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眩しい太陽・・美しい月・・そして世の中所詮金でちゅ

伝説の獅子たちが活躍する笑い泣き感動ありのアクションストーリー (c)2008hiyoko.現在原画製作中!

第壱百八拾九話

2009-03-29 | 本編


今作お勧めyoutubeBGM。
http://www.youtube.com/watch?v=lulFlFN70Gw
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りんの顔は一瞬にして血の気が引いていく。

アメルは自身の体が大地からの揺さぶりを強く受け、武者震いのように揺れていることに気づくのだった。


アメル『・・・大地が・・揺れてる・・・』


所々に雑草の生えているだけの茶色の大地。敵が近づくにつれ、立ち続けている事さえできそうにない程に揺れ始め、広い大地全体も畏怖を感じているかのようである。


その地響きと共に徐々に大きくなっている敵の咆哮はファンブルグ軍の士気を失わせていた。

 

うぉぉぉおおおぉぉぉ!!!!

あぁぁああああぁぁぁぁ~!


らぁぁぁあああぁぁぁ!!

 

立ち煙から姿を現した数十万にも及ぶ無数の敵兵たち。頭を覆った兜の僅かな隙間から出ている鋭く不気味な目は、行く末のファンブルグ軍を睨みつけている。

 


アメル『・・ぁわ・・わ・・・』


恐れ後退りするアメルの横でトカマクに指揮を煽っているりん。


りん『トカマク様!!このままだと危険ですっ!!すぐ退避しましょう!!』

トカマク『わかったわ><!!』

王様『いったん退避じゃ!!』

りん『王様!!中央へ!』

オムー『・・後方部隊にすぐに下がるように言うんだぉ=ω=.;逃げ道がなくなる!!』


敵数十万の馬隊や大砲隊などの足音はファンブルグ軍に脅威を植えつけていた。


トカマク『全軍!!!20kmラインまで後退~!!!』

 

青ざめた顔でトカマクも全軍に退避命令を出すと、一斉に馬の手綱が引かれ叫び鳴く馬声が響き渡り、最前線部隊も否応なしに戦闘を避けて後退りを始めている。

 

アメル『りん!!右側からも大量に来てる(>w<´)!!』

りん『左翼160度の方角!!大砲隊!!』

オムー『右翼80度!!長槍兵!!ざっと見て敵の数10万強!!!』

クルス『おい!!りん!!俺とオムーが正面の奴らを食い止める(゜Д゜)!!俺の小隊の兵、先導してくれねぇか!?』

りん『一緒に退避しなさい!!』

オムー『アメル早く退避しろ=ω=.;!!』

アメル『足止めだったらわたしもするよ(>w<´)!!』

 

正面から、左右両面からの同時攻撃に見舞われているファンブルグ軍。正面からの敵部隊囮は本隊と隊列を交替している。

 


オムー『敵正面隊は隊列交替してる!!正面からも本隊攻撃がくる=ω=.;クルス!!』

クルス『上等(゜Д゜ )!!!!』

 

クルス小隊とオムー小隊はトカマク第一連隊の退避には従わず、最前線で足止め交戦をしていると、両面敵部隊からの初弾の攻撃が始まるのだった。

音を鳴らしながら大砲や弓槍がファンブルグ軍に着弾し始めている。

 

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ドドーーーーーーーン!!!

 

『ぐはぁっ!!!!』

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドドーーーーーーーーーーン!!!

『うわぁぁああぁぁぁ!!』


ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドーーーーーーーーン!!

『退避~!!!全軍退避~!!!』

 

横攻撃にも耐えれるはずの流線型隊列も20万を越す大砲や弓槍には耐え切れず、無情にも寄せ集まった軍兵の隙間を死体で埋めていく。

 

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ドドーーーーーーーン!!!

 

『ぐはぁっ!!!!』

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドドーーーーーーーーーーン!!!

アメル『うわぁぁああぁぁぁ!!』

 

りん真横にいたアメルの小隊が砲弾の爆発をまともに受けており、爆風で吹き飛ばされている。

 

りん『第一連隊着弾!!!アメルの部隊へ着弾~!!!クレリック衛生兵~!!!』

オムー『のやろぉ~=ω=.;!!!!!』


やがて敵両面の部隊とも接触を開始し、ファンブルグの縦列に入り混じるように敵が突入していく。

 

各中隊、各小隊などの兵士が隙間なく作っていた陣形も敵が入り混じることで容易に背後からの攻撃を受けてしまい、そこには陣形や隊列作戦の意味をなさなくなってしまう。


数の少ない隊が多勢部隊に勝つための最大の条件は背後を取らせないことにある。その鉄則が守られない場合、それはただの肉弾戦として多勢に無勢の戦いになることは必然。

今のファンブルグ軍はまさにその事態を起こしていた。
隊列はなくなり、敵か見方かの判断も危うい。


ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ドドーーーーーーーン!!!

 

『ぐはぁっ!!!!』

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドドーーーーーーーーーーン!!!

『うわぁぁああぁぁぁ!!』


ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドーーーーーーーーン!!

 


トカマク『退避が間に合わない!!』

オムー『アメル=ω=.;!!!大丈夫か!?』

アメル『・・・ぅ・・な・・なんとか(>w<´;)』

クルス『こんなところで死んでたまるかよ(゜Д゜)』

王様『(エビちゅ!!頼む!!来てくれーωー;!!)』





第壱百八拾八話

2009-03-27 | 本編

世界に名だたる大陸として旧き時代から人間の手によって栄えていたマバオ大陸。エステンブルグやファンブルグを初めとしたいくつもの国が栄え、かつては新緑の色が大地を覆い、動物が駆けめぐっていた平和な日々。


今やエステンブルグの横暴は大陸の隣国全てに行き渡っており、マバオ大陸に存する全ての国々はその侵略戦争に巻き込まれ避ける術はなかった。




最も激化している戦いは、大陸を大きく二分していたエステンブルグとファンブルグの攻防戦であった。

当初からエステンブルグには圧倒的なまでの数の兵員がおり、ファンブルグが堕ちるのも時間の問題であるとは言われていた。



しかしそこへ突如ファンブルグの大地に旧伝詩文書にあった戦士たちが生れ落ちていく。


その者たちはファンブルグ国のそれぞれの時代にて、それぞれの町にて産声をあげ、時には幼少期に、時には成人にて自らの力に気づき、国や大陸の行く末を導いていく道を歩み始めていく。


ファンブルグの民たちは旧伝詩文書の言葉から、彼らを<伝説の獅子>と呼んでいる。その突如舞い降りた獅子たちは、下馬評を覆しファンブルグへ底なき力を与え、エステンブルグの猛攻を凌いでいる。


・・・・


・・・


・・




今最も激化している戦闘地域は緑地が消えかけた広い大地であるチプスタ。
エステンブルグ40万の軍勢とファンブルグ13万の軍勢の合戦。


喊声を発して突入する声。喚いている声。人と剣と鎧がぶつかり合う音。
馬のけたたましく鳴る足音が響いている。


ドドドドドドドドドドーーーーーーー!!!



うぉぉぉおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!

わぁぁぁあああああぁぁぁぁぁああああぁぁ!!!!

ぉぉぉおおおおおおおおおおおぉぉぉ!!!



クルス『いけっ(゜Д゜)!!リンドブルム!!!』


主の命令により敵目掛けて飛んでいくセプテントリオ。
チビ竜と言われていたその丈は今や人を優に超え、勇ましく敵陣へクルスらと共に向かっていっている。


リンドブルム『グルルルルルル(`∞´)!!!』



きしめきあっている無数の敵陣の群れの上空僅か1m程の所を風を切るように飛び進み、リンドブルムは敵中隊の指揮官めがけて鋭いクチバシで攻撃した。



バサバサバサバサッ!!!

グサッ!!!!


敵中隊長『ぐはっ!!目が!!目がぁ~!!』


負傷と共に勢いあるセプテントリオの突打のクチバシ攻撃は中隊長を突き飛ばし、馬から突き落としている。


クルス『よっしゃぁ~(゜Д゜)!!!』

りん『隣の指揮官も射抜いたわ!!これで命令指揮系統はなくなったはず!このまま突撃しましょう!!』

トカマク『そうねっ!!第一連隊前進~!!!!』


流線型になった前線部隊は衛兵や壁兵や突撃兵を先頭に徐々に前進を始めていった。




オムー『クルス!!周りの雑魚ども俺が援護するぉ=ω=.』

クルス『頼むぜ(゜Д゜)!!俺が道を作る!!アメルこい!!』

アメル『日頃のうっぷん!!はらさでおくべきか!!うらぁぁああぁぁ(ーwー´)ノ』



広大な土地は戦略も要になっていく。
ファンブルグ軍は1段前線、2段前線、中堅隊、後方援護部隊、衛生救援隊を順に配置させ、横からの攻撃にも耐えられるよう全部隊が流線型に列を成しており、敵からの進行を食い止めていく作戦を取っている。


無論、最前線を務める1段前線には第一連隊が配置され、りん達が陣形を保っていた。


グングンと思惑を遥かに超えたスピードで敵軍隊の中心部へ進んでいく。


通常であれば一太刀で息絶えてしまうはずの敵との刃の交じり合いを当然のように受け流しながらクルスは話しながら敵奥地へ攻撃をしている。



ジャキーーン!!

バスッ!!ガスッ!!!!!

『ぐはぁぁぁああぁぁぁ』


カキーーン!!

『うぉぉおおぉぉぉ』

ビシッ!!!

ザンッ!!

『ぎぇぁぁああぁぁぁ』

カンッ!!

ジャキンッ!!!


クルス『見えてきた(゜Д゜)!!あれが敵の本隊指揮官か!?』

王様『そうじゃなーωーあの者がエステンブルグ本隊指揮官じゃ』

アメル『もしかして降伏勧告もらっときながら今回勝てるんじゃ(ーwー´)?』

りん『トカマク!!第二連隊がやや押されてます!!』

トカマク『全隊速度下げて!!!2段前線!!後方支援開放!!!』


やや歩き進むペースが弱まると、数万人の歩く音や合戦の気組みある雄叫びや重なり合う音が弱まり、立ち煙も心なしか少なくなってきている。


アメル『このまま突っ込もうよ(ーwー´)ノ』

クルス『りん!!あの指揮官は俺にやらせろ(゜Д゜)』



するとオムーはいつもとは違う状況からの深憂からの胸騒ぎを感じ始めていた。


オムー『・・・・・・=ω=.』

りん『あと少し・・・トカマク様!予定より大幅に進軍しています!!』

トカマク『そうねっ!!この調子でいきましょう!!』



2段前線の援護攻撃もあり、第二連隊も回復していっており、全部隊の隊列も綺麗な流線型を作り整えられていく。


りん『トカマク様!第二連隊隊列回復です!!』

トカマク『おk!!全体進軍!!!進め!進めぇ~!!!』



本隊と接触も僅か。
勢いを増してファンブルグ軍は押し進み始めた。



そんな中、オムーは辺りをキョロキョロと見回している。

オムー『・・・(=ω=. )( =ω=.)?』

クルス『オムー!!この左にいるウジャウジャいる奴らフレアで蹴散らしてくれ(゜Д゜)うざってぇ!!』


最前線の中でも最も前方に位置し、特攻を担っていたクルスは左部隊に密度濃くいる敵らを排除して欲しいとオムーに範囲魔法攻撃を頼んでいる。

しかしオムーは何かに囚われているかのようにクルスの言葉が耳に入っていっていなかった。



クルス『オムー(゜Д゜)!!聞こえてんのか!?』

オムー『・・・・・=ω=.;』



その様子に気づいたりんもオムーの顔色を伺っている。



りん『・・・?』

オムー『・・・・=ω=.』


りんは執拗にある場所を見入っているオムーの眼差しを伝い、同じ方向を見てその視野に入ったものを確認していた。


りん『・・・・オムー?どうしたの?』

オムー『・・・・・=ω=.;』

りん『何か見えるの?』



合戦のけたたましい馬の走る音や奇声にも似たその掛け声が飛び交う中、静かに周囲をみているオムー。近くにいるりんの呼ぶ声さえも耳に入っていないようである。


オムー『・・・・=ω=.;』

りん『オムー!!!!』

オムー『はっ=ω=.;!!!す・・すまねぇぉ・・』



気づかせる為にも大きめに呼ぶと、オムーは我に返りすぐさまりんに頷き返事をした。



りん『大丈夫!?もう本隊と接触するわよ。』

オムー『りん・・・・=ω=.;』

りん『第3連隊!!!隊列を守って!!』


りんは1段前線の左翼の指揮を任されており、指揮をしつつオムーとの会話を続けている。


りん『・・ん?呼んだ?』

オムー『どうもおかしいと思わないか=ω=.;?』

りん『なにが?』

オムー『順調すぎる・・・=ω=.;』

りん『いいことじゃない^^このままいけばこの合戦は私達の勝ちね』

オムー『30万近くの兵員の差がありながらなぜこうも進めるんだ?・・・・あの前線にいるのは鎧も真新しいぞ・・・おかしいと思わないか=ω=.;?』

りん『・・・・言われてみれば・・そうね・・』



アメルやクルス、1段前線で戦うファンブルグ軍の前に対峙している敵の鎧は確かに経験を滲み出させている血が染まった鎧ではない。あたかも新兵が着ている輝いている綺麗な鎧だった。



オムー『もし俺がエステンブルグなら・・・この調子にのった部隊を倒すには・・
真横から来ると思ってな・・・=ω=.;』

りん『・・・・・。』



じっと砂煙でみえなくなった横の大地を見ながらしゃべっているオムー。同じようにりんも敵の存在を確認している。



オムー『・・・・=ω=.;』

りん『・・・・・・来るとしたら・・敵本隊接触のとき・・かな・・。』

オムー『・・・だな=ω=.;』




そしてとうとう本隊と接触となると思った矢先。
敵陣営から鐘の鳴る音が聞こえてくるのだった。



カーーーーン!!

カーーーーーーーーン!!

カーーーーーーーーーーーーーン!!!


りん『!?』

トカマク『!?』

アメル『りーん(ーwー´)!!敵本隊と接触開始ぃ~!!』

クルス『うぉぉぉおおおぉぉ!!な・・なんだこの音は(゜Д゜)!?』

オムー『・・・・いるぞ・・・・・あそこだ・・・・=ω=.;』



無数の人が叫び唸るような咆哮が聞こえてきている。



ぅぉぉぉぉ

ぁぁぁぁぁぁぁ



オムーはファンブルグ軍の横にあった砂煙を指差し、りんに訴えている。


オムー『・・・りん・・・・・あそこだ=ω=.;』

りん『・・・な・・・・・あれは・・・』




第壱百八拾七話

2009-03-21 | 本編


第壱百八拾七話の推奨youtube動画BGM。
http://www.youtube.com/watch?v=gwmhr75dlGE
↑別タブで開いて引き続きお楽しみ下さい。
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王様は遠くを見つめたまま昔の出来事を話し始めた。


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60年前のある日のこと。
聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院。
桜が咲き、艶やかに学校全体を色飾っており、卒業式間近の校舎の真上を見上げれば、そこには気持ちのいい青空が広がっている。


ファーレン『・・・・・^-^』


ファーレンはピンと背筋を伸ばしながら校庭のベンチに座り、その日も本を読んでいた。ほのかな風も気持ちよく、ページを一緒にめくってくれている。


大好きな本を読み始めるとすぐにその世界に入り込んでしまい、あっという間に日が暮れてしまうことは日常茶飯事であった。


校門が閉まるぎりぎりの時間。
時間など忘れて読み耽っている。

 

ファーレン『・・・・・^-^』

 


しかし突如ファーレンの世界は閉ざされ、現実の世界に引き戻されてしまうのだった。

 


ファーレン『・・ぁれ・・・^-^;』


本が目の前から消え、強制的に目覚めさせられてしまったファーレンは、手元から無くなった本の行方を探している。


ファーレン『・・・どこ・・・だ・・^-^;?』

バリス『ははははははっ^△^ノ■何読んでんだよ~!!!』

ダック『おまえ何が楽しいんだよ!こんなの読んでて』


集中して読んでいることをいいことに、学校の不良らが後ろから本を奪ってしまい、一日中本を読んでいるファーレンにケチをつけている。

 

ファーレン『・・ぁ・・・返してよー・・・^ー^;』

バリス『返してほしけりゃ取ってみろよぉー^△^ノ■』

ダック『はははははっ^^!!』


こういったイジメもファーレンにとってはごくありふれた日常の一部。バリスとダックはファーレンをいつも標的にしていた。


体の大きいバリスは本を持ち手を伸ばし、ファーレンの手が届かない位置までかざして高くあげながら煽っている。


ファーレン『ぁぁー!!返してよぉ~>_<!!』

 

なんとかして取り返そうとファーレンは一生懸命その本に向かって何度もジャンプをしている。

 

バリス『ははははっそんなに大切なのかよ^△^ノ■こんなもん!!』

 

するとバリスはファーレンの頭の上で本を開くと、引き裂くように両手で左右に力を入れ始めた。

 

ビリ・・・・ビリビリ・・・・・

 

徐々に冊子が音を立て破れていく。

 

ファーレン『あぁーーーー>_<!!!!』

ダック『あはははははっ^^!』


ビリ・・・・ビリビリ・・・・

 

ファーレン『あぁ・・・・ぁぁ・・><』


ビリ・・・

 

みるみるうちにその本は二つに引き裂かれていき分断されていく。

 

バリス『・・・・・^△^』

ダック『・・・・・^^』


ビリバリリリリリッ!!!!

 

そしてとうとう真っ二つに裂かれ、見るも無残な姿になってしまうのだった。


ファーレン『・・・ぅ・・・ぅぅ・・・><』


バリスは半分に引き裂かれた本を両手に持ち、ファーレンの困る顔をみて満面の笑みを浮かべている。


バリス『こりゃ悪かったなぁ~!!力入りすぎたわ^△^!あははははっ!』

ダック『いーひっひっひっ><腹いてぇ~!!』

ファーレン『・・・・・・・。』

 

悔しさで涙がいっぱいに溢れ落ちそうになったファーレンは渾身の力を振り絞り、叫びながらバリスへ向かっていく。

 

ファーレン『うわぁぁぁああぁぁぁぁ><!!!!!』

バリス『?』

ダック『!?』


破れかぶれで突っ込んだファーレンの頭は見事にバリスの胸に辺り、突き飛ばしている。


ドガッ!!!!


バリス『ぐはっ><!!』

ダック『てめぇ!!!』

 

砂煙を出しながらバリスはファーレンと共に転がっていく。

 

ゴロゴロゴロゴロ!!

 

勢いに任せて転がり、止まるとバリスがファーレンの上に馬乗りになっていた。

 

バリス『おまえぇ!!!いい度胸してんじゃんか!!』

ファーレン『・・ぅ・・・ぅぅ・・・><』

ダック『ファーレンのくせに!!』

 

バリスは上から力任せにファーレンを殴りつけている。

 

バリス『このやろっ!!このやろっ!!』


ドガッ!!バキッ!!

ドガッ!!!バキッ!!

 

下になったファーレンは必死に上からの拳を防御している。

 

ファーレン『・・ふぁっ・・・ぐぁっ・・がはっ・・』

ダック『そうだもっとやっちゃぇバリス!!』

バリス『っのやろぉ!!!俺に!!立て付くなんて!10年早いんだよっ!!』

 

ズガッ!!バキッ!!!!

 


受けきれなくなった拳はファーレンの顔面を捉えていき、流血していくファーレンは意識が飛びそうになるほど殴られ続けている。

 

ドカッ!!!バキッ!!

 

バリス『・・・はぁ・・ぜぇ・・』

ファーレン『・・・ぅ・・ぅ・・・・』


そしてとどめを刺すように大きくバリスは拳を振り上げた。


バリス『・・・後悔しろよっ!!』

 

『やめなちゃい!!』

 

バリス『!?』

ダック『!?』

ファーレン『・・・・・。』

 

ファーレンは意識が朦朧としながら、声の主の方へ目をやった。

するとそれは・・・


自身と正反対である優等生、エビちゅであった。


エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

 

腫れ上がったファーレンの目から見える涙にまみれた視界には、ぼんやりとその雄姿が写っている。

 

バリスはファーレンを下に立ち上がり、エビちゅへ向き直っており、続くようにダックも後をついていった。


バリス『・・・なんだおまえ?』

ダック『おまえもやられたいのか!?』

 

バリスはエビちゅの胸倉を掴んだ。

 

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

やや離れた場所でエビちゅの様子を見ているファーレン。

 


ファーレン『・・・ェ・・・ビちゅ・・・。』

 


ファーレンのその顔は血と泥と涙に覆われている。

 


ダック『おまえ!知ってるぞ!エビちゅだろ!?推薦腐るほど貰ってる奴だろ!?』

バリス『はっはっはっ^△^俺達に手を出したら・・・どうなるんだろうな!?』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

 

 

名誉溢れるこの学校では特に規律を重んじている。
不祥事だけでなく、揉め事を起こしただけでも推薦に響き、特に他校や今後の就職先などに対して注目され、影響力を持った者への処罰は厳しい。

エビちゅは、魔法学院の優等生。
例え友達を助ける為とはいえ、暴力で解決したとなればその対象になってしまう。

しかしそんなことはお構いなしに魔法詠唱を始めているのだった。

 

エビちゅ『・・・リーズ・・・デルタ・・・( ̄ω ̄ )』


胸倉を掴まれたままのエビちゅは両手をいっぱいに左右に広げ、その手の平には褐色の色をした玉が浮かんでいる。


・・・ブーーーーーーーーーーーン・・・

 

攻撃されるやもしれないその状況に慄きながらも、まさかするはずはないと高をくくって威勢を張っているバリスとダック。

 

バリス『・・・へへ^△^;・・・やってみろよ・・・』

ダック『・・・ゴクッ・・・・^^;』

エビちゅ『遠慮なんてしまちぇんよ( ̄ω ̄ )』

 

ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!

 


手の平に浮かんだ二つの褐色の玉は躊躇いもなくバリスとダックへ飛んでいき、一瞬にして丸焦げに焼いてしまっていた。


・・プスプス・・・・

 

バリス『・・・・・・・。』

ダック『・・・・・・。』

 


エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

ファーレン『・・・・ェ・・ビちゅ・・・ありがとぅ・・』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 


りんと王様は留置所前の通りでしゃべっている。

 

王様『・・・・そしてエビちゅは退学になってもうたんじゃ・・・ーωー』

りん『・・・・退学に!?』

王様『奴はわかっておった・・・天秤にかけたんじゃろうな・・・名誉と・・・・友達と・・・・どちらが大切かをな・・・ーωー』

りん『・・・・・・。』

言葉を詰まらせたりんの横で、王様は話し続けた。

 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あれから数日後。

バリスとダックはまだ入院しており、学校側は責任を負うこと恐れ、この傷害事件と共にエビちゅを切り離したのだった。

エビちゅらの言い分も聞けず、一方的に退学処分とした魔法学院。全推薦を取り消して退学とし、エビちゅの学校通学歴さえも抹消していた。

 

学校から近い公園にて、顔に絆創膏を貼ったファーレンが泣きながらエビちゅに訴えている。


ファーレン『・・・エビちゅ馬鹿だよ!!!!』

エビちゅ『・・・・・・( ̄ω ̄ )』


涙でしわくちゃになった顔で話し続けるファーレン。


ファーレン『あの時そのまま帰っちゃえば良かったのに><!!いろんな就職先あったのに!!魔法学院の首席だったのに!!馬鹿だよ!!・・・ぅ・・ぅ・・・』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

 


暫く沈黙のあと、エビちゅは真意を話すことが照れくさかったのか、他の話しで誤魔化そうとしている。

 

エビちゅ『まったく・・・あの程度で退学の在学履歴抹消だなんて・・生徒よりも学校は面子を大事にしているんでちゅね・・・見損ないまちた( ̄ω ̄ )』

ファーレン『・・・・・・。』

エビちゅ『魔法使いなんて糞くらえでちゅ( ̄ω ̄ )』

ファーレン『・・エビちゅは才能があるのに!!』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』


ファーレンの言葉を無視するようにしゃべり続けている。


エビちゅ『エビちゅを見縊るでないでちゅよ( ̄ω ̄ )!?魔法の世界なんていなくても、独立して一世を風びしてやりまちゅ!』

ファーレン『・・・・・。』


まだ塞ぎこんでいるファーレンにエビちゅは溜息をもらした。


エビちゅ『・・ふぅ・・気にするでないでちゅよ( ̄ω ̄ )エビちゅはそんな柔な人間でないでちゅよ・・・知ってまちゅか?ファーレン!世の中はロマンだけでないんでちゅよ!』


ファーレン『・・・グス・・・・。』

エビちゅ『眩しい太陽・・美しい月・・そして世の中所詮金なんでちゅ( ̄ω ̄ )』


本当に申し訳ないことをしてしまったと後悔するファーレン。その落ち込みを励まそうと強がるエビちゅを見て、尚また優しさを感じている。涙と共に流れている鼻水をすすりながらエビちゅの方へ向いた。


ファーレン『・・グス・・・・エビちゅは・・・優しすぎるんだょ・・・。』


エビちゅ『見てるでちゅよ!大人になったとき・・・お互い大きくなって会うんでちゅ( ̄ω ̄ )!』

ファーレン『・・・・大きくなって?』

エビちゅ『・・・・ファーレンは・・将来・・この国の王ちゃまでちたね( ̄ω ̄ )?』

ファーレン『・・・・ぅん・・』

エビちゅ『じゃぁエビちゅはファンブルグ一の代表取締役!金持ちになってるでちゅ( ̄ω ̄ )』

ファーレン『・・・ハハ・・・ぅん^-^』

 

やっと笑顔が戻ったファーレンを横目で確かめながら、エビちゅは立ち上がった。

 

エビちゅ『・・・さ・・そろそろエビちゅはいくでちゅよ( ̄ω ̄ )』

ファーレン『・・・ぅん・・・・』

 


ファーレン『・・・きっとだよ!!エビちゅ!!』

エビちゅ『任せておきなちゃいでちゅ( ̄ω ̄ )!!』

ファーレン『そしたら・・この前のタイムカプセル一緒に開けようね^-^!!』

エビちゅ『了解ちまちた( ̄ω ̄ )ノでは・・・さらばでちゅ・・』

ファーレン『・・・ぅん・・・』

無情にももう振り返ることはなく、一度背を向けたエビちゅはそのまま
その場を去っていくのだった。
それから暫くの間、涙が止まらないファーレンはその場で立ち尽くしていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 


 
二人は留置所前の通りで話している。

りん『・・・・そうだったんですか・・・・』

王様『わしはさっき奴に恩赦を提案したのじゃ・・きっと・・・この次の防戦で加勢しにきてくれるはずじゃ・・・わしは信じておる・・・悪の道など奴には似合わん・・』

 
60年も昔の出来事を話しているりんと王様の頭上には、あの頃と同じ青く綺麗な空が広がっている。



第壱百八拾六話

2009-03-19 | 本編
自警団本拠地に併設された留置所。

アメルは落ちそうになる大量の事件関係書類を抱えつつ、留置所への連絡通路を歩いている。


アメル『ちょっとー(´゜w゜`)クルスくんも持ってよ~』

クルス『しょーがねーな(゜Д゜)こんな書類、容疑者と話すとき邪魔になるだけだろ』

アメル『調書はいざってときに必要だから持ってくんだよー(´゜w゜`)』


両手と胸で積み上げられていたアメルの書類を3割くらいを適当に持とうとするクルス。


アメル『少なwもっと持っていってwww』

クルス『めんどくせーなー(゜Д゜)こんなもんあったって奴は吐かねぇよ』


クルスは渋々と二人均等になるくらいの量の書類をもち、何の気なしに今からいく方角を見てみると、思いがけない人が歩いてくるのだった。



王様『お^ω^ノごくろうじゃ』

アメル『王様だぁ~Σ(・w・ノ)ノ!なんでこんなとこにいるんすか!?』

クルス『おぉ(゜Д゜)!!王様!なんでここに!?』


驚く顔の二人を残しつつ、何も答えずに、にこやかな顔を保持したまま二人の間を当然のように通り過ぎていく王様。



アメル『無視w!?』

クルス『ww』



王様はやや通り過ぎたあと、面倒臭そうに振り返った。



王様『むぁーωー?』

アメル『珍しいですね(・w・´)!』

クルス『何用なんだ(゜Д゜)?王様』

王様『んーωー?野暮用じゃ』


王様はそういうとまたその場を離れるように手を腰にあてたまま歩き始めてしまっている。


アメル『ふーん(・w・´)』

クルス『そっか・・(゜Д゜)』

王様『フフフーン^ω^』



二人は口を開けたまま、鼻歌交じりにそのまま過ぎ去っていく王様をあっけらかんと眺めている。



王様『フンフンフーン・・・フフフン・・フフフン・・・フフフフーーン^ω^』

クルス『・・・・(゜Д゜)』

アメル『・・何の用だったんだろ・・(・w・´)』



・・・・・・・


・・・


・・





王様は自警団本拠地の門出口に辿り着くと、青い空が目に入ってきた。
留置所内とは雲泥の差である風景。
辺りにある空気さえも澄んで感じれる。

一仕事終えたと王様は一人安堵の溜息を漏らした。


王様『ふぅ~ーωー』

しかしすぐに王様は背後に人の気配があることに気づくのだった。



王様『・・・ーωー?』

それはあたかも待ち構えていたかのように、りんが門横の壁に持たれかかっていた。


王様『りん(゜Д゜♯;)』


ひどく無機質な留置所のグレーの壁とモデルのように長い手足をもったりんのスタイルがミスマッチし、際立っている。

りんは今回の事件解決の指揮をしていたが、容疑者尋問の担当ではなく、城にいるはずのりんがそこにいる理不尽さを王様は感じていた。


王様『・・・(゜Д゜♯;)』

りん『・・・・・。』


自身の長い髪の毛先を目元まで持っていき、目を寄せて枝毛チェックをしている。その単純で日常的な動作と、いるはずのない者がそこにいるという非日常の行動のアンバランスさが王様を尚一層驚かせていた。


王様『・・・なぜここにーωー;』



髪の毛先を見ながらりんは話し始めた。



りん『差し支えなければ・・・お聞かせ願えますか?・・王様』

王様『ギクッーωー;・・・な・・なんのことじゃ?』



何の前触れもなしに出された質問とその気配に驚きつつ、王様は惚けて応えている。


りん『容疑者を逃がしたとなればそれは国家反逆罪・・・何か訳があるとは思いまして・・・わたしも容疑者を今見逃したところです・・』

王様『・・・フゥ~ーωー;おみゃーはするどいのぉ・・隠し事はできんわぃ』

りん『これもお仕事ですから(*´▽`*)ニパ』




観念した王様は、青い空に浮かぶ雲を見つめ、一連の出来事をしゃべり始めた。


王様『この事件での容疑者であるエビちゅはわしの同級生じゃ・・・もう60年も昔のことじゃ・・・そうじゃなぁ・・ちょうどこのくらいの季節・・・春になりかけた卒業シーズンだったのぉ・・ーωー』






第壱百八拾五話

2009-03-16 | 本編


 

エビちゅ『・・ファーレン・・・( ̄ω ̄ )』

王様『久しぶりじゃなーωーエビちゅ』


卒業後60年振りの再会。
長い年月は経てはいたが、一目で互いにわかるのだった。

 

王様『・・・・ーωー』

エビちゅ『・・フ・・人生はうまくいかないものでちゅね・・ファーレン・・・ぃゃ・・今は王ちゃまでちゅか・・・( ̄ω ̄ )』

王様『・・・ーωー』

エビちゅ『優等生だったエビちゅが留置所に入り、落第生だったファーレンが国の王でちゅか・・・おもしろいものでちゅ( ̄ω ̄ )』

王様『・・・これはわしにも責任があると思うてのぉーωー』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

暫し沈黙するエビちゅは、留置所一室の地べたに座り、壁に寄りかかりながら聞いている。

 

王様『・・・・すまなかった・・ーωー』

 

王様はドア入り口に立ったまま、惚けるように目線を逸らしているエビちゅを見ながら話し続けた。

 

エビちゅ『・・いったい何のことでちょう( ̄ω ̄ )』

王様『一度しか言わんのでよく聞いておるのじゃーωーここをまっすぐいくとドアがある。そこを開けると左右に道があるのじゃが、右へいくのじゃ』


そういうと王様は赤錆に覆われたドアをさらに大きく開け、エビちゅを通すかのように道幅を広げた。


エビちゅ『・・・( ̄ω ̄ )!?』

王様『そのまま50mくらい進むと突き当たりにT字路が見えてくる。そこを右じゃ。その道は左に湾曲しておるが、道なりにそのまま進むのじゃーωー』

エビちゅ『なぜでちゅか( ̄ω ̄ )?』

王様『暫く進むと十字路がみえてくるーωーそこを左に曲がれば裏門の出口になるわぃ・・今言った通り道だけ警備員は配置していないようにしてあるーωー時間がないぞぃ。早く逃げるんじゃ。』

エビちゅ『見くびるでないでちゅ!こんなチンケなところ、エビちゅ一人で逃げれまちゅ( ̄ω ̄ )!!』

王様『わかっておるーωー本題がまだある』

エビちゅ『・・・( ̄ω ̄ )』

王様『手短に話す。強盗事件はファンブルグでは極刑のみじゃーωー未遂でものぉ・・これは立法府が作っておるのでわしの力でもどうにもならん。しかし・・恩赦というものがある。それはわしが判断するものなのじゃ。

国家にとって有益な偉業を成し遂げたとき、その起因と周囲からも認められる。エビちゅも軍に加勢して欲しい。あと数日でエステンブルグの猛攻が来る声明が発表されたのじゃ。降伏勧告じゃ・・・・ーωー』

エビちゅ『・・エビちゅは・・・( ̄ω ̄ )』

 

言葉を詰まらせるようにエビちゅは言いごもった。

 

エビちゅ『・・・エビちゅは・・・・( ̄ω ̄ )』

王様『・・・・・ーωー』

エビちゅ『・・・・・エビちゅは魔王になるんでちゅ( ̄ω ̄ )!!!』





王様
『バカタレが(゜Д゜♯)ノ!!!』


バチンッ!!!!


エビちゅの頬に、王様は痛烈なビンタを見舞っている。


エビちゅ『・・・( ̄ω ̄+)』

王様『・・・おまえを羨み・・どれだけの者が挫折してきたかわかっておるのか(゜Д゜♯)!?エビちゅ程の才能をあの学校の者たちはわかっておった!!・・それは・・わしにも責任がある・・世の中にどういう潰され方をしてきたかもわしは知らん・・だが・・もう反抗期はここまでにするのじゃ!!』

エビちゅ『・・・( ̄ω ̄+)』

王様『三日後にエステンブルグの侵攻がくる・・頼む・・・きてくれーωー』

 

エビちゅは王様のすぐ横をくぐりぬけて追い越し、王様から数歩離れた場所で背中を見せ立ち止まった。


エビちゅ『・・・・・・。』

王様『・・・・・ーωー』


エビちゅの背中の面影は昔と変わらない。
何かを言わんとし、片方の頬を王様に向けている。


エビちゅ『・・・・ファーレンの下で働くなんてごめんでちゅ( ̄ω ̄+)』

王様『・・・・ーωー』

 

そしてエビちゅは王様に言われた道を駆け、留置所を後にしていくのだった。

 

王様『・・・・・ーωー』






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第壱百八拾四話

2009-03-15 | 本編



元来、事情聴取などは国内事件を取り扱う自警団が行うものであるが、今回のように軍の師団員が早くに到着して解決をした場合、自警団本拠地の事情聴取室などを借り、解決した者らが状況を詳しく聞くことになっていた。


今回の銀行強盗事件については、第一師団第一連隊のアメルとクルスが担当することになっている。しかしクルスの姿はまだない。

 

アメル『知ってる人(・w・´)?』

少女『はい・・・私を道路で車にひかれる所を助けてくれた人なんです・・・』

 

強盗時にいた親子連れの子供が真剣にアメルに話している中、聴取室に遅れてクルスが入ってきた。

 

クルス『わりー(゜Д゜)寝坊だ』

アメル『なるほどねΦ(・w・´)カキカキ・・あっおはよ~』

クルス『また無意識に目覚まし時計ぶっ壊しちまったぜ(゜Д゜)』

アメル『いくつ壊してんのw』

 

暫定的に間借りしているとはいえ、自警団本拠地の事情聴取部屋に来るのは少なくない。それほどまでに師団員たちは自警団を上回るほど犯人逮捕にて活躍していた。

クルスは慣れた手付きでフード付きのコートを聴取室のハンガーにかけながらしゃべっている。


クルス『で・・・容疑者の意識は(゜Д゜)?』

アメル『まだ確認してないよΦ(・w・´)カキカキ・・今被害者の聴取してるんだからちょっと静かにしててよ』

クルス『あーわりー(゜Д゜)続けて』

 

アメルは途中話を割って入ってきたクルスを止め、優しく少女に質問を続けた。


アメル『ごめんね(・w・´)じゃぁ事件の時のこと、細かく教えてくれる?』

少女『・・・はぃ・・私は、お母さんと一緒にカウンターで呼ばれるのを待っていました。そうしたら・・一人の男が突然押し入ってきて、叫んだんです・・』


クルスはアメルとその少女の向かい合う机の余った席に腰を下ろし、自宅から持ってきた丸ごと一個の林檎に息を吹きかけ、袖できれいに拭いている。


キュッキュッ


アメル『ちょw今朝ごはん(ーwー;)?』

クルス『すまん(゜Д゜)』


すると思い切り口を大きく開けると、少女が話している最中である事はお構いなしにかぶりついた。

 

ゾプッ!!!

シャーコッ!シャーコッ!シャーコッ!

 

クルス『ムシャムシャ(゜~゜)』

アメル『・・・・(ーwー;)』

 

かぶりつく大きな音を立て、林檎に大きな歯型をつけているクルスを横目に、アメルの事情聴取は続く。


アメル『・・ぇっと・・続きいい(・w・;)?』

少女『・・はぃ・・・「金を出せ!さもなくば全員殺す!」って・・・みんな大人しくしていました・・・そうしたら・・遅れて仲間みたいな人が入ってきたんです・・・その人も同じように叫びました「みんな静かにするでちゅ!魔王がきまちたよ!」って・・・』

 

クルス『ゾプッ・・・シャーコッ・・・シャーコッ・・・ムシャムシャ(゜~゜)』

少女『その後・・仲間割れをしたみたいで・・遅れて入ってきた人が最初の人をやっつけちゃったんです・・・それで・・師団のみなさんが来たんです・・でも・・』


アメル『・・でも(・w・´)?』

クルス『ムシャムシャ(゜~゜)』


少女『・・子猫がいました・・・その猫をかばう為に・・火玉の縦になっていったんです。私を助けてくれた人だったし・・・あの人は悪い人じゃないと思うんです。』


クルスは口いっぱいに林檎をほお張りながらしゃべっている。


ゾプッ!!!

シャーコッ!シャーコッ!シャーコッ!


クルス『・・ウェコカーウコーワイーコーケドナ・・(゜~゜)ムシャムシャ・・
ギンコーアーエオーコーアーテウシ、オエアチヲイカクシエキアコーワイーアーアー』


アメル『日本語でおkーwー』

~~~~~~~~~~~~
訳:
猫かばうことはいいことだと思うけどな、銀行内で大声出してるし、俺達を威嚇してきたことは事実だしな~
~~~~~~~~~~~~

 

クルス『ムシャムシャ・・ゴクッ(゜Д゜)』

アメル『・・・・・・これは犯人に聞くしかないね(・w・`)』

 

・・・・・・・・

 


・・・・


・・

 

天井から水滴が落ちている冷えた留置所の一室。
エビちゅはうつ伏せに眠っている。

 


ポッ・・・


・・・・ポッ・・・・・

 

・・・・



ポッ・・・・

 

・・・・


ポッ・・・・


・・

 

ポポッ・・・・・


・・

 

 

エビちゅ『っかはぁ( ̄□ ̄;)!!!』


意識を失っていた深い眠りから、生きていることを体が確かめるかのごとく、無意識に息を大きく吸い込んでいる。


エビちゅ『・・・はぁ・・・ぜぇ・・はぁ・・( ̄ω ̄;)』

 

軽い酸欠状態になっていたエビちゅは荒い息を整えるように唾を飲み込み、辺りを見回した。

 

エビちゅ『・・ゴクッ・・ここは・・・( ̄ω ̄;)?』


薄暗い部屋。
高い位置にある窓らしき場所からは光がもれており、その窓には鉄格子がかかっている。そしてドアも錆びや汚れが目に付くが、頑丈な作りでできていた。

 

エビちゅ『・・ここは留置所みたいでちゅね( ̄ω ̄;)』

 

ポッ・・・・・

 

・・ポッ・・・・・・


・・・


ポッ・・・・・


・・


天井から水滴が不規則な感覚で床に滴り落ちている。
地面や壁、天井は灰色に所々染みのあるうす汚い色をしたコンクリート。

薄暗い部屋の為、ホコリや虫の死骸がどれほどあるのかは定かではなく、暫くの間その床に何も敷かずに寝ていたことに気づいたエビちゅは、反射的に頬の汚れを払い落としすばやく袖で拭いた。


パッパッパッ!

ゴシゴシゴシッ


エビちゅ『・・まったく・・汚い場所でちゅね( ̄ω ̄ )』

 

掃除などしているはずもない部屋のドアも赤黒い錆びの塊などがへばり付き、床に垂れている水滴も不衛生に溜まっている。

 

すると、外で話し声が聞こえてくるのだった。

 

エビちゅ『・・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

『この奥か?』

『はい』

『おまえはもう行ってよろしい』

『・・・ぃゃ・・それは・・』

『・・・・』

『・・かっ・・かしこまりましたっ』

 


・コツ・・・コツ・・・コツ・・


硬いコンクリートを歩く足音が響いている。

 

コツ・・コツ・・コツ・・

 

ドアの向こうの廊下は長く設計されているとエビちゅに思い浮かばせたその足音の響きは、徐々に自室に近づくいているようである。

 

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

 

コツ・・コツ・・


コツ・・コツ・・コツ・・

 


その落ち着いた歩き振りの歩く音は迷う事無くエビちゅに近づいている。

 


コツ・・コツ・・コツ・

 

あと数歩でエビちゅのドアの目の前を通過することになる。

 

コツ・・コツ・・コツ・・・コツ・・

 

・・コッ・・


エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )?』

 

ちょうどエビちゅのドアの前まで来ると、案の定その足音は止まるのだった。


エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

 

・ガチャッ・・・ガチャガチャッ・・・


ガコンッ!!

 

持っていたのか簡単にドアの鍵は解かれ、扉がゆっくりと動き出している。

 

ギッ・・・ギィィィィィーーーーーーーーーー

 

錆び付き開け辛そうなドアを開け、その何者かはエビちゅの前に姿を現した。

 


王様『・・・・・ーωー』






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第壱百八拾参話

2009-03-14 | 本編



受付にいた客達は腰を抜かし、椅子にしがみつくように丸くなり伏せており、中の銀行員たちも身を出すこともできず、こちらの様子を伺っているようだ。


好戦的な構えをしてりん達に向かい合い、牙を剥いているエビちゅ。
それに応えるようにクルスやオムーは剣を抜き、りんも矢に手をかけている。

 


エビちゅ『みんなまとめてかかってくるでちゅ( ̄ω ̄*)!!』

りん『アメル!!周りの人たちの避難の誘導を!!』

アメル『おkーwーノ!!』

 

アメルは、客たちが巻き添えを食らわないよう避難誘導の為、すかさず周りへ走り出している。

 

オムー『りり!!周りに人がいる!!剣を振り回したら危ないぉ!俺が奴にピンポイントで魔法攻撃するぉ=ω=.』

りん『わかったわ!!クーちゃん援護に!』

クルス『あぃよ(゜Д゜)!いくぞオムー!!!』

 

クルスの突進に気を取らせ、オムーは即座に詠唱を始めた。

 

クルス『うぉぉおおぉぉ(゜Д゜)!!』

オムー『ヴォルケーノ=ω=.!!!』

 

大気中から酸素を一瞬にして拾い上げ、発火させながら標的を打ちのめす魔法攻撃。ヴォルケーノ。
燃え盛る火の玉は頭上で弧を描き、恐ろしいまでの火力を保ちながらエビちゅへ向かって進んでいく。

 

ゴゴォーーーーーーーーー!!!

 

エビちゅ『( ̄ω ̄*)!!!』


すぐさまエビちゅは華麗なステップをし、着弾点を先読みして避けている。


ササッ!!!!


エビちゅ『( ̄ω ̄*)フ』

オムー『・・あいつ・・はぇぇ=ω=.;』


すると、オムーの放った火の玉があたるであろうその地点に、紛れ付いてきた子猫がいることにエビちゅは気づくのだった。

 

子猫『ミィー・・ミィー・・(^-^=)』

エビちゅ『なんでそんなとこにいるんでちゅか( ̄ω ̄*;)!?』

 

火の魔法玉が落ちてくることも知らず、無邪気にエビちゅへ向かって鳴いている。


子猫『ミィー(^-^=)』

エビちゅ『そこどくでちゅ( ̄ω ̄*:)!!!!』



ゴォーーーーーーー!!!


子猫に当たりそうになったその時。
エビちゅは着弾点であるその元いた場所へ即座に戻り、
子猫の壁として自らが盾となるのだった。

 

ササッ!!!

エビちゅ『・・ク・・\( ̄ω ̄*;)/』


ズズーーーーーーーーーーーーーン!!!!



火の玉の衝撃により体がくの字に折れ曲がるエビちゅ。
当たったお腹の服ははだけ、皮膚が焼け焦げてしまっている。


エビちゅ『・・・・・・・・・・。』

子猫『ミィー(^-^=)』



持ち去る程の時間がなかったエビちゅの咄嗟の判断は、自身が攻撃を受ける他なく、一度避けた火の玉に再度向かい、子猫を庇うようにあえて魔法攻撃を受けにいっていた。

 

エビちゅ『・・・グ・・エビちゅは・・・な・・何をやっているんで・・・ちょう・・・・・。』

 

りん『え・・?』

オムー『・・・どういうことだぉ=ω=.;』

クルス『戻って自分であたりにいったぞ(゜Д゜;)』

 

りん達にはその子猫が見えていなく、エビちゅ自身でも理解不能なその行動は、りん達にはさらに輪をかけて解せないものであった。

オムーの放った懇親の魔法攻撃のダメージは甚大であり、エビちゅの体には重大な損傷を及ぼしていた。

 

エビちゅ『・・・たかが・・・猫に・・・魔王・・・失格・・・でちゅ・・・』

 

膝をつくエビちゅ。

 

りん『チャンスよっ!!』

クルス『っしゃぁぁぁあぁぁ(゜Д゜)』


怯んだ隙を付き、クルスはタックルでエビちゅを地面に引きずるように倒し込み、押さえ込んでいる。


ズガッ!!!

ズザーーーーーーーーー!!!


クルス『きさまっ!!!観念しろ(゜Д゜)!!!』

エビちゅ『・・・なんたる醜態・・・・グフ・・・』

 

直に受けてしまった体の損傷具合がひどいエビちゅは抵抗する力はおろか、起き上がる力も残っていなく、徐々に力が抜けていくのがわかった。

 

エビちゅ『(・・・・・体の・・力が・・・・)』

 


目を開ける体力もなく、ただただ目の前は真っ暗闇。
体の言うことが聞かない。
周囲の音だけがうっすらと聞こえていた。

 

 

ガシャッ!!


エビちゅ『(・・・・手錠の・・・・音でちょうか・・・でも・・手に感覚が・・・全くないでちゅね・・)』

 

 

・・・・・・・・


・・・・


・・

 

 

クルス『時間は?』

オムー『17時・・・45分。強盗容疑で逮捕=ω=.』

クルス『衛兵2(゜Д゜)!!!担架もってきてくれ!!』

衛兵2『はっ!!』

アメル『りんー(`・w・)怪我人は容疑者以外一人だけ。』

りん『うん!ありがとう!良かったわ^^・・・でも・・今の犯人の行動はなんだったんだろう・・』

 


・・・・・・・・・・


・・・・


・・

 

 


クルス『せーのっ(゜Д゜)』

オムー『せーのっ=ω=.;』


ガタッ・・・・ガタンッ・・・

ガタンッ・・・・・

 

エビちゅ『ぁ・・・今搬送馬車の中でちょうか・・・・今にみてるでちゅ・・・この怪我さえ治したら・・。』

 


・・ミィー・・ミィー・・・・・・・

 


エビちゅ『(・・ん!?・・・あの猫の鳴き声でちょうか・・・・)』

 

りん『あー猫ちゃんだぁー(*´▽`*)かわぃぃ』

オムー『おぉ=ω=.!?まだこの通りにいたのか』

衛兵2『では出発しましょう。早く帰らないと王様に怒られちゃいますよ!』

りん『そうね・・・いきましょう!』

クルス『野良猫かな(゜Д゜)』

アメル『だね(●´w`)カワィ』



車を引く馬のひずめの音が聞こえ始めた。
そしてその音に交じる鳴き声も聞こえている。

 

カポッ、カポッ、カポッ、カポッ


・・・ミィー・・・ミィー・・・・・ミィー・・・

 


カポッ、カポッ、カポッ、カポッ


ミィー・・・ミィー・・・・・



しかし徐々にその交じり合っていた鳴き声だけは小さくなっていくのだった。

 

カポッ、カポッ、カポッ、カポッ


ミィー・・・




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第壱百八拾弐話

2009-03-13 | 本編


 

エビちゅ『・・・今度こそ成功させるでちゅ( ̄ω ̄+)』

子猫『ミィー・・・・ヾ(^-^=)』

次なる場所へ移動しているエビちゅは、無邪気についてきている子猫に気づいていなく、前へ出す足を妨害するかのようにまとわり付いてくる子猫を無意識に何度もまたぎ避けながら、ぶつかりそうになっている。

エビちゅ『・・・・・あの銀行が狙い目でちょうかね・・( ̄ω ̄+)』

子猫『ミィーヾ(^-^=)』


相槌を打っている子猫の鳴き声にも気づかずエビちゅは歩き続けていると、噴水広場からやや離れた表通りにファンブルグ中央銀行が見えてきていた。この目論見は銀行強盗。エビちゅは辺りの様子を伺っている。


エビちゅ『・・・・もう少し人通りが少なくなってからいきまちゅかね( ̄ω ̄+)』

子猫『ミッ(^-^=)』

エビちゅ『それにしても・・・酔いが醒めてきまちたね( ̄ω ̄+)』


腰にあるバッグに手を伸ばして一升瓶を取り出すと、喉が渇いていたのか、音を立てて飲んでいる。その酒の名は<いいちこ>。エビちゅの好物のひとつである。

 

ゴキュッ・・・ゴキュッ・・ゴキュッ・・・

 

その飲みっぷりは男らしく、勢いよく喉に押し流されていく。
唇と顎を伝い、首下まで垂れている酒の滴。

 

エビちゅ『・・ゲルフッ( ̄ω ̄*)』

子猫『ミィミィ・・ヾ(^-^=)』

 

酒の力を借り、とうとうエビちゅはその銀行へ向かって歩き出し始めている。

 

エビちゅ『・・・・さていきまちゅかね( ̄ω ̄*)ヒック』

子猫『ミィーヾ(^-^=)』

 

すると先程までずっと感じていた違和感が何かとやっと気づき、突如エビちゅは立ち止まるのだった。

 


エビちゅ『・・・・・・・・( ̄ω ̄*)』

子猫『(^-^=)』

 


その素因である正体は、ついさっきの子猫。
子猫はエビちゅを気に入ったのか、歩く場所をぴったりと付いてきており、足に絡みつきながらエビちゅの着ているウィッチローブの裾に爪でじゃれている。

 

カリカリ・・・カリ・・・カリカリカリカリカリヾ(^-^=)

 

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄*;)おまえはまだいたんでちゅか・・早くどっかいきなちゃい!シッシッ!!』

子猫『ミィッヾ(^-^=)』

エビちゅ『エビちゅは魔王見習いでちゅよ( ̄ω ̄*)?言うこと聞かないとちにまちゅよ!?』

子猫『ミィーミッヾ(^-^=)』

 

まるで会話が成立しているかのように子猫は問答している。


エビちゅ『まぁ勝手にしなちゃい・・ヒック・・ただいつ巻き添えを食らっても知らんでちゅよ( ̄ω ̄*)』

子猫『ミィー・・ヾ(^-^=)』

 


腰紐に留められていた杖を取り出し、エビちゅはその銀行へ再び歩き始めた。
その銀行はファンブルグでも一、二位を争うファンブルグ中央銀行。一日にして500mGが取引されており、支店もいくつも抱えている大手銀行だ。

エビちゅは入り口までくると軽く咳払いをし、颯爽と中へ入っていく。

 

エビちゅ『・・・コホン( ̄ω ̄*)』

 

中は総合案内らしき銀行員が一名。
受付は4名。その奥にている銀行員は10名弱。

客は家族連れらしき女性とその子供が椅子に座っており、男二人が受付カウンターに立っていた。

 

エビちゅ『・・・フ・・出だしは魔王がきまちたよ( ̄ω ̄*)!がかっこいいでちゅかね・・・悩みまちゅ・・』

 

ところがエビちゅは入り口へ入った当初から何か不自然さを感じていた。昼間となれば銀行は込んでおり、長蛇の列ができていてもおかしくない時間にも関わらず、数人しかいない。


エビちゅ『(・・銀行ってこんなに静かなところでちたかね・・・まぁいいでちょう・・・それでは・・・( ̄ω ̄*))』

 

エビちゅは椅子に片足を乗せ、両手を腰にあてて叫んだ。


エビちゅ『みんな静かにするでちゅ( ̄ω ̄*)!!!魔王がきまちたよ!!!!』

 


・・・・・シーン・・・・・

 


元から静かであったせいもあるが、さらに物音ひとつ聞こえなくなっている。

 

エビちゅ『・・フッ・・この静けさ・・さすがでちゅね・・・恐怖の叫び声さえも黙らせる魔王ならではの脅し( ̄ω ̄*)』

 

すると受付に立っていた男の一人がエビちゅへ向かって猛然とかけてきている。


ダダダダダッ!!!


男『・・・っめぇぇえぇえぇぇ!!!!』

エビちゅ『・・・・痛い目あいたいようでちゅね・・・( ̄ω ̄*)』

 


エビちゅの手の平から赤黒い溶岩に似た塊が見る見るうちに生成されていく。


・・・・グルン・・グルン・・・・

その球体は少しずつ大きくなりながら、ゆっくりと回転している。

・・・グルン・・・・・・・グルン・・・・・

エビちゅ『第一号犠牲者はおまえでちゅ!!メテオロス( ̄ω ̄*)ノ!!!!』


ボォーーーゥ!!!!


ドロドロと煮えきった火の塊は手の平から飛び出し、大気と摩擦した煙と火花を散らしながらその向かってきた男目掛けて飛んでいく。

 

ゴォーーーー!!

ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!


男『ぎぇぇぇぇえぇぇぇぇ!!』


プスプス・・・

エビちゅはあっけなくその男を倒してしまっていた。
一瞬にして丸こげになり、痛々しい黒煙が焼け焦げた服から出ている。




男『・・・・・ぐはっ・・・』

エビちゅ『・・・フ・・こんなもんでちゅね( ̄ω ̄*)』

 

辺りは一斉に女性の悲鳴で埋め尽くされた。


キャーーーーー!!!

キャーーーーーーーーーーーー!!!!!

ヒィィィィィィ!!!!


皆その攻撃に怯み、全員床に伏せており、エビちゅは受付に金の要求をしようとカウンターへ進み始めた。



とその時、背中に強い気配を思い切り感じるエビちゅ。

エビちゅ『ん( ̄ω ̄*)!?』


 

勢いよく後ろを振り返ると、そこには驚くほど早く到着した師団の者立ちが入り口にいるのだった。

 

クルス『・・・・(゜Д゜)』

りん『・・・・・。』

オムー『・・・・=ω=.?』

アメル『・・・・-w-』

エビちゅ『・・・・・随分と早い到着でちゅね・・( ̄ω ̄*)』

 

エビちゅは杖を持ち直し、臨戦態勢に入っている。

 


クルス『動くな(゜Д゜)!!!』

りん『手を上げて!!』

アメル『言うとおりにした方がいいよ(ーwー)』

オムー『おまえは・・=ω=.』

 

エビちゅ『・・全員まとめて相手になってやるでちゅ・・・( ̄ω ̄*)』



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第壱百八拾壱話

2009-03-12 | 本編

 

自暴自棄になったエビちゅはファンブルグ中央通りの噴水にふらふらと来ている。


エビちゅ『・・・エビちゅは・・悪魔に・・ぃゃ・・悪魔の王・・・ヒック( ̄ω ̄*)・・魔王になるんでちゅ!』

 

日差しが暖かく、眩しいくらいに輝いている太陽。
春の訪れを告げている草木の美しさも、今の病んだエビちゅには気にも留まらない。

 

エビちゅ『・・魔王になるには・・ヒック・・・まずは悪事を働かないとでちゅね・・( ̄ω ̄*)』

 

学生時代は常にトップ。
他を寄せ付けない程の卓越した実技魔法詠唱と魔術学問にも長けていた。しかしその若くして培われた誇り高き心は、ひとつの失敗にて簡単に方向性を見失ってしまう。


時間はまだ昼過ぎの噴水の広場。
待ち合わせのカップルが数人いるほどだ。

エビちゅは見渡すと、一人の少女が歩いて来ていることに気づいた。

 
エビちゅ『・・フ・・いいカモがきまちたね・・ヒック・・運が悪いでちゅね・・エビちゅの魔王への道、第一段の餌食になってもらうでちゅ( ̄ω ̄*)!!!』

 


少女『ルンルンルーン^0^』

 

何も知らずに弾みながら歩いている少女。
そこへ突如エビちゅはその少女に向かって走り出し、

 

ダダダッ!!!

 

勢いのついた体で両手を突き出し、その少女を突き飛ばすのだった。

 

エビちゅ『はいど~んヽヽ( ̄ω ̄*)!!!!』


ドスッ!!!!

 

少女『キャーーーーーーーーー><!!!』

 

ものの見事に数十メートル前方へ突き飛ばされ、離れた場所で地面に滑り転んでいる。

 

ゴロゴロゴロッ!!


少女は意識を失ったのか、うつむいたまま起き上がってこない。

 

少女『・・・・・。』

エビちゅ『・・・フ・・悪事第一弾は傷害事件といったところでちょうか・・いっちょ上がりでちゅね( ̄ω ̄*)ヒック』

 

とその時、エビちゅの目の前を車輪が壊れそうになるほどの勢いで馬車が過ぎていく。

 

ガラガラガラガラガラッ!!!!

ヒヒーーーン!!!


エビちゅ『あぶっ( ̄ω ̄*)!!!』


目の鼻の先を馬が通り過ぎていき、もう半歩出ていたら馬車にひかれているところであった。

 

エビちゅ『危ないでちょう!!・・まったく・・乱暴な運転でちゅね( ̄ω ̄*)ヒック』

 


すると今度はエビちゅのほうへ一人の女性が近づいてきている。


ダダダダッ!!


エビちゅ『ん( ̄ω ̄*)?』


エビちゅの所へ来るや否や、後頭部をみせるくらいに深々と強く何度もおじぎをしながら御礼を言っている。


女性『ありがとうございました><!!!ありがとうございました><!!!』

 

エビちゅ『・・・な・・なんのことでちょう・・ヒック( ̄ω ̄*)』

女性『うちの子を車から救って頂きまして、本当にありがとうございました><!!命の恩人です><!!!』

エビちゅ『・・ぇ・・・( ̄ω ̄*)』

 

涙を流しながら幾度も幾度もおじぎを繰り返している女性。
その横には、さっき突き飛ばした少女もおり、その女性と手をつないでいる。


女性『ほらっ!!!あなたもお礼言いなさい><!!!』

少女『ありがとうございました^0^;死んじゃうところだったでし』

 


声を震わせ、ハンカチで涙を拭い、頭を下げ続けている女性に仕様が無くエビちゅも応答していた。

 

エビちゅ『・・ま・・まぁいいでちゅよ( ̄ω ̄*;)・・車には気をつけるでちゅ・・・・』

女性『はぃ><!!ほんとうにありがとうございましたっ!!』

 

思いも寄らない結果になってしまい、その場から逃げるように立ち去るエビちゅ。後ろを振り返るとまだその女性は少女を抱きしめたままそこに立ち止まっている。


悪事を働くはずが、エビちゅは不本意にも善行を成してしまっているのだった。


エビちゅ『・・・ちっぱいでちゅね・・・・( ̄ω ̄*;)』

 

悪の道へ行くと暴挙へ走るエビちゅは、またも悪さをしようと企んでいる。ファンブルグの時計台を見ると昼の3時を示しており、やや人通りが多くなってきた噴水広場。


エビちゅ『・・・・・今度は・・・器物損壊なんかやってしまいまちょう( ̄ω ̄*)』


エビちゅが標的にしたのは目の前にある大きな木。
それはファンブルグ中央町では名物となっている大木である。


エビちゅ『・・フ・・・あの木を倒せば悪の道スタートでちゅね・・( ̄ω ̄*)』


エビちゅは徐に詠唱を始めた。


エビちゅ『トラス・・サンダラー( ̄ω ̄*)!!!』

 

手の平に小さな光球が発生し、眩い光と共にその球体からその木へ一筋の光を作り、激しい衝撃音を広場へ轟かせていた。

 

ピカッ!!ゴロゴロォ~!!


すると大木は紙を破くような音を立てながら切り込みが入り、重みで真っ二つに切り割れていく。


ビリビリッ・・・バリバキバキバリバリバキッ!!!!

ズズーーーーーーーーーーン!!!

 

エビちゅ『・・・フ・・・破滅の王・・・とでも言われるようになるんでちょうか( ̄ω ̄*)』

 

 

満足げな顔をしたエビちゅの横に突如一人の男が立っている。


オムー『・・・・・・・=ω=.』


何の前触れもなくエビちゅの横に立つオムー。
気配を消したその術に驚き、エビちゅはジャンプして距離を保った。

 


エビちゅ『・・・なっ・・・突然接近とはやりまちゅね・・その服は・・・・師団のものでちゅね( ̄ω ̄*)!?』

オムー『そうだぉ=ω=.』

エビちゅ『ならば好都合( ̄ω ̄*)器物損壊で逮捕しに来たんでちゅねっ!!エビちゅはそう簡単にはやられまちぇんよっ!!』


腰紐に止められていた杖を再度持ち直し、オムーに対峙して構えている。

 

オムー『おぉーっと・・・違う違う・・まてまて・・その木よくみてみ=ω=.』

 

完全に戦闘態勢に入っているエビちゅは、疑いつつも後ろの木に目を向けた。

 

エビちゅ『( ̄ω ̄*)?』


すると、可愛らしい動物の鳴く声が聞こえてくるのだった。


ミィー・・・ミィー・・・

・・・ミィー・・・ミィー・・・

 

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄*)』

 

倒れた木の葉の中から小さな一匹の猫がヨチヨチと出てきたかと思うと、エビちゅの方へ近寄り、じゃれる様に引っ掻き始めていた。

 

子猫『ミィー・・・ミィー・・・・ヾ(^-^=)』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄*)』

 

呆然としているエビちゅにオムーは言った。

 

オムー『ありがとうって言ってるぉ=ω=.』

エビちゅ『・・・( ̄ω ̄*;)?』

 

猫は高いところが好きである。
そして子猫ともなれば無邪気で好奇心いっぱいに高い木に登ってしまうことが少なくない。

爪を利用し、登ることはできるのであるが、降りる術を知らず飛び降りるしかない。あまりにも高い場所へ行ってしまった子猫は降りれず、その場で立ち往生してしまうことがしばしば起きてしまう。

その猫も例外ではなかった。

 


子猫『ミィー・・・ミィー・・・・ヾ(^-^=)』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄*;)』

 

杖を持ち、肩幅ほどに足を開け構えている緊迫したエビちゅに無邪気に近寄り、ローブの裾にじゃれている子猫。

 

オムー『ははっお気に入りみたいだな・・・じゃぁ達者でな=ω=.ノ』


子猫を助ける為と勘違いをしたのか、木を倒してしまったことなど気にも留めず、オムーは背を向け帰っていく。


エビちゅ『ちょっ!!待つでちゅ( ̄ω ̄*;)!!!!』

 

悪事をうまく成し遂げれないエビちゅの横には、嬉しそうな顔した子猫が首を寄せてなついている。


子猫『ミィー・・・ミィー・・・・ヾ(^-^=)』

 


エビちゅ『・・・フゥ・・おまえのせいでちゅよ( ̄ω ̄*;)』

子猫『ミィーヾ(^-^=)』




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第壱百七拾九話

2009-03-10 | 本編


ファンブルグ城からやや離れた東町総合病院。
そこはりん達の巡回警備前の集合場所でもある。

まだ集合時間に来ていないのは今日巡回警備担当の衛兵2のみ。
いつもの事ながら皆の顔が集まるまで、ひと時の仲間同士の駄弁りは今日も弾んでいた。

 

アメル『うわぁー!リンドブルム大きくなったねぇΣ(・w・ノ)ノ!』

クルス『そうだろ(゜Д゜)たくましくなったぜ』

オムー『人乗せて飛べれるんじゃないのか=ω=.;でかいな・・』

 


クルスはあれから成長したリンドブルムを自慢げに皆に見せている。
腰丈を優に超え、立派な羽を毛繕いしているリンドブルムは、自分のことを話していると気づいたのか、羽を広げ弾みながら皆へ応答した。

 

リンドブルム『グルッ・∞・!!グルッルー!!』

 

・・バサバサッ!!・・バサッ!!!


オムー『羽広げると余計にでかく見えるなw』

りん『かわぃぃ(*´▽`*)』

クルス『りんのそのヒヨコみたいなのもかわいいなぁ(゜Д゜)』

 

りんの足の裏に隠れくっついたまま、恐々と周りの様子を伺っているのは、りんの愛すべきペットであるひよこ。

 


りん『たまにしかお外出さないから怖がっちゃって・・^^;名前はシトロンですよい』


一同の視線が集まると恥ずかしいのか、必死にりんの足の後ろに隠れようとしている。黄色い毛なみの愛嬌のあるお腹をもったひよこは、細いりんの足では全てを隠しきれていなく、その触り心地の良さそうなお腹をはみ出してしまっている。

 

シトロン『・・ピヨ・・・ピヨピヨ・・(・Θ・;)』

オムー『かわぇぇ・・=ω=.;』

アメル『りんwその子戦闘用w?』

りん『観賞用向きかもwwメインの亀と合体させよかなーって思って^^』

クルス『それよりすげぇー気になるのがアメルの足元にいるそのドロドロしたの・・(゜Д゜;)なんだよそれ・・』

 

アメルの足元に青みがかった透明な粘り気のある液体がうごめいており、うっすらとアメルの革靴と地面の草がその液体から透けて見えている。


アメル『あ、これ?スライムだよ(`・w・)これで買うのは二匹目だよん』


アメルの足元で答えるように頭らしき突起物を出し、うっすらと目と口を出して皆に向かっておじぎのような動作を繰り返している。

 

小山さん『・・・・ドゥロ・・・・ドゥロロロ(´ρ`)』

クルス『・・・・・いい趣味してるぜ・・(゜Д゜;)』

りん『あ・・・目がちゃんとあるんだねー^^かわいいじゃん!名前は?』

アメル『小山さん(`・w・)』

りん『ぶwはwwwwww』

オムー『もっとペットらしい名前の方がww』

アメル『結構あたまいいんだよぉ~(`・w・)オムさんもなんか飼わないの?』

オムー『ん~俺はサボテンのペットが欲しいって最近思いだしてるんだぉ=ω=.赤サボな』

クルス『戦闘にはいいよな(゜Д゜)』

 

とその時、突如りんの胸元目掛けて飛び込むように、アメルのスライムは大きくジャンプした。

 

ピョンッ!!!!

 

りん『・・ぇ・・・。』

小山さん『(`ρ´)ドゥロン!!!』


今まで見せていたのっそりとした動きはまるで周りを油断させていたかのように、驚くほどの速さでりんの胸元に滑るように入っていく小山さん。


ドゥルンッ!!!!


アメル『ちょwww』

りん『きゃぁぁぁぁああああぁぁぁぁ><!!!!!』

オムー『・・・・・・=ω=.;』

クルス『・・・・(゜Д゜;)』

りん『ちょっと><いやぁぁぁああぁぁぁ!!!』


楽しんでいるかのような卑猥な音を立て、小山さんはりんの胸と服の間に挟まりうごめいている。

 

ドプンッ!!

プルンッ!!!プルルンッ!!!

 

小山さん『ドゥロンッ・・ドゥロロロン(´ρ`)』

アメル『さーせんww頭いいだけじゃなくエロさも兼ね備えていた模様ですww』

 

りんの胸元で一通り暴れると満足したのか、小山さんは何事もなかったかのように元いた場所にドロドロと戻ってきていた。

 

小山さん『・・・・ドゥロン・・・・(´ρ`)』

アメル『満足したようですww』

りん『痴漢><!!』

クルス『・・・・(゜Д゜:)』

オムー『・・・・何も言えねぇ=ω=.;』

りん『・・・・もう近づきたくない・・・(--;)』

 


するとやや遅刻して衛兵2がくるのだった。

 


衛兵2『・・す・・すいません><;!!寝坊しましたっ!』

クルス『おせーぞー衛兵2(゜Д゜)』

アメル『わたしも遅刻多いので文句は言えず・・』

衛兵2『ぁは^^;申し訳ないです・・』

りん『王様は巡回お付き合い今日するんだっけ?』

衛兵2『えっと・・今日は王室図書館でお読み物だと思います^^』

オムー『珍しいな・・・最近はよく巡回を散歩と錯覚してついてくるのに=ω=.』

アメル『ww』

 

 


・・・・・・・・

 

・・・・・


・・

 


ここは王室図書館。
今日は珍しく図書館に篭り、王様は黙々と本を読んでいる。

 

王様『・・・・ーωー』

 

僅かに外の木々から聞こえる小鳥のさえずりが心地よく、誰にも邪魔されないこの空間が王様は好きらしい。


 

・・・・・チュッ・チュッ・チュッ、チチチチチチ・・・・

・・・・チュ・・・・チョッ・チュ・・・・チュ・・・・・・

 

 

その王様が見ている本は、母校でもある学校の卒業アルバム。
昔を思い出しながら、穏やかな面持ちでページをゆっくりとめくっている。

 

王様『思い出すのぉ~・・・・・^ω^』


そのアルバムには懐かしき旧友の顔写真が並んでいた。


∞∞ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー∞∞
        卒業アルバム

   年組

レンリン メンス ルフィティア プラト リューク レイ

タツボン ミアス マイ オードリー フィーネル シグナ 

パワフル バニシア シュクユウ ファーレン サバキ コミミ

チクリュウ □□□□ リフューズ ヘルガ クリスティーネ

レグルス チョピ エアリス スザンヌ ビスコ スティール

∞∞ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー∞∞

 

王様の名前はファーレン。
年組にその名前と若かりし頃の自分が笑顔で写っている。

一人一人の友達の名前と顔写真をみていると、当時の思い出が走馬灯のように次々と思い浮かんでくる。


とその時、その顔写真の中で、一人分の枠が空いていることに王様は気づくのだった。そこに一人の名前と顔写真が元々入っていたが、後になって削除したと言わんばかりの不自然な穴だ。


王様『・・・・これは・・』

 


~ ここからの推奨youtube動画BGMです。
     http://www.youtube.com/watch?v=SiFhjqeEvcE ~


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

60年前に遡ったある日のこと。

冬の峠は疾うに過ぎ、桜のピンクの色でいっぱいに埋め尽くされている山々。春の暖かい日差しを浴び、花や草木も風に揺られて喜び踊っている。


ここはファンブルグ国の中でも古くからある有数の魔法学校。

数多くの名高き魔法使いやクレリックなどを輩出している名門中の名門。聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院である。

 

王様の幼き頃の呼び名はファーレン。
この魔法学校の第17期生。

本を読むのが大好きであったファーレンは、今日も学校帰りに歩きながら読み耽っていた。

 


ファーレン『・・・・^-^』

 

その隣にいるのは当時の親友。
物珍しそうにファーレンを横目に見ながら共に下校している。

 

エビちゅ『しかし好きでちゅね~ファーレンは( ̄ω ̄ )』

ファーレン『・・・・^-^』

 


エビちゅ『何がそんなに楽しいでちゅか( ̄ω ̄ )?』

 

本に集中しているファーレンが歩きながら持っている本のタイトルを見ようと、エビちゅはしゃがみながら後ろ向きで歩いている。

 

エビちゅ『・・・旧伝詩文書・・・( ̄ω ̄ )』

 

蟹股の後ろ歩き。
ひどく滑稽な格好で本のタイトルを読みながら歩くエビちゅを見てファーレンは、我に返った。


ファーレン『あはは^-^エビちゅ何してんの?』

エビちゅ『・・・おもしろいでちゅか( ̄ω ̄ )?』

ファーレン『うん^-^旧い予言書なんだよ。今から十数年経ったらね・・・・戦争が起きるんだってさ。それでね・・このファンブルグに英雄となる人たちが舞い降りて来て助けてくれるんだって!!』

エビちゅ『・・それ・・・ファーレンは信じてるんでちゅか( ̄ω ̄ )?』

ファーレン『うん^-^!!』

エビちゅ『・・・・ガキでちゅね~ファーレンは・・( ̄ω ̄ )』

ファーレン『うるさいなぁーw』

 

二人は入学当初からの友達である。

エビちゅはこの学校の断トツの首席で卒業しようとしている優秀な学生であり、それとは対称的に、ファーレンは落第ギリギリの落ちこぼれ学生。相反する二人の性格はどういうわけか引き合い、6年間を共に過ごしてきていた。

 

ファーレン『そういえばさ・・・そろそろ卒業だね^-^』

エビちゅ『でちゅね( ̄ω ̄ )』

 

思い出がいっぱいに詰まった広い校庭を側に、桜の木に囲まれた長い並木道を二人は歩いている。


ファーレン『エビちゅはいいなぁ~^-^就活始めなくても推薦すごいんでしょ?』

エビちゅ『いろんな所からオファーは来てまちゅけどね・・・( ̄ω ̄ )ファーレンは将来何になるつもりなんでちゅか?』

ファーレン『ぼく^-^?ぼくはね・・この国を治める王様になるんだヽ^0^ノ!!!』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

ファーレン『それでね!この本にある伝説の獅子たちと仲間になってこの世から戦争を無くすように頑張るんだヽ^0^ノ!!!』

エビちゅ『・・・0,0000001%くらいの確立はあるんじゃないでちょうかね・・・ファーレンが王様になったら、その時はエビちゅは銀河系の神になってまちゅね( ̄ω ̄ )』

ファーレン『ぶwひどいなーww』

 

卒業まであと数日。
二人のいつもの下校も数える程しかない。

これからの大きな門出を祝うように桜の花びらが舞っており、その並木道を歩く二人を大げさな程に包み込んでいた。

 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・・・・・

 

・・・

 

 

枝葉の間からさし込む日光が窓から優しく王様の手元を照らし、静かな王室図書館には昼終わりの小鳥のさえずりがまだ聞こえてきている。

 

・・・・・チュッ・チュッ・チュッ、チチチチチチ・・・・

・・・・チュ・・・・チョッ・チュ・・・・チュ・・・・・・

 

王様『・・・今どこで何をしておるのかのぉ・・・。』




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第壱百七拾八話

2009-03-09 | 本編



ラーメン、炒飯、坦々麺、冷やし中華。珍しく注文が続き今日は出だしがよい。4品出し終えたエビちゅは厨房にて思案していた。


エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

プロには味の波があっては務まらない。
常に同等の品質を保ち、提供していくことが要である。

そして何より考案したファンブルグ国用の中華料理は受け入れてもらえるのか、最近の客の減りはその根本的な味に問題があるのではないかとエビちゅは頭を悩ませていた。


エビちゅ『・・客足が途絶える理由は・・・味に問題があるのでちょうか・・・今来ているお客さんたちはどう感じているのちょう( ̄ω ̄ )・・・気になるでちゅね・・・』

 

とその時、テーブル席の方から何やら高い音が聞こえてくるのだった。

 

パカーン!!!

 


エビちゅ『( ̄ω ̄ )!?』


何か硬いもの同士がぶつかり合ったような激しい音は確実に店内で響いていたことだけはわかった。


エビちゅ『・・・今の音はなんでちょう・・・( ̄ω ̄ )』


もうあとへは引けない起業チャレンジ。
エビちゅは経営を軌道に乗せる為、全身全霊を懸け励んでいる。

 


・・・・・・


・・・


・・

 

ノア『店長ーお客様帰られましたー』

エビちゅ『そうでちゅか( ̄ω ̄ )』

 

ノアから4名の客が帰った知らせがくると、すぐさまエビちゅは立ち上がり、食べ残しなどをチェックしにテーブル席まで向かっている。


エビちゅ『どのくらい食べてくれたんでちょうか・・・( ̄ω ̄ )』

 

お金勘定をしているノア。
食べ終わったお皿などをまだ洗い場にもっていっていないことに気づき、慌てて怒られまいとエビちゅに言葉添えをした。

 

ノア『あっ今洗い場もっていきます!ごめんなさい!』

エビちゅ『いいんでちゅよ( ̄ω ̄ )ゆっくり勘定しててくだちゃい』

 


そして先ほどの客のテーブルまで辿り着いたエビちゅは、客が座っていた席に辿り着き、食べ残しチェックを始めた。

 


エビちゅ『・・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

すると冷やし中華を食べていた客のテーブルまでいくとエビちゅは愕然としてしまうのだった。


エビちゅ『( ゜パ)え・・・・これは・・・・』


冷やし中華の具材はテーブルから離れ、思いも寄らない場所へ落ちている。
客が座っていた席を思い浮かべると、それはあたかも食べている最中に勢いよく吹き出し、吐いてしまったかのような方向である。

飛び散っている食べカスをゆっくりと拾い上げるエビちゅ。


エビちゅ『・・・・そんなにマズかったんでちょうか・・・orz』


実際はオムーの腕試しのために振るったクルスの剣の鞘が見事にオムーの頭に直撃し、その際に吹き出てしまった冷やし中華の具材。
エビちゅはそれを不味いが為に吐き出してしまったと勘違いしてしまっているようである。


今後の行く末が決まるその味についてエビちゅは、一抹の不安は拭い取れなかったが、自身の力を信じる他術はなく、人生の全てを懸け、己の全てをその味に打ち込んでいた。

しかしその身を粉にした努力も、吹き出し吐く程に頂けなかったという暗黙の評価により、そのプライドと共に音を立てて崩れていくのだった。


エビちゅ『・・・・ぅぅ・・・なぜでちょう・・こんなに頑張っているのに・・・(;ω; )』



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第壱百七拾七話

2009-03-08 | 本編

 

エビちゅの経営する店名は<来来軒>。

味はファンブルグの舌に合わせてはいるが、少しでも本場の雰囲気を出そうと異国中国で基調とされている赤色で店全体を装飾している。

店内は15人分のカウンターとテーブル席。
たくさん立ち並ぶファンブルグ大通りの店のなか、安価で回転率を上げて収益を狙う一般大衆を対象とした定食屋である。


ファンブルグでは滅多に見られない龍の彫刻やお面などが装飾され、入り口には東洋の独特な雰囲気が漂っており、開店直後は艶やかさと落ち着きを兼ね備えた珍しい店と噂になり、盛況であった。

 

ノア『・・・・・・・。』

エビちゅ『・・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

 

ところが開店から月日が経つにつれ、またも客足が止まり始めてしまっていた。

 

ノア『・・・・・・最近こないな・・お客さん・・・。』

 

カウンター席に座ったノアは時間を持て余すように足をぶらつかせていると、かなり久しく聞いていなかったドアが開く音が店内の暖簾越しに響いてくるのだった。

 

ギキィィー・・・・


ノア『(・・ぁ・・久しぶりお客さんだ!)いらっしゃいませー』


その来た客は普段みている顔。
なんと同居をしているアメルが来店してきたのであった。

アメル『ノアさ~んΣ(・w・ノ)ノ』

ノア『あ・・・・・』

クルス『ん?なんだ(゜Д゜)知り合いか?』

りん『友達^^?』

 

無二の親友である旧くからの友人と思いがけないめぐり合わせ。
しかしノアはそれほど驚くこともなく、勢いよく弾んで喜んでいるアメルの動きに連動した手をそのままに、大人しげな表情で笑みをこぼした。

 

 

アメル『バイトはじめたってここだったんだぁ~・w・ノ』

ノア『うん^^』

 


一方エビちゅは客足が減り始めた原因をさぐるべく、必死に今までのことを思い返して考えている。


ノア『店長!!お客さん来ましたよ!』

エビちゅ『( ̄ω ̄ )!!!』

ノア『ラーメンと炒飯と坦々麺です!』

エビちゅ『やっとお客ちゃん来たんでちゅね。ラーメンにチャーハンに坦々麺!!おっけーでちゅ( ̄ω ̄ )!!』


我に返ったように飛び跳ねて立ち上がったエビちゅは、威勢よく中華鍋から火をあふれさせるように炒め物を始めた。

 

ジュッジュッジャーーー!!

ジャッジャッ!!!!ジャーーー!!!

 

野菜が炒められている音が心地よい。
久しぶりのお客さんと言うこともあり、エビちゅはいつも以上に気合が入っている。


エビちゅ『よしっできたでちゅ( ̄ω ̄ )ノア!一緒に運ぶでちゅよ!』

ノア『はい!!』


エビちゅは止めやらぬ汗をそのままに、ノアと二人でアツアツの料理を運んでいく。

 

店長『おまたせでちゅ~( ̄ω ̄ )』

ノア『^^』

 

アメル『きたぁ~(・w・)じゅるり』

りん『おいしそう^^』

クルス『おしっ食うか(゜Д゜)』

 

運んできたラーメンをテーブルに置く際、器を持つ店長の親指がスープに僅かに入っていることにノアは気づくのだった。


ノア『(ぁ・・・店長・・・親指また入ってる・・・この前クレーム受けたのに・・・)』

 

 

クルス『・・・指が・・(゜Д゜;)』

店長『ゆっくりしてってくだちゃいね~( ̄ω ̄ )』

アメル『いただきまぁ~す・w・』

りん『頂きます^^』



そしてまたも入り口ドアが開く音が聞こえてくるのだった。


ギキィィ・・・・・


オムー『・・・・うぅ~外はさぶい=ω=.』


先ほどまで全く客の入りがなかった昼時。
突如お客さんが次々と入り始めていた。



ノア『店長!またお客さんきましたよ^^!冷やし中華です!』

エビちゅ『またきたんでちゅね!!時代はとうとうエビちゅを欲してきたんでちょうか( ̄ω ̄ )はりきって作りまちょう!!』



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第壱百七拾六話

2009-03-07 | 本編


エビちゅの企業が再度清算に追い込まれ、さらに数ヶ月が経ったある家の朝。




オレンジのカーテンを通して射す柔らかい日差しが優しく寝顔を照らし、気持ちのいい朝を迎え目覚めたアメル。


アメル『ふぁ~ぁ(>w<)ノ』


思い切り伸びをして時計を確認すると既に第一連隊集合時間になっていることに気づくのだった。


アメル『あぁ~(>д<;)まずいもう9時じゃん!!!!』


驚いて起きたアメルの声で釣られるように隣のベッドで寝ていたノアも目を覚ましている。


ノア『・・おはょ~・・』

 

まだ眠そうに目を擦りながら暢気に挨拶をしているノア。

 

アメル『おはようじゃないよぉ~(>w<´)ノアさ~ん!!今日の当番ノアさんじゃ~ん!!私遅刻だぁ~!!』

 

最近のアメルは第一連隊の宿舎から離れ、親友のノアと同居して暮らしている。

朝起こしと朝食作りを当番制にしており、今日はノアが朝食を作り、アメルを起こす当番の日。しかし、そのノアが寝坊をするという失態を演じているのだった。


ノア『ごめんね・・目玉焼き作るね』

アメル『もう食べてる時間もないよぉ(´゜д゜`;)わたしもう出発しないと』

 

ガッ!!!


寝ぼけ眼で服を着ながらヨロヨロと身支度を整え始めたアメルは急ぎすぎ、足の小指をタンスの横に当ててしまう。

 

アメル『OH!!NOOOOOOOOOOOOOOOO(>w<`)!!!!』

ノア『大丈夫・・・?』

 

うずくまるアメル。

 


アメル『・・・・・く・・・・・。』

 

寝癖がついたままの頭をなでてなだめているノアの手は、まるで犬をあやすかのように優しい手付きでピョンと跳ねたアメルの髪の毛を直すようになでている。


ノア『急がば回れだよ^^』

アメル『ノアさんが言わないでよww当番制もう辞めたいよww』


ノア『今日わたしバイトの面接いってくるね^^』

アメル『・・ぜぇ・・はぁ・・・ぜぇ・・おー痛かった・・ふぅ・・(´盆`;)』

 

味のついていないパンを銜え、チャックも締め切っていない服を半端に着たままアメルは玄関まで再度走り始めた。


アメル『バイトの面接(´゜w゜`)?』

ノア『うん^^』

アメル『がんばってね(゜w゜)ノじゃぁわたしは出るねっ!』

ノア『いってらっしゃい^^ノシ』

 


・・・・・・・・・


・・・・・

 

・・・

 

一方、勇往邁進を地で行くエビちゅの起業チャレンジ再々スタートは、今は人材収集に力を入れていた。

 

コンコンッ

 

ひどく小さい遠慮がちなノック音が響く。

 

 

エビちゅ『どうぞでちゅ( ̄ω ̄ )』

ノア『・・失礼します・・・』

 


もう失敗は許されないエビちゅの三度目の起業チャレンジは、中華料理屋の全国チェーン店を作ること。

本場中国の味から改良に改良を加え、ファンブルグの舌に合う独自の味付けを考案したエビちゅは面接を今日はしている。

 

エビちゅ『まず志望動機を聞かせて欲しいでちゅ( ̄ω ̄ )』

ノア『はい・・・ぇっと・・・その・・・・あの・・』

 
論理的に的確にアピールする自らの売り込みはノアの最も不得意とするものだ。元々無口で人付き合い下手なノアは、何度かアルバイト面接を繰り返していた。



エビちゅ『・・・・・・・( ̄ω ̄ )』

ノア『・・・・ぁ・・・ぇっと・・・』

 

耐え難い沈黙。
するとエビちゅは突如席を立ち、ノアに近づいた。

 

ノア『・・ぇ・・?』

エビちゅ『後ろを向いてくだちゃい( ̄ω ̄ )』

 

言われるままにノアは席を立ち、わけもわからないままエビちゅに背を向けている。


ノア『・・・ぁの・・ぇっと・・これは・・・』

エビちゅ『・・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

暫くするとエビちゅはノアの腰を両側からわし掴みにして何かを確認しており、ノアは思いがけない行動に体が硬直している。

ガッ!!!

ノア『きゃ><!!!』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

 

一体なんの意味があるのかわからぬまま、エビちゅは再度ノアを席に座らせ、自分の席にもどりメモを取り始めた。


ノア『今のは・・・・セ・・セクハラ・・で・・ですか><;!?』




黙々とチェック表らしきものにメモを続けているエビちゅ。




エビちゅ『(・・・カキカキ・・・カキカキ・・・Φ( ̄ω ̄ )』

 

ノア『・・・・・・・。』

エビちゅ『言っときまちゅが・・・・・カキカキ・・・ピタッ・・Φ( ̄ω ̄ )』


エビちゅはそこまで言うと書いている手を止め、ノアへ視線を戻した。


ノア『はい><;』




 

エビちゅ
『エビちゅは女でちゅ
( ̄ω ̄ )』

 

外見上、背が低く幼児体型をしているエビちゅは年齢不詳であると共に性別も見間違えられてしまうことが多い。何かと勘違いされない為にも言葉添えをしているようである。

 

ノア『・・ぁ・・はぃ・・・』

エビちゅ『ウェイトレスは腰が大事でちゅ( ̄ω ̄ )私の店舗はファンブルグのオフィス街に出すでちゅ。そして昼時に焦点を当て、中年サラリーマンを対象とした中華料理屋を目指すでちゅ。そこで必要なのは味だけでは勝てんでちゅ。そこには目の保養にも重点を置き、看板娘の招請にも期待値を置いていまちゅ。この方法をもって飲食業界を制覇するでちゅ( ̄ω ̄ )』


ものすごい勢いで捲くし立てられたノアは納得せざるを得なかった。


ノア『・・ぁ・・はい・・なんとなく・・わかったような気がします・・』

エビちゅ『面接は以上でちゅ( ̄ω ̄ )結果は合格者のみ通知するでちゅ』

ノア『もう終わりなんですか!?』

エビちゅ『文句あるでちゅか( ̄ω ̄ )?はい帰って!』

ノア『・・・ぁ・・・・はぃ・・・』

 


強制的に帰らされ、トボトボと落ち込みながら家路に戻るノア。
その足取りは重い。


・・・・・


・・・


・・


わけがわからないままあっという間に終わった面接から帰宅したノアは、ふとポストを見ると大きな手紙が入っていることに気づくのだった。

 

ノア『・・ぁ・・・お手紙だ・・・誰宛だろ・・』

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
   ノア様へ


  中華料理屋 来来軒 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ノア『・・ぁれ・・・今行ったバイト先からだ・・・』

 

裏を見てみると・・






 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

合格でちゅ( ̄ω ̄ )

明日からきてねっ!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ノア『はやwwいつ置いたのw!?』

 

全国制覇を目指す中華料理屋チェーン店の第一店舗。
明日から始まるそのエビちゅの挑戦は今後どう展開していくのだろうか。





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第壱百七拾五話

2009-03-06 | 本編




あれから数ヶ月後。
無事会社を清算し、エビちゅは新たな起業家へと転進していた。




太陽が最も低く位置し冬至と言われている12月22日。
ここはファンブルグ国の中央通り。

町並みは年末の慌しさに加えて、戦渦と言えど気を紛らわすためでもあるイベントとしてのクリスマスの装飾や照明が目立ち始めている。


警備団に加えて軍兵までもたくさん街中に出てきており、何やら物々しい雰囲気が町に出ていた。

軍兵のキビキビとした踵を合わせて歩く姿がひっきりなしにエビちゅの目の前を通っている。


ザッザッザッザッザッザッ・・・・


ザッザッザッ・・・・



エビちゅ『・・なんでちょう・・せっかくの店だしなのに迷惑でちゅね( ̄ω ̄ )』




第二のチャレンジとしてエビちゅが起業した会社。
それは通称<マキシム・ド・エビちゅ>。


昨今、ファンブルグで流行になりつつあるのは欧州パリ国風ケーキ。

早々と変わり行く国民の舌をキャッチしたエビちゅはそのケーキに目をつけ、
【ケーキの食べれるカフェ】
をキャッチフレーズにファンブルグ全国へ事業展開をしようと目論んでいた。


夢の第一店舗を出す事前調査としてクリスマスシーズンは、またとないチャンス。

エビちゅはこのファンブルグ商店街の歳末商戦たけなわを絶好の機会とよみ、自作ケーキの味を試す為に屋台を引きケーキを売り歩いている。


エビちゅ『クリちゅマちゅケーキはいかがでちゅかぁ~( ̄ω ̄ )甘さ控えめ~ショート~タルト~チョコケーキ~いろいろあるでちゅよぉ~』



風の便りでは今日はある泥棒を捕獲する大捕り物があるらしく、城前の大きな広場を埋め尽くすように自警団と6000名の第一師団が集まり、点呼確認の叫ぶ声がエビちゅの耳にも入ってきていた。



兵士『第12連隊!!点呼ぉ~!!!』

 『ー。-1!!!』

 『ー。-2!!!』

 『ー。-3!!!』


・・・


・・




兵士『第8連隊ぃ~!!!点呼開始ぃ~!!!』

 『ー。-1!!!』

 『ー。-2!!!』

・・




トカマク『第一連隊点呼開始ぃ~!!』

衛兵1『いぃぃぃぃぃぃぃぃちっ!!!!!!』

クルス『2(゜Д゜)』

アメル『3・w・!!!!』

・・・・

・・・

・・


クルス『くそ・・並んでる場合じゃねぇぞ・・・早く調査いかねぇと(゜Д゜)』

アメル『・・うん>w<・・・・わたし即行で抜け出して国税所またいってくるよ』



人通りが徐々に激しくなってきており、軍兵たちは整列しながら物珍しそうにクリスマス商店を横目で見ている。



エビちゅ『クリちゅマちゅケーキは~いらんでちゅかぁ~( ̄ω ̄ )甘さ~控えめ~』




クルス『なんだなぁ~世間はあと二日でクリスマスイブかぁ~(゜Д゜)』

アメル『早いねぇ~・・・でもわたしらはそれどころじゃないんだよねぇ~>w<』




師団の点呼確認が長い間続く中、だらだらとやる気のなさそうに並び続けている一人の兵士とエビちゅは目が合った。



エビちゅ『そこの兵隊さん買っていかないでちゅか?イブと言えばケーキでちゅ。甘さ控えめのデコレーションケーキでちゅよ~( ̄ω ̄ )』

クルス『・・ぉ・・・俺に言ってるのか( ゜д゜)?』

アメル『整列してる兵隊に売り込んできてる・・・すごい商魂・w・;』

クルス『すまん(゜Д゜;)今仕事中なんでな』



その男は横目で店員を見て苦笑いをしながら断った。



エビちゅ『(・・チッ・・)じゃぁ帰りに寄っていってくだちゃいねぇ~( ̄ω ̄ )』



歩く人や出店の数、軍兵など、混沌とした中央りでの商売は、今後の商売の行く末がかかっていた。

当初、数十分で売切れてしまうと予想していたクリスマスケーキ。


エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』



・・・しかし現実にはその予想は見事にはずし、結果的にはほぼ全品売れ残ってしまっていた。




エビちゅ『参りまちたね・・・・( ̄ω ̄ )』




エビちゅはその後もファンブルグ郊外などでも売り歩くのだが、
全く効果は出ず、商品ばかりが在庫に残るいっぽうであった。


時代の先駆者はいつの世も反感を買うと言われている。
少々の我慢は必要不可欠であったが、人一倍あるそのプライドは初年度赤字決算さえも認めることはできなく、エビちゅは天性の見切りの速さですぐさま事業撤退という苦渋の決断をしてしまうのだった。



エビちゅ『・・・ま・・・こんなもんでちゅかね・・・エビちゅが時代を早く走りすぎたんでちょうか・・・この起業もちっぱいでちたね( ̄ω ̄ )』




第壱百七拾参話

2009-03-04 | 本編
同日。夕の刻20時。

アーサーと名を変えたクルスは海賊団入団を果たし、新入りの手始めの仕事である便所掃除をやらされていた。


海賊船の便所は図体のでかい男達が何人も入れるほどの大きな作りであり、嫌な匂いが立ちこめるタイルが何枚も敷かれている。


あまりに汚れがひどいそのタイルは黒ずんでおり、毛の広がったブラシではうまく洗い落とせない。今までのクルスでは投げ出しているであろうその辛い作業に汗を垂らしながらクルスは今だかつてない程真面目に働いている。





・・・ジャッ!・・・・ジャッ!ジャッ・・・!ジャッ!



・・・・ジャッ!ジャッ!ジャッ!・・・・ジャッ!



アーサー『・・・・(゜Д゜;)』



その横に賊団員が現れ、次なる仕事を言いにやってきていた。



賊団員『おい!!まだおわらねぇのか!?何時間かかってんだ!!!』

クルス『・・・はい・・・すいません・・・(゜Д゜;)』



賊団員『次はエンジンの油差しだ!!あと1時間以内にはおわらせろよな!!のろまが!!』

クルス『(・・・くそが・・あとで目にもの見せてやるぜ・・(゜Д゜;)』



・・・ジャッ!・・・・ジャッ!ジャッ・・・!ジャッ!



・・・・ジャッ!ジャッ!ジャッ!・・・・ジャッ!



クルス『あと少しだ・・・・(゜Д゜;)』






・・・・・・


・・・・


・・



一方、りんら一行は同時刻、夕食を食べ終わりかけている頃であった。




りん『・・・ふぅ(*´▽`*)お腹いっぱい・・』

さっちゃん『ごちそうさまです!』

ヌコル『・・・モグモグ・・・』

透くん『パクパク・・・・』

王子『オムーはあまり食べていないようだが・・ーωー食欲はないのか?』

オムー『さっき嫌って程に水と魚を丸呑みしたんでな・・・=ω=.;』

ハプティ『www』

クルツ『ねぇねぇ(^Д^)そろそろ食後のお菓子タイムでしょ!?』





クルツは貯蔵庫からいつもの食後のお菓子などをテーブルへ運んできている。




hanana『はは^0^とうとうエビちゅの話!緊張してる!?』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』




エビちゅのマイ酒である<いいちこ>が入った一升瓶を音を立て開け、まるごと口にあて、豪快に飲んでいるエビちゅ。




・チュポンッ!!

・・ゴクッ・・・ゴクッ・・・グビッ・・・




エビちゅ『・・・ぷはぁ~・・・( ̄ω ̄ )』

hanana『お酒に夢中だ( ゜▽゜;)』




クルツは皆が座る席へそれぞれの好みのお菓子を既に憶えているのか、取り分けて手際よく配っている。




王子『なんじゃ^ω^クルツはりきっとるのぉ』

クルツ『うん(^Д^)!!』

hanana『エビちゅのお菓子ちょっともらうよ^0^』

エビちゅ『しょうがないでちゅね・・・( ̄ω ̄ )』

メイド『今日は誰が話しするの?』

王子『・・・・ーωー』

りん『・・・・^^』



暫しの沈黙を破ったのはオムーであった。



オムー『じゃぁ・・俺がしようか=ω=.?』

りん『おぉー(*´▽`*)まってました』


オムーは昔話の構成を整える為か少し沈黙すると、軽く咳払いをしてゆっくりと話し始めるのだった。


hanana『わくわくo^0^o』

クルツ『わくわくo(^Д^)o』

エビちゅ『ゲフッ・・・( ̄ω ̄ )』



オムー『あれは俺が第一連隊に入ってから、半年くらい経ってからだったかなぁ~・・・=ω=.』



  次回  ~回想の章(エビちゅ編)~