体の各所から煙を出し、震えながら手をいっぱいに広げ、仁王立ちにてhananaを守っていた。
プシュ~~・・・・
・・シュシュ~
ボルケノゴーレムの赤黒く岩のかたまりとして強固な鎧のような肌。しかし今は、黒ずみ崩れ、爛れている。
hanana『・・ぇ・・ボルケノさん・・』
倒れ起き上がることにできないhananaの目には、太陽光が邪魔した真っ黒な陰影をもつボルケノの姿が見える。
ボルケノ『・・・・グ・・グギ・・グギギギ・・・』
しかしその姿は、しっかりとhananaには見えていた。歯を食いしばり満身創痍のその体は、今まで魔物にも、そして人間にさえも、全てに怯えてきた弱い姿を払拭させていた。今先程まで丸まり慄いていたゴーレムの勇猛果敢な姿から、溢れんばかりの喝采が一挙にリングを包み込む。
実況『ゴーレムが少女を防いだぁ~!!!』
『わぁぁぁああああああぁぁぁ』
『ああああああああああぁぁぁぁ』
種族ゴーレム。その元来の生き方は、自らを壁に主を守ることに命を掛け、自らの生涯を終えていく。宿命とも言うべきその生き様は、hananaという大切な少女の危機を救うべく、本性が呼び出されたのだった。
トカマク『主を守ろうとしている・・。』
りん『ですが・・もう瀕死です・・』
ボロボロになったhananaもその姿に驚き、半身を起こしながら手を伸ばし、ボルケノを呼んだ。
hanana『ボルケノさん・・・』
ボルケノの焼け焦げた体からたつ煙も太陽光を薄く遮断し、ちらちらとhananaの顔に陰影が映る。ガラ声のボルケノの声が、歓声の中、微かに耳に入ってきた。
ボルケノ『・・グ・・ガング(大切な人)・・・』
体力もなくなりつつあるボルケノの体は直立することがやっとだ。全身を震わせながら尚も体を仰け反らせ、歯を食いしばりながら喋っている。
ボルケノ『・・フ・・フグ(ぼ・・ぼく)・・グング(守る)・・・』
ボルケノ語が理解できるhananaの目。
かすれた空と、原形を留めていない体を見せているボルケノの影が映り込み、その目にはより一層の涙が溜まっている。
エビちゅ『・・・フ( ̄ω ̄ )おもしろいでちゅね!!なかなか楽しませてくれまちゅ!!』
エビちゅは歩幅を広く取り、魔法陣を空中に作るかのように腕で後円を、前円を描いている。ゆったりと纏われた魔法服は腕輪などの装飾品と共に激しく振り回され、腕に先導されたそれらは風を切り、
ババッバババババッ!!
攻撃魔法詠唱の構えを再び作った。
エビちゅ『二人揃ってちになちゃい( ̄◇ ̄ )!』
火炎詠唱の構えから、前後に作られた手の平に浮かぶ球体は上空へ勢いよく舞っていく。
ギーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
ギギギーーーーーーーーーーーーン
hanana『エビちゅさんもうやめて><!!ボルケノさん死んじゃう!!』
青空を真っ赤に燃やし、再び無情なる炎がリングへ落下する。
オムー『ちくしょう!見てらんねーお≫ω≪.;!!』
りん『・・・く・・』
ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!
実況『またも直撃ぃ~!!!』
『わぁぁぁあああああぁぁ』
『ああああああああぁぁぁ』
大きな衝撃を伴ったファイアーボールはボルケノゴーレムの体を捉え、胸に減り込み、その穴からは火花が吹き出ている。
ジュゴゴゴゴゴゴゴゴゴ~!!!
バチバチッ!バチバチバチッ!!!
ボルケノ『・グ・・・グギギ・・ギギギ・・・・』
hanana『ボルケノさん><!!』
クルス『全うしたな(゜Д゜)』
アメル『かわいそう(>w<`)』
変装王様『・・・むむむ(■ω■.;)』
攻撃を受けきり、身が続く限り主を守ったゴーレムは微動だにしない。
プシュ~・・・
シュシュ~・・・・・
ボルケノ『・・・・・グ・・・・・ググ・・・。』
エビちゅ『ほぉ( ̄ω ̄ )受けきりまちたね・・』
精根尽き果てたボルケノの体は灰色に、尚も仁王立ちの体を続けているも、とうとう自らの重い体を支えきれなくなり、前のめりに倒れてしまう。
ズシーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
実況『戦闘ペットが倒れたぁ~!!!』
『わぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁ』
『おおおおおおおおおぉぉぉぉぉ』
ただの盛り上がりを、激しさを求めているだけの観客達にとり、hananaの感情を推し測る事さえできるはずもない。
hananaは倒れたボルケノにすぐに駆け寄り、手の平をかざした。
hanana『ボルケノさん><!!!』
青白い光を放ちながら少女の手からは何某かが放出されている。
変装王様『・・あれはなんじゃ(■ω■.;)?』
りん『回復魔法??』
クルス『いや、あのガキ・・詠唱はしていないぞ(゜Д゜)』
オムー『詠唱もしていないのになんであんなエネルギーが出てるんだぉ=ω=.;』
同じく、りん達とやや離れた位置で観戦しているhananaの家族とファランも目の当りにしていた。
湖乃『パパなにあれなにあれ!』
母『あれは・・』
父『なんだあれは・・』
ファラン『詠唱も唱えず回復させているーω■;これか・・エビちゅが見たのは・・』
今まで見たことのない回復術に会場もざわつき始めている。
アメル『でも・・・あの回復・・ゴーレムの体力消耗には勝ってないよ(・w・`;)』
トカマク『あの回復術は前代未聞だけど・・回復が微力すぎるわ』
変装王様『しかし・・あの青白い霧のようなエネルギー・・・どこかで聞いたことがあるのぉ(■ω■;)』
ファラン『あの力を持っているからこそ・・真の眠る力があると・・・そう言いたいのじゃなーω■;エビちゅ』
うつ伏せに倒れてつつも、顔を横に見せたボルケノは、二人にとって不釣合いである会場のボルテージの中、涙が止まらないhananaの顔を見つめている。
ボルケノ『・・・ガフグン(hanaちゃん)・・・』
hananaは一生懸命持てる力で回復させてみるも、見る見るうちにボルケノの体が、顔が灰色を帯び、生気を失いつつあるのが手に取るようにわかった。
hanana『ボルケノさん!!ボルケノさん!ボルケノさん><!』
呼び起こそうとhananaは必死にエネルギーを照射し続けている。
hanana『ボルケノさん!死んじゃいやだぁ~。・゜゜・(>_<;)・゜゜・。ヤダヤダヤダァ~!!』
ボルケノゴーレムとの思い出が走馬灯のようにhananaの頭を駆けめぐっている。ボルケノは自らの死期を悟ったかのように全ての力を振り絞り喋り続けた。
ボルケノ『・・ガフグン・・グフガッグ・・ゴグンゲ・・グッグ・・(hanaちゃん、みじかい間だったけどうれしかった・・優しくしてくれて・・ありがとう)・・』
焼け焦げ、全身から煙を放つゴーレムはゆっくりと目を閉じ、体は完全に灰色になり、生を全うしたことを暗に知らせるのだった
hanana『。・゜゜ '゜(*/□\*) '゜゜゜・。 ウワァーン!!』
顔をしわくちゃにし、脇目も振らず思い切り泣きじゃくる少女を尻目に、会場の決着への期待からのボルテージは上がっている。
実況『エビちゅ選手怒涛の攻撃ぃ~!!』
『わぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁ』
『おおおおおおおおおぉぉぉぉぉ』
トカマク『もう勝負はついたわ』
オムー『くそっくそっこんなのってありかぉ≫ω≪.;!!』
クルス『これも戦いだ(゜Д゜)』
変装王様『もう勝負はついておるじゃろ(■ω■.;)試合は終わりじゃ』
りん『・・・・・。』
母『・・・・hanaちゃん><』
父『本当に・・これでいいのか・・』
湖乃『お姉ちゃん><!!』
ファラン『・・・く・・ーω■;』
とその時。
hananaの耳に今まであった騒音であった歓声が聞こえなくなっていた。歓声が鳴り止まぬ中、hananaひとりの耳には、突然耳鳴りがする程の静寂が訪れている。
目の前には果てたゴーレムの顔。リング場外にてはしゃぎ騒いでいる観客達。リングの状況を叫び実況する者。再び空中に魔方陣を作り、次なる攻撃魔法を唱えているエビちゅ。虫の鳴き声さえも全く耳に音が入らなくなった今、無味乾燥とした景色がhananaの目に入り込んできていた。
突如りんは空を見上げた。
りん『オムー・・あれ・・見える・・・?』
オムー『また空か?何もみえねーお!もうこんな試合みたくねーぉ≫ω≪.;!』
オムーには見えず、りんには見えていた何か。
そして他の者達はhananaの周囲を取り囲む空気を敏感に察知するのだった。
変装王様『ん(■ω■.)?』
クルス『なんだ(゜Д゜)?』
アメル『(・w・`;)?』
泣き張れた瞼を閉じ、先程とは打って変った落ち着いた表情にて、ゆっくりと顔を天へ向けるhanana。
hanana『・・・ぁ・・・きた・・・』