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眩しい太陽・・美しい月・・そして世の中所詮金でちゅ

伝説の獅子たちが活躍する笑い泣き感動ありのアクションストーリー (c)2008hiyoko.現在原画製作中!

第弐百参拾話

2010-07-12 | 本編








青空を背景にした雲の上。輝く太陽は原形がわからないほどに眩しい。夏にできた芸術品である入道雲は、ひとつの別世界を構築していた。

いくつもの小さな山、大きな山が真っ白な絨毯の上に優雅に作られ、太陽の暖かさを楽しみながらその造形物は、風に靡かれゆっくりと変形している。

 

父『あなたは・・出場選手の・・ファラン選手ですね?』

ファラン『いかにもーω■』


突然目の前に現れ、何か言いたげなファラン。呆気に取られつつも、hananaの父と母はその発言を待った。


母『・・・・?』

父『・・・・・。』


hananaの妹である湖乃は父親の膝元にしがみつき、アイスキャンデーをしゃぶりながらファランを見ている。


湖乃『さっき戦ってた人だ(^-,^*)』

ファラン『突然のお願い。恐縮ですが・・今から言うことをお守り下さいーω■』


母『・・??』

父『・・・何を・・でしょうか・・』


 

一層に目的のよめない父は懐疑そうにファランを見ながら聞いた。




ファラン『間もなく御宅のお子さんがリングにて戦うことになりますーω■』

母『やっぱりうちの子なんですね!?』

父『この冊子に載っているのはうちの子なんですね!?な・・なぜ!?なぜうちの子が!?』

 

いまだ五歳になったばかりの子供が、壮絶な闘技場に顔を出すという解せない状況は、父母にとり、他人が思う以上に困惑極まりない。その父母の同時質問などに聞く耳を端から持っていなかったファランは話を続けた。


ファラン『そして何が起ころうとも、止めに入らないで頂きたいのですーω■』


そして尚、止めには入るなという依頼は、余計に混乱させている源だ。

 

母『・・・・・。』

父『・・・・。』


我が子の安否を思う気持ちはうまく言葉にならない。
疑問、怒り、そんな二人の前。ファランは話し始めた。


ファラン『これは我々が生まれる・・さらに数千年前の話です。古文書である旧伝詩文書に書かれていることなのですが、昔、アルテマという女性がおりました。当時ファンブルグ国は連戦敗退し、兵士たちは傷が絶えなかった・・。』

 

一連の事情を説明し始めたファランという偽名をもった王様は、アゴ髭をゆっくりと上からなめし、空高く上にある入道雲を見つめながら話し始めた。

 

ファラン『そう・・ちょうど今日のような・・・夏日だったらしいのです。』


・・・・・・

 

・・・


 

時間をいたずらに刻んでいる青い空、真っ白な雲、そして照り輝く太陽。時間という概念さえも忘れさせるその美しさは、今日という日も地上から離れた上空にある。

 

すると、何者かがその大きな入道雲の中でうごめいているのだった。

 


ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 


およそ人間では推し測ることさえできないその速さは、雲の中をぐんぐんと突き進んでいる。

 


ゴゴーーーーーーーーーーーーー

 

 

次の瞬間、その何かは雲から勢いよく顔を出すのだった。


ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 

まるで雲の表面が水面であるかのように、その何かの有り余る勢いは雲を弾き飛ばしつつ飛び出し、まとわりつく雲の残骸を一瞬にして振り切り空中を尚突き進んでいく。

 


ゴゴーーーーーーーーーーーーーー

 

 

と思いきや、再び雲の中へ。

 

 

ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 

 

巨大なトビウオが水面を上下するかのように幾度となく宙を舞う。その何かは何ものなのか。それは龍ともとれる。人ともとれる。

何ものであるかを探ることさえも儚ませる程に不確かなそれは縦横無尽に空を飛んでいる。先端にある人の顔らしきものは必死に何かを探しているようだ。

 


ゴゴーーーーーーーーーーーーーーー

 


雲をかき分け、太陽の強い光を浴びながら、何かを探していた。

 

・・・・・

 

・・・

 

 

 


ファラン『・・・・ということが書かれておりましたーω■』

 

一頻り話し、間を置いたファランは、放心状態の父母の前、手元を髪の毛を持っていった。

 


父『・・・・。』

母『・・・・・。』


そして今あるその髪の毛を取り、割れたサングラスも取り外したファラン。


バリバリバリバリバリ・・・チャ・・・


父と母の前にいたのは、紛れもない一国の王であった。

 

王様『どうか見守っていて頂きたいーωー』

父『ぁ・・・あなたは!!』

母『王様!!!』

 

民へ向かい、王様は深々と頭を下げている。とても信じたい事実を受け止めれずにいた父と母ではあったが、一国の主のその礼は、不安を少なからず払拭させる要因となっていた。

 

父『・・・か・・かしこまりました。し・・信じます・・・。』

母『・・・・・・。』

 

泣きそうになり、何も言えずにいる母の肩を寄せ、父は涙を溜めながら王様へ礼を返している。

 

とその時。一気に観客のボルテージが上がるのだった。

 

『わぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁ』

『ああああぁぁぁあああああああぁぁ』


王様と父と母、そして湖乃。
四人を残し、ほぼ全ての観客が総立ちとなっている。

 

司会者『両選手登場しましたぁ~!!!!エビちゅ選手とhanana選手だぁ~!!!』