ファンブルグ城からやや離れた東町総合病院。
そこはりん達の巡回警備前の集合場所でもある。
まだ集合時間に来ていないのは今日巡回警備担当の衛兵2のみ。
いつもの事ながら皆の顔が集まるまで、ひと時の仲間同士の駄弁りは今日も弾んでいた。
アメル『うわぁー!リンドブルム大きくなったねぇΣ(・w・ノ)ノ!』
クルス『そうだろ(゜Д゜)たくましくなったぜ』
オムー『人乗せて飛べれるんじゃないのか=ω=.;でかいな・・』
クルスはあれから成長したリンドブルムを自慢げに皆に見せている。
腰丈を優に超え、立派な羽を毛繕いしているリンドブルムは、自分のことを話していると気づいたのか、羽を広げ弾みながら皆へ応答した。
リンドブルム『グルッ・∞・!!グルッルー!!』
・・バサバサッ!!・・バサッ!!!
オムー『羽広げると余計にでかく見えるなw』
りん『かわぃぃ(*´▽`*)』
クルス『りんのそのヒヨコみたいなのもかわいいなぁ(゜Д゜)』
りんの足の裏に隠れくっついたまま、恐々と周りの様子を伺っているのは、りんの愛すべきペットであるひよこ。
りん『たまにしかお外出さないから怖がっちゃって・・^^;名前はシトロンですよい』
一同の視線が集まると恥ずかしいのか、必死にりんの足の後ろに隠れようとしている。黄色い毛なみの愛嬌のあるお腹をもったひよこは、細いりんの足では全てを隠しきれていなく、その触り心地の良さそうなお腹をはみ出してしまっている。
シトロン『・・ピヨ・・・ピヨピヨ・・(・Θ・;)』
オムー『かわぇぇ・・=ω=.;』
アメル『りんwその子戦闘用w?』
りん『観賞用向きかもwwメインの亀と合体させよかなーって思って^^』
クルス『それよりすげぇー気になるのがアメルの足元にいるそのドロドロしたの・・(゜Д゜;)なんだよそれ・・』
アメルの足元に青みがかった透明な粘り気のある液体がうごめいており、うっすらとアメルの革靴と地面の草がその液体から透けて見えている。
アメル『あ、これ?スライムだよ(`・w・)これで買うのは二匹目だよん』
アメルの足元で答えるように頭らしき突起物を出し、うっすらと目と口を出して皆に向かっておじぎのような動作を繰り返している。
小山さん『・・・・ドゥロ・・・・ドゥロロロ(´ρ`)』
クルス『・・・・・いい趣味してるぜ・・(゜Д゜;)』
りん『あ・・・目がちゃんとあるんだねー^^かわいいじゃん!名前は?』
アメル『小山さん(`・w・)』
りん『ぶwはwwwwww』
オムー『もっとペットらしい名前の方がww』
アメル『結構あたまいいんだよぉ~(`・w・)オムさんもなんか飼わないの?』
オムー『ん~俺はサボテンのペットが欲しいって最近思いだしてるんだぉ=ω=.赤サボな』
クルス『戦闘にはいいよな(゜Д゜)』
とその時、突如りんの胸元目掛けて飛び込むように、アメルのスライムは大きくジャンプした。
ピョンッ!!!!
りん『・・ぇ・・・。』
小山さん『(`ρ´)ドゥロン!!!』
今まで見せていたのっそりとした動きはまるで周りを油断させていたかのように、驚くほどの速さでりんの胸元に滑るように入っていく小山さん。
ドゥルンッ!!!!
アメル『ちょwww』
りん『きゃぁぁぁぁああああぁぁぁぁ><!!!!!』
オムー『・・・・・・=ω=.;』
クルス『・・・・(゜Д゜;)』
りん『ちょっと><いやぁぁぁああぁぁぁ!!!』
楽しんでいるかのような卑猥な音を立て、小山さんはりんの胸と服の間に挟まりうごめいている。
ドプンッ!!
プルンッ!!!プルルンッ!!!
小山さん『ドゥロンッ・・ドゥロロロン(´ρ`)』
アメル『さーせんww頭いいだけじゃなくエロさも兼ね備えていた模様ですww』
りんの胸元で一通り暴れると満足したのか、小山さんは何事もなかったかのように元いた場所にドロドロと戻ってきていた。
小山さん『・・・・ドゥロン・・・・(´ρ`)』
アメル『満足したようですww』
りん『痴漢><!!』
クルス『・・・・(゜Д゜:)』
オムー『・・・・何も言えねぇ=ω=.;』
りん『・・・・もう近づきたくない・・・(--;)』
するとやや遅刻して衛兵2がくるのだった。
衛兵2『・・す・・すいません><;!!寝坊しましたっ!』
クルス『おせーぞー衛兵2(゜Д゜)』
アメル『わたしも遅刻多いので文句は言えず・・』
衛兵2『ぁは^^;申し訳ないです・・』
りん『王様は巡回お付き合い今日するんだっけ?』
衛兵2『えっと・・今日は王室図書館でお読み物だと思います^^』
オムー『珍しいな・・・最近はよく巡回を散歩と錯覚してついてくるのに=ω=.』
アメル『ww』
・・・・・・・・
・・・・・
・・
ここは王室図書館。
今日は珍しく図書館に篭り、王様は黙々と本を読んでいる。
王様『・・・・ーωー』
僅かに外の木々から聞こえる小鳥のさえずりが心地よく、誰にも邪魔されないこの空間が王様は好きらしい。
・・・・・チュッ・チュッ・チュッ、チチチチチチ・・・・
・・・・チュ・・・・チョッ・チュ・・・・チュ・・・・・・
その王様が見ている本は、母校でもある学校の卒業アルバム。
昔を思い出しながら、穏やかな面持ちでページをゆっくりとめくっている。
王様『思い出すのぉ~・・・・・^ω^』
そのアルバムには懐かしき旧友の顔写真が並んでいた。
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卒業アルバム
年組
レンリン メンス ルフィティア プラト リューク レイ
タツボン ミアス マイ オードリー フィーネル シグナ
パワフル バニシア シュクユウ ファーレン サバキ コミミ
チクリュウ □□□□ リフューズ ヘルガ クリスティーネ
レグルス チョピ エアリス スザンヌ ビスコ スティール
∞∞ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー∞∞
王様の名前はファーレン。
年組にその名前と若かりし頃の自分が笑顔で写っている。
一人一人の友達の名前と顔写真をみていると、当時の思い出が走馬灯のように次々と思い浮かんでくる。
とその時、その顔写真の中で、一人分の枠が空いていることに王様は気づくのだった。そこに一人の名前と顔写真が元々入っていたが、後になって削除したと言わんばかりの不自然な穴だ。
王様『・・・・これは・・』
~ ここからの推奨youtube動画BGMです。
http://www.youtube.com/watch?v=SiFhjqeEvcE ~
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60年前に遡ったある日のこと。
冬の峠は疾うに過ぎ、桜のピンクの色でいっぱいに埋め尽くされている山々。春の暖かい日差しを浴び、花や草木も風に揺られて喜び踊っている。
ここはファンブルグ国の中でも古くからある有数の魔法学校。
数多くの名高き魔法使いやクレリックなどを輩出している名門中の名門。聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院である。
王様の幼き頃の呼び名はファーレン。
この魔法学校の第17期生。
本を読むのが大好きであったファーレンは、今日も学校帰りに歩きながら読み耽っていた。
ファーレン『・・・・^-^』
その隣にいるのは当時の親友。
物珍しそうにファーレンを横目に見ながら共に下校している。
エビちゅ『しかし好きでちゅね~ファーレンは( ̄ω ̄ )』
ファーレン『・・・・^-^』
エビちゅ『何がそんなに楽しいでちゅか( ̄ω ̄ )?』
本に集中しているファーレンが歩きながら持っている本のタイトルを見ようと、エビちゅはしゃがみながら後ろ向きで歩いている。
エビちゅ『・・・旧伝詩文書・・・( ̄ω ̄ )』
蟹股の後ろ歩き。
ひどく滑稽な格好で本のタイトルを読みながら歩くエビちゅを見てファーレンは、我に返った。
ファーレン『あはは^-^エビちゅ何してんの?』
エビちゅ『・・・おもしろいでちゅか( ̄ω ̄ )?』
ファーレン『うん^-^旧い予言書なんだよ。今から十数年経ったらね・・・・戦争が起きるんだってさ。それでね・・このファンブルグに英雄となる人たちが舞い降りて来て助けてくれるんだって!!』
エビちゅ『・・それ・・・ファーレンは信じてるんでちゅか( ̄ω ̄ )?』
ファーレン『うん^-^!!』
エビちゅ『・・・・ガキでちゅね~ファーレンは・・( ̄ω ̄ )』
ファーレン『うるさいなぁーw』
二人は入学当初からの友達である。
エビちゅはこの学校の断トツの首席で卒業しようとしている優秀な学生であり、それとは対称的に、ファーレンは落第ギリギリの落ちこぼれ学生。相反する二人の性格はどういうわけか引き合い、6年間を共に過ごしてきていた。
ファーレン『そういえばさ・・・そろそろ卒業だね^-^』
エビちゅ『でちゅね( ̄ω ̄ )』
思い出がいっぱいに詰まった広い校庭を側に、桜の木に囲まれた長い並木道を二人は歩いている。
ファーレン『エビちゅはいいなぁ~^-^就活始めなくても推薦すごいんでしょ?』
エビちゅ『いろんな所からオファーは来てまちゅけどね・・・( ̄ω ̄ )ファーレンは将来何になるつもりなんでちゅか?』
ファーレン『ぼく^-^?ぼくはね・・この国を治める王様になるんだヽ^0^ノ!!!』
エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』
ファーレン『それでね!この本にある伝説の獅子たちと仲間になってこの世から戦争を無くすように頑張るんだヽ^0^ノ!!!』
エビちゅ『・・・0,0000001%くらいの確立はあるんじゃないでちょうかね・・・ファーレンが王様になったら、その時はエビちゅは銀河系の神になってまちゅね( ̄ω ̄ )』
ファーレン『ぶwひどいなーww』
卒業まであと数日。
二人のいつもの下校も数える程しかない。
これからの大きな門出を祝うように桜の花びらが舞っており、その並木道を歩く二人を大げさな程に包み込んでいた。
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・・・・・
・・・
・
枝葉の間からさし込む日光が窓から優しく王様の手元を照らし、静かな王室図書館には昼終わりの小鳥のさえずりがまだ聞こえてきている。
・・・・・チュッ・チュッ・チュッ、チチチチチチ・・・・
・・・・チュ・・・・チョッ・チュ・・・・チュ・・・・・・
王様『・・・今どこで何をしておるのかのぉ・・・。』
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