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眩しい太陽・・美しい月・・そして世の中所詮金でちゅ

伝説の獅子たちが活躍する笑い泣き感動ありのアクションストーリー (c)2008hiyoko.現在原画製作中!

第壱百九拾七話

2009-05-02 | ~回想の章(hanana編)~



   ~回想の章(hanana編)~



夜のファンブルグ東町。
珍しく衛兵を引き連れていない王様は、まだ開店間もない酒場入口にいる。
中央通りに面していることもあり、中の人は多いようだ。


王様『・・・・・ここか・・ーωー』

 

見上げてみると、ショットバー<ヤシの木>というさび付いた看板が確認できた。

入り口からは弱い光が漏れている。
夜のファンブルグ中央通りの暗がりに同調するかのように店内は薄暗い。


半開きのドアを王様は体で押すとカクテルの甘い香りが鼻に、そして客でほぼ満席に埋め尽くされた席が目に入ってくる。


王様『・・ぉ・・結構いるのぉーωー』


薄暗い店内は最小限の照明に抑えており、洒落た雰囲気を醸し出している。

中に入るとすぐに湾曲したカウンターがあり、細く長い足をもった椅子とそれに座る客の尻が綺麗に並んでいるのが目に入ってきており、テーブル席にも所狭しとほろ酔いの気持ちのよくなった顔が並んでいた。


この場所で待ち合わせをしていた王様は辺りを見回している。

 


王様『・・どこじゃろな・・・ーωー』


ファンブルグには数え切れない程に酒場はあるが、この店は特に繁盛しているようである。

満席近いとは思えない程に静かであり、日々のストレスを発散させる場である大衆酒場というよりは、むしろ上品な雰囲気が伝わってきていた。

 

 

店内を暫く歩いた王様は、カウンター席に待ち合わせの人物を発見するのだった。

 

王様『・・・ぉ・・ーωー』

 

細い足を四本携えたカウンター椅子に自らのバッグを置き座っており、やっとカウンターに顔を出している背の小さい者がそこに座っている。


それは、先日ファンブルグ軍の専属の傭兵となったエビちゅである。幼児体型にも関わらず、足を色っぽく組み座る姿は異質な空気を周囲に漂わせている。

王様は無言で隣に座り、カウンター中にいる若い男に酒の注文をした。

 

王様『スコッチをすこっちくれぃ^ω^』

男『・・・・・。』

 

一瞬固まったカウンター中の男はすぐに我に返り、酒を入れ始めている。

 

エビちゅ『・・・いきなり寒い台詞で登場しまちたね( ̄ω ̄ )』


エビちゅは目の前にあるカウンター中の何百本と並ぶ酒瓶がある正面を見ながら話しかけると、同じように王様もまっすぐ前を向きながら返答している。

 

王様『仕事じゃーωー』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

お互いに目を合わさずに肩を並べ、前触れもなく本題へ入っていく二人。

 

エビちゅ『いくらでちゅか( ̄ω ̄ )?』

王様『3は出すーωー』

エビちゅ『9は欲しいでちゅ( ̄ω ̄ )』

王様『・・・今回は戦いの依頼ではないのじゃーωー』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )?』


店員はソーサーを差し出し、氷とスコッチが入ったグラスを王様の目の前に出すと、二人の話を邪魔することのないよう静かにその場を離れている。

 

王様『実は聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院から講義をして欲しいとファンブルグ軍に依頼があってのぉーωー』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』

王様『先日のチプスタでの戦いで、エビちゅは大活躍したろうーωーあのリードブルース魔法を使った人を講師として招き入れたいといってきておるのじゃ』


王様はグラスの酒をちびちびと飲みながら話し続けている。


王様『入学生への激励の言葉や魔法の成り立ちなどの講義をして欲しいとなーωーどうじゃ?頼まれてくれんか?』

エビちゅ『悪くはないでちゅね( ̄ω ̄ )王ちゃまが8を出すならやってあげてもいいでちょう』

王様『・・・無茶いうな・・5でどうじゃーωー;』

エビちゅ『・・・・・7で( ̄ω ̄ )』


苛立ちを覚えながら王様は、グラスの氷をバリボリと噛み砕いている。


王様『・・バリッ・・ボリッ・・・ーωー;国家予算ギリギリなんじゃぞ』

エビちゅ『間とって6でどうでちょう( ̄ω ̄ )』

王様『・・・うむ・・6mGで手を打とうーωー;』

エビちゅ『ぇ(゜ハ゜)60mGってことでちゅよ?』

王様『桁が違うわ(゜Д゜♯)そんな金ないわい!!』

エビちゅ『・・・・まったく・・しょうがないでちゅね・・貧乏国はこれだからいけまちぇん( ̄ω ̄ )日程についてはあそこにいるマネージャーに話してくだちゃい』


突拍子も無い台詞に呆気に取られた表情を見せる王様。


王様『ほぇーp-?』


エビちゅ『なに馬鹿みたいな顔してるんでちゅか( ̄ω ̄ )まぁ元から馬鹿でちゅけど

王様『何か今小声で聞こえたのだが・・ーωー;』

エビちゅ『空耳でちゅよ( ̄ω ̄ )』

エビちゅは顎で奥のテーブル席にいるモンスターを指し示している。

 

よく見れば、そこには全身真っ赤な色に覆われたボルケノゴーレムがテーブル席に座っており、その不自然さからか、周囲には人がいなくなっている。

ボルケノゴーレム。
力と体力に溢れた屈強なモンスターである。
その中でも一際壁やくに秀でた、溶岩で固められた頑丈な体をもつボルケノという種別に属している。

その種族は平均身長3m。
大きな体に似合わず気は優しく控えめであり、真面目で不器用なところがある。

 

王様『・・・マネージャーって・・あのモンスターかーωー;?』

エビちゅ『そうでちゅよ( ̄ω ̄ )?』

 

そのモンスターの体は優に3mは超えている。
頭が天井にぶつかりそうになる程高い位置にあり、薄暗い照明の電球を邪魔臭く感じているのか、顔を仰け反らして座っている。

ボルケノゴーレムにとっては小さい不釣合いな椅子にチョコンと座り、行儀よく酒を飲んでいる。

 

王様『おみゃー店内にモンスター連れ込んでいいのかーωー;?』

エビちゅ『モンスター禁止なんてどこにも書いてありまちぇんよ( ̄ω ̄ )?』

王様『そりゃそうじゃろーωー;普通連れ込んでくる奴などおらんわい・・・・だいたいあの小さい入り口からどうやって入ってきたんじゃ』

エビちゅ『入り辛そうでちたね( ̄ω ̄ )正座して丸くなって入ってきまちた』

 

気だるそうに王様は立ち上がり、そのテーブルまで歩いていく。
モンスターの不自然なその姿は、明らかに周囲の客を遠ざけていた。

王様は周囲の目を気にしながらそのテーブルに座ると、首を90度曲げて上を見上げ話し始めるのだった。

 

王様『・・・え~っとじゃな・・・わし・・エビちゅの知り合いじゃ・・ーωー;仕事の日程の件で話したいのだが・・』

マネージャー『グワッホォ!ガッフガッフッ!グゲンガゴフガフッ!』

王様『・・・・・ーωー;』

 

何をしゃべっているのかわからない王様はエビちゅのカウンター席にそのまま戻っていく。

 

王様『エビちゅ・・・・ーωー;』

エビちゅ『なんでちゅか( ̄ω ̄ )?』

王様『あいつ言葉しゃべれんのかーωー;?』

エビちゅ『あぁ~王ちゃまはゴーレム語しゃべれないんでちたっけ( ̄ω ̄ )』

王様『ゴーレム語なんて聞いたこともねぇぞぃーωー;』

エビちゅ『通訳係りはあっちの席にいるでちゅよ( ̄ω ̄ )』

 

エビちゅは顎を使い、やや離れているテーブル席を指し示している。

 

王様『まったく面倒じゃな・・・ーωー;』

エビちゅ『人生急がばまわれでちゅよ( ̄ω ̄ )』

 


重い足取りでその通訳係りがいると言われた場所へ進んでいくと、そのテーブルへ着くや否や、予想だにしない陽気な声で迎えられる王様。


『はぁ~い(^.^*)ノシ』

王様『・・・・ーωー;』

 

にこやかな顔でその女性は王様に隣の席をあけている。


『わたしの名前はジャスミン(^.^*)よろしくね』


テーブルから立ち上がったその女性は悩ましい腰つきで握手を求めてきており、王様は嫌々に手を伸ばした。

 

王様『・・・わしはファーレンというものじゃーωー;よろしくのぉ』

ジャスミン『わたし渋い人も好きよ(^.^*)』

 

胸の谷間をこれでもかと見せたその女はいやらしく座り、王様の目の前でこれ見よがしに足を組み替えており、調子を狂わされている王様は、早速本題へ入ろうとしゃべりだしている。


王様『・・エビちゅの仕事の日程の件であそこに座っておるマネージャーと話しがしたいんじゃがーωー;』

ジャスミン『あら・・ナンパじゃないのね(^.^*)・・・・』


ナンパでないとわかると一気に脱力感に征服されたかのように肩の力が抜けているその女は、口を尖がらせて鼻で溜息をついている。


王様『・・・通訳してくれんかのぉーωー;』

ジャスミン『・・・はーい・・せっかくお休みなのになぁ~_ノ乙(、ン、)_』

 

 

通訳を間に挟み、日程についてマネージャーと話が始まる王様。
既に疲れの色が見えている。

 


王様『・・・5月の16日なんかどうじゃろうーωー;』

ジャスミン『ドワンゴッ!!ゴワットガワガワッ(^.^*)!』


マネージャーは鞄からゴーレムの指よりも小さいスケジュール帳らしきものを出している。


王様『・・・・ーωー;』

 

スケジュールを確認したいのか、マネージャーは何度もページを捲ろうとするが、太い指ではスケジュール帳さえも開けられず、指を震わしながら苛立ちを隠せていない。


王様『・・・だいじょぶなのか・・ーωー;』

マネージャー『・・・・グ・・グワンゴ・・ガンゴ・・・・』

 

通訳係りのジャスミンは男を探しているのか、辺りの客の品定めをしている。

 

ジャスミン『・・ぁ・・・いい男(^.^*)』

王様『・・・・ーωー;』

 


大粒の汗を垂らしながら震える指でスケジュール帳とにらみ合っているマネージャー。


マネージャー『・・グワンゴ・・・グワンゴ・・・・グ・・・ググ・・・』

王様『・・・・あの・・・わし・・・・開けようかーωー;?』







 

マネージャー
『グワンゴォーーー!!!!』

 

バコッ!!!


 

マネージャーは苛立ちが爆発したのか突如立ち上がり、天井をぶち破り頭をめり込ませてしまうのだった。首から下を店内に残して頭は屋根裏に突き抜け、中腰のままマネージャーは固まっている。

 

王様『・・・・・・・ーωー;』


店内は静まり返り、奥から店員らしき人が駆けつけてきていた。

 


店員『またですか・・・・弁償してもらいますよ!!』

ジャスミン『あはははははっ(^◇^*)マネージャーまたやったぁ~!!』

 

店内は騒然としていたが、ジャスミンは所構わず大うけしており、エビちゅはゆっくりとマネージャーの元へ歩いてきた。

 

王様『エビちゅーωー;いつものことなのか・・?これは・・』

エビちゅ『よくあることでちゅ( ̄ω ̄ )』

 

天井の崩れた破片が王様の座るテーブルにパラパラと落ちてきている。


パラパラパラ・・・・・


王様『・・ふぅ・・・ーωー;』

エビちゅ『マネージャー( ̄ω ̄ )生きてまちゅか?』

 

マネージャーは申し訳ない気持ちを交え、中腰で固まったまま小さな声で返事をした。その声は屋根裏から聞こえており、見事に声が曇っている。


マネージャー『・・・・・ゴンゴ・・・・』