それは僅かに開いた窓から入る一本の矢であった。枕に頭をあずけたままのハプティは、目を見開き音のある方へ向かせると、向かいのドアに刺さっているのがわかった。
ハプティ『え・・・・うそ・・・』
すると今度は窓ガラスを割り、何本もの矢が部屋の中に入ってくるのだった。
バリンッバリンッ!!!!
カカカカカカッ!
パリンッ!!
ハプティ『キャッ(>w<=)』
たまらなくベッドの横に転がり落ち、床にへばりつきながらハプティは壁にできた矢の様を眺めている。
バリンッ!!!!
カカカッカカッカッ!
パリンッ!!
一頻り窓のガラスを全て割り、とめどなく壁へ、寝ていたベッドへ刺さり、壁から落ちた矢は身を引いたハプティの目の前へ落ちてきている。
カカカカカカッ!!!!
カッ!!
バラッバラバラッ!!
ハプティ『あわわわわわ(>w<´;)』
すると離れた場所で弾道の音ととれる音と爆発音も耳に入ってきた。
ヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
ドゴーーーーーーーーーーーン!!
ハプティの足元である船体が大きく揺れる。
ハプティ『な・・なに・・・どうしたの・・?』
りんの声も聞こえる。
『面舵いっぱい~!!!!!』
ヒューーーーーーーーーーーン!
ドゴゴゴーーーーーーーン!
さっちゃんらしき声も耳に入ってきた。
『はい!!』
ドゴーーーーーーーーン!!
と同時。頭上の屋根は赤い火と共に吹き飛び、似つかわしくない満点の星空が火煙りの間から見え隠れしている。
ハプティ『はわわわ(>w<;)』
周囲の船体の燃える熱さと入り交じる海上の冷たい風が夢でないことを告げている。大きく右へ左へ傾く船体キャビンの残った壁にしがみつき、片膝をついたハプティに対して怒号が飛ぶ。
『伏せろハプティ!!なにしてる!!』
キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
誰の声かもわからず従い身を伏せると、ハプティは次なる爆轟の衝撃波によって船横の手すりまで勢いよく飛ばされ体をぶつけた。
ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!
ゴロゴロゴロゴロッ!!ドドッ!!!!
ハプティ『ふぁっ(>w<´;)』
傍まで駆け寄ってきたのはオムー。
オムーの横から火煙りと共にうっすらとキャビンの様子が見える。腰上の建物が真横へ爆風で吹き飛びキャビンは半壊してしまっていた。
オムー『危なかった・・≫ω≪.;』
ハプティ『オムさん!!ねぇっこれって!これって(>w<´;)!』
オムー『西からの砲撃で俺も吹き飛ばされたぉ!!エステンブルグの残党狩りかもしれない!』
ヒューーーーーーーーーーーン!
ドゴゴゴーーーーーーーン!
壊れた材木なども吹き飛ばすように船体は大きく揺れている。二人とも手すりに掴まり辺りを見回すと、船体の燃える火のみが皮肉にも明かりとなり、キャビンだけではない、船全体が半壊していることに気づくのだった。
オムー『なんてことだ・・。』
よく見ればオムーは左足から出血をしている。
ハプティ『足!大丈夫!?』
オムー『静かに!!』
大きな幾度となく続く爆発音の中で、僅かな声を確認するようにオムーは耳を周囲へ傾けている。
ハプティ『あ・・はい(>w<;)』
ヒューーーーーーーーーーーン!
ドゴゴゴーーーーーーーン!
弾道の音と爆発音は鳴り止まない。
立っていることさえままならない二人は辺りの音に意識を集中させている。
キーーーーーーーーーーーーーーン
ドゴーーーーーーーーーーン!!
ドゴゴゴーーーン!!
『クルツ!敵は何隻かそこから見えるだけ教えて!敵の規模、詳細を!』
『はいっ!』
燃え上がった火の粉も頭上から落ちてくる。りんの声がその爆発音に混じり聞こえてきた。その声は船首の方角からだ。
『ヌコルちゃん!浸水の確認を!hanaちゃん!みんなの回復を!』
『はいっ!!』
『はいでしっ!』
オムー『りんだ!!りんたちの声が向こうからする!!』
キーーーーーーーーーーーーン!!
ドゴーーーーーーーーーーン!!!!
船の荒だった動きから周囲の波しぶきが足場を滑らせ、手すりや建物の残骸を掴んでいなければたちまち海へ放り出されてしまう程に揺れている。瓦礫が散乱している船横の道で、何度も転がりながら匍匐前進をしているエビちゅがいる。
エビちゅ『怪我はないでちゅか!?』
ハプティ『エビちゅだ!!えっと・・あの・・その・・・オムさんが左足を怪我してるよ(>w<´;)』
オムー『こんなの怪我のうちにはいらねぇお!エビちゅこそ大丈夫か!?』
エビちゅ『なんとか大丈夫でちゅ!!』
キーーーーーーーーーーーーーーン
ドゴーーーーーーーーーーン!!
オムー『くそ≫ω≪.;あとをつけられてたのか!!』
エビちゅ『残党狩りでちゅね!』
ハプティ『王様だ!あそこに王様が倒れてる!!』
よくみれば、うしろの瓦礫に王様が埋もれて倒れている。
ハプティ『王様!!!大丈夫!?』
オムーは慌てて瓦礫をどけると王様はやっと意識を取り戻したようであった。
王様『はっ(゜Д゜♯)な・・なんじゃ!!敵襲か!?』
オムー『あぁそうみたいだ!』
キーーーーーーーーーーーーーーン
ドゴーーーーーーーーーーン!!
再び船体が大きく揺れ、海へ放り出されそうになる王様を掴みこらえるオムー。
王様『わわわわ(゜Д゜♯;)』
オムー『ここにつかまってるんだ!王様!』
すると半壊したキャビンの残骸の向こう。
りんの声が届いてきた。
りん『王様!エビちゅ!オムー!ハプティ!無事!?』
王様『あぁ大丈夫じゃーωー;』
エビちゅ『なんとかでちゅ( ̄ω ̄;)』
オムー『大丈夫だ!』
ハプティ『他のみんなは(>w<;)!?』
りん『透くん!!みんないたわ!!回復に徹して!』
透くん『はい!!』
王様『あかん(゜Д゜♯;)!!火が消えとらん!燃えてしまうぞぃうぉぃ!!!』
オムー『駄目だ!不用意に立ち上がったら駄目だ!!』
キーーーーーーーーーーーーーーン
ドゴーーーーーーーーーーン!!
『ぐぁっ!!!』
『ぐぉっ!!』
砲弾がオムー間近に着弾し、オムーは倒れてしまい、王様も大きく揺れる船体により船首へ放り出されてしまっていた。
オムー『ぅ・・・ぐ・・』
ハプティ『オムさん!!!透くん!回復を!!』
透くん『はい!!』
エビちゅ『りん!王ちゃまが吹き飛ばされたでちゅ!』
半壊した中央偵察塔によじ登り、くまなく見渡したクルツはりんへ叫んだ。
クルツ『旗からエステンブルグではないようです!盗賊のようです!西より1隻!後方より2隻!北東からも1隻です!おおよそ100兵、石火矢!投石!砲弾!
剣槍兵多し!統率が取れています!』
船底浸水確認をしてきたヌコルが帰ってきた。
ヌコル『浸水!!船体東から浸水です><!!!!』
キーーーーーーーーーーーーーーン
ドゴーーーーーーーーーーン!!
ドゴゴゴーーーン!!
りん『・・・・まずい・・全滅する・・。』