ガシャンッ!!!
・・ガサ・・・・ガサ・・ガラン・・・・
山積みになったボトルの上にさらに投げられている洋酒ボトル。
さぞ高級であろうふんわりと触り心地のよいカーペットが敷かれているその部屋には、中央のガラステーブルを囲むようにソファーが置かれており、空になった酒の瓶やボトルが足の踏み場が無いほどあちこちに散乱している。
エビちゅ『・・・・ヒック・・・・( ̄ω ̄*)』
ソファーに寝そべりながら天井を見つめ、その顔は赤く火照り、目の焦点が合わなくなるほど泥酔しているエビちゅ。
エビちゅ『・・ヒック・・・ったく・・ざけんじゃないでちゅ・・・ヒック( ̄ω ̄*)』
あれから暫くし、中華料理経営もすでに清算手続きに入っていた。
理想と現実の隔壁に耐えきれず、エビちゅは逃避を酒に委ね、毎日自宅で浴びるように酒を飲んでいる。
自己と現実を忘れる為の酒は全くうまく感じることはできない。
幾度と無く吐いては飲み、荒んだ日が続いていた。
エビちゅ『・・・・・ヒック・・・ゲフッ( ̄ω ̄*)』
目が開けられないのか半分瞑ったまま、ぶらぶらと力が入りきらない手で、テーブルの上を弄っている。
・・ガラガラ・・・ガサ・・・・ゴソ・・・
手当たり次第に酒の入った瓶やボトルを探しており、倒れた瓶を掴んでは目の前まで近寄せ底を覗き、残量を確認している。
エビちゅ『・・・・ヒック・・( ̄ω ̄*)!!!』
残量が残っていない空瓶だとわかると、八つ当たりするように瓶を遠くへ投げている。
エビちゅ『・・・・ないでちゅ( ̄ω ̄*)!!!』
ガシャン!!!
・・・ガラガサ・・・カラン・・・
・・・ガラン・・・
テーブルの上には倒れた瓶やボトルでいっぱいになっており、エビちゅの手に押され、行き場の無くなった空瓶は音を立て落ちてしまっていた。
エビちゅ『・・・・ないでちゅ( ̄ω ̄*)!!!』
ガシャン!!!
すると、普段は取ることもない本棚の高い棚に命中し、落下する瓶の後を追うように一冊のノートらしき薄い本も落ちてくるのだった。
・・グラ・・・ドサ!!
エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄*)』
何年も見ていないことを表すようにホコリに被っている一冊のノート。
エビちゅは何かを感じたのか、じっとその本を見続けている。
エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄*)』
ソファーから落ちるように床に降り、見るに耐えない量の空瓶で埋め尽くされている床を、エビちゅは四つ足でそのノートに向かって歩き始めた。
ガラ・・・ガサ・・・
・・・ガラン・・・カラン・・・・
邪魔するたくさんのボトルをのけながら這っている。
・・・・カラン・・・
ガラガラ・・・ガサ・・・カラン・・・
そしてすぐにそのノートが何であるかがわかるのだった。
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聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院
卒業論文
『リーズブルース 魔法詠唱について』
著:エビちゅ
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エビちゅ『・・・・ヒック・・・( ̄ω ̄*)』
それはエビちゅが卒業の際に書いていた論文。
エビちゅ『・・・ヒック・・エビちゅにもこんな時代があったんでちゅね~( ̄ω ̄*)』
~ここからの推奨youtube動画BGM
http://www.youtube.com/watch?v=SiFhjqeEvcE ~
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今から60年前のある日のこと。
春を迎えたエビちゅにとっての母校でもある聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院。エビちゅとその親友であるファーレンは、6年もの間お世話になったその校庭にいる。
ファーレン『ねぇエビちゅ^-^!!』
エビちゅ『なんでちゅか( ̄ω ̄ )?』
ファーレン『これからぼくたち旅立つでしょ?だからさ!ここにタイムカプセル埋めようよっo^-^o!!』
エビちゅ『・・・・興味ないでちゅね( ̄ω ̄ )』
ファーレン『えぇぇぇえええぇぇ><のりわるいぃぃ!!』
ファーレンは地団駄を踏み、エビちゅに激しく同意を求めている。
ファーレン『だってさ!社会出たら二度と会えなくなるかもしれないって先生言ってたよ><!!!やろうよやろうよやろうよぉ~!!』
エビちゅ『・・・・かったるいでちゅよ( ̄ω ̄ )』
するとファーレンはポケットから取り出し、エビちゅの顔の前に差し出した。
エビちゅ『・・・・なんでちゅかそれ( ̄ω ̄ )』
ファーレン『この前ガチャガチャ買ったんだ^-^このカプセルに手紙いれよう!』
早速ファーレンは鞄から取り出したメモをエビちゅに渡し、自身にも用意したメモに何やら書き始めている。
ファーレン『・・・んしょ・・・んしょ・・Φ(^-^)カキカキ』
エビちゅ『まったく・・・しょうがないでちゅねΦ( ̄ω ̄ )カキカキ』
タイムカプセル。
その当時の思い出の品などに手紙を添え、自身の未来への贈り物として地中に埋めるカプセルのことである。
強引なまでのファーレンの熱意ぶりに、渋々エビちゅもタイムカプセルに入れるための自分宛の手紙を書いている。
ファーレン『書けた^-^?』
エビちゅ『・・まぁ書けたでちゅけど・・・( ̄ω ̄ )』
ファーレン『じゃ埋めよ^-^』
目印を校庭で一番大きな桜の木とし、その横に深く穴を掘り、
二人はタイムカプセルを記念に埋めたのだった。
ファーレン『楽しみだなぁ^-^』
エビちゅ『・・まっ・・十数年も経てば綺麗さっぱり忘れてそうでちゅけどね( ̄ω ̄ )』
ファーレン『絶対憶えてるもんo^-^o』
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エビちゅ『・・・・・ヒック・・・・( ̄ω ̄*)』
転がった空き瓶に囲まれ、エビちゅは床に寝そべっている。
エビちゅ『クックックックックッ・・・・ハハハハハハハッ!!( ̄□ ̄*)なんでこんなこと思い出したんでちょう・・・・ヒック・・』
ヨロヨロとしながら立ち上がったが、足は体を支えきれず、またすぐに横歩きをするようにソファーに倒れこんだ。
・・・ヨロヨロ・・・ドサッ!!!!
エビちゅ『・・・ヒック・・・・なんでこんなことになったのか・・・・ヒック・・・・もう・・もういいでちゅ・・・・・・・・もうやけでちゅ・・・・エビちゅはグレてやるでちゅ・・ヒック( ̄ω ̄*)』
夢は人に希望を与える。しかしそれは両刃の剣。
絶え間ない努力も報われず、その運命を知ったとき、その夢は徐々に心を蝕み、人を破滅へ導いていく。全てを懸けてきたその代償は大きく、今エビちゅの病んだ心を潤すものはなかった。
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