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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

夜を感受する!豊かな古代のこころ。(性格形成 6/10)

2010-09-11 | 第一章「意識と知覚」
 最近、世の中急速に便利になったのは良いが、落ちてくるような星空など、郊外に住んでいても観るのは難しくなっているようだ。幼いころに見た夜空。暗闇の恐怖。そういうものが、段々遠ざかっている。それとともに、私の中の夜の感受性・恐怖等はだんだん弱まっているのだろうか。

 今、日本人の古層を学ぼうと、特に奈良時代を勉強しているが、昨日から味読していた吉野裕子氏の≪持統天皇≫(人文書院)に一番有名な次の句がでていた。

 春過ぎて夏来るらし白妙の衣乾したり天香具山

 この句は有名ではあるが、白妙の衣が当時、天香具山なんかに乾しているはずがないという疑問を言う人もいて、謎の句としても、有名である。これは天女の衣という説があったりするが、吉野裕子氏は開元占経に<昴者白妙也>とあるので、白妙は夜空の昴<スバル>(特に夏空では真上に光る)とお考えになった。夏の夜半、天香具山の上に輝く昴(すばる)、なんという感受性。しかも昴は農事(種をまいたり)に使われる星であるので、何か豊かさも感じられる。

 実は、今年の始めに飛鳥の高松塚古墳を見学したが、被葬者の真上壁面には星座が書かれていた。吉野裕子氏は、高松塚古墳の被葬者を陰陽思想から草壁皇子と推定しているが、持統天皇の晩年のこの歌。いろいろ考えさせられる。

 持統天皇は、それこそ奈良時代の謀略や暗殺の横行する中で、心理的に全てを受容し、今の民主的世の中では想像もつかない独裁政治の頂点に立った。その思想・理由はこれから勉強したいが、どうも陰陽思想や仏教なども含めた死生観が大きかったと思う。

 この句から、次のカールロジャースの14番目の命題を彷彿させられる。

15) 心理的適応は、自己概念が、象徴のレベルにおいて、有機体の感官的・内臓的経験をことごとく自己概念と首尾一貫した関係に同化しているか、もしくは同化するであろうときに存在するのである。
 ロジャーズ全集 パースナリティ理論8 伊藤博訳 岩崎学術出版社 132p

 持統天皇は、亡くなる時に、悔いのない人生を生きたと感じたと思う。

性格形成 6/10(信じて見える世界 26/30)

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