皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

何も咲かない寒い日は~良樹細根

2021-03-28 21:49:22 | 心は言葉に包まれて

 桜の便りが続いている。待ちわびた春の訪れに心躍る時期。花見は静かに黙して語らずといった状況ではあるけれど、花の前では人の心は自然と和むものだ。

無事に済んだ小学校の卒業式。例年であれば多くの来賓、参列者を迎え盛大な別れの儀式となるところが、昨年今年と様変わりした式場であった。はなむけの言葉の中から、心に残るものを一つだけ。

教育委員会の告示の中に、2000年シドニーオリンピック女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子選手の逸話を引用し、努力の積み重ねの大切さを説いたものがあった。

高校時代無名の高橋選手は思うように結果が出ない日々に恩師から次の言葉をかけられたそうだ。

「何も咲かない寒い日は下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」

この言葉を胸に女子選手としては誰よりも多い練習量をこなし、その成果としてオリンピックで金メダルを獲得したそうだ。

遠くに見える夢に向かって、努力することは誰しも難しい。積み重ねが大切と説かれても、継続することはなかなかできないことだ。環境も恵まれたものとは限らない。結果が出ないとき、思うようにいかないときに下へ下へと根が伸ばせるか。寒さに耐えた先に花が咲くことを信じて今日一日を積み重ねることができるか。

 

若い頃に読んだ鍵山秀三郎先生の本の中に、「良樹細根」という言葉があった。大手自動車用品販売会社を一代で築き上げた鍵山氏にの信念は「凡事徹底」と「人の心の荒みを無くす」という二点。その行動規範となるのが日々の清掃であることは広く知られているところ。何かをなすことには必ずそこにしっかりとした根が張っているという。

「良樹細根」

~何も咲かない寒い日は下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く~

子供たちの門出にふさわしい言葉をいただいたことに感謝。

 

 

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