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眩しい太陽・・美しい月・・そして世の中所詮金でちゅ

伝説の獅子たちが活躍する笑い泣き感動ありのアクションストーリー (c)2008hiyoko.現在原画製作中!

第壱百七拾九話

2009-03-10 | 本編


ファンブルグ城からやや離れた東町総合病院。
そこはりん達の巡回警備前の集合場所でもある。

まだ集合時間に来ていないのは今日巡回警備担当の衛兵2のみ。
いつもの事ながら皆の顔が集まるまで、ひと時の仲間同士の駄弁りは今日も弾んでいた。

 

アメル『うわぁー!リンドブルム大きくなったねぇΣ(・w・ノ)ノ!』

クルス『そうだろ(゜Д゜)たくましくなったぜ』

オムー『人乗せて飛べれるんじゃないのか=ω=.;でかいな・・』

 


クルスはあれから成長したリンドブルムを自慢げに皆に見せている。
腰丈を優に超え、立派な羽を毛繕いしているリンドブルムは、自分のことを話していると気づいたのか、羽を広げ弾みながら皆へ応答した。

 

リンドブルム『グルッ・∞・!!グルッルー!!』

 

・・バサバサッ!!・・バサッ!!!


オムー『羽広げると余計にでかく見えるなw』

りん『かわぃぃ(*´▽`*)』

クルス『りんのそのヒヨコみたいなのもかわいいなぁ(゜Д゜)』

 

りんの足の裏に隠れくっついたまま、恐々と周りの様子を伺っているのは、りんの愛すべきペットであるひよこ。

 


りん『たまにしかお外出さないから怖がっちゃって・・^^;名前はシトロンですよい』


一同の視線が集まると恥ずかしいのか、必死にりんの足の後ろに隠れようとしている。黄色い毛なみの愛嬌のあるお腹をもったひよこは、細いりんの足では全てを隠しきれていなく、その触り心地の良さそうなお腹をはみ出してしまっている。

 

シトロン『・・ピヨ・・・ピヨピヨ・・(・Θ・;)』

オムー『かわぇぇ・・=ω=.;』

アメル『りんwその子戦闘用w?』

りん『観賞用向きかもwwメインの亀と合体させよかなーって思って^^』

クルス『それよりすげぇー気になるのがアメルの足元にいるそのドロドロしたの・・(゜Д゜;)なんだよそれ・・』

 

アメルの足元に青みがかった透明な粘り気のある液体がうごめいており、うっすらとアメルの革靴と地面の草がその液体から透けて見えている。


アメル『あ、これ?スライムだよ(`・w・)これで買うのは二匹目だよん』


アメルの足元で答えるように頭らしき突起物を出し、うっすらと目と口を出して皆に向かっておじぎのような動作を繰り返している。

 

小山さん『・・・・ドゥロ・・・・ドゥロロロ(´ρ`)』

クルス『・・・・・いい趣味してるぜ・・(゜Д゜;)』

りん『あ・・・目がちゃんとあるんだねー^^かわいいじゃん!名前は?』

アメル『小山さん(`・w・)』

りん『ぶwはwwwwww』

オムー『もっとペットらしい名前の方がww』

アメル『結構あたまいいんだよぉ~(`・w・)オムさんもなんか飼わないの?』

オムー『ん~俺はサボテンのペットが欲しいって最近思いだしてるんだぉ=ω=.赤サボな』

クルス『戦闘にはいいよな(゜Д゜)』

 

とその時、突如りんの胸元目掛けて飛び込むように、アメルのスライムは大きくジャンプした。

 

ピョンッ!!!!

 

りん『・・ぇ・・・。』

小山さん『(`ρ´)ドゥロン!!!』


今まで見せていたのっそりとした動きはまるで周りを油断させていたかのように、驚くほどの速さでりんの胸元に滑るように入っていく小山さん。


ドゥルンッ!!!!


アメル『ちょwww』

りん『きゃぁぁぁぁああああぁぁぁぁ><!!!!!』

オムー『・・・・・・=ω=.;』

クルス『・・・・(゜Д゜;)』

りん『ちょっと><いやぁぁぁああぁぁぁ!!!』


楽しんでいるかのような卑猥な音を立て、小山さんはりんの胸と服の間に挟まりうごめいている。

 

ドプンッ!!

プルンッ!!!プルルンッ!!!

 

小山さん『ドゥロンッ・・ドゥロロロン(´ρ`)』

アメル『さーせんww頭いいだけじゃなくエロさも兼ね備えていた模様ですww』

 

りんの胸元で一通り暴れると満足したのか、小山さんは何事もなかったかのように元いた場所にドロドロと戻ってきていた。

 

小山さん『・・・・ドゥロン・・・・(´ρ`)』

アメル『満足したようですww』

りん『痴漢><!!』

クルス『・・・・(゜Д゜:)』

オムー『・・・・何も言えねぇ=ω=.;』

りん『・・・・もう近づきたくない・・・(--;)』

 


するとやや遅刻して衛兵2がくるのだった。

 


衛兵2『・・す・・すいません><;!!寝坊しましたっ!』

クルス『おせーぞー衛兵2(゜Д゜)』

アメル『わたしも遅刻多いので文句は言えず・・』

衛兵2『ぁは^^;申し訳ないです・・』

りん『王様は巡回お付き合い今日するんだっけ?』

衛兵2『えっと・・今日は王室図書館でお読み物だと思います^^』

オムー『珍しいな・・・最近はよく巡回を散歩と錯覚してついてくるのに=ω=.』

アメル『ww』

 

 


・・・・・・・・

 

・・・・・


・・

 


ここは王室図書館。
今日は珍しく図書館に篭り、王様は黙々と本を読んでいる。

 

王様『・・・・ーωー』

 

僅かに外の木々から聞こえる小鳥のさえずりが心地よく、誰にも邪魔されないこの空間が王様は好きらしい。


 

・・・・・チュッ・チュッ・チュッ、チチチチチチ・・・・

・・・・チュ・・・・チョッ・チュ・・・・チュ・・・・・・

 

 

その王様が見ている本は、母校でもある学校の卒業アルバム。
昔を思い出しながら、穏やかな面持ちでページをゆっくりとめくっている。

 

王様『思い出すのぉ~・・・・・^ω^』


そのアルバムには懐かしき旧友の顔写真が並んでいた。


∞∞ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー∞∞
        卒業アルバム

   年組

レンリン メンス ルフィティア プラト リューク レイ

タツボン ミアス マイ オードリー フィーネル シグナ 

パワフル バニシア シュクユウ ファーレン サバキ コミミ

チクリュウ □□□□ リフューズ ヘルガ クリスティーネ

レグルス チョピ エアリス スザンヌ ビスコ スティール

∞∞ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー∞∞

 

王様の名前はファーレン。
年組にその名前と若かりし頃の自分が笑顔で写っている。

一人一人の友達の名前と顔写真をみていると、当時の思い出が走馬灯のように次々と思い浮かんでくる。


とその時、その顔写真の中で、一人分の枠が空いていることに王様は気づくのだった。そこに一人の名前と顔写真が元々入っていたが、後になって削除したと言わんばかりの不自然な穴だ。


王様『・・・・これは・・』

 


~ ここからの推奨youtube動画BGMです。
     http://www.youtube.com/watch?v=SiFhjqeEvcE ~


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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60年前に遡ったある日のこと。

冬の峠は疾うに過ぎ、桜のピンクの色でいっぱいに埋め尽くされている山々。春の暖かい日差しを浴び、花や草木も風に揺られて喜び踊っている。


ここはファンブルグ国の中でも古くからある有数の魔法学校。

数多くの名高き魔法使いやクレリックなどを輩出している名門中の名門。聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院である。

 

王様の幼き頃の呼び名はファーレン。
この魔法学校の第17期生。

本を読むのが大好きであったファーレンは、今日も学校帰りに歩きながら読み耽っていた。

 


ファーレン『・・・・^-^』

 

その隣にいるのは当時の親友。
物珍しそうにファーレンを横目に見ながら共に下校している。

 

エビちゅ『しかし好きでちゅね~ファーレンは( ̄ω ̄ )』

ファーレン『・・・・^-^』

 


エビちゅ『何がそんなに楽しいでちゅか( ̄ω ̄ )?』

 

本に集中しているファーレンが歩きながら持っている本のタイトルを見ようと、エビちゅはしゃがみながら後ろ向きで歩いている。

 

エビちゅ『・・・旧伝詩文書・・・( ̄ω ̄ )』

 

蟹股の後ろ歩き。
ひどく滑稽な格好で本のタイトルを読みながら歩くエビちゅを見てファーレンは、我に返った。


ファーレン『あはは^-^エビちゅ何してんの?』

エビちゅ『・・・おもしろいでちゅか( ̄ω ̄ )?』

ファーレン『うん^-^旧い予言書なんだよ。今から十数年経ったらね・・・・戦争が起きるんだってさ。それでね・・このファンブルグに英雄となる人たちが舞い降りて来て助けてくれるんだって!!』

エビちゅ『・・それ・・・ファーレンは信じてるんでちゅか( ̄ω ̄ )?』

ファーレン『うん^-^!!』

エビちゅ『・・・・ガキでちゅね~ファーレンは・・( ̄ω ̄ )』

ファーレン『うるさいなぁーw』

 

二人は入学当初からの友達である。

エビちゅはこの学校の断トツの首席で卒業しようとしている優秀な学生であり、それとは対称的に、ファーレンは落第ギリギリの落ちこぼれ学生。相反する二人の性格はどういうわけか引き合い、6年間を共に過ごしてきていた。

 

ファーレン『そういえばさ・・・そろそろ卒業だね^-^』

エビちゅ『でちゅね( ̄ω ̄ )』

 

思い出がいっぱいに詰まった広い校庭を側に、桜の木に囲まれた長い並木道を二人は歩いている。


ファーレン『エビちゅはいいなぁ~^-^就活始めなくても推薦すごいんでしょ?』

エビちゅ『いろんな所からオファーは来てまちゅけどね・・・( ̄ω ̄ )ファーレンは将来何になるつもりなんでちゅか?』

ファーレン『ぼく^-^?ぼくはね・・この国を治める王様になるんだヽ^0^ノ!!!』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

ファーレン『それでね!この本にある伝説の獅子たちと仲間になってこの世から戦争を無くすように頑張るんだヽ^0^ノ!!!』

エビちゅ『・・・0,0000001%くらいの確立はあるんじゃないでちょうかね・・・ファーレンが王様になったら、その時はエビちゅは銀河系の神になってまちゅね( ̄ω ̄ )』

ファーレン『ぶwひどいなーww』

 

卒業まであと数日。
二人のいつもの下校も数える程しかない。

これからの大きな門出を祝うように桜の花びらが舞っており、その並木道を歩く二人を大げさな程に包み込んでいた。

 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・・・・・

 

・・・

 

 

枝葉の間からさし込む日光が窓から優しく王様の手元を照らし、静かな王室図書館には昼終わりの小鳥のさえずりがまだ聞こえてきている。

 

・・・・・チュッ・チュッ・チュッ、チチチチチチ・・・・

・・・・チュ・・・・チョッ・チュ・・・・チュ・・・・・・

 

王様『・・・今どこで何をしておるのかのぉ・・・。』




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第壱百七拾八話

2009-03-09 | 本編



ラーメン、炒飯、坦々麺、冷やし中華。珍しく注文が続き今日は出だしがよい。4品出し終えたエビちゅは厨房にて思案していた。


エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

プロには味の波があっては務まらない。
常に同等の品質を保ち、提供していくことが要である。

そして何より考案したファンブルグ国用の中華料理は受け入れてもらえるのか、最近の客の減りはその根本的な味に問題があるのではないかとエビちゅは頭を悩ませていた。


エビちゅ『・・客足が途絶える理由は・・・味に問題があるのでちょうか・・・今来ているお客さんたちはどう感じているのちょう( ̄ω ̄ )・・・気になるでちゅね・・・』

 

とその時、テーブル席の方から何やら高い音が聞こえてくるのだった。

 

パカーン!!!

 


エビちゅ『( ̄ω ̄ )!?』


何か硬いもの同士がぶつかり合ったような激しい音は確実に店内で響いていたことだけはわかった。


エビちゅ『・・・今の音はなんでちょう・・・( ̄ω ̄ )』


もうあとへは引けない起業チャレンジ。
エビちゅは経営を軌道に乗せる為、全身全霊を懸け励んでいる。

 


・・・・・・


・・・


・・

 

ノア『店長ーお客様帰られましたー』

エビちゅ『そうでちゅか( ̄ω ̄ )』

 

ノアから4名の客が帰った知らせがくると、すぐさまエビちゅは立ち上がり、食べ残しなどをチェックしにテーブル席まで向かっている。


エビちゅ『どのくらい食べてくれたんでちょうか・・・( ̄ω ̄ )』

 

お金勘定をしているノア。
食べ終わったお皿などをまだ洗い場にもっていっていないことに気づき、慌てて怒られまいとエビちゅに言葉添えをした。

 

ノア『あっ今洗い場もっていきます!ごめんなさい!』

エビちゅ『いいんでちゅよ( ̄ω ̄ )ゆっくり勘定しててくだちゃい』

 


そして先ほどの客のテーブルまで辿り着いたエビちゅは、客が座っていた席に辿り着き、食べ残しチェックを始めた。

 


エビちゅ『・・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

すると冷やし中華を食べていた客のテーブルまでいくとエビちゅは愕然としてしまうのだった。


エビちゅ『( ゜パ)え・・・・これは・・・・』


冷やし中華の具材はテーブルから離れ、思いも寄らない場所へ落ちている。
客が座っていた席を思い浮かべると、それはあたかも食べている最中に勢いよく吹き出し、吐いてしまったかのような方向である。

飛び散っている食べカスをゆっくりと拾い上げるエビちゅ。


エビちゅ『・・・・そんなにマズかったんでちょうか・・・orz』


実際はオムーの腕試しのために振るったクルスの剣の鞘が見事にオムーの頭に直撃し、その際に吹き出てしまった冷やし中華の具材。
エビちゅはそれを不味いが為に吐き出してしまったと勘違いしてしまっているようである。


今後の行く末が決まるその味についてエビちゅは、一抹の不安は拭い取れなかったが、自身の力を信じる他術はなく、人生の全てを懸け、己の全てをその味に打ち込んでいた。

しかしその身を粉にした努力も、吹き出し吐く程に頂けなかったという暗黙の評価により、そのプライドと共に音を立てて崩れていくのだった。


エビちゅ『・・・・ぅぅ・・・なぜでちょう・・こんなに頑張っているのに・・・(;ω; )』



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第壱百七拾七話

2009-03-08 | 本編

 

エビちゅの経営する店名は<来来軒>。

味はファンブルグの舌に合わせてはいるが、少しでも本場の雰囲気を出そうと異国中国で基調とされている赤色で店全体を装飾している。

店内は15人分のカウンターとテーブル席。
たくさん立ち並ぶファンブルグ大通りの店のなか、安価で回転率を上げて収益を狙う一般大衆を対象とした定食屋である。


ファンブルグでは滅多に見られない龍の彫刻やお面などが装飾され、入り口には東洋の独特な雰囲気が漂っており、開店直後は艶やかさと落ち着きを兼ね備えた珍しい店と噂になり、盛況であった。

 

ノア『・・・・・・・。』

エビちゅ『・・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

 

ところが開店から月日が経つにつれ、またも客足が止まり始めてしまっていた。

 

ノア『・・・・・・最近こないな・・お客さん・・・。』

 

カウンター席に座ったノアは時間を持て余すように足をぶらつかせていると、かなり久しく聞いていなかったドアが開く音が店内の暖簾越しに響いてくるのだった。

 

ギキィィー・・・・


ノア『(・・ぁ・・久しぶりお客さんだ!)いらっしゃいませー』


その来た客は普段みている顔。
なんと同居をしているアメルが来店してきたのであった。

アメル『ノアさ~んΣ(・w・ノ)ノ』

ノア『あ・・・・・』

クルス『ん?なんだ(゜Д゜)知り合いか?』

りん『友達^^?』

 

無二の親友である旧くからの友人と思いがけないめぐり合わせ。
しかしノアはそれほど驚くこともなく、勢いよく弾んで喜んでいるアメルの動きに連動した手をそのままに、大人しげな表情で笑みをこぼした。

 

 

アメル『バイトはじめたってここだったんだぁ~・w・ノ』

ノア『うん^^』

 


一方エビちゅは客足が減り始めた原因をさぐるべく、必死に今までのことを思い返して考えている。


ノア『店長!!お客さん来ましたよ!』

エビちゅ『( ̄ω ̄ )!!!』

ノア『ラーメンと炒飯と坦々麺です!』

エビちゅ『やっとお客ちゃん来たんでちゅね。ラーメンにチャーハンに坦々麺!!おっけーでちゅ( ̄ω ̄ )!!』


我に返ったように飛び跳ねて立ち上がったエビちゅは、威勢よく中華鍋から火をあふれさせるように炒め物を始めた。

 

ジュッジュッジャーーー!!

ジャッジャッ!!!!ジャーーー!!!

 

野菜が炒められている音が心地よい。
久しぶりのお客さんと言うこともあり、エビちゅはいつも以上に気合が入っている。


エビちゅ『よしっできたでちゅ( ̄ω ̄ )ノア!一緒に運ぶでちゅよ!』

ノア『はい!!』


エビちゅは止めやらぬ汗をそのままに、ノアと二人でアツアツの料理を運んでいく。

 

店長『おまたせでちゅ~( ̄ω ̄ )』

ノア『^^』

 

アメル『きたぁ~(・w・)じゅるり』

りん『おいしそう^^』

クルス『おしっ食うか(゜Д゜)』

 

運んできたラーメンをテーブルに置く際、器を持つ店長の親指がスープに僅かに入っていることにノアは気づくのだった。


ノア『(ぁ・・・店長・・・親指また入ってる・・・この前クレーム受けたのに・・・)』

 

 

クルス『・・・指が・・(゜Д゜;)』

店長『ゆっくりしてってくだちゃいね~( ̄ω ̄ )』

アメル『いただきまぁ~す・w・』

りん『頂きます^^』



そしてまたも入り口ドアが開く音が聞こえてくるのだった。


ギキィィ・・・・・


オムー『・・・・うぅ~外はさぶい=ω=.』


先ほどまで全く客の入りがなかった昼時。
突如お客さんが次々と入り始めていた。



ノア『店長!またお客さんきましたよ^^!冷やし中華です!』

エビちゅ『またきたんでちゅね!!時代はとうとうエビちゅを欲してきたんでちょうか( ̄ω ̄ )はりきって作りまちょう!!』



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第壱百七拾六話

2009-03-07 | 本編


エビちゅの企業が再度清算に追い込まれ、さらに数ヶ月が経ったある家の朝。




オレンジのカーテンを通して射す柔らかい日差しが優しく寝顔を照らし、気持ちのいい朝を迎え目覚めたアメル。


アメル『ふぁ~ぁ(>w<)ノ』


思い切り伸びをして時計を確認すると既に第一連隊集合時間になっていることに気づくのだった。


アメル『あぁ~(>д<;)まずいもう9時じゃん!!!!』


驚いて起きたアメルの声で釣られるように隣のベッドで寝ていたノアも目を覚ましている。


ノア『・・おはょ~・・』

 

まだ眠そうに目を擦りながら暢気に挨拶をしているノア。

 

アメル『おはようじゃないよぉ~(>w<´)ノアさ~ん!!今日の当番ノアさんじゃ~ん!!私遅刻だぁ~!!』

 

最近のアメルは第一連隊の宿舎から離れ、親友のノアと同居して暮らしている。

朝起こしと朝食作りを当番制にしており、今日はノアが朝食を作り、アメルを起こす当番の日。しかし、そのノアが寝坊をするという失態を演じているのだった。


ノア『ごめんね・・目玉焼き作るね』

アメル『もう食べてる時間もないよぉ(´゜д゜`;)わたしもう出発しないと』

 

ガッ!!!


寝ぼけ眼で服を着ながらヨロヨロと身支度を整え始めたアメルは急ぎすぎ、足の小指をタンスの横に当ててしまう。

 

アメル『OH!!NOOOOOOOOOOOOOOOO(>w<`)!!!!』

ノア『大丈夫・・・?』

 

うずくまるアメル。

 


アメル『・・・・・く・・・・・。』

 

寝癖がついたままの頭をなでてなだめているノアの手は、まるで犬をあやすかのように優しい手付きでピョンと跳ねたアメルの髪の毛を直すようになでている。


ノア『急がば回れだよ^^』

アメル『ノアさんが言わないでよww当番制もう辞めたいよww』


ノア『今日わたしバイトの面接いってくるね^^』

アメル『・・ぜぇ・・はぁ・・・ぜぇ・・おー痛かった・・ふぅ・・(´盆`;)』

 

味のついていないパンを銜え、チャックも締め切っていない服を半端に着たままアメルは玄関まで再度走り始めた。


アメル『バイトの面接(´゜w゜`)?』

ノア『うん^^』

アメル『がんばってね(゜w゜)ノじゃぁわたしは出るねっ!』

ノア『いってらっしゃい^^ノシ』

 


・・・・・・・・・


・・・・・

 

・・・

 

一方、勇往邁進を地で行くエビちゅの起業チャレンジ再々スタートは、今は人材収集に力を入れていた。

 

コンコンッ

 

ひどく小さい遠慮がちなノック音が響く。

 

 

エビちゅ『どうぞでちゅ( ̄ω ̄ )』

ノア『・・失礼します・・・』

 


もう失敗は許されないエビちゅの三度目の起業チャレンジは、中華料理屋の全国チェーン店を作ること。

本場中国の味から改良に改良を加え、ファンブルグの舌に合う独自の味付けを考案したエビちゅは面接を今日はしている。

 

エビちゅ『まず志望動機を聞かせて欲しいでちゅ( ̄ω ̄ )』

ノア『はい・・・ぇっと・・・その・・・・あの・・』

 
論理的に的確にアピールする自らの売り込みはノアの最も不得意とするものだ。元々無口で人付き合い下手なノアは、何度かアルバイト面接を繰り返していた。



エビちゅ『・・・・・・・( ̄ω ̄ )』

ノア『・・・・ぁ・・・ぇっと・・・』

 

耐え難い沈黙。
するとエビちゅは突如席を立ち、ノアに近づいた。

 

ノア『・・ぇ・・?』

エビちゅ『後ろを向いてくだちゃい( ̄ω ̄ )』

 

言われるままにノアは席を立ち、わけもわからないままエビちゅに背を向けている。


ノア『・・・ぁの・・ぇっと・・これは・・・』

エビちゅ『・・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

暫くするとエビちゅはノアの腰を両側からわし掴みにして何かを確認しており、ノアは思いがけない行動に体が硬直している。

ガッ!!!

ノア『きゃ><!!!』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

 

一体なんの意味があるのかわからぬまま、エビちゅは再度ノアを席に座らせ、自分の席にもどりメモを取り始めた。


ノア『今のは・・・・セ・・セクハラ・・で・・ですか><;!?』




黙々とチェック表らしきものにメモを続けているエビちゅ。




エビちゅ『(・・・カキカキ・・・カキカキ・・・Φ( ̄ω ̄ )』

 

ノア『・・・・・・・。』

エビちゅ『言っときまちゅが・・・・・カキカキ・・・ピタッ・・Φ( ̄ω ̄ )』


エビちゅはそこまで言うと書いている手を止め、ノアへ視線を戻した。


ノア『はい><;』




 

エビちゅ
『エビちゅは女でちゅ
( ̄ω ̄ )』

 

外見上、背が低く幼児体型をしているエビちゅは年齢不詳であると共に性別も見間違えられてしまうことが多い。何かと勘違いされない為にも言葉添えをしているようである。

 

ノア『・・ぁ・・はぃ・・・』

エビちゅ『ウェイトレスは腰が大事でちゅ( ̄ω ̄ )私の店舗はファンブルグのオフィス街に出すでちゅ。そして昼時に焦点を当て、中年サラリーマンを対象とした中華料理屋を目指すでちゅ。そこで必要なのは味だけでは勝てんでちゅ。そこには目の保養にも重点を置き、看板娘の招請にも期待値を置いていまちゅ。この方法をもって飲食業界を制覇するでちゅ( ̄ω ̄ )』


ものすごい勢いで捲くし立てられたノアは納得せざるを得なかった。


ノア『・・ぁ・・はい・・なんとなく・・わかったような気がします・・』

エビちゅ『面接は以上でちゅ( ̄ω ̄ )結果は合格者のみ通知するでちゅ』

ノア『もう終わりなんですか!?』

エビちゅ『文句あるでちゅか( ̄ω ̄ )?はい帰って!』

ノア『・・・ぁ・・・・はぃ・・・』

 


強制的に帰らされ、トボトボと落ち込みながら家路に戻るノア。
その足取りは重い。


・・・・・


・・・


・・


わけがわからないままあっという間に終わった面接から帰宅したノアは、ふとポストを見ると大きな手紙が入っていることに気づくのだった。

 

ノア『・・ぁ・・・お手紙だ・・・誰宛だろ・・』

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
   ノア様へ


  中華料理屋 来来軒 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ノア『・・ぁれ・・・今行ったバイト先からだ・・・』

 

裏を見てみると・・






 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

合格でちゅ( ̄ω ̄ )

明日からきてねっ!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ノア『はやwwいつ置いたのw!?』

 

全国制覇を目指す中華料理屋チェーン店の第一店舗。
明日から始まるそのエビちゅの挑戦は今後どう展開していくのだろうか。





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第壱百七拾五話

2009-03-06 | 本編




あれから数ヶ月後。
無事会社を清算し、エビちゅは新たな起業家へと転進していた。




太陽が最も低く位置し冬至と言われている12月22日。
ここはファンブルグ国の中央通り。

町並みは年末の慌しさに加えて、戦渦と言えど気を紛らわすためでもあるイベントとしてのクリスマスの装飾や照明が目立ち始めている。


警備団に加えて軍兵までもたくさん街中に出てきており、何やら物々しい雰囲気が町に出ていた。

軍兵のキビキビとした踵を合わせて歩く姿がひっきりなしにエビちゅの目の前を通っている。


ザッザッザッザッザッザッ・・・・


ザッザッザッ・・・・



エビちゅ『・・なんでちょう・・せっかくの店だしなのに迷惑でちゅね( ̄ω ̄ )』




第二のチャレンジとしてエビちゅが起業した会社。
それは通称<マキシム・ド・エビちゅ>。


昨今、ファンブルグで流行になりつつあるのは欧州パリ国風ケーキ。

早々と変わり行く国民の舌をキャッチしたエビちゅはそのケーキに目をつけ、
【ケーキの食べれるカフェ】
をキャッチフレーズにファンブルグ全国へ事業展開をしようと目論んでいた。


夢の第一店舗を出す事前調査としてクリスマスシーズンは、またとないチャンス。

エビちゅはこのファンブルグ商店街の歳末商戦たけなわを絶好の機会とよみ、自作ケーキの味を試す為に屋台を引きケーキを売り歩いている。


エビちゅ『クリちゅマちゅケーキはいかがでちゅかぁ~( ̄ω ̄ )甘さ控えめ~ショート~タルト~チョコケーキ~いろいろあるでちゅよぉ~』



風の便りでは今日はある泥棒を捕獲する大捕り物があるらしく、城前の大きな広場を埋め尽くすように自警団と6000名の第一師団が集まり、点呼確認の叫ぶ声がエビちゅの耳にも入ってきていた。



兵士『第12連隊!!点呼ぉ~!!!』

 『ー。-1!!!』

 『ー。-2!!!』

 『ー。-3!!!』


・・・


・・




兵士『第8連隊ぃ~!!!点呼開始ぃ~!!!』

 『ー。-1!!!』

 『ー。-2!!!』

・・




トカマク『第一連隊点呼開始ぃ~!!』

衛兵1『いぃぃぃぃぃぃぃぃちっ!!!!!!』

クルス『2(゜Д゜)』

アメル『3・w・!!!!』

・・・・

・・・

・・


クルス『くそ・・並んでる場合じゃねぇぞ・・・早く調査いかねぇと(゜Д゜)』

アメル『・・うん>w<・・・・わたし即行で抜け出して国税所またいってくるよ』



人通りが徐々に激しくなってきており、軍兵たちは整列しながら物珍しそうにクリスマス商店を横目で見ている。



エビちゅ『クリちゅマちゅケーキは~いらんでちゅかぁ~( ̄ω ̄ )甘さ~控えめ~』




クルス『なんだなぁ~世間はあと二日でクリスマスイブかぁ~(゜Д゜)』

アメル『早いねぇ~・・・でもわたしらはそれどころじゃないんだよねぇ~>w<』




師団の点呼確認が長い間続く中、だらだらとやる気のなさそうに並び続けている一人の兵士とエビちゅは目が合った。



エビちゅ『そこの兵隊さん買っていかないでちゅか?イブと言えばケーキでちゅ。甘さ控えめのデコレーションケーキでちゅよ~( ̄ω ̄ )』

クルス『・・ぉ・・・俺に言ってるのか( ゜д゜)?』

アメル『整列してる兵隊に売り込んできてる・・・すごい商魂・w・;』

クルス『すまん(゜Д゜;)今仕事中なんでな』



その男は横目で店員を見て苦笑いをしながら断った。



エビちゅ『(・・チッ・・)じゃぁ帰りに寄っていってくだちゃいねぇ~( ̄ω ̄ )』



歩く人や出店の数、軍兵など、混沌とした中央りでの商売は、今後の商売の行く末がかかっていた。

当初、数十分で売切れてしまうと予想していたクリスマスケーキ。


エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』



・・・しかし現実にはその予想は見事にはずし、結果的にはほぼ全品売れ残ってしまっていた。




エビちゅ『参りまちたね・・・・( ̄ω ̄ )』




エビちゅはその後もファンブルグ郊外などでも売り歩くのだが、
全く効果は出ず、商品ばかりが在庫に残るいっぽうであった。


時代の先駆者はいつの世も反感を買うと言われている。
少々の我慢は必要不可欠であったが、人一倍あるそのプライドは初年度赤字決算さえも認めることはできなく、エビちゅは天性の見切りの速さですぐさま事業撤退という苦渋の決断をしてしまうのだった。



エビちゅ『・・・ま・・・こんなもんでちゅかね・・・エビちゅが時代を早く走りすぎたんでちょうか・・・この起業もちっぱいでちたね( ̄ω ̄ )』




第壱百七拾四話

2009-03-05 | ~回想の章(エビちゅ編)~
    ~回想の章(エビちゅ編)~



朝日を爪とぎの光に使っているその女は、黒々とした光沢のある座り心地の良いであろう皮椅子に座っていた。




編集員A『編集長!!』

『・・・・・( ̄ω ̄ )』



デスクの間の道へはみ出たわずかな書類とけたたましく走る編集員Aのスーツの裾がぶつかり、積み上げられた書類が雪崩のように落ちてきている。



ドドドドドーーーー!!
ガサガサガサガサ~!!!



編集員B『あぁー雪崩発生~><!!』



編集長のデスクは東向き窓に隣接して置かれており、その女は重役と呼ぶに相応しいその椅子に座りながらくるっと回転すると、足を組み爪とぎをしたまま編集員Aへ体を向けた。



『なんでちゅか騒々しい( ̄ω ̄ )』


朝日がまるで仏の後光のようにその女の背から明るい日を差し込んでいる。

その顎を上げたまま部下へしゃべる態度は、部下へ半強制的に畏怖と尊敬の念を込めさせていた。しかしその非常に高慢な態様には裏付ける理由があった。



『また・・・また月刊誌の定期購読を・・断られました・・・』

『またでちゅか・・・いいんでちゅよ・・・・読みたくない者には読ませないのがいいんでちゅ・・・( ̄ω ̄ )』




その理由とは、人並みはずれた世論への鋭い指摘のみならず、雑誌編集会社の取締役としてわずか数年でトップ企業へ君臨するほどの業績である。
この女の名はエビちゅ。




ところが、最近になりその業績も伸び悩み始めており、定期購読紙などの安定した収入を見込める仕事が次々に断られ始めていたのだ。


イライラを示す貧乏揺すりを続けたまま、タバコに火をつけているエビちゅの元へ、またも奥の営業部から慌てふためきながら編集長デスクへ駆けて来ている者がいる。




編集員C『エビちゅ編集長ぉ~><!!!』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』



またも道へはみ出した書類とぶつかり、第二の雪崩が発生していた。




ドドドドドーーーー!!
ガサガサガサガサ~!!!




編集員D『あぁー何やってんだよ><!!!』




ぶつかるようにデスクへ到着するとまたしても同じ台詞飛ぶ。



編集員C『王室も・・・週刊雑誌・・エビちゅ編集長のぼやき・・定期購読・・辞めるそうです・・><』




看板雑誌として有名であった<エビちゅ編集長のぼやき>。
編集会社の要としてあったその雑誌は絶版を迎え、会社設立5年目にして傾くほどの打撃を受けてしまうのだった。



エビちゅ『・ふぅ・・この起業は・・・失敗でちたかね・・・( ̄ω ̄ )』





第壱百七拾参話

2009-03-04 | 本編
同日。夕の刻20時。

アーサーと名を変えたクルスは海賊団入団を果たし、新入りの手始めの仕事である便所掃除をやらされていた。


海賊船の便所は図体のでかい男達が何人も入れるほどの大きな作りであり、嫌な匂いが立ちこめるタイルが何枚も敷かれている。


あまりに汚れがひどいそのタイルは黒ずんでおり、毛の広がったブラシではうまく洗い落とせない。今までのクルスでは投げ出しているであろうその辛い作業に汗を垂らしながらクルスは今だかつてない程真面目に働いている。





・・・ジャッ!・・・・ジャッ!ジャッ・・・!ジャッ!



・・・・ジャッ!ジャッ!ジャッ!・・・・ジャッ!



アーサー『・・・・(゜Д゜;)』



その横に賊団員が現れ、次なる仕事を言いにやってきていた。



賊団員『おい!!まだおわらねぇのか!?何時間かかってんだ!!!』

クルス『・・・はい・・・すいません・・・(゜Д゜;)』



賊団員『次はエンジンの油差しだ!!あと1時間以内にはおわらせろよな!!のろまが!!』

クルス『(・・・くそが・・あとで目にもの見せてやるぜ・・(゜Д゜;)』



・・・ジャッ!・・・・ジャッ!ジャッ・・・!ジャッ!



・・・・ジャッ!ジャッ!ジャッ!・・・・ジャッ!



クルス『あと少しだ・・・・(゜Д゜;)』






・・・・・・


・・・・


・・



一方、りんら一行は同時刻、夕食を食べ終わりかけている頃であった。




りん『・・・ふぅ(*´▽`*)お腹いっぱい・・』

さっちゃん『ごちそうさまです!』

ヌコル『・・・モグモグ・・・』

透くん『パクパク・・・・』

王子『オムーはあまり食べていないようだが・・ーωー食欲はないのか?』

オムー『さっき嫌って程に水と魚を丸呑みしたんでな・・・=ω=.;』

ハプティ『www』

クルツ『ねぇねぇ(^Д^)そろそろ食後のお菓子タイムでしょ!?』





クルツは貯蔵庫からいつもの食後のお菓子などをテーブルへ運んできている。




hanana『はは^0^とうとうエビちゅの話!緊張してる!?』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』




エビちゅのマイ酒である<いいちこ>が入った一升瓶を音を立て開け、まるごと口にあて、豪快に飲んでいるエビちゅ。




・チュポンッ!!

・・ゴクッ・・・ゴクッ・・・グビッ・・・




エビちゅ『・・・ぷはぁ~・・・( ̄ω ̄ )』

hanana『お酒に夢中だ( ゜▽゜;)』




クルツは皆が座る席へそれぞれの好みのお菓子を既に憶えているのか、取り分けて手際よく配っている。




王子『なんじゃ^ω^クルツはりきっとるのぉ』

クルツ『うん(^Д^)!!』

hanana『エビちゅのお菓子ちょっともらうよ^0^』

エビちゅ『しょうがないでちゅね・・・( ̄ω ̄ )』

メイド『今日は誰が話しするの?』

王子『・・・・ーωー』

りん『・・・・^^』



暫しの沈黙を破ったのはオムーであった。



オムー『じゃぁ・・俺がしようか=ω=.?』

りん『おぉー(*´▽`*)まってました』


オムーは昔話の構成を整える為か少し沈黙すると、軽く咳払いをしてゆっくりと話し始めるのだった。


hanana『わくわくo^0^o』

クルツ『わくわくo(^Д^)o』

エビちゅ『ゲフッ・・・( ̄ω ̄ )』



オムー『あれは俺が第一連隊に入ってから、半年くらい経ってからだったかなぁ~・・・=ω=.』



  次回  ~回想の章(エビちゅ編)~






第壱百七拾弐話

2009-03-03 | 本編


あれから数時間後。夕の刻18時。
夜勤後の睡眠をとったオムーは夕方には目を覚まし、船の横腹に座り魚釣りをしていた。


オムー『・・・・・=ω=.』

 

オムーはじっと釣竿の先を見ており、魚のあたりサインである引きがくるまで待ち続けている。

オムーの趣味でもあるこの魚釣りは精神集中の特訓でもあり、じっと獲物がくる忍耐力を養う特訓でもあった。

すると夕方までの仕事を一通り終えたメイドがオムーの後ろにいつの間にか立っているのだった。

 

メイド『・・・・・・なんか釣れた?』

オムー『お・・メイドか・・ぜんぜん釣れねぇお=ω=.』

 

オムーは船の横べりに足を投げ出すように座り、顔は半身でメイドに答えた。

 

メイド『おいしい魚釣ってよね!』

オムー『期待すんなお=ω=.ここは何が釣れるかわからんお』


メイド『今日も楽しみ・・今日は夕ご飯終わったらエビちゅの昔話するんでしょ?あとhanaちゃんの話もするのかな・・・』

オムー『エビちゅの話は楽しみだなー=ω=.昔を思い出す・・・』


起きて間もないオムーは大きなあくびをした。


オムー『ふぁ~ぁ・・・・・・=ω=.俺目の下にクマできてるだろ?』

メイド『元からクマっぽいのが目の下にあるからよくわからないわ』

オムー『てめぇwwばばあww』


一呼吸置き、メイドはしゃべりはじめた。

メイド『ねぇ・・・オムー』

オムー『=ω=.?』

メイド『そういえばオムーって小さい頃・・・ファンブルグでお店やってたんでしょ?』

オムー『あぁ・・親父の店か=ω=.?肉屋だぉ。ファンブルグでは当時、相当有名だったらしぃぉ・・』

メイド『へぇー有名だったんだ』

オムー『親父が兵士になった頃には閉店しちゃったけどな・・=ω=.』

メイド『なんていう名前だったの?お店』

オムー『俺のフランk・・・ぁ・・ぃゃ・・ぇっと・・肉屋バルタルトだったぉ・・たしか・・・・=ω=.;』

メイド『今なんか言い直さなかった?』

オムー『そ!そんなことないお!・・と・・とにかくおいしいんだぉ=ω=.;』

メイド『もっと早くからオムーに会いたかったなぁ・・・』

オムー『(・・ふぅ・・・親父の店の名前やばいからな・・なんとか誤魔化せたかな=ω=.;)』

 

オムーの昔経営していた肉屋は<俺のフランクフルト>。
何かと勘違いされてしまうそのセンスのない父の考えたネーミングは大人になってから気づいたことであった。

恥部でもあるその店名を言いそうになってしまい、必死で誤魔化そうとしているオムーは、メイドが一人呟くように言った言葉を右から左へ流してしまっていた。


メイド『・・・はぁ・・・』


メイドは、キャビン壁にもたれ掛かりながらオムーを見つめ、小さいため息をついた。


オムー『・・ん=ω=.?今なんか言ったかぉ?』

メイド『・・・・・・。』

 

りん『みんなー夕食できたよー!!集合ぉ~^^』


その時、二人の会話を遮るように日勤者にとっての夕食の掛け声が聞こえてくるのだった。

 

オムー『・・・・俺にとっては朝メシか・・・・腹減った・・=ω=.』


メイドは一人キャビン中に入ろうと話途中のまま歩き出してしまっており、慌てて再度聞き返すオムー。

 

オムー『おーい=ω=.!メイド!今なんかいってたよな?なんだぉ?』


キャビン角に曲がり、姿が見えなくなる寸前に立ち止まったメイドは暫く黙り、クルッとオムーの方へ振り返った。

 

メイド『(>┰<)ベーッだ!! 』

 

すぐさまキャビン中に入ってしまっているメイド。
オムーにとってはわけがわからない始末であった。

 

オムー『・・・・・・なんだぉそれ・・・・=ω=.』


皆がキャビンに入っていく中、突如釣竿の先が海面に強く引っ張られているのに気づくのだった。


・・クンッ!!!

・・・・・・クンクンッ!!!!!


オムー『おぉー=ω=.!!!!きたきたきた!!!やったぉ!!これでけぇぞ!!』

 

その引き具合は今までに見たことの無い重量を感じており、オムーは力いっぱい抵抗し、引き上げている。

 

・・・・グンッ!!

・・・グルンッ!!!!グルンッ!!!


海中の中で逃げ惑う魚。糸は切れそうになるほど張り詰めている。


オムー『やべぇ・・これは相当でかいぉ・・=ω=.;!!』

 

オムーが糸を引き、海面に魚を近づければ近づけえるほど、魚は身の危険を感じたのか尚いっそう増し始める引力。

 

・・・ググッ・・・・ギギギギギッ!!!

 

オムー『・・これは・・洒落になんねぇぉ・・・≫ω≪.;』

 

・・・・・ギュウンッ!!!!!

・・・・・・・・・・ギュウンッ!!!


海面に渦巻きが出来るほど魚は大きく回転し、エサをぶん取ろうとしているようだ。


オムー『・・・・ピ・・ピンチ・・・・・≫ω≪.;』

 


一方、キャビン中。
他一行はご飯やおかずを配り終わり、食卓テーブルに座っている。

今日のテーブルに盛られたおかずは多国籍の料理。バイキング形式で大皿がいくつも並んでおり、皆その多種多様なおかずに釘付けである。


王子『このカシューナッツ入り野菜炒め・・・うまそうじゃのぉ~ーωー;』

エビちゅ『それはつまみにも合いまちゅね( ̄ω ̄ )』

クルツ『・・・・ゴクッ・・・早くたべたい・・(^Д^;)』

hanana『ハナそこの骨付きお肉たべたい><ノ!!』

さっちゃん『えぇ~それ僕も欲しいぃ~><』

りん『みんなの分あるからね^^喧嘩しちゃだめよ』


りんはお茶を注ぎながらクルツたちに注意を呼びかけている。



ハプティ『そのお茶なぁーに(=´w`)?りん』

りん『これはね~ハプティが買ってくれたフルーツを使って作ったお茶だよ^^』

王子『随分と甘い香りだのぉーωー』

りん『なんのフルーツを使ったでしょう(*´▽`*)』

ハプティ『りんご(・w・´)?』

りん『ブブー^^』

 

順々に注がれていくお茶。hananaのティーカップに注がれると、その立ち登った湯気に合わせてhananaは鼻の穴を大きく開けて無邪気に吸い込んでいる。


hanana『すぅー^0^』


それを真似するようにクルツも思いっきり吸い込んでいる。


クルツ『すぅー(^Д^)』


りん『わかった^^?』

王様『おろーωー?オムーはおらんなぁ・・どうした?』

メイド『さぁ・・釣りに夢中なんじゃないの?』

hanana『わかった^0^!!』

りん『ハナちゃんどうぞ^^!』




エビちゅ
『マンゴーでちゅね( ̄ω ̄ )』

ハプティ『声でかw』

りん『あたりwww』

hanana『ひーーーーんT0T今ハナ言おうとしたのにぃぃぃ~!!!』

 

途端に部屋いっぱいに轟かせ大声で泣き出すhanana。
やや慌て気味にエビちゅはなだめている。


エビちゅ『そんなことで泣くんでないでちゅよ( ̄ω ̄;)』

ハプティ『エビちゅ大人気ない(・w・´)』

hanana『えーーーーんT0T!!!』

りん『はは^^;』

エビちゅ『わかったでちゅよ・・・あとでお菓子すきなのあげるでちゅ( ̄ω ̄;)』

hanana『・・・・ぐす・・・ほんと;0;?』

エビちゅ『だから静かにするでちゅ( ̄ω ̄ ;)まったく・・』

hanana『・・ぐす・・・ヒック・・・・ヒック・・・;0;』

りん『さぁそろそろ食べましょー^^冷めないうちに』

 

 

さっちゃん『いただきまーす』

ヌコル『頂きます』

透くん『いただきます・・・あ・・茶柱が立って・・』

ハプティ『えっほんと透くん(・w・´)!!』

透くん『・・・たらいいな・・』

ハプティ『・・・・・(ーwー´)』

りん『頂きまーす(*´▽`*)』

王子『これはおいしそうじゃ(*´ω`*)』

クルツ『いっただっきまー(^Д^)』

エビちゅ『いただきまちゅ( ̄ω ̄ )』

hanana『・・・グス・・・・いただきます・・;0;』

メイド『いただきます』

 

とその時、突如キャビン食卓のドアが勢いよく開くのだった。


バタンッ!!!!

 


雨は降っていないはずであったが、そこにはずぶ濡れになったオムーが立っている。髪はボサボサに、服もビショビショに濡れ、お腹はどういうわけかパンパンに膨れ上がり、服のポケットには小魚が紛れ、時折そのポケットから飛び出てきた魚はピチピチと威勢よくオムーの足元で跳ねている。

オムー『・・・・・・ただいま・・・=ω=.;』


hanana『きゃはははははははっ(≧∇≦)ノ彡オムーさんどうしたのぉーw』

クルツ『www』

ハプティ『なぜビショ濡れwww』

透くん『・・・・・。』

メイド『あんたこの寒い季節に海水浴?趣味にも程があるわ』

ヌコル『わたし・・すぐに着替えもってきますね!』

えびちゅ『・・・グビッ・・美酒でちゅね・・これも( ̄ω ̄ )』 

王子『エビちゅ、その醤油とってくれぃーωー』

りん『オムーwどうしたのw?』

さっちゃん『まさか・・落ちたんですかw?』


オムー『・・・ま・・まぁ・・生きていればいろんなことがあるさ=ω=.;深くは聞かないでくれぉ・・』


第壱百七拾壱話

2009-03-02 | 本編
ここはティルコネイル。
夕過ぎの波止場。
通常であれば商人などが目に付くその場所も、海賊団がお忍びで止まっている噂からか、船近くの道を通る者は人っ子一人いない。

枝葉で大砲が隠され、大きな海賊マークがついた帆も畳まれており、カモフラージュされた大きな海賊船。




賊団員『やる気はあるみてぇだなぁ!』

クルス『はい(゜Д゜)!!あるであります!!』



何を思ったか、ヴィッカル海賊団に入団の申し入れをしているクルス。

度重なる戦いにより傷を負ったその顔は、かえってファンブルグ国の元兵士だということをうまく隠してくれていた。普段着ていたエスカルとしての鎧はすでに持っていない。


顔を傾け椅子の肘置きにもたれ掛かりながら、賊長は長い髭をさすり、クルスの問答をする目を見ている。



ヴィッカル『・・・・・・(ーД●)』




賊長ヴィッカルの横にいる団員が質問を続けた。



賊団員『名を名乗れ』

クルス『・・・・俺の名は・・・・(゜Д゜)』


一瞬間を置き、また新たな名を考えついたクルス。





クルス『・・・・アーサーだ(゜Д゜)』

ヴィッカル『・・・・・・・(ーД●)』

賊団員『ガーハッハッハッ!!知らん名だ!!まぁいい、我らは賞金稼ぎだ!!おまえの命は今日からこのヴィッカル様のものだ!承知したか!?』

アーサー『あぁ・・・承知した(゜Д゜)』

賊団員『まずはおまえは便所掃除からだ!!いけぇ!!』

アーサー『わかった(゜Д゜)』



そういうとすぐに戦上奥の団員に案内され、便所掃除へ向かうクルス。



団員『ヴィッカル様。明日出発予定で特段変更はありません。』

ヴィッカル『うむ(-Д●)』


第壱百七拾話

2009-03-01 | 本編
翌日。昼の刻15時。
昨日の雨雲は過ぎ去り、綺麗な青空が広がっていた。


夜勤と日勤のメンバーは交代の時間を終え、船首にはhananaとクルツがいつも通りに警備のため座っている。


そしてなぜか夜勤の王子までもhananaとクルツに紛れ、船首の小さい椅子にお尻をギュウギュウに敷き詰めるように腰掛けながら、3人で並ぶように昨夜出されたお菓子の残りのプリッツを食べていた。


王子『ばーりぼーり ばーりぼーり^ω^』
クルツ『ばーりぼーり ばーりぼーり( ^д^)』
hanana『ばーりぼーり ばーりぼーり^v^』




夜勤警備の試練は寒さであるが、日勤の者にとっての試練は海面からも反射される強い日照りである。

昼間一日中、船首椅子に座っていることで、二つの太陽がhananaとクルツ二人の顔をきれいに小麦色に変えていた。



王子『そういえばhanaちんとクルツはここ2ヶ月くらいで随分と顔が焼けたのぉ(*´ω`*)』
クルツ『ばーりぼーり( ^Д^)うん!焼けた!』
hanana『ばーりぼーり^0^焼けた!王様は眠くないの?』
王子『わしはhanaちんたちと居れば眠くはならんぞ(*´ω`*)』



夜警備室で寝てしまっている王様は、日勤のhananaやクルツたちへお菓子を持っていき食べていることもまた最近の日課であった。



3人が座っている場所は、たくさんのカモメが長い空の旅の羽休みに停まることもある。綺麗にスライスされたフランスパンを小さくちぎって空中に投げると、それが海面に着地するまえにカモメがキャッチする。


王子『ほれ^ω^ もういっかいじゃ』
hanana『キャッキャ^0^カモメさんナイスキャッチ!!』
クルツ『オーモロー(^Д^)!!』



りんは夕食の仕込みに入っていた。11人分の食事となれば食事も大変な作業であり、そのヘルプの為ハプティもキッチンに入っている。



ハプティ『りん~(`・w・)じゃがいもって今日使うの?皮むこうか?』

りん『うん^^ありがとー』



一方、メイドは11人分の洗濯を、さっちゃんは船舵を、エビちゅはキャビン上の警備室、ヌコルは船尾にて警備をしている。


もっとも高い位置へ昇り終えた太陽は西へ落ち始めていた。ファンダシム大陸まであと少し、皆の長い航海は今はまだ順調だ。この先、航海にて急迫の事態に陥ることは誰も知る由も無い。

第壱百六拾九話

2009-02-28 | 本編
ひよこギルドの皆が大航海を始めて2ヶ月半。
一人航海を断ったクルスはフラティウス闘技場の戦いが終わると、行き付けのレストランで夕飯を食べるのが日課となっていた。


身元がばれない為の偽名、エスカルという名で名声を欲しいままにしているクルス。ハマヌーンの闘技大会の優勝枠はもはやエスカルの為にある。


行き付けのレストラン出入り口では、待ち伏せたファンの黄色い声が飛んでいる。



『エスカル様ぁ~^0^!!!!』

『キャー!!!!』

『キャーーーー!!!エスカルさま握手してぇ~!!!』

クルス『・・・・・・(゜Д゜)』



女性の声などに見向きもせず、クルスはレストランへ入っていくと、支配人がいつもの挨拶をし、深々と頭を下げた。


支配人『お疲れ様でございました。』

クルス『今日は何が獲れた(゜Д゜)?』



一般客が入ることは無い高級ブースのあるレストラン奥に位置するVIP席に当然のようにクルスは案内されながら、いつも通りの夕食のメニューについて話している。


支配人『今日はハマヌーンの沖合い、300m先で獲れた壷貝と新鮮なお魚、ゴールドフィッシュがございます。』

クルス『それにしてくれ(゜Д゜)』

支配人『かしこまりました。』



そのVIPルームは10㎡ほどの部屋。
クルスはやっと落ち着いた一人の空間に入れたことによる安堵のため息を漏らした。


クルス『・・・ふぅ・・・・(゜Д゜)』



程なくすると、珍しく隣の部屋に客がおり、酒酔いの大きい声が聞こえてきた。




『ガーハッハッハッ!!』

『ワッハッハッハッ!!!』

『いい気味だ!!!ガッハッハッハッハッ!!』




クルス『お・・珍しく隣のVIP席にも客がきてるんだな(゜Д゜)』



『おいっところであの件はどうなった?』

『行き先はファダシム大陸。航路はアコー海域を横切るように進んでいるようです。』

『奴らめ・・しぶとい奴らだぜ・・懸賞金は今どうなっている?』

『ファーレン国王には180mGまで跳ね上がってますね。』




聞きなれない声の連中らは聞きなれた名前を挙げて話していた。




クルス『・・・・(゜Д゜)!!!』





『航路はほぼ直進。我々の船であれば一週間ほどで追いつくと思います。賊の士気は出発前から最高潮です。』

『ガーハッハッハッ!!そうかそうか』

『ハッハッハッ!!これで奴らも終わりだぜ・・』

『明後日には出発できるかと。』

『うむ』




クルスの目の前へ支配人と配膳係りが料理を運んできている。



クルス『・・・・・・(゜Д゜)』

支配人『おまたせいたしました。エスカル様。』

クルス『おい、支配人(゜Д゜)隣にいる奴らは?』

支配人『・・・ぁ・・はぃ・・・先日からこの町へ来ているようです。』



途端に小声になり、クルスの耳元でしゃべりだす支配人。




支配人『海賊団ヴィッカルです・・・例のファンブルグ国の残党狩りの者たちです。・・・』

クルス『・・・海賊団か・・(゜Д゜)』

支配人『しかしまだ残党狩りをやっている輩がいるんですね・・もうすでにファンブルグ国の方々は絶滅したという噂が流れていたはずなんですが・・・』

クルス『・・・・・(゜Д゜)』

支配人『エスカル様もお強いかと思いますが・・あの連中にだけは関わらない方がよろしいかと思いますよ・・・』



クルスは暖かいスープを口にし、何かを考えながら料理を食している。




クルス『・・・・ズズ・・・・(゜Д゜)』

第壱百六拾八話

2009-02-27 | 本編
冬の大海原にて航海を続ける一同。
冷たい雨がキャビンの天窓にポツポツと当たっている。

全員りんの話に夢中になり、目の前にあるお菓子に伸ばす手も止まっていた。




りん『・・これがオムーの入隊までの経緯でした(*´▽`*)キャ』



夜の海。
天窓と雨粒の当たるランダムな音と対称的な置き時計の等間隔の音を
聞きながら、皆はしみじみと昔話の余韻に暫し浸っている。




チク・・タク・・チク・・・タク・・・・

ポツ・・・・ポツポツ・・・・ポツ・・・・ポツ・・




メイド『・・・いい話ね・・』

ヌコル『・・・・よかったです・・。』

さっちゃん『おもしろかったですぅ~!!』

オムー『・・・=ω=.;』

ハプティ『わたし・・・ちょっと水一杯飲んでくる(〃w〃)』



酒だけのせいではなく顔を赤らめたアメルは席を立ち、そそくさとキッチンに向かって部屋をでていってしまっていた。




hanana『オムさんかっこよかったでし^0^』

エビちゅ『ゲフッ( ̄ω ̄ )』



王子『しかし・・ハプティとオムー・・お主らそんな関係だったのか・・ーωー』

オムー『関係ってw普通だぉ=ω=.;』



クルツ『でもすごいなーwオムーさんも強いんだねー(^Д^)クルスさんどっちが強いのかなぁw』

りん『一度も戦ったことはないんじゃないかな・・見てみたいわね^^』

王子『わしとしてはそんなことより、男女のより奥深い大人の話を聞きたいものじゃなーωーグフフ』

メイド『・・・コホン・・』

オムー『王様は何を期待してるんだぉ・・(¬ω¬*)』

王子『・・・・ーωー』

エビちゅ『ゲルルルルッゲフッ( ̄ω ̄ )』



幾度と無く出ているエビちゅのゲップはもはや突っ込む者はいない。


楽しさから麻痺されたりん達の体内時計に夜遅い時間を教えるように、透は大きな口を開けあくびをした。


透『ふぁ~ぁ・・・眠い・・』



するとメイドも釣られてあくびをしながら、やや野太い声を作りつつしゃべっている。


メイド『とりあえず今日は寝ない?りん』

りん『そうね^^;』


りんはキャビン室の食器タンスの上の時計に目をやると、
すでに針は深夜2時を指しているのだった。


りん『あーもう2時だよwねよー^^;夜更かしはよくないよ』

オムー『・・俺は夜勤か・・げ・・・雨降ってんじゃん・・』



見るとキャビン天窓には、極端な寒さによってシャーベット状のみぞれに
なった雨粒がついている。見るからに外は寒そうである。



王子『わしは寒さには弱いんじゃぞーωー;』

オムー『王様はキャビン上の警備室だろ?まだ風よけがあっていいじゃんかw俺んとこは船首だぞw?風もろだぉ=ω=.;』

メイド『男なんだから寒さくらいでつべこべ言わないの』

オムー『こういうときだけ男って言葉だしやがって=ω=.;』

透『わたし・・船尾で寝たら・・・多分・・凍死する・・・』

りん『がんばってw透ww』



一斉に皆立ち上がり、昔話を終えてしまうことに不服なhananaとクルツが膨れた顔で座り続けている。




hanana『えーやだやだやだぁ~><!!』

クルツ『やだやだぁ~(>Д<)ノ』



次々とりん達が各自の部屋に戻っている側で、エビちゅがよろけた足でhananaたちを強引に立たせている。




エビちゅ『hana!いい子は黙って寝るでちゅよ( ̄ω ̄ )ゲフッ』

hanana『エビちゅお酒くさぁ~ぃ><』




渋々立ちあがったクルツとhananaは押されるようにそれぞれのベッドに連れて行かれており、ハプティは水を飲み終わったのか、その姿を横目で見ながらキャビン中央のテーブルに帰ってきていた。



ハプティ『あれ(・w・)みんなは?』

エビちゅ『ゲフッ( ̄ω ̄ )お開きらしいでちゅ』

ハプティ『なんだ・・つまんないの(・w・)』

エビちゅ『じゃぁわたちはもう寝るでちゅよ( ̄ω ̄ )』



テーブルから離れて自室へ戻ろうとするエビちゅの背中を見つつ、含み笑いをしているハプティ。


ハプティ『ねぇエビちゅ(=´w`)明日の晩ご飯の後は多分エビちゅの番だね』

エビちゅ『・・エビちゅは・・・たわいもない人生でちゅよ( ̄ω ̄ )』

ハプティ『またまたぁ~(=´w`)』



歩みを止めたエビちゅは、帰り際、ハプティに背中を向けながらそっと捨て台詞を言い放って戻っていくのだった。



エビちゅ『オムーは今寒がってるかもしれないでちゅね・・・寄り添って暖めてあげるといいでちゅよ( ̄ω ̄ )・・おやすみでちゅ・・』



ハプティ『ちょw』




そういうともう既にエビちゅの姿は部屋に入ってしまっている。



ハプティ『・・・・もぅ・・・(´゜w゜`)』



凍えそうなくらいに冷たそうなみぞれが窓ガラスに張り付いていることに気づいたハプティは、無論そのまま寝ることはできなかった。




ハプティ『・・・・コーヒーでも入れてあげよかな・・・(´゜w゜`)』

第壱百六拾七話

2009-02-25 | 本編


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オムー編エンディングお勧めyoutubeページBGM。
http://www.youtube.com/watch?v=S6JhUcY_lAo
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日差しが暖かい。
いくつもの子供達を目の前まで連ね、眩しいくらいに輝いている太陽。

冬の寒さに刃向かうその暖かい眼差しは動植物たちに一足早く春の訪れを告げ、道端に咲く花の微笑みもその幸せを祝しているようである。


ファンブルグの時計台を見ると既に約束の時間になっており、落ち着かない様子で辺りを見回しているオムー。


オムー『・・・・・そろそろアメルくる頃かな・・・あれ・・なんか・・この場面どっかでみたな・・=ω=.』

 

小振りでありながら艶やかな花を持ち、一張羅の晴れ着を来たオムーは待ち合わせをしている。


相手を好くこと。時間を、場所を、空間を、心と体を共有したくなるその至極単純な感情は、お互いの距離を縮めた理解の延長である。少しくらいの待ち合わせ時間の遅れなど今のオムーにとっては何の事は無かった。


すると噴水のある広場中央を挟み、向うの側から人を探すように辺りを見回しているアメルが顔を出していることにオムーは気づくのだった。

その姿は、今までに見たことの無い可愛らしい服を着ている。


オムー『(・・ぁ・・来た・・・カワイ・・・・=ω=.)』

 

アメルもオムーの姿に気づいたのか、背伸びをしつつ満面の笑みで手を振っている。

 

アメル『オムー!!!(●´w`)ノシ』


オムー『アメル!!!=ω=.ノシ』

 

屈託のない笑顔を見せ、オムーのいる場所まで走ってくる姿やその全ての一挙手一投足は、オムーの感情を助長させている。楽しさと嬉しさと恥ずかしさ、甘酸っぱいオムーの恋は確かな気持ちを持っていた。


オムー『・・ん~やっぱりこの光景・・どっかで見た・・=ω=.・・・まいっか・・』


まだお互い見慣れていない二人は目のやり場に困り、そわそわと落ち着かない。アメルが着くや否や、オムーは照れながらその花を差し出すのだった。


オムー『これ・・・=ω=.』


アメル『うわぁ~綺麗!!わたしに!?ありがとう(●´w`)実はわたしもね・・・渡すものがあるんだっ!』

オムー『なんだぉ=ω=.?』




神通力といっても過言ではないオムーの一途な思いは通じたのかもしれない。


新たな獅子を仲間にしたファンブルグ国の歩みは止まらない。
そう・・この二人のように・・物語は今始まったばかりなのだ。



オムー『じゃぁいこうぜ=ω=.ノ』

アメル『いざイノセントパークへ(・w・)ノ!!』



  ~回想の章(オムー編)~  完







第壱百六拾六話

2009-02-24 | 本編


先日の救出劇と大勝利を収めたファンブルグ軍は、城にて祝杯をあげていた。
勝利の喜びに笑うもの、泣くもの、酔いつぶれるもの、普段は全兵員など収容しきれない城内のあらゆる部屋や道などの地べたに兵士たちは座り、無礼講とのことで皆、慶び浸っている。

 

一方、第一連隊は王室横に位置する待機所にて集まり、新しく入ったオムーの歓迎会を始めていた。


松葉杖をしているトカマクは、おぼつかない足でやっと立ち上がり、ワイングラスを片手に乾杯の音頭をとった。


トカマク『かんぱぁ~い^^オムー入隊おめでとう』

りん『オムーおめでとう(*´▽`*)』

クルス『よかったな(゜Д゜)』

アメル『おめでとぅ(●´w`)』

衛兵1『おめでとうございます』

王様『ふぉっふぉっふぉっ^ω^』

オムー『なんか照れるな・・これからよろしくだぉ・・みんな・・=ω=.;』

 

 

バレンタインデーというファンブルグ国内イベントを合戦によって参加できなかった第一連隊の為に、今日はりんはたくさんのチョコを作ってきているのだった。

 

りん『はぁ~い(*´▽`*)チョコ作ったよ~』

衛兵2『待ってましたぁ><!!!』

 


りんが作った12アソートのチョコはそれぞれ12個のテーマを持つ創作チョコ。
いくつもの箱をあけると甘いチョコレートの香りが部屋いっぱいに香ってきている。

 

トカマク『うわぁ~^^おいしそう!』

王様『のほ(*´ω`*)これはおいしそうじゃ』

アメル『・・ズズ(゜w゜*)』

 


次々とトカマクや他兵士たちもりんの箱の中に手を伸ばし、舌鼓を打っている。

 

オムー『・・・ポリッ・・・ポリッポリッ・・うん=ω=.うまい・・・』

衛兵1『いけますね^^』

クルス『俺はチョコ苦手だが・・このビターチョコはうまいな・・(゜Д゜)』


アメル『りんー(`・w・)このチョコすごい綺麗だねっ!テーマはズバリなに!?』

りん『・・ぁ・・それは・・せっかくだから一個作ったんだ・・・一応LOVEをテーマに^^;』

アメル『おぉー(=´w`)いいねいいねっ』

 

衛兵2『ぼくがもらいましょう!!』


りん『ぶww』

クルス『落ち着けおまえはww』

 

そう言っている隙に王様が手を伸ばし、そのチョコレートを一口で食べてしまうのだった。


王様『・・バクッーωー・・・ほむ・・・』

衛兵2『あぁぁぁぁああぁぁぁ><!!!王様ぁ~!!!』

王様『・・バリッポリッ・・ほむ・・愛を感じるのぉ・・(*´ω`*)』

アメル『www』

りん『あぁーwいろんな味が楽しめるのに一口で食べちゃった王様w』

 

数日遅くバレンタインデーを味わっている第一連隊。
ワインなどの酒もすすみ、皆がその仲間との時間を愉しみんでいる中、オムーはテーブルを移動し、アメルと何やら話している。


りんはその様子がふと目に入り、見るともなく見ていた。


ふたつのテーブルを挟んだ距離。
他の兵士たちの会話が耳に入り、アメルとオムーは何をしゃべっているかわからない。しかし、クルスと同じようにりんにも大よそ察しはついていた。

 

アメル『*****!(*・w・)』

オムー『***・・******・・****・・=ω=.』

 

緊張した面持ちでアメルに話しかけるオムー。
顔を赤らめながらも驚くアメルの表情。



りんが離れたテーブルを見つめ、微笑ましい表情をしていることに気づいたクルスは不思議に思い、質問をぶつけている。
 

クルス『ん?・・どうした(゜Д゜)りん』

りん『ううん^^なんでもない』



王様『衛兵2~ーωー*ノ酒はよおかわり持ってこぉ~い!!』

衛兵2『はいはいはいはい~wもう~wペース速すぎなんですよ~w』



りん『・・・フフ(*´▽`*)がんばって・・オムー』


第壱百六拾五話

2009-02-22 | 本編
もはや外見上は陥落している北拠点。
火山口から吹き上がる噴煙のように、北拠点のあちこちの塔や建物から煙や火の気が上がっている。

拠点内にいるエステンブルグ兵たちは完全に殲滅目的に残兵必死の捜索をしている状態である。



外壁が砲弾により抜け落ちたトカマクとアメルのいる塔の部屋は、泣き尽くし顔を腫らしたアメルの顔にまとわりつくように、他場所からの煙を容易に招きいれている。


アメル『ケホッケホッ・・・・・』


体温低下を避ける為に着せられていたであろうアメルの上着を身に着けたトカマクはすでに意識を失っている。しかし今のアメルには既に起こす気力もなかった。

放心状態でトカマクの横で壁にもたれ掛かりながら座っており、それは自身の最後のときをトカマクと共に覚悟しているのかもしれない。




アメル『・・・・・。』

トカマク『・・・・・・・。』





すると、北拠点入り口付近で聞きなれない音が聞こえてきていた。


ズバーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
ドゴーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
ドドーーーーーーーーーーーーン!!!!



アメル『・・・・・・。』




アメルは黒煙が立ちこめる中、朦朧とした意識で外の景色が見えている。

あるはずのないその外壁は、アメルの目に今だかつてない驚きを与えるのだった。


それは、アメルの諦めかけていた仲間達の戦う姿が映っている。
りん、クルス、王様、衛兵たちが必死にこちらへ向かってきていた。




アメル『・・・ぁ・・・ぁれは・・・・・(´;д;`)みんな・・・きてくれてたんだ・・』



そしてなにより別人のような強さを見せ、猛然と自らの塔へ向かい突進してきているオムーにアメルは自身の目を疑った。

視界に入る一帯の敵を土や氷の魔法を放ちつつ剣で敵を一掃しているオムー。
その一直線に自らに向かう姿はおよそ以前見ていた姿とはかけ離れている。



アメル『・・・・・・あれが・・オムー?・・・すごぃ・・』


オムーの眠らされていた真の力を蘇らせたのは、素直なアメルへの思い。
恋する心は強く、理不尽な世の中へのアメルの怒りを代弁するようにエステンブルグという侵略国家の悪の権化たちを一掃していた。


枯れ果てでなくなっていた涙はまたもアメルの頬をつたっている。


アメル『・・・・・・(´;д;`)』







クルス『オムー(゜Д゜)!!もうすぐそこだぜっ!!援護するぜっ!』

オムー『サンキュー=ω=.!!!』





クルスとオムーの剣が絶妙なタイミングで絡み合い、次々と敵へクリティカルな打撃を食らわしていき、見る見るうちに北拠点へ近づいている。


クルス『りん!!あそこの塔にいる敵弓兵なんとかならねぇか(゜Д゜)!?』

りん『おk!!任せて!!!』



クルスの剣とりんの弓、オムーの魔法攻撃の三種三様の攻撃は、1万兵という兵員差を物ともせず、底知れぬ強さを誇示していた。





クルス『・・よぉしっ!!道が開けた(゜Д゜)!!!あの塔だ!!』

オムー『やった!!もうすぐだ=ω=.!!!!』

りん『前線部隊!!塔周囲50m円陣守衛!!!!』


りんの指揮の元、トカマクとアメルがいる塔を囲むようにファンブルグ兵たちが守りの壁を作っている。


クルスはその半壊した塔の入り口にオムーよりも先に到達し、いつもであればぐんぐんと先に進んでしまうのであったが、なぜかその時はオムーの到着を待っている。

そして間髪入れてオムーが到着するのだった。



オムー『・・ぜぇ・・はぁ・・ふぅ=ω=.;・・ここか・・』

クルス『・・・オムー(゜Д゜)!!アメルはこの上だ!!!
先にいってやれよ!!!』

オムー『・・・おう=ω=.!!!』


かつては人の気持ちを汲み取ることを苦手としていたクルスは、すでにオムーのそのまっすぐな気持ちがわかっていたのである。

オムーはその汲み取った気持ちを感じつつすぐに承知し、塔上階へ駆け上がっていく。



・・・・


・・





オムー『アメル=ω=.!!!!』


最上階へ着くと、そこには泣や土ぼこり、煙や血、様々なもので真っ黒になったアメルは泣きながらオムーに抱きつくのだった。

アメル『オムー(´>д<`)!!!きてくれたんだねっ!!!
こわかったよぉ~!!わぁぁぁあああぁぁん!!』


胸を貸しているオムーは黙ってアメルを包むように抱くとアメルは不安が和らぎ緊張が解けたのか、思い切り声をあげ泣いている。
その姿はエリート兵士、第一連隊の兵員ではなく寧ろそこにいるのは一人の女であった。


オムー『もぅ大丈夫だぉ=ω=.』


・・・・・


・・






トカマクとアメル救出後。
ファンブルグ軍は延べ14時間という長時間に及び、1万兵という差を乗り越え、逆転勝利を収めることができたのだった。


19××年代におけるファンブル軍によるトカマクとアメルの救出劇。
元来その北拠点は救いようの無い状態であり、見捨てるほか無いと考えられるほどの兵員の圧倒的な差、一万兵を差し置き、勝つことができた。

それは一重に、オムーによる敵への予想をはずした奇襲ともいうべき強さであり、その功績はかつての父と同じように語り継がれることになり、オムーの望みであった第一連隊への入隊のきっかけにもなったのであった。