WEB-ROAD

From Hiron to many NetWalkers♪

続「海と毒薬」

2008年07月17日 23時36分25秒 | moblog
読み終わったので、読者感想文というか、思ったことをちょいと書いておきまつ。



解説の中では本書について”異常の中の平常を探求しようとした制作態度が見られる”としている。
人間って不思議なもので、ちょっとしたハプニングだとパニックになりがちなのに、本気で深刻な問題に直面した時にはひどく冷静だったりする。
誰に指図されるまでもなく自分が何をすべきか分かっていたり、もう何も出来ない状況であるのかさえ分かってしまう。
本能によってかぎ分けるのか、運命によって導かれるのか、神様によって悟らされるのか、そこのところは当人であっても判断が難しいところだと思うが。
人というものは異常な状況に陥った時、やはり周囲に倣って異常な行為をしてしまう哀れな性のある生き物である。
でも、同時にそれに対抗するかのように絶望したり幻滅する心もちゃんと持ち合わさってるところが、最後に残った希望なのかもしれない。
最後まで”良心(疑問)”を忘れなかった主人公の姿に救われます。