ゴールデンウィークの初日、朝多摩動物公園に寄った。沢山の人の中、私のお目当てのシロフクロウの周辺は不思議に人通りが全くなく、ひっそりとしていた。
シロフクロウは、時どきフクロウの声で鳴いたが、殆ど動かない。ただ、首を素早く回転し、必要に応じて何かをじっと見る。私が寄り写真を撮ろうとすると、プイと首を瞬時に回転し後ろを向いたりする。
素早い回転を見ていると、フクロウも人間と同じ脊椎動物であり、そして人が太極拳・気功のスワイショウをやるように、回転運動ができることに気づくし、その無駄のない動きに感動する。シロフクロウは私のスワイショウの先生でもある!
シロフクロウの動物としての知覚。真っ白いシロフクロウはメスで、離れた所にオスもいる。私の知っている限り、いつもある程度の距離を置いている。私のような写真機をもった人が近づくと、それなりに私を知覚するらしい。
私も、シロフクロウを知覚する。しかし、当日、動物園を訪れた人の殆どはシロフクロウを知覚しなかったようだ。彼らにとって、シロフクロウはリアリティのあるものではなかったのである。
ちょっと悲しくなるが、カールロジャースのパースナリティ理論、命題2を復唱してみよう。
2):有機体は、場に対して、その場が経験され知覚されるものに、反応する。この知覚の場は、個人にとって実在(reality)なのである。(参照:生き甲斐の心理学140ページ)
大震災があって50日をすぎようとしているが、私の原発に対するこの一年の知覚の変化に驚く。一年前、原子力発電所の情報も探せばいくらでもあったが、殆ど知覚されなかったし、何かを調べようともしなかった。しかし、今は原発のことに、最低一日一回くらいは、ニュースを聴いたりする。自分の生活との関わりが格段に大きくなったからなのであろう。
しかし、シロフクロウはきっと、原発など知覚していないにちがいない。そして、そうしたシロフクロウを責める人も勿論いない。Somethig Greatはきっとシロフクロウを優しいまなざしで愛しんでいるだろう。
コミュニケーション 3/10