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眩しい太陽・・美しい月・・そして世の中所詮金でちゅ

伝説の獅子たちが活躍する笑い泣き感動ありのアクションストーリー (c)2008hiyoko.現在原画製作中!

第弐百五話

2009-06-29 | 本編




いつもと変わらない梅雨のお昼時。
hananaの父親は新聞紙を読みながらコーヒーカップを口にゆっくりと運んでいる。


hananaがいつもこの時間に家の食料を持ち出していると確信していた母親は、父と共に問い詰めようと食卓から玄関前の廊下に耳をそばだてていた。


父『母さん、俺そろそろ仕事いかないと・・』

母『待って・・』


食卓から壁を隔てた廊下に意識を集中していた母の第六感は的中していた。そのお昼の時間は普段であればhananaも湖乃も二階自室でお昼寝の時間。

しかし案の定廊下に忍び足が聞こえてきていた。


ギシ・・・ギシ・・・

 


2階のhananaの部屋から一階食糧貯蔵庫、そして玄関へと繋がる一本の廊下道。食卓と壁を介して通っているその廊下は距離こそ短いが慎重に足を忍ばせて玄関出口に向かっているhananaがそこにいるのだった。

 

・・ギシ・・・・・ギシ・・


hanana『・・・・ソローリ・・・ソローリ・・・^0^;』

 

食料をローブと腹の中に詰め込み、体半分大きくなっているhananaはつま先立ちでゆっくりと歩いていると、寝ぼけ眼でその様子を階段上から見ていた妹の湖乃は、不思議そうに見ている。


湖乃『・・・お姉ちゃん何してんの(´-`*)』

hanana『・・・・シー・・^0^;湖乃は部屋に入ってて!!』


母『hanaちゃん!?』

 

hanana『ヒッ^0^;!!お・・お母さん!!』

 

隣の食卓の父母に聞こえぬよう声を細めて湖乃に力いっぱい訴えるhananaであったがその甲斐もなく、母からの大きな一喝をもらってしまうのだった。

 

食卓と廊下のドア越しでhananaに一喝する母の声が食卓にいる父まで聞こえてきている。

新聞を目の前にしつつ、横目でその母の剣幕とひきつった顔のhananaの顔を確認した父は心配そうな面持ちでゆっくりとコーヒーを口にしている。

 

母『hanaちゃんお昼寝の時間じゃないの!!!』

hanana『・・ぇっと・・その・・・あの・・・・^0^;』


ドア越しのその二人の声は十分すぎるほど父の耳まで大きく聞こえてきていた。

 

母『キャーーーーーーー><!!hanaちゃん!!そのお腹はなに!!妊娠!!妊娠なの><!』

 



父『;`;:゛;`(;゜;ж;゜; )ぶッw』


母『その歳でなんてことしてるのっ><!!』

 

慌てて廊下に飛び出してくる父は目を皿のようにそのhananaのお腹を見た。母の言うとおり、hananaのお腹は膨れ上がり、ローブはこんもりと盛り上がっている。


驚きの二人の顔を目の前にしたhananaは観念せざる終えなく、手の力を緩め、少しずつ食べ物を廊下に落としてしまうのだった。


・・ズル・・ガサッ・・・・ズル・・ドサッ・・・ガサドサッ・・・・


hanana『・・ぁ・・はは・・赤ちゃんの正体は・・・食べ物でし・・・^0^;』

 

母『・・・・お菓子!!!』

父『・・・・フゥ~・・・そういうことか・・・^^;』

 

安堵の顔を一瞬だした母は尚も顔を厳しくし、問いただし始めている。


母『・・・・どういうことか説明しなさい><!!!!』

hanana『・・ぇっと・・・その・・・><;』

母『ペットね!?駄目よ!うちでは飼えないしそのペットは誰かに預けなさい!!あなたが育てられるわけないでしょ!!』


すぐに心中を察し、hananaに懇願させる暇もなく母は答えた。

 

話さずともわかってしまい、既にすることもなくなったhananaの口角は無意識に下がっていく。


hanana『・・・ぅ・・・ぅぅ・・(/へ\*)ウゥ』


徐々に顔をしわくちゃに、口をへの字型になっていくhananaの目には涙が溜まってきている。

 

母『もう食べ物もっていっちゃだめ!!!あげられる食べ物だってうちにはないの!!!』

hanana『・・・・ぅ・・ぅぅ・・・だって・・だって・・もっていかないと><!!』

母『だだっこはいけません!!』

hanana『ぃゃだぃぃゃだぃぃゃだぃ・°°・(((p(≧□≦)q)))・°°・。ウワーン』

 

母はhananaにできる事とできない事の分別をつける教育の為、強く叱っている。父にはその叱る必要性も、そして相反するhananaの心の優しさもわかっており、致し方ない顔で口をつむっている。


父『・・・・・・。』

hanana『・・ヒック・・・ヒック・・・・だって・・だって死んじゃうもん><!!ゴーレムさん死んじゃうんだもん!!』

父『・・・hanaはゴーレムさんを助けたいんだよね^^父さんはそんな優しい子に育ってくれて嬉しいぞ^^でもね・・・うちは湖乃とhanaのご飯しかないんだ・・』


叱り役の母とは違い、父はなだめる様にhananaに言い聞かせた。


母『あなた稼げるの?無理でしょう。ペットは糞をする。家具を傷める。他所様を咬む。いいことないわ』


たちまち大粒の涙がhananaの頬を伝い、感情を爆発させるhanana。

hanana『ヒック・・ヒック・・。゜゜(>0<)゜ ゜。ビエェーン!!お母さんもお父さんも馬鹿ぁ~』


思いの伝わらない父や母から立ち去る他なく、hananaは勢いよく家を飛び出してしまうのであった。


母『待ちなさい!!hanaちゃん!!』

父『・・・・・。』

 

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・

 

いつもであれば楽しくご飯の時間である昼過ぎのゴーレム隠れ家。
食べるものを持ってこれない苛立ちと申し訳なさで涙ぐんでいるhananaは体育座りをしながらじっと地の一点を見つめている。


hanana『・・・・・グス・・・ごめんね・・ボルケノさん;-;』

『・・・・グゲンゴ・・ゲゴンゴガンゴ!』


涙の止まらないhananaを見ながら力いっぱい顔を横に振っているボルケノゴーレムは、逆に申し訳なさを感じたのか、hananaを元気づけようと洞窟の外に咲いていた小さな花をhananaに差し出した。

 

『・・ガッゴ・・・・』


ボルケノゴーレムの大きな手と対照的なその小さな花は太い人差し指と中指の間に挟まっており、hananaを元気付けようと力いっぱい純白に輝き咲いている。


hanana『・・・これhanaにくれるの(ρ_;)?』

『・・ガッゴ・・・ガブングゴンゴ・・』

hanana『ありがとう(ρ_;)ごめんね・・お腹すいたよね?』

『ガンググ・・ゲウ・・ゲウガゴ!!』

 

首を大きく振り、明らかに見え透いた空元気を振舞うボルケノゴーレムであったが、お腹は正直に音を鳴らすのだった。


グーーーーーーーーーーーー


『・・・グゲ・・・・』


思いとは違う生理現象に顔をしかめるボルケノゴーレムは腹を抑えている。


hanana『・・・どうしょぅ・・・』


世話することのできないペットは身寄りがなければ野生へと返す他なかった。そして野生へと返された場合、狩りなどの対象になってしまう。

聞き入れてくれない家以外に頼れる場所がないhananaは途方にくれてしまっていた。

 

するとその時。


ガサガサッ・・・


洞窟の入り口を囲うように生えている背の高い雑草は、明らかに風とは違う要因で大きく揺れている。


ガサガサッ・・・


ガサガサガサッ・・・・


hanana『!!!』

『グゲ!?』

 


 


第弐百四話

2009-06-20 | 本編
次の日、昼の刻。
hananaが洞窟にまた食べ物を差し入れにやってきている。


hanana『んちゃ^0^ノ』

『ゴッゴ!!!』


ゴーレムは飛び跳ねるように肩を揺らし満面の笑みで迎え入れた。

首を通すだけど着れてしまう長いローブはお腹に食べ物を隠しやすい。
hananaはお腹が膨れ上がるほどたくさん隠し持ち、家から食べ物を持ってきている。


hanana『んしょ^0^』


目一杯にローブとお腹の間に詰め込まれた食べ物を地面に落とした。



ドサドサドサッ


ハム チーズ 牛乳 猫大好きカルカン 卵 春菊 ちりめん雑魚


ガサッドサドサッ


ヨーグルト ノート えんぴつ カッパえびせん 出前一丁 

マンゴー缶詰 うまい棒 アンパン ミルクチョコレート



多種多様な食べ物が地面に転がり、食い入るようにボルケノゴーレムは落ちた食べ物を見ている。



『ゴー・・・グワンゴーー!!ゴンゴッ!』

hanana『お食事はあとでね^0^今日は勉強からだよっ!』

『グウンフッ!!』


元主人にあった強制というものはそこには一片たりともない。
むしろゴーレム自身がhananaに従うことにより満足を得ていた。

もはやパブロフの犬のごとくhananaに従い、真剣な顔で大きく頷き応えているゴーレム。



早速えんぴつを取り出したhananaは綺麗とはいえない文字でノートに文字を描き、まだ幼い少女の講義がこうして始まるのだった。



hanana『これが・・あー・・・言える^0^?』

『・・ガー・・』



hanana『・・・・・あーいーうー・・』

『・・ガーギーグー・・』



明らかに間違った濁声はhanana先生の顔を歪ませている。



hanana『う~ん^0^;・・・はじめは文字の勉強からしよっか^^;』

『・・・グフ・・・』



hanana『このえんぴつを・・・こうやって持って^0^』


小さいえんぴつを渡され、数倍も大きな手でhananaの手真似をしているゴーレムはなかなか思うように持てなく、主人に報いれない苛立ちが鼻息を荒くしていた。


『・・・フング・・・グンフ・・・』

hanana『落ち着いて^0^;』




生まれつき気が弱いボルケノゴーレム。
ボディガードができないと悟ったhananaは、事務をなどの仕事につけるよう物書きなどの教授を熱心に続けた。

元来物覚えが悪く不器用なボルケノゴーレムにとって物書きなどは至難の技。しかしhananaは決して諦めることなく、献身的に教え続けるのだった。



バキッ


hanana『きゃははははっ^0^えんぴつ折ったぁ~!力抜いて書くんだよ!』

『・・ゴンゴ・・・』





・・・・・・・・・



・・・・・・



・・・







ぱらつく雨が屋根に優しくあたっている。
外出する意欲も失わせるその梅雨のノック音は、家族に団らんという肝要な時間を与えているはずだった。


休日の昼食。hananaの姿はなく母親は心配そうに問いかけた。


母『お父さん・・・最近hananaがお外で遊ぶことが多くなったのよ・・』

父『ん?いいことじゃないか^^』

母『お昼頃遊びに行って帰ってくるといつもドロンコなの・・・男の子と遊んでるみたいなのよ・・』



hananaの妹の名前は湖乃。

hananaよりも増して幼いその少女は母が結わいた団子髪をチャームポイントに父と母に挟まれ静かに話を聞いている。

必要以上に大きい口を開け、ご飯を不器用に喉へ運んでいるまだ幼い湖乃は頬張り、顎にご飯粒をつけながら会話に入ってきた。


湖乃『・・バクバク(^-,^*)・・・おねーちゃんお友達できたのかな』

父『ドロンコになって帰ってくる?男の子のお友達ができたか^^』

母『それも毎日よ・・・?ちょっと心配よ~』

父『はっはっはっ^^何が心配なんだ』

湖乃『・・バク・・・バク(^-,^*)』


丸く束ねられた湖乃の頭頂部の髪の毛は噛むタイミングと合わせて上下に揺れている。その団子髪は湖乃の一生懸命に食べ物を噛む回数を表していた。


母『男はいつなにするかわからないじゃない?』

父『五歳から男の心配してどうする^^あっはっはっ』

湖乃『・・バク・・・バク(^-,^*)・・お母さん 男ってなぁに?』

母『男?・・ケダモノよ』



父『ぶwwww』



味噌汁を噴水のように拭いた父親は激しく咳き込み、それを見てはしゃいでいる湖乃。



湖乃『キャッキャッ(^▽,^*)ノお父さん噴水みたい』

父『ゴホッゴホッ^^;なんてこと教えてんだっゴホッ』



父親が吹いた味噌汁を拭きながら母親は冷静に答えた。




母『あら・・・本当のことじゃない?』

湖乃『・・バク・・・バク(^-,^*)ふ~ん・・じゃぁお姉ちゃんはケダモノと遊んでるんだね?』

父『やめなさいw湖乃』

母『・・最近の子はませてるから・・・』

父『母さんは心配しすぎだ^^;まだhanaは五歳だぞ?』

湖乃『・・バク・・・バク(^-,^*)』

母『それにおかしいのよね~・・・食べ物の減りがすごい最近早いのよ・・・ほら・・この前買った8つのドリアン・・・もうないのよ・・』

父『もうない!?・・・そんなに食べたっけか^^;』

湖乃『湖乃はたべてないよ(^-,^*)』

父『あーわかってるよ^^・・となると・・やはりhanaか・・・』



考え込むように宙を見つめ、母は決心したように言った。



母『今度ちょっと聞いてみようかしら・・』

父『・・・・うん・・そうだな^^』






第弐百参話

2009-06-17 | 本編




hananaとボルケノゴーレム。推奨youtubeBGM。
http://www.youtube.com/watch?v=1A3nOwPS86s
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




数日後。

 

ザーーーーーーーーーーー


梅雨に入ったファンブルグ。
空の底が抜けたかのように雨が降り続いていた。


ファンブルグ南地区の田園地帯を抜けると所有者の不確かな山々が連なっており、ゴーレムを救い出したhananaとボルケノゴーレムはうっそうと生い茂る山中、寝泊りができる大きな洞窟を見つけていた。


3mを超える体のボルケノゴーレムが優に入れるほどの高さと奥行きを持った洞窟。
食べ物を咀嚼する音が響いている。

 


hanana『ムシャムシャ^~^』

『・・・ムシャムシャ・・ゴンゴ・・・ゾプ・・ゴンゴ・』

 


がっつき食べているボルケノゴーレムとは対称的に、hananaはゆっくりと食べながらボルケノゴーレムの必死に食べている姿を満足気に眺めている。

 

hanana『へへ^0^ボルケノさんいっぱい食べてね!まだあるよっ!』

『・・・グッフッ・・ゾプ・・・ガプ・・ムシャムシャ・・・ズガッゴ・・』

 

時折hananaに目をやりながらも、食べているフルーツからは目が離せず夢中になって食べているゴーレム。

 


hanana『・・ごめんね・・今うちから持ってこれるのこのくらいしかないんだ^0^』


家では飼うことができないと悟っていたhananaはゴーレムを洞窟に住まわせ、食べものは毎日コッソリと家から持ってきているのだった。

 

hanana『・・・お母さんに相談してみようかな・・・』


不安そうな顔でまだ食べているゴーレムの顔を見つめながらhananaはしゃべっている。


『・ゾプ・・・ガプ・・ムシャムシャ・・・グワ・・グワング・・』

 

大きな体を丸くしながら一生懸命食べているボルケノゴーレムの顔はhananaの遥か上に位置しており、hananaはその姿を満面の笑みをしながら話し続けた。


hanana『おいしい^0^?』

『・・ガプ・・・ムシャムシャ・・・ゴンゴ!!』

 

真剣な表情でおいしいという言葉を発したかのようにhananaに顔を向け一言答えた。

 

hanana『ねぇ・・なんでいじめられてたの?』

『グッフッ・・・ゴヘングガゴンゴ、グンゲドワンゴ。ゲンフゴゴッグ、ドゲガゴゴンガ。』


口の中に入った食べ物をそのままに即答しているゴーレムは口から飛び散った食べかすも気にせずしゃべっている。


hanana『きゃははははっ^0^なにいってるかわかんないよ』


どうやらボルケノゴーレムは人間の言葉がわかるようであった。
しかし人間のように器用な舌は備わっていなく、うまくしゃべることができていない。

hananaの爆笑した様子をみて困った顔をしながら頭を掻いているボルケノゴーレム。

 

『・・・グー・・・グワンゴ・・・』

hanana『いいよ^0^・・・わたしのもあげる』


hananaは毎日お昼になるとこうしてボルケノゴーレムに差し入れの食べ物を持ってきていた。


hanana『あーわかった^0^!そういえばボルケノさん怒られてたよね!?お使いとかボディーガードができなかったってこと^0^!?』


長い間見上げていた為に首が疲れたのか、体育座りから体ごと後ろを向いたかと思うとそのまま仰向けになり、楽な姿勢でゴーレムの顔を見るように地面に寝そべったhanana。

 

hanana『・・ボルケノさん字って書けるの^0^!?』


『・・・ゾプ・・カプリ・・ムシャムシャ・・・ググン・・』


仰向けに寝そべっているhananaからは逆さまに見えるゴーレムの四角くごつい顔は真横に振られている。


hanana『そっかぁ~・・・じゃぁお使いとか難しいよね・・わたしが教えてあげるよ^0^』

『・・グゴ!?・・・グゲンガ、ゴッゴ?』

hanana『うんうん^0^遠慮しないで』

 

わからないはずのゴーレム語をhananaは相手の表情や声の抑揚でなんとなく意思疎通ができており、二人のその二言語は不思議に交差し解釈されていた。


hanana『じゃぁそれ食べ終わったら今日は字の勉強だよ^0^ノ』

『・・・・・・・。』


突如噛む動作を緩め、宙をみつめるゴーレム。


今まで虐待とも呼べる厳しい環境で育ったゴーレムにとって、初めて人の優しさに触れた瞬間であった。


『・・・・ググ・・』


hananaのその暖かく無邪気な優しさを身に染みて感じ、嬉しさでいっぱいになるゴーレム。赤く硬い皮膚に覆われた屈強そうな顔をしわくちゃにし、うまく表すことのできない感情は涙となって体現されていた。


hanana『きゃはははっ^0^なんで泣いてるのぉ~!?』


少女の前で思いがけずに溢れ出てしまった涙を誤魔化すようにフルーツにむしゃぶりつくゴーレム。


『・・ガプッ!!・・・ムシャムシャ・・・ゾプッ!・・』

hanana『ボルケノさんおもしろいね^0^!』


外は梅雨時の雨で冷やされた風は吹けど、その洞窟にはいまだ春を思わせる暖かさが残っていた。








第弐百弐話

2009-06-16 | 本編






大きな体を丸くしたボルケノゴーレムはその少女の行動に驚き、顔を覆った太い指の隙間からその様子をみている。

『・・・ゴワゴ・・・フグンガ・・・』



男『・・くそガキどけ~!!!』


男は躊躇いなく幼い少女へ向かって前蹴りをかます。


バゴッ!!!!

ゴロゴロゴロゴロゴロ!!!


hanana『・・・ぅ・・・くっ・・・』

 

足底はhananaの顔面を見事に捉え、hananaはボルケノゴーレムがうずくまっているところまで転げ飛ばされている。


ところがうつ伏せに倒れたhananaはすぐに起き上がり、また大の字を作り道を阻む。


hanana『・・・ぅ・・ぅぐ・・・』

 

流れ出ている鼻血はぐらつく前歯を染め始め、足をふらつかせてはいたが、hananaのその強い眼光はその男を射すくめていた。


男『・・死にてぇのか・・このクソガキ・・』

 

hanana『・・・ゴーレムさん・・大変!!怪我してる!!』

『・・グフッ・・・ゴワンゴ・・』


hananaは自らの傷など省みず、ゴーレムの皮下出血や紫斑を心配そうに見るや否や、目を閉じまっすぐと手をかざし始めた。


hanana『・・・ゴーレムさん・・元気になって・・』


緊迫した状況にて不可思議な行動をとっている少女に気づくエビちゅ。


エビちゅ『・・・何をしているのでちょう・・あの少女・・( ̄ω ̄ )?』

 

男は徐々にhananaとゴーレムの元へ近寄ってきている。

 

男『どこのガキか知らねぇが、邪魔すんじゃねぇ!!』


hananaの手の平からは青白い光沢のある微粒子が放出されており、エビちゅはその瞬間を見逃してはいなかった。


エビちゅ『・・・あれは( ̄ω ̄ )!!』


たちまちボルケノゴーレムの皮下出血や紫斑は正常な肌色に戻っており、hananaは自身の顔にも手をかざし、切れた口元の傷口は綺麗に修復されていくのだった。

 

男『・・な・・なんなんだてめぇ・・・』


回復呪文を唱えたわけでもないその回復力に目を疑う男は、気が動転しながらも尚攻撃をしようとhananaたちに迫ってきている。


男『うぉぉぉぉ!!!』

hanana『・・こ・・・ここは通さないぃ><!!』

 

攻撃に関しては無力と言っても過言ではないhananaに向かって再度その男は、威勢を張り上げて近づき、攻撃をしようとしたその時。

 

エビちゅ『ヴォルケーノ( ̄◇ ̄ )!!!』


横にいるエビちゅが放った火属性魔法ヴォルケーノが男の目の前に落ちるのだった。


ゴゴーーーーーーーーーーー!!!


ズドーーーーーーン!!!

 


男『・・ヒッ!!』


地面と火の塊の衝撃波で後ろへ仰け反る男を確認しながらエビちゅがゆっくりとhananaたちの前に現れた。


エビちゅ『・・・・あとは任せなちゃい( ̄ω ̄ )』


男への視線を崩さぬまま、エビちゅは後ろにいるhananaに声をかけている。

 

hanana『・・・ぁ・・ぇっと・・』


エビちゅの男への威嚇攻撃である衝撃波の煽りを食ったhananaは状況をうまく飲み込めなく返答に戸惑っており、それを見たエビちゅは声を荒げた。


エビちゅ『何をモタモタしてるでちゅか( ̄ω ̄ )!?あの男は口ではわからない人間でちゅ!そのゴーレムを救いたいのでちょう!?早く一緒に逃げなちゃい!!』

hanana『・・ぁっ!・・は・・はぃっ><!!ありがとうございますっ!!!』

 

hananaは我に返るとすぐさまゴーレムの大きい指を掴んだ。


hanana『ゴーレムさん!!逃げよう!!』


大きな体で泣きべそをかいていたゴーレムも怖さと嬉しさが入り混じったひきつった笑顔で応えている。

『・・・・ゴッゴッ・・・グワフグ!!』

 

ゴーレムの大きく長い手はhananaに先導され、大きな足音を立てて街中に消えてゆく。

 


ズシーン! ズシーン! ズシーン!


hanana『こっち!!』

『ゴンゴッ!!』


ズシーン! ズシーン!

 

その逃げる姿からエビちゅへ視線を移した男は体制を建て直し、エビちゅへ睨みをきかせている。

 

男『なんなんだ!!てめーらぁ!!』

エビちゅ『あなたがあのゴーレムを飼っていても虐待になるだけでちゅね( ̄ω ̄ )それをあの少女は悟ったのでちょう』

男『うるせぇ!!役立たずは役立たずなりの運命ってもんがあるんだ!!』


エビちゅ『そうでちゅか・・・( ̄ω ̄ )今後のあなたの運命はどうなるんでちょうね』

男『てめぇをぶっ飛ばして新しいペットでも探しにいくのが俺の運命だろうな・・がっはっはっはっ』

 

男が威勢よく指を鳴らし始めると同時に冷静にエビちゅは戦闘態勢に入っている。

 

エビちゅ『戦うつもりでちゅか?・・・知らぬが仏という言葉がありまちゅが・・・知らぬが地獄という言葉はなぜないんでちょうね( ̄ω ̄ )』

男『覚悟しやがれこらぁぁぁ!!!』

 


 


第弐百壱話

2009-06-15 | 本編
エビちゅ『数日前のことでちた( ̄ω ̄ )』

王様『ほむーωー』



~~~~



ファンブルグ西町の商店街に指す赤い日差しは、通る人影をいたずらに長く伸ばしている。

晩食の買い物を済ました主婦や仕事帰りの者たちの帰路の姿も夕刻になればすっかり少なくなっている大通り交差点。


そんな梅雨どきの夕暮れ。
hananaは一足遅れた夕食のおかずのお使いのため買い物に出ていた。




hanana『るんるんる~ん^0^』




肩までかかるほどの大人用の編み籠を前後に思い切り揺らしながら、hananaは弾みながら閉まりかけの八百屋に向かっている。




交差点の曲がり角。同じようにエビちゅも酒場を目的地として歩いており、ふと交差点をみたエビちゅは、一際目立つ少女を目にした。



hanana『るんる~ん^0^』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』



大股開きで行進していたhananaはエビちゅの目の前を横切るようにすれ違う際、エビちゅの強い視線を感じ、顔だけを体の進む方向とは真横のエビちゅへ向け、笑顔で疑問符を頭の上に掲げている。



hanana『・・・・ほよ^0^??』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』


一定時間、その運命的な出会いの瞬間は二人に沈黙の時間を与えていた。

大きく振っていたhananaの手は振り上げたまま固まっており、同じタイミングでエビちゅも立ち止まっている。


hanana『・・・^0^???』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』




すると間髪入れずに目の前の酒場から怒鳴り声が道いっぱいに響いてくるのだった。



『おまえそれでもペットか!!!!』


hanana『ヒッ^0^;』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )?』



固まっていた二人は驚きと疑問で酒場に目を移した。

その怒鳴り声はまだ続いている。




『敵がきても逃げる!!!仕事もできない!!おまえ何の役にもたたないじゃないか!!』

『・・グ・・・グワンゴ・・・』




ドガッ!!!


続けざまに重い衝撃音が


バキッ!!!ドカーーーーーーーーーーン!!!!


そして酒場の開きドアが壊れんばかりの勢いで開いたかと思うと、酒屋入り口に大きな体をしたボルケノゴーレムが転がってくるのだった。



ゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!


『・・・グ・・・・グワ・・』


後を追うようにペット主人らしき男がでてきている。




『役立たずが!!』


ドガッ!!ガシッ!!!バコッ!!


大きな体を丸くしてヘコヘコと謝っているボルケノゴーレムの頭や体を踏み潰すようにその男は蹴りを入れ続けながら叫んでいる。

酒場にいた者も、道歩く者たちも、皆その哀れな状況を横目で見て見ぬ振りをしていた。



ドゴッ!!!バキッ!!!


『グワンゴッ!!グンガッ!!!ガフッ!!』

『おまえ何ができるんだ!?言ってみろ!!』


そんな中、エビちゅも沈黙を守ったままじっと見ており、hananaもまた口を食いしばり泣きそうになりながら見つめている。


エビちゅ『・・・・・・( ̄ω ̄ )』

hanana『・・・ぅ・・・ぅぐぐ・・><』



男は周りの視線など気にせずボルケノゴーレムに向かって足を突き出し何度も蹴り押し、勢いよくまた道路中央へ倒れ転げるボルケノゴーレム。



ドガッ!!!


『・・ド・・ドンガッ・・ゴワンゴ><!!』


ゴロゴロッ・・・ズズーン!!!


重い巨体は地響きを立てて倒れている。




するととうとう我慢できず、hananaは体を大の字をにして泣きながらその男とボルケノゴーレムの間に入るのだった。


エビちゅ『( ̄ω ̄ )!!』

男『・・・なっ・・なんだおまえ!!』



hananaは目に溜めた涙を溢れさせながら男の目の前に立ちはだかり、その先の事などもはや考えずに無我夢中で声を絞りだしていた。


hanana『・・・も・・もぅ・・やめてください><!!!』

エビちゅ『( ̄ω ̄ )!!!!』

男『・・・ガキ・・・そこをどけ・・・』



威迫ある低い声で脅しの一言を少女へぶつけている。



hanana『・・ぅぅ・・いやだぃ><!!!』


男とhananaのやりとりをやや離れた場所で見ているエビちゅも緊張の色を隠せていない。子供には危機管理能力がまだ備わっていなく、浅い経験からは危険予知はほぼないに等しい。

しかし、エビちゅの心の中にはなぜか自身でも解せない安堵感がでていた。


エビちゅ『(・・なんでちょう・・これから少女が叩きのめされるかもしれないこの状況でエビちゅはとても落ちついていまちゅ・・)』


一回りも二回りも大きい男と対峙している少女は、以前男とにらみ合っている。


男『どけぇクソガキぃ~!!!!』

hanana『・・・・フグググ・・ここは通さないでしっ><!!』





第弐百話

2009-06-05 | 本編
ブヒ・・・・ブヒブヒ・・・・

ワンッ!! ワンワンッ!!


ガゥゥゥ~!!ワワンッ!!


ピヨピヨッ・・・・・


ゴワンゴッ・・・ゴッ・・ゴッ・・グワンゴ~!


・・ゴッホゴッホッ


・・・メェ~・・・


ニャー!!グルニャ~ゴ・・・


ヒヒーン ブフルルルルルr


ガルルルルr


・・アオォォォン・・・


所狭しと動物が並び、一日中叫ぶように鳴く動物の声。
ここはファンブルグ城にある軍兵ペット休憩所。

アメルが訓練所の帰りに必ず立ち寄っている場所でもある。



アメル『あぁー(・w・`)かわぃぃなぁ~・・わたしもこんなヌコ欲しいなぁ・・・』


ガラス越しにアメルは一匹の猫を眺めている。



ニャー・・・ニャー



物欲しげに見つめるアメルの視線に明るく応えている猫は、檻の中で元気に跳ねている。


アメル『ははっ(・w・´)ノかわぃぃ~』


ニャッニャッ・・・



『おろーωー?アメルか?そこにおるのはアメルではないか』


猫に夢中になっているアメルの横には、いつの間にか王様もペット見学にきていた。



アメル『あ王様ー(・w・´)』

王様『今帰りか^ω^なんだ?ヌコ欲しいのか?』

アメル『うん(・w・´)人のは余計欲しくなる』

王様『今回の武術大会ではあのスライムを連れてくのかーωー?』

アメル『小山さんじゃなくてもっと強いのいないかなーって(・w・´)あそこにいるヌコとか可愛くて強そうでいいんだけどなーこの前ペットショップいったらさ・・2mGもするんだもん・・高いよー』

王様『ほぅほぅーωー』




エビちゅ『いいのがいまちゅよ( ̄ω ̄ )』

王様『ぉーωーエビちゅも帰りか』

アメル『ぁーエビちゅ乙~(・w・´)ノ』



訓練所からの帰りのエビちゅも隣に大きなボルケノと猫を連れ、いつの間にかペット待機所に来ていた。



エビちゅ『王ちゃま。こんなところにいたんでちゅね。話があるんでちゅよ( ̄ω ̄ )』

王様『なんじゃーωー?そのボルケノ預けんのか?』

エビちゅ『このボルケノは、エビちゅのマネージャーでちゅ( ̄ω ̄ )あげれまちぇん』



王様はそう聞きながら視線を落とすと、エビちゅの足元に一匹の猫がいることに気づくのだった。



王様『おろーωー?猫ちゃんもおる。かわいいのぉ(*´ω`*)』


無防備に近づいた王様の顔は猫の制空権に入り、避ける間もなく爪攻撃の餌食になってしまっている。



フーーーーヾ(`-´=)~ バリバリバリ


エビちゅ『王ちゃま( ̄ω ̄ )強暴だから近づくと危ないでちゅよ』



時既に遅く、王様の顔は猫の爪跡が何本も残っている。


王様『早く教えてほしかったな・・・ーωミ;』


エビちゅ『アメルはペットいないんでちゅか( ̄ω ̄ )?』

アメル『うーん・・いないと言えばいないし・・いると言えばいるんだけど・・(・w・`)』

エビちゅ『この猫を飼いまちゅか( ̄ω ̄ )?』

アメル『えぇー(・w・ノ)ノいいの?』

エビちゅ『エビちゅはこのマネージャーがいまちゅから( ̄ω ̄ )』

アメル『おぉー(・w・ノ)ノなんという展開!!ありがとー!!』



凶暴であるはずの猫は一通りの話の内容がわかったのか、まっすぐにアメルに駆け寄りアメルの足に頭をすり付けじゃれている。


アメル『あはは(・w・`)かっわぃぃ~』

王様『・・・・なぜわしと対応が違うのか・・・疑問じゃな・・ーωミ;』




エビちゅは早速アメルに懐いている猫を見て安心した面持ちで王様に視線を再び投げた。



エビちゅ『・・で・・話なんでちゅが( ̄ω ̄ )』

王様『ほむほむ・・・どうしたんじゃーωミ』

エビちゅ『今度開催される武術大会の出場資格なんでちゅけど、年齢制限てありまちゅか( ̄ω ̄ )?』

王様『特にはないと思うが・・ーωミ』

エビちゅ『一人参加させて欲しいものがいるんでちゅよ( ̄ω ̄ )』

王様『ほぅほぅ・・エビちゅ推薦か・・ーωミ』

エビちゅ『実は・・もう少しで覚醒しそうな人物がいるんでちゅよ( ̄ω ̄ )まだ4,5歳でちゅけどね』

王様『若いのぉーωミ;大丈夫なのか?』

エビちゅ『まぁ聞いてくだちゃい( ̄ω ̄ )』



エビちゅは、背後に静かに立つボルケノゴーレムを見上げながら話し始めるのだった。






第壱百九拾九話

2009-05-05 | 本編





・・・・チャプン・・・・・

 

・・・・・・チャポ・・・・

 

心地よい湯煙でいっぱいになったファンブルグ軍専用女風呂。決して豪華な作りではないが、その風呂場の広さは一度に80人程入れる大きな作りでできている。


まだ昼の刻。
ちょうどいい湯加減に酔いしれているのは、昼時というあえて時間をずらした風呂に入るのを日課とした、日々の戦や巡回で汗を流したりんである。

 

りん『・・・ふぅ・・・(*´▽`*)』

 

肩まで湯船につかり、ほんのりとピンク色になった頬には小粒の汗がいくつも出てきており、つむじで束ねる普段見せないその髪型は、汗を滲ませた色っぽいうなじを出していた。


夜になれば巡回や訓練を終えた女兵士たちで混雑しており、時間帯をずらせば一人占めできる事を知っていたりんは、今日もその大浴場でこの上ない開放感を味わっている。

 


・・・チャンプン・・・


・・・・・・・チャポン・・・・

 

湯船の水面を見れば、壁高くにある窓からの太陽の木漏れ日を乱反射し、夜には見ることのできない、透き通ったきれいな湯の底を映し出している。

 

りん『・・・・・・気持ちいい(*´▽`*)』

 

 

ふと気がつくと、りんは自身を叫び呼ぶ声が聞こえてくることに気づくのだった。

 


『り~ん!!り~ん!!』

 


『り~ん!』

 


りん『ん(*´▽`*)?なんだろ・・』

 

 

ドンガラガッシャンッ!!!

 

浴室のガラスドアを隔てた着替え場所にて何かをひっくり返す音が聞こえる。

 


りん『(*´▽`*)?』

 

突如大きな音でそのドアが開き、思いもよらない人物が飛び込んでくるのだった。

 


バンッ!!!


王様
『り~ん(○Д○♯)大変なんじゃ!!
武術大会がトカマク主催でやるr・・・・』



いつも以上に目を見開いているその王様の視線は確実に水面の中に、湯船にて歪ませたりんの体へ向けられている。

 


王様『・・・・・ぉぉ(○Д○♯)』

りん
『きゃぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁ><!!!!』

 


咄嗟に足を強く交差して胸を両手で抑えるりん。

 

りん『痴漢変態外道し●ぇぇぇぇええええぇぇぇぇ!!!!』

 

 

バシャッ!!!!

 

水面から飛び出たりんは、胸を抑えながら渾身の頭突きを王様の鼻に食らわした。

 

バコッ!!!!

 

王様『がふっ・・・・(▽Д▽♯)』

 


頭突きの殴打によるものなのか、何某かの理由により鼻血を噴出させた王様は、直立した姿勢のまま後ろに倒れこんでいく。

 


りん『うぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉ(*`▽´*)』

 


理性を失ったりんは、そのまま王様にありとあらゆる打撃を食らわせ、足首に忍ばせていた矢を王様に突き立てた。

 

バキッドゴッ!!

ドスッ!!ビシッ!!!

バコッ!!!

グサッ!!!!

 

王様『・・・・・・ぐへ・・ぶはっ・・・←(○Д●♯)ー』

りん『・・・ふぅ・・・はぁ・・・ぜぇ・・はぁ・・。』

 


意識を失う寸前に王様は一言漏らすのだった。

 


王様『・・・わ・・しの・・予想は・・・りんの・・優勝・・じゃな・・・すさまじぃ打撃じゃ・・・ガクッ・・・・←(○Д●♯)ー』

りん『・・フ・・すけべじじぃが・・・思い知ったか・・・(*`▽´*)』

 

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・

 

 

数時間後。
いつもの第一連隊の溜まり場。
一同は巡回に出発する用意をしている。

 

オムー『アメル!この前鉢巻欲しいって言ってなかったっけか=ω=.?ほら、やるよ!この前特売してたから』

アメル『おぉー(・w・´ノ)ノいいの?ありがとー』

 

スネ当ての防具の留め金をとめているクルスはやや遅れて来たりんを発見した。


クルス『お(゜Д゜ )りんが来た』

 

 

立腹した表情で待ち合わせ場所に来たりんに誰もが気づいている。

 


りん『・・・やっほ・・・みんな(*`▽´*)ノ』

アメル『・・ゃ・・・ゃっほ・・(・w・´;)ノ・・・りん・・・なんかあったの?』

りん『さぁ、別になんでもないけどね(*`▽´*)』

 


すると遅れて来たのはいつも巡回に同行する王様である。
その顔には青アザが残り、大きなタンコブもできていた。

 

王様『・・・・こ・・こんにちはじゃ・・・・←(ーω●;)ー』

クルス『ちょ・・・・王様・・頭に矢が刺さってるぞ(゜Д゜;)』


 

王様はクルスの驚く質問に落ち着いた演技で答えており、平静を装っている。

 


王様『・・そ・・・そうか?・・・気のせいじゃろ←(ーω●;)ー』

アメル『・・・さては・・・・(ーwー´;)』

 

 

身支度をしていたオムーも王様の姿に二度見して驚いている。

 


オムー『ぬわっ・・・王様アザあるぞ=ω=.;どっか戦に行ってきのかぉ?』

王様『あぁ・・このアザか・・・・風邪気味だからじゃないか?・・・←(ーω●;)ー』

クルス『風邪でアザはできねぇよw』

アメル『・・・王様・・またりんになんかエロいことしたんでしょ(ーwー´;)?』

オムー『またかぉ=ω=.;懲りねぇなぁ・・・』

王様『ゴッホッゴッホッ・・な・・何をいっておる・・紳士なわしがそんなことするはずないじゃろ←(ーω●;)ー』

りん『そうよね(*`▽´*)王様は紳士だもんね~』

 

王様は話題を変えようと、必死に国内イベントの話しを持ち出すのだった。

 

王様『そうじゃ・・・大切な知らせがあるのじゃ・・・みんな真剣に聞いて欲しい←(ーω● )ー』


 

その顔は今までにない神妙な面持ちで言っており、一同に大きな緊張を出させていた。

 


オムー『ん=ω=.?』

クルス『大切な知らせ(゜Д゜ )?』

アメル『話を変えるスキルは高いな・・・王様・・(-w-´;)』


 

王様『実はじゃな・・・軍総指揮官のトカマクが次回の国内イベントで武術大会をしようと言ってきておるのじゃ←(ーω● )ー』

オムー『なにぃ=ω=.!!!』

クルス『おもしれぇ(゜Д゜ )!!!そういうの好きだぜ!!俺!!!』

アメル『武術大会(・w・´ノ)ノ!?』

りん『・・・・わたしはあえて王様と1対1で戦いたいわ(*`▽´*)』

王様『掛け金なども算入するとじゃな・・・優勝賞金はなんと200mGになるのじゃ←(ーω● )ー』

アメル『完全にスルーしてる・・・(ーwー´;)』

 


オムー『に・・・・二億円相当だぞぉぉぉおいぃぃwすごいなぁw』

クルス『俺はそんなことより戦いに興味があるがな(゜Д゜ )』

アメル『200mGあったら・・・プリンがいくつ食べれるんだろ(´‐`)』

りん『200mG!?・・・すごいわね・・・』

王様『参戦予定なのは、ほとんどが軍兵士じゃからな・・・・まぁほとんどおみゃーらが残ることは必然じゃろ←(ーω● )ー』

 


心躍らせて王様に質問をぶつけてきているクルス。

 

クルス『王様(゜Д゜ )!!それはいつ開催なんだ!?』

王様『トカマク曰く5月17日を予定しているらしいのぉ←(ーω● )ー』

クルス『おぉ(゜Д゜ )もうすぐじゃねぇか!』

アメル『(゜w゜*)ワクテカ!!!わたしのプリンはもうすぐ目の前に・・・ん・・ちょっとまってよ・・・クルスくんも出るの?』




にわかに起った不安な気持ちの顔を顕に出し、アメルはクルスに問うている。




クルス『あたりめぇじゃねぇかよ(゜Д゜ )!!!よぉ~しっ!!俺の強さっ!試してやるっ!!』

アメル『・・・まいっか・・・準優勝でもプリンたくさん食べれるかな・・(ーwー´;)』

 


王様『で・・おみゃーら全員出場ってことでよいのだな?←(ーω● )ー』

アメル『もちろんです(-w-´)ゝ』

クルス『あぁ(゜Д゜ )出させてくれ』

オムー『出てみるかな・・=ω=.』

りん『出場するわ^^(200mGあれば・・・あの服も・・・あのレストランにも・・ウフフ(*´▽`*)』

 

第一連隊の主要メンバーの参戦が決定した。
参加人数は腕に自慢を持った伝説の獅子を始めとした強豪が参戦して来ることは必然。いったい、どのような戦いが繰り広げられていくのだろうか。








第壱百九拾八話

2009-05-04 | 本編

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ここからのBGM。
http://www.youtube.com/watch?v=IfhGLk4-V3c
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『はなちゃ~ん』


雲ひとつない青々とした空の下、心和ましい声が花畑に響く。

買い物に来ている母親は、生鮮食材を選びながらしきりに後ろにいる子供を気にしていた。育ち盛りの子供から目を離さずに買い物をするのは難しい。


『はなちゃ~ん!こっちいらっしゃい!』


その母親の心配など露知らず、八百屋前の花畑ではしゃいでいるまだ幼い少女。


『キャッキャッ^0^』


八百屋の主人もはしゃぎまわる少女を心配そうに見つつ、自慢の野菜を売り込んでいる。

 

八百屋主人『このキュウリはね・・・t』

少女『キャーーーーーー^0^!!』

 

悲鳴にも聞こえる抑揚の効かない少女の楽しげな声は、八百屋主人と母親の目を何度も向かせていた。

 

母『はなちゃん!!遠くに離れちゃだめよ!』

八百屋主人『・・・・一番可愛いさかりだねぇ(゛^Д^゛)』

 

畑からの直売をしている八百屋では、気持ちのいい太陽の下での収穫作業があり、それが故に毎日さらされた顔は真っ黒に日に焼けていた。

少女の元気な姿をみるその顔の深いシワをさらに深く刻み込み、満面の笑みで微笑んでいる八百屋主人。

 

母『ちょっと目を離すとどこかいっちゃうから心配で^^;』

八百屋主人『元気が一番ですよ(゛^Д^゛)』

 

少女『マーマー^0^ノ!!』

母『・・・じゃぁそのキュウリも頂くわ^^』

八百屋主人『はい承知しました(゛^Д^゛)これはおまけです』

 

八百屋主人は、ミニトマトが6つ入ったパックをサービスで袋にいれている。

 

少女『マーマーーー><!!』

母『あら^^ありがとう』

 

自身が呼ばれても気づきもしない少女は、一度でも母親を呼び受け答えがないとカンシャクを起こして金切り声で叫ぶ。

 


少女『マーーマーーーー><!!!』

母『はいはい^^;なぁに~?』

少女『ダンゴ虫さんいるよ^0^ノ!!ほら!!』

 

八百屋からやや離れた花畑でこれ見よがしにダンゴ虫を手に取り、母親に見せている。

 

母『はいはい^^遠くに離れちゃ駄目よ』

 

 


・・・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 


コツコツコツコツッ・・・・・


コッツッ・・・コツコツッ・・・・・

 

500人程の席がある広い講演場にて黒板とチョークのぶつかり合う音が鳴っている。ここは聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院。ファンブルグ国内でも有数の進学校である。

入学生への一講師としての歓迎の言葉とリードブルース論などの技巧論、魔法の歴史などの講義を受け持っているのはファンブルグ軍専属傭兵のエビちゅだ。

 

エビちゅ『・・・したがって、自己の脳波をあやちゅることから魔法の根本的な作用をゼロからちゅくり直していくわけでちゅ( ̄ω ̄ )』

 

新入生だけではない、在校生も時代を覆す貴重な魔法論であるリードブルース論という画期的魔法について学びたいが故、席は全て埋まり、後部座席のうしろにも何十人もの生徒や他教授らが聴講していた。

 

エビちゅ『・・ここまでで質問はないでちゅか( ̄ω ̄ )?』

 

遠慮がちに、後部座席後ろに立つ教授が一人手を挙げている。

 

エビちゅ『そこ( ̄ω ̄ )いいでちゅよ』

『124ページでおっしゃっていた脳波を操るというのは・・・・その・・・自己の精神限界論を唱えた折衷説を排他的に捉えていると考えてよろしいのでしょうか・・』

エビちゅ『・・・・なるほどでちゅ・・・そこの説明をまだしてまちぇんでちたね( ̄ω ̄ )わかりまちた・・今回の講義枠では説明しきれまちぇんので、そこの部分だけ次回講義にさせてくだちゃい』

『はいっお願いします』

 

エビちゅ『他に質問がなければ、リードブルース論については今日はここまでにちて・・・次に伝説のちち(獅子)について講義しまちゅ( ̄ω ̄ )130ページを開いてくだちゃい・・・・・・』

 


・・・・・・・・・


・・・・・


・・

 


少女とその母親は買い物を終え、二人は帰路を歩いていた。


少女『ラララーラーラー・・ラララーラーラー・・ラララーラーラーラ・・ラララー・・^0^』

母『なぁにその歌は^^』

 

少女『この前ねっ園長先生が歌ってくれたの^0^ハナの大好きな歌だよ^0^』

母『へぇ~^^』


すると二人の目の前に、一本の萎れた草花が目に入ってきていた。

 

少女『・・ぁ・・・なんでここだけお花枯れてるの?』

母『あら・・・そうね・・犬がおしっこしたりすると枯れてしまうことがあるからね^^;』

 


歩を進めようとした母親をそのままに、少女は母親と手を繋ぎながら萎れた花の前に立ち止まり、悲しげな顔でみつめている。

 

母『はなちゃん、何してるの?』

少女『・・・かわいそう・・。』

 


母親は空を見上げ、薄黒い雨雲が遥か遠くにあるのを見つけて眺めている。

 

母『・・・明日は雨かしら・・洗濯どうしましょう^^;』

 


・・・・・・・・・

 

・・・・・


・・

 

エビちゅの講義はまだ続いていた。


エビちゅ『・・・・これがエンドルフィンという脳内麻薬なんでちゅね( ̄ω ̄ )一流のスポーツ選手、修行僧、余命を宣告されるなどの苦悩を抱えたひとの脳内に、ある一定の条件を伴うと発生するものでちゅ』

 

伝説の獅子による講義は前代未聞であり、それを聞き逃さまいと長い講義にも関わらず必死に生徒や教授陣は耳を傾けている。

 

エビちゅ『しかしでちゅ・・・・これを何の苦もせずにできてしまう人種がいまちゅ・・・・それが伝説のちち(獅子)と呼ばれる者たちのことでちゅ( ̄ω ̄ )言わば天才でちゅね・・』


左右に10mほどある長い黒板もめいっぱいにエビちゅの板書で埋め尽くされていた。

 

コツッコツッ・・コツコツコツコツッ・・・

 

エビちゅ『そして公には、いまだにクレリック・・回復魔術師として、伝説のちち(獅子)を名乗る者はいないでちゅね( ̄ω ̄ )・・そこのあなた・・・・156ページから読んでくれまちゅか?』

 


エビちゅは、最前列に座る生徒を指し示した。


生徒『・・ぁっ・・は・・はいっ・・・』

 

500人以上の人が聞き入っている為か、その生徒は緊張気味に声をうわづらせながら読み始めている。

 


生徒『・・コホンッ・・・・19××年現在では、回復魔術師として伝説の獅子と呼ばれるものは現れていない。これは・・・一説では・・・・

 

 


・・・・・・・

 

・・・・


・・

 


萎れた花を悲しげな顔をしてみつめているその少女。
母親が空を見上げている最中、少女は目を瞑り、片手を花にかざしている。

少女『・・・・・お花さん・・元気になって・・・・』

 

すると・・

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hanana編オープニングBGM。
http://www.youtube.com/watch?v=4YbuKaQVDrE
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茶色い葉や茎は徐々に明るみを帯びたきれいな緑色に変化していく。

崩れ落ち欠けていた葉は驚愕すべき速さで再生し、みるみるうちにその萎れた花は生気を取り戻していくのだった。

 

 

 

・・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

生徒『常人を遥かに凌ぐその集中力により、魔方陣を自らの周囲に自然に形成させており、手をかざせば、目の前にある生物は自然治癒力を数百倍に膨れ上がらせてしまうと予想される。

伝説の獅子は、僅かしか使われていない人間の能力をほぼ100パーセントまで活性させ、内に秘めたるその力はもはや自然界に生きる人間が測定できるものではない。

その類稀な心技体により昇華された技術は、晴天の霹靂のごとく大地を揺るがし、その国を守るであろう。

生まれ持ったその力は自身に気づかせるきっかけさえあればよいと言われている。それは、今までにいた強靭な体力をもつアメル一等兵や剛力を制するクルス特別兵などをはじめとした伝説の獅子に通ずるものがあり・・・』

 


・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・


母『はなちゃん^^もういきましょう。雨が降るといけないわ』


雲行きを心配していた母親はふと足元をみると、我が子が一本の綺麗な花の前ではしゃいでいることに気づくのだった。


母『・・・・ぇ?』


先ほどまであった一本の萎れた花は見つからない。

 


母『・・・はなちゃん・・・今・・ここにあった枯れたお花は?』

少女『元気元気^0^ノ』

 

左右の足を交互に地面につき、はしゃぎ飛んでいる少女。
間違いなく枯れていた花は生気を取り戻していることに母親は解せない表情でいっぱいである。


母『・・・はなちゃん・・・今ここで・・・何か不思議なこと起きなかった?』

少女『・・・ふしぎなこと^0^?なんにもないよ』

母『・・・・・・。』

 

・・・・・・・・・・

 


・・・・・・

 

・・・・

 

 


エビちゅ『・・今日の講義はこれでお仕舞いでちゅ( ̄ω ̄ )いまだにいない天才回復魔術師・・・・そろそろ時代的にも出てもおかしくはないとエビちゅも思いまちゅ・・・・

この500人近い生徒たちの中にいるのか・・・それともどこかで既に産声をあげているのかわかりまちぇん・・いずれ時代がそれを教えてくれるでちょう』


 


キーーーーン コーーーーーーン

カーーーーーーーーーン コーーーーーーーーーーーン

 

魔法学院の独特な講義終了の鐘の音を背に、エビちゅは颯爽と講義室をあとにしている。

 

時の人と呼ばれる伝説の獅子。
確実にその少女が歩み始めていることは誰も知る由も無い。




 


第壱百九拾六話

2009-04-28 | 本編


 


オムー『とまぁこんな具合だったかなぁ・・・・=ω=.』


さっちゃん『おもしろかったぁ~』

ヌコル『いい話でした^^』

クルツ『感動した・゜・(ノД`)・゜・。』

 


hananaは隣に座るエビちゅの裾を持ちながら、エビちゅには滅多にない照れ臭くなっている顔を眺めている。

hanana『エビちゅ・・・^-^』


オムー『いい話だぉ=ω=.』

王子『思い出すのぉ^ω^』

 

エビちゅ『ゲフッ( ̄ω ̄*)』

 


照れ隠しのようにエビちゅはゲップでおどけているようにも見えている。

その様子が目に取れてわかったりんは下にうつむきながら、上目遣いでエビちゅの表情をみつつ、ほくそ笑んでいる。


りん『・・・(*´▽`*)』

ハプティ『そういえばエビちゅ魔法で若返ってたんだね(・w・´;)』

エビちゅ『永遠に18歳でちゅから( ̄ω ̄*)』

王様『それはそれで問題じゃろーωー;』

 

一人まだ食べ終わらず、咀嚼筋をこれでもかと動かし続けている透くん。

 

透くん『・・モグモグ・・・・』

ハプティ『透くんまだ食べてたんだねw』

 

クルツ『クルス兄ちゃんもここにいたらなぁ~(´・ω・`)』

hanana『今何してるんだろう^0^』

メイド『まだ12時ね・・もう一人くらい昔話いけそうじゃない?』

 

一同の視線がキャビン食卓にある置き時計に目がいく。
時計の針は夜の12時をまわっていた。


りん『そうね^^』

オムー『次は・・はなたんの話しかな=ω=.』


まだ寝ずに次の昔話にいくと決まると一斉にテンションが上がるまだ幼いクルツたち。


クルツ『(゜∀゜*)ノヒャッハー!はなちゃんの話聞きたいぃ~!!!』

さっちゃん『聞きたい聞きたいぃ~^^ノ』

 


hanana『hananaのお話はスルーしてください^^;(滝汗』

王様『ふぉっふぉっ(*´ω`*)そうはいかんぞよ』

エビちゅ『この話はエビちゅがしまちょう( ̄ω ̄*)』

hanana『恥ずかしいノ-ノ;』

 


ハプティ『待って飲み物とってくる(・w・´)』


ハプティは自身の食べ終わったお皿などの洗い物を持って立ち上がり、台所に向かっていく。

 

王様『ハプティーωーノわしに茶をくれい』

ハプティ『はいは~い(・w・´)』

クルツ『ぼくも麦茶とってくる~\(^O^)/』

オムー『俺はトイレいってくるぉ=ω=.』

りん『あっわたしも・・・』

 

各自が次の昔話を聞く体勢を整えている中、hananaは自身の話が始まるとのことで食卓に座ったまま緊張は隠せていない。

 

hanana『・・・・ぅ~・・・わたしどんな感じで入ったんだっけ・・><』

王子『なんだhanaちんは忘れてもうたのかーωー?』

hanana『はい~^-^;ねぇエビちゅ!わたしの話サラァ~って流してよ』

エビちゅ『わかりまちた( ̄ω ̄*)』

 

ほっと肩を撫で下ろすhananaを横に、エビちゅは一升瓶のいいちこを喉を鳴らして飲んでいる。

 

エビちゅ『・・グビッ・・グビッ・・おもいっきり詳細に語りまちょう( ̄ω ̄*)』

hanana『わかってないTT』

 

すると続々と用を済ませて入ってくる者たちは、
次なる話を楽しみにした笑みをこぼしながら着席し始めていた。


hanana『・・ドキドキ・・・ーー;』

 

着席した一同。
ある者は前準備となる咳払いを、またある者は椅子をエビちゅの方へ向け、万全の態勢で視線を送っている。ハプティが王様の湯のみにお茶を注いでいる音は、その静かな船内キャビンに驚くほど際立ち鳴っていた。


コポコポコポコポ・・・・

 


王子『すまんのぉーωー』

 

皆の視線がエビちゅに集まり、その視線を感じたエビちゅはおもむろに話し始めるのだった。

 

エビちゅ『エビちゅがファンブルグ軍の傭兵として雇われて暫くしてからの話しでちゅね( ̄ω ̄*)』

 

まだ若いクルツやさっちゃんはテーブルに身を乗り出し、エビちゅの話しに耳を傾け聞き入っている。

 

クルツ『・・・・( ゜д゜)』

さっちゃん『・・・・・。』


エビちゅ『・・・時期でいうと・・梅雨頃だったでちょうか・・( ̄ω ̄*)』

 


次回  ~回想の章(hanana編)~

 

 


第壱百九拾五話

2009-04-14 | 本編



エビちゅ編エンディングBGM。
http://www.youtube.com/watch?v=SiFhjqeEvcE
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

今までにない想像を絶する激しい戦いが繰り広げられたチプスタの合戦は、出兵していた兵員の半数を代償に、見事ファンブルグ軍が勝利を手にするのだった。


あれから数日が経った今でも、ファンブルグの町並みでは死者への弔いと降伏勧告を凌いだ安堵の顔があちこちで見受けられている。


気持ちのいい春風が吹き、剛腹に自身の全てを投げ捨てて美を表現している桜たち。守るべきものの為に命をかけていった兵士たちへ捧げているかのように、散った桜が道々へ積もっている。

 

無事生き残って帰ってきたりん達も今ある生を噛み締めながら、いつものファンブルグ集会所にて巡回前の会話に花を咲かしていた。

 

アメル『あぁー(・w・´ノ)ノ!!オムさんとうとうペットを~!!』

オムー『赤サボだぉ=ω=.ノ』

 

オムーの隣にいるのは赤サボテン。
プラント系のペットであり、4種あるうちのファイアーダンサーと言われている種別である。

オムーの腰丈まである大きなサボテンは真っ赤な体全身に針を携え、高い鼻をもち、目つきはするどい。

真っ赤な色から性格は熱血に違いないという世間の思い込みに対する反発からか、その一族にはクールな者が意外と多い。

 


赤サボテン『キキッ(`◎´)』

りん『かわいい(*´▽`*)!』

オムー『結構こいつ頭いんだぉ=ω=.ノ』

クルス『はは(^Д^ )かわいいじゃんか』


胸を張って威風堂々と立っている赤サボテンの額には、オムーのつけていたミサンガが鉢巻のように巻いてある。
かつてオムーの入軍テスト前にアメルからもらったミサンガ。
アメルもそれに気づくのだった。

 

アメル『(あ・・・わたしがあげたミサンガだ(・w・´))』

クルス『名前はなんていうんだ(゜Д゜)?』

オムー『まだ決まってないんだぉ=ω=.;どうすっかな・・・』

りん『あれ・・・王様は?』

アメル『今日は巡回一緒にいかないのかな(・w・´)』

 


・・・・・・・・・・・

 

・・・・・

 


・・・

 


60年前のあの日と変わらない。
春の足踏みを桜の吹雪と共に感じられる桜の並木道。

王様は母校である聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院にきている。

校庭で一番大きな桜の木。
エビちゅと王様、二人はその横に深い穴を掘り、タイムカプセルを記念に埋めていたあの場所。


王様『・・・・・・・・ーωー』


するとなぜかその桜の木の横の土の色が変わっており、まるで誰かが掘り返してしまったかのようにその土は目立っている。
王様はお城からもってきたシャベルを片手に、掘り返し始めた。


ジャッ・・・ジャッ・・・・

ジャッ・・・・・・・ジャッ・・・・


思ったよりそこの土は柔らかい。

 

ジャッ・・・・・ジャッ・・

 

かなり奥深くまで彫ると、そこには昔のタイムカプセルらしき物が見えてくるのだった。球体の二つに開けられるそのカプセルの中には60年前の記念の手紙が入っている。

 

王様『のほ^ω^あったあった・・・』


王様はカプセルから土を落としながら、開けてみると・・・

 

パコッ・・・・

 

真新しい手紙が入っているのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  王ちゃまへ


 一足先にエビちゅもここに立ち寄りまちた

 原点はこの学校でちたね・・来ると思ってまちたよ

 面と向かって言えないので手紙にしまちた


 再起のチャンス ありがとうでちゅ
 
 そしてこれからもよろしくでちゅよ( ̄ω ̄ )


                 エビちゅより
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

王様『・・・・・・pωー』

 

ピンク色の花びらでいっぱいに埋め尽くされている校庭。
何年も立ち続けているその大きな木は、今も王様たちを見守ってくれている。

 

 

・・・・・・・


・・・・

 

・・

 


ファンブルグ中央通りでは、エビちゅはまたも子猫に餌をやっていた。

 


エビちゅ『おいしいでちゅか( ̄ω ̄ )?』

子猫『ミィッ!ガプガプッヾ(^~^=)!』

エビちゅ『世の中も捨てたもんじゃないでちゅよ( ̄ω ̄ )めげちゃいかんでちゅ』

子猫『ミィーヾ(^-^=)』

 


  ~回想の章(エビちゅ編)~  完









第壱百九拾四話

2009-04-11 | 本編



 

砂ぼこりがまだ止まぬ中、りん達はファンブルグ軍のごくわずかな生き残った兵士たちとチプスタの大地に呆然と立ちつくしている。

 

トカマク『・・・助かったのね・・』

りん『・・・・勝った・・・。』

クルス『・・・・・(゜Д゜)』

オムー『・・・・・=ω=.;』

アメル『・・・すごぃ・・(・w・´;)』

王様『・・勝ったんじゃな・・・・ーωー;』

 


何もかも吹き飛ばした広い大地にいた彼らの視線は皆エビちゅに集まった。

 

エビちゅ『・・フゥ・・・多少の犠牲は目を瞑って欲しいでちゅ( ̄ω ̄ )』

王様『・・・しょうがあるまい・・あのままではわしらは全滅しておったーωー』

アメル『そだよ(・w・´)ノ』

クルス『情状酌量の余地ありってことか(゜Д゜)』

りん『ありがとう^^・・エビちゅ。名誉勲章ものなんじゃない?』

 

 

王様はあえてエビちゅから視線をはずし、遠い空を見つめながら語りかけた。

 


王様『エビちゅよ・・・昔からわしが言っていた言葉・・覚えておるな?人生の半分は運命じゃーωーそしてその半分は己の努力でどうにでもなる。』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』

 


クルス『・・ぉ・・このパターンは・・・・(゜Д゜)』

トカマク『仲間になるパターン到来ね^^』

オムー『王様が語りだした=ω=.』

アメル『アメさんこの光景何回見たことか(・w・)もう慣れっこなのサ』

りん『^^』

 

王様『才能は眠らせていては損じゃーωーその魔法・・・ぜひファンブルグ軍として、いや・・・よき世界にする為の力として役立てて欲しいーωー』

 

そして王様はエビちゅへ視線を戻し、力強く言うのだった。

 

王様『エビちゅよ^ω^また共に歩んでいこう』

 





エビちゅ
『断る( ̄ω ̄ )!!』

 


りん『ぶwはwwwwwwポーン(  Д )⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒...。....。コロコロ』

王様『 ・・・・(゜▽゜;)』

アメル『うん(ーwー´)今までにないパターン到来だね』

オムー『断られた・・・=ω=.;』

 


王様は一瞬立ちくらみを起こし卒倒しそうになるが、バランスを崩したところで正気に戻り、大地を蹴るようにまた直立した。

 

王様『・・・・フ・・・・そ・・そうかーωー;』

エビちゅ『ファーレンの・・・王ちゃまの元では働きまちぇん( ̄ω ̄ )ビシッ!』

クルス『もったいねーなーその力を封印か(゜Д゜)?』

エビちゅ『ただ・・・傭兵としてなら雇ってもらって構いまちぇんよ( ̄ω ̄ )』

王様『おぉ^ω^!!そういうことか!!』

りん『^^』

エビちゅ『日給1mGぐらいで手を打ちまちょう( ̄ω ̄ )』

王様『・・・・ま・・細かい話は追々話し合っていこうじゃまいかーωー;』

 

するとりんは、また共に戦うかもしれぬエビちゅに皆の自己紹介を始めようと
話し始めた。

 

りん『そっちに立っているのがトカマク様^^軍の総指揮官にあたるわ。わたしも師と仰いでるの。』


トカマクはにこやかな顔でりんからエビちゅへ目を送り、会釈している。


トカマク『あなたも伝説の獅子の一人なのね^^もちろん情状酌量よ』

エビちゅ『・・・・あなたが王ちゃまを守る軍の指揮官でちゅか( ̄ω ̄ )守るばっかりでなくイタオの土地をエステンブルグからぶん取って欲しいでちゅね。あそこには美酒<いいちこ>の原料の大麦がたくさんありまちゅから。』

トカマク『はは^^;前向きに善処するわ・・』

王様『ファンブルグは侵略はせんぞーωー;』

 

りん『それでその隣に座っているのがクルス^^特攻員、豪腕、剣豪・・・いろんな称号をもってる剣士よ。仲良くしてあげてね。』

 

クルスはエビちゅに近づき、さっと手を差し出した。

 

クルス『俺はクルス(゜Д゜)よろしくな』

 

まっすぐと見つめるクルスを交わすようにエビちゅは目を逸らしながら握手をしている。

 

エビちゅ『・・・( ̄ω ̄ )』


りん『そして彼がオムー。剣と魔法を使う魔法剣士よ^^』


頭を掻き、照れ臭そうにオムーは挨拶をしている。


オムー『よろしくだぉ=ω=.・・もし良かったらリードブルース魔法の教授頼むぉ』

エビちゅ『断る( ̄ω ̄ )』

オムー『・・・・=ω=.;』

 

りん『それで・・その隣にいるのはアメル^^プリンが大好きな子。』

アメル『ちょwわたしもかっこいい紹介とかないんすか(;´゜д゜)』

りん『あっそうよね^^;えっと・・・いつも最前線で戦う壁兵士よ』

 


アメルもエビちゅへ向き直り、胸を張って自己紹介をした。

 

アメル『まぁ・・なんでもわからないことあったら聞いてよ(ーwー´)ビシッ!わかっていれば答えるし、わからなければ答えないからサ』

エビちゅ『・・・( ̄ω ̄ )』

オムー『しごく当たり前のことを言ってる気がするのは俺だけか=ω=.;』

 

りんは肩をすぼめて恥ずかしそうに笑みを浮かべ、最後に自身の自己紹介を始めた。

 

りん『えっと・・・わたしは弓師です(*´▽`*)えっと・・・趣味は・・趣味はお菓子作りで・・・あっショッピングも好きで・・・えっと・・ジェノベーゼピッザが大好きで・・・えっと・・・お酒は・・・・カクテル系で・・・・・あっワインも好き!・・赤ねっ(*´▽`*)!赤ワイン!・・いつも見てる雑誌はキョンキャン・・・・ペットはシトロンていうひよこ・・』

クルス『・・・・もういんじゃねぇか(゜Д゜)?』

りん『・ぁっ・・・・そう(*´▽`*)?』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

一通りりん達の自己紹介を終え、王様は間に入りエビちゅの紹介をしだした。

 

王様『いろんなのがいるってことじゃ・・・エビちゅの自己紹介はわしがするかのぉ・・職はたった今から軍専属の傭兵魔道士じゃ^ω^あの破壊力は見ての通りじゃ!そして彼女はこう見えてわしとタメじゃーωー』

オムー『ぶwwタメ=ω=.;!?嘘付けよ!!どう見たって子供じゃんか!』

 


エビちゅの小さい身長。幼児体系とも言えるスタイル。
肌の艶や張り、声質や話し方から誰もがそう思えていた。

 


王様『さぁわしにもわからんーωー歳を食わんのじゃ』

エビちゅ『リードブルース魔法を舐めるでないでちゅよ( ̄ω ̄ )若さくらい魔法でなんとかなりまちゅ』

りん『魔法なの!?すごいなぁ!』

アメル『もはやノールール(ーwー´)』

 


王様『その魔法わしにもかけてくれんかーωー;?』

エビちゅ『調節が難しいからものすごい若くなる可能性大でちゅよ( ̄ω ̄ )まず赤ちゃん言葉になりまちゅ』

クルス『代償が大きいなw』

りん『だから<でちゅ言葉>だったんだw』

王様『・・・遠慮しとくか・・ーωー;』

 

するとエビちゅは皆に背を向け、やや距離を取った。

 

エビちゅ『それではエビちゅはもう行くでちゅ( ̄ω ̄ )』

王様『もう行くのか(゜Д゜♯)?』

エビちゅ『もし仕事があれば・・・ファンブルグ北町の酒屋に来てくだちゃい( ̄ω ̄ )』

王様『ほむーωーまたじゃ』

 


エビちゅは地面擦れ擦れのマントを翻し、その場を颯爽と歩き始めている。

 

クルス『じゃぁな(゜Д゜)』

アメル『バイバーイ(・w・´)ノ』

オムー『まただぉ=ω=.ノ』

りん『ありがとー(*´▽`*)ノバイバイ~!』

トカマク『ありがとう~!』

王様『・・・・^ω^』

 


また突如現れた伝説の獅子。
一度離れた運命はまた蘇り始めた。

世が正しき道へ移り変わるには必然と要するその力。
運命の道へ軌道修正されたその力は真のベクトルを見つけ出していた。

 

 

りん達から遠ざかる小さな背中は、山よりも大きく見えている。


エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』






第壱百九拾参話

2009-04-08 | 本編



カッ!!!!


ドコォォォォオオオオオオオオォォォーー!!


リードブルース魔法という革命的な詠唱法を編み出し、その最高峰に位置する魔法であるファイナルクラフト。

もはや対人魔法とは言えぬその破壊力はすさまじい。
着弾3キロ周囲に届く光はすべてを飲み込み、灼熱で溶解していき灰さえも残していない。

目に見えぬ速度で爆破の衝撃波はさらに遠方へ伝っていき、5キロ離れた地点にいたファンブルグ軍への衝撃も甚大であった。


人、馬、馬車、大砲、建物や草木、山さえも跡形もなく吹き飛ばしていき、りんたち第一連隊も一瞬にして足元をすくわれ地を失い、上空へ巻き上げられながら吹き飛ばされていく。

 

グゴォォォォオオオオオォォォ!!!

 


りん『ぐはっ><』

トカマク『・・・うっく・・』

クルス『・・・ふ・・ふざけんな・・俺らも・・死んじまう・・(>Д<)』

オムー『アメル・・大丈夫かぁぁ~≫ω≪.!!』

アメル『ぁぅぁ~(>w<´)』

王様『・・・(>Д<♯)』


爆発より5キロ離れた場所でさえ、ある者は爆風にて吹き飛ばされ、またある者は衝撃波に粉砕され息絶えていく。

 

 


かつて粗ぶる魂をその杖にこめ、若干20歳にて己の信ずる道を切り開いてきたエビちゅ。

天才はいつの世も反感を買う。
出た杭は打たれるがのごとく、周囲とは独自の研究を学院内では続けてきた。

しかしいつの頃からか、人々は彼女を畏怖と尊敬の念を込め真の魔道士と呼ぶようになっていくのだった。

真の魔道士。
時に忍耐を、時に探究心を、時に繊細さも要となる魔法詠唱。
戦士とは武器の違いこそあれ、他に変わることは何一つない。

戦士は肉体を酷使し鞭を打つように、魔道士は自身の精神に鞭を打ち、幾度となく繰り返される自らの精神との折衝に打ち勝ち研磨していく。


誇り高き魔道士の美学。
真の魔道の道とは一点の曇りなき生き様なり。

未練や執着とは一切無縁。
戦闘あらば、防御などに囚われない。

一撃に己の全てを託し、解き放つ。
命をかけて放つ攻撃魔法。

時空を超え蘇った魔道士は、この戦いにて新たな物語を生み出したのだった。

 

 

爆発が終わり、辺りは煙に包まれ、何も見えない。

気圧の急激な変化を示すように、風が爆発地点へ流れ込み、砂煙を落ち着かせない要因にもなっていた。

 


想像もできぬ力を持っていたエビちゅを目の当りにしたりん達は、かろうじて生きている。


先程いた場所から数百メートル離れた場所にて、土を被り横たわっているりん達はお互いの生死を確認していた。

 

アメル『・・・コホッ・・コホッ・・わたし・・生きてる(>w<´)?』

りん『・・・ぅ・・ぅ・・・アメルの・・声が・・聞こえる・』

トカマク『・・・うっく・・・・みんな・・・いる?』

 

クルス『・・・ゴホッ・・ゴホッ・・・(>Д<)』

オムー『・・グホッ・・ガホッ・・アメル≫ω≪.!!』

王様『・・ぁたたたた・・・(>Д<♯)』


エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』


暫くし、王様は薄くなりつつある周囲の煙越しに辺りを見渡すと、愕然とするのだった。


王様『・・・・これは(゜Д゜♯;)!!!』

 


地面には半径1キロほどの丸い大穴が出来上がり、流れ込んでいる海水。

遥か上空へ舞い上がった馬車の残骸や息絶え亡くなった兵士たちの屍が地上へあちらこちらに落ちてきている音が響いている。

 

・・ガシャンッ!!


・・・・ドサッ!!!

・・・・・パラパラッ!!!!

・・・・・・・・ドシャンッ!!!!

・・パラ・・・パラパラ・・・

 

エステンブルグ軍はおろか、ファンブルグ軍までも吹き飛ばし、チプスタの大地は何も残っていないのだった。


りん『・・・すごぃ・・』

オムー『・・なんもねぇ・・=ω=.;』

クルス『こりゃ随分綺麗さっぱりとしたなぁ(゜Д゜)』

アメル『ひぇぇぇ(・w・´)』

トカマク『・・・敵兵・・が・・いない・・・』

 

 


第壱百九拾弐話

2009-04-04 | 本編


エビちゅBGM。
http://www.youtube.com/watch?v=cVB0h84JxYs
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





ファンブルグ軍は逃げ惑い、もはやその道さえも確保されていない戦況であった。両サイドからの敵に押され、正面からも本隊が押し寄せてきている。


オムー『まずいぉ!第二師団は全滅してるぉ=ω=.;!!』

りん『クーちゃん!しっかり!!』


トカマクに看護されて上半身をやっと起き上がらせているクルスへりんが一喝を与えた。

 

クルス『ぅ・・く・・すまねぇ・・ゴホッグホッ(>Д<;)』

 


そんな中、エビちゅは敵の攻撃を交わしながら詠唱を続けていた。

 

 

エビちゅ『・・ビスタ・・アエル・・テポラス・・( ̄ω ̄ )』

 

ビビッ!!

バチバチッ!!!

バチンッ!!

 

誰も聞いたことのないその詠唱と光球からの電気音は徐々に大きくなっていく。

 

アメル『すごいエネルギーだ・・・・』

王様『よくみておくのじゃーωーお主ら』

 

クルスは地面に横たわり、トカマクに治療されながらエビちゅの手元を見ている。

 

クルス『このパワー・・・・(゜Д゜;)』

りん『どうやら本物のようね・・彼女も・・・』

 

決して日の目を浴びることのなかった魔法が60年という刻を超えて姿を現す。エビちゅの手の平の上の小さな光の玉に全てが集約されていた。

くだらない蔑みを具現化した子供のイジメ。
名誉を大切にし過ぎてきた学院の理不尽な仕打ち。
力のみを信じ最大のエゴをむき出しにしている侵略国エステンブルグ。

それら全てへの報復攻撃がそのひとつの魔法玉に。

 

エビちゅ『・・・・・さて・・ショータイムでちゅ( ̄ω ̄ )』

 


すると、その光球は音速を超える速さで遥か上空へいっきに飛んでいく。

 

ドヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!

 

りんらは周囲の敵たちと戦いつつ、勢いよく上がったその球を見上げて見ている。

 

王様『・・・エステンブルグめ・・目にもの見せてやるわぃ(゜Д゜♯)』

 

球は音速を超え、衝撃波を発する甲高い音が遅れて地上にいる者たちに響いてきていた。


キーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!

 

衝撃波は雲の形を微妙に変えながら弧を描き、敵右翼へ向かっていき、小さい玉は見えなくなっていく。

粗ぶる周囲の戦闘の声などはあれど、一瞬の張り詰めた空気が周囲を取り囲み、静寂が支配した瞬間。


エビちゅ『バーンクラフト( ̄ω ̄ )!!!』


エビちゅは最後の詠唱を終えた。

 

その時、眩い光が辺りを照らし、遥か離れた右遠方に一瞬にしてきのこ雲が姿を現すのだった。

 

横目でその突如地上にから現れたきのこ雲を見ていたクルスは、治療に専念していたトカマクに諭している。

 

クルス『・・・トカマク・・・伏せた方がいい(゜Д゜;)』

トカマク『え!?』

クルス『あれを見ろ(゜Д゜;)』

トカマク『なに・・・・あれは・・・』

 


遅れて到達したすさまじい爆音。
見る見るうちにそのきのこ雲は大きく膨れ上がっていく。

 


ゴゴォーーーーーーーーーーーーーー!!!

 


オムー『・・・やばいぉ=ω=.;!!!みんな伏せろぉ~~!!』

りん『爆風が来るわ!!!みんな伏せて!!』

アメル『あわわ(ーwー;´)』


ドドドドォーーーー!!!!

 


地上から生えたそのきのこ雲を中心に、右翼エステンブルグ兵らが熱を伴った爆風に弾き飛ばされ、地上から半円球を作り舞い上がっている。


みるみるうちにその無数の敵兵でできた津波がファンブルグ軍たちにも押し寄せてきていた。


ゴゴォーーーーーーーーーーーーー!!!!

 

トカマク『ぅ・・ぐはっ><!!』

クルス『・・・(>Д<;)』

 

小さい体のアメルは他のもの達に比べ、踏ん張ることができていない。


アメル『ぁぅぅ(>w<;)』

オムー『アメル=ω=.;!!』

 

すかさずアメルの手を取り、吹き飛ばないようしっかりと手を握るオムー。右翼エステンブルグ兵だけではない。ファンブルグ兵もその爆発に巻き込まれ、辺りを飲み込んでいる。

 

オムー『半端ねぇ・・・≫ω≪.;!クルス大丈夫か!?』

クルス『・・・な・なんとかな・・(>Д<)』

トカマク『・・一体彼女は・・・何者・・!?』

 

起爆地点より離れていたせいもあり、なんとかその熱風に耐えているファンブルグ軍。遠方にあった山々は崩れ、地形が変わり、地面には海水と思われる水が流れ込んできている。


ゴォーーーーーーーーーー!!!

 


クルス『・・・・山がなくなってるぞ・・(゜Д゜;)』

アメル『・・すごぃ・・・』

りん『・・・敵が・・』

 

りんは右翼側にいた敵、数十万兵が一瞬にして消し飛んでいることを確認した。

 

りん『・・・・吹き飛んでいる・・』

オムー『道が開けたぉ=ω=.;』

トカマク『全軍!!右後方へ退避ぃ~!!!』


エビちゅ『これだけで終わると思ったら大間違いでちゅ( ̄ω ̄ )』


エビちゅは新たに生成された光球をもう片方の手に浮かべており、またもその球も空高くで弧を描き左翼に飛んでいく。

 

ドヒューーーーーーーーーーーーーーーーーン!!

 

りん『もうひとつあるわ!!伏せてみんなぁ~!!』

オムー『アメル伏せろ=ω=.;!!』

アメル『(>w<;)』


そしてまた遠方に到達すると同時にエビちゅの魔法詠唱が終わる。


エビちゅ『フォーンクラフト( ̄ω ̄ )!!!』

 


ドドォーーーーーーーー!!

 

エビちゅ『そしてこれが最後の・・・・』


エビちゅは頭上高くに、光球をいつの間にか生成しているのだった。


りん『・・・・・。』

クルス『・・・・(゜Д゜;)』

オムー『・・・・=ω=.;』

アメル『(>w<´)』

王様『(゜Д゜♯;)!!』



エビちゅ『ファイナルッ!!クラフトォーーー( ̄◇ ̄ )!!!』




第壱百九拾壱話

2009-04-02 | 本編






 

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ドドーーーーーーーン!!!

 

『ぐぁ~!!!』

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドドーーーーーーーーーーン!!!

『退避ぃ~!!』


ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドーーーーーーーーン!!

『退避~!!!全軍退避~!!!』

 


足場がないほどに仲間達が次々と倒れていく中、第一連隊のりん達は前線の本隊の進軍をくい止めている。

 

すると、クルスのすぐ横に敵大砲弾が落下してきていた。

 

クルス『な・・・・なに(゜Д゜;)!!』


ドドーーーーーーーン!!!

 


クルス『ぐはっ(>Д<;)』

アメル『クルスくーん(>w<´)!!』

オムー『のやろぉ=ω=.;!!』

トカマク『衛生兵クレリーック!!!』

りん『クレリック班はもう下がってるわ!!トカマク様!これ使って!!』

 

りんは、なけなしの薬草をクルス隣にいるトカマクに投げている。

薬草は周囲の兵士たちを飛び越え、空高く弧を描くように飛び、トカマクはそれをジャンピングキャッチした。


トカマク『クルス!しっかり!!』


トカマクはクルスの被弾した腹の出血を抑えながら薬草を当てている。

 


クルス『・ガ・・ガホッ!!ガホッ(>Д<;)!!・・す・すまん・・不覚だ・・』

 


非情な程に敵の砲弾や長槍兵の攻撃が続いている。

 

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ドドーーーーーーーン!!!

 

『早く逃げろぉ~!!!』

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドドーーーーーーーーーーン!!!

『退避ぃ~!!』

 

エステンブルグから降伏勧告の意味がわかり始めてきたりん達。もはや逃げる方向も失うほどに混乱を帰している。


軍が逃げ惑い戦う中、小さな背中がりん達の視界に入ってくるのだった。


りん『・・・王様・・・あそこにいるのは・・・』

王様『ぬぉ(゜Д゜♯)!!!』

 

 

オムー『あの背中は・・=ω=.』

クルス『なんだあいつ(゜Д゜)!!この前の逃亡犯じゃねぇか!!
ゴホッ!!ゴホッ(>Д<;)』


留置所逃亡者の姿を見るや否やクルスは怪我した体で起き上がろうとし、出血が夥しく出てきている。


トカマク『クルス!!うごいちゃだめ!!』

クルス『・・ぐ・・くそ・・(>Д<;)』

 

王様は若き日を思い出した。名誉を掛け捨て、いじめから救ってくれたかつての親友。一度は踏み外すも、今その目の前に見せている小さな背中は、紛れもないエビちゅであった。


りん『本当に・・来たのね・・』

王様『・・来てくれたんだのぉ・・・ーωー』


感慨深く目に涙を溜めている王様。
敵が交じり合う中で、第一連隊の方へゆっくりと顔を向けるエビちゅ。

 

エビちゅ『・・勘違いするでないでちゅよ( ̄ω ̄ )ファーレンの提案する恩赦など期待していまちぇん!これはこの前のただのお礼にすぎまちぇん』


クルス『・・・くそが・・この戦闘終わり次第とッ捕まえてやるからな(>Д<;)グホッ!!ゴホッ!!』

 

りんは、王様とエビちゅの過去の話からエビちゅに心なしか期待を寄せていた。

 

りん『(もし・・本当にあの学校の首席の腕なら・・見せて欲しいわ・・)』

オムー『くそ・・こんなときに逃亡者が=ω=.;まずあいつからぶっ潰すか!!』

 

オムーも敵の間をくぐりぬけ、エビちゅ捕獲へ歩こうとすると、

 

りん『オムー!!待って!』

 


りんはオムーの道を遮るように手を伸ばし、制止させている。

 


オムー『ん=ω=.;?な・なんだぉ・・』

りん『・・・・・。』

 

エビちゅはエステンブルグ軍とファンブルグ軍の行き交う兵と剣、馬や砲弾を避けながら精神集中をし沈黙を続けている。

 

王様『(・・頼む・・あの力を・・・見せてくれ!!エビちゅーωー;)』

りん『(ここに来たのなら・・きっと力になってくれるはず・・)』


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ここからの推奨BGM。
 http://www.youtube.com/watch?v=BG-_W1mQuWM
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すると徐にエビちゅは杖を持っていない方の手の平を天にかざし始めている。


 

エビちゅ『・・・・・・( ̄ω ̄ )』

王様『オムーよ。お主は聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院を卒業しておるのだろうーωー?』

オムー『・・それがどうかしたかぉ=ω=.?』

王様『リードブルース魔法というのは知っておるかーωー?』

オムー『知ってるぉ!学説にもならなかった俗説だぉ=ω=.』

アメル『リードバームクーヘンてなぁに?おいしいの?(´‐`)』

トカマク『・・・・・・。』

 

そうこうしている間に敵の本隊も第一連隊の中に侵食してきており、攻撃を受け流しながら退避しているファンブルグ軍。

 


りん『魔法詠唱法として一時期噂になった方法よ。普通詠唱は大気の分子を利用してそれを化学反応を起こして自然発火などを起こさせているの。リードブルース詠唱はその逆ね。』

オムー『リードブルースってのは何もないところから目的原子を作るっていうぶっ飛んだ考えだぉ。まぁありえない話しだな・・=ω=.』

アメル『・・・・・なんだ・・・食べれないんだ・・(´‐`)』

トカマク『・・・・・。』

王様『誰もがそう思っておった・・・ーωー』

りん『・・・・?』

王様『あの事件が起きずに・・・エビちゅがあのまま卒業論文を出していたら・・この世の中は少しは変わっていたかもしれんのぉーωー』

オムー『・・・・=ω=.?』

 


王様は精神集中をしているエビちゅへ目をやった。

 

王様『奴はそのリードブルース魔法についての研究をしておったーωー』

りん『卒業論文のテーマに?』

王様『そうじゃーωーそして・・・奴はそのリードブルース魔法詠唱を成功させておる』

オムー『な・・・なんだと=ω=.;!?』

りん『・・・・そんなことが・・・』

王様『今でこそ言える・・わしが始めてみた伝説の獅子は・・あの女じゃったーωー』

 

一見ひ弱そうに見える小さな体。
しかしその背中からは言い様にない強いオーラが放出されている。

 

エビちゅ『・・・・・。』

りん『・・・ゴクッ・・』

オムー『・・・・=ω=.;』

クルス『・・・(゜Д゜)』

アメル『・・・・(´‐`)』

トカマク『・・・・・。』

 


淘汰されたその体からは目に見えぬ力が溢れ、時空をねじっているかのように遠くの景色を歪ませていた。


りん『この気は・・・・』

エビちゅはゆっくりと目を見開き、空にかざした手を胸元まで下げている。

 

すると辺りの敵兵や砲弾の音などに紛れ、空気が震えだしている低い音が聞こえ始めてくるのだった。

 

ブーーーーーーーーーーーーーーーン

 

オムー『・・・・これは・・=ω=.;』

りん『・・・リードブルース詠唱?』

 

りん達の鎧を羽織っている布服が妙に鋼の鎧にぴったりとくっ付いている。

 


アメル『・・なんだこれ・・羽織が鎧にひっついている・・(ーwー;)』

トカマク『・・・空気が乾燥しだしている・・』

 


と同時に、空気中のあちこちで電気音が鳴り始めていた。

 

ビビビッ!!!

ビッ!!!


ビビッ!!

 

オムーが持っている剣の鍔に片方の手があたるかあたらないか寸での所で電気が両手に走るのだった。

 

バチッ!!

バチバチッ!!

 

オムー『あ痛っ≫ω≪.;!!』

りん『静電気?』

 


周囲の大気の異変は回りの敵兵たちも感じている。

 


『・・なんだ・・この空気は・・・』

『静電気か・・?』

 


ビビビッ!!!

ビッ!!!


ビビッ!!

 


エビちゅの胸元まで持ってきていた手の平に、突如光った玉が浮き上がり生成され始めていた。

 

・・ブワーーーーーーーーーーーーーーン・・・・

ボーワン・・・・・・ボーーーーワン・・・・・


およそ地球上では見ることができない色でエビちゅの手の平の上で光輝き、ランダムに回転しながら宙に浮いている。

 

オムー『おわ・・・なんだあれ・・・=ω=.;』

りん『・・これが・・・・』

王様『・・・・ーωー』

クルス『・・・(゜Д゜)』

アメル『・・・・(・w・´;)』



エビちゅ『・・・みせまちょう・・・本当の戦いとはなんたるかを( ̄ω ̄ )』







第壱百九拾話

2009-03-31 | 本編


第壱百九拾話推奨BGM。
http://www.youtube.com/watch?v=S1M7h52phX4

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日照りはいつものように時計台ガラスから反射し、ファンブルグ中央広場を照らしている。


その日を背にしてしゃがみ込み、道路脇の停車した馬車の下を覗いている一人の女。


エビちゅ『・・・こんなとこにいたんでちゅね( ̄ω ̄ )』

子猫『ミィ-ヾ(^-^=)』


そしてエビちゅの中で何かが変わり始めていた。

 

かつての魔法学校の栄光を欲しいままにしてきた者は、たった一度の行為から、それも過ちとは言えない行動から全てを狂わせてしまうことに。


友達を救うという行為から、首席卒業だけではない、聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院の在籍録さえもを剥奪されるという仕打ちを受け、将来有益となったであろう自らの持つ天才的な能力をあえて伏せ、未来をゼロからやり直してきた。

 


エビちゅ『・・・ほらっ牛乳でちゅよ( ̄ω ̄ )』

子猫『ミィヾ(^-^=)!?』

 

馬車の下に隠れていた子猫は、エビちゅの差し出した牛乳が入った皿に駆け寄り、腹を空かせていたいたのか、勢いよく皿をかぶりつくように飲み始めている。

 

子猫『ミィッ!ガプガプッヾ(^~^=)ミィ!ガプガプッ!』

エビちゅ『誰も取りまちぇんよ( ̄ω ̄ )ゆっくり飲みなちゃい』

 


リードブルース魔法。魔法学院、卒業論文タイトルであるその魔法は今だ学説さえもでていない魔法詠唱技術。

魔法学の根底を覆すその力は親友である王様のみ知っていた。エビちゅの退学と共に、その卒業論文を提出する機会も奪われ、日の光を浴びることはなくっていたのだ。

 

エビちゅ『・・まったく・・なんでエビちゅはこんな事をしているのでちょう( ̄ω ̄ )』

 


遠く離れた空には、大きく薄黒い雲が山にのしかかる様に居座っているのが見える。

 

子猫『ミィッ!ガプガプッヾ(^~^=)ミィ!ガプガプッ!』

エビちゅ『・・・あの曇り空・・もうすぐ嵐がくるんでちょうか( ̄ω ̄ )』

 

猫に餌を与えながら思慮深い顔で遠い空を見つめているエビちゅ。

 

一見平和に見えるその町の風景も、遥か西で今行われている合戦の結果如何によっては、失われてしまう可能性を秘めている。

変わることのない生活を送っている市民たちでも、降伏勧告がなされた追い詰められた軍がいることは承知していた。


そう、そのエビちゅもチプスタでの戦争の意味は理解できていた。


エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』


エビちゅは子猫に視線を戻し、優しく語りかけている。


エビちゅ『・・・強く生きるでちゅよ( ̄ω ̄ )人生の半分は・・・』


遥か西の曇りがかった空をまた見つめ腰紐を強く結んでいる。


エビちゅ『・・・運命なんでちゅから・・・・・( ̄ω ̄ )』

子猫『ガプガプッ・・・・ヾ(^~^=)ミィ?』

 

 


そして歩き始めた。
王様と60年ぶりに会い、留置所から逃した意味をかみ踏みしめながら。


その方向は紛れもない王様たちのいる合戦場。
そのまっすぐな瞳は魔法一筋に生きていたあの強い眼差し。

運命という道に反抗してきたエビちゅは居場所を探し求め、その場所がわかり始めてきた。


本来の生きる道は魔道士として生きる道。
徐々に自身の迷いはなくなっていき、力強い歩みに変わっていく。


魔法使いとして天才と言われたその無冠の覇者は、小さくも大きいあの頃の勇ましい姿に蘇っていた。

伝説の獅子がまたファンブルグへ現れる。
運命と向き合い、覚悟の背を子猫に向けたエビちゅの復活劇が今始まった。