オムーの周囲の音を聞き分ける耳は元に戻っていた。
しかし、相変わらず砲台の弾はひどくゆっくりと流れており、敵の動きやファンブルグ軍兵士の動きも遅い。
オムー『・・力が・・・・溢れてる・・・・=ω=.』
長年抜く事のなかった鞘の中にはほのかに父の香りがしているような気がしている。当時の父との思い出に浸る余裕などない緊急時にも関わらず、オムーはなぜか落ち着いているのだった。
オムー『・・・侵略なんてのは・・・究極のエゴだぉ・・』
王様が思い出したかのように頭上をみると、すぐ様またオムーに向かって叫んでいる。
王様『そうじゃった!オムー(>Д<♯)上を見るんじゃ!!もう矢がそこまで来ておるぞ!!』
同じようにクルスやりんもオムーへ向かって叫んでいる。
クルス『駄目だ!!間に合わねぇ(゜Д゜;)!!』
りん『オムー!!上から矢がきてるんだよ~><!!早くよけて!!』
オムー『・・あぁ・・・みんながさっき俺に叫んでたのはこの矢のせいか・・・=ω=.』
開放された直後の研ぎ澄まされた集中力。
常人を遥かに凌ぐ感覚が備わっている今のオムーには、自らに向かって飛ぶ矢でさえ遅く感じられている。
上空にて大きく湾曲を描いていたであろうその何本かの鋭い切っ先を持った矢は、真上から串刺すように、もうすでに鼻先まで落下してきていた。
オムー『・・これ当たったら痛ぇだろうなぁ・・しかし遅ぇなぁ~=ω=.』
そのスローモーションで落下してきているいくつかの矢をオムーは鼻先にあたる寸でのところで体を斜めにし、見事に避けている。
そして次から次へと飛んできている矢を弄ぶかのように体を仰け反らし、いとも簡単に避けてしまうのだった。
オムー『アメルはあそこにいるんだ・・・早くいかなくちゃ・・・=ω=.』
りん『・・・・すごぃ・・・』
クルス『・・・・全てよけた(゜Д゜;)』
王様『・・フ・・・・・さすがじゃーωー;』
りん『第一連隊!!!態勢を立て直す!!龍の陣形で今いる場所を保持せよ!!!』
オムーの開放された気の風圧によって周囲の敵が怯んでいる間にりんは態勢立て直しの指揮を執った。ファンブルグ軍、正面前線部隊7000名が一挙に防御態勢に入り整列し直している。
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ここからの推奨BGM。
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王様『・・バルタルト・ニコシアという人物は聞いたことがあるかーωー?』
クルス『ん?・・親父から聞いたことはあるな(゜Д゜)なんでだ?』
王様『わしの旧くからの友人じゃよーωー今は何をしておるのか・・。18××年代の伝説の獅子の一人じゃ。そやつの子供が輪をかけて強くてのぉ・・。まだ若い故自身の力をうまくコントロールできんかったーωー
当時一時的に平和になったファンブルグにそのあり余る力は、かえって危険であるとニコシアは考え、剣と共に息子の力と魔法を封印をして欲しいとわしに依頼してきてのぉーωー』
そして王様は自らの首飾りを胸元から外に出し、小さく掘り込まれている紋章をりんとクルスに見せている。
・・ジャラ・・・・
りん『その紋章は・・・まさか!?』
王様『そうじゃ・・・・そのまさかじゃ・・このわしの首飾りにある紋章は、オムーの剣の紋章と同じーωーこれはわしの独自の魔法を印す刻印じゃ・・・・』
クルス『・・てことは・・・あいつは・・・バルタルトの・・(゜Д゜)』
王様『そうじゃ・・わしが昔封印したバルタルト・ニコシアの息子とは・・・あのオムーという男じゃーωーあんなに大きくなりおって・・・』
りん『彼が・・・・彼がバルタルトの血を引く・・人物!!』
王様『・・・奴の名は・・・かつての魔法と剣を使いこなす伝説の獅子・・・・・バルタルト・オムーじゃーωー』
クルス『(゜Д゜)!!!』
りん『!!!』
ファンブルグ暦18××年。
デスファルト王国の襲撃から我が国を守った伝説の獅子の一人であるバルタルト・ニコシア。
その一人息子として生まれたオムー。
時代を超え、バルタルトの血が再びファンブルグに帰ってきたのだった。
オムー『・・・メテオノヴァ!!!!!!』
オムーにとっての初弾とも言える攻撃魔法。メテオノヴァ。
竜神のごとく黒い煙がオムーの杖の役割をしている剣から放出され、空高く舞い上がると同時に暗雲を形成し、溶岩のごとき燃え上がる巨大な岩石が次々と落ち始めている。
ドドーーーーーーーーーーーーーーー!!!
ドドドーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
ドドーーーーーーーーーーーーーー!!!!
りん『・・・これが土攻撃魔法・・・クーちゃん!!!上を見て!!!』
クルス『・・なんだありゃ・・・(゜Д゜;)』
王様『ぬぉ(゜Д゜♯)』
ズバーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
ドゴーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
ドドーーーーーーーーーーーーン!!!!
真っ赤に燃え上がるその岩は全て敵兵に直撃し、数百とも言うべき敵兵が一度に押し潰され、地面に直打したことによる熱を帯びた爆風の余波は周囲の敵兵をも火達磨にしながら吹き飛ばしている。
その焼き払った敵前線を踏み歩き、オムーは突進した。
クルス『よっしゃ(゜Д゜)後に続くぜ!!』
りん『前線部隊!!!魔法攻撃に合わせて前進!!!!』
オムー『アイスフロスト=ω=.!!!!』
ピキッビキビキビキッ!!!!!
瞬間的に標的の周囲の空気の分子の振動を止めて凝固させ、冷却して凍らせてしまう攻撃魔法。アイスフロスト。
一息つく間もなくオムーは次なる攻撃をしかけている。
周囲一帯の敵兵の足元が瞬間的に冷却され、身動きできていない。
『・・う・・・なんだこれは・・・』
『・・くそ・・・足が・・・』
身動きのとれない獲物を勢いよく一刀両断していくその非情とも言うべき戦闘は、敵の士気にさえ影響を及ぼしていた。
魔法と剣を使いこなし、一瞬にして数百ともいうべき敵兵を倒していくその様は、かつての伝説の獅子、バルタルト・ニコシアを訪仏させている。
クルス『・・半端ねぇな・・こいつ・・(゜Д゜;)』
王様『・・・このまま一気に前進じゃ(゜Д゜♯)』
りん『全隊!!!前進!!!』
オムー『・・・・待ってろ・・・アメル・・・・』