!』

衛兵2『ヒイッ><』

 


次から次へと起こる出来事に王様は堪忍袋の緒が切れている。

 

アメル『まぁまぁ(ーwー´ )国王・・もちついて』

衛兵2『次の試合なんですが、大会の関係上hanana選手とアメル選手の試合になりますので準備の方をよろしくお願いします!』

アメル『げ(▽w▽`;)も・・もうアメさんの出番なの?』

衛兵2『はい!控え室の方へお二人ともよろしくお願いします!!』

hanana『はいでしっ^0^ノ頑張るでしっ!!』

アメル『くぉ~(>w<´;)次オムさんたちだとばっかり思ってたぁ~』

王様『まぁまぁーωーアムエルもちついて』

 


かくして始まることとなったトーナメント第二回戦。
準決勝となるその第一戦目はアメルvshananaだ。
壮絶な獅子同士の戦いになることは防げない。






第弐百参拾八話

2010-12-27 | 本編




りん『エビちゅはその暗黒魔法をできるのですか?』

 

りんの強い口調での質疑がニコシアに飛ぶ。

 


ニコシア『間違いない(`Д´;)!!あの詠唱はマティルトウェイトじゃ!!』

クルス『ボルケノの攻撃よりもエビちゅの詠唱が早く終わっちまう(゜Д゜;)やべーぞ!』

トカマク『りん!!射って!!』

りん『弓は控え室におきっぱです(*/ー\*)』

トカマク『ORZ』

 

エビちゅの頭上に地球上のものとは思えない音と共に、ブラックホールのような亜空間が出来上がり、異空間同士の摩擦からか周囲には不快な電気混在している。

 


ブワーーーーーーーーーーーーーン!!!

ビビッビビビッ!!!

 

エビちゅ『・・フッ・・フフッ・・・エビちゅに敗北の文字は・・・ないんでちゅ\( ̄ー ̄; )/』

りん『オムー攻撃魔法を><!!』

オムー『わかった≫ω≪.;!!でもこの距離じゃ間に合わねーぞ!!』

クルス『くそっ(゜Д゜;)!!』


りん達の座る観客席からリングまではかなりの距離があり間に合わないこともわかっていたが、クルスは客席からリングへ走り出している。と同時、オムーは鞘から剣を取り出し、最も詠唱時間の短いスペッナズボルトを唱えだした。


オムー『間に合ってくれ≫ω≪.;!!!』

王様『もうだめじゃ(゜Д゜♯;)』

 


すると突如hananaも両手を挙げ、詠唱をし始めている。

 


hanana『・・・raokooo・・risuvurukasa・・・\(-_- )/』

 

hananaの頭上には今までの青い光沢をもった空中魔方陣ではない。それは真っ赤な陣を形成している。


アメル『なにあれ(・w・´;)真っ赤だよ!』


攻撃魔法の象徴ともなる真っ赤な光沢を持つ魔方陣が空中に形成されていた。

 

トカマク『クレリックじゃないの?あの子・・』

王様『なんじゃあれは(゜Д゜♯;)古文書と違うぞぃ!!』

りん『攻撃型・・・』

ニコシア『・・クレリック(`ω´;)』

王様『・・・・じゃと(゜Д゜♯;)?』

 


hanana『これでお仕舞いだぁ~><!!!』

 

 

エビちゅ『マティルト\( ̄◇ ̄ )/!!!』


hananaの挙げられた両腕は詠唱が終わると共に、胸元にて交差され、弓を射るように
肘を引き、

 

hanana『サイッ!!!!』

 

最後の放出詠唱。
渾身の力を込められた手を前へ差し出すhanana。
その方向はしっかりとエビちゅへ向けられている。

 

りん『サイアロー!?』

 

客席を走っているクルスも突如hananaの頭上に現れた赤い魔方陣を確認した。

 

クルス『あのガキ・・攻撃魔法も唱えれるのか(゜Д゜;)』

 

 

hanana『アローーーーーーー><!!!』

エビちゅ『ウェイ・・・\( ̄◇ ̄ )/?』

 

サイアロー。無属性魔法のひとつ。
空気中に存在する分子を離れさせ、一挙に気圧を低くし、尋常ではない分子操作から真空状態を作り上げ、鋭い切り口を持って敵を斬り裂く攻撃魔法。

誰よりも早く、どの攻撃よりもエビちゅに到達するであろうスピードで少女の両手の平から放出された真空刀はエビちゅへ向かう。

 

ザザザザザザーーーーーーーーーーーーー!!!

 

オムーのスペッナズボルトの詠唱よりも早く。


片足が石畳のリングに入り、リングインしたクルスの目の前を。


エビちゅへ突進していたボルケノ股の下を。


hananaの放った真空刀はエビちゅの目前まで迫っている。

 

エビちゅ『・・・・攻撃型・・クレリック( ̄◇ ̄; )?』

hanana『あたれぇ~><!!!!』

 


エビちゅは咄嗟の判断で詠唱を止め、ジャンプしてサイアローをかわした。

 


シュパッ!!!

 

エビちゅ『危なかったでちゅ( ̄◇ ̄ ;)』

 

真空刀はリングへ際立った音もなく減り込んでいく。


スッスササササ~!!!!

 


トカマク『避けられた><!!』

王様『あのスピードを避けたか(゜Д゜♯;)』

 


hanana『ボルケノさん><!!今だああああぁぁぁぁ!!!』

 


ジャンプして避けたエビちゅは着地までは回避ができない。その隙をみて、hananaはボルケノへ攻撃指示を飛ばした。

 

エビちゅのいる場所へやっと到達したボルケノは、大きな拳をもった右腕を大袈裟に後ろへ振りかぶる。体を傾け、全身全霊の力を込めた拳が作り上げられている。


エビちゅ『ちょ・・待つでちゅ!話せばわかるでちゅ( ̄◇ ̄;)!!!』

ボルケノ『グワンゴオオオォォ!!!』

 

人を2,3人は飲み込んでしまうほどの大きな手をもったボルケノの拳は固く握られ、振りかぶられた拳の最高到達スピードとなるそのポイントにて、エビちゅを捉えた。

 

バコーーーーーーーーーーーン!!!

 

エビちゅ『ぎぇぇぇぇぇええええぇぇぇぇぇ!!!!』

 


ボルケノのパンチによりエビちゅは弾き飛ばされ、空の彼方へ消えていく。

 

ピカーン・・・・

 

 

アナウンス『ボルケノのパンチがあたったぁ~!!場外だぁ~!!hananaの選手二回戦進出ぅ~!!』

 

下馬評を覆した意外性と迫力、互いに助け合うペットと少女の健闘ぶりから、歓声は怒涛のごとくリングを覆っている。

 

『わぁぁぁあああああああああああぁぁぁぁ』

『おおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ』

 

hanana『へへv(^0^ )勝ったでしっ!!ピースピースッ』

ボルケノ『グッフッ!!!』

 

 

クルス『ふぅ・・間に合ったか(゜Д゜;)』

オムー『危なかったぉ≫ω≪.』

りん『あの子の潜在能力は計り知れないわね・・』

王様『なんともまぁ・・すごい少女登場じゃな(゜Д゜♯;)』


トカマク『また第一連隊の仲間が増えたんじゃない?』

りん『はい・・強力な・・・』

アメル『あの・・もしかして・・次あの子と戦うの・・アメさん(ーwー´;)?』

オムー『がんばれぉw』

アメル『こぇぇぇす(>w<´;)』

 

アメルvsファラン(王様)。
トカマクvsクルス。
りんvsオムー。
hananavsエビちゅ。

こうしてトーナメント第一回戦は終わった。第二回戦もまた、群雄割拠をにおわせる激しい戦いは避けられない。

アメルvshanana。
クルスvsオムー。

果たして決勝まで誰が勝ち進み、最強という称号を手にするのは誰なのであろうか。

 

・・・・・・


・・・・


・・

 

 

闘技場から何十キロも離れたジャングルに落下したエビちゅは、かろうじて息をしていた。

 

 

エビちゅ『・・不覚でちゅ・・負けてちまいまちた・・・みんな死ねばいんでちゅ(パタッ)』









第弐百参拾七話

2010-12-27 | 本編




エビちゅ『ドバッグ・・ダ・・ペン・・~\( ̄ー ̄ )/~』

 

今までにない闘気を放つエビちゅ。
それは古代より禁じ手とされたある技であった。


変装王様『・・はわ・・はわわわわわ(■Д■.;)』

りん『王様?どうされましたか?』


王様に変装した男はその技を知っていた。
そのうろたえぶりにりんも動揺を隠せない。


一方離れた観客席にいたファランとうい偽名を使う王様もエビちゅの技に気づき始めている。

 


ファラン『・・・な・・な・・なにをしておるーД■;エビちゅ』

 


数万人で埋め尽くす闘技場にてその呪文が理解できていたのは二人だけである。ヒートアップされる戦いに歓声はより一層大きくなっている。

 

hanana『ボルケノさん!このままいこう!』

ボルケノ『グフング!!!』

 

 

古代魔法などに精通しているりんは、エビちゅの唱える言語に違和感を覚え始める。頭の片隅にある知識が眉間に僅かな力を入れさせる。

 

りん『・・あれって・・もしかして・・』

 

詠唱中のエビちゅはファランと名乗る王様へ顔を向け言った。

 

エビちゅ『王ちゃま!hanaの覚醒はおわりまちた!あとは好きにさせてもらいまちゅ!エビちゅのプライドを傷付けることは誰にもできないのでちゅから\( ̄ω ̄ )/』


ファラン『・・ぁ・・ぁの馬鹿・・・ーД■;』


親しんだ者の言動から、それだけではない口調からも、次にする行動は王様の頭の中で決定付けられている。

決して使うことはない、否、使ってはならない古代魔法。禁じ手とされる魔法の詠唱であるとの疑いは、エビちゅの発言から確信となった。


息を切らしすかさず前席にいる客を押しのけ、前のめりになるほどの勢いで観客席最前席の手すりにぶつかる王様。


ダッダッダッダッダッ!!




最前席の手すりに勢いよくぶつかる王様ののカツラとサングラスは反動で勢いでずり飛んでしまっている。


ズルッ!

ファサッ!!!!


ファラン『何を馬鹿なことをいっておるエビちゅ!!!■~~ファサッ~(゜Д゜;♯)ノ!!』

 

アメル『ぶwはwww(゜'w゜” ;):』

クルス『あれ王様じゃねぇか(゜Д゜;)』

りん『やっぱりw』


アナウンス『おぉーっとぉ~!ファラン選手は・・国王だったのかぁ~!!』

『わぁぁぁあああああああああああぁぁぁ』

『ああああああああああぁぁ』


オムー『やっぱじじぃだったのか=ω=.;何やってやがんだ』

 


すると突如、崖から落ちたであろう岩の衝突のごとき音がオムー襲い、それと共に、オムーの脳天に激痛が走るのだった。

 

ゴツンッ!

 

 

オムー『いてぇ~≫ω≪.;・・な・・なんだぉ・・・何がおきた・・』

『ばかたれが(`ω´.)!!王様に向かってじじぃとはなんだ!!』

 


頭痛の理由は、変装男からの拳の脳天への突打であった。王様への悪態発言から、変装していた男が素顔を見せ、怒り出している。余りの痛さからふらつきながら両手で頭を抑え、殴った相手をみたオムーは度肝を抜くのだった。

 

オムー『ぶっ;`;:゛;`(;゜;ж;゜; )とッ父ちゃん!!!!』

ニコシア『ふん(`ω´ )もう茶番はおしまいじゃ』


突如サングラスを取り、王様の白髪のカツラをむんずりと取った変装男は、堂々と素顔を晒し、リングへ目を向けている。


その状況に呆気を取られたりん達の口は塞がらない。


りん『・・・ニコシア・・・様・・・』

アメル『ほぇ~(・w・´;)』

クルス『ニコシア・・・(゜Д゜;)』

 

バルタルト・ニコシア。ファンブルグ暦18××年。ゲリラ戦を得意とし、一人にして12小隊を打ち破った逸話を持つ当時の伝説の獅子の一人。戦時下の中で生まれたその屈強な騎士は今なお語り継がれている。

当初からニコシアであることを知っていたトカマクはむしろエビちゅの言動が気になっており、いつものように何キロも通るであろう跳ねた声で質問を仰いでいる。




トカマク『ニコシア様!エビちゅはいったい何をしようと!!』

ニコシア『奴が唱えているのは暗黒魔法じゃ(`ω´;)まったく・・問題児はかわっとらん』

トカマク『暗黒魔法?』

りん『ファンブルグ暦推定500年。ニルド戦争にて世界共通戦争規則を唱えたアバダエル法に取り上げられている暗黒魔法です。』

ニコシア『もう使える奴がいなくなったので自然と現行法には表記されんくなったんじゃ(`ω´;)』

アメル『やばい魔法なの(・w・´;)?』

クルス『マティルト・・(゜Д゜;)』

 

クルスの発言を被せるようにニコシアがしゃべる。

 

ニコシア『そうじゃ(`ω´;)元名マティルトウェイト。核融合を異次元にて作り爆破させ、この空間で衝撃派を一気に放出させる古代暗黒魔法のひとつじゃ。』

りん『ちょっ・・・マティルトウェイト・・・』

トカマク『エビちゅ!!はやまらないで!』

クルス『あの馬鹿、血迷いやがって(゜Д゜;)』

オムー『マティルトウェイト・・聞いたことがあるぉ=ω=.;』

アメル『エビちゅやめちくりぃぃぇぇぇぇ(>w<´;)まだプリンいっぱい食べたいし!』

 

 

そのやりとりの意味もわからず、見たことの無い大技を期待して歓喜している観客たち。尚も離れた観客席から王様の説得が続いていた。

 

王様『やめんかエビちゅ(▼Д▼♯;)ノ!!そんなことしたらファンブルグ諸共ふっとんでまうでないか!!』

 

歓声の中、必死な王様たちのやりとりはhananaの耳に入れることはなかったが、
エビちゅが唱える魔法の威力をにわかに感じ始めていた。

 

hanana『この魔法は・・・』

 

エビちゅ『ティルタ、リバラブラバ・・・みんな死ねばいんでちゅ\( ̄ω ̄ )/』