身の危険を察知した鳥獣はその土地を離れると言われている。クルスとオムーの戦いも例外ではない。鳥や虫の鳴き声さえも辺りからは消えていた。
選手観覧席に来ているボルケノゴーレムの足がまた僅かに震えているのがわかったhananaは、何倍も大きくゴツゴツとしたゴーレムの手をさすりながらゴーレムの顔を伺うように見上げ呟くように言った。
hanana『ボルケノさん・・・』
下がり始めた太陽の横にボルケノゴーレムの赤黒い顔がある。大きな体がhananaへの太陽の直射を遮り、優しい光がhananaへあたっている。
ボルケノ『グフ・・・』
挨拶代わりとなる切り抜き攻撃を終え、凄まじい波動を伴う攻撃を繰り出したクルス。それを魔法剣により受けきり、距離を取るオムーの肩には、雷が落下したかのような衝撃を受け飛散した石畳の破片がパラパラと上空より落ちてきている。
王様『あの二人の本域の戦いは見たことがないのぉーωー』
りん『練習試合でもなかったわね』
エビちゅ『初交戦でちゅか( ̄ω ̄ )』
トカマク『えぇ・・そうね』
アメル『私はどっちを応援したらいいの・・・?』
肩上に担がれるように重く太い剣をがっちりと両手で持ったクルスはオムーを睨みつけ、対するは、腰下にてだらりと剣を下ろし、静かな表情にて構えているオムー。対峙する二人の静と動の明確な無駄のない攻防。
ひとたび攻撃があれば怒涛の歓声が場内を埋め尽くし、二人がじっと静かに構えると物音ひとつしない静寂な空間を作り上げる。その一挙手一投足は、全てのものを飲み込む引力を持っていた。
互いに剣を構えながらゆっくりと摺り足で横へ居を変える二人。広い闘技場の中央にて両者の足を擦るその音が僅かに響いている。
ジリジリ・・
・・ジリジリ・・・
僅かな呼吸をしつつ、クルスが動きを煽るように左へ、右へと動いている。
ジリジリ・・
・・ジリジリ・・・
短絡な前進は隙を見せてしまう。横移動は直線距離の接近を鈍らせ、隙を伺う上等手段である。
リング上にて二人は右へ、左へ。時に静止し、時に円を描き、故意ではない陰と陽の文様が石畳のリングにうっすらと作られていた。徐々にクルスが制空権を破っていく。
オムー『・・・=ω=.』
クルス『いくぞ(゜Д゜)』
隙のない両者であるからこそ迎える両者の迷い。
不意を作ることが、両者の次の一手を探させていた。
その静寂を破ったのは他でもない。クルスだ。
クルス『っらゃぁぁあああ!!』
強い踏み込みから振り上げられた剣。オムーは即座に左へ移り、下げられていた剣をそのままクルスの脇腹めがけて切り上げる。
ジャッ!!!
零コンマの戦い。素早い回避と同時に放たれたオムーの切り上げ攻撃。豪腕を持していたクルスにスピードを持って反撃をしたオムーの口角が僅かに上がる。しかし、クルスはぐるりと回転し振りかぶった上段剣を下段からの剣へと替えた。
オムー『=ω=.!!』
クルスの剣筋は、オムーの切り上げ斬線を邪魔するかのように交じらい、聞いたことない鋼の衝突音を轟かせ、空を切らせた。
ジャキィィィッィィィッィィン!!!!!
オムー『なっ=ω=.;!!!』
余りにも激しいぶつかり合いにより、はじけ飛ぶはずの剣をなんとか片手で持ち、空を泳がせている二人。剣術でいう『死に体』とはこのことだ。『死に体』は僅かに作る攻撃も防御もできない隙間。素早く元の構えになるか、或いは次なる攻撃を繰り出した方が有利になる。
エビちゅ『死に体でちゅね( ̄ω ̄ )』
王様『うむーωー』
オムーははじけ飛びそうになった剣をかろうじて片手から両手に戻し、すかさず切りかかろうとしたその時。クルスの柄頭がオムーの肩を捉える。
ガッ!!!
オムー『ぐはっ≫ω≪.;!!』
クルス『ッフン!!!』
クルスはそのまま横へ薙ぎ払う攻撃をしかけ、
クルス『うぉぉぉぉおおおお!!!』
ブンッ!!!
なんとか防御をするが、余りの直打されたクルスの豪腕により、足が地面から浮き上がり、
勢いよく体ごと弾き飛ばされてしまうオムー。
ガキーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!
オムー『くっ≫ω≪.;!!』
ゴロゴロゴロゴロ・・・
クルス『・・ハァ・・・フゥ・・・(゜Д゜)』
深追いはせず息を整えるクルスは何か言いたげだ。
3万人の観客は息を呑み、またしても静からの動きに感動を覚え、
オクタゴンリングに歓喜極まる声援が飛んでいる。
『おおおおぉぉぉぉぉぉおおおぉ』
『オムー!!!!』
『わぁぁぁあああああああああぁぁ』
『クルスー!!!!』
アメル『オムさん(>w<`;)』
ニコシア『剛と柔の戦いではなかったか(`ω.´)』
りん『クーちゃんはパワーだけじゃないわ』
地面に転がったオムーは、重たそうに自身の体を持ち上げ立ち上がった。
オムー『・・・く=ω=.;』
剣でのみの戦いには 多少部が悪い。
それを知っていたクルスは距離をとり言った。
クルス『へへっ(゜Д゜)使えよ』
オムー『・・・・うむ=ω=.』