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眩しい太陽・・美しい月・・そして世の中所詮金でちゅ

伝説の獅子たちが活躍する笑い泣き感動ありのアクションストーリー (c)2008hiyoko.現在原画製作中!

第壱百九拾四話

2009-04-11 | 本編



 

砂ぼこりがまだ止まぬ中、りん達はファンブルグ軍のごくわずかな生き残った兵士たちとチプスタの大地に呆然と立ちつくしている。

 

トカマク『・・・助かったのね・・』

りん『・・・・勝った・・・。』

クルス『・・・・・(゜Д゜)』

オムー『・・・・・=ω=.;』

アメル『・・・すごぃ・・(・w・´;)』

王様『・・勝ったんじゃな・・・・ーωー;』

 


何もかも吹き飛ばした広い大地にいた彼らの視線は皆エビちゅに集まった。

 

エビちゅ『・・フゥ・・・多少の犠牲は目を瞑って欲しいでちゅ( ̄ω ̄ )』

王様『・・・しょうがあるまい・・あのままではわしらは全滅しておったーωー』

アメル『そだよ(・w・´)ノ』

クルス『情状酌量の余地ありってことか(゜Д゜)』

りん『ありがとう^^・・エビちゅ。名誉勲章ものなんじゃない?』

 

 

王様はあえてエビちゅから視線をはずし、遠い空を見つめながら語りかけた。

 


王様『エビちゅよ・・・昔からわしが言っていた言葉・・覚えておるな?人生の半分は運命じゃーωーそしてその半分は己の努力でどうにでもなる。』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』

 


クルス『・・ぉ・・このパターンは・・・・(゜Д゜)』

トカマク『仲間になるパターン到来ね^^』

オムー『王様が語りだした=ω=.』

アメル『アメさんこの光景何回見たことか(・w・)もう慣れっこなのサ』

りん『^^』

 

王様『才能は眠らせていては損じゃーωーその魔法・・・ぜひファンブルグ軍として、いや・・・よき世界にする為の力として役立てて欲しいーωー』

 

そして王様はエビちゅへ視線を戻し、力強く言うのだった。

 

王様『エビちゅよ^ω^また共に歩んでいこう』

 





エビちゅ
『断る( ̄ω ̄ )!!』

 


りん『ぶwはwwwwwwポーン(  Д )⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒...。....。コロコロ』

王様『 ・・・・(゜▽゜;)』

アメル『うん(ーwー´)今までにないパターン到来だね』

オムー『断られた・・・=ω=.;』

 


王様は一瞬立ちくらみを起こし卒倒しそうになるが、バランスを崩したところで正気に戻り、大地を蹴るようにまた直立した。

 

王様『・・・・フ・・・・そ・・そうかーωー;』

エビちゅ『ファーレンの・・・王ちゃまの元では働きまちぇん( ̄ω ̄ )ビシッ!』

クルス『もったいねーなーその力を封印か(゜Д゜)?』

エビちゅ『ただ・・・傭兵としてなら雇ってもらって構いまちぇんよ( ̄ω ̄ )』

王様『おぉ^ω^!!そういうことか!!』

りん『^^』

エビちゅ『日給1mGぐらいで手を打ちまちょう( ̄ω ̄ )』

王様『・・・・ま・・細かい話は追々話し合っていこうじゃまいかーωー;』

 

するとりんは、また共に戦うかもしれぬエビちゅに皆の自己紹介を始めようと
話し始めた。

 

りん『そっちに立っているのがトカマク様^^軍の総指揮官にあたるわ。わたしも師と仰いでるの。』


トカマクはにこやかな顔でりんからエビちゅへ目を送り、会釈している。


トカマク『あなたも伝説の獅子の一人なのね^^もちろん情状酌量よ』

エビちゅ『・・・・あなたが王ちゃまを守る軍の指揮官でちゅか( ̄ω ̄ )守るばっかりでなくイタオの土地をエステンブルグからぶん取って欲しいでちゅね。あそこには美酒<いいちこ>の原料の大麦がたくさんありまちゅから。』

トカマク『はは^^;前向きに善処するわ・・』

王様『ファンブルグは侵略はせんぞーωー;』

 

りん『それでその隣に座っているのがクルス^^特攻員、豪腕、剣豪・・・いろんな称号をもってる剣士よ。仲良くしてあげてね。』

 

クルスはエビちゅに近づき、さっと手を差し出した。

 

クルス『俺はクルス(゜Д゜)よろしくな』

 

まっすぐと見つめるクルスを交わすようにエビちゅは目を逸らしながら握手をしている。

 

エビちゅ『・・・( ̄ω ̄ )』


りん『そして彼がオムー。剣と魔法を使う魔法剣士よ^^』


頭を掻き、照れ臭そうにオムーは挨拶をしている。


オムー『よろしくだぉ=ω=.・・もし良かったらリードブルース魔法の教授頼むぉ』

エビちゅ『断る( ̄ω ̄ )』

オムー『・・・・=ω=.;』

 

りん『それで・・その隣にいるのはアメル^^プリンが大好きな子。』

アメル『ちょwわたしもかっこいい紹介とかないんすか(;´゜д゜)』

りん『あっそうよね^^;えっと・・・いつも最前線で戦う壁兵士よ』

 


アメルもエビちゅへ向き直り、胸を張って自己紹介をした。

 

アメル『まぁ・・なんでもわからないことあったら聞いてよ(ーwー´)ビシッ!わかっていれば答えるし、わからなければ答えないからサ』

エビちゅ『・・・( ̄ω ̄ )』

オムー『しごく当たり前のことを言ってる気がするのは俺だけか=ω=.;』

 

りんは肩をすぼめて恥ずかしそうに笑みを浮かべ、最後に自身の自己紹介を始めた。

 

りん『えっと・・・わたしは弓師です(*´▽`*)えっと・・・趣味は・・趣味はお菓子作りで・・・あっショッピングも好きで・・・えっと・・ジェノベーゼピッザが大好きで・・・えっと・・・お酒は・・・・カクテル系で・・・・・あっワインも好き!・・赤ねっ(*´▽`*)!赤ワイン!・・いつも見てる雑誌はキョンキャン・・・・ペットはシトロンていうひよこ・・』

クルス『・・・・もういんじゃねぇか(゜Д゜)?』

りん『・ぁっ・・・・そう(*´▽`*)?』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

一通りりん達の自己紹介を終え、王様は間に入りエビちゅの紹介をしだした。

 

王様『いろんなのがいるってことじゃ・・・エビちゅの自己紹介はわしがするかのぉ・・職はたった今から軍専属の傭兵魔道士じゃ^ω^あの破壊力は見ての通りじゃ!そして彼女はこう見えてわしとタメじゃーωー』

オムー『ぶwwタメ=ω=.;!?嘘付けよ!!どう見たって子供じゃんか!』

 


エビちゅの小さい身長。幼児体系とも言えるスタイル。
肌の艶や張り、声質や話し方から誰もがそう思えていた。

 


王様『さぁわしにもわからんーωー歳を食わんのじゃ』

エビちゅ『リードブルース魔法を舐めるでないでちゅよ( ̄ω ̄ )若さくらい魔法でなんとかなりまちゅ』

りん『魔法なの!?すごいなぁ!』

アメル『もはやノールール(ーwー´)』

 


王様『その魔法わしにもかけてくれんかーωー;?』

エビちゅ『調節が難しいからものすごい若くなる可能性大でちゅよ( ̄ω ̄ )まず赤ちゃん言葉になりまちゅ』

クルス『代償が大きいなw』

りん『だから<でちゅ言葉>だったんだw』

王様『・・・遠慮しとくか・・ーωー;』

 

するとエビちゅは皆に背を向け、やや距離を取った。

 

エビちゅ『それではエビちゅはもう行くでちゅ( ̄ω ̄ )』

王様『もう行くのか(゜Д゜♯)?』

エビちゅ『もし仕事があれば・・・ファンブルグ北町の酒屋に来てくだちゃい( ̄ω ̄ )』

王様『ほむーωーまたじゃ』

 


エビちゅは地面擦れ擦れのマントを翻し、その場を颯爽と歩き始めている。

 

クルス『じゃぁな(゜Д゜)』

アメル『バイバーイ(・w・´)ノ』

オムー『まただぉ=ω=.ノ』

りん『ありがとー(*´▽`*)ノバイバイ~!』

トカマク『ありがとう~!』

王様『・・・・^ω^』

 


また突如現れた伝説の獅子。
一度離れた運命はまた蘇り始めた。

世が正しき道へ移り変わるには必然と要するその力。
運命の道へ軌道修正されたその力は真のベクトルを見つけ出していた。

 

 

りん達から遠ざかる小さな背中は、山よりも大きく見えている。


エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』






第壱百九拾参話

2009-04-08 | 本編



カッ!!!!


ドコォォォォオオオオオオオオォォォーー!!


リードブルース魔法という革命的な詠唱法を編み出し、その最高峰に位置する魔法であるファイナルクラフト。

もはや対人魔法とは言えぬその破壊力はすさまじい。
着弾3キロ周囲に届く光はすべてを飲み込み、灼熱で溶解していき灰さえも残していない。

目に見えぬ速度で爆破の衝撃波はさらに遠方へ伝っていき、5キロ離れた地点にいたファンブルグ軍への衝撃も甚大であった。


人、馬、馬車、大砲、建物や草木、山さえも跡形もなく吹き飛ばしていき、りんたち第一連隊も一瞬にして足元をすくわれ地を失い、上空へ巻き上げられながら吹き飛ばされていく。

 

グゴォォォォオオオオオォォォ!!!

 


りん『ぐはっ><』

トカマク『・・・うっく・・』

クルス『・・・ふ・・ふざけんな・・俺らも・・死んじまう・・(>Д<)』

オムー『アメル・・大丈夫かぁぁ~≫ω≪.!!』

アメル『ぁぅぁ~(>w<´)』

王様『・・・(>Д<♯)』


爆発より5キロ離れた場所でさえ、ある者は爆風にて吹き飛ばされ、またある者は衝撃波に粉砕され息絶えていく。

 

 


かつて粗ぶる魂をその杖にこめ、若干20歳にて己の信ずる道を切り開いてきたエビちゅ。

天才はいつの世も反感を買う。
出た杭は打たれるがのごとく、周囲とは独自の研究を学院内では続けてきた。

しかしいつの頃からか、人々は彼女を畏怖と尊敬の念を込め真の魔道士と呼ぶようになっていくのだった。

真の魔道士。
時に忍耐を、時に探究心を、時に繊細さも要となる魔法詠唱。
戦士とは武器の違いこそあれ、他に変わることは何一つない。

戦士は肉体を酷使し鞭を打つように、魔道士は自身の精神に鞭を打ち、幾度となく繰り返される自らの精神との折衝に打ち勝ち研磨していく。


誇り高き魔道士の美学。
真の魔道の道とは一点の曇りなき生き様なり。

未練や執着とは一切無縁。
戦闘あらば、防御などに囚われない。

一撃に己の全てを託し、解き放つ。
命をかけて放つ攻撃魔法。

時空を超え蘇った魔道士は、この戦いにて新たな物語を生み出したのだった。

 

 

爆発が終わり、辺りは煙に包まれ、何も見えない。

気圧の急激な変化を示すように、風が爆発地点へ流れ込み、砂煙を落ち着かせない要因にもなっていた。

 


想像もできぬ力を持っていたエビちゅを目の当りにしたりん達は、かろうじて生きている。


先程いた場所から数百メートル離れた場所にて、土を被り横たわっているりん達はお互いの生死を確認していた。

 

アメル『・・・コホッ・・コホッ・・わたし・・生きてる(>w<´)?』

りん『・・・ぅ・・ぅ・・・アメルの・・声が・・聞こえる・』

トカマク『・・・うっく・・・・みんな・・・いる?』

 

クルス『・・・ゴホッ・・ゴホッ・・・(>Д<)』

オムー『・・グホッ・・ガホッ・・アメル≫ω≪.!!』

王様『・・ぁたたたた・・・(>Д<♯)』


エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』


暫くし、王様は薄くなりつつある周囲の煙越しに辺りを見渡すと、愕然とするのだった。


王様『・・・・これは(゜Д゜♯;)!!!』

 


地面には半径1キロほどの丸い大穴が出来上がり、流れ込んでいる海水。

遥か上空へ舞い上がった馬車の残骸や息絶え亡くなった兵士たちの屍が地上へあちらこちらに落ちてきている音が響いている。

 

・・ガシャンッ!!


・・・・ドサッ!!!

・・・・・パラパラッ!!!!

・・・・・・・・ドシャンッ!!!!

・・パラ・・・パラパラ・・・

 

エステンブルグ軍はおろか、ファンブルグ軍までも吹き飛ばし、チプスタの大地は何も残っていないのだった。


りん『・・・すごぃ・・』

オムー『・・なんもねぇ・・=ω=.;』

クルス『こりゃ随分綺麗さっぱりとしたなぁ(゜Д゜)』

アメル『ひぇぇぇ(・w・´)』

トカマク『・・・敵兵・・が・・いない・・・』

 

 


第壱百九拾弐話

2009-04-04 | 本編


エビちゅBGM。
http://www.youtube.com/watch?v=cVB0h84JxYs
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





ファンブルグ軍は逃げ惑い、もはやその道さえも確保されていない戦況であった。両サイドからの敵に押され、正面からも本隊が押し寄せてきている。


オムー『まずいぉ!第二師団は全滅してるぉ=ω=.;!!』

りん『クーちゃん!しっかり!!』


トカマクに看護されて上半身をやっと起き上がらせているクルスへりんが一喝を与えた。

 

クルス『ぅ・・く・・すまねぇ・・ゴホッグホッ(>Д<;)』

 


そんな中、エビちゅは敵の攻撃を交わしながら詠唱を続けていた。

 

 

エビちゅ『・・ビスタ・・アエル・・テポラス・・( ̄ω ̄ )』

 

ビビッ!!

バチバチッ!!!

バチンッ!!

 

誰も聞いたことのないその詠唱と光球からの電気音は徐々に大きくなっていく。

 

アメル『すごいエネルギーだ・・・・』

王様『よくみておくのじゃーωーお主ら』

 

クルスは地面に横たわり、トカマクに治療されながらエビちゅの手元を見ている。

 

クルス『このパワー・・・・(゜Д゜;)』

りん『どうやら本物のようね・・彼女も・・・』

 

決して日の目を浴びることのなかった魔法が60年という刻を超えて姿を現す。エビちゅの手の平の上の小さな光の玉に全てが集約されていた。

くだらない蔑みを具現化した子供のイジメ。
名誉を大切にし過ぎてきた学院の理不尽な仕打ち。
力のみを信じ最大のエゴをむき出しにしている侵略国エステンブルグ。

それら全てへの報復攻撃がそのひとつの魔法玉に。

 

エビちゅ『・・・・・さて・・ショータイムでちゅ( ̄ω ̄ )』

 


すると、その光球は音速を超える速さで遥か上空へいっきに飛んでいく。

 

ドヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!

 

りんらは周囲の敵たちと戦いつつ、勢いよく上がったその球を見上げて見ている。

 

王様『・・・エステンブルグめ・・目にもの見せてやるわぃ(゜Д゜♯)』

 

球は音速を超え、衝撃波を発する甲高い音が遅れて地上にいる者たちに響いてきていた。


キーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!

 

衝撃波は雲の形を微妙に変えながら弧を描き、敵右翼へ向かっていき、小さい玉は見えなくなっていく。

粗ぶる周囲の戦闘の声などはあれど、一瞬の張り詰めた空気が周囲を取り囲み、静寂が支配した瞬間。


エビちゅ『バーンクラフト( ̄ω ̄ )!!!』


エビちゅは最後の詠唱を終えた。

 

その時、眩い光が辺りを照らし、遥か離れた右遠方に一瞬にしてきのこ雲が姿を現すのだった。

 

横目でその突如地上にから現れたきのこ雲を見ていたクルスは、治療に専念していたトカマクに諭している。

 

クルス『・・・トカマク・・・伏せた方がいい(゜Д゜;)』

トカマク『え!?』

クルス『あれを見ろ(゜Д゜;)』

トカマク『なに・・・・あれは・・・』

 


遅れて到達したすさまじい爆音。
見る見るうちにそのきのこ雲は大きく膨れ上がっていく。

 


ゴゴォーーーーーーーーーーーーーー!!!

 


オムー『・・・やばいぉ=ω=.;!!!みんな伏せろぉ~~!!』

りん『爆風が来るわ!!!みんな伏せて!!』

アメル『あわわ(ーwー;´)』


ドドドドォーーーー!!!!

 


地上から生えたそのきのこ雲を中心に、右翼エステンブルグ兵らが熱を伴った爆風に弾き飛ばされ、地上から半円球を作り舞い上がっている。


みるみるうちにその無数の敵兵でできた津波がファンブルグ軍たちにも押し寄せてきていた。


ゴゴォーーーーーーーーーーーーー!!!!

 

トカマク『ぅ・・ぐはっ><!!』

クルス『・・・(>Д<;)』

 

小さい体のアメルは他のもの達に比べ、踏ん張ることができていない。


アメル『ぁぅぅ(>w<;)』

オムー『アメル=ω=.;!!』

 

すかさずアメルの手を取り、吹き飛ばないようしっかりと手を握るオムー。右翼エステンブルグ兵だけではない。ファンブルグ兵もその爆発に巻き込まれ、辺りを飲み込んでいる。

 

オムー『半端ねぇ・・・≫ω≪.;!クルス大丈夫か!?』

クルス『・・・な・なんとかな・・(>Д<)』

トカマク『・・一体彼女は・・・何者・・!?』

 

起爆地点より離れていたせいもあり、なんとかその熱風に耐えているファンブルグ軍。遠方にあった山々は崩れ、地形が変わり、地面には海水と思われる水が流れ込んできている。


ゴォーーーーーーーーーー!!!

 


クルス『・・・・山がなくなってるぞ・・(゜Д゜;)』

アメル『・・すごぃ・・・』

りん『・・・敵が・・』

 

りんは右翼側にいた敵、数十万兵が一瞬にして消し飛んでいることを確認した。

 

りん『・・・・吹き飛んでいる・・』

オムー『道が開けたぉ=ω=.;』

トカマク『全軍!!右後方へ退避ぃ~!!!』


エビちゅ『これだけで終わると思ったら大間違いでちゅ( ̄ω ̄ )』


エビちゅは新たに生成された光球をもう片方の手に浮かべており、またもその球も空高くで弧を描き左翼に飛んでいく。

 

ドヒューーーーーーーーーーーーーーーーーン!!

 

りん『もうひとつあるわ!!伏せてみんなぁ~!!』

オムー『アメル伏せろ=ω=.;!!』

アメル『(>w<;)』


そしてまた遠方に到達すると同時にエビちゅの魔法詠唱が終わる。


エビちゅ『フォーンクラフト( ̄ω ̄ )!!!』

 


ドドォーーーーーーーー!!

 

エビちゅ『そしてこれが最後の・・・・』


エビちゅは頭上高くに、光球をいつの間にか生成しているのだった。


りん『・・・・・。』

クルス『・・・・(゜Д゜;)』

オムー『・・・・=ω=.;』

アメル『(>w<´)』

王様『(゜Д゜♯;)!!』



エビちゅ『ファイナルッ!!クラフトォーーー( ̄◇ ̄ )!!!』




第壱百九拾壱話

2009-04-02 | 本編






 

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ドドーーーーーーーン!!!

 

『ぐぁ~!!!』

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドドーーーーーーーーーーン!!!

『退避ぃ~!!』


ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドーーーーーーーーン!!

『退避~!!!全軍退避~!!!』

 


足場がないほどに仲間達が次々と倒れていく中、第一連隊のりん達は前線の本隊の進軍をくい止めている。

 

すると、クルスのすぐ横に敵大砲弾が落下してきていた。

 

クルス『な・・・・なに(゜Д゜;)!!』


ドドーーーーーーーン!!!

 


クルス『ぐはっ(>Д<;)』

アメル『クルスくーん(>w<´)!!』

オムー『のやろぉ=ω=.;!!』

トカマク『衛生兵クレリーック!!!』

りん『クレリック班はもう下がってるわ!!トカマク様!これ使って!!』

 

りんは、なけなしの薬草をクルス隣にいるトカマクに投げている。

薬草は周囲の兵士たちを飛び越え、空高く弧を描くように飛び、トカマクはそれをジャンピングキャッチした。


トカマク『クルス!しっかり!!』


トカマクはクルスの被弾した腹の出血を抑えながら薬草を当てている。

 


クルス『・ガ・・ガホッ!!ガホッ(>Д<;)!!・・す・すまん・・不覚だ・・』

 


非情な程に敵の砲弾や長槍兵の攻撃が続いている。

 

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ドドーーーーーーーン!!!

 

『早く逃げろぉ~!!!』

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドドーーーーーーーーーーン!!!

『退避ぃ~!!』

 

エステンブルグから降伏勧告の意味がわかり始めてきたりん達。もはや逃げる方向も失うほどに混乱を帰している。


軍が逃げ惑い戦う中、小さな背中がりん達の視界に入ってくるのだった。


りん『・・・王様・・・あそこにいるのは・・・』

王様『ぬぉ(゜Д゜♯)!!!』

 

 

オムー『あの背中は・・=ω=.』

クルス『なんだあいつ(゜Д゜)!!この前の逃亡犯じゃねぇか!!
ゴホッ!!ゴホッ(>Д<;)』


留置所逃亡者の姿を見るや否やクルスは怪我した体で起き上がろうとし、出血が夥しく出てきている。


トカマク『クルス!!うごいちゃだめ!!』

クルス『・・ぐ・・くそ・・(>Д<;)』

 

王様は若き日を思い出した。名誉を掛け捨て、いじめから救ってくれたかつての親友。一度は踏み外すも、今その目の前に見せている小さな背中は、紛れもないエビちゅであった。


りん『本当に・・来たのね・・』

王様『・・来てくれたんだのぉ・・・ーωー』


感慨深く目に涙を溜めている王様。
敵が交じり合う中で、第一連隊の方へゆっくりと顔を向けるエビちゅ。

 

エビちゅ『・・勘違いするでないでちゅよ( ̄ω ̄ )ファーレンの提案する恩赦など期待していまちぇん!これはこの前のただのお礼にすぎまちぇん』


クルス『・・・くそが・・この戦闘終わり次第とッ捕まえてやるからな(>Д<;)グホッ!!ゴホッ!!』

 

りんは、王様とエビちゅの過去の話からエビちゅに心なしか期待を寄せていた。

 

りん『(もし・・本当にあの学校の首席の腕なら・・見せて欲しいわ・・)』

オムー『くそ・・こんなときに逃亡者が=ω=.;まずあいつからぶっ潰すか!!』

 

オムーも敵の間をくぐりぬけ、エビちゅ捕獲へ歩こうとすると、

 

りん『オムー!!待って!』

 


りんはオムーの道を遮るように手を伸ばし、制止させている。

 


オムー『ん=ω=.;?な・なんだぉ・・』

りん『・・・・・。』

 

エビちゅはエステンブルグ軍とファンブルグ軍の行き交う兵と剣、馬や砲弾を避けながら精神集中をし沈黙を続けている。

 

王様『(・・頼む・・あの力を・・・見せてくれ!!エビちゅーωー;)』

りん『(ここに来たのなら・・きっと力になってくれるはず・・)』


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ここからの推奨BGM。
 http://www.youtube.com/watch?v=BG-_W1mQuWM
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すると徐にエビちゅは杖を持っていない方の手の平を天にかざし始めている。


 

エビちゅ『・・・・・・( ̄ω ̄ )』

王様『オムーよ。お主は聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院を卒業しておるのだろうーωー?』

オムー『・・それがどうかしたかぉ=ω=.?』

王様『リードブルース魔法というのは知っておるかーωー?』

オムー『知ってるぉ!学説にもならなかった俗説だぉ=ω=.』

アメル『リードバームクーヘンてなぁに?おいしいの?(´‐`)』

トカマク『・・・・・・。』

 

そうこうしている間に敵の本隊も第一連隊の中に侵食してきており、攻撃を受け流しながら退避しているファンブルグ軍。

 


りん『魔法詠唱法として一時期噂になった方法よ。普通詠唱は大気の分子を利用してそれを化学反応を起こして自然発火などを起こさせているの。リードブルース詠唱はその逆ね。』

オムー『リードブルースってのは何もないところから目的原子を作るっていうぶっ飛んだ考えだぉ。まぁありえない話しだな・・=ω=.』

アメル『・・・・・なんだ・・・食べれないんだ・・(´‐`)』

トカマク『・・・・・。』

王様『誰もがそう思っておった・・・ーωー』

りん『・・・・?』

王様『あの事件が起きずに・・・エビちゅがあのまま卒業論文を出していたら・・この世の中は少しは変わっていたかもしれんのぉーωー』

オムー『・・・・=ω=.?』

 


王様は精神集中をしているエビちゅへ目をやった。

 

王様『奴はそのリードブルース魔法についての研究をしておったーωー』

りん『卒業論文のテーマに?』

王様『そうじゃーωーそして・・・奴はそのリードブルース魔法詠唱を成功させておる』

オムー『な・・・なんだと=ω=.;!?』

りん『・・・・そんなことが・・・』

王様『今でこそ言える・・わしが始めてみた伝説の獅子は・・あの女じゃったーωー』

 

一見ひ弱そうに見える小さな体。
しかしその背中からは言い様にない強いオーラが放出されている。

 

エビちゅ『・・・・・。』

りん『・・・ゴクッ・・』

オムー『・・・・=ω=.;』

クルス『・・・(゜Д゜)』

アメル『・・・・(´‐`)』

トカマク『・・・・・。』

 


淘汰されたその体からは目に見えぬ力が溢れ、時空をねじっているかのように遠くの景色を歪ませていた。


りん『この気は・・・・』

エビちゅはゆっくりと目を見開き、空にかざした手を胸元まで下げている。

 

すると辺りの敵兵や砲弾の音などに紛れ、空気が震えだしている低い音が聞こえ始めてくるのだった。

 

ブーーーーーーーーーーーーーーーン

 

オムー『・・・・これは・・=ω=.;』

りん『・・・リードブルース詠唱?』

 

りん達の鎧を羽織っている布服が妙に鋼の鎧にぴったりとくっ付いている。

 


アメル『・・なんだこれ・・羽織が鎧にひっついている・・(ーwー;)』

トカマク『・・・空気が乾燥しだしている・・』

 


と同時に、空気中のあちこちで電気音が鳴り始めていた。

 

ビビビッ!!!

ビッ!!!


ビビッ!!

 

オムーが持っている剣の鍔に片方の手があたるかあたらないか寸での所で電気が両手に走るのだった。

 

バチッ!!

バチバチッ!!

 

オムー『あ痛っ≫ω≪.;!!』

りん『静電気?』

 


周囲の大気の異変は回りの敵兵たちも感じている。

 


『・・なんだ・・この空気は・・・』

『静電気か・・?』

 


ビビビッ!!!

ビッ!!!


ビビッ!!

 


エビちゅの胸元まで持ってきていた手の平に、突如光った玉が浮き上がり生成され始めていた。

 

・・ブワーーーーーーーーーーーーーーン・・・・

ボーワン・・・・・・ボーーーーワン・・・・・


およそ地球上では見ることができない色でエビちゅの手の平の上で光輝き、ランダムに回転しながら宙に浮いている。

 

オムー『おわ・・・なんだあれ・・・=ω=.;』

りん『・・これが・・・・』

王様『・・・・ーωー』

クルス『・・・(゜Д゜)』

アメル『・・・・(・w・´;)』



エビちゅ『・・・みせまちょう・・・本当の戦いとはなんたるかを( ̄ω ̄ )』







第壱百九拾話

2009-03-31 | 本編


第壱百九拾話推奨BGM。
http://www.youtube.com/watch?v=S1M7h52phX4

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日照りはいつものように時計台ガラスから反射し、ファンブルグ中央広場を照らしている。


その日を背にしてしゃがみ込み、道路脇の停車した馬車の下を覗いている一人の女。


エビちゅ『・・・こんなとこにいたんでちゅね( ̄ω ̄ )』

子猫『ミィ-ヾ(^-^=)』


そしてエビちゅの中で何かが変わり始めていた。

 

かつての魔法学校の栄光を欲しいままにしてきた者は、たった一度の行為から、それも過ちとは言えない行動から全てを狂わせてしまうことに。


友達を救うという行為から、首席卒業だけではない、聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院の在籍録さえもを剥奪されるという仕打ちを受け、将来有益となったであろう自らの持つ天才的な能力をあえて伏せ、未来をゼロからやり直してきた。

 


エビちゅ『・・・ほらっ牛乳でちゅよ( ̄ω ̄ )』

子猫『ミィヾ(^-^=)!?』

 

馬車の下に隠れていた子猫は、エビちゅの差し出した牛乳が入った皿に駆け寄り、腹を空かせていたいたのか、勢いよく皿をかぶりつくように飲み始めている。

 

子猫『ミィッ!ガプガプッヾ(^~^=)ミィ!ガプガプッ!』

エビちゅ『誰も取りまちぇんよ( ̄ω ̄ )ゆっくり飲みなちゃい』

 


リードブルース魔法。魔法学院、卒業論文タイトルであるその魔法は今だ学説さえもでていない魔法詠唱技術。

魔法学の根底を覆すその力は親友である王様のみ知っていた。エビちゅの退学と共に、その卒業論文を提出する機会も奪われ、日の光を浴びることはなくっていたのだ。

 

エビちゅ『・・まったく・・なんでエビちゅはこんな事をしているのでちょう( ̄ω ̄ )』

 


遠く離れた空には、大きく薄黒い雲が山にのしかかる様に居座っているのが見える。

 

子猫『ミィッ!ガプガプッヾ(^~^=)ミィ!ガプガプッ!』

エビちゅ『・・・あの曇り空・・もうすぐ嵐がくるんでちょうか( ̄ω ̄ )』

 

猫に餌を与えながら思慮深い顔で遠い空を見つめているエビちゅ。

 

一見平和に見えるその町の風景も、遥か西で今行われている合戦の結果如何によっては、失われてしまう可能性を秘めている。

変わることのない生活を送っている市民たちでも、降伏勧告がなされた追い詰められた軍がいることは承知していた。


そう、そのエビちゅもチプスタでの戦争の意味は理解できていた。


エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』


エビちゅは子猫に視線を戻し、優しく語りかけている。


エビちゅ『・・・強く生きるでちゅよ( ̄ω ̄ )人生の半分は・・・』


遥か西の曇りがかった空をまた見つめ腰紐を強く結んでいる。


エビちゅ『・・・運命なんでちゅから・・・・・( ̄ω ̄ )』

子猫『ガプガプッ・・・・ヾ(^~^=)ミィ?』

 

 


そして歩き始めた。
王様と60年ぶりに会い、留置所から逃した意味をかみ踏みしめながら。


その方向は紛れもない王様たちのいる合戦場。
そのまっすぐな瞳は魔法一筋に生きていたあの強い眼差し。

運命という道に反抗してきたエビちゅは居場所を探し求め、その場所がわかり始めてきた。


本来の生きる道は魔道士として生きる道。
徐々に自身の迷いはなくなっていき、力強い歩みに変わっていく。


魔法使いとして天才と言われたその無冠の覇者は、小さくも大きいあの頃の勇ましい姿に蘇っていた。

伝説の獅子がまたファンブルグへ現れる。
運命と向き合い、覚悟の背を子猫に向けたエビちゅの復活劇が今始まった。





第壱百八拾九話

2009-03-29 | 本編


今作お勧めyoutubeBGM。
http://www.youtube.com/watch?v=lulFlFN70Gw
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



りんの顔は一瞬にして血の気が引いていく。

アメルは自身の体が大地からの揺さぶりを強く受け、武者震いのように揺れていることに気づくのだった。


アメル『・・・大地が・・揺れてる・・・』


所々に雑草の生えているだけの茶色の大地。敵が近づくにつれ、立ち続けている事さえできそうにない程に揺れ始め、広い大地全体も畏怖を感じているかのようである。


その地響きと共に徐々に大きくなっている敵の咆哮はファンブルグ軍の士気を失わせていた。

 

うぉぉぉおおおぉぉぉ!!!!

あぁぁああああぁぁぁぁ~!


らぁぁぁあああぁぁぁ!!

 

立ち煙から姿を現した数十万にも及ぶ無数の敵兵たち。頭を覆った兜の僅かな隙間から出ている鋭く不気味な目は、行く末のファンブルグ軍を睨みつけている。

 


アメル『・・ぁわ・・わ・・・』


恐れ後退りするアメルの横でトカマクに指揮を煽っているりん。


りん『トカマク様!!このままだと危険ですっ!!すぐ退避しましょう!!』

トカマク『わかったわ><!!』

王様『いったん退避じゃ!!』

りん『王様!!中央へ!』

オムー『・・後方部隊にすぐに下がるように言うんだぉ=ω=.;逃げ道がなくなる!!』


敵数十万の馬隊や大砲隊などの足音はファンブルグ軍に脅威を植えつけていた。


トカマク『全軍!!!20kmラインまで後退~!!!』

 

青ざめた顔でトカマクも全軍に退避命令を出すと、一斉に馬の手綱が引かれ叫び鳴く馬声が響き渡り、最前線部隊も否応なしに戦闘を避けて後退りを始めている。

 

アメル『りん!!右側からも大量に来てる(>w<´)!!』

りん『左翼160度の方角!!大砲隊!!』

オムー『右翼80度!!長槍兵!!ざっと見て敵の数10万強!!!』

クルス『おい!!りん!!俺とオムーが正面の奴らを食い止める(゜Д゜)!!俺の小隊の兵、先導してくれねぇか!?』

りん『一緒に退避しなさい!!』

オムー『アメル早く退避しろ=ω=.;!!』

アメル『足止めだったらわたしもするよ(>w<´)!!』

 

正面から、左右両面からの同時攻撃に見舞われているファンブルグ軍。正面からの敵部隊囮は本隊と隊列を交替している。

 


オムー『敵正面隊は隊列交替してる!!正面からも本隊攻撃がくる=ω=.;クルス!!』

クルス『上等(゜Д゜ )!!!!』

 

クルス小隊とオムー小隊はトカマク第一連隊の退避には従わず、最前線で足止め交戦をしていると、両面敵部隊からの初弾の攻撃が始まるのだった。

音を鳴らしながら大砲や弓槍がファンブルグ軍に着弾し始めている。

 

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ドドーーーーーーーン!!!

 

『ぐはぁっ!!!!』

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドドーーーーーーーーーーン!!!

『うわぁぁああぁぁぁ!!』


ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドーーーーーーーーン!!

『退避~!!!全軍退避~!!!』

 

横攻撃にも耐えれるはずの流線型隊列も20万を越す大砲や弓槍には耐え切れず、無情にも寄せ集まった軍兵の隙間を死体で埋めていく。

 

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ドドーーーーーーーン!!!

 

『ぐはぁっ!!!!』

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドドーーーーーーーーーーン!!!

アメル『うわぁぁああぁぁぁ!!』

 

りん真横にいたアメルの小隊が砲弾の爆発をまともに受けており、爆風で吹き飛ばされている。

 

りん『第一連隊着弾!!!アメルの部隊へ着弾~!!!クレリック衛生兵~!!!』

オムー『のやろぉ~=ω=.;!!!!!』


やがて敵両面の部隊とも接触を開始し、ファンブルグの縦列に入り混じるように敵が突入していく。

 

各中隊、各小隊などの兵士が隙間なく作っていた陣形も敵が入り混じることで容易に背後からの攻撃を受けてしまい、そこには陣形や隊列作戦の意味をなさなくなってしまう。


数の少ない隊が多勢部隊に勝つための最大の条件は背後を取らせないことにある。その鉄則が守られない場合、それはただの肉弾戦として多勢に無勢の戦いになることは必然。

今のファンブルグ軍はまさにその事態を起こしていた。
隊列はなくなり、敵か見方かの判断も危うい。


ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ドドーーーーーーーン!!!

 

『ぐはぁっ!!!!』

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドドーーーーーーーーーーン!!!

『うわぁぁああぁぁぁ!!』


ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!

ヒュルルルルrーーーーーーーーーー!!!


ドドーーーーーーーーン!!

 


トカマク『退避が間に合わない!!』

オムー『アメル=ω=.;!!!大丈夫か!?』

アメル『・・・ぅ・・な・・なんとか(>w<´;)』

クルス『こんなところで死んでたまるかよ(゜Д゜)』

王様『(エビちゅ!!頼む!!来てくれーωー;!!)』





第壱百八拾八話

2009-03-27 | 本編

世界に名だたる大陸として旧き時代から人間の手によって栄えていたマバオ大陸。エステンブルグやファンブルグを初めとしたいくつもの国が栄え、かつては新緑の色が大地を覆い、動物が駆けめぐっていた平和な日々。


今やエステンブルグの横暴は大陸の隣国全てに行き渡っており、マバオ大陸に存する全ての国々はその侵略戦争に巻き込まれ避ける術はなかった。




最も激化している戦いは、大陸を大きく二分していたエステンブルグとファンブルグの攻防戦であった。

当初からエステンブルグには圧倒的なまでの数の兵員がおり、ファンブルグが堕ちるのも時間の問題であるとは言われていた。



しかしそこへ突如ファンブルグの大地に旧伝詩文書にあった戦士たちが生れ落ちていく。


その者たちはファンブルグ国のそれぞれの時代にて、それぞれの町にて産声をあげ、時には幼少期に、時には成人にて自らの力に気づき、国や大陸の行く末を導いていく道を歩み始めていく。


ファンブルグの民たちは旧伝詩文書の言葉から、彼らを<伝説の獅子>と呼んでいる。その突如舞い降りた獅子たちは、下馬評を覆しファンブルグへ底なき力を与え、エステンブルグの猛攻を凌いでいる。


・・・・


・・・


・・




今最も激化している戦闘地域は緑地が消えかけた広い大地であるチプスタ。
エステンブルグ40万の軍勢とファンブルグ13万の軍勢の合戦。


喊声を発して突入する声。喚いている声。人と剣と鎧がぶつかり合う音。
馬のけたたましく鳴る足音が響いている。


ドドドドドドドドドドーーーーーーー!!!



うぉぉぉおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!

わぁぁぁあああああぁぁぁぁぁああああぁぁ!!!!

ぉぉぉおおおおおおおおおおおぉぉぉ!!!



クルス『いけっ(゜Д゜)!!リンドブルム!!!』


主の命令により敵目掛けて飛んでいくセプテントリオ。
チビ竜と言われていたその丈は今や人を優に超え、勇ましく敵陣へクルスらと共に向かっていっている。


リンドブルム『グルルルルルル(`∞´)!!!』



きしめきあっている無数の敵陣の群れの上空僅か1m程の所を風を切るように飛び進み、リンドブルムは敵中隊の指揮官めがけて鋭いクチバシで攻撃した。



バサバサバサバサッ!!!

グサッ!!!!


敵中隊長『ぐはっ!!目が!!目がぁ~!!』


負傷と共に勢いあるセプテントリオの突打のクチバシ攻撃は中隊長を突き飛ばし、馬から突き落としている。


クルス『よっしゃぁ~(゜Д゜)!!!』

りん『隣の指揮官も射抜いたわ!!これで命令指揮系統はなくなったはず!このまま突撃しましょう!!』

トカマク『そうねっ!!第一連隊前進~!!!!』


流線型になった前線部隊は衛兵や壁兵や突撃兵を先頭に徐々に前進を始めていった。




オムー『クルス!!周りの雑魚ども俺が援護するぉ=ω=.』

クルス『頼むぜ(゜Д゜)!!俺が道を作る!!アメルこい!!』

アメル『日頃のうっぷん!!はらさでおくべきか!!うらぁぁああぁぁ(ーwー´)ノ』



広大な土地は戦略も要になっていく。
ファンブルグ軍は1段前線、2段前線、中堅隊、後方援護部隊、衛生救援隊を順に配置させ、横からの攻撃にも耐えられるよう全部隊が流線型に列を成しており、敵からの進行を食い止めていく作戦を取っている。


無論、最前線を務める1段前線には第一連隊が配置され、りん達が陣形を保っていた。


グングンと思惑を遥かに超えたスピードで敵軍隊の中心部へ進んでいく。


通常であれば一太刀で息絶えてしまうはずの敵との刃の交じり合いを当然のように受け流しながらクルスは話しながら敵奥地へ攻撃をしている。



ジャキーーン!!

バスッ!!ガスッ!!!!!

『ぐはぁぁぁああぁぁぁ』


カキーーン!!

『うぉぉおおぉぉぉ』

ビシッ!!!

ザンッ!!

『ぎぇぁぁああぁぁぁ』

カンッ!!

ジャキンッ!!!


クルス『見えてきた(゜Д゜)!!あれが敵の本隊指揮官か!?』

王様『そうじゃなーωーあの者がエステンブルグ本隊指揮官じゃ』

アメル『もしかして降伏勧告もらっときながら今回勝てるんじゃ(ーwー´)?』

りん『トカマク!!第二連隊がやや押されてます!!』

トカマク『全隊速度下げて!!!2段前線!!後方支援開放!!!』


やや歩き進むペースが弱まると、数万人の歩く音や合戦の気組みある雄叫びや重なり合う音が弱まり、立ち煙も心なしか少なくなってきている。


アメル『このまま突っ込もうよ(ーwー´)ノ』

クルス『りん!!あの指揮官は俺にやらせろ(゜Д゜)』



するとオムーはいつもとは違う状況からの深憂からの胸騒ぎを感じ始めていた。


オムー『・・・・・・=ω=.』

りん『あと少し・・・トカマク様!予定より大幅に進軍しています!!』

トカマク『そうねっ!!この調子でいきましょう!!』



2段前線の援護攻撃もあり、第二連隊も回復していっており、全部隊の隊列も綺麗な流線型を作り整えられていく。


りん『トカマク様!第二連隊隊列回復です!!』

トカマク『おk!!全体進軍!!!進め!進めぇ~!!!』



本隊と接触も僅か。
勢いを増してファンブルグ軍は押し進み始めた。



そんな中、オムーは辺りをキョロキョロと見回している。

オムー『・・・(=ω=. )( =ω=.)?』

クルス『オムー!!この左にいるウジャウジャいる奴らフレアで蹴散らしてくれ(゜Д゜)うざってぇ!!』


最前線の中でも最も前方に位置し、特攻を担っていたクルスは左部隊に密度濃くいる敵らを排除して欲しいとオムーに範囲魔法攻撃を頼んでいる。

しかしオムーは何かに囚われているかのようにクルスの言葉が耳に入っていっていなかった。



クルス『オムー(゜Д゜)!!聞こえてんのか!?』

オムー『・・・・・=ω=.;』



その様子に気づいたりんもオムーの顔色を伺っている。



りん『・・・?』

オムー『・・・・=ω=.』


りんは執拗にある場所を見入っているオムーの眼差しを伝い、同じ方向を見てその視野に入ったものを確認していた。


りん『・・・・オムー?どうしたの?』

オムー『・・・・・=ω=.;』

りん『何か見えるの?』



合戦のけたたましい馬の走る音や奇声にも似たその掛け声が飛び交う中、静かに周囲をみているオムー。近くにいるりんの呼ぶ声さえも耳に入っていないようである。


オムー『・・・・=ω=.;』

りん『オムー!!!!』

オムー『はっ=ω=.;!!!す・・すまねぇぉ・・』



気づかせる為にも大きめに呼ぶと、オムーは我に返りすぐさまりんに頷き返事をした。



りん『大丈夫!?もう本隊と接触するわよ。』

オムー『りん・・・・=ω=.;』

りん『第3連隊!!!隊列を守って!!』


りんは1段前線の左翼の指揮を任されており、指揮をしつつオムーとの会話を続けている。


りん『・・ん?呼んだ?』

オムー『どうもおかしいと思わないか=ω=.;?』

りん『なにが?』

オムー『順調すぎる・・・=ω=.;』

りん『いいことじゃない^^このままいけばこの合戦は私達の勝ちね』

オムー『30万近くの兵員の差がありながらなぜこうも進めるんだ?・・・・あの前線にいるのは鎧も真新しいぞ・・・おかしいと思わないか=ω=.;?』

りん『・・・・言われてみれば・・そうね・・』



アメルやクルス、1段前線で戦うファンブルグ軍の前に対峙している敵の鎧は確かに経験を滲み出させている血が染まった鎧ではない。あたかも新兵が着ている輝いている綺麗な鎧だった。



オムー『もし俺がエステンブルグなら・・・この調子にのった部隊を倒すには・・
真横から来ると思ってな・・・=ω=.;』

りん『・・・・・。』



じっと砂煙でみえなくなった横の大地を見ながらしゃべっているオムー。同じようにりんも敵の存在を確認している。



オムー『・・・・=ω=.;』

りん『・・・・・・来るとしたら・・敵本隊接触のとき・・かな・・。』

オムー『・・・だな=ω=.;』




そしてとうとう本隊と接触となると思った矢先。
敵陣営から鐘の鳴る音が聞こえてくるのだった。



カーーーーン!!

カーーーーーーーーン!!

カーーーーーーーーーーーーーン!!!


りん『!?』

トカマク『!?』

アメル『りーん(ーwー´)!!敵本隊と接触開始ぃ~!!』

クルス『うぉぉぉおおおぉぉ!!な・・なんだこの音は(゜Д゜)!?』

オムー『・・・・いるぞ・・・・・あそこだ・・・・=ω=.;』



無数の人が叫び唸るような咆哮が聞こえてきている。



ぅぉぉぉぉ

ぁぁぁぁぁぁぁ



オムーはファンブルグ軍の横にあった砂煙を指差し、りんに訴えている。


オムー『・・・りん・・・・・あそこだ=ω=.;』

りん『・・・な・・・・・あれは・・・』




第壱百八拾七話

2009-03-21 | 本編


第壱百八拾七話の推奨youtube動画BGM。
http://www.youtube.com/watch?v=gwmhr75dlGE
↑別タブで開いて引き続きお楽しみ下さい。
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王様は遠くを見つめたまま昔の出来事を話し始めた。


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60年前のある日のこと。
聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院。
桜が咲き、艶やかに学校全体を色飾っており、卒業式間近の校舎の真上を見上げれば、そこには気持ちのいい青空が広がっている。


ファーレン『・・・・・^-^』


ファーレンはピンと背筋を伸ばしながら校庭のベンチに座り、その日も本を読んでいた。ほのかな風も気持ちよく、ページを一緒にめくってくれている。


大好きな本を読み始めるとすぐにその世界に入り込んでしまい、あっという間に日が暮れてしまうことは日常茶飯事であった。


校門が閉まるぎりぎりの時間。
時間など忘れて読み耽っている。

 

ファーレン『・・・・・^-^』

 


しかし突如ファーレンの世界は閉ざされ、現実の世界に引き戻されてしまうのだった。

 


ファーレン『・・ぁれ・・・^-^;』


本が目の前から消え、強制的に目覚めさせられてしまったファーレンは、手元から無くなった本の行方を探している。


ファーレン『・・・どこ・・・だ・・^-^;?』

バリス『ははははははっ^△^ノ■何読んでんだよ~!!!』

ダック『おまえ何が楽しいんだよ!こんなの読んでて』


集中して読んでいることをいいことに、学校の不良らが後ろから本を奪ってしまい、一日中本を読んでいるファーレンにケチをつけている。

 

ファーレン『・・ぁ・・・返してよー・・・^ー^;』

バリス『返してほしけりゃ取ってみろよぉー^△^ノ■』

ダック『はははははっ^^!!』


こういったイジメもファーレンにとってはごくありふれた日常の一部。バリスとダックはファーレンをいつも標的にしていた。


体の大きいバリスは本を持ち手を伸ばし、ファーレンの手が届かない位置までかざして高くあげながら煽っている。


ファーレン『ぁぁー!!返してよぉ~>_<!!』

 

なんとかして取り返そうとファーレンは一生懸命その本に向かって何度もジャンプをしている。

 

バリス『ははははっそんなに大切なのかよ^△^ノ■こんなもん!!』

 

するとバリスはファーレンの頭の上で本を開くと、引き裂くように両手で左右に力を入れ始めた。

 

ビリ・・・・ビリビリ・・・・・

 

徐々に冊子が音を立て破れていく。

 

ファーレン『あぁーーーー>_<!!!!』

ダック『あはははははっ^^!』


ビリ・・・・ビリビリ・・・・

 

ファーレン『あぁ・・・・ぁぁ・・><』


ビリ・・・

 

みるみるうちにその本は二つに引き裂かれていき分断されていく。

 

バリス『・・・・・^△^』

ダック『・・・・・^^』


ビリバリリリリリッ!!!!

 

そしてとうとう真っ二つに裂かれ、見るも無残な姿になってしまうのだった。


ファーレン『・・・ぅ・・・ぅぅ・・・><』


バリスは半分に引き裂かれた本を両手に持ち、ファーレンの困る顔をみて満面の笑みを浮かべている。


バリス『こりゃ悪かったなぁ~!!力入りすぎたわ^△^!あははははっ!』

ダック『いーひっひっひっ><腹いてぇ~!!』

ファーレン『・・・・・・・。』

 

悔しさで涙がいっぱいに溢れ落ちそうになったファーレンは渾身の力を振り絞り、叫びながらバリスへ向かっていく。

 

ファーレン『うわぁぁぁああぁぁぁぁ><!!!!!』

バリス『?』

ダック『!?』


破れかぶれで突っ込んだファーレンの頭は見事にバリスの胸に辺り、突き飛ばしている。


ドガッ!!!!


バリス『ぐはっ><!!』

ダック『てめぇ!!!』

 

砂煙を出しながらバリスはファーレンと共に転がっていく。

 

ゴロゴロゴロゴロ!!

 

勢いに任せて転がり、止まるとバリスがファーレンの上に馬乗りになっていた。

 

バリス『おまえぇ!!!いい度胸してんじゃんか!!』

ファーレン『・・ぅ・・・ぅぅ・・・><』

ダック『ファーレンのくせに!!』

 

バリスは上から力任せにファーレンを殴りつけている。

 

バリス『このやろっ!!このやろっ!!』


ドガッ!!バキッ!!

ドガッ!!!バキッ!!

 

下になったファーレンは必死に上からの拳を防御している。

 

ファーレン『・・ふぁっ・・・ぐぁっ・・がはっ・・』

ダック『そうだもっとやっちゃぇバリス!!』

バリス『っのやろぉ!!!俺に!!立て付くなんて!10年早いんだよっ!!』

 

ズガッ!!バキッ!!!!

 


受けきれなくなった拳はファーレンの顔面を捉えていき、流血していくファーレンは意識が飛びそうになるほど殴られ続けている。

 

ドカッ!!!バキッ!!

 

バリス『・・・はぁ・・ぜぇ・・』

ファーレン『・・・ぅ・・ぅ・・・・』


そしてとどめを刺すように大きくバリスは拳を振り上げた。


バリス『・・・後悔しろよっ!!』

 

『やめなちゃい!!』

 

バリス『!?』

ダック『!?』

ファーレン『・・・・・。』

 

ファーレンは意識が朦朧としながら、声の主の方へ目をやった。

するとそれは・・・


自身と正反対である優等生、エビちゅであった。


エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

 

腫れ上がったファーレンの目から見える涙にまみれた視界には、ぼんやりとその雄姿が写っている。

 

バリスはファーレンを下に立ち上がり、エビちゅへ向き直っており、続くようにダックも後をついていった。


バリス『・・・なんだおまえ?』

ダック『おまえもやられたいのか!?』

 

バリスはエビちゅの胸倉を掴んだ。

 

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

やや離れた場所でエビちゅの様子を見ているファーレン。

 


ファーレン『・・・ェ・・・ビちゅ・・・。』

 


ファーレンのその顔は血と泥と涙に覆われている。

 


ダック『おまえ!知ってるぞ!エビちゅだろ!?推薦腐るほど貰ってる奴だろ!?』

バリス『はっはっはっ^△^俺達に手を出したら・・・どうなるんだろうな!?』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

 

 

名誉溢れるこの学校では特に規律を重んじている。
不祥事だけでなく、揉め事を起こしただけでも推薦に響き、特に他校や今後の就職先などに対して注目され、影響力を持った者への処罰は厳しい。

エビちゅは、魔法学院の優等生。
例え友達を助ける為とはいえ、暴力で解決したとなればその対象になってしまう。

しかしそんなことはお構いなしに魔法詠唱を始めているのだった。

 

エビちゅ『・・・リーズ・・・デルタ・・・( ̄ω ̄ )』


胸倉を掴まれたままのエビちゅは両手をいっぱいに左右に広げ、その手の平には褐色の色をした玉が浮かんでいる。


・・・ブーーーーーーーーーーーン・・・

 

攻撃されるやもしれないその状況に慄きながらも、まさかするはずはないと高をくくって威勢を張っているバリスとダック。

 

バリス『・・・へへ^△^;・・・やってみろよ・・・』

ダック『・・・ゴクッ・・・・^^;』

エビちゅ『遠慮なんてしまちぇんよ( ̄ω ̄ )』

 

ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!

 


手の平に浮かんだ二つの褐色の玉は躊躇いもなくバリスとダックへ飛んでいき、一瞬にして丸焦げに焼いてしまっていた。


・・プスプス・・・・

 

バリス『・・・・・・・。』

ダック『・・・・・・。』

 


エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

ファーレン『・・・・ェ・・ビちゅ・・・ありがとぅ・・』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 


りんと王様は留置所前の通りでしゃべっている。

 

王様『・・・・そしてエビちゅは退学になってもうたんじゃ・・・ーωー』

りん『・・・・退学に!?』

王様『奴はわかっておった・・・天秤にかけたんじゃろうな・・・名誉と・・・・友達と・・・・どちらが大切かをな・・・ーωー』

りん『・・・・・・。』

言葉を詰まらせたりんの横で、王様は話し続けた。

 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あれから数日後。

バリスとダックはまだ入院しており、学校側は責任を負うこと恐れ、この傷害事件と共にエビちゅを切り離したのだった。

エビちゅらの言い分も聞けず、一方的に退学処分とした魔法学院。全推薦を取り消して退学とし、エビちゅの学校通学歴さえも抹消していた。

 

学校から近い公園にて、顔に絆創膏を貼ったファーレンが泣きながらエビちゅに訴えている。


ファーレン『・・・エビちゅ馬鹿だよ!!!!』

エビちゅ『・・・・・・( ̄ω ̄ )』


涙でしわくちゃになった顔で話し続けるファーレン。


ファーレン『あの時そのまま帰っちゃえば良かったのに><!!いろんな就職先あったのに!!魔法学院の首席だったのに!!馬鹿だよ!!・・・ぅ・・ぅ・・・』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

 


暫く沈黙のあと、エビちゅは真意を話すことが照れくさかったのか、他の話しで誤魔化そうとしている。

 

エビちゅ『まったく・・・あの程度で退学の在学履歴抹消だなんて・・生徒よりも学校は面子を大事にしているんでちゅね・・・見損ないまちた( ̄ω ̄ )』

ファーレン『・・・・・・。』

エビちゅ『魔法使いなんて糞くらえでちゅ( ̄ω ̄ )』

ファーレン『・・エビちゅは才能があるのに!!』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』


ファーレンの言葉を無視するようにしゃべり続けている。


エビちゅ『エビちゅを見縊るでないでちゅよ( ̄ω ̄ )!?魔法の世界なんていなくても、独立して一世を風びしてやりまちゅ!』

ファーレン『・・・・・。』


まだ塞ぎこんでいるファーレンにエビちゅは溜息をもらした。


エビちゅ『・・ふぅ・・気にするでないでちゅよ( ̄ω ̄ )エビちゅはそんな柔な人間でないでちゅよ・・・知ってまちゅか?ファーレン!世の中はロマンだけでないんでちゅよ!』


ファーレン『・・・グス・・・・。』

エビちゅ『眩しい太陽・・美しい月・・そして世の中所詮金なんでちゅ( ̄ω ̄ )』


本当に申し訳ないことをしてしまったと後悔するファーレン。その落ち込みを励まそうと強がるエビちゅを見て、尚また優しさを感じている。涙と共に流れている鼻水をすすりながらエビちゅの方へ向いた。


ファーレン『・・グス・・・・エビちゅは・・・優しすぎるんだょ・・・。』


エビちゅ『見てるでちゅよ!大人になったとき・・・お互い大きくなって会うんでちゅ( ̄ω ̄ )!』

ファーレン『・・・・大きくなって?』

エビちゅ『・・・・ファーレンは・・将来・・この国の王ちゃまでちたね( ̄ω ̄ )?』

ファーレン『・・・・ぅん・・』

エビちゅ『じゃぁエビちゅはファンブルグ一の代表取締役!金持ちになってるでちゅ( ̄ω ̄ )』

ファーレン『・・・ハハ・・・ぅん^-^』

 

やっと笑顔が戻ったファーレンを横目で確かめながら、エビちゅは立ち上がった。

 

エビちゅ『・・・さ・・そろそろエビちゅはいくでちゅよ( ̄ω ̄ )』

ファーレン『・・・ぅん・・・・』

 


ファーレン『・・・きっとだよ!!エビちゅ!!』

エビちゅ『任せておきなちゃいでちゅ( ̄ω ̄ )!!』

ファーレン『そしたら・・この前のタイムカプセル一緒に開けようね^-^!!』

エビちゅ『了解ちまちた( ̄ω ̄ )ノでは・・・さらばでちゅ・・』

ファーレン『・・・ぅん・・・』

無情にももう振り返ることはなく、一度背を向けたエビちゅはそのまま
その場を去っていくのだった。
それから暫くの間、涙が止まらないファーレンはその場で立ち尽くしていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 


 
二人は留置所前の通りで話している。

りん『・・・・そうだったんですか・・・・』

王様『わしはさっき奴に恩赦を提案したのじゃ・・きっと・・・この次の防戦で加勢しにきてくれるはずじゃ・・・わしは信じておる・・・悪の道など奴には似合わん・・』

 
60年も昔の出来事を話しているりんと王様の頭上には、あの頃と同じ青く綺麗な空が広がっている。



第壱百八拾六話

2009-03-19 | 本編
自警団本拠地に併設された留置所。

アメルは落ちそうになる大量の事件関係書類を抱えつつ、留置所への連絡通路を歩いている。


アメル『ちょっとー(´゜w゜`)クルスくんも持ってよ~』

クルス『しょーがねーな(゜Д゜)こんな書類、容疑者と話すとき邪魔になるだけだろ』

アメル『調書はいざってときに必要だから持ってくんだよー(´゜w゜`)』


両手と胸で積み上げられていたアメルの書類を3割くらいを適当に持とうとするクルス。


アメル『少なwもっと持っていってwww』

クルス『めんどくせーなー(゜Д゜)こんなもんあったって奴は吐かねぇよ』


クルスは渋々と二人均等になるくらいの量の書類をもち、何の気なしに今からいく方角を見てみると、思いがけない人が歩いてくるのだった。



王様『お^ω^ノごくろうじゃ』

アメル『王様だぁ~Σ(・w・ノ)ノ!なんでこんなとこにいるんすか!?』

クルス『おぉ(゜Д゜)!!王様!なんでここに!?』


驚く顔の二人を残しつつ、何も答えずに、にこやかな顔を保持したまま二人の間を当然のように通り過ぎていく王様。



アメル『無視w!?』

クルス『ww』



王様はやや通り過ぎたあと、面倒臭そうに振り返った。



王様『むぁーωー?』

アメル『珍しいですね(・w・´)!』

クルス『何用なんだ(゜Д゜)?王様』

王様『んーωー?野暮用じゃ』


王様はそういうとまたその場を離れるように手を腰にあてたまま歩き始めてしまっている。


アメル『ふーん(・w・´)』

クルス『そっか・・(゜Д゜)』

王様『フフフーン^ω^』



二人は口を開けたまま、鼻歌交じりにそのまま過ぎ去っていく王様をあっけらかんと眺めている。



王様『フンフンフーン・・・フフフン・・フフフン・・・フフフフーーン^ω^』

クルス『・・・・(゜Д゜)』

アメル『・・何の用だったんだろ・・(・w・´)』



・・・・・・・


・・・


・・





王様は自警団本拠地の門出口に辿り着くと、青い空が目に入ってきた。
留置所内とは雲泥の差である風景。
辺りにある空気さえも澄んで感じれる。

一仕事終えたと王様は一人安堵の溜息を漏らした。


王様『ふぅ~ーωー』

しかしすぐに王様は背後に人の気配があることに気づくのだった。



王様『・・・ーωー?』

それはあたかも待ち構えていたかのように、りんが門横の壁に持たれかかっていた。


王様『りん(゜Д゜♯;)』


ひどく無機質な留置所のグレーの壁とモデルのように長い手足をもったりんのスタイルがミスマッチし、際立っている。

りんは今回の事件解決の指揮をしていたが、容疑者尋問の担当ではなく、城にいるはずのりんがそこにいる理不尽さを王様は感じていた。


王様『・・・(゜Д゜♯;)』

りん『・・・・・。』


自身の長い髪の毛先を目元まで持っていき、目を寄せて枝毛チェックをしている。その単純で日常的な動作と、いるはずのない者がそこにいるという非日常の行動のアンバランスさが王様を尚一層驚かせていた。


王様『・・・なぜここにーωー;』



髪の毛先を見ながらりんは話し始めた。



りん『差し支えなければ・・・お聞かせ願えますか?・・王様』

王様『ギクッーωー;・・・な・・なんのことじゃ?』



何の前触れもなしに出された質問とその気配に驚きつつ、王様は惚けて応えている。


りん『容疑者を逃がしたとなればそれは国家反逆罪・・・何か訳があるとは思いまして・・・わたしも容疑者を今見逃したところです・・』

王様『・・・フゥ~ーωー;おみゃーはするどいのぉ・・隠し事はできんわぃ』

りん『これもお仕事ですから(*´▽`*)ニパ』




観念した王様は、青い空に浮かぶ雲を見つめ、一連の出来事をしゃべり始めた。


王様『この事件での容疑者であるエビちゅはわしの同級生じゃ・・・もう60年も昔のことじゃ・・・そうじゃなぁ・・ちょうどこのくらいの季節・・・春になりかけた卒業シーズンだったのぉ・・ーωー』






第壱百八拾五話

2009-03-16 | 本編


 

エビちゅ『・・ファーレン・・・( ̄ω ̄ )』

王様『久しぶりじゃなーωーエビちゅ』


卒業後60年振りの再会。
長い年月は経てはいたが、一目で互いにわかるのだった。

 

王様『・・・・ーωー』

エビちゅ『・・フ・・人生はうまくいかないものでちゅね・・ファーレン・・・ぃゃ・・今は王ちゃまでちゅか・・・( ̄ω ̄ )』

王様『・・・ーωー』

エビちゅ『優等生だったエビちゅが留置所に入り、落第生だったファーレンが国の王でちゅか・・・おもしろいものでちゅ( ̄ω ̄ )』

王様『・・・これはわしにも責任があると思うてのぉーωー』

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

暫し沈黙するエビちゅは、留置所一室の地べたに座り、壁に寄りかかりながら聞いている。

 

王様『・・・・すまなかった・・ーωー』

 

王様はドア入り口に立ったまま、惚けるように目線を逸らしているエビちゅを見ながら話し続けた。

 

エビちゅ『・・いったい何のことでちょう( ̄ω ̄ )』

王様『一度しか言わんのでよく聞いておるのじゃーωーここをまっすぐいくとドアがある。そこを開けると左右に道があるのじゃが、右へいくのじゃ』


そういうと王様は赤錆に覆われたドアをさらに大きく開け、エビちゅを通すかのように道幅を広げた。


エビちゅ『・・・( ̄ω ̄ )!?』

王様『そのまま50mくらい進むと突き当たりにT字路が見えてくる。そこを右じゃ。その道は左に湾曲しておるが、道なりにそのまま進むのじゃーωー』

エビちゅ『なぜでちゅか( ̄ω ̄ )?』

王様『暫く進むと十字路がみえてくるーωーそこを左に曲がれば裏門の出口になるわぃ・・今言った通り道だけ警備員は配置していないようにしてあるーωー時間がないぞぃ。早く逃げるんじゃ。』

エビちゅ『見くびるでないでちゅ!こんなチンケなところ、エビちゅ一人で逃げれまちゅ( ̄ω ̄ )!!』

王様『わかっておるーωー本題がまだある』

エビちゅ『・・・( ̄ω ̄ )』

王様『手短に話す。強盗事件はファンブルグでは極刑のみじゃーωー未遂でものぉ・・これは立法府が作っておるのでわしの力でもどうにもならん。しかし・・恩赦というものがある。それはわしが判断するものなのじゃ。

国家にとって有益な偉業を成し遂げたとき、その起因と周囲からも認められる。エビちゅも軍に加勢して欲しい。あと数日でエステンブルグの猛攻が来る声明が発表されたのじゃ。降伏勧告じゃ・・・・ーωー』

エビちゅ『・・エビちゅは・・・( ̄ω ̄ )』

 

言葉を詰まらせるようにエビちゅは言いごもった。

 

エビちゅ『・・・エビちゅは・・・・( ̄ω ̄ )』

王様『・・・・・ーωー』

エビちゅ『・・・・・エビちゅは魔王になるんでちゅ( ̄ω ̄ )!!!』





王様
『バカタレが(゜Д゜♯)ノ!!!』


バチンッ!!!!


エビちゅの頬に、王様は痛烈なビンタを見舞っている。


エビちゅ『・・・( ̄ω ̄+)』

王様『・・・おまえを羨み・・どれだけの者が挫折してきたかわかっておるのか(゜Д゜♯)!?エビちゅ程の才能をあの学校の者たちはわかっておった!!・・それは・・わしにも責任がある・・世の中にどういう潰され方をしてきたかもわしは知らん・・だが・・もう反抗期はここまでにするのじゃ!!』

エビちゅ『・・・( ̄ω ̄+)』

王様『三日後にエステンブルグの侵攻がくる・・頼む・・・きてくれーωー』

 

エビちゅは王様のすぐ横をくぐりぬけて追い越し、王様から数歩離れた場所で背中を見せ立ち止まった。


エビちゅ『・・・・・・。』

王様『・・・・・ーωー』


エビちゅの背中の面影は昔と変わらない。
何かを言わんとし、片方の頬を王様に向けている。


エビちゅ『・・・・ファーレンの下で働くなんてごめんでちゅ( ̄ω ̄+)』

王様『・・・・ーωー』

 

そしてエビちゅは王様に言われた道を駆け、留置所を後にしていくのだった。

 

王様『・・・・・ーωー』






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第壱百八拾四話

2009-03-15 | 本編



元来、事情聴取などは国内事件を取り扱う自警団が行うものであるが、今回のように軍の師団員が早くに到着して解決をした場合、自警団本拠地の事情聴取室などを借り、解決した者らが状況を詳しく聞くことになっていた。


今回の銀行強盗事件については、第一師団第一連隊のアメルとクルスが担当することになっている。しかしクルスの姿はまだない。

 

アメル『知ってる人(・w・´)?』

少女『はい・・・私を道路で車にひかれる所を助けてくれた人なんです・・・』

 

強盗時にいた親子連れの子供が真剣にアメルに話している中、聴取室に遅れてクルスが入ってきた。

 

クルス『わりー(゜Д゜)寝坊だ』

アメル『なるほどねΦ(・w・´)カキカキ・・あっおはよ~』

クルス『また無意識に目覚まし時計ぶっ壊しちまったぜ(゜Д゜)』

アメル『いくつ壊してんのw』

 

暫定的に間借りしているとはいえ、自警団本拠地の事情聴取部屋に来るのは少なくない。それほどまでに師団員たちは自警団を上回るほど犯人逮捕にて活躍していた。

クルスは慣れた手付きでフード付きのコートを聴取室のハンガーにかけながらしゃべっている。


クルス『で・・・容疑者の意識は(゜Д゜)?』

アメル『まだ確認してないよΦ(・w・´)カキカキ・・今被害者の聴取してるんだからちょっと静かにしててよ』

クルス『あーわりー(゜Д゜)続けて』

 

アメルは途中話を割って入ってきたクルスを止め、優しく少女に質問を続けた。


アメル『ごめんね(・w・´)じゃぁ事件の時のこと、細かく教えてくれる?』

少女『・・・はぃ・・私は、お母さんと一緒にカウンターで呼ばれるのを待っていました。そうしたら・・一人の男が突然押し入ってきて、叫んだんです・・』


クルスはアメルとその少女の向かい合う机の余った席に腰を下ろし、自宅から持ってきた丸ごと一個の林檎に息を吹きかけ、袖できれいに拭いている。


キュッキュッ


アメル『ちょw今朝ごはん(ーwー;)?』

クルス『すまん(゜Д゜)』


すると思い切り口を大きく開けると、少女が話している最中である事はお構いなしにかぶりついた。

 

ゾプッ!!!

シャーコッ!シャーコッ!シャーコッ!

 

クルス『ムシャムシャ(゜~゜)』

アメル『・・・・(ーwー;)』

 

かぶりつく大きな音を立て、林檎に大きな歯型をつけているクルスを横目に、アメルの事情聴取は続く。


アメル『・・ぇっと・・続きいい(・w・;)?』

少女『・・はぃ・・・「金を出せ!さもなくば全員殺す!」って・・・みんな大人しくしていました・・・そうしたら・・遅れて仲間みたいな人が入ってきたんです・・・その人も同じように叫びました「みんな静かにするでちゅ!魔王がきまちたよ!」って・・・』

 

クルス『ゾプッ・・・シャーコッ・・・シャーコッ・・・ムシャムシャ(゜~゜)』

少女『その後・・仲間割れをしたみたいで・・遅れて入ってきた人が最初の人をやっつけちゃったんです・・・それで・・師団のみなさんが来たんです・・でも・・』


アメル『・・でも(・w・´)?』

クルス『ムシャムシャ(゜~゜)』


少女『・・子猫がいました・・・その猫をかばう為に・・火玉の縦になっていったんです。私を助けてくれた人だったし・・・あの人は悪い人じゃないと思うんです。』


クルスは口いっぱいに林檎をほお張りながらしゃべっている。


ゾプッ!!!

シャーコッ!シャーコッ!シャーコッ!


クルス『・・ウェコカーウコーワイーコーケドナ・・(゜~゜)ムシャムシャ・・
ギンコーアーエオーコーアーテウシ、オエアチヲイカクシエキアコーワイーアーアー』


アメル『日本語でおkーwー』

~~~~~~~~~~~~
訳:
猫かばうことはいいことだと思うけどな、銀行内で大声出してるし、俺達を威嚇してきたことは事実だしな~
~~~~~~~~~~~~

 

クルス『ムシャムシャ・・ゴクッ(゜Д゜)』

アメル『・・・・・・これは犯人に聞くしかないね(・w・`)』

 

・・・・・・・・

 


・・・・


・・

 

天井から水滴が落ちている冷えた留置所の一室。
エビちゅはうつ伏せに眠っている。

 


ポッ・・・


・・・・ポッ・・・・・

 

・・・・



ポッ・・・・

 

・・・・


ポッ・・・・


・・

 

ポポッ・・・・・


・・

 

 

エビちゅ『っかはぁ( ̄□ ̄;)!!!』


意識を失っていた深い眠りから、生きていることを体が確かめるかのごとく、無意識に息を大きく吸い込んでいる。


エビちゅ『・・・はぁ・・・ぜぇ・・はぁ・・( ̄ω ̄;)』

 

軽い酸欠状態になっていたエビちゅは荒い息を整えるように唾を飲み込み、辺りを見回した。

 

エビちゅ『・・ゴクッ・・ここは・・・( ̄ω ̄;)?』


薄暗い部屋。
高い位置にある窓らしき場所からは光がもれており、その窓には鉄格子がかかっている。そしてドアも錆びや汚れが目に付くが、頑丈な作りでできていた。

 

エビちゅ『・・ここは留置所みたいでちゅね( ̄ω ̄;)』

 

ポッ・・・・・

 

・・ポッ・・・・・・


・・・


ポッ・・・・・


・・


天井から水滴が不規則な感覚で床に滴り落ちている。
地面や壁、天井は灰色に所々染みのあるうす汚い色をしたコンクリート。

薄暗い部屋の為、ホコリや虫の死骸がどれほどあるのかは定かではなく、暫くの間その床に何も敷かずに寝ていたことに気づいたエビちゅは、反射的に頬の汚れを払い落としすばやく袖で拭いた。


パッパッパッ!

ゴシゴシゴシッ


エビちゅ『・・まったく・・汚い場所でちゅね( ̄ω ̄ )』

 

掃除などしているはずもない部屋のドアも赤黒い錆びの塊などがへばり付き、床に垂れている水滴も不衛生に溜まっている。

 

すると、外で話し声が聞こえてくるのだった。

 

エビちゅ『・・・・・・( ̄ω ̄ )』

 

『この奥か?』

『はい』

『おまえはもう行ってよろしい』

『・・・ぃゃ・・それは・・』

『・・・・』

『・・かっ・・かしこまりましたっ』

 


・コツ・・・コツ・・・コツ・・


硬いコンクリートを歩く足音が響いている。

 

コツ・・コツ・・コツ・・

 

ドアの向こうの廊下は長く設計されているとエビちゅに思い浮かばせたその足音の響きは、徐々に自室に近づくいているようである。

 

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

 

コツ・・コツ・・


コツ・・コツ・・コツ・・

 


その落ち着いた歩き振りの歩く音は迷う事無くエビちゅに近づいている。

 


コツ・・コツ・・コツ・

 

あと数歩でエビちゅのドアの目の前を通過することになる。

 

コツ・・コツ・・コツ・・・コツ・・

 

・・コッ・・


エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )?』

 

ちょうどエビちゅのドアの前まで来ると、案の定その足音は止まるのだった。


エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄ )』

 

・ガチャッ・・・ガチャガチャッ・・・


ガコンッ!!

 

持っていたのか簡単にドアの鍵は解かれ、扉がゆっくりと動き出している。

 

ギッ・・・ギィィィィィーーーーーーーーーー

 

錆び付き開け辛そうなドアを開け、その何者かはエビちゅの前に姿を現した。

 


王様『・・・・・ーωー』






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第壱百八拾参話

2009-03-14 | 本編



受付にいた客達は腰を抜かし、椅子にしがみつくように丸くなり伏せており、中の銀行員たちも身を出すこともできず、こちらの様子を伺っているようだ。


好戦的な構えをしてりん達に向かい合い、牙を剥いているエビちゅ。
それに応えるようにクルスやオムーは剣を抜き、りんも矢に手をかけている。

 


エビちゅ『みんなまとめてかかってくるでちゅ( ̄ω ̄*)!!』

りん『アメル!!周りの人たちの避難の誘導を!!』

アメル『おkーwーノ!!』

 

アメルは、客たちが巻き添えを食らわないよう避難誘導の為、すかさず周りへ走り出している。

 

オムー『りり!!周りに人がいる!!剣を振り回したら危ないぉ!俺が奴にピンポイントで魔法攻撃するぉ=ω=.』

りん『わかったわ!!クーちゃん援護に!』

クルス『あぃよ(゜Д゜)!いくぞオムー!!!』

 

クルスの突進に気を取らせ、オムーは即座に詠唱を始めた。

 

クルス『うぉぉおおぉぉ(゜Д゜)!!』

オムー『ヴォルケーノ=ω=.!!!』

 

大気中から酸素を一瞬にして拾い上げ、発火させながら標的を打ちのめす魔法攻撃。ヴォルケーノ。
燃え盛る火の玉は頭上で弧を描き、恐ろしいまでの火力を保ちながらエビちゅへ向かって進んでいく。

 

ゴゴォーーーーーーーーー!!!

 

エビちゅ『( ̄ω ̄*)!!!』


すぐさまエビちゅは華麗なステップをし、着弾点を先読みして避けている。


ササッ!!!!


エビちゅ『( ̄ω ̄*)フ』

オムー『・・あいつ・・はぇぇ=ω=.;』


すると、オムーの放った火の玉があたるであろうその地点に、紛れ付いてきた子猫がいることにエビちゅは気づくのだった。

 

子猫『ミィー・・ミィー・・(^-^=)』

エビちゅ『なんでそんなとこにいるんでちゅか( ̄ω ̄*;)!?』

 

火の魔法玉が落ちてくることも知らず、無邪気にエビちゅへ向かって鳴いている。


子猫『ミィー(^-^=)』

エビちゅ『そこどくでちゅ( ̄ω ̄*:)!!!!』



ゴォーーーーーーー!!!


子猫に当たりそうになったその時。
エビちゅは着弾点であるその元いた場所へ即座に戻り、
子猫の壁として自らが盾となるのだった。

 

ササッ!!!

エビちゅ『・・ク・・\( ̄ω ̄*;)/』


ズズーーーーーーーーーーーーーン!!!!



火の玉の衝撃により体がくの字に折れ曲がるエビちゅ。
当たったお腹の服ははだけ、皮膚が焼け焦げてしまっている。


エビちゅ『・・・・・・・・・・。』

子猫『ミィー(^-^=)』



持ち去る程の時間がなかったエビちゅの咄嗟の判断は、自身が攻撃を受ける他なく、一度避けた火の玉に再度向かい、子猫を庇うようにあえて魔法攻撃を受けにいっていた。

 

エビちゅ『・・・グ・・エビちゅは・・・な・・何をやっているんで・・・ちょう・・・・・。』

 

りん『え・・?』

オムー『・・・どういうことだぉ=ω=.;』

クルス『戻って自分であたりにいったぞ(゜Д゜;)』

 

りん達にはその子猫が見えていなく、エビちゅ自身でも理解不能なその行動は、りん達にはさらに輪をかけて解せないものであった。

オムーの放った懇親の魔法攻撃のダメージは甚大であり、エビちゅの体には重大な損傷を及ぼしていた。

 

エビちゅ『・・・たかが・・・猫に・・・魔王・・・失格・・・でちゅ・・・』

 

膝をつくエビちゅ。

 

りん『チャンスよっ!!』

クルス『っしゃぁぁぁあぁぁ(゜Д゜)』


怯んだ隙を付き、クルスはタックルでエビちゅを地面に引きずるように倒し込み、押さえ込んでいる。


ズガッ!!!

ズザーーーーーーーーー!!!


クルス『きさまっ!!!観念しろ(゜Д゜)!!!』

エビちゅ『・・・なんたる醜態・・・・グフ・・・』

 

直に受けてしまった体の損傷具合がひどいエビちゅは抵抗する力はおろか、起き上がる力も残っていなく、徐々に力が抜けていくのがわかった。

 

エビちゅ『(・・・・・体の・・力が・・・・)』

 


目を開ける体力もなく、ただただ目の前は真っ暗闇。
体の言うことが聞かない。
周囲の音だけがうっすらと聞こえていた。

 

 

ガシャッ!!


エビちゅ『(・・・・手錠の・・・・音でちょうか・・・でも・・手に感覚が・・・全くないでちゅね・・)』

 

 

・・・・・・・・


・・・・


・・

 

 

クルス『時間は?』

オムー『17時・・・45分。強盗容疑で逮捕=ω=.』

クルス『衛兵2(゜Д゜)!!!担架もってきてくれ!!』

衛兵2『はっ!!』

アメル『りんー(`・w・)怪我人は容疑者以外一人だけ。』

りん『うん!ありがとう!良かったわ^^・・・でも・・今の犯人の行動はなんだったんだろう・・』

 


・・・・・・・・・・


・・・・


・・

 

 


クルス『せーのっ(゜Д゜)』

オムー『せーのっ=ω=.;』


ガタッ・・・・ガタンッ・・・

ガタンッ・・・・・

 

エビちゅ『ぁ・・・今搬送馬車の中でちょうか・・・・今にみてるでちゅ・・・この怪我さえ治したら・・。』

 


・・ミィー・・ミィー・・・・・・・

 


エビちゅ『(・・ん!?・・・あの猫の鳴き声でちょうか・・・・)』

 

りん『あー猫ちゃんだぁー(*´▽`*)かわぃぃ』

オムー『おぉ=ω=.!?まだこの通りにいたのか』

衛兵2『では出発しましょう。早く帰らないと王様に怒られちゃいますよ!』

りん『そうね・・・いきましょう!』

クルス『野良猫かな(゜Д゜)』

アメル『だね(●´w`)カワィ』



車を引く馬のひずめの音が聞こえ始めた。
そしてその音に交じる鳴き声も聞こえている。

 

カポッ、カポッ、カポッ、カポッ


・・・ミィー・・・ミィー・・・・・ミィー・・・

 


カポッ、カポッ、カポッ、カポッ


ミィー・・・ミィー・・・・・



しかし徐々にその交じり合っていた鳴き声だけは小さくなっていくのだった。

 

カポッ、カポッ、カポッ、カポッ


ミィー・・・




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第壱百八拾弐話

2009-03-13 | 本編


 

エビちゅ『・・・今度こそ成功させるでちゅ( ̄ω ̄+)』

子猫『ミィー・・・・ヾ(^-^=)』

次なる場所へ移動しているエビちゅは、無邪気についてきている子猫に気づいていなく、前へ出す足を妨害するかのようにまとわり付いてくる子猫を無意識に何度もまたぎ避けながら、ぶつかりそうになっている。

エビちゅ『・・・・・あの銀行が狙い目でちょうかね・・( ̄ω ̄+)』

子猫『ミィーヾ(^-^=)』


相槌を打っている子猫の鳴き声にも気づかずエビちゅは歩き続けていると、噴水広場からやや離れた表通りにファンブルグ中央銀行が見えてきていた。この目論見は銀行強盗。エビちゅは辺りの様子を伺っている。


エビちゅ『・・・・もう少し人通りが少なくなってからいきまちゅかね( ̄ω ̄+)』

子猫『ミッ(^-^=)』

エビちゅ『それにしても・・・酔いが醒めてきまちたね( ̄ω ̄+)』


腰にあるバッグに手を伸ばして一升瓶を取り出すと、喉が渇いていたのか、音を立てて飲んでいる。その酒の名は<いいちこ>。エビちゅの好物のひとつである。

 

ゴキュッ・・・ゴキュッ・・ゴキュッ・・・

 

その飲みっぷりは男らしく、勢いよく喉に押し流されていく。
唇と顎を伝い、首下まで垂れている酒の滴。

 

エビちゅ『・・ゲルフッ( ̄ω ̄*)』

子猫『ミィミィ・・ヾ(^-^=)』

 

酒の力を借り、とうとうエビちゅはその銀行へ向かって歩き出し始めている。

 

エビちゅ『・・・・さていきまちゅかね( ̄ω ̄*)ヒック』

子猫『ミィーヾ(^-^=)』

 

すると先程までずっと感じていた違和感が何かとやっと気づき、突如エビちゅは立ち止まるのだった。

 


エビちゅ『・・・・・・・・( ̄ω ̄*)』

子猫『(^-^=)』

 


その素因である正体は、ついさっきの子猫。
子猫はエビちゅを気に入ったのか、歩く場所をぴったりと付いてきており、足に絡みつきながらエビちゅの着ているウィッチローブの裾に爪でじゃれている。

 

カリカリ・・・カリ・・・カリカリカリカリカリヾ(^-^=)

 

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄*;)おまえはまだいたんでちゅか・・早くどっかいきなちゃい!シッシッ!!』

子猫『ミィッヾ(^-^=)』

エビちゅ『エビちゅは魔王見習いでちゅよ( ̄ω ̄*)?言うこと聞かないとちにまちゅよ!?』

子猫『ミィーミッヾ(^-^=)』

 

まるで会話が成立しているかのように子猫は問答している。


エビちゅ『まぁ勝手にしなちゃい・・ヒック・・ただいつ巻き添えを食らっても知らんでちゅよ( ̄ω ̄*)』

子猫『ミィー・・ヾ(^-^=)』

 


腰紐に留められていた杖を取り出し、エビちゅはその銀行へ再び歩き始めた。
その銀行はファンブルグでも一、二位を争うファンブルグ中央銀行。一日にして500mGが取引されており、支店もいくつも抱えている大手銀行だ。

エビちゅは入り口までくると軽く咳払いをし、颯爽と中へ入っていく。

 

エビちゅ『・・・コホン( ̄ω ̄*)』

 

中は総合案内らしき銀行員が一名。
受付は4名。その奥にている銀行員は10名弱。

客は家族連れらしき女性とその子供が椅子に座っており、男二人が受付カウンターに立っていた。

 

エビちゅ『・・・フ・・出だしは魔王がきまちたよ( ̄ω ̄*)!がかっこいいでちゅかね・・・悩みまちゅ・・』

 

ところがエビちゅは入り口へ入った当初から何か不自然さを感じていた。昼間となれば銀行は込んでおり、長蛇の列ができていてもおかしくない時間にも関わらず、数人しかいない。


エビちゅ『(・・銀行ってこんなに静かなところでちたかね・・・まぁいいでちょう・・・それでは・・・( ̄ω ̄*))』

 

エビちゅは椅子に片足を乗せ、両手を腰にあてて叫んだ。


エビちゅ『みんな静かにするでちゅ( ̄ω ̄*)!!!魔王がきまちたよ!!!!』

 


・・・・・シーン・・・・・

 


元から静かであったせいもあるが、さらに物音ひとつ聞こえなくなっている。

 

エビちゅ『・・フッ・・この静けさ・・さすがでちゅね・・・恐怖の叫び声さえも黙らせる魔王ならではの脅し( ̄ω ̄*)』

 

すると受付に立っていた男の一人がエビちゅへ向かって猛然とかけてきている。


ダダダダダッ!!!


男『・・・っめぇぇえぇえぇぇ!!!!』

エビちゅ『・・・・痛い目あいたいようでちゅね・・・( ̄ω ̄*)』

 


エビちゅの手の平から赤黒い溶岩に似た塊が見る見るうちに生成されていく。


・・・・グルン・・グルン・・・・

その球体は少しずつ大きくなりながら、ゆっくりと回転している。

・・・グルン・・・・・・・グルン・・・・・

エビちゅ『第一号犠牲者はおまえでちゅ!!メテオロス( ̄ω ̄*)ノ!!!!』


ボォーーーゥ!!!!


ドロドロと煮えきった火の塊は手の平から飛び出し、大気と摩擦した煙と火花を散らしながらその向かってきた男目掛けて飛んでいく。

 

ゴォーーーー!!

ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!


男『ぎぇぇぇぇえぇぇぇぇ!!』


プスプス・・・

エビちゅはあっけなくその男を倒してしまっていた。
一瞬にして丸こげになり、痛々しい黒煙が焼け焦げた服から出ている。




男『・・・・・ぐはっ・・・』

エビちゅ『・・・フ・・こんなもんでちゅね( ̄ω ̄*)』

 

辺りは一斉に女性の悲鳴で埋め尽くされた。


キャーーーーー!!!

キャーーーーーーーーーーーー!!!!!

ヒィィィィィィ!!!!


皆その攻撃に怯み、全員床に伏せており、エビちゅは受付に金の要求をしようとカウンターへ進み始めた。



とその時、背中に強い気配を思い切り感じるエビちゅ。

エビちゅ『ん( ̄ω ̄*)!?』


 

勢いよく後ろを振り返ると、そこには驚くほど早く到着した師団の者立ちが入り口にいるのだった。

 

クルス『・・・・(゜Д゜)』

りん『・・・・・。』

オムー『・・・・=ω=.?』

アメル『・・・・-w-』

エビちゅ『・・・・・随分と早い到着でちゅね・・( ̄ω ̄*)』

 

エビちゅは杖を持ち直し、臨戦態勢に入っている。

 


クルス『動くな(゜Д゜)!!!』

りん『手を上げて!!』

アメル『言うとおりにした方がいいよ(ーwー)』

オムー『おまえは・・=ω=.』

 

エビちゅ『・・全員まとめて相手になってやるでちゅ・・・( ̄ω ̄*)』



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第壱百八拾壱話

2009-03-12 | 本編

 

自暴自棄になったエビちゅはファンブルグ中央通りの噴水にふらふらと来ている。


エビちゅ『・・・エビちゅは・・悪魔に・・ぃゃ・・悪魔の王・・・ヒック( ̄ω ̄*)・・魔王になるんでちゅ!』

 

日差しが暖かく、眩しいくらいに輝いている太陽。
春の訪れを告げている草木の美しさも、今の病んだエビちゅには気にも留まらない。

 

エビちゅ『・・魔王になるには・・ヒック・・・まずは悪事を働かないとでちゅね・・( ̄ω ̄*)』

 

学生時代は常にトップ。
他を寄せ付けない程の卓越した実技魔法詠唱と魔術学問にも長けていた。しかしその若くして培われた誇り高き心は、ひとつの失敗にて簡単に方向性を見失ってしまう。


時間はまだ昼過ぎの噴水の広場。
待ち合わせのカップルが数人いるほどだ。

エビちゅは見渡すと、一人の少女が歩いて来ていることに気づいた。

 
エビちゅ『・・フ・・いいカモがきまちたね・・ヒック・・運が悪いでちゅね・・エビちゅの魔王への道、第一段の餌食になってもらうでちゅ( ̄ω ̄*)!!!』

 


少女『ルンルンルーン^0^』

 

何も知らずに弾みながら歩いている少女。
そこへ突如エビちゅはその少女に向かって走り出し、

 

ダダダッ!!!

 

勢いのついた体で両手を突き出し、その少女を突き飛ばすのだった。

 

エビちゅ『はいど~んヽヽ( ̄ω ̄*)!!!!』


ドスッ!!!!

 

少女『キャーーーーーーーーー><!!!』

 

ものの見事に数十メートル前方へ突き飛ばされ、離れた場所で地面に滑り転んでいる。

 

ゴロゴロゴロッ!!


少女は意識を失ったのか、うつむいたまま起き上がってこない。

 

少女『・・・・・。』

エビちゅ『・・・フ・・悪事第一弾は傷害事件といったところでちょうか・・いっちょ上がりでちゅね( ̄ω ̄*)ヒック』

 

とその時、エビちゅの目の前を車輪が壊れそうになるほどの勢いで馬車が過ぎていく。

 

ガラガラガラガラガラッ!!!!

ヒヒーーーン!!!


エビちゅ『あぶっ( ̄ω ̄*)!!!』


目の鼻の先を馬が通り過ぎていき、もう半歩出ていたら馬車にひかれているところであった。

 

エビちゅ『危ないでちょう!!・・まったく・・乱暴な運転でちゅね( ̄ω ̄*)ヒック』

 


すると今度はエビちゅのほうへ一人の女性が近づいてきている。


ダダダダッ!!


エビちゅ『ん( ̄ω ̄*)?』


エビちゅの所へ来るや否や、後頭部をみせるくらいに深々と強く何度もおじぎをしながら御礼を言っている。


女性『ありがとうございました><!!!ありがとうございました><!!!』

 

エビちゅ『・・・な・・なんのことでちょう・・ヒック( ̄ω ̄*)』

女性『うちの子を車から救って頂きまして、本当にありがとうございました><!!命の恩人です><!!!』

エビちゅ『・・ぇ・・・( ̄ω ̄*)』

 

涙を流しながら幾度も幾度もおじぎを繰り返している女性。
その横には、さっき突き飛ばした少女もおり、その女性と手をつないでいる。


女性『ほらっ!!!あなたもお礼言いなさい><!!!』

少女『ありがとうございました^0^;死んじゃうところだったでし』

 


声を震わせ、ハンカチで涙を拭い、頭を下げ続けている女性に仕様が無くエビちゅも応答していた。

 

エビちゅ『・・ま・・まぁいいでちゅよ( ̄ω ̄*;)・・車には気をつけるでちゅ・・・・』

女性『はぃ><!!ほんとうにありがとうございましたっ!!』

 

思いも寄らない結果になってしまい、その場から逃げるように立ち去るエビちゅ。後ろを振り返るとまだその女性は少女を抱きしめたままそこに立ち止まっている。


悪事を働くはずが、エビちゅは不本意にも善行を成してしまっているのだった。


エビちゅ『・・・ちっぱいでちゅね・・・・( ̄ω ̄*;)』

 

悪の道へ行くと暴挙へ走るエビちゅは、またも悪さをしようと企んでいる。ファンブルグの時計台を見ると昼の3時を示しており、やや人通りが多くなってきた噴水広場。


エビちゅ『・・・・・今度は・・・器物損壊なんかやってしまいまちょう( ̄ω ̄*)』


エビちゅが標的にしたのは目の前にある大きな木。
それはファンブルグ中央町では名物となっている大木である。


エビちゅ『・・フ・・・あの木を倒せば悪の道スタートでちゅね・・( ̄ω ̄*)』


エビちゅは徐に詠唱を始めた。


エビちゅ『トラス・・サンダラー( ̄ω ̄*)!!!』

 

手の平に小さな光球が発生し、眩い光と共にその球体からその木へ一筋の光を作り、激しい衝撃音を広場へ轟かせていた。

 

ピカッ!!ゴロゴロォ~!!


すると大木は紙を破くような音を立てながら切り込みが入り、重みで真っ二つに切り割れていく。


ビリビリッ・・・バリバキバキバリバリバキッ!!!!

ズズーーーーーーーーーーン!!!

 

エビちゅ『・・・フ・・・破滅の王・・・とでも言われるようになるんでちょうか( ̄ω ̄*)』

 

 

満足げな顔をしたエビちゅの横に突如一人の男が立っている。


オムー『・・・・・・・=ω=.』


何の前触れもなくエビちゅの横に立つオムー。
気配を消したその術に驚き、エビちゅはジャンプして距離を保った。

 


エビちゅ『・・・なっ・・・突然接近とはやりまちゅね・・その服は・・・・師団のものでちゅね( ̄ω ̄*)!?』

オムー『そうだぉ=ω=.』

エビちゅ『ならば好都合( ̄ω ̄*)器物損壊で逮捕しに来たんでちゅねっ!!エビちゅはそう簡単にはやられまちぇんよっ!!』


腰紐に止められていた杖を再度持ち直し、オムーに対峙して構えている。

 

オムー『おぉーっと・・・違う違う・・まてまて・・その木よくみてみ=ω=.』

 

完全に戦闘態勢に入っているエビちゅは、疑いつつも後ろの木に目を向けた。

 

エビちゅ『( ̄ω ̄*)?』


すると、可愛らしい動物の鳴く声が聞こえてくるのだった。


ミィー・・・ミィー・・・

・・・ミィー・・・ミィー・・・

 

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄*)』

 

倒れた木の葉の中から小さな一匹の猫がヨチヨチと出てきたかと思うと、エビちゅの方へ近寄り、じゃれる様に引っ掻き始めていた。

 

子猫『ミィー・・・ミィー・・・・ヾ(^-^=)』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄*)』

 

呆然としているエビちゅにオムーは言った。

 

オムー『ありがとうって言ってるぉ=ω=.』

エビちゅ『・・・( ̄ω ̄*;)?』

 

猫は高いところが好きである。
そして子猫ともなれば無邪気で好奇心いっぱいに高い木に登ってしまうことが少なくない。

爪を利用し、登ることはできるのであるが、降りる術を知らず飛び降りるしかない。あまりにも高い場所へ行ってしまった子猫は降りれず、その場で立ち往生してしまうことがしばしば起きてしまう。

その猫も例外ではなかった。

 


子猫『ミィー・・・ミィー・・・・ヾ(^-^=)』

エビちゅ『・・・・( ̄ω ̄*;)』

 

杖を持ち、肩幅ほどに足を開け構えている緊迫したエビちゅに無邪気に近寄り、ローブの裾にじゃれている子猫。

 

オムー『ははっお気に入りみたいだな・・・じゃぁ達者でな=ω=.ノ』


子猫を助ける為と勘違いをしたのか、木を倒してしまったことなど気にも留めず、オムーは背を向け帰っていく。


エビちゅ『ちょっ!!待つでちゅ( ̄ω ̄*;)!!!!』

 

悪事をうまく成し遂げれないエビちゅの横には、嬉しそうな顔した子猫が首を寄せてなついている。


子猫『ミィー・・・ミィー・・・・ヾ(^-^=)』

 


エビちゅ『・・・フゥ・・おまえのせいでちゅよ( ̄ω ̄*;)』

子猫『ミィーヾ(^-^=)』




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第壱百八拾話

2009-03-11 | [第壱百八拾話]はここ



ガシャンッ!!!


・・ガサ・・・・ガサ・・ガラン・・・・

 

山積みになったボトルの上にさらに投げられている洋酒ボトル。


さぞ高級であろうふんわりと触り心地のよいカーペットが敷かれているその部屋には、中央のガラステーブルを囲むようにソファーが置かれており、空になった酒の瓶やボトルが足の踏み場が無いほどあちこちに散乱している。

 

エビちゅ『・・・・ヒック・・・・( ̄ω ̄*)』


ソファーに寝そべりながら天井を見つめ、その顔は赤く火照り、目の焦点が合わなくなるほど泥酔しているエビちゅ。


エビちゅ『・・ヒック・・・ったく・・ざけんじゃないでちゅ・・・ヒック( ̄ω ̄*)』


あれから暫くし、中華料理経営もすでに清算手続きに入っていた。
理想と現実の隔壁に耐えきれず、エビちゅは逃避を酒に委ね、毎日自宅で浴びるように酒を飲んでいる。


自己と現実を忘れる為の酒は全くうまく感じることはできない。
幾度と無く吐いては飲み、荒んだ日が続いていた。

 

エビちゅ『・・・・・ヒック・・・ゲフッ( ̄ω ̄*)』


目が開けられないのか半分瞑ったまま、ぶらぶらと力が入りきらない手で、テーブルの上を弄っている。

 

・・ガラガラ・・・ガサ・・・・ゴソ・・・

 

手当たり次第に酒の入った瓶やボトルを探しており、倒れた瓶を掴んでは目の前まで近寄せ底を覗き、残量を確認している。


エビちゅ『・・・・ヒック・・( ̄ω ̄*)!!!』

 

残量が残っていない空瓶だとわかると、八つ当たりするように瓶を遠くへ投げている。


エビちゅ『・・・・ないでちゅ( ̄ω ̄*)!!!』


ガシャン!!!


・・・ガラガサ・・・カラン・・・

・・・ガラン・・・


テーブルの上には倒れた瓶やボトルでいっぱいになっており、エビちゅの手に押され、行き場の無くなった空瓶は音を立て落ちてしまっていた。

 

エビちゅ『・・・・ないでちゅ( ̄ω ̄*)!!!』


ガシャン!!!


すると、普段は取ることもない本棚の高い棚に命中し、落下する瓶の後を追うように一冊のノートらしき薄い本も落ちてくるのだった。

 

・・グラ・・・ドサ!!


エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄*)』

 

何年も見ていないことを表すようにホコリに被っている一冊のノート。
エビちゅは何かを感じたのか、じっとその本を見続けている。

 

エビちゅ『・・・・・( ̄ω ̄*)』


ソファーから落ちるように床に降り、見るに耐えない量の空瓶で埋め尽くされている床を、エビちゅは四つ足でそのノートに向かって歩き始めた。

 

ガラ・・・ガサ・・・

・・・ガラン・・・カラン・・・・

 

邪魔するたくさんのボトルをのけながら這っている。

 


・・・・カラン・・・

ガラガラ・・・ガサ・・・カラン・・・

 


そしてすぐにそのノートが何であるかがわかるのだった。

 

∞∞ーーーーーーーーーーーーーーーーーー∞∞
  聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院   

       卒業論文

 『リーズブルース 魔法詠唱について』            

             著:エビちゅ   
∞∞ーーーーーーーーーーーーーーーーーー∞∞

 


エビちゅ『・・・・ヒック・・・( ̄ω ̄*)』

 

それはエビちゅが卒業の際に書いていた論文。

 

エビちゅ『・・・ヒック・・エビちゅにもこんな時代があったんでちゅね~( ̄ω ̄*)』

 

 

~ここからの推奨youtube動画BGM
 http://www.youtube.com/watch?v=SiFhjqeEvcE ~

 

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今から60年前のある日のこと。

春を迎えたエビちゅにとっての母校でもある聖マリアンナ・デ・フェリス魔法学院。エビちゅとその親友であるファーレンは、6年もの間お世話になったその校庭にいる。

 

ファーレン『ねぇエビちゅ^-^!!』

エビちゅ『なんでちゅか( ̄ω ̄ )?』

ファーレン『これからぼくたち旅立つでしょ?だからさ!ここにタイムカプセル埋めようよっo^-^o!!』

エビちゅ『・・・・興味ないでちゅね( ̄ω ̄ )』

ファーレン『えぇぇぇえええぇぇ><のりわるいぃぃ!!』

 

ファーレンは地団駄を踏み、エビちゅに激しく同意を求めている。

 

ファーレン『だってさ!社会出たら二度と会えなくなるかもしれないって先生言ってたよ><!!!やろうよやろうよやろうよぉ~!!』

エビちゅ『・・・・かったるいでちゅよ( ̄ω ̄ )』

 

するとファーレンはポケットから取り出し、エビちゅの顔の前に差し出した。


エビちゅ『・・・・なんでちゅかそれ( ̄ω ̄ )』

ファーレン『この前ガチャガチャ買ったんだ^-^このカプセルに手紙いれよう!』

 

早速ファーレンは鞄から取り出したメモをエビちゅに渡し、自身にも用意したメモに何やら書き始めている。

 

ファーレン『・・・んしょ・・・んしょ・・Φ(^-^)カキカキ』

エビちゅ『まったく・・・しょうがないでちゅねΦ( ̄ω ̄ )カキカキ』


タイムカプセル。
その当時の思い出の品などに手紙を添え、自身の未来への贈り物として地中に埋めるカプセルのことである。

 

強引なまでのファーレンの熱意ぶりに、渋々エビちゅもタイムカプセルに入れるための自分宛の手紙を書いている。

 

ファーレン『書けた^-^?』

エビちゅ『・・まぁ書けたでちゅけど・・・( ̄ω ̄ )』

ファーレン『じゃ埋めよ^-^』

 

目印を校庭で一番大きな桜の木とし、その横に深く穴を掘り、
二人はタイムカプセルを記念に埋めたのだった。

 

ファーレン『楽しみだなぁ^-^』

エビちゅ『・・まっ・・十数年も経てば綺麗さっぱり忘れてそうでちゅけどね( ̄ω ̄ )』

ファーレン『絶対憶えてるもんo^-^o』

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エビちゅ『・・・・・ヒック・・・・( ̄ω ̄*)』

 

転がった空き瓶に囲まれ、エビちゅは床に寝そべっている。

 

エビちゅ『クックックックックッ・・・・ハハハハハハハッ!!( ̄□ ̄*)なんでこんなこと思い出したんでちょう・・・・ヒック・・』


ヨロヨロとしながら立ち上がったが、足は体を支えきれず、またすぐに横歩きをするようにソファーに倒れこんだ。


・・・ヨロヨロ・・・ドサッ!!!!

 


エビちゅ『・・・ヒック・・・・なんでこんなことになったのか・・・・ヒック・・・・もう・・もういいでちゅ・・・・・・・・もうやけでちゅ・・・・エビちゅはグレてやるでちゅ・・ヒック( ̄ω ̄*)』

 

夢は人に希望を与える。しかしそれは両刃の剣。
絶え間ない努力も報われず、その運命を知ったとき、その夢は徐々に心を蝕み、人を破滅へ導いていく。全てを懸けてきたその代償は大きく、今エビちゅの病んだ心を潤すものはなかった。




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