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眩しい太陽・・美しい月・・そして世の中所詮金でちゅ

伝説の獅子たちが活躍する笑い泣き感動ありのアクションストーリー (c)2008hiyoko.現在原画製作中!

第壱百六拾四話

2009-02-18 | 本編


オムーの周囲の音を聞き分ける耳は元に戻っていた。
しかし、相変わらず砲台の弾はひどくゆっくりと流れており、敵の動きやファンブルグ軍兵士の動きも遅い。


オムー『・・力が・・・・溢れてる・・・・=ω=.』

 

長年抜く事のなかった鞘の中にはほのかに父の香りがしているような気がしている。当時の父との思い出に浸る余裕などない緊急時にも関わらず、オムーはなぜか落ち着いているのだった。


オムー『・・・侵略なんてのは・・・究極のエゴだぉ・・』


王様が思い出したかのように頭上をみると、すぐ様またオムーに向かって叫んでいる。

 

王様『そうじゃった!オムー(>Д<♯)上を見るんじゃ!!もう矢がそこまで来ておるぞ!!』


同じようにクルスやりんもオムーへ向かって叫んでいる。


クルス『駄目だ!!間に合わねぇ(゜Д゜;)!!』

りん『オムー!!上から矢がきてるんだよ~><!!早くよけて!!』
 

オムー『・・あぁ・・・みんながさっき俺に叫んでたのはこの矢のせいか・・・=ω=.』

 

開放された直後の研ぎ澄まされた集中力。
常人を遥かに凌ぐ感覚が備わっている今のオムーには、自らに向かって飛ぶ矢でさえ遅く感じられている。

 

 


上空にて大きく湾曲を描いていたであろうその何本かの鋭い切っ先を持った矢は、真上から串刺すように、もうすでに鼻先まで落下してきていた。

 

オムー『・・これ当たったら痛ぇだろうなぁ・・しかし遅ぇなぁ~=ω=.』

 

そのスローモーションで落下してきているいくつかの矢をオムーは鼻先にあたる寸でのところで体を斜めにし、見事に避けている。

そして次から次へと飛んできている矢を弄ぶかのように体を仰け反らし、いとも簡単に避けてしまうのだった。

 

オムー『アメルはあそこにいるんだ・・・早くいかなくちゃ・・・=ω=.』


りん『・・・・すごぃ・・・』

クルス『・・・・全てよけた(゜Д゜;)』

 

 

王様『・・フ・・・・・さすがじゃーωー;』

 

 


りん『第一連隊!!!態勢を立て直す!!龍の陣形で今いる場所を保持せよ!!!』


オムーの開放された気の風圧によって周囲の敵が怯んでいる間にりんは態勢立て直しの指揮を執った。ファンブルグ軍、正面前線部隊7000名が一挙に防御態勢に入り整列し直している。

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ここからの推奨BGM。
http://www.youtube.com/watch?v=PTPgx1kBb5c
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王様『・・バルタルト・ニコシアという人物は聞いたことがあるかーωー?』

クルス『ん?・・親父から聞いたことはあるな(゜Д゜)なんでだ?』

王様『わしの旧くからの友人じゃよーωー今は何をしておるのか・・。18××年代の伝説の獅子の一人じゃ。そやつの子供が輪をかけて強くてのぉ・・。まだ若い故自身の力をうまくコントロールできんかったーωー

当時一時的に平和になったファンブルグにそのあり余る力は、かえって危険であるとニコシアは考え、剣と共に息子の力と魔法を封印をして欲しいとわしに依頼してきてのぉーωー』


そして王様は自らの首飾りを胸元から外に出し、小さく掘り込まれている紋章をりんとクルスに見せている。


・・ジャラ・・・・

 

りん『その紋章は・・・まさか!?』

王様『そうじゃ・・・・そのまさかじゃ・・このわしの首飾りにある紋章は、オムーの剣の紋章と同じーωーこれはわしの独自の魔法を印す刻印じゃ・・・・』

クルス『・・てことは・・・あいつは・・・バルタルトの・・(゜Д゜)』

王様『そうじゃ・・わしが昔封印したバルタルト・ニコシアの息子とは・・・あのオムーという男じゃーωーあんなに大きくなりおって・・・』

りん『彼が・・・・彼がバルタルトの血を引く・・人物!!』

王様『・・・奴の名は・・・かつての魔法と剣を使いこなす伝説の獅子・・・・・バルタルト・オムーじゃーωー』

クルス『(゜Д゜)!!!』

りん『!!!』



ファンブルグ暦18××年。
デスファルト王国の襲撃から我が国を守った伝説の獅子の一人であるバルタルト・ニコシア。

その一人息子として生まれたオムー。
時代を超え、バルタルトの血が再びファンブルグに帰ってきたのだった。


オムー『・・・メテオノヴァ!!!!!!』

 


オムーにとっての初弾とも言える攻撃魔法。メテオノヴァ。
竜神のごとく黒い煙がオムーの杖の役割をしている剣から放出され、空高く舞い上がると同時に暗雲を形成し、溶岩のごとき燃え上がる巨大な岩石が次々と落ち始めている。

 


ドドーーーーーーーーーーーーーーー!!!

ドドドーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
ドドーーーーーーーーーーーーーー!!!!

 


りん『・・・これが土攻撃魔法・・・クーちゃん!!!上を見て!!!』

クルス『・・なんだありゃ・・・(゜Д゜;)』

王様『ぬぉ(゜Д゜♯)』

 

 


ズバーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
ドゴーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
ドドーーーーーーーーーーーーン!!!!

 

真っ赤に燃え上がるその岩は全て敵兵に直撃し、数百とも言うべき敵兵が一度に押し潰され、地面に直打したことによる熱を帯びた爆風の余波は周囲の敵兵をも火達磨にしながら吹き飛ばしている。


その焼き払った敵前線を踏み歩き、オムーは突進した。


クルス『よっしゃ(゜Д゜)後に続くぜ!!』

りん『前線部隊!!!魔法攻撃に合わせて前進!!!!』

 

オムー『アイスフロスト=ω=.!!!!』

 

ピキッビキビキビキッ!!!!!

 

瞬間的に標的の周囲の空気の分子の振動を止めて凝固させ、冷却して凍らせてしまう攻撃魔法。アイスフロスト。

一息つく間もなくオムーは次なる攻撃をしかけている。
周囲一帯の敵兵の足元が瞬間的に冷却され、身動きできていない。


『・・う・・・なんだこれは・・・』

『・・くそ・・・足が・・・』


身動きのとれない獲物を勢いよく一刀両断していくその非情とも言うべき戦闘は、敵の士気にさえ影響を及ぼしていた。

魔法と剣を使いこなし、一瞬にして数百ともいうべき敵兵を倒していくその様は、かつての伝説の獅子、バルタルト・ニコシアを訪仏させている。

 

クルス『・・半端ねぇな・・こいつ・・(゜Д゜;)』

王様『・・・このまま一気に前進じゃ(゜Д゜♯)』

りん『全隊!!!前進!!!』

オムー『・・・・待ってろ・・・アメル・・・・』


第壱百六拾参話

2009-02-17 | 本編


馬の暴れるような地面を蹴る足音や鳴き声。剣と剣が弾かれる音。
生々しい雄叫びが北拠点の外でも響いている。
りんやクルスたちも一万の兵員の穴埋めはうまくいっていなかった。

 

 

クルス『・・・・くそ・・・りん!!そっちはどうだ(゜Д゜;)!?』

りん『前に・・・進んではいるけど・・間に合わないわ!!正面が硬すぎる!!』

 


多勢に無勢。獅子たちクルスやりんでさえ思うように前へ進めない程敵が密集しており、一向に前に進めずにいる。

地下道東側やエステンブルグ領西側からの挟み撃ちにより、一層の力が必要となるファンブルグ。兵員たちは次々と倒れ、今だかつてない乱調を帰していた。


クルスは何かを見つけたように北拠点の塔を指差した。


クルス『りん!!あの塔にトカマクとアメルがいる(゜Д゜;)!!』

りん『!!!』

王様『なんじゃと(゜Д゜♯)!!!!』


クルスの指差した先には半壊してる塔が立っている。
最上階の壁が崩れ落ち、ちょうどその階に横たわっているトカマクを抱くアメルが壁にもたれ掛かり座っているのが見える。

 

オムー『ほ・・ほんとだ!!!・・あんなところにアメルがいるぉ≫ω≪.;!!』

王様『くそ・・・全精力をもって突進するんじゃ(゜Д゜♯)!!』

 

と同時にその塔が大砲の標的になり、トカマクとアメルへの命中は避けられたが、塔を崩れさせるほどの砲撃をくらい、今にも傾き倒れそうになるほどの大爆発を起こしている。

 


ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!

ガラガラガラ・・・・

 

 

王様『な(゜Д゜♯)!!!!』

クルス『・・くそ・・・・(゜Д゜;)』

りん『危ない!!急がないと><!!!』

オムー『・・・やめろ・・・やめろ・・・・もうそれ以上撃つな≫ω≪.;』

王様『・・まずい・・まずいぞ・・・・>ω<;』

オムー『俺が・・・俺が強かったら・・・・アメルを・・アメルを・・≫ω≪.;』

 

 

 


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今から約15年前。
オムーの父の名はバルタルト・ニコシア。
今日は非常に機嫌が悪い。

夏の暑い日。
Tシャツ一枚で鼻を垂らしたオムーは父の前で膨れた表情で立っている。

 

 

ゴツンッ!!!!


オムーの頭ほどある大きなゲンコツで父は愛の鞭を打っている。

 

オムー『いてぇ~ぉ~父ちゃん≫。≪.;』

ニコシア『・・・・・何度言ったらわかるんだぉ(`ω´.)!!』


オムー『・・・だって・・・悪い奴いたらぶっ倒した方がいいって、いっつも父ちゃん言ってんじゃん≫。≪.;』

ニコシア『他の人まで巻き込んでぶっ倒してどうするんだぉっ!!ばかたれが(`ω´.)何度目だと思ってるんだぉ!!!』

オムー『わかったよ・・・もうしないよ・・・だからあの剣返してよ≫。≪.;』

 

ニコシアは手に持っていた剣をオムー投げ渡すと、まだ幼いオムーは体いっぱいにその剣を抱きかかえるように受け止めている。

しかし、いつも見ていた剣と心なしか変わっていることにオムーは気づくのだった。


オムー『・・・ぁれ・・・父ちゃん・・・この模様なぁ~に=。=.?』

ニコシア『それはおまえが力のコントロールができるようになるまで剣はオアズケってことだぉ(`ω´.)!!』

オムー『オア・・ズケ=。=.?』

 


オアズケの意味がなんとなくしかわからなかったオムーは、不思議そうな顔をしながら剣を抜こうとしている。


・・・・・ギギ・・・・ギ・・・・ギ・・・・

 

オムー『ふぬぬぬぬ・・・・あれ・・・・ふぬぬぬぬぅ≫。≪.;』

ニコシア『・・・どうだ・・・抜けんだろ(`ω´.)』

オムー『父ちゃん抜けないよぉぉ~≫。≪.;やだよやだよやだよぉ~!!!!!』

ニコシア『だあっとれ(`ω´.)!!!』


ゴツンッ!!!!


再度、愛の鞭を与える父ニコシア。


オムー『びえぇ~ん!!!!えぇ~ん≫◇≪.!!!!』

ニコシア『・・・・・・(`ω´.;)』

 

ニコシアはオムーと目の高さを合わせるようにしゃがみ、真剣な面持ちでまっすぐと目を見つめてこう言った。

 

ニコシア『オムーよ・・・もし自身の力をコントロールできる大人になった時、そして、どうしても力が必要になった時・・・今から言う呪文を唱えるのだ(`ω´.)』

オムー『・・・・・ヒック・・ヒック・・・じゅもん;◇;.?』


ニコシア『リスラ・・アマテル・・ノベス・・パダターオ・・デ・・スカル・・・眠りし我が力・・・今こそ力を解放すべきとき・・・いざ・・真の力・・我に与えよ・・・という意味じゃ(`ω´.)よいな?』

オムー『・・・・ヒック・・・ヒック・・うん;◇;.』

ニコシア『・・父さんはもう使うことがない世の中を期待しているんだ(`ω´.)できればその力はずっと封印してもらいたい』

オムー『・・・・ヒック・・・ヒック・・うん・・父ちゃん・・・約束するよ・・・ぼく・・・いざってときにしか使わないぉ;◇;.』

ニコシア『うむ(`ω´.)』

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オムー『・・・思い出した・・・・父ちゃん・・・俺・・使うよ・・・使うときが・・きたよ・』

 


・・・

・・

 

オムー『・・・・リスラ・・・・』

・・・

・・

 

オムー『・・・・アマテル・・・・』

 

・・・

・・

 

オムー『・・・・ノベス・・・・』

・・・

・・


かつての魔唱封印を解く呪文を唱え始めているオムーを目の当たりにした王様は横で驚愕している。

 

王様『・・・・な・・・・こやつ・・(゜Д゜♯;)』

 

オムー『・・・・パダターオ・・・・』


王様『・・・・・・まさか(゜Д゜♯;)』

・・・

・・

 

オムー『・・・・デ・・・』

王様『・・・覚えとったのか・・・・・(゜Д゜♯;)』


・・・

・・


オムー『・・・スカル・・・・・・』

 


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ここからの効果音付きBGM。
http://www.youtube.com/watch?v=n9-qGEgGaoA
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キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 


すると、耳鳴りの音と共にオムーの体に不思議な現象が起こるのだった。
今まで聞こえていた馬の足音、鎧の各部の擦れ合う音、剣との交わる高い音やけたたましい兵士たちの掛け声が全く聞こえなくなっている。
そして何より、周りの速度がやけに遅く感じられている。


オムー『(・・・ゆっくり時間が流れてる・・何も聞こえねぇぉ・・・)』

 


王様が必死にオムーに何か話している。

 

王様『*******(゜Д゜♯)!!!!********!!!!!*******!!!!!』

 


しかし全く王様の声が聞こえてこない。

 

オムー『(・・・なんていってんだ?・・・)』

 

 


同じようにクルスもオムーに叫んでいることにオムーは気づくのだった。

 

 

クルス『********!!!!!********(゜Д゜;)!!』

オムー『(・・・・聞こえないぉ・・・)』

 

 

 

同じようにりんも騒ぎ立てるように首を横に振り、オムーに何かを訴えかけている。

 

りん『*****!!!!**********><!!!!』

オムー『(・・・・・耳がいかれたのか?・・・聞こえねぇ・・・・)』

 


オムーには何一つ音が聞こえていない。
ひどく無音の状態と耳鳴りがオムーを襲っている。

 


キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 

 

 

続いて視界がなくなったかと思うほど眩しい光を浴び、目の前が突如白く覆われていくのだった。

 

キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 


オムー『・・・・・・。』

 

 


オムーはその剣を自身の胸元に持っていた。
鍔元を境に、右手と左手を互いに相反する方向へ力をいれると、神々しいまでの光をその剣の紋章から発し、台風のごとき強風が剣から吹き出し始めるのだった。

 


ピカッ!!!!

ゴーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!

ゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!

 

辺り一帯の両国の兵士たちの戦闘に支障がでるほどの強い風は強烈な竜巻をオムーの周りに作っている。


クルス『・・・この風は(゜Д゜;)!?』

りん『・・・う・・・・く・・・・><;』

 

全てのものが吹き飛びそうになる風の音の中で、金具が外れる甲高い音が響く。

 

 

ピキーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 

 

オムーの剣の留め金は音を立て、スローモーションのようにゆっくりと頭上高くに跳ね上がり飛んでいる。

 


りんたちは、何重もの土ぼこりの竜巻に包まれたオムーがいるであろう頭の上高くに、鍔元から外れた紋章の入った留め金を確認した。

 

王様『・・封印が・・・・解けおった(゜Д゜♯;)・・・』

クルス『・・・・・外れた(゜Д゜)!!!!』

りん『・・・・魔唱封印が解けたのね!!!』

 

暫くの間、オムーは土ぼこりに覆われて姿をみせていない。
強い風、神々しく強かった光も弱まり、土ぼこりが時間と共に隠れていたオムーの姿を現し始める。


立ち煙の中から僅かにオムーの足元が見え始めていた。


王様『・・・ゴクッ・・・・・』

クルス『・・・・・ゴクッ(゜Д゜;)』

りん『・・・・・・。』

 

煙という暗幕は徐々に膝、腰、胸、首元とオムーの姿を現していく。

 

異常なまでの気を放ち、十数年に及ぶ封印されていた力が溢れ出ている。王様のみがその記憶に新しく、そこにいるのは紛れもないかつての伝説の獅子の姿と瓜二つであった。

王様『・・・とうとう帰ってきたか・・・・ーωー』



クルスやりんも同種の気を感じ取っている。



クルス『・・こいつ・・・俺達と・・・同類か(゜Д゜)!!!』

りん『・・・・すごい気!!!』

 

 

人は何かを絶対に失いたくないとき、何かを犠牲にする。
それは人により、物であり命である。
オムーは恋する人を失いかけ、己の全てをここで明かすことになった。


立ち煙は最後にオムーの落ち着いた表情を出し、生まれ変わったオムーの全身を表に出すのだった。

 


オムー『・・・・もぅ・・・許さねぇぉ・・・・アメル・・死ぬな・・・今助けに行く・・・・』


十五年という歳月を経て、眠っていた力が今開放された。


第壱百六拾弐話

2009-02-16 | 本編
元来、北拠点はファンブルグ城に並ぶ要塞として強固な作りで設計されており、障壁や監視塔なども通常の合戦であれば崩される代物ではない。

しかし思いがけない背後からの強襲による多大なる兵員の損失が重なり、トカマクやアメルの北拠点部隊はほぼ全滅に陥っていた。

360度から4万の敵兵による攻撃は全ての拠点建物の崩壊とファンブルグの兵員の殲滅を望んでいるかのように一向に止むことなく続いている。




『いけぇ~!!!容赦するなぁ~!!!』

『ぐぁぁぁああぁぁ!!』

『火を放てぇ~!!!突入~!!!!』

『うぁぁあぁぁぁ!!』


壮絶なまでの襲撃により、なす術もなくファンブルグ軍は倒れていく。
そんな中トカマクとアメルは北拠点の中に逃げ込むように一時避難をしていた。




・・・ズズ・・・・ズ・・・・



トカマクは足に重症を負っており、アメルはトカマクを背負い歩いている。背の小さいアメルはトカマクの負傷した足を地面に引きずりながらも衛生兵の場所まで必死に運んでいた。



アメル『・・ぜぇ・・はぁ・・あともう少しです・・・トカマク様・・(>w<`;)』




・・・・ズズ・・・ズズ・・・・ズズ・・・・




トカマク『・・・アメル・・やめなさい・・・私に構わないで・・・』

アメル『・・何いってるんですか(>w<`;)!!』




トカマクは出血量による急激な体温低下から自身の体を十二分に把握していた。何よりもまだ体力のあるアメルを一人で上階の衛生兵であるクレリック班へ向かわせれば合戦の時間を稼げるかもしれないと。


トカマク『・・さぁ・・早く・・あなたが残りの兵士を指揮するの・・』



より多くの命を助けるには目の前の負傷兵を見捨て、他多数の兵士の延命を優先するという選択肢もあるということをトカマクから教えられてきたアメル。

アメルの論理的思考の中でもそういった選択も頭を過ぎったが、実際の行動は別であった。今まで辛苦を共にしてきた上司を、言い尽くせない恩がある人物をアメルは見捨てることはできなかったのだ。




・・・・ズズ・・・・・ズズ・・・・




トカマク『・・・いい?・・これは・・命令よ・・』

アメル『やです(>w<`;)!!』

トカマク『・・わたしは・・・そんなことを教えたつもりはないわ・・』

アメル『なんといおうと・・・いやです(>w<`;)!!もうすぐそこです!!』




あちこちに建物のレンガの残骸があり、歩きづらい。
通る先にはファンブルグ軍の無数の息絶えた兵士が階段や道に横たわっており、時折見えるその兵士の顔は普段顔を合わせていた旧き仲間たち。

何発も打ち込まれた大砲の弾薬の火薬の匂いが鼻をつくことも手伝い、どうしようもない困難な状況にアメルは涙が溢れ出てきていた。



アメル『・・トカマク様・・・・あと少し・・あと少しです(´;д;`)頑張って・・・・』

トカマク『・・・・・・・。』




ドドーーーーーーーーーーーーン


アメル『キャ(>w<`;)!!』


すると、アメルの一歩先の横壁が砲弾により吹き飛び、アメルの目の前を爆風と砕けたレンガが共に横切り飛び散るのだった。



ドゴーーーーーーーーーーン


ドドドドドーーーーーーーーーーーーーーン




横壁と共に天井も底が抜けたようにバラバラと崩れアメルの頭や肩に落ちてきている。




アメル『うわっ!!!危なかった・・(>w<`;)』




そして、懇親の力でアメルは崩れかかった階段を登り、衛星兵の部屋まで辿り着くことができたのだった。



アメル『トカマク様!!着きました!!』



アメルはやっと目的地であったクレリックの待機所である部屋に辿り着くことができ、壊れかかったドアを開けてみようとしたとき、不自然な風の流れを感じていた。




アメル『・・・・・。』


中に入ると、仕切られた部屋であったはずが屋上のように風通りがよい。
精根尽き果てたそのアメルの額の汗を、皮肉にも乾かしてくれるかのように外の風が勢いよく流れていた。


その部屋はすでに砲弾が直撃した生々しい懇請があり、レンガまみれの中、何人もの救護班たちが死に絶えている。

別部屋との壁がかろうじて残っており、外壁はものの見事に崩れ落ち、不釣合いな青空がアメルの目に入っていた。


アメル『・・・そ・・・そんな・・・・・ぅ・・・ぅぅ・・(´;д;`)』



アメルは流れる涙を拭くことなくトカマクを崩れかけの隣の部屋との境壁にもたれ掛けると、力が抜けたようにズルズルと自身も座り腰を地面についている。


周りからなお一層激しい砲弾の着弾の音や敵兵の声が聞こえてきていた。


ドドーーーーーーーーーン


ドゴーーーーーーーーーーーーーーン


『残兵がいたぞぉぉぉおおおぉぉ!!!』

『うぉぉぉおおおおぉぉ!!』

『わぁぁあああぁぁ!!!』



徐々にエステンブルグの敵兵がアメルたちの上階へ上がってきている。

トカマクの低体温症による急激な体の震えは繋いでいたアメルの手も振動させ、普段から厳しく強いイメージであるトカマクは弱々しい表情をしながらガクガクと震えた顎でアメルに謝っている。


トカマク『・・ごめんね・・アメル・・・・。』

アメル『・・・・そんな・・・謝らないで下さい(´;д;`)・・・後悔はしていません・・・・・』



トカマクは暫くアメルを見つめたまま出血により意識を失いかけており、眠らせぬよう必死にアメルは起こそうとしている。

アメル『寝ちゃだめです(;w;`;)!!トカマク様!!』

トカマク『・・・・・・。』

アメル『・・ぅ・・・ぅぅ・・みんな・・・助けて(´;д;`)』

第壱百六拾壱話

2009-02-15 | 本編
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第壱百六拾壱話の推奨BGM
http://www.youtube.com/watch?v=I8SL8Hb5FHg
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りん『敵の軍勢のおよその数は!?』

衛兵2『斥候班からは4万と聞いております・・』

 

城には必要最低限の戦力を残し、トカマクとアメルの部隊がいる北拠点へ目指し、救出に向かうファンブルグ軍3万の軍勢に対し、4万近い兵員を投入してきているエステンブルグ軍。

 


馬に激しく揺さぶられながら、クルスは問い掛けている。


クルス『あれか!?あの煙が出ているところが北拠点か(゜Д゜)!?』

王様『あぁそうじゃ(゜Д゜♯)!!あそこにトカマクとアメルがおるんじゃ!!』

 

衛兵1『りん様!!!第二師団は出発指示の元、西側へ問題なく向かっております!!』

りん『わかったわ!!あと30分後に総攻撃開始よ!!!伝えてきて!!!』

衛兵1『はっ!!承知しました!!』

 


休息の時間など一度もなく、数時間も鳴り響いたままの大型馬車の車輪の音や馬の駆ける足音は、地響きと共にりんの指揮する声を掻き消すかのように鳴り響いている。

 

りん『第一連隊から第三連隊!!!正面から突破する!!他第一師団所属の者!!地下道からの敵を食い止めて欲しい!!』

 


第4連隊長『承知しました!!!!!』

第5連隊長『承知しました!!』


・・・

・・

第12連隊長『・・・・この作戦・・・我が連隊の全てを捧げたいと・・・』


りん『・・・わたしもよ・・・ありがとう・・・・』

 

早急に出陣をしたことにより作戦会議を行う余裕まではなかった。
しかしいかにこの戦いが重要であるかは各連隊長たちも察知しており、決死覚悟の気組みがりんに伝わってくるのだった。


各連隊長は馬走しながらの即席の作戦指示を聞くと、それぞれの連隊へ戻ろうと馬手綱を引き戻り始めた。


かなり拠点まで近づいてくると、敵の5万の軍勢と陥落寸前の北拠点が見えてきている。全ての監視塔は形を崩し燃え上がり、バリケードの障壁も敵に埋め尽くされていることが見てとれた。

 

王様『・・・なんということじゃ・・・・(>Д<;♯)』

クルス『・・・もうボロボロじゃねぇーか・・・(゜Д゜)』

りん『・・・・トカマク様・・・アメル・・・』

 


すると、第一師団第8連隊所属のオムーがりんの元へ馬を走らせながら向かってきていた。

 


オムー『おーーーーい≫ω≪.;!!!』

クルス『ん(゜Д゜)?あいつ・・・この前の・・』

 

トカマクやアメルらの命が危険にさらされており、一刻も早く加勢に行かねばならない状況を差し置き、りん達第一連隊である先頭集団は速度を緩めることができない。オムーの声を聞きつつも、馬の尻鞭を叩き続けるりんとクルスたち。

 

オムー『おーーーい≫ω≪.;まってくれぇーー!!』


ほぼ同じ速度で馬を進め、なかなかオムーはりん達に追いつけない。
りんは激しい馬の揺れから落ちぬよう体勢を保ちつつ、首のみを後ろに向け聞く耳を持った。


りん『どうしたの!!?』

オムー『教えてくれ≫ω≪.;!!!あそこにいるのは・・・第一連隊の誰かなんだって聞いたんだが!!!誰なんだ!!』

 


飲まず食わずの状態で乗馬し続けているオムーも枯れ声で数頭離れた場所から叫んでいる。姦しい馬足の音がオムーの声を邪魔し、無数の馬たちの蹴り上げる土ぼこりからやっとクルスの顔が見て取れた時、返答がもらえたのだった。

 

クルス『トカマクとアメルたちだ(゜Д゜)!!!おまえも早く連隊へ戻れ!!!』

オムー『なんだって≫ω≪.;!!!あそこにアメルが・・・・アメルがいるのか!!??』

りん『そうよ!!第8連隊は地下道へ行って!!東方面から攻撃をしかけて欲しいの!!』

オムー『頼む≫ω≪.;!!!俺も正面からいかせてくれ!!!』

クルス『馬鹿野郎!!!死にてぇのか!!指揮に従え(゜Д゜)!!!』

 

正面突破は剣術など肉弾戦に長けている者や戦闘能力が高い者が許されている。第8連隊所属の身であるオムーにとっては自殺行為とも言えるべき行動である為、クルスはオムーを元部隊へ戻らせようと厳しい難詰を浴びせた。


暫く走ると敵の軍勢の大砲の音が聞こえてくるようになり、その砲弾は見事に北拠点の分厚い壁を崩しかけている。

 

ドドーーーーーーーーーーーーン

ドゴーーーーーーーーーーン


ドドドドドーーーーーーーーーーーーーーン

 


オムー『・・・そんな・・・もう陥落してるじゃねぇかぉ・・・≫ω≪.;』

りん『くーちゃん!!!そろそろよ!!!』

クルス『おぅ(゜Д゜)!!ここで負けたらファンブルグは負けも同然だ!
死ぬ気でいくぜ!!!』

 


敵の砲弾が飛び交う中、ファンブルグ軍は背水の陣の突進の準備を整えている。


第壱百六拾話

2009-02-14 | 本編
りんは書庫から出るとすぐさま近くにあった机に大きい戦略地図を器用にくるくると広げた。

その荒い息遣いと共に上下する肩は高ぶった心を示し、それを見ている王様も心なしか事態の深刻さを察知している。


戦略地図。そこにはファンブルグとエステンブルグの大国と周辺国が色分けをされ、現戦況や最前線地区、激戦地区などが描かれてある。



りん『今、トカマク様率いる部隊をここに派遣されていると思います。』



拮抗する二大勢力のエステンブルグ国とファンブルグ国は大陸を綺麗に2分し、その境界線は波打つようにジグザグと激しい攻防を物語っており、りんは右側に位置するファンブルグの北地区を指差しながらしゃべっている。




王様『うむーωーそこは北地区の拠点じゃな』




時代が進むにつれて小国を占領し、拡大し続けている敵国エステンブルグは周辺国を従え、徐々にファンブルグを囲むように北側からも進軍してきていた。

ファンブルグは防衛線を北側にも置く必要があり、そこにはトカマクとアメルが指揮担当している。その重要な拠点は山岳を背にするように戦略マップに示されてある。



りん『ここの山岳ですが、実は・・』

王様『・・・・ん・・山岳地帯がどうかしたのかーωー?』

りん『ここの山岳には地下道があることが、先日の斥候班からの報告でわかりました・・・』

王様『・・・・なんじゃと(゜Д゜♯)!!』

りん『そして・・・トカマク様の報告班から連絡があり、その地下道からのエステンブルグの進入を許してしまい、現状況は・・・敵に囲まれ苦戦を強いられているとのことです・・』


山岳を背に防衛線を西に張っていたトカマクらの拠点は背後を突かれてしまい、すぐにその地区は防衛線を突破され、一気に形勢が逆転しまっているのだった。



王様『なんということじゃ・・・』



王様は机に両手をつきながら項垂れている。



りん『一刻も早く部隊編成し向かわなければ・・・トカマク様とアメルの部隊が全滅するおそれが・・・・』



すぐにでも出撃できるかのように既に兜を片手に鎧を着込んでいたりんは、指示を仰ぐかのような強い視線を王様へ送った。


王様『・・まずい・・まずいぞ・・・今の我が軍の戦力はもうギリギリじゃ・・・』



19××年。
ファンブルグ国の最大にして最高の蹉跌。
壁と思い防衛線を張らなかった山岳地帯からの襲撃により、トカマクらの部隊はほぼ壊滅に近い状態になっているのだった。

あらゆる小国も戦争に飲み込まれ、平穏の二文字とはかけ離れた大陸。
世界三大国家のうち、エステンブルグとファンブルグの激戦時代の到来である。



すると、王様は思い出したかのように顔を勢いよく上げ、机に置いた先程の読んでいた本を開きだすのだった。


王様『そうじゃ(゜Д゜♯)!!!これじゃ!!こういうときの為に・・』

りん『!?』



王様は夢中でその本のページを探している。



りん『・・・・・王様・・急がなければ・・アメルたちが・・』

王様『待っとれーωー;・・・んと・・・目次・・・193ページじゃな・・・』



王様が必死に開いているその本は相当前に書かれたものであることがりんにはわかった。心なしかカビ臭い匂いがりんのところまで漂っている。



りん『そこに何かのヒントが・・!?』

王様『そうじゃーωー;この本さえあれば・・・・もしかしたら奇跡が起きるかもしれんぞ』



しかし王様はなぜか同じページを行き来しており、ペラペラとページをめくる動作を繰り返している。


・・・・・ペラ・・ペラ・・・・・・ペラ・・・・ペラ・・・・


・・・ペラ・・・・・・ペラペラ・・・・


・・ペラ・・・・・



りん『・・・・?』

王様『・・・・・191・・・194・・・・・ーωー;』

りん『・・・・・・。』







王様『・・・・・・ぬおぉぉぉおおぉぉ(>Д<;'♯)しまったぁ~!!!』




王様は本を投げ置き、床に倒れ込んでしまっている。



りん『ど・・どうしたのですか!?王様・・・』

王様『そういえばこのページ・・・・ティッシュがなくて鼻かむのに破いてつかってしもうたんじゃぁ~ORZ!!!!!!!』

りん『そのページが・・・重要なのですか・・・?』

王様『わしはなんてことをしてもうたんじゃ・・万事休すじゃ・・・あかん(>Д<;'♯)』

りん『・・・・よくわかりませんが・・・第一連隊の指揮はトカマク様に代わり、臨時にわたしが取らせて頂いてもよろしいでしょうか?すぐに出撃の準備に取り掛かります。』

王様『・・・ぁあ・・ぁ・・・・・・・あかん・・・・(>Д<;'♯)わしは・・なんてことを・・』



もはや正気の沙汰ではなくなっている王様。
りんは待ちきれず、業を煮やしたかのように声を荒立てた。


りん『王様!!出撃の指示を!!!!』

王様『・・・・・ぁぁ・・ぅぅ(;ω;)・・・うむ・・・・そうじゃな・・』





否応なしに王様たちは出撃の準備を強いられることになり、トカマクやアメルの救出劇がこうして始まったのである。

第壱百五拾九話

2009-02-11 | 本編

   ~あれから数日後~



王様『う~むーωー・・・ないのぉ~』



王様は何やら書庫の本をホコリまみれになりながらあさっている。


すると、りんが王室図書館の入り口まで血相を変えて来ており、息つかぬ間に衛兵1に王様の居場所を聞いている。



りん『・・・ぜぇ・・はぁ・・・王様は!?』

衛兵1『この王室図書館におられます』



りんは急いでその中に入ると、王様らしき姿は本棚が邪魔をし、確認ができなかった。すかさず声を出して呼んでみているりん。



りん『王様~!!!おられますか!?』




りんは図書館入り口に立っている衛兵1に再度聞き直した。




りん『本当にここにいるの?』

衛兵1『あっはい・・おそらく奥の書庫の中におられるのではないかと・・』

りん『奥に書庫なんかあるんだ・・うんわかった・・ありがとう!』





どの辺りに書庫入り口があるのかわからないまま、りんは背丈を越す本棚たちの隙間を見つつ、王様のいるその場所を探るように歩きはじめた。



否応なしに目に入る本棚に置かれている本のタイトルを横目でみつつ、歩を進めていているりん。






<1019年王族の戦跡>

<ファンブルグの外交の歴史>

<民衆心理論>

<統率学>

<指揮管理体制>

<帝王学のすべて>

<大砲制御工学>

<王法規 民事刑事訴追論>





りん『読みたい本がいっぱいあるなぁ・・・まぁでもそれどころじゃない・・』




<クレリック学 ヒール論>

<魔術 攻撃型魔法 基礎編>

<リヴァイヴァーはどうして仲間の死を喜ぶか>

<剣術指南書>

<世界の剣豪>

<コルセスカ 槍の達人>

<新刊 正義の泥棒と言われた伝説の弓師>




りん『この弓師って・・・・もしかしてわたしのことかなw気になるわねw』



<薬学>

<よくきく薬 パーティーにて常時待たせるべき薬>

<漢方美酒>

<HP回復薬Ⅳの作り方>

<隣の奥さんシリーズ ザ・テクニシャン>

<戦闘時における薬の使い方>




毎度おなじみ、回復治療関連の本の隙間に紛れている卑猥な本。
りんは二度見をするほど驚いてはいたが、見て見ぬふりをしているようである。




りん『・うわ・・コホン・・見てない見てない・・わたしは見ていない・・・』



<調理師免許皆伝>

<俺の焼きそば 30秒クッキング>

<親子丼の作り方 達人編>

<だし巻き卵ってこんなに簡単に作れるの?>

<カボチャアイスの作り方>(貸し出し中)



《 新刊棚 》

<チョコレート 人気の12アソート特集>

<月刊 コンチェルトゲート(バレンタインクエ攻略)>

<週刊 えびちゅ(えびちゅ編集長のぼやき)>
  (返品予定の為、貸し出し不可)



りん『わぁー!!チョコ特集!!これ借りよかな(*´▽`*)・・・ってやってる場合じゃなかった><!!王様~!!!』





すると書庫の入り口らしき重そうな扉の向うから王様の声が聞こえてくるのだった。





王様『おーー(゜Д゜♯)!!!!これじゃこれじゃ!!ホコリまみれじゃのぉー^ω^;』


王様はホコリで埋め尽くされている書庫の硬いコンクリートの地べたにあぐらをかきながら、その古い書物にホコリを振り払うように強い吐息をふきかけている。


王様『フゥー!!!!』


自身で吹き払うつもりのホコリが舞ってしまい、王様は咳き込んでいる。



王様『・・・う・・く・・・ゴホッゴホッーωー;』

りん『こんなところにいた!!王様!!』



熱心に本の表紙を見ている王様は、りんが後ろに来たことに気づいていない。



王様『・・・魔唱・・・・封印・・・・ゴホッゴホッ^ω^;これじゃこれじゃ』

りん『・・・なんか読んでるのかな・・・』

王様『・・・えっと・・・確か・・・20年前のだと・・190ページくらいかのぉ・・ブツブツ・・・・あの分じゃと奴が伝えている可能性はゼロじゃからのぉ・・ブツブツーωー;』

りん『王様?』

王様『おぉーりん^ω^;どうしたのじゃ?』

りん『・・それが・・事は重大なお話しです・・・・』

王様『・・・なんじゃとーωー』

第壱百五拾八話

2009-02-07 | 本編


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第壱百五拾八話推奨BGM。
http://www.youtube.com/watch?v=S6JhUcY_lAo
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日差しが暖かい。
いくつもの子供達を目の前まで連ね、眩しいくらいに輝いている太陽。

冬の寒さに刃向かうその暖かい眼差しは動植物たちに一足早く春の訪れを告げ、道端に咲く花の微笑みもその幸せを祝しているようである。


ファンブルグの時計台を見ると既に約束の時間になっており、落ち着かない様子で辺りを見回しているオムー。


オムー『・・・・・そろそろかな=ω=.』

 

小振りでありながら艶やかな花を持ち、一張羅の晴れ着を来たオムーは待ち合わせをしている。


相手を好くこと。時間を、場所を、空間を、心と体を共有したくなるその至極単純な感情は、お互いの距離を縮めた理解の延長である。少しくらいの待ち合わせ時間の遅れなど今のオムーにとっては何の事は無かった。


すると噴水のある広場中央を挟み、向うの側から人を探すように辺りを見回しているアメルが顔を出していることにオムーは気づくのだった。

その姿は、今までに見たことの無い可愛らしい服を着ている。


オムー『(・・ぁ・・来た・・・カワイ・・・・=ω=.)』

 

アメルもオムーの姿に気づいたのか、背伸びをしつつ満面の笑みで手を振っている。

 

アメル『オムー!!!(●´w`)ノシ』


オムー『アメル!!!=ω=.ノシ』

 

屈託のない笑顔を見せ、オムーのいる場所まで走ってくる姿やその全ての一挙手一投足は、オムーの感情を助長させている。
楽しさと嬉しさと恥ずかしさ、甘酸っぱいオムーの恋は確かな気持ちを持っていた。


まだお互い見慣れていない二人は目のやり場に困り、そわそわと落ち着かない。
アメルが着くや否や、オムーは照れながらその花を差し出すのだった。


オムー『これ・・・=ω=.』


アメル『うわぁ~綺麗!!わたしに!?ありがとう(●´w`)実はわたしもね・・・渡すものがあるんだっ!』

オムー『なんだぉ=ω=.?』

 

その日は一年に一度、女の子に勇気を与えてくれる日。
通称バレンタインデー。ファンブルグ国では、女性から男性へチョコをあげ、告白する日として古くから行っているイベントのひとつである。


アメルは鞄から赤い箱を取り出し、恥ずかしそうにオムーに手渡した。


アメル『チョコだよ(●´w`)』

オムー『おぉおおおおおおおおお=ω=.;!!いいのか?』

アメル『うん(●´w`)あとで食べてね』

オムー『ありがとう≫ω≪.;』

 

その日の遊ぶ場所はファンブルグ南町に位置するイノセントパーク。
1900年当初にできた遊戯施設である。

 

オムー『じゃぁいこうぜ=ω=.ノ』

アメル『いざイノセントパークへ(・w・)ノ!!』

 

二人の歩く手は自然と近づき、冬で冷たくなったアメルの手をオムーは暖めるように握っている。

 


その遊園地へ着くまでの二人だけの取り留めのない会話がなんとも居心地がよい二人。
むしろ遊戯施設は二人にとっては時間を共有するツールにすぎない。
あっという間にその場所に着いてしまいそうであった。

 

アメル『あっ(・w・)!!見えてきた!!あの塔みたいな奴って、噂のサンダーボルトマウンテン?』

オムー『そうだぉ=ω=.あの乗り物は相当怖いらしいぉ』

 


すると、一頭の馬が突如後ろから近づいてきており、話しに夢中な二人は全くその状況を読め取れてはいなかった。

 

アメル『オムさんはそういう乗り物得意(・w・)?』

オムー『俺に怖いものはないぉ=ω=.』


実はそういった恐怖系乗り物は大が付くほど苦手なオムーは、アメルの前ではまた強がって見せていた。

 

アメル『わたしは苦手d』

 


(ガシッ!!!!)

 


オムー『=ω=.!!!!!!!』

 

 

突如後ろからきた一頭の馬に乗った男は、アメルをロープで一瞬にしてすくい上げ、さらって行ってしまっている。

アメル『キャァーーーーーーーーーー(>w<)』

オムー『なっ!!!アメル!!!!!!=ω=.;!!!!』

 

オムーがすぐに追いかけるもすさまじい速さで振り切り、その男はアメルを抱え、高笑いを上げながらオムーとの距離を離してしまっている。


 


オムー『アメルーーーーーーーーーーーーー≫ω≪.;!!!!』

 


・・・・・・・・・・・・・

 


・・・・・・・・

 


・・・・

 

 

***『е∴Θー』

 

 


***『oΨΜー』

 

***『ォmU-』




うっすらと音が聞こえている。

 

***『ォムー』


それが声であるとわかり、自身を呼んでいることに気づくのだった。

***『オムー・・・大丈夫?』

 

オムー『うぅ・・うぅ・・・・・・≫ω≪.;』


***『オムー・・・・大丈夫?』





 

オムー『はっ=ω=.;!!!!!!』


真っ白な壁が目の前にある。

起きて直後の三半規管から頭の向きがようやくわかりはじめ、オムーが見ていた壁は天井であるとわかり、自分が横になり寝ていることに気づくのだった。

 


オムー『・・あれ・・・・=ω=.;?』

アメル『大丈夫(・w・)?すごいうなされてたから・・』

 


ベッドで寝ているオムーの側には心配しているアメルが見守るように座っている。

 


オムー『・・・・・夢・・・か・・・・=ω=.;』

 


見たことの無い一部屋にオムーはいた。
起き上がろうと体を起こすと、全身に激痛が走るのだった。

 


オムー『イタタ・・タタ・・≫ω≪.;』

アメル『あっ!!駄目だよ!!まだ動いちゃ駄目(´゜д゜`;)』

 

体の各部には宛て木がついている。
アメルは濡れ布巾をオムーのおでこに置き、付きっきりでアメルは数時間、様子を見てくれていたことに気づくのだった。

 

オムー『・・・・あれ・・俺は・・・=ω=.;』

 

しかし今までの事態を飲み込めていないオムーに一呼吸置いてアメルは説明をしようと口を開いた。

 

アメル『ここはファンブルグ軍の兵士療養所。傷ついた兵士がくるとこ。試験結果だけど・・・・負けちゃったよ(´゜w゜`)』

オムー『・・・そうか・・・俺・・第一連隊試験・・・落ちたんだ・・くそ=ω=.;』

アメル『武器なしだったらしょうがないよ(´゜w゜`)それに無手で60人てのも異例だよ』

オムー『・・・・・=ω=.;』

アメル『それにね(・w・)王様が第一師団第八連隊への合格を認めてくれたんだよ』

オムー『第八連隊=ω=.?』

アメル『そだよ(・w・)良かったね』

 

アメルと同じ分隊でなければ意味がなく、強く悔しがっているオムーは横目でアメルの隣に置かれた自身の剣を見つめている。

 

オムー『・・・・親父・・・嘘つきだ・・・・』

アメル『・・・・・(・w・)?』

オムー『いざというときにその剣はおまえを導くだろうって・・ぜんぜんだぉ≫ω≪;』

アメル『ふ~ん(・w・)りんが言ってたよ・・それ魔法の封印がかかってるって』

オムー『・・・魔法の・・封印・・・・なんだかさっぱりだぉ・・・・なんで親父をこんな剣俺に持たせてんだ=ω=.;』

アメル『お父さんからのプレゼント(・w・)?大事にした方がいいよ』

 

アメルは自身の荷物を持ち、帰り支度を始めている。


アメル『数日間はここでゆっくりしてっていいんだってさ(・w・)主治医はそこに書いてある<透くん>て人ね』

オムー『ぉ・・・ぉぅ・・・ぁ・・・帰っちゃうのか=ω=.;?』

アメル『熱も下がったみたいだし(・w・)治るまでは動いちゃ駄目だからね』

オムー『・・・そ・・そうか・・うん・・ありがとうな・・看病してくれて=ω=.;』

アメル『うん。お大事にねっ(・w・)ノシ』

 

オムーはアメルの帰る背をみながら、深いため息をついた。



オムー『ふぅ~・・・・現実はうまくいかねぇもんだなぁ~=ω=.;』


第壱百五拾七話

2009-02-06 | 本編
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オムーの奮闘BGM
http://www.youtube.com/watch?v=X_g_knPtB54&feature=related
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トカマク『王様推薦の者というのはあの男ですか?』

王様『そうじゃ^ω^楽しみじゃのぉ』

りん『がんばぁー!!!』

クルス『まぁ、何秒持つかだな(゜Д゜)』

アメル『・・・・(・w・;)』

 


一斉に120名の前線に立つ兵士達がオムーに向かい、突進してきている。

 


オムー『やべぇーーーしゃれんなんねぇー≫ω≪.;!!!!・・・・く・・抜けろぉぉぉおおおおおぉぉぉ!!』



・・・・・・ギ・・・・ギ・・・・

第一の接触を果たした兵士は、オムーに左斜め下からのすくい上げ攻撃をしてきており、オムーは剣を抜く力を緩めずに上半身だけを反らし、寸でで避けている。

 

軍兵『とぁぁぁああああぁぁ!!』

ブンッ!!!!

オムー『あぶねっ=ω=.;』


避けると同時にバランスを崩した敵兵がよろよろとしている間の僅かな時間を使い、オムーは抜刀に全身全霊の力を込めて力を注いでいた。


オムー『ふぬぉぉぉぉおおおぉぉぉぉ≫ω≪.;』


・・・・・・ギギ・・・・・ギギ・・・・・・



しかしその剣は少しも抜ける気配がなく、続いて足元を狙った真一文字に横に振り払っている軍兵の攻撃をオムーは見事にジャンプして避け、

 

軍兵『しゃぁ!!』


ブンッ!!!!

オムー『おわわ=ω=.;!!!!』

 

なおまだ剣と鞘を握り抜刀を試みている。


・・・・・ギギ・・・・・・・・・・・ギギ・・・・・・


オムー『抜けねぇぇぇええぇぇぇ=ω=.;!!!!』

 

 

ブンッ!!! ブンッブンッ!!!ブンッ!!!


オムー『・・・はぁ・・ぜぇ・・はぁ・・・・・・=ω=.;』

 


その戦闘場には、剣の空を切る音だけが鳴り響いており、
次から次へと敵の隙間を潜り抜けオムーはかわし続けていた。


今だ剣を抜かずに避け続けている奮闘ぶりにファンブルグ軍の兵士たちは興味を示しており、王様たちもその中に無論入っている。

 


クルス『おかしな野郎だなぁwあいつかわしてばっかりだなw』

りん『居合い・・・・なのかな・・・剣を抜こうとしないわね・・』

アメル『・・・・・(・w・;)』

 


敵に囲まれるとすかさずオムーは、体を丸め前転して集中攻撃から免れている。
しゃがみこみ、前転をし、バクテンを繰り返し、時には背を向けて走ることもあり、蝶のように俊敏なフットワークで避け続けている。


クルス『・・あいつはかわす事だけは一流だな(゜Д゜;)』

アメル『なんかね・・・剣が抜けないっていってた(・w・;)』

クルス『(゜Д゜)?』

りん『剣が・・・・抜けない?』

クルス『抜けないってなんだよw』

 


トカマクはオムーの腰にある剣の鍔元を目を凝らしてみている。

 

トカマク『あれ・・・・あの鍔元にある紋章・・・どっかで見たことがあるわ・・・』

りん『あれは魔唱封印ですね・・・だから抜けないのね・・・でもどうして・・』

アメル『魔法であの剣は封印されてるってこと(・w・)?』

りん『うん・・・どこで見たんだっけかな・・あの紋章・・・・・・』

クルス『あいつ攻撃できねぇのか?あれじゃ時間の問題だぞ(゜Д゜)』

 

 

オムー『・・・・ぜぇ・・・はぁ・・・や・・やべぇぞ・・・どこまで続くかわからねぇけど無手でいくか・・・120人は今までねぇからな・・=ω=.;』

 

休むまもなくきた攻撃をオムーは華麗にかわすと、


軍兵『やぁぁぁあああぁぁぁ!!』


ブンッ!!!!


同時にすぐさま後ろに回りこみ、軍兵の首へ手刀を浴びせた。




オムー『ほい=ω=.!!』

ガッ!!!

軍兵『・・ぐ・・・』

 

続いて足元へ攻撃されたものを鞘で受けると同時に、相手の鼻っ柱へ頭突きを食らわしている。

 

ガキッ

オムー『ふん=ω=.!!』

ドガッ!!!!

軍兵『・・がはっ・・』


間髪いれずに敵が振りかぶる目の前に接近し制空権を自ら破り、


オムー『おそい=ω=.』

軍兵『おわわっ』


相手の手首を持つと合気の技で敵を投げ飛ばしている。


ドガッ!!!

軍兵『うはぁぁあぁぁ!』



前代未聞の試験攻防にレフェリーも面食らっていた。


中央ジャッジ『・・・・・なぜ剣を抜かんのだ・・』

アメル『おぉーなになにやるじゃん(・w・)ノ』

りん『すごいじゃないっ!』

トカマク『無手の腕は相当あるわね・・あの青年・・どうやら素人じゃなさそうね』

クルス『剣抜くのあきらめたか(゜Д゜)』

りん『王様・・・あの紋章に見覚えないですか?』

王様『んーωー?わしは何もしらんぞ』

 

しかし、その見事なまでのフットワークと無手による攻防も時間と共に数に押され、前後左右からの攻撃を避け続けるも、疲れが見え始めていた。



軍兵『やぁぁぁあああぁぁ!!!』

ドガッ!!!

オムー『・・ぐはっ!!!』

アメル『きゃ(>w<)』 

クルス『・・・あぁ・・・今いいの頭にもらったな・・(゜Д゜)』

王様『・・・・ーωー』

アメル『剣抜けないんじゃ厳しいよ・・・(>w<)』


 

とうとう一発いい打撃を頭に食らうと、足に力が入りきれないようにフットワークも乱れ始め、一気に押し込まれて始めてしまうのだった。

 

オムー『・・・・やべぇ・・・ぜぇ・・はぁ・・・≫ω≪.;』


軍兵『いやぁぁああぁぁぁ!!』

ドガッ!!

軍兵『うぉぉおおぉぉ!!』

バキッ!!!

オムー『・・・ふぬぬぬぬぬ≫ω≪.;』

軍兵『どりゃぁ!!!』

ビシッ!!!

バキッ!!

ドガッ!!!


オムー『・・・ぅ・・・ぐはっ・・・くそっ俺は負けねぇぉ・・・≫ω≪.;』

 


・・・・・・・・・

 

・・・・・


・・


第壱百五拾六話

2009-02-02 | 本編

第一連隊昇格試験は他の階級に比べ注目されており、受験者とジャッジの他、他兵士たちも観戦しに集まってきていた。

観戦者とロープがその戦闘場所を囲むようにリングを構成している。
リングと言えど訓練場のいつもの土壌を舞台にしたもので、広さは20m平方ほどの大きさだ。




『道を開けろ!!』

『クレリック班へ急いで運べ!!!!』

『脈拍は!?』

『ありません!!』

『心肺停止だ!!!』


次々とオムーの目の前を敗れた受験者たちが搬送されている。


オムー『・・・・=ω=.;』


第一連隊試験は、他試験に比べ圧倒的に難解であり、120人の現役兵士を倒さねばならなく、リスクを伴っていた。

無論屈強な騎士たちが挑んでいたが、なかなか合格者はでない。
すると、とうとうオムーの受験番号を呼ぶ声が試験官から呼ばれるのだった。


『受験番号7011番!!!!こちらへ!!!』


オムー『ハイ=ω=.;!!!(←声が裏返っている)』


待機所から兵士に案内され試合場所に連れられていくと、審査員席のみ屋根が作られているのみであとは全て日に照らされ、野次馬とも言うべき他兵士たちが神妙な面持ちでオムーを迎え入れてくれた。


その正方形に張られた腰より高い位置にある一本の簡易的な麻のロープをくぐるよう示唆され、その戦闘場所に入るオムー。


オムー『ぉ・・結構広いな・・地面は固めの土・・・まだ東日か・・=ω=.;』



中央に立っている黒づくめの服をまとった何年も従事しているであろう年配のジャッジは、道案内の試験官に代わり、オムーを中央試合開始位置の白線に招いている。


中央ジャッジ『君!?こっちだよ!!』



その顔のシワは、良き父を訪仏させるほど綺麗にきざまれており、優しさと厳しさを共存させた性格や善行を重ねてきた証しのようである。




オムー『やべーな・・勢いできちまったけど・・相手は何人なんだろうな=ω=.;』



中央ジャッジは正方形隅に座るコーナージャッジ4名と顔を合わせ、試験開始のタイミングを計っており、説明をし始めた。



中央ジャッジ『君は見ない顔だな・・・まだこの試験を受けたことはないね?』

オムー『はい=ω=.;』

中央ジャッジ『ルールは簡単だ。これから120人の兵士が君を倒しに来る。』

オムー『ちょw120w?』

中央ジャッジ『それを倒せばいい。降参をすれば追い討ちはしてこないよう重々伝えてある。逆もしかり。いいね?』



オムーの装備は足元から頭まで貧弱さを物語っており、中央ジャッジは返事のない考え事をしているオムーを心配そうに見ている。



オムー『(・・・・・剣抜けなかったらやべーな=ω=.;)』

中央ジャッジ『・・・・いいね!?聞いてるのかね?』

オムー『あ!!!は・・・・はい=ω=.;!!』

中央ジャッジ『・・・・・。』



すると中央ジャッジはオムーの顔を暫くみると、突拍子もない質問をオムーにぶつけるのだった。



中央ジャッジ『・・・君・・・どこかで会ったこと・・なかったかね?』

オムー『へ=ω=.;?全くもって・・・・ないと思いますです・・はい・・』



中央ジャッジはオムーを見続けたまま僅かに頭を上下し数回頷くと、



中央ジャッジ『・・・・そうか・・・・』



その考えを断ち切るように息を吸い込み、試合開始の合図をしている。



中央ジャッジ『当者!!7011番!!!!試合準備完了!!』

オムー『・・・・・さて・・・と・・・剣でも抜くかな・・・=ω=.;』




りん達も試合会場の野次馬に混ざり、その様子をみていた。



りん『あれじゃない?』

クルス『いたいた(゜Д゜)』

アメル『(・・ぁ・・・ミサンガしてくれてる(・w・)』



その3人の横にトカマクと王様、衛兵1も顔を出している。



りん『王様も拝見されるんですね!?』

王様『ふぉっふぉっふぉっ^ω^わし推薦じゃからのぉ』

クルス『俺はこんな試合興味はないがな(゜Д゜)』

アメル『あっほら!始まるみたいだよ(・w・)!』



ロープをくぐり、数十名の兵士たちがオムーの目の前に並び構え始めていた。



オムー『とうとうこの時が来ちまった・・頼む・・抜けてくれ・・俺の剣≫ω≪;』



オムーは火事場の糞力を信じ、再度懇親の力を込めて鞘から剣を抜こうとしている。




・・・・・ギ・・・・・ギギ・・・・・・




オムー『ふぬぉおおおおぉぉぉぉぉぉ≫ω≪.;!!!!』




中央ジャッジ『それでは・・・はじめぇ!!!』

第壱百五拾五話

2009-02-01 | 本編
   ~試験当日~


連隊ごとの昇格試験は、毎年恒例2月2日。
屋根のない土を舞台にした兵士訓練所は、着々と試験会場の準備が行われており、もう間もなく始まろうとしている。

試合形式で行われるこの試験に応募している者や各小隊から推薦された兵士などは、待合席で待機している。

オムーはその中の一人。
次々と呼ばれ、戦いを挑んでいく兵士達の中に紛れている。

とうとう試験試合が始まったのか、やや離れた場所で怒声にも似た気合の雄叫びがオムーの耳に入ってきていた。



『とやぁぁぁぁあああああぁぁぁぁ!!!』

『うぉぉぉぉおおおおおぉぉ!!』

『・・ぐはっ!!ごぁぁぁあああぁぁぁ!!』



オムーの足は2月の寒気と武者震いから震えている。



オムー『大丈夫・・・俺は受かる・・俺は受かるぉ≫ω≪.;』



行く末を左右するこの試験に緊張しているオムーに、アメルが心配そうに様子を見にきているのだった。




アメル『あ・・・こんなところにいた・・ヤッホ!緊張してる?(・w・)ノ』

オムー『・・=ω=.!!』


予想だにしていなかった人物の登場にオムーは驚きと喜びの顔を共存させていたが、アメルの前では強がって見せている。


オムー『・・・こ・・こんな試合ちょろいぉ=ω=.;』

アメル『ほんと(・w・)?ならよかった。ちょっと心配だったから。』

オムー『俺を・・・・俺を心配してくれてるのかぉ=ω=.;?』

アメル『うん(・w・)だって弱そうだから』

オムー『ぶwwwそういうことかぉ・・・=ω=.;』


アメルはオムーの動く手元を追うように見ていると、腰に携えてあった剣を鞘ごと取り出して見せていた。

愛用されているであろう豪華な作りの剣を持ちながらオムーは話し始めている。



オムー『・・・く・・・この剣さえ抜ければ・・・=ω=.;』

アメル『・・・・?』



アメル『その剣・・抜けないの(・w・)?』

オムー『そうだぉ・・・いつからだったか忘れたけど・・随分前だぉ=ω=.;』

アメル『抜けなかったらまずいじゃん(´゜w゜`)他の剣は?』

オムー『これしか俺は力が発揮できないぉ=ω=.代々承継されている剣だぉ』



アメルはその剣の鍔の部分を覗き込みながら質問を続けた。



アメル『留め金が埋まってるね・・・力づくでも開かないの(`・w・)?』

オムー『何度も試してるけど・・・=ω=.』


そう言いながらオムーは懇親の力を振り絞り、鞘から剣を抜こうとしている。



・・・・ギ・・・・・ギギ・・・・・



オムー『ふぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ・・・・・≫ω≪.;』



むしろ剣と鞘が鍔元で初めから繋がれていたかのように全く微動だにしない。



オムー『だっ・・・やっぱ駄目だぉ≫ω≪.;!!!』

アメル『本番それじゃ・・・負けちゃうじゃん(´゜д゜`;)』

オムー『う~ん・・・・気合でなんとかなんないかなぁ~ってな・・=ω=.;』

アメル『随分と余裕なんだねーwー;ところでさ・・・なんで兵士になろうと思ったの(・w・)?』

オムー『え=ω=.;!?・・・それは・・・・』



オムーの理由はひとつだけであった。
端的にアメルに一目惚れしてしまい、同じ職場に就こうという安易な考えの為などとは本人の前では言えず、突然の真理を突いた質問にうろたえるばかりで話しを逸らす他方法がなかった。


オムー『えっと・・・その・・・・あっ俺の受験番号【7011】なんだぉ・・・ゴロいいと思わないかぉ?【なおいい】なんつって・・・・・ハハ=ω=.;』

アメル『・・・・(・w・)』



空気が重く感じられている。



オムー『・・ぁは・・・ハハ=ω=.;』

アメル『・・・まぁいいや(・w・)そうだ!これ、お守りだよ』



アメルはポケットから何かを取り出し、オムーのまだ差し出していない手まで持っていき渡している。


オムー『お=ω=.?なんだこれ?』

アメル『この前商店街で売ってたの(・w・)なんだかんだ言ってクルスくんも
心配してたよ!!じゃぁ頑張ってね!!りん達と一緒に見てるから』

オムー『・・ぉ・・ぉう・・・心配するまでもないぉ=ω=.;』






アメルの離れていく背をじっと見つめながら、不安な気持ちは拭い取れないまま自身の試合の始まりを待つオムー。

何も確認できずに手の中に渡された物を確認すると、それは可愛らしげなミサンガであった。


オムー『・・・・・=ω=.』

第壱百五拾四話

2009-01-31 | 本編
衛兵1『王様。りん様たちがお目見えです。お話があると申しております・・・・。』

王様『・・・・・・・・。』

衛兵1『・・・・・・。』



暫くしてもドア越しにいるはずの王様の返答がこない。



衛兵1『・・・・王様!?』

王様『だあっとれ(゜Д゜♯)!!!今ふんばっとるんじゃ!!!』

衛兵1『あ・・・はい・・失礼しました・・・』



トイレのドア越しから声をかけていた衛兵1は王様が無事であるとわかり、胸を撫で下ろした。



ガラガラガラガラ・・・・ガシャッ・・・・


ジャッジャーーーーーーーーーーーーーーー




手を拭きながらトイレから出てきた王様は、用件を聞く準備は整ったようだ。




王様『なんじゃーωー?話とは』

衛兵1『はい。りん様たちがお目見えです。お話があるとか。』

王様『ほいほいほいのっほいさっさとーωー奴らがいるのはどこじゃ?』

衛兵1『客室の間です。』



腰紐を結びながら王様は、客室の間へ足を運び出している。



王様『客室の間ーωー?・・・はて・・・何用かのぉ・・・』



・・・・・



・・・



・・



その客室間は25m長方形の大きい絨毯が敷かれ、グレー系の色に統一されており、光沢のある真っ白な大きいテーブルが置かれている。

角にはそれぞれ観葉植物が置かれ、手入れの行き届いたその部屋からは王族の管理体制や秩序を指し示していた。



緊張するようにその男はりん達に囲まれ、王様が来るのを待っている。


***『・・・・広いなぁ・・・なんかドキドキしてきたぉ=ω=.』

りん『大丈夫^^王様は優しい人だよ』





するとクルスは、その安価な服装とは不釣合いなその剣をまじまじと見ている。





クルス『ところでその剣・・・高そうだな・・・盗んだのか(゜Д゜)?』

***『盗んでなんかいねぇーおwwこれはうちの代々伝わる剣だぉ=ω=.;』

クルス『そっか・・なんか似合わねぇからよ(゜Д゜)』

***『大きなお世話だぉ=ω=.;』

アメル『きたきた・w・ノ』




王様が衛兵1と共に客間に入ってくると、一同は座ったその席から立ち上がり、踵を揃えた。



りん『お呼びして申し訳ありません^^ゝ』

王様『どうしたんじゃーωー?』

りん『訓練兵ではなく、当初から第一連隊へ入りたいと、この者が申しておりまして^^;』

王様『ほむーωー』

クルス『推薦するほどのもんは感じられんよ(゜Д゜)』

アメル『でもやる気はすごいみたい・w・試験受けたいんだってさ』



第一師団第一連隊への入隊は、上等兵の評価やその者の功績、経験、もしくは圧倒的なまでの強さを証明する偉業をこなしてきたものであり、他に入隊する術は年に一度行われている試験ただひとつ。


そしてその試験も上等兵の推薦文なども必要となり、困難を極めていることは必然であった。



王様『どこの者かわからん者で訓練兵でもない者が第一連隊への受験など
わしは認めんぞーωー?』




***『げ=ω=.;』

アメル『あらま・w・』

りん『ですよね^^;念のため聞いたまででした。』

クルス『言わんこっちゃない(゜Д゜)』



その男を連れてきての相談も虚しく、王様は即答を浴びせるのだった。



***『(ガックシ・・・=ω=.;)』



肩を落としたその男とりん達が帰ろうとしたその時。




王様『ぬぉ(゜Д゜♯)!!!!!』


アメル『Σ(・w・ノ)ノ』

りん『!?』

クルス『(゜Д゜)?』

***『=ω=.;!?』



帰り道をいこうと横向きになったその男の腰に付けられている剣を王様は凝視している。




王様『・・・・・(゜Д゜♯)』


アメル『どうしたんですかΣ(・w・ノ)ノ?王様』

りん『・・・!?』

クルス『(゜Д゜)?』

***『ん・・・な・・・なんだぉ=ω=.;』



王様『お主・・・・名はなんと申すーωー?』

オムー『俺か=ω=.?俺はオムーだぉ』



一瞬王様の表情は固まり、暫くするとにこやかな表情に変わっていた。




王様『・・・・・なるほどのぉ^ω^そういうことか・・ふぉっふぉっふぉっ・・』

りん『?』

王様『衛兵1ーωー昇格試験は・・あと何日で始まる?』

衛兵1『え・・っと・・2月2日ですので・・もう間もないと思いますが・・』

王様『よし・・・その者に第一連隊試験許可を与えるーωー』



アメル『おぉぉ~(・w・ノ)ノ!!どういう風の吹き回し』

りん『・・・!?』

クルス『(゜Д゜)?』

オムー『ほ・・本当か・・やったぁ~=ω=.ノ!!!』

りん『王様、そういうことか・・というのは・・どういうことでしょう?』

王様『世界のはるか遠くへどんなに離れようとも・・・会うものは会い、事が始まるものは始まるのじゃ^ω^』

りん『・・・・?』

王様『なぁーに^ω^すぐわかるぞよ』

オムー『よぉーーっし=ω=.!!!やっほぉ~い!!!!やったぁ~!!!やったぞぉ~!!!!受験できるぞぉ~!!受かるぞぉ~!!』

りん『すごい喜びようねw』

クルス『よっぽど入りたかったんだなw受かるかどうかは知らねぇけど、まぁ頑張れや(゜Д゜)』

アメル『なんかよくわからないけど頑張ってね(・w・)』

衛兵1『(また何か王様はお考えのようですね・・・)』




理由はさておき、第一連隊への受験の強い要望が叶ったその男、オムーは喜びに浸っている。

りん達は、オムーの強い受験理由も王様の受験承諾の理由もわからぬまま、その受験日を待つことになったのだった。

第壱百五拾参話

2009-01-30 | 本編

***『このチャーシューうまい=ω=.!!!』


パカーーーーーン!!!


***『;`;:゛;`(;゜;ж;゜; )ゴフッ』

 


見事にクルスの鞘の打ち込みがその男の頭に直打され、鉄と頭蓋骨の鈍い音が中華料理屋一帯に響くと同時に男の口の中の食べ物が噴射されている。

 

クルス『・・・・・・(゜Д゜;)』

アメル『わたし知らないノwノ』

りん『ノアさんwwこれは一体www』

ノア『・・・・・・・。』


***『いてぇ~≫ω≪.;!!!な・・・なにすんだぉ!!!』

クルス『・あ・・・ごめ・・・えっと・・その・・ハエがいてさ(゜Д゜;)』

***『百歩譲ってハエだとしても、普通叩くのは手とか新聞紙だろう=ω=.;!!』


その男は頭を抱え何度も指に血がついていないか確認している。
収拾をつける為にも、りんやアメルがクルスの間に入ってきた。


りん『・・・あの・・・すいませんでした^^;私からも謝ります。』

アメル『すいませんでした・w・』

***『まったく!タンコブできちまっt・・・・=ω=.;』

 

すると間に入り謝ってきた二人をみたその男は、痛みなど吹き飛ぶ程の驚いたような顔をしている。


***『・・・・・・・=ω=.;』

 

その視線はアメルに向けられていた。

 

 

アメル『ん(・w・)?』

***『・・ぁ・・・=ω=.;』


クルス『詫びにここのメシ代払うぜ(゜Д゜)すまんな』

***『ま・・まぁいいぉ・・・俺って結構頭丈夫だし・・・=ω=.』

 

その突然の男の変わりように驚くも、その疑問を上回る事態の収拾への気持ちが優先され、許してくれたことに感謝する3人であった。

 

りん『よかったぁ^^』

クルス『そっか!よかった(゜Д゜)』

アメル『・・・(・w・)』

 

そして3人はその男へ謝ったあとに自分達のテーブルへ戻ろうときびすを返すと、
すぐさまその男は声をかけてきている。

 

***『あぁ~!!!・・あの・・・=ω=.;』

りん『はい?』

クルス『ん(゜Д゜)?』

アメル『んあ・w・?』


つま先は元いたテーブルへ向けられたまま、上半身だけを呼ばれた背中の方角へ向けながら3人は意外な声に反応している。

 


***『・・・あの・・・・その・・=ω=.;』

 

りん『・・・・?』

クルス『・・・・(゜Д゜)?』

アメル『・・・・(・w・)?』

 


***『さっきさ・・・兵士がどうのこうのなんて言ってなかったっけ=ω=.;?』

りん『えぇ、言ってたわ』

クルス『なかなかいい奴がいなくてな(゜Д゜)』

 

その男は口の周りについた練りカラシを拭き取り、古着の丈を揃えるように身なりを整え、こう言った。

 

***『じゃ・・・じゃぁ・・・俺なんかぴったしだぉ=ω=.』


りん『え・・・・』

クルス『・・・・(゜Д゜)』

アメル『・・・(・w・)?』


そう言うとその男は、ブンブンと鞘を目の前で振り回しており、
すぐに息切れをし出している。

 

***『・・・はぁ・・・ぜぇ・・はぁ・・俺・・結構・・・つおいぉ・・=ω=.;』

 

りん『あは^^;』

クルス『すまんな(゜Д゜)選考基準てのもあるんだ』

 

また3人はテーブルへ戻ろうとすると止めるかのようにその男は再度呼び止めている。

 

***『ほっ!!ほんとだぉ=ω=.;!!!兵士試験なんかあるのか!?』

りん『一応やってるけど・・本気^^;?』

クルス『第一連隊の試験!?こいつには無理だろ(゜Д゜)』

りん『う~ん^^;訓練兵としてならすぐにでも入れると思うけど』

***『訓練兵=ω=.;?・・・それは・・・その・・みなさんはいるのかぉ?』

 


男の突拍子もない質問にあっけらかんとしながらりんは答えている。

 

りん『みなさんて・・・私ら?・・えっと・・私たちは第一連隊っていって違う部隊だから、
訓練兵ではないわよ?』

***『う~む=ω=.;訓練兵じゃなくてその第一連隊の試験受けさせてくれんかぉ?』

クルス『なんでこいつはいきなりすごいやる気を出してるんだ(゜Д゜;)?』

りん『さ・・さぁ^^;』

アメル『すごいやる気あるみたいだよ(・w・)王様に相談しにいく?』

 


アメルの提案に大いに賛成するように、その男は力強く頷いている。



***『そ・・そうだぉ=ω=.;話せばわかってくれるぉ!!!』

りん『う~ん^^;無理だと思うけど・・・一応いくだけいこっか?』

クルス『めんどくせぇな(゜Д゜)』

アメル『・・・・・(・w・)』


何某かの理由で第一連隊所属を希望して止まないその男は一同に連れられ、
王様の元へ相談をしに行くことになったのだった。

ノア『人違い・・・なのかな・・・・』


第壱百五拾弐話

2009-01-28 | 本編
りん達から一テーブル間を置いて座り、その男は注文をしている。



***『冷やし中華頼むぉ=ω=.』

ノア『かしこまりました』




夏のスイカや冬のコタツなど寒暖差のある愉しみは脳にも満足度の高い刺激を与えてくれる。冬に食べる熱いラーメンはこの上なくおいしく感じるものだ。

お昼時、いまだ4人しか客の入っていない空いた席の多い中華料理屋に、ラーメンをおいしそうにをすする音や炒飯をほうばるアメルの歯とレンゲのあたる音が僅かに聞こえている。



りん『・・・辛いけどうまい~><』

アメル『ハフハフ・・・・この炒飯もおいし~よ(=´w`)』

クルス『ズズ・・ズズ・・なかなかうまいな(゜Д゜)』



クルス『・・・・しかし・・勧誘ワマくいかねぇマんだなぁー・・・ズズ・・・(゜Д゜)』

りん『そのうちね^^・・・・あら・・・あの人なんかどうなの?アメル』



3人は食べながら離れた席に座る男を横目でみてみると、
その男は注文をした品がくるまでの時間を持て余しているようである。



***『・・・今日は釣れなかったな・・ブツブツ=ω=.』




アメル『うーむ・・・もしや・・・隠れた逸材かも(`・w・)』

クルス『なんだあいつか( ゜д゜)?そりゃねぇな・・ありゃただの風来だ』



暫くすると、注文した冷やし中華が運ばれてきている。



ノア『お待たせしましたー』

***『待ってました=ω=.』




クルス『・・ズズ・・・』

アメル『風来ってなぁに・w・?』

りん『ん~・・風の吹くままに生きている人のことよ^^』

クルス『その日暮らしの野郎ってことだ。見てみろあの服!安もんもいいとこだろ(゜Д゜)』

りん『風来は自由人って言った方が聞こえがいいのかな・・それとも型にはまっていない人^^;』

クルス『なんにしても強くはねぇだろ(゜Д゜)』

りん『うんと強ければもっと身なりはいいかもしれないわよね^^』

アメル『そうかなぁ・・・なんかあの人・・違う空気を持っている気がするんだけどなぁ・w・』






その男は自身が噂されているとは知らず、冷やし中華を夢中で口にかき込んでいる。




***『おぉ~!!・・ズズ・・・バクバク・・うめぇ~=ω=.』



すると、ノアはアメルたちの会話に入ってくるようにテーブルに近寄り、
何か言いたげにアメルを見ている。



アメル『・・(・w・)?ノアさんどうしたの?』

ノア『あの・・・・わたし・・』

りん『・・・・?』

ノア『今思い出した・・わたし・・小さい頃・・あの人に・・助けられた気がします。』

クルス『助けられた(゜Д゜)?』

ノア『はい・・・昔・・私が水汲みに隣町までいったとき・・盗賊5人に襲われたんです。その時・・・あの人が助けてくれました・・・・わたしが目をつぶっている間・・五つ数える間に盗賊5人を倒していました・・・ものすごく強かったのを憶えてます。』



りん達は、夢中で食べるその男を再度見誤っていなかったか確認するように凝視した。


りん『・・・・・・。』

クルス『・・・・・( ゜д゜)』

アメル『・・・・・(`・w・)』



冷やし中華の麺にこびりついた練りカラシを解さずに口に入れてしまったのか、その男は咳き込んでいる。



***『・・・・ズズ・・・ズチュル・・ゴホッゴホッ=ω=.;』



りん『・・・・・・。』

クルス『・・・・・( ゜д゜)』

アメル『・・・・・(`・w・)』



***『ゴホッゴホッ・・・お・・・お姉さん・・ゴホッゴホッ・・み・・水を・・・もういっぱい・・・ゴホッゴホッゴホッ=ω=.;』

ノア『はっ!はい!!!』



その男は急いでノアが持って行った水を勢いよく飲み込むと、今度はその水が食道ではなく肺の気管肢に入ってしまったのか、余計に荒々しく咳き込みだしている。


***『・・グビッ・・・グビッ・・グハッ=◇=.;;ゴホッゴホッゴホッゴホッ!!!』




その余りにも気の抜けた姿を見た三人の意見は疑いなく一致した。




クルス『・・・人違いだろ( ゜д゜)』

りん『強くはなさそうね^^;』

アメル『世の中に似ている人って3人はいるらしいからね(`・w・)私も見誤ったかもしれない』



その男がノアを何度か見て様子を変えることのないことから、ノア自身も自分の記憶に疑問視しだした表情でアメルたちのテーブルに帰ってきた。



ノア『でも・・間違いないと思います・・多分・・私のこと憶えていらっしゃらないだけなのかも・・』

クルス『ほんとかよ(゜Д゜)じゃぁ試してみっか?』

りん『試す?どうやって?』

クルス『五つ数える間に5人の盗賊をぶっ倒したってのが本当なら・・俺がこれで後ろから叩き込んだとき何かしらアクション起こすだろ(゜Д゜)』



クルスは剣の刃は抜かずに鞘を腰から外し、胸前に皆にわかるように取り出している。



アメル『また強引なw』

りん『クーちゃんそれは辞めたほうがw』



ノア『・・・・・・多分・・逆に打ち込まれてしまうかもしません・・』


3人がふざけ半分のやり取りを交わす中、一人ノアは、忠実やかな面持ちで答えている為、皆の表情は笑顔から真顔に為らざるを得なかった。



りん『・・・・・・。』

クルス『・・・・・( ゜д゜)』

アメル『・・・・・(`・w・)』


ノア『・・・・・。』



クルスはノアの方へ顔を向けたまま、りんとアメルへ承諾の頷きを促すように
視線を送っている。



クルス『・・・・・(゜Д゜)』



すると、それを返すようにりんとアメルはクルスに真剣な表情で無言の返事を返した。



りん『・・・・・・。』

アメル『・・・・・ーwー』



大人しげなノアから予測し得ないその強い眼差しは、真偽を確かめたくなる一同の思いを動かし、クルスのその強引なまでの確かめ方を実践させるのだった。



ゆっくりとクルスは席を立つと、3人を残し一人その男の座る席に近づいていく。



りん達とは逆向きに座るその男の背中からは、無論今までどおりオーラなどは感じられない。至って人並みのその背中から発する気は、中に潜む力など微塵も感じられはしない。



徐々にクルスの忍び足がその男の背中に近づいていく。


・・・・ヒタ・・・・ヒタ・・・・・



クルス『・・・・・( ゜д゜)』




りん達は、見守るようにひとつ離れたテーブルに座り横目でその姿をみている。



りん『・・・ゴク・・・。』

アメル『・・・ゴクッ・・(;・w・)』

ノア『・・・・・。』



クルス『・・・・( ゜д゜)』



刃は出していないとはいえ、鉄でできた鞘に頭が当たれば流血は免れられない。


クルスの鞘の長さである範囲にその男の頭が入ると、躊躇うことなくクルスは頭に打ち込みを与えようと振りかぶり、攻撃をするのだった。



その振りに手加減などない。振っている鞘が見えぬ程の速さでその男目掛けて当たりそうになったその時。



***『=ω=.!!!!!』

第壱百五拾壱話

2009-01-26 | 本編
りんたちの目の前に現れたのは、『来来軒』という大きな看板。
赤く装飾された木造りの両開きドアがある。



クルス『ここにすっか(゜Д゜)』

アメル『あっ!!この店いいな~・w・ノアメルさんの財布にやさしそう』

りん『ここまだ入ったことない^^はいってみたい』



たくさん立ち並ぶファンブルグ大通りの店のなか、今日の巡回の休憩場所にしたその場所は、定食屋に近い中華料理屋であった。

入り口の開きドアには彫刻の龍が装飾され、東洋の独特な雰囲気が漂っており、りん達はドアを開けると中はカウンターも合わせて15人ほど座れる席が並び、客は入っておらず、こじんまりとしている。


店員『いらっしゃいませー』



力の抜け切った明らかにアルバイトと思われる声が迎え入れてくれると、その声を聞き、店員の顔をみたアメルは声をあげて驚くのだった。



アメル『ノアさ~んΣ(・w・ノ)ノ』

ノア『あ・・・・・』

クルス『ん?なんだ(゜Д゜)知り合いか?』

りん『友達^^?』



そこには、アメルの無二の親友である旧くからの友人が働いており、意外な展開にアメルは目を丸くして喜び、ノアの両手を持ち飛び跳ねて喜んでいる。

それとは対照的に、その友人は飛び跳ねることもなく、勢いよく弾んでいるアメルの動きに連動した手をそのままに、大人しげな表情で笑みをこぼしている。



アメル『バイトはじめたってここだったんだぁ~・w・ノ』

ノア『うん^^』



アメルは紹介を始める立ち位置である3人の間に入った。




アメル『コホン・・・簡単に紹介するね!ノアさんは調理師。わたしが今扶養してるんだ・w・わたしの昔っからの友達で姉的存在なの。ひ弱で無口で大人しめのいい子だよ。』


クルス『調理師でウェイトレス。姉的存在の友達を扶養・・って随分複雑だな(゜Д゜;)』

アメル『ま・・まぁ気にしない気にしないーwー;』



りん『はじめまして^^りんといいます』

クルス『俺はクルス(゜Д゜)よろしくな』

ノア『^^』



その友人は、にこやかな笑顔で会釈するとそのまま席を案内してくれるのだった。



クルス『俺はラーメン(゜Д゜)』

アメル『チャーハンよろしく・w・ノ』

りん『わたしは・・・坦々麺で^^』

ノア『^^』



厨房へ戻り、注文を伝えたのか中から違った声が聞こえてくる。



『やっとお客ちゃん来たんでちゅね。ラーメンにチャーハンに坦々麺!!おっけーでちゅ!!』





・・・・・・・・・


・・・・・



・・・



どうやらその店は、2人で切り盛りしているらしく、料理が出来上がるまでの時間は長い。

待ち時間の間。
クルスは上着のポケットに手を入れながら浅く席に座り、仮眠をとるように目を瞑っている。


クルス『・・・・・。』


アメルは同化して溶け込むように上半身をテーブルにもたれかけ、顔をうずめて手首から先だけをばたつかせている。


アメル『まーだかな・・・まーだかな・・・まーだかな・・』


りんも時間を持て余すように壁にかけられたメニュー表をみている。




<ラーメン>

<みそラーメン>

<坦々麺>

<かた焼きそば>

<炒飯>

<天津丼>

<チンジャオロースー>

<冷やし中華>

<店長一押し!!エビちゅ特製 豚足ラーメン>



りん『あっ店長一押しなんかあるんだ・・・またきたとき頼んでみようっと^^』





暫くすると、ノアともう一人の店長らしき人物がアツアツの料理を運んできている。


店長『おまたせでちゅ~( ̄ω ̄ )』

ノア『^^』



アメル『きたぁ~(・w・)じゅるり』

りん『おいしそう^^』

クルス『おしっ食うか(゜Д゜)』



運んできたラーメンをテーブルに置く際、器を持つ店長らしき人物の親指がスープに僅かに入っていることにクルスは気づくのだった。




クルス『・・・指が・・(゜Д゜;)』

店長『ゆっくりしてってくだちゃいね~( ̄ω ̄ )』

ノア『^^』

アメル『いただきまぁ~す・w・』

りん『頂きます^^』



すると、もう一人客らしき人が店に入ってくるのがわかったノアは、
また気抜けた声で来客の挨拶をしている。



ノア『いらっしゃいませー』



その客は、軽い布着を着込み、黒髪短髪。
安価な作りの服とはミスマッチした豪華な剣の鞘が腰に携えられていた。



***『・・・・うぅ~外はさぶい=ω=.』

第壱百五拾話

2009-01-24 | [第壱百五拾話]はここ


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第壱百五拾話の推奨BGM。
http://jp.youtube.com/watch?v=XiqoHfkq4p8
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りんが第一連隊に入り数ヶ月。
エステンブルグの襲撃さえなければ平和そのもののファンブルグ国。

空には真っ白な雲と青い空が広がり、
冬には珍しい暖かな風と日差しが城下の町を活気付けている。


仕事も板についてきたりんは、今日はクルス、アメルと共に城下の巡回警備をしていた。

とは言え、平和な日が続く城下警備はほぼショッピングに等しい。

 

クルス『りん(゜Д゜)まだか?腹へったぞ 向こうの露店いこうぜ』

アメル『どの店・w・?』

りん『あぁーあれほしぃ~><』

 

りんの目に留まったのは、今年流行りの服ニット、ムートンだ。
服屋から離れられないりんが待ちきれないクルスとアメルは周囲の食べ物屋を見回している。

 


クルス『お・・・ハンバーガー店があるな・・(゜Д゜)』

アメル『マックもいいけどあそこの中華のお店のがいい・w・ノ』

 

りん『あぁー・・黒と紫は品切れかなぁー_ノ乙(、ン、)_やっぱり人気あるんだなぁー』

 

この時期は先行して春ものが売りに出されており、ブーツ、帽子、ブレザーなど
ファッションに気遣う女の子にとっては目移りが激しくなる季節である。

 


クルス『・・・そうだ!りん(゜Д゜)!王様にさ、新しい仲間いれろって言われてんだよ!誰かめぼしい奴みつけるべ』

 

店頭の服を体にあてがい、鏡をみつつ品定めをしているりんは、
品物を凝視しつつ意識半分で答えている。

りん『そうだね~こういうときしか勧誘できないからね~・・・』




クルス『昼飯どこで食うか決めながら勧誘するか(゜Д゜)』

アメル『勧誘はクルスくん頼んだノωノ』

クルス『アメルも声かけるんだよ(゜Д゜)』

アメル『えぇー(´゜д゜`;)』



やっとウィンドウショッピングが終わったのか、りんはクルスとアメルの場所へ戻ってきている。



りん『おまたせ^^今度あの服買いにこよっと』

アメル『おかえり・w・勧誘とお昼ご飯探しだってさ』

りん『了解^^』

クルス『おしっいくか(゜Д゜)』

 

 

ファンブルグ東町の大通りには、昼時となると東洋や西洋の食べ物など枚挙に遑がないほどたくさんの食べ物が並んでいる。

うまそうな香りが歩行者のいい宣伝の役割であり、店頭に出ている店員たちも
客への声かけを絶やしていない。


人通りが多く賑やかなこの道で、りんとクルスとアメルは歩行者と何度もぶつかりそうになりながら、昼ご飯の場所と軍兵勧誘できそうな人を探し歩いている。

 

クルス『あの男なんかいいんじゃないか(゜Д゜)?』

 

クルスはいかつい男を発見し、わかるように指差している。

 


クルス『あいつ(゜Д゜)強そうでいいんじゃないか?』

アメル『あぁーあぁいうタイプは案外軟弱くんが多いよーwー』



根拠があるのか、アメルは人を見抜けると得意げに語っている。



りん『アメルわかるのw?』

アメル『わたしは兵士を見る目があるんだからーwーフ』

クルス『ほんとかよw』

 

すると、スラッと足の長い女の子が3人の目の前を横切るのだった。

 

りん『あっ!!この女の子・・・・魔法強そうじゃない?』

アメル『うーんーwーあのタイプは打たれ弱い子だから訓練中に逃げ出すタイプかも』

りん『うーん・・言われて見れば・・・』

クルス『・・・・なんでわかるんだ(゜Д゜)?』

アメル『さぁ・・・才能かもーwー』

クルス『いまいち信用しがたいw』

 

次に3人の目に飛び込んできたのは、背丈こそ小さく幼げであるが、
一際存在感のある女の子であった。

 

りん『あの子は?実は強かったりして・・』

アメル『う~んーwー強い・・・かも・・・』

クルス『・・・・あの子か(゜Д゜)』


クルスは声をかけようと近づくと、その子は3人の視線に気づいたのかこちらに視線を送り返している。

 

******『^0^?』

 

クルス『あの~・・・今ファンブルグ軍の兵隊勧・・』

******『きゃっナンパっ><!!すいません!!!hanaはこれから塾に行かないといけなくてっ^0^;!!失礼しますっ!!!!』

クルス『・・・・・(゜Д゜)』

りん『ぶwwww』

アメル『ww』

 

何かと勘違いをして即断りの返事をしたその女の子は、
そそくさと人ごみの中に消えていく。

 

クルス『最後まで聞けよ・・・(゜Д゜)』

りん『まぁまぁ^^;』

アメル『とりあえずご飯食べよ・w・ノ腹が減ってはなんちゃらだよ!!』

りん『戦はできぬね^^;』


なかなか勧誘を成功しない3人は、アメルお得意の虫食われ諺を皮切りに、空腹を満たすことを優先し、食べ物処を探すことにしたのだった。