古典文学講座4回目の今日は宇治拾遺物語『鼻長僧の事』
☆あらすじ
昔、鼻が顎より長くぶら下がっている僧がいた。
鼻を熱湯に浸けて人に踏んでもらうと、白い虫が出てきて普通の鼻になるが、
2~3日で元に戻ってしまう。
で、食事の時は弟子に板で鼻を持ちあげて貰っていた。
弟子が変わると荒っぽくされたりするので、決まった弟子にさせていたのだが、
ある日その弟子が気分が悪くて出てこなかった。
どうしようか、と言っていると、寺の召使の童が「私がしましょう」と言う。
させてみると、大変上手である。
僧が機嫌よく粥をすすっていると、この童、くしゃみをしてしまった。
鼻は板を外れて粥の中にボチャッと落ち、一面に粥が飛び散った。
僧はカンカンになって、
「他の偉い人の鼻を持ちあげた時にもこんなことするのか!馬鹿者!出ていけ!」
と童に悪口雑言を浴びせる。
すると、童は立ち上がりざま、
「世の中にこんな鼻を持ってる人が他にいるでしょうか?!馬鹿なことを仰る坊さまだな。」
と言ったので、弟子たちは物陰に隠れて笑った、ということです。
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この物語は、芥川龍之介の『鼻』のほうが有名かもしれませんね。
芥川龍之介がこの説話を元に、どのように人間の心理を捉えて『鼻』を創作したかのお話は
来月講義して下さるそうで、楽しみです。