選手控え室から一転し、外では開放的に皆くつろぎ試合間もない時間を楽しんでいた。
アメル『あぁ~いいないいなぁ~(゜w゜*)私もクレープ買ってこよかなぁ』
エビちゅに大会推薦された少女であるhananaがおいしそうに食べるクレープをアメルは羨ましげに見ている。
hanana『おいしいでしよ^0^ノ東口のホットドッグ屋さんの隣にありましたでし!』
オムー『アメルもう試合はじまるぉ=ω=.』
第二回戦の試合開始直前の会場は熱気で埋め尽くされている。昼時の時間も手伝い、あちらこちらからホットドッグや焼きそばのいい匂いが漂ってきており、アメルの後悔の念は絶えない。
アメル『アメさん一生の不覚・・休憩中に買っておけばよかった・・(´゜w゜`)』
エビちゅ『この人ごみで走るのは無理でちゅからね( ̄ω ̄ )次の休憩を待つのが賢明でちょう』
すると石造りの席に座る人をかき分け、選手控え室から観覧席に入ってきたりん。手には大量のコーラやビール、焼きそばが抱えられている。
りん『みんなー良かったら食べてー^^』
オムー『おぉーwさすがりり!!気がきくー=ω=.!!』
アメル『棚からぼた餅きたぁ~Σ(・w・ノ)ノ!』
王様『すまんのぉ(■ω■.)』
エビちゅ『遠慮なくエビちゅも頂きまちゅ( ̄ω ̄ )』
hanana『おいしそうでし^0^ノ!!』
りんは一人一人、飲み物や焼きそばを差し出していると、オムーに渡す際、あることに気づくのだった。
りん『アメルとオムーはまだお酒は無理よね^^?』
オムー『まだまだだぉ=ω=.』
アメル『二十歳になってお酒飲むのはどんなところでなんだろうなぁ(・w・´+)!!』
りん『じゃぁ王様とエビちゅにビールあげる(*^▽^*)!』
王様『うまそうじゃ(■ω■.)』
そんな横で、既にりんの買ってきた缶ビールを豪快に2本飲み干し、勢いよくゲップをしているエビちゅは、なおも3本目を飲み始めている。
エビちゅ『ゲフッ・・グビッグビッグビっ( ̄ω ̄*)』
オムー『エビちゅ遠慮ねぇな・・=ω=.;』
hanana『お酒・・好きなんデシね・・・^0^;』
するとそこへ、先程アメルに負けてしまった初老の男、ファランが観覧席に顔を出すのだった。
アメル『あぁー(・w・´)!!おじいちゃん!!!』
ファラン『ふぉっふぉっふぉっ(■ωー)』
割れたサングラスと服で覆われていない肌にいくつか見えるアザは痛々しい。しかしアメルの顔を見るや否や、にんまりとした笑顔で頷き、体の無事を暗に伝えている。
ファラン『なかなかの攻撃じゃった(■ω^ )お主、師は誰じゃ?』
アメル『はい(・w・´ )ファンブルグ軍師団総統、トカマク様ですっ!!』
ファラン『なるほどのぉ(■ω^ )どうりで剣筋が似ておった』
アメル『へへ(・w・´)おじいちゃんも強かったよ』
今の今まで戦ってはいたが、現役を感じさせることのないひどく老人じみた座り方をしているファラン。相当にアメルの打撃は答えていたのかもしれない。これでもかとゆっくりとした動きで腰を石造りの席に下ろした。
ファラン『やれやれ・・よっこいしょっと(■ωー )フゥ』
3万人が詰め込む大観衆のざわめきの中、エビちゅはりんを挟み、さらに隣に座るアメルに問いかけている。ざわめきに負けぬよう、声はやや大きめだ。
エビちゅ『アメルは、エビちゅからもらった猫は戦闘に参加させなかったんでちゅか?( ̄ω ̄*)ゲフッ』
アメル『調教もしてないし、まだ出会って間もないからさ(・w・´)出場させようか迷っちゃった』
りんは二人の会話を邪魔せぬよう体を後ろに傾けながら、ビールを口にしている。
オムー『お!!トカマク登場だぉ=ω=.!!』
場内の歓声は一挙に大きくなり始めた。
『ワァァァァァァアアアアアアァァァァ』
『トカマク様ぁ~!!』
アメル『きたきたぁ~(・w・´)!!ワクテカだねっ!!クルスくんも頑張れぇ~!』
・・・・・・
・・・
・・
クルスを見ながら石畳のリング中央に足を運ぶトカマク。既にいるクルスは首骨コキコキと鳴らしつつ、そのトカマクの闘志溢れる視線から目を外すことなく付き合っている。
トカマク
(・・思い出すわねクルス・・あの時の戦いを・・・)
クルス『・・・・(゜Д゜)』
『両雄の登場だぁ~~!!!!』
『オオオオオオォォォォォ』
『ワァァァァアアアアアアアァァァァ』
観客席からの声援が響いてきているが、審判が両手を挙げ、開始の合図をし始めようとすると、その緊張の一瞬は3万の観客たちを静めさせていた。
審判『トカマク選手対クルス選手!!第二回戦!!・・・・』
闘技場の外からの木々に住む小鳥たちのさえずりさえ聞こえてきそうなほど、場内は静まりかえっている。
審判『はじめぇ~!!!』
試合開始の合図と同時、トカマクは威勢ある声を発しながら距離を詰めている。
トカマク『ぃやぁぁぁぁああああぁぁぁぁ!!!!』
電撃魔法を併せ唱えつつ、トカマクは走りながら剣を抜きクルスへ向かっていくその足に迷いはない。
トカマク『サンダーーーーボルトーーーーーーー!!!』
空中に形成された電気粒子を基に、連続的にクルス目掛けて落ちる稲妻。
カッ!!!ゴゴォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
クルスは避けることもなくその場で耐えている。鋼の鎧は電撃攻撃からの熱で真っ黒な焦げを肩や胸、足などの各所に造り、鎧で覆われることのない顔や腕の肌はまともに浴び、赤く焼けどしている。
オムー『なぜ避けない=ω=.;?』
アメル『避けきれない(・w・´;)?』
りん『いや、クーちゃんなら避けようと思えば避けれたわ』
その師団の者達の考えと異なることはない。
トカマクも同じ疑問を感じている。
トカマク
(なぜサンダーを避けない!?)
クルス
(そんな攻撃は俺は待っちゃいねぇ・・・こいトカマク・・あれだよ・(゜Д゜)・・・)
トカマク『ぃやぁぁぁぁああぁぁ!!!』
初弾の剣攻撃はトカマクの横払いから始まると、クルスは寸ででかわしている。
ブンッ!!!
ブンッ!!!!!!
トカマクの攻撃は空を切ってはいたが、その剣捌きはまるで演舞を見ているかのように美しい。トカマクはファンブルグを守り続けてきた兵士たちの剣術指南役。そしてそれを教わり習った兵士たちがこの国を守り続けてきた。
その強さの裏づけある剣技は見るものを虜に、その一太刀ごとに大舞台が揺れるほどの歓声がでるのは言うまでもない。
ブンッ!!!
『オオオォォォォォ!!』
ブルンッ!!!!
『オオオオオォォォ!!』
流れるような無駄のない動き。息を飲ませるトカマクのその舞踊はクルスをあっという間にリングコーナーに追い込んでしまうのだった。
王様『・・・次で決まる(■ω■.)』
ファラン『じゃな(■ωー)』
オムー『どうする=ω=.;!?クルス!』
りん『トカマク様・・・』
アメル『クルスくん(>w<´)』
クルス
(・・俺が一番警戒しているのはな・・トカマク・(゜Д゜)・・)
ブンッ!!
トカマク『ぃやぁぁぁあああぁぁ!!!』
台上になっている八角形のオクタゴンリングは、コーナーに追い詰められれば二つの道を強制的に選択させられることになる。場外負け、もしくは近接攻撃による接触。排水の陣となったクルス。選択迫られていることは必然だ。
クルス
(・・おまえの得意技・・・昔俺がやられた・・あの技・・(゜Д゜)・・)
その技の名は<燕返し>。頭から腰にかけ真っ二つに切ろうと上から振り下ろす剣筋と思いきや、それはただの罠。相手にかわせたと思わせるや否や、振り切った手を反転し、下から顎にかけて瞬時にして逆切りする刀法である。
かつてクルスはその技で剣を弾かれ、トカマクに負けた過去があったのだ。
伝説の獅子たちのスピードから劣ることはあれど、そのスピードは人間界では比にはならないと言われていたトカマクの燕返し。クルスはそれを待ち続けていた。
零コンマの攻防で、クルスはトカマクの上からの振り下ろす剣の柄の握り手に注目している。
トカマク『ぇぃやぁぁぁあああぁぁぁ!!!』
すると申し合わせたかのようにトカマクはあの大技を出す予兆をクルスの目の当りにさせるのだった。
その剣先はクルスの鼻先をかすり、真下へ向かっていく。腰元まで降りたその時。トカマクは鍔元に近い右手を親指と人差し指だけで持ち、柄を握っていた左手の力は緩められている。すばやい切り替えし攻撃をするには、真下に向かった刃を無論素早く反転させる必要があるためだ。
その準備手となる手元をクルスは見逃していなかった。
クルス
(・・きたなトカマク!!それだ(゜Д゜)!!!!)
と思ったその時。
トカマクの左手は急遽再び握り締められ、刃が反転することなく右手も強く握り締められていた。
クルス
(・・・・・(゜Д゜)・・・・)
トカマク『きぇぇぇぇぃぃぃぃぃ!!!!!』
切り替えし反転して上方へ刃を進ませるはずであった剣は、無碍にまっすぐとクルスの胸元へ進んでいく。
ブスッ・・・
クルス
(・・・・(゜Д゜)・・・)
クルスの想定していた動きと違ったそのトカマクのブレイドソードの切っ先は、鎧の隙間である左胸元にめり込み、突き刺さり入り込む。
ズズズズズズズズズズ!!!!!!
トカマク『きぇぇぇぇぇぇぃぃぃぃぃ!!!!』
長剣であるブレイドソードの半分は、血のりと共にクルスの背中から姿を出している。燕返しと思わせ、突如突き攻撃に変えたトカマクの攻撃は見事にクルスの胸を捉えてしまうのだった。
ブシュシュシュ~!!!
剣と胸肉や背肉の隙間から血が吹き出ている。
ファラン『なんじゃと(■ωー;)!!』
アメル『クルスくん!!!』
オムー『やべー=ω=.!!!やられたっ!!!』
エビちゅ『下馬評を覆しまちたね( ̄ω ̄ )』
『オオオオオォォォォォォォォォ』
『ワァァァアアアアアアアァァァァァァァ』
『さすが師団総統だぁ~!!!クルス選手の胸に突きが命中~!!!』
場内は勝敗ではクルス圧勝とよんでいたが、ここにきてトカマク優勢となり、闘技場は熱狂している。
『ワァァァアアアアアアアァァァァァァァ』
『ワァァァアアアァァァァァァァ』
アメル『・・・クルスくん・・』
オムー『・・・まずいぉ=ω=.;』
ファラン『これは予想外じゃ(■ωー;)』
ところがその闘技場のボルテージとは逆に、クルスは落ち着いているのだった。
クルス『・・・やるじゃねぇかトカマク(゜Д゜)そうでなくっちゃな』
トカマク『・・・・・・。』