黄色のバラの花言葉は何と「嫉妬」だそうである。
好きな黄色のバラでベランダに可憐に咲いているのに。まあ、と驚いた。
さて、この嫉妬であるが、様々な感情の中でも実に不思議な感情である。ある人は愛の変形だというが、そうかなとも思う。しかし、この感情は、激しい情動となって人を悩ませたりする。
1300年前の持統天皇も天武天皇の皇后ではあったが、天武天皇には実の姉である大田皇女をはじめ、9名の奥さんが歴史に記されているだけでいた。その中を強くたくましく生き抜いているのだから凄いと思う。
もちろん大人の持統天皇であるので、恐らく自分の嫉妬の感情には気づき、臨床心理学的にいくと合理化をはじめ防衛機制を駆使して力強く生き抜いたのだと思う。次の歌は天武天皇が崩御されたときの有名な挽歌の一つであるが、恐らく雲を天武天皇に喩えているようだが、この星や月は何を意味しているのだろうかなど詮索したくなるところだ。
北山に たなびく雲の 青雲の 星離れいき 月を離れて
さて、嫉妬という感情を自覚する場合も当然あるが、「生き甲斐の心理学」を学ぶ中で、自覚しない嫉妬も、いろいろ考察することができた。
有島武郎の「一房の葡萄」は、主人公の僕が学友の絵の具を盗むことで起こる物語なのであるが、絵の具を盗むという情動が起こった遠因をいろいろ考察してみたが、どうも女教師をめぐる嫉妬があったのではと思った。これは、世の中でよくある特定のスター?を巡ってのシェアリングの問題だと教えていただいた方がいたが。そうかなと思う。
そして、この感情を巡って、少年は不思議な情動にかられて絵の具を盗んでしまう。何故、情動を抑えられなかったかは、実は「生き甲斐の心理学」で研究するといろいろみえてくる。ひとつは、嫉妬という感情をリアルに感じて、その意味を俯瞰できたかということが大きいと思う。ある人は愛の変形だというが、とても当たっているように感じる。嫉妬という感情を恐れず、憎まず、一つの自分が置かれている状況を示す印と考えるのはどうだろうか。
持統天皇の挽歌は、天武天皇の崩御を悲しむものでもあるが、私は嫉妬というものを考える上でも何かあるように思えてならない。
時間と空間の旅 ① 7/10