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眩しい太陽・・美しい月・・そして世の中所詮金でちゅ

伝説の獅子たちが活躍する笑い泣き感動ありのアクションストーリー (c)2008hiyoko.現在原画製作中!

第壱百七拾弐話

2009-03-03 | 本編


あれから数時間後。夕の刻18時。
夜勤後の睡眠をとったオムーは夕方には目を覚まし、船の横腹に座り魚釣りをしていた。


オムー『・・・・・=ω=.』

 

オムーはじっと釣竿の先を見ており、魚のあたりサインである引きがくるまで待ち続けている。

オムーの趣味でもあるこの魚釣りは精神集中の特訓でもあり、じっと獲物がくる忍耐力を養う特訓でもあった。

すると夕方までの仕事を一通り終えたメイドがオムーの後ろにいつの間にか立っているのだった。

 

メイド『・・・・・・なんか釣れた?』

オムー『お・・メイドか・・ぜんぜん釣れねぇお=ω=.』

 

オムーは船の横べりに足を投げ出すように座り、顔は半身でメイドに答えた。

 

メイド『おいしい魚釣ってよね!』

オムー『期待すんなお=ω=.ここは何が釣れるかわからんお』


メイド『今日も楽しみ・・今日は夕ご飯終わったらエビちゅの昔話するんでしょ?あとhanaちゃんの話もするのかな・・・』

オムー『エビちゅの話は楽しみだなー=ω=.昔を思い出す・・・』


起きて間もないオムーは大きなあくびをした。


オムー『ふぁ~ぁ・・・・・・=ω=.俺目の下にクマできてるだろ?』

メイド『元からクマっぽいのが目の下にあるからよくわからないわ』

オムー『てめぇwwばばあww』


一呼吸置き、メイドはしゃべりはじめた。

メイド『ねぇ・・・オムー』

オムー『=ω=.?』

メイド『そういえばオムーって小さい頃・・・ファンブルグでお店やってたんでしょ?』

オムー『あぁ・・親父の店か=ω=.?肉屋だぉ。ファンブルグでは当時、相当有名だったらしぃぉ・・』

メイド『へぇー有名だったんだ』

オムー『親父が兵士になった頃には閉店しちゃったけどな・・=ω=.』

メイド『なんていう名前だったの?お店』

オムー『俺のフランk・・・ぁ・・ぃゃ・・ぇっと・・肉屋バルタルトだったぉ・・たしか・・・・=ω=.;』

メイド『今なんか言い直さなかった?』

オムー『そ!そんなことないお!・・と・・とにかくおいしいんだぉ=ω=.;』

メイド『もっと早くからオムーに会いたかったなぁ・・・』

オムー『(・・ふぅ・・・親父の店の名前やばいからな・・なんとか誤魔化せたかな=ω=.;)』

 

オムーの昔経営していた肉屋は<俺のフランクフルト>。
何かと勘違いされてしまうそのセンスのない父の考えたネーミングは大人になってから気づいたことであった。

恥部でもあるその店名を言いそうになってしまい、必死で誤魔化そうとしているオムーは、メイドが一人呟くように言った言葉を右から左へ流してしまっていた。


メイド『・・・はぁ・・・』


メイドは、キャビン壁にもたれ掛かりながらオムーを見つめ、小さいため息をついた。


オムー『・・ん=ω=.?今なんか言ったかぉ?』

メイド『・・・・・・。』

 

りん『みんなー夕食できたよー!!集合ぉ~^^』


その時、二人の会話を遮るように日勤者にとっての夕食の掛け声が聞こえてくるのだった。

 

オムー『・・・・俺にとっては朝メシか・・・・腹減った・・=ω=.』


メイドは一人キャビン中に入ろうと話途中のまま歩き出してしまっており、慌てて再度聞き返すオムー。

 

オムー『おーい=ω=.!メイド!今なんかいってたよな?なんだぉ?』


キャビン角に曲がり、姿が見えなくなる寸前に立ち止まったメイドは暫く黙り、クルッとオムーの方へ振り返った。

 

メイド『(>┰<)ベーッだ!! 』

 

すぐさまキャビン中に入ってしまっているメイド。
オムーにとってはわけがわからない始末であった。

 

オムー『・・・・・・なんだぉそれ・・・・=ω=.』


皆がキャビンに入っていく中、突如釣竿の先が海面に強く引っ張られているのに気づくのだった。


・・クンッ!!!

・・・・・・クンクンッ!!!!!


オムー『おぉー=ω=.!!!!きたきたきた!!!やったぉ!!これでけぇぞ!!』

 

その引き具合は今までに見たことの無い重量を感じており、オムーは力いっぱい抵抗し、引き上げている。

 

・・・・グンッ!!

・・・グルンッ!!!!グルンッ!!!


海中の中で逃げ惑う魚。糸は切れそうになるほど張り詰めている。


オムー『やべぇ・・これは相当でかいぉ・・=ω=.;!!』

 

オムーが糸を引き、海面に魚を近づければ近づけえるほど、魚は身の危険を感じたのか尚いっそう増し始める引力。

 

・・・ググッ・・・・ギギギギギッ!!!

 

オムー『・・これは・・洒落になんねぇぉ・・・≫ω≪.;』

 

・・・・・ギュウンッ!!!!!

・・・・・・・・・・ギュウンッ!!!


海面に渦巻きが出来るほど魚は大きく回転し、エサをぶん取ろうとしているようだ。


オムー『・・・・ピ・・ピンチ・・・・・≫ω≪.;』

 


一方、キャビン中。
他一行はご飯やおかずを配り終わり、食卓テーブルに座っている。

今日のテーブルに盛られたおかずは多国籍の料理。バイキング形式で大皿がいくつも並んでおり、皆その多種多様なおかずに釘付けである。


王子『このカシューナッツ入り野菜炒め・・・うまそうじゃのぉ~ーωー;』

エビちゅ『それはつまみにも合いまちゅね( ̄ω ̄ )』

クルツ『・・・・ゴクッ・・・早くたべたい・・(^Д^;)』

hanana『ハナそこの骨付きお肉たべたい><ノ!!』

さっちゃん『えぇ~それ僕も欲しいぃ~><』

りん『みんなの分あるからね^^喧嘩しちゃだめよ』


りんはお茶を注ぎながらクルツたちに注意を呼びかけている。



ハプティ『そのお茶なぁーに(=´w`)?りん』

りん『これはね~ハプティが買ってくれたフルーツを使って作ったお茶だよ^^』

王子『随分と甘い香りだのぉーωー』

りん『なんのフルーツを使ったでしょう(*´▽`*)』

ハプティ『りんご(・w・´)?』

りん『ブブー^^』

 

順々に注がれていくお茶。hananaのティーカップに注がれると、その立ち登った湯気に合わせてhananaは鼻の穴を大きく開けて無邪気に吸い込んでいる。


hanana『すぅー^0^』


それを真似するようにクルツも思いっきり吸い込んでいる。


クルツ『すぅー(^Д^)』


りん『わかった^^?』

王様『おろーωー?オムーはおらんなぁ・・どうした?』

メイド『さぁ・・釣りに夢中なんじゃないの?』

hanana『わかった^0^!!』

りん『ハナちゃんどうぞ^^!』




エビちゅ
『マンゴーでちゅね( ̄ω ̄ )』

ハプティ『声でかw』

りん『あたりwww』

hanana『ひーーーーんT0T今ハナ言おうとしたのにぃぃぃ~!!!』

 

途端に部屋いっぱいに轟かせ大声で泣き出すhanana。
やや慌て気味にエビちゅはなだめている。


エビちゅ『そんなことで泣くんでないでちゅよ( ̄ω ̄;)』

ハプティ『エビちゅ大人気ない(・w・´)』

hanana『えーーーーんT0T!!!』

りん『はは^^;』

エビちゅ『わかったでちゅよ・・・あとでお菓子すきなのあげるでちゅ( ̄ω ̄;)』

hanana『・・・・ぐす・・・ほんと;0;?』

エビちゅ『だから静かにするでちゅ( ̄ω ̄ ;)まったく・・』

hanana『・・ぐす・・・ヒック・・・・ヒック・・・;0;』

りん『さぁそろそろ食べましょー^^冷めないうちに』

 

 

さっちゃん『いただきまーす』

ヌコル『頂きます』

透くん『いただきます・・・あ・・茶柱が立って・・』

ハプティ『えっほんと透くん(・w・´)!!』

透くん『・・・たらいいな・・』

ハプティ『・・・・・(ーwー´)』

りん『頂きまーす(*´▽`*)』

王子『これはおいしそうじゃ(*´ω`*)』

クルツ『いっただっきまー(^Д^)』

エビちゅ『いただきまちゅ( ̄ω ̄ )』

hanana『・・・グス・・・・いただきます・・;0;』

メイド『いただきます』

 

とその時、突如キャビン食卓のドアが勢いよく開くのだった。


バタンッ!!!!

 


雨は降っていないはずであったが、そこにはずぶ濡れになったオムーが立っている。髪はボサボサに、服もビショビショに濡れ、お腹はどういうわけかパンパンに膨れ上がり、服のポケットには小魚が紛れ、時折そのポケットから飛び出てきた魚はピチピチと威勢よくオムーの足元で跳ねている。

オムー『・・・・・・ただいま・・・=ω=.;』


hanana『きゃはははははははっ(≧∇≦)ノ彡オムーさんどうしたのぉーw』

クルツ『www』

ハプティ『なぜビショ濡れwww』

透くん『・・・・・。』

メイド『あんたこの寒い季節に海水浴?趣味にも程があるわ』

ヌコル『わたし・・すぐに着替えもってきますね!』

えびちゅ『・・・グビッ・・美酒でちゅね・・これも( ̄ω ̄ )』 

王子『エビちゅ、その醤油とってくれぃーωー』

りん『オムーwどうしたのw?』

さっちゃん『まさか・・落ちたんですかw?』


オムー『・・・ま・・まぁ・・生きていればいろんなことがあるさ=ω=.;深くは聞かないでくれぉ・・』


第壱百七拾壱話

2009-03-02 | 本編
ここはティルコネイル。
夕過ぎの波止場。
通常であれば商人などが目に付くその場所も、海賊団がお忍びで止まっている噂からか、船近くの道を通る者は人っ子一人いない。

枝葉で大砲が隠され、大きな海賊マークがついた帆も畳まれており、カモフラージュされた大きな海賊船。




賊団員『やる気はあるみてぇだなぁ!』

クルス『はい(゜Д゜)!!あるであります!!』



何を思ったか、ヴィッカル海賊団に入団の申し入れをしているクルス。

度重なる戦いにより傷を負ったその顔は、かえってファンブルグ国の元兵士だということをうまく隠してくれていた。普段着ていたエスカルとしての鎧はすでに持っていない。


顔を傾け椅子の肘置きにもたれ掛かりながら、賊長は長い髭をさすり、クルスの問答をする目を見ている。



ヴィッカル『・・・・・・(ーД●)』




賊長ヴィッカルの横にいる団員が質問を続けた。



賊団員『名を名乗れ』

クルス『・・・・俺の名は・・・・(゜Д゜)』


一瞬間を置き、また新たな名を考えついたクルス。





クルス『・・・・アーサーだ(゜Д゜)』

ヴィッカル『・・・・・・・(ーД●)』

賊団員『ガーハッハッハッ!!知らん名だ!!まぁいい、我らは賞金稼ぎだ!!おまえの命は今日からこのヴィッカル様のものだ!承知したか!?』

アーサー『あぁ・・・承知した(゜Д゜)』

賊団員『まずはおまえは便所掃除からだ!!いけぇ!!』

アーサー『わかった(゜Д゜)』



そういうとすぐに戦上奥の団員に案内され、便所掃除へ向かうクルス。



団員『ヴィッカル様。明日出発予定で特段変更はありません。』

ヴィッカル『うむ(-Д●)』


第壱百七拾話

2009-03-01 | 本編
翌日。昼の刻15時。
昨日の雨雲は過ぎ去り、綺麗な青空が広がっていた。


夜勤と日勤のメンバーは交代の時間を終え、船首にはhananaとクルツがいつも通りに警備のため座っている。


そしてなぜか夜勤の王子までもhananaとクルツに紛れ、船首の小さい椅子にお尻をギュウギュウに敷き詰めるように腰掛けながら、3人で並ぶように昨夜出されたお菓子の残りのプリッツを食べていた。


王子『ばーりぼーり ばーりぼーり^ω^』
クルツ『ばーりぼーり ばーりぼーり( ^д^)』
hanana『ばーりぼーり ばーりぼーり^v^』




夜勤警備の試練は寒さであるが、日勤の者にとっての試練は海面からも反射される強い日照りである。

昼間一日中、船首椅子に座っていることで、二つの太陽がhananaとクルツ二人の顔をきれいに小麦色に変えていた。



王子『そういえばhanaちんとクルツはここ2ヶ月くらいで随分と顔が焼けたのぉ(*´ω`*)』
クルツ『ばーりぼーり( ^Д^)うん!焼けた!』
hanana『ばーりぼーり^0^焼けた!王様は眠くないの?』
王子『わしはhanaちんたちと居れば眠くはならんぞ(*´ω`*)』



夜警備室で寝てしまっている王様は、日勤のhananaやクルツたちへお菓子を持っていき食べていることもまた最近の日課であった。



3人が座っている場所は、たくさんのカモメが長い空の旅の羽休みに停まることもある。綺麗にスライスされたフランスパンを小さくちぎって空中に投げると、それが海面に着地するまえにカモメがキャッチする。


王子『ほれ^ω^ もういっかいじゃ』
hanana『キャッキャ^0^カモメさんナイスキャッチ!!』
クルツ『オーモロー(^Д^)!!』



りんは夕食の仕込みに入っていた。11人分の食事となれば食事も大変な作業であり、そのヘルプの為ハプティもキッチンに入っている。



ハプティ『りん~(`・w・)じゃがいもって今日使うの?皮むこうか?』

りん『うん^^ありがとー』



一方、メイドは11人分の洗濯を、さっちゃんは船舵を、エビちゅはキャビン上の警備室、ヌコルは船尾にて警備をしている。


もっとも高い位置へ昇り終えた太陽は西へ落ち始めていた。ファンダシム大陸まであと少し、皆の長い航海は今はまだ順調だ。この先、航海にて急迫の事態に陥ることは誰も知る由も無い。

第壱百六拾九話

2009-02-28 | 本編
ひよこギルドの皆が大航海を始めて2ヶ月半。
一人航海を断ったクルスはフラティウス闘技場の戦いが終わると、行き付けのレストランで夕飯を食べるのが日課となっていた。


身元がばれない為の偽名、エスカルという名で名声を欲しいままにしているクルス。ハマヌーンの闘技大会の優勝枠はもはやエスカルの為にある。


行き付けのレストラン出入り口では、待ち伏せたファンの黄色い声が飛んでいる。



『エスカル様ぁ~^0^!!!!』

『キャー!!!!』

『キャーーーー!!!エスカルさま握手してぇ~!!!』

クルス『・・・・・・(゜Д゜)』



女性の声などに見向きもせず、クルスはレストランへ入っていくと、支配人がいつもの挨拶をし、深々と頭を下げた。


支配人『お疲れ様でございました。』

クルス『今日は何が獲れた(゜Д゜)?』



一般客が入ることは無い高級ブースのあるレストラン奥に位置するVIP席に当然のようにクルスは案内されながら、いつも通りの夕食のメニューについて話している。


支配人『今日はハマヌーンの沖合い、300m先で獲れた壷貝と新鮮なお魚、ゴールドフィッシュがございます。』

クルス『それにしてくれ(゜Д゜)』

支配人『かしこまりました。』



そのVIPルームは10㎡ほどの部屋。
クルスはやっと落ち着いた一人の空間に入れたことによる安堵のため息を漏らした。


クルス『・・・ふぅ・・・・(゜Д゜)』



程なくすると、珍しく隣の部屋に客がおり、酒酔いの大きい声が聞こえてきた。




『ガーハッハッハッ!!』

『ワッハッハッハッ!!!』

『いい気味だ!!!ガッハッハッハッハッ!!』




クルス『お・・珍しく隣のVIP席にも客がきてるんだな(゜Д゜)』



『おいっところであの件はどうなった?』

『行き先はファダシム大陸。航路はアコー海域を横切るように進んでいるようです。』

『奴らめ・・しぶとい奴らだぜ・・懸賞金は今どうなっている?』

『ファーレン国王には180mGまで跳ね上がってますね。』




聞きなれない声の連中らは聞きなれた名前を挙げて話していた。




クルス『・・・・(゜Д゜)!!!』





『航路はほぼ直進。我々の船であれば一週間ほどで追いつくと思います。賊の士気は出発前から最高潮です。』

『ガーハッハッハッ!!そうかそうか』

『ハッハッハッ!!これで奴らも終わりだぜ・・』

『明後日には出発できるかと。』

『うむ』




クルスの目の前へ支配人と配膳係りが料理を運んできている。



クルス『・・・・・・(゜Д゜)』

支配人『おまたせいたしました。エスカル様。』

クルス『おい、支配人(゜Д゜)隣にいる奴らは?』

支配人『・・・ぁ・・はぃ・・・先日からこの町へ来ているようです。』



途端に小声になり、クルスの耳元でしゃべりだす支配人。




支配人『海賊団ヴィッカルです・・・例のファンブルグ国の残党狩りの者たちです。・・・』

クルス『・・・海賊団か・・(゜Д゜)』

支配人『しかしまだ残党狩りをやっている輩がいるんですね・・もうすでにファンブルグ国の方々は絶滅したという噂が流れていたはずなんですが・・・』

クルス『・・・・・(゜Д゜)』

支配人『エスカル様もお強いかと思いますが・・あの連中にだけは関わらない方がよろしいかと思いますよ・・・』



クルスは暖かいスープを口にし、何かを考えながら料理を食している。




クルス『・・・・ズズ・・・・(゜Д゜)』

第壱百六拾八話

2009-02-27 | 本編
冬の大海原にて航海を続ける一同。
冷たい雨がキャビンの天窓にポツポツと当たっている。

全員りんの話に夢中になり、目の前にあるお菓子に伸ばす手も止まっていた。




りん『・・これがオムーの入隊までの経緯でした(*´▽`*)キャ』



夜の海。
天窓と雨粒の当たるランダムな音と対称的な置き時計の等間隔の音を
聞きながら、皆はしみじみと昔話の余韻に暫し浸っている。




チク・・タク・・チク・・・タク・・・・

ポツ・・・・ポツポツ・・・・ポツ・・・・ポツ・・




メイド『・・・いい話ね・・』

ヌコル『・・・・よかったです・・。』

さっちゃん『おもしろかったですぅ~!!』

オムー『・・・=ω=.;』

ハプティ『わたし・・・ちょっと水一杯飲んでくる(〃w〃)』



酒だけのせいではなく顔を赤らめたアメルは席を立ち、そそくさとキッチンに向かって部屋をでていってしまっていた。




hanana『オムさんかっこよかったでし^0^』

エビちゅ『ゲフッ( ̄ω ̄ )』



王子『しかし・・ハプティとオムー・・お主らそんな関係だったのか・・ーωー』

オムー『関係ってw普通だぉ=ω=.;』



クルツ『でもすごいなーwオムーさんも強いんだねー(^Д^)クルスさんどっちが強いのかなぁw』

りん『一度も戦ったことはないんじゃないかな・・見てみたいわね^^』

王子『わしとしてはそんなことより、男女のより奥深い大人の話を聞きたいものじゃなーωーグフフ』

メイド『・・・コホン・・』

オムー『王様は何を期待してるんだぉ・・(¬ω¬*)』

王子『・・・・ーωー』

エビちゅ『ゲルルルルッゲフッ( ̄ω ̄ )』



幾度と無く出ているエビちゅのゲップはもはや突っ込む者はいない。


楽しさから麻痺されたりん達の体内時計に夜遅い時間を教えるように、透は大きな口を開けあくびをした。


透『ふぁ~ぁ・・・眠い・・』



するとメイドも釣られてあくびをしながら、やや野太い声を作りつつしゃべっている。


メイド『とりあえず今日は寝ない?りん』

りん『そうね^^;』


りんはキャビン室の食器タンスの上の時計に目をやると、
すでに針は深夜2時を指しているのだった。


りん『あーもう2時だよwねよー^^;夜更かしはよくないよ』

オムー『・・俺は夜勤か・・げ・・・雨降ってんじゃん・・』



見るとキャビン天窓には、極端な寒さによってシャーベット状のみぞれに
なった雨粒がついている。見るからに外は寒そうである。



王子『わしは寒さには弱いんじゃぞーωー;』

オムー『王様はキャビン上の警備室だろ?まだ風よけがあっていいじゃんかw俺んとこは船首だぞw?風もろだぉ=ω=.;』

メイド『男なんだから寒さくらいでつべこべ言わないの』

オムー『こういうときだけ男って言葉だしやがって=ω=.;』

透『わたし・・船尾で寝たら・・・多分・・凍死する・・・』

りん『がんばってw透ww』



一斉に皆立ち上がり、昔話を終えてしまうことに不服なhananaとクルツが膨れた顔で座り続けている。




hanana『えーやだやだやだぁ~><!!』

クルツ『やだやだぁ~(>Д<)ノ』



次々とりん達が各自の部屋に戻っている側で、エビちゅがよろけた足でhananaたちを強引に立たせている。




エビちゅ『hana!いい子は黙って寝るでちゅよ( ̄ω ̄ )ゲフッ』

hanana『エビちゅお酒くさぁ~ぃ><』




渋々立ちあがったクルツとhananaは押されるようにそれぞれのベッドに連れて行かれており、ハプティは水を飲み終わったのか、その姿を横目で見ながらキャビン中央のテーブルに帰ってきていた。



ハプティ『あれ(・w・)みんなは?』

エビちゅ『ゲフッ( ̄ω ̄ )お開きらしいでちゅ』

ハプティ『なんだ・・つまんないの(・w・)』

エビちゅ『じゃぁわたちはもう寝るでちゅよ( ̄ω ̄ )』



テーブルから離れて自室へ戻ろうとするエビちゅの背中を見つつ、含み笑いをしているハプティ。


ハプティ『ねぇエビちゅ(=´w`)明日の晩ご飯の後は多分エビちゅの番だね』

エビちゅ『・・エビちゅは・・・たわいもない人生でちゅよ( ̄ω ̄ )』

ハプティ『またまたぁ~(=´w`)』



歩みを止めたエビちゅは、帰り際、ハプティに背中を向けながらそっと捨て台詞を言い放って戻っていくのだった。



エビちゅ『オムーは今寒がってるかもしれないでちゅね・・・寄り添って暖めてあげるといいでちゅよ( ̄ω ̄ )・・おやすみでちゅ・・』



ハプティ『ちょw』




そういうともう既にエビちゅの姿は部屋に入ってしまっている。



ハプティ『・・・・もぅ・・・(´゜w゜`)』



凍えそうなくらいに冷たそうなみぞれが窓ガラスに張り付いていることに気づいたハプティは、無論そのまま寝ることはできなかった。




ハプティ『・・・・コーヒーでも入れてあげよかな・・・(´゜w゜`)』

第壱百六拾七話

2009-02-25 | 本編


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オムー編エンディングお勧めyoutubeページBGM。
http://www.youtube.com/watch?v=S6JhUcY_lAo
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日差しが暖かい。
いくつもの子供達を目の前まで連ね、眩しいくらいに輝いている太陽。

冬の寒さに刃向かうその暖かい眼差しは動植物たちに一足早く春の訪れを告げ、道端に咲く花の微笑みもその幸せを祝しているようである。


ファンブルグの時計台を見ると既に約束の時間になっており、落ち着かない様子で辺りを見回しているオムー。


オムー『・・・・・そろそろアメルくる頃かな・・・あれ・・なんか・・この場面どっかでみたな・・=ω=.』

 

小振りでありながら艶やかな花を持ち、一張羅の晴れ着を来たオムーは待ち合わせをしている。


相手を好くこと。時間を、場所を、空間を、心と体を共有したくなるその至極単純な感情は、お互いの距離を縮めた理解の延長である。少しくらいの待ち合わせ時間の遅れなど今のオムーにとっては何の事は無かった。


すると噴水のある広場中央を挟み、向うの側から人を探すように辺りを見回しているアメルが顔を出していることにオムーは気づくのだった。

その姿は、今までに見たことの無い可愛らしい服を着ている。


オムー『(・・ぁ・・来た・・・カワイ・・・・=ω=.)』

 

アメルもオムーの姿に気づいたのか、背伸びをしつつ満面の笑みで手を振っている。

 

アメル『オムー!!!(●´w`)ノシ』


オムー『アメル!!!=ω=.ノシ』

 

屈託のない笑顔を見せ、オムーのいる場所まで走ってくる姿やその全ての一挙手一投足は、オムーの感情を助長させている。楽しさと嬉しさと恥ずかしさ、甘酸っぱいオムーの恋は確かな気持ちを持っていた。


オムー『・・ん~やっぱりこの光景・・どっかで見た・・=ω=.・・・まいっか・・』


まだお互い見慣れていない二人は目のやり場に困り、そわそわと落ち着かない。アメルが着くや否や、オムーは照れながらその花を差し出すのだった。


オムー『これ・・・=ω=.』


アメル『うわぁ~綺麗!!わたしに!?ありがとう(●´w`)実はわたしもね・・・渡すものがあるんだっ!』

オムー『なんだぉ=ω=.?』




神通力といっても過言ではないオムーの一途な思いは通じたのかもしれない。


新たな獅子を仲間にしたファンブルグ国の歩みは止まらない。
そう・・この二人のように・・物語は今始まったばかりなのだ。



オムー『じゃぁいこうぜ=ω=.ノ』

アメル『いざイノセントパークへ(・w・)ノ!!』



  ~回想の章(オムー編)~  完







第壱百六拾六話

2009-02-24 | 本編


先日の救出劇と大勝利を収めたファンブルグ軍は、城にて祝杯をあげていた。
勝利の喜びに笑うもの、泣くもの、酔いつぶれるもの、普段は全兵員など収容しきれない城内のあらゆる部屋や道などの地べたに兵士たちは座り、無礼講とのことで皆、慶び浸っている。

 

一方、第一連隊は王室横に位置する待機所にて集まり、新しく入ったオムーの歓迎会を始めていた。


松葉杖をしているトカマクは、おぼつかない足でやっと立ち上がり、ワイングラスを片手に乾杯の音頭をとった。


トカマク『かんぱぁ~い^^オムー入隊おめでとう』

りん『オムーおめでとう(*´▽`*)』

クルス『よかったな(゜Д゜)』

アメル『おめでとぅ(●´w`)』

衛兵1『おめでとうございます』

王様『ふぉっふぉっふぉっ^ω^』

オムー『なんか照れるな・・これからよろしくだぉ・・みんな・・=ω=.;』

 

 

バレンタインデーというファンブルグ国内イベントを合戦によって参加できなかった第一連隊の為に、今日はりんはたくさんのチョコを作ってきているのだった。

 

りん『はぁ~い(*´▽`*)チョコ作ったよ~』

衛兵2『待ってましたぁ><!!!』

 


りんが作った12アソートのチョコはそれぞれ12個のテーマを持つ創作チョコ。
いくつもの箱をあけると甘いチョコレートの香りが部屋いっぱいに香ってきている。

 

トカマク『うわぁ~^^おいしそう!』

王様『のほ(*´ω`*)これはおいしそうじゃ』

アメル『・・ズズ(゜w゜*)』

 


次々とトカマクや他兵士たちもりんの箱の中に手を伸ばし、舌鼓を打っている。

 

オムー『・・・ポリッ・・・ポリッポリッ・・うん=ω=.うまい・・・』

衛兵1『いけますね^^』

クルス『俺はチョコ苦手だが・・このビターチョコはうまいな・・(゜Д゜)』


アメル『りんー(`・w・)このチョコすごい綺麗だねっ!テーマはズバリなに!?』

りん『・・ぁ・・それは・・せっかくだから一個作ったんだ・・・一応LOVEをテーマに^^;』

アメル『おぉー(=´w`)いいねいいねっ』

 

衛兵2『ぼくがもらいましょう!!』


りん『ぶww』

クルス『落ち着けおまえはww』

 

そう言っている隙に王様が手を伸ばし、そのチョコレートを一口で食べてしまうのだった。


王様『・・バクッーωー・・・ほむ・・・』

衛兵2『あぁぁぁぁああぁぁぁ><!!!王様ぁ~!!!』

王様『・・バリッポリッ・・ほむ・・愛を感じるのぉ・・(*´ω`*)』

アメル『www』

りん『あぁーwいろんな味が楽しめるのに一口で食べちゃった王様w』

 

数日遅くバレンタインデーを味わっている第一連隊。
ワインなどの酒もすすみ、皆がその仲間との時間を愉しみんでいる中、オムーはテーブルを移動し、アメルと何やら話している。


りんはその様子がふと目に入り、見るともなく見ていた。


ふたつのテーブルを挟んだ距離。
他の兵士たちの会話が耳に入り、アメルとオムーは何をしゃべっているかわからない。しかし、クルスと同じようにりんにも大よそ察しはついていた。

 

アメル『*****!(*・w・)』

オムー『***・・******・・****・・=ω=.』

 

緊張した面持ちでアメルに話しかけるオムー。
顔を赤らめながらも驚くアメルの表情。



りんが離れたテーブルを見つめ、微笑ましい表情をしていることに気づいたクルスは不思議に思い、質問をぶつけている。
 

クルス『ん?・・どうした(゜Д゜)りん』

りん『ううん^^なんでもない』



王様『衛兵2~ーωー*ノ酒はよおかわり持ってこぉ~い!!』

衛兵2『はいはいはいはい~wもう~wペース速すぎなんですよ~w』



りん『・・・フフ(*´▽`*)がんばって・・オムー』


第壱百六拾五話

2009-02-22 | 本編
もはや外見上は陥落している北拠点。
火山口から吹き上がる噴煙のように、北拠点のあちこちの塔や建物から煙や火の気が上がっている。

拠点内にいるエステンブルグ兵たちは完全に殲滅目的に残兵必死の捜索をしている状態である。



外壁が砲弾により抜け落ちたトカマクとアメルのいる塔の部屋は、泣き尽くし顔を腫らしたアメルの顔にまとわりつくように、他場所からの煙を容易に招きいれている。


アメル『ケホッケホッ・・・・・』


体温低下を避ける為に着せられていたであろうアメルの上着を身に着けたトカマクはすでに意識を失っている。しかし今のアメルには既に起こす気力もなかった。

放心状態でトカマクの横で壁にもたれ掛かりながら座っており、それは自身の最後のときをトカマクと共に覚悟しているのかもしれない。




アメル『・・・・・。』

トカマク『・・・・・・・。』





すると、北拠点入り口付近で聞きなれない音が聞こえてきていた。


ズバーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
ドゴーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
ドドーーーーーーーーーーーーン!!!!



アメル『・・・・・・。』




アメルは黒煙が立ちこめる中、朦朧とした意識で外の景色が見えている。

あるはずのないその外壁は、アメルの目に今だかつてない驚きを与えるのだった。


それは、アメルの諦めかけていた仲間達の戦う姿が映っている。
りん、クルス、王様、衛兵たちが必死にこちらへ向かってきていた。




アメル『・・・ぁ・・・ぁれは・・・・・(´;д;`)みんな・・・きてくれてたんだ・・』



そしてなにより別人のような強さを見せ、猛然と自らの塔へ向かい突進してきているオムーにアメルは自身の目を疑った。

視界に入る一帯の敵を土や氷の魔法を放ちつつ剣で敵を一掃しているオムー。
その一直線に自らに向かう姿はおよそ以前見ていた姿とはかけ離れている。



アメル『・・・・・・あれが・・オムー?・・・すごぃ・・』


オムーの眠らされていた真の力を蘇らせたのは、素直なアメルへの思い。
恋する心は強く、理不尽な世の中へのアメルの怒りを代弁するようにエステンブルグという侵略国家の悪の権化たちを一掃していた。


枯れ果てでなくなっていた涙はまたもアメルの頬をつたっている。


アメル『・・・・・・(´;д;`)』







クルス『オムー(゜Д゜)!!もうすぐそこだぜっ!!援護するぜっ!』

オムー『サンキュー=ω=.!!!』





クルスとオムーの剣が絶妙なタイミングで絡み合い、次々と敵へクリティカルな打撃を食らわしていき、見る見るうちに北拠点へ近づいている。


クルス『りん!!あそこの塔にいる敵弓兵なんとかならねぇか(゜Д゜)!?』

りん『おk!!任せて!!!』



クルスの剣とりんの弓、オムーの魔法攻撃の三種三様の攻撃は、1万兵という兵員差を物ともせず、底知れぬ強さを誇示していた。





クルス『・・よぉしっ!!道が開けた(゜Д゜)!!!あの塔だ!!』

オムー『やった!!もうすぐだ=ω=.!!!!』

りん『前線部隊!!塔周囲50m円陣守衛!!!!』


りんの指揮の元、トカマクとアメルがいる塔を囲むようにファンブルグ兵たちが守りの壁を作っている。


クルスはその半壊した塔の入り口にオムーよりも先に到達し、いつもであればぐんぐんと先に進んでしまうのであったが、なぜかその時はオムーの到着を待っている。

そして間髪入れてオムーが到着するのだった。



オムー『・・ぜぇ・・はぁ・・ふぅ=ω=.;・・ここか・・』

クルス『・・・オムー(゜Д゜)!!アメルはこの上だ!!!
先にいってやれよ!!!』

オムー『・・・おう=ω=.!!!』


かつては人の気持ちを汲み取ることを苦手としていたクルスは、すでにオムーのそのまっすぐな気持ちがわかっていたのである。

オムーはその汲み取った気持ちを感じつつすぐに承知し、塔上階へ駆け上がっていく。



・・・・


・・





オムー『アメル=ω=.!!!!』


最上階へ着くと、そこには泣や土ぼこり、煙や血、様々なもので真っ黒になったアメルは泣きながらオムーに抱きつくのだった。

アメル『オムー(´>д<`)!!!きてくれたんだねっ!!!
こわかったよぉ~!!わぁぁぁあああぁぁん!!』


胸を貸しているオムーは黙ってアメルを包むように抱くとアメルは不安が和らぎ緊張が解けたのか、思い切り声をあげ泣いている。
その姿はエリート兵士、第一連隊の兵員ではなく寧ろそこにいるのは一人の女であった。


オムー『もぅ大丈夫だぉ=ω=.』


・・・・・


・・






トカマクとアメル救出後。
ファンブルグ軍は延べ14時間という長時間に及び、1万兵という差を乗り越え、逆転勝利を収めることができたのだった。


19××年代におけるファンブル軍によるトカマクとアメルの救出劇。
元来その北拠点は救いようの無い状態であり、見捨てるほか無いと考えられるほどの兵員の圧倒的な差、一万兵を差し置き、勝つことができた。

それは一重に、オムーによる敵への予想をはずした奇襲ともいうべき強さであり、その功績はかつての父と同じように語り継がれることになり、オムーの望みであった第一連隊への入隊のきっかけにもなったのであった。

第壱百六拾四話

2009-02-18 | 本編


オムーの周囲の音を聞き分ける耳は元に戻っていた。
しかし、相変わらず砲台の弾はひどくゆっくりと流れており、敵の動きやファンブルグ軍兵士の動きも遅い。


オムー『・・力が・・・・溢れてる・・・・=ω=.』

 

長年抜く事のなかった鞘の中にはほのかに父の香りがしているような気がしている。当時の父との思い出に浸る余裕などない緊急時にも関わらず、オムーはなぜか落ち着いているのだった。


オムー『・・・侵略なんてのは・・・究極のエゴだぉ・・』


王様が思い出したかのように頭上をみると、すぐ様またオムーに向かって叫んでいる。

 

王様『そうじゃった!オムー(>Д<♯)上を見るんじゃ!!もう矢がそこまで来ておるぞ!!』


同じようにクルスやりんもオムーへ向かって叫んでいる。


クルス『駄目だ!!間に合わねぇ(゜Д゜;)!!』

りん『オムー!!上から矢がきてるんだよ~><!!早くよけて!!』
 

オムー『・・あぁ・・・みんながさっき俺に叫んでたのはこの矢のせいか・・・=ω=.』

 

開放された直後の研ぎ澄まされた集中力。
常人を遥かに凌ぐ感覚が備わっている今のオムーには、自らに向かって飛ぶ矢でさえ遅く感じられている。

 

 


上空にて大きく湾曲を描いていたであろうその何本かの鋭い切っ先を持った矢は、真上から串刺すように、もうすでに鼻先まで落下してきていた。

 

オムー『・・これ当たったら痛ぇだろうなぁ・・しかし遅ぇなぁ~=ω=.』

 

そのスローモーションで落下してきているいくつかの矢をオムーは鼻先にあたる寸でのところで体を斜めにし、見事に避けている。

そして次から次へと飛んできている矢を弄ぶかのように体を仰け反らし、いとも簡単に避けてしまうのだった。

 

オムー『アメルはあそこにいるんだ・・・早くいかなくちゃ・・・=ω=.』


りん『・・・・すごぃ・・・』

クルス『・・・・全てよけた(゜Д゜;)』

 

 

王様『・・フ・・・・・さすがじゃーωー;』

 

 


りん『第一連隊!!!態勢を立て直す!!龍の陣形で今いる場所を保持せよ!!!』


オムーの開放された気の風圧によって周囲の敵が怯んでいる間にりんは態勢立て直しの指揮を執った。ファンブルグ軍、正面前線部隊7000名が一挙に防御態勢に入り整列し直している。

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ここからの推奨BGM。
http://www.youtube.com/watch?v=PTPgx1kBb5c
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王様『・・バルタルト・ニコシアという人物は聞いたことがあるかーωー?』

クルス『ん?・・親父から聞いたことはあるな(゜Д゜)なんでだ?』

王様『わしの旧くからの友人じゃよーωー今は何をしておるのか・・。18××年代の伝説の獅子の一人じゃ。そやつの子供が輪をかけて強くてのぉ・・。まだ若い故自身の力をうまくコントロールできんかったーωー

当時一時的に平和になったファンブルグにそのあり余る力は、かえって危険であるとニコシアは考え、剣と共に息子の力と魔法を封印をして欲しいとわしに依頼してきてのぉーωー』


そして王様は自らの首飾りを胸元から外に出し、小さく掘り込まれている紋章をりんとクルスに見せている。


・・ジャラ・・・・

 

りん『その紋章は・・・まさか!?』

王様『そうじゃ・・・・そのまさかじゃ・・このわしの首飾りにある紋章は、オムーの剣の紋章と同じーωーこれはわしの独自の魔法を印す刻印じゃ・・・・』

クルス『・・てことは・・・あいつは・・・バルタルトの・・(゜Д゜)』

王様『そうじゃ・・わしが昔封印したバルタルト・ニコシアの息子とは・・・あのオムーという男じゃーωーあんなに大きくなりおって・・・』

りん『彼が・・・・彼がバルタルトの血を引く・・人物!!』

王様『・・・奴の名は・・・かつての魔法と剣を使いこなす伝説の獅子・・・・・バルタルト・オムーじゃーωー』

クルス『(゜Д゜)!!!』

りん『!!!』



ファンブルグ暦18××年。
デスファルト王国の襲撃から我が国を守った伝説の獅子の一人であるバルタルト・ニコシア。

その一人息子として生まれたオムー。
時代を超え、バルタルトの血が再びファンブルグに帰ってきたのだった。


オムー『・・・メテオノヴァ!!!!!!』

 


オムーにとっての初弾とも言える攻撃魔法。メテオノヴァ。
竜神のごとく黒い煙がオムーの杖の役割をしている剣から放出され、空高く舞い上がると同時に暗雲を形成し、溶岩のごとき燃え上がる巨大な岩石が次々と落ち始めている。

 


ドドーーーーーーーーーーーーーーー!!!

ドドドーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
ドドーーーーーーーーーーーーーー!!!!

 


りん『・・・これが土攻撃魔法・・・クーちゃん!!!上を見て!!!』

クルス『・・なんだありゃ・・・(゜Д゜;)』

王様『ぬぉ(゜Д゜♯)』

 

 


ズバーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
ドゴーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
ドドーーーーーーーーーーーーン!!!!

 

真っ赤に燃え上がるその岩は全て敵兵に直撃し、数百とも言うべき敵兵が一度に押し潰され、地面に直打したことによる熱を帯びた爆風の余波は周囲の敵兵をも火達磨にしながら吹き飛ばしている。


その焼き払った敵前線を踏み歩き、オムーは突進した。


クルス『よっしゃ(゜Д゜)後に続くぜ!!』

りん『前線部隊!!!魔法攻撃に合わせて前進!!!!』

 

オムー『アイスフロスト=ω=.!!!!』

 

ピキッビキビキビキッ!!!!!

 

瞬間的に標的の周囲の空気の分子の振動を止めて凝固させ、冷却して凍らせてしまう攻撃魔法。アイスフロスト。

一息つく間もなくオムーは次なる攻撃をしかけている。
周囲一帯の敵兵の足元が瞬間的に冷却され、身動きできていない。


『・・う・・・なんだこれは・・・』

『・・くそ・・・足が・・・』


身動きのとれない獲物を勢いよく一刀両断していくその非情とも言うべき戦闘は、敵の士気にさえ影響を及ぼしていた。

魔法と剣を使いこなし、一瞬にして数百ともいうべき敵兵を倒していくその様は、かつての伝説の獅子、バルタルト・ニコシアを訪仏させている。

 

クルス『・・半端ねぇな・・こいつ・・(゜Д゜;)』

王様『・・・このまま一気に前進じゃ(゜Д゜♯)』

りん『全隊!!!前進!!!』

オムー『・・・・待ってろ・・・アメル・・・・』


第壱百六拾参話

2009-02-17 | 本編


馬の暴れるような地面を蹴る足音や鳴き声。剣と剣が弾かれる音。
生々しい雄叫びが北拠点の外でも響いている。
りんやクルスたちも一万の兵員の穴埋めはうまくいっていなかった。

 

 

クルス『・・・・くそ・・・りん!!そっちはどうだ(゜Д゜;)!?』

りん『前に・・・進んではいるけど・・間に合わないわ!!正面が硬すぎる!!』

 


多勢に無勢。獅子たちクルスやりんでさえ思うように前へ進めない程敵が密集しており、一向に前に進めずにいる。

地下道東側やエステンブルグ領西側からの挟み撃ちにより、一層の力が必要となるファンブルグ。兵員たちは次々と倒れ、今だかつてない乱調を帰していた。


クルスは何かを見つけたように北拠点の塔を指差した。


クルス『りん!!あの塔にトカマクとアメルがいる(゜Д゜;)!!』

りん『!!!』

王様『なんじゃと(゜Д゜♯)!!!!』


クルスの指差した先には半壊してる塔が立っている。
最上階の壁が崩れ落ち、ちょうどその階に横たわっているトカマクを抱くアメルが壁にもたれ掛かり座っているのが見える。

 

オムー『ほ・・ほんとだ!!!・・あんなところにアメルがいるぉ≫ω≪.;!!』

王様『くそ・・・全精力をもって突進するんじゃ(゜Д゜♯)!!』

 

と同時にその塔が大砲の標的になり、トカマクとアメルへの命中は避けられたが、塔を崩れさせるほどの砲撃をくらい、今にも傾き倒れそうになるほどの大爆発を起こしている。

 


ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!

ガラガラガラ・・・・

 

 

王様『な(゜Д゜♯)!!!!』

クルス『・・くそ・・・・(゜Д゜;)』

りん『危ない!!急がないと><!!!』

オムー『・・・やめろ・・・やめろ・・・・もうそれ以上撃つな≫ω≪.;』

王様『・・まずい・・まずいぞ・・・・>ω<;』

オムー『俺が・・・俺が強かったら・・・・アメルを・・アメルを・・≫ω≪.;』

 

 

 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今から約15年前。
オムーの父の名はバルタルト・ニコシア。
今日は非常に機嫌が悪い。

夏の暑い日。
Tシャツ一枚で鼻を垂らしたオムーは父の前で膨れた表情で立っている。

 

 

ゴツンッ!!!!


オムーの頭ほどある大きなゲンコツで父は愛の鞭を打っている。

 

オムー『いてぇ~ぉ~父ちゃん≫。≪.;』

ニコシア『・・・・・何度言ったらわかるんだぉ(`ω´.)!!』


オムー『・・・だって・・・悪い奴いたらぶっ倒した方がいいって、いっつも父ちゃん言ってんじゃん≫。≪.;』

ニコシア『他の人まで巻き込んでぶっ倒してどうするんだぉっ!!ばかたれが(`ω´.)何度目だと思ってるんだぉ!!!』

オムー『わかったよ・・・もうしないよ・・・だからあの剣返してよ≫。≪.;』

 

ニコシアは手に持っていた剣をオムー投げ渡すと、まだ幼いオムーは体いっぱいにその剣を抱きかかえるように受け止めている。

しかし、いつも見ていた剣と心なしか変わっていることにオムーは気づくのだった。


オムー『・・・ぁれ・・・父ちゃん・・・この模様なぁ~に=。=.?』

ニコシア『それはおまえが力のコントロールができるようになるまで剣はオアズケってことだぉ(`ω´.)!!』

オムー『オア・・ズケ=。=.?』

 


オアズケの意味がなんとなくしかわからなかったオムーは、不思議そうな顔をしながら剣を抜こうとしている。


・・・・・ギギ・・・・ギ・・・・ギ・・・・

 

オムー『ふぬぬぬぬ・・・・あれ・・・・ふぬぬぬぬぅ≫。≪.;』

ニコシア『・・・どうだ・・・抜けんだろ(`ω´.)』

オムー『父ちゃん抜けないよぉぉ~≫。≪.;やだよやだよやだよぉ~!!!!!』

ニコシア『だあっとれ(`ω´.)!!!』


ゴツンッ!!!!


再度、愛の鞭を与える父ニコシア。


オムー『びえぇ~ん!!!!えぇ~ん≫◇≪.!!!!』

ニコシア『・・・・・・(`ω´.;)』

 

ニコシアはオムーと目の高さを合わせるようにしゃがみ、真剣な面持ちでまっすぐと目を見つめてこう言った。

 

ニコシア『オムーよ・・・もし自身の力をコントロールできる大人になった時、そして、どうしても力が必要になった時・・・今から言う呪文を唱えるのだ(`ω´.)』

オムー『・・・・・ヒック・・ヒック・・・じゅもん;◇;.?』


ニコシア『リスラ・・アマテル・・ノベス・・パダターオ・・デ・・スカル・・・眠りし我が力・・・今こそ力を解放すべきとき・・・いざ・・真の力・・我に与えよ・・・という意味じゃ(`ω´.)よいな?』

オムー『・・・・ヒック・・・ヒック・・うん;◇;.』

ニコシア『・・父さんはもう使うことがない世の中を期待しているんだ(`ω´.)できればその力はずっと封印してもらいたい』

オムー『・・・・ヒック・・・ヒック・・うん・・父ちゃん・・・約束するよ・・・ぼく・・・いざってときにしか使わないぉ;◇;.』

ニコシア『うむ(`ω´.)』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



オムー『・・・思い出した・・・・父ちゃん・・・俺・・使うよ・・・使うときが・・きたよ・』

 


・・・

・・

 

オムー『・・・・リスラ・・・・』

・・・

・・

 

オムー『・・・・アマテル・・・・』

 

・・・

・・

 

オムー『・・・・ノベス・・・・』

・・・

・・


かつての魔唱封印を解く呪文を唱え始めているオムーを目の当たりにした王様は横で驚愕している。

 

王様『・・・・な・・・・こやつ・・(゜Д゜♯;)』

 

オムー『・・・・パダターオ・・・・』


王様『・・・・・・まさか(゜Д゜♯;)』

・・・

・・

 

オムー『・・・・デ・・・』

王様『・・・覚えとったのか・・・・・(゜Д゜♯;)』


・・・

・・


オムー『・・・スカル・・・・・・』

 


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ここからの効果音付きBGM。
http://www.youtube.com/watch?v=n9-qGEgGaoA
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キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 


すると、耳鳴りの音と共にオムーの体に不思議な現象が起こるのだった。
今まで聞こえていた馬の足音、鎧の各部の擦れ合う音、剣との交わる高い音やけたたましい兵士たちの掛け声が全く聞こえなくなっている。
そして何より、周りの速度がやけに遅く感じられている。


オムー『(・・・ゆっくり時間が流れてる・・何も聞こえねぇぉ・・・)』

 


王様が必死にオムーに何か話している。

 

王様『*******(゜Д゜♯)!!!!********!!!!!*******!!!!!』

 


しかし全く王様の声が聞こえてこない。

 

オムー『(・・・なんていってんだ?・・・)』

 

 


同じようにクルスもオムーに叫んでいることにオムーは気づくのだった。

 

 

クルス『********!!!!!********(゜Д゜;)!!』

オムー『(・・・・聞こえないぉ・・・)』

 

 

 

同じようにりんも騒ぎ立てるように首を横に振り、オムーに何かを訴えかけている。

 

りん『*****!!!!**********><!!!!』

オムー『(・・・・・耳がいかれたのか?・・・聞こえねぇ・・・・)』

 


オムーには何一つ音が聞こえていない。
ひどく無音の状態と耳鳴りがオムーを襲っている。

 


キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 

 

 

続いて視界がなくなったかと思うほど眩しい光を浴び、目の前が突如白く覆われていくのだった。

 

キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 


オムー『・・・・・・。』

 

 


オムーはその剣を自身の胸元に持っていた。
鍔元を境に、右手と左手を互いに相反する方向へ力をいれると、神々しいまでの光をその剣の紋章から発し、台風のごとき強風が剣から吹き出し始めるのだった。

 


ピカッ!!!!

ゴーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!

ゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!

 

辺り一帯の両国の兵士たちの戦闘に支障がでるほどの強い風は強烈な竜巻をオムーの周りに作っている。


クルス『・・・この風は(゜Д゜;)!?』

りん『・・・う・・・・く・・・・><;』

 

全てのものが吹き飛びそうになる風の音の中で、金具が外れる甲高い音が響く。

 

 

ピキーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 

 

オムーの剣の留め金は音を立て、スローモーションのようにゆっくりと頭上高くに跳ね上がり飛んでいる。

 


りんたちは、何重もの土ぼこりの竜巻に包まれたオムーがいるであろう頭の上高くに、鍔元から外れた紋章の入った留め金を確認した。

 

王様『・・封印が・・・・解けおった(゜Д゜♯;)・・・』

クルス『・・・・・外れた(゜Д゜)!!!!』

りん『・・・・魔唱封印が解けたのね!!!』

 

暫くの間、オムーは土ぼこりに覆われて姿をみせていない。
強い風、神々しく強かった光も弱まり、土ぼこりが時間と共に隠れていたオムーの姿を現し始める。


立ち煙の中から僅かにオムーの足元が見え始めていた。


王様『・・・ゴクッ・・・・・』

クルス『・・・・・ゴクッ(゜Д゜;)』

りん『・・・・・・。』

 

煙という暗幕は徐々に膝、腰、胸、首元とオムーの姿を現していく。

 

異常なまでの気を放ち、十数年に及ぶ封印されていた力が溢れ出ている。王様のみがその記憶に新しく、そこにいるのは紛れもないかつての伝説の獅子の姿と瓜二つであった。

王様『・・・とうとう帰ってきたか・・・・ーωー』



クルスやりんも同種の気を感じ取っている。



クルス『・・こいつ・・・俺達と・・・同類か(゜Д゜)!!!』

りん『・・・・すごい気!!!』

 

 

人は何かを絶対に失いたくないとき、何かを犠牲にする。
それは人により、物であり命である。
オムーは恋する人を失いかけ、己の全てをここで明かすことになった。


立ち煙は最後にオムーの落ち着いた表情を出し、生まれ変わったオムーの全身を表に出すのだった。

 


オムー『・・・・もぅ・・・許さねぇぉ・・・・アメル・・死ぬな・・・今助けに行く・・・・』


十五年という歳月を経て、眠っていた力が今開放された。


第壱百六拾弐話

2009-02-16 | 本編
元来、北拠点はファンブルグ城に並ぶ要塞として強固な作りで設計されており、障壁や監視塔なども通常の合戦であれば崩される代物ではない。

しかし思いがけない背後からの強襲による多大なる兵員の損失が重なり、トカマクやアメルの北拠点部隊はほぼ全滅に陥っていた。

360度から4万の敵兵による攻撃は全ての拠点建物の崩壊とファンブルグの兵員の殲滅を望んでいるかのように一向に止むことなく続いている。




『いけぇ~!!!容赦するなぁ~!!!』

『ぐぁぁぁああぁぁ!!』

『火を放てぇ~!!!突入~!!!!』

『うぁぁあぁぁぁ!!』


壮絶なまでの襲撃により、なす術もなくファンブルグ軍は倒れていく。
そんな中トカマクとアメルは北拠点の中に逃げ込むように一時避難をしていた。




・・・ズズ・・・・ズ・・・・



トカマクは足に重症を負っており、アメルはトカマクを背負い歩いている。背の小さいアメルはトカマクの負傷した足を地面に引きずりながらも衛生兵の場所まで必死に運んでいた。



アメル『・・ぜぇ・・はぁ・・あともう少しです・・・トカマク様・・(>w<`;)』




・・・・ズズ・・・ズズ・・・・ズズ・・・・




トカマク『・・・アメル・・やめなさい・・・私に構わないで・・・』

アメル『・・何いってるんですか(>w<`;)!!』




トカマクは出血量による急激な体温低下から自身の体を十二分に把握していた。何よりもまだ体力のあるアメルを一人で上階の衛生兵であるクレリック班へ向かわせれば合戦の時間を稼げるかもしれないと。


トカマク『・・さぁ・・早く・・あなたが残りの兵士を指揮するの・・』



より多くの命を助けるには目の前の負傷兵を見捨て、他多数の兵士の延命を優先するという選択肢もあるということをトカマクから教えられてきたアメル。

アメルの論理的思考の中でもそういった選択も頭を過ぎったが、実際の行動は別であった。今まで辛苦を共にしてきた上司を、言い尽くせない恩がある人物をアメルは見捨てることはできなかったのだ。




・・・・ズズ・・・・・ズズ・・・・




トカマク『・・・いい?・・これは・・命令よ・・』

アメル『やです(>w<`;)!!』

トカマク『・・わたしは・・・そんなことを教えたつもりはないわ・・』

アメル『なんといおうと・・・いやです(>w<`;)!!もうすぐそこです!!』




あちこちに建物のレンガの残骸があり、歩きづらい。
通る先にはファンブルグ軍の無数の息絶えた兵士が階段や道に横たわっており、時折見えるその兵士の顔は普段顔を合わせていた旧き仲間たち。

何発も打ち込まれた大砲の弾薬の火薬の匂いが鼻をつくことも手伝い、どうしようもない困難な状況にアメルは涙が溢れ出てきていた。



アメル『・・トカマク様・・・・あと少し・・あと少しです(´;д;`)頑張って・・・・』

トカマク『・・・・・・・。』




ドドーーーーーーーーーーーーン


アメル『キャ(>w<`;)!!』


すると、アメルの一歩先の横壁が砲弾により吹き飛び、アメルの目の前を爆風と砕けたレンガが共に横切り飛び散るのだった。



ドゴーーーーーーーーーーン


ドドドドドーーーーーーーーーーーーーーン




横壁と共に天井も底が抜けたようにバラバラと崩れアメルの頭や肩に落ちてきている。




アメル『うわっ!!!危なかった・・(>w<`;)』




そして、懇親の力でアメルは崩れかかった階段を登り、衛星兵の部屋まで辿り着くことができたのだった。



アメル『トカマク様!!着きました!!』



アメルはやっと目的地であったクレリックの待機所である部屋に辿り着くことができ、壊れかかったドアを開けてみようとしたとき、不自然な風の流れを感じていた。




アメル『・・・・・。』


中に入ると、仕切られた部屋であったはずが屋上のように風通りがよい。
精根尽き果てたそのアメルの額の汗を、皮肉にも乾かしてくれるかのように外の風が勢いよく流れていた。


その部屋はすでに砲弾が直撃した生々しい懇請があり、レンガまみれの中、何人もの救護班たちが死に絶えている。

別部屋との壁がかろうじて残っており、外壁はものの見事に崩れ落ち、不釣合いな青空がアメルの目に入っていた。


アメル『・・・そ・・・そんな・・・・・ぅ・・・ぅぅ・・(´;д;`)』



アメルは流れる涙を拭くことなくトカマクを崩れかけの隣の部屋との境壁にもたれ掛けると、力が抜けたようにズルズルと自身も座り腰を地面についている。


周りからなお一層激しい砲弾の着弾の音や敵兵の声が聞こえてきていた。


ドドーーーーーーーーーン


ドゴーーーーーーーーーーーーーーン


『残兵がいたぞぉぉぉおおおぉぉ!!!』

『うぉぉぉおおおおぉぉ!!』

『わぁぁあああぁぁ!!!』



徐々にエステンブルグの敵兵がアメルたちの上階へ上がってきている。

トカマクの低体温症による急激な体の震えは繋いでいたアメルの手も振動させ、普段から厳しく強いイメージであるトカマクは弱々しい表情をしながらガクガクと震えた顎でアメルに謝っている。


トカマク『・・ごめんね・・アメル・・・・。』

アメル『・・・・そんな・・・謝らないで下さい(´;д;`)・・・後悔はしていません・・・・・』



トカマクは暫くアメルを見つめたまま出血により意識を失いかけており、眠らせぬよう必死にアメルは起こそうとしている。

アメル『寝ちゃだめです(;w;`;)!!トカマク様!!』

トカマク『・・・・・・。』

アメル『・・ぅ・・・ぅぅ・・みんな・・・助けて(´;д;`)』

第壱百六拾壱話

2009-02-15 | 本編
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第壱百六拾壱話の推奨BGM
http://www.youtube.com/watch?v=I8SL8Hb5FHg
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りん『敵の軍勢のおよその数は!?』

衛兵2『斥候班からは4万と聞いております・・』

 

城には必要最低限の戦力を残し、トカマクとアメルの部隊がいる北拠点へ目指し、救出に向かうファンブルグ軍3万の軍勢に対し、4万近い兵員を投入してきているエステンブルグ軍。

 


馬に激しく揺さぶられながら、クルスは問い掛けている。


クルス『あれか!?あの煙が出ているところが北拠点か(゜Д゜)!?』

王様『あぁそうじゃ(゜Д゜♯)!!あそこにトカマクとアメルがおるんじゃ!!』

 

衛兵1『りん様!!!第二師団は出発指示の元、西側へ問題なく向かっております!!』

りん『わかったわ!!あと30分後に総攻撃開始よ!!!伝えてきて!!!』

衛兵1『はっ!!承知しました!!』

 


休息の時間など一度もなく、数時間も鳴り響いたままの大型馬車の車輪の音や馬の駆ける足音は、地響きと共にりんの指揮する声を掻き消すかのように鳴り響いている。

 

りん『第一連隊から第三連隊!!!正面から突破する!!他第一師団所属の者!!地下道からの敵を食い止めて欲しい!!』

 


第4連隊長『承知しました!!!!!』

第5連隊長『承知しました!!』


・・・

・・

第12連隊長『・・・・この作戦・・・我が連隊の全てを捧げたいと・・・』


りん『・・・わたしもよ・・・ありがとう・・・・』

 

早急に出陣をしたことにより作戦会議を行う余裕まではなかった。
しかしいかにこの戦いが重要であるかは各連隊長たちも察知しており、決死覚悟の気組みがりんに伝わってくるのだった。


各連隊長は馬走しながらの即席の作戦指示を聞くと、それぞれの連隊へ戻ろうと馬手綱を引き戻り始めた。


かなり拠点まで近づいてくると、敵の5万の軍勢と陥落寸前の北拠点が見えてきている。全ての監視塔は形を崩し燃え上がり、バリケードの障壁も敵に埋め尽くされていることが見てとれた。

 

王様『・・・なんということじゃ・・・・(>Д<;♯)』

クルス『・・・もうボロボロじゃねぇーか・・・(゜Д゜)』

りん『・・・・トカマク様・・・アメル・・・』

 


すると、第一師団第8連隊所属のオムーがりんの元へ馬を走らせながら向かってきていた。

 


オムー『おーーーーい≫ω≪.;!!!』

クルス『ん(゜Д゜)?あいつ・・・この前の・・』

 

トカマクやアメルらの命が危険にさらされており、一刻も早く加勢に行かねばならない状況を差し置き、りん達第一連隊である先頭集団は速度を緩めることができない。オムーの声を聞きつつも、馬の尻鞭を叩き続けるりんとクルスたち。

 

オムー『おーーーい≫ω≪.;まってくれぇーー!!』


ほぼ同じ速度で馬を進め、なかなかオムーはりん達に追いつけない。
りんは激しい馬の揺れから落ちぬよう体勢を保ちつつ、首のみを後ろに向け聞く耳を持った。


りん『どうしたの!!?』

オムー『教えてくれ≫ω≪.;!!!あそこにいるのは・・・第一連隊の誰かなんだって聞いたんだが!!!誰なんだ!!』

 


飲まず食わずの状態で乗馬し続けているオムーも枯れ声で数頭離れた場所から叫んでいる。姦しい馬足の音がオムーの声を邪魔し、無数の馬たちの蹴り上げる土ぼこりからやっとクルスの顔が見て取れた時、返答がもらえたのだった。

 

クルス『トカマクとアメルたちだ(゜Д゜)!!!おまえも早く連隊へ戻れ!!!』

オムー『なんだって≫ω≪.;!!!あそこにアメルが・・・・アメルがいるのか!!??』

りん『そうよ!!第8連隊は地下道へ行って!!東方面から攻撃をしかけて欲しいの!!』

オムー『頼む≫ω≪.;!!!俺も正面からいかせてくれ!!!』

クルス『馬鹿野郎!!!死にてぇのか!!指揮に従え(゜Д゜)!!!』

 

正面突破は剣術など肉弾戦に長けている者や戦闘能力が高い者が許されている。第8連隊所属の身であるオムーにとっては自殺行為とも言えるべき行動である為、クルスはオムーを元部隊へ戻らせようと厳しい難詰を浴びせた。


暫く走ると敵の軍勢の大砲の音が聞こえてくるようになり、その砲弾は見事に北拠点の分厚い壁を崩しかけている。

 

ドドーーーーーーーーーーーーン

ドゴーーーーーーーーーーン


ドドドドドーーーーーーーーーーーーーーン

 


オムー『・・・そんな・・・もう陥落してるじゃねぇかぉ・・・≫ω≪.;』

りん『くーちゃん!!!そろそろよ!!!』

クルス『おぅ(゜Д゜)!!ここで負けたらファンブルグは負けも同然だ!
死ぬ気でいくぜ!!!』

 


敵の砲弾が飛び交う中、ファンブルグ軍は背水の陣の突進の準備を整えている。


第壱百六拾話

2009-02-14 | 本編
りんは書庫から出るとすぐさま近くにあった机に大きい戦略地図を器用にくるくると広げた。

その荒い息遣いと共に上下する肩は高ぶった心を示し、それを見ている王様も心なしか事態の深刻さを察知している。


戦略地図。そこにはファンブルグとエステンブルグの大国と周辺国が色分けをされ、現戦況や最前線地区、激戦地区などが描かれてある。



りん『今、トカマク様率いる部隊をここに派遣されていると思います。』



拮抗する二大勢力のエステンブルグ国とファンブルグ国は大陸を綺麗に2分し、その境界線は波打つようにジグザグと激しい攻防を物語っており、りんは右側に位置するファンブルグの北地区を指差しながらしゃべっている。




王様『うむーωーそこは北地区の拠点じゃな』




時代が進むにつれて小国を占領し、拡大し続けている敵国エステンブルグは周辺国を従え、徐々にファンブルグを囲むように北側からも進軍してきていた。

ファンブルグは防衛線を北側にも置く必要があり、そこにはトカマクとアメルが指揮担当している。その重要な拠点は山岳を背にするように戦略マップに示されてある。



りん『ここの山岳ですが、実は・・』

王様『・・・・ん・・山岳地帯がどうかしたのかーωー?』

りん『ここの山岳には地下道があることが、先日の斥候班からの報告でわかりました・・・』

王様『・・・・なんじゃと(゜Д゜♯)!!』

りん『そして・・・トカマク様の報告班から連絡があり、その地下道からのエステンブルグの進入を許してしまい、現状況は・・・敵に囲まれ苦戦を強いられているとのことです・・』


山岳を背に防衛線を西に張っていたトカマクらの拠点は背後を突かれてしまい、すぐにその地区は防衛線を突破され、一気に形勢が逆転しまっているのだった。



王様『なんということじゃ・・・』



王様は机に両手をつきながら項垂れている。



りん『一刻も早く部隊編成し向かわなければ・・・トカマク様とアメルの部隊が全滅するおそれが・・・・』



すぐにでも出撃できるかのように既に兜を片手に鎧を着込んでいたりんは、指示を仰ぐかのような強い視線を王様へ送った。


王様『・・まずい・・まずいぞ・・・今の我が軍の戦力はもうギリギリじゃ・・・』



19××年。
ファンブルグ国の最大にして最高の蹉跌。
壁と思い防衛線を張らなかった山岳地帯からの襲撃により、トカマクらの部隊はほぼ壊滅に近い状態になっているのだった。

あらゆる小国も戦争に飲み込まれ、平穏の二文字とはかけ離れた大陸。
世界三大国家のうち、エステンブルグとファンブルグの激戦時代の到来である。



すると、王様は思い出したかのように顔を勢いよく上げ、机に置いた先程の読んでいた本を開きだすのだった。


王様『そうじゃ(゜Д゜♯)!!!これじゃ!!こういうときの為に・・』

りん『!?』



王様は夢中でその本のページを探している。



りん『・・・・・王様・・急がなければ・・アメルたちが・・』

王様『待っとれーωー;・・・んと・・・目次・・・193ページじゃな・・・』



王様が必死に開いているその本は相当前に書かれたものであることがりんにはわかった。心なしかカビ臭い匂いがりんのところまで漂っている。



りん『そこに何かのヒントが・・!?』

王様『そうじゃーωー;この本さえあれば・・・・もしかしたら奇跡が起きるかもしれんぞ』



しかし王様はなぜか同じページを行き来しており、ペラペラとページをめくる動作を繰り返している。


・・・・・ペラ・・ペラ・・・・・・ペラ・・・・ペラ・・・・


・・・ペラ・・・・・・ペラペラ・・・・


・・ペラ・・・・・



りん『・・・・?』

王様『・・・・・191・・・194・・・・・ーωー;』

りん『・・・・・・。』







王様『・・・・・・ぬおぉぉぉおおぉぉ(>Д<;'♯)しまったぁ~!!!』




王様は本を投げ置き、床に倒れ込んでしまっている。



りん『ど・・どうしたのですか!?王様・・・』

王様『そういえばこのページ・・・・ティッシュがなくて鼻かむのに破いてつかってしもうたんじゃぁ~ORZ!!!!!!!』

りん『そのページが・・・重要なのですか・・・?』

王様『わしはなんてことをしてもうたんじゃ・・万事休すじゃ・・・あかん(>Д<;'♯)』

りん『・・・・よくわかりませんが・・・第一連隊の指揮はトカマク様に代わり、臨時にわたしが取らせて頂いてもよろしいでしょうか?すぐに出撃の準備に取り掛かります。』

王様『・・・ぁあ・・ぁ・・・・・・・あかん・・・・(>Д<;'♯)わしは・・なんてことを・・』



もはや正気の沙汰ではなくなっている王様。
りんは待ちきれず、業を煮やしたかのように声を荒立てた。


りん『王様!!出撃の指示を!!!!』

王様『・・・・・ぁぁ・・ぅぅ(;ω;)・・・うむ・・・・そうじゃな・・』





否応なしに王様たちは出撃の準備を強いられることになり、トカマクやアメルの救出劇がこうして始まったのである。

第壱百五拾九話

2009-02-11 | 本編

   ~あれから数日後~



王様『う~むーωー・・・ないのぉ~』



王様は何やら書庫の本をホコリまみれになりながらあさっている。


すると、りんが王室図書館の入り口まで血相を変えて来ており、息つかぬ間に衛兵1に王様の居場所を聞いている。



りん『・・・ぜぇ・・はぁ・・・王様は!?』

衛兵1『この王室図書館におられます』



りんは急いでその中に入ると、王様らしき姿は本棚が邪魔をし、確認ができなかった。すかさず声を出して呼んでみているりん。



りん『王様~!!!おられますか!?』




りんは図書館入り口に立っている衛兵1に再度聞き直した。




りん『本当にここにいるの?』

衛兵1『あっはい・・おそらく奥の書庫の中におられるのではないかと・・』

りん『奥に書庫なんかあるんだ・・うんわかった・・ありがとう!』





どの辺りに書庫入り口があるのかわからないまま、りんは背丈を越す本棚たちの隙間を見つつ、王様のいるその場所を探るように歩きはじめた。



否応なしに目に入る本棚に置かれている本のタイトルを横目でみつつ、歩を進めていているりん。






<1019年王族の戦跡>

<ファンブルグの外交の歴史>

<民衆心理論>

<統率学>

<指揮管理体制>

<帝王学のすべて>

<大砲制御工学>

<王法規 民事刑事訴追論>





りん『読みたい本がいっぱいあるなぁ・・・まぁでもそれどころじゃない・・』




<クレリック学 ヒール論>

<魔術 攻撃型魔法 基礎編>

<リヴァイヴァーはどうして仲間の死を喜ぶか>

<剣術指南書>

<世界の剣豪>

<コルセスカ 槍の達人>

<新刊 正義の泥棒と言われた伝説の弓師>




りん『この弓師って・・・・もしかしてわたしのことかなw気になるわねw』



<薬学>

<よくきく薬 パーティーにて常時待たせるべき薬>

<漢方美酒>

<HP回復薬Ⅳの作り方>

<隣の奥さんシリーズ ザ・テクニシャン>

<戦闘時における薬の使い方>




毎度おなじみ、回復治療関連の本の隙間に紛れている卑猥な本。
りんは二度見をするほど驚いてはいたが、見て見ぬふりをしているようである。




りん『・うわ・・コホン・・見てない見てない・・わたしは見ていない・・・』



<調理師免許皆伝>

<俺の焼きそば 30秒クッキング>

<親子丼の作り方 達人編>

<だし巻き卵ってこんなに簡単に作れるの?>

<カボチャアイスの作り方>(貸し出し中)



《 新刊棚 》

<チョコレート 人気の12アソート特集>

<月刊 コンチェルトゲート(バレンタインクエ攻略)>

<週刊 えびちゅ(えびちゅ編集長のぼやき)>
  (返品予定の為、貸し出し不可)



りん『わぁー!!チョコ特集!!これ借りよかな(*´▽`*)・・・ってやってる場合じゃなかった><!!王様~!!!』





すると書庫の入り口らしき重そうな扉の向うから王様の声が聞こえてくるのだった。





王様『おーー(゜Д゜♯)!!!!これじゃこれじゃ!!ホコリまみれじゃのぉー^ω^;』


王様はホコリで埋め尽くされている書庫の硬いコンクリートの地べたにあぐらをかきながら、その古い書物にホコリを振り払うように強い吐息をふきかけている。


王様『フゥー!!!!』


自身で吹き払うつもりのホコリが舞ってしまい、王様は咳き込んでいる。



王様『・・・う・・く・・・ゴホッゴホッーωー;』

りん『こんなところにいた!!王様!!』



熱心に本の表紙を見ている王様は、りんが後ろに来たことに気づいていない。



王様『・・・魔唱・・・・封印・・・・ゴホッゴホッ^ω^;これじゃこれじゃ』

りん『・・・なんか読んでるのかな・・・』

王様『・・・えっと・・・確か・・・20年前のだと・・190ページくらいかのぉ・・ブツブツ・・・・あの分じゃと奴が伝えている可能性はゼロじゃからのぉ・・ブツブツーωー;』

りん『王様?』

王様『おぉーりん^ω^;どうしたのじゃ?』

りん『・・それが・・事は重大なお話しです・・・・』

王様『・・・なんじゃとーωー』

第壱百五拾八話

2009-02-07 | 本編


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第壱百五拾八話推奨BGM。
http://www.youtube.com/watch?v=S6JhUcY_lAo
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日差しが暖かい。
いくつもの子供達を目の前まで連ね、眩しいくらいに輝いている太陽。

冬の寒さに刃向かうその暖かい眼差しは動植物たちに一足早く春の訪れを告げ、道端に咲く花の微笑みもその幸せを祝しているようである。


ファンブルグの時計台を見ると既に約束の時間になっており、落ち着かない様子で辺りを見回しているオムー。


オムー『・・・・・そろそろかな=ω=.』

 

小振りでありながら艶やかな花を持ち、一張羅の晴れ着を来たオムーは待ち合わせをしている。


相手を好くこと。時間を、場所を、空間を、心と体を共有したくなるその至極単純な感情は、お互いの距離を縮めた理解の延長である。少しくらいの待ち合わせ時間の遅れなど今のオムーにとっては何の事は無かった。


すると噴水のある広場中央を挟み、向うの側から人を探すように辺りを見回しているアメルが顔を出していることにオムーは気づくのだった。

その姿は、今までに見たことの無い可愛らしい服を着ている。


オムー『(・・ぁ・・来た・・・カワイ・・・・=ω=.)』

 

アメルもオムーの姿に気づいたのか、背伸びをしつつ満面の笑みで手を振っている。

 

アメル『オムー!!!(●´w`)ノシ』


オムー『アメル!!!=ω=.ノシ』

 

屈託のない笑顔を見せ、オムーのいる場所まで走ってくる姿やその全ての一挙手一投足は、オムーの感情を助長させている。
楽しさと嬉しさと恥ずかしさ、甘酸っぱいオムーの恋は確かな気持ちを持っていた。


まだお互い見慣れていない二人は目のやり場に困り、そわそわと落ち着かない。
アメルが着くや否や、オムーは照れながらその花を差し出すのだった。


オムー『これ・・・=ω=.』


アメル『うわぁ~綺麗!!わたしに!?ありがとう(●´w`)実はわたしもね・・・渡すものがあるんだっ!』

オムー『なんだぉ=ω=.?』

 

その日は一年に一度、女の子に勇気を与えてくれる日。
通称バレンタインデー。ファンブルグ国では、女性から男性へチョコをあげ、告白する日として古くから行っているイベントのひとつである。


アメルは鞄から赤い箱を取り出し、恥ずかしそうにオムーに手渡した。


アメル『チョコだよ(●´w`)』

オムー『おぉおおおおおおおおお=ω=.;!!いいのか?』

アメル『うん(●´w`)あとで食べてね』

オムー『ありがとう≫ω≪.;』

 

その日の遊ぶ場所はファンブルグ南町に位置するイノセントパーク。
1900年当初にできた遊戯施設である。

 

オムー『じゃぁいこうぜ=ω=.ノ』

アメル『いざイノセントパークへ(・w・)ノ!!』

 

二人の歩く手は自然と近づき、冬で冷たくなったアメルの手をオムーは暖めるように握っている。

 


その遊園地へ着くまでの二人だけの取り留めのない会話がなんとも居心地がよい二人。
むしろ遊戯施設は二人にとっては時間を共有するツールにすぎない。
あっという間にその場所に着いてしまいそうであった。

 

アメル『あっ(・w・)!!見えてきた!!あの塔みたいな奴って、噂のサンダーボルトマウンテン?』

オムー『そうだぉ=ω=.あの乗り物は相当怖いらしいぉ』

 


すると、一頭の馬が突如後ろから近づいてきており、話しに夢中な二人は全くその状況を読め取れてはいなかった。

 

アメル『オムさんはそういう乗り物得意(・w・)?』

オムー『俺に怖いものはないぉ=ω=.』


実はそういった恐怖系乗り物は大が付くほど苦手なオムーは、アメルの前ではまた強がって見せていた。

 

アメル『わたしは苦手d』

 


(ガシッ!!!!)

 


オムー『=ω=.!!!!!!!』

 

 

突如後ろからきた一頭の馬に乗った男は、アメルをロープで一瞬にしてすくい上げ、さらって行ってしまっている。

アメル『キャァーーーーーーーーーー(>w<)』

オムー『なっ!!!アメル!!!!!!=ω=.;!!!!』

 

オムーがすぐに追いかけるもすさまじい速さで振り切り、その男はアメルを抱え、高笑いを上げながらオムーとの距離を離してしまっている。


 


オムー『アメルーーーーーーーーーーーーー≫ω≪.;!!!!』

 


・・・・・・・・・・・・・

 


・・・・・・・・

 


・・・・

 

 

***『е∴Θー』

 

 


***『oΨΜー』

 

***『ォmU-』




うっすらと音が聞こえている。

 

***『ォムー』


それが声であるとわかり、自身を呼んでいることに気づくのだった。

***『オムー・・・大丈夫?』

 

オムー『うぅ・・うぅ・・・・・・≫ω≪.;』


***『オムー・・・・大丈夫?』





 

オムー『はっ=ω=.;!!!!!!』


真っ白な壁が目の前にある。

起きて直後の三半規管から頭の向きがようやくわかりはじめ、オムーが見ていた壁は天井であるとわかり、自分が横になり寝ていることに気づくのだった。

 


オムー『・・あれ・・・・=ω=.;?』

アメル『大丈夫(・w・)?すごいうなされてたから・・』

 


ベッドで寝ているオムーの側には心配しているアメルが見守るように座っている。

 


オムー『・・・・・夢・・・か・・・・=ω=.;』

 


見たことの無い一部屋にオムーはいた。
起き上がろうと体を起こすと、全身に激痛が走るのだった。

 


オムー『イタタ・・タタ・・≫ω≪.;』

アメル『あっ!!駄目だよ!!まだ動いちゃ駄目(´゜д゜`;)』

 

体の各部には宛て木がついている。
アメルは濡れ布巾をオムーのおでこに置き、付きっきりでアメルは数時間、様子を見てくれていたことに気づくのだった。

 

オムー『・・・・あれ・・俺は・・・=ω=.;』

 

しかし今までの事態を飲み込めていないオムーに一呼吸置いてアメルは説明をしようと口を開いた。

 

アメル『ここはファンブルグ軍の兵士療養所。傷ついた兵士がくるとこ。試験結果だけど・・・・負けちゃったよ(´゜w゜`)』

オムー『・・・そうか・・・俺・・第一連隊試験・・・落ちたんだ・・くそ=ω=.;』

アメル『武器なしだったらしょうがないよ(´゜w゜`)それに無手で60人てのも異例だよ』

オムー『・・・・・=ω=.;』

アメル『それにね(・w・)王様が第一師団第八連隊への合格を認めてくれたんだよ』

オムー『第八連隊=ω=.?』

アメル『そだよ(・w・)良かったね』

 

アメルと同じ分隊でなければ意味がなく、強く悔しがっているオムーは横目でアメルの隣に置かれた自身の剣を見つめている。

 

オムー『・・・・親父・・・嘘つきだ・・・・』

アメル『・・・・・(・w・)?』

オムー『いざというときにその剣はおまえを導くだろうって・・ぜんぜんだぉ≫ω≪;』

アメル『ふ~ん(・w・)りんが言ってたよ・・それ魔法の封印がかかってるって』

オムー『・・・魔法の・・封印・・・・なんだかさっぱりだぉ・・・・なんで親父をこんな剣俺に持たせてんだ=ω=.;』

アメル『お父さんからのプレゼント(・w・)?大事にした方がいいよ』

 

アメルは自身の荷物を持ち、帰り支度を始めている。


アメル『数日間はここでゆっくりしてっていいんだってさ(・w・)主治医はそこに書いてある<透くん>て人ね』

オムー『ぉ・・・ぉぅ・・・ぁ・・・帰っちゃうのか=ω=.;?』

アメル『熱も下がったみたいだし(・w・)治るまでは動いちゃ駄目だからね』

オムー『・・・そ・・そうか・・うん・・ありがとうな・・看病してくれて=ω=.;』

アメル『うん。お大事にねっ(・w・)ノシ』

 

オムーはアメルの帰る背をみながら、深いため息をついた。



オムー『ふぅ~・・・・現実はうまくいかねぇもんだなぁ~=ω=.;』