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From Hiron to many NetWalkers♪

上野洋子 ミニライブ&トーク・サイン会

2007年05月01日 23時09分23秒 | 上野洋子/ZABADAK


私が初めて上野洋子という存在を知ったのは、ZABADAK在籍時代の'89年だったかと思う。どのジャンルにも属さない音楽、そして上野さんの突き抜けるような透き通る歌声と吉良さんの温かみある歌声が対を成すツイン・ヴォーカル。遠い異国の地に誘うかのような歌詞はこの上なく綺麗な言葉で綴られ、時に残酷である。友人に勧められて聴いたアルバム『WATER GARDEN』の”水のソルティレージュ”ですっかり魅了されてしまった私は、それから何かに憑り付かれたかのようにZABADAKを追い求めていった。そして'93年、上野洋子ZABADAK脱退。その後は吉良知彦氏がZABADAKを引き継ぎ、上野さんは自分の音楽を求めソロ活動を始めた。私は、上野さん在籍時に一度もZABADAKのライブを見に行けなかった事が心残りだった。

CM、アニメ、映画音楽など活動の幅は多岐に渡り、様々なミュージシャンと共に数多くのライブ活動もこなす彼女だが、それ以外の情報は殆ど無い。まさにミステリアスという形容が相応しい人で、ファンの間で彼女の人となりについて様々な憶測が飛び交っていた。”上野洋子は酒豪だ、、、”、”上野洋子は気分屋だ、、、”気難しくて掴み処の無い女性。いつしか上野洋子という人に対して、そういうイメージが定着していったのではないだろうか。そんな彼女がデビュー20周年の節目に昨年12月、大阪と東京でソロライブ(上野洋子 デビュー20周年記念ライヴ “YK20”~20周年につき初ソロ~) を行うというのでファンは色めき立った。上野さんはライブ活動そのものは数多くこなしていたものの、他のミュージシャンとのユニットであったり、ゲスト出演だったりというステージばかりで、上野さんメインのソロステージというのは初の試みであったのだ。2公演共にチケットが完売だったという事だが、東京公演を見る事の出来た私はとても運が良かったと思う。

このライブで上野さんは類稀な美声で次々とセットリストを歌い上げ、苦手だと言いながらもお茶目で人当たりの良いMCを披露した。更に上野さんがZABADAK時代の楽曲を歌い始めた時には、驚きを隠せなかったファンも多かった事だろう。”のれん分け”と呼ばれるZABADAK脱退の折、上野さんと吉良さんの仲はとても険悪なムードであったと聞くが、そのエピソードからもファンの間で”上野さんにZABADAKの話を振るのはタブー”とする暗黙の了解のようなものがあったからだ。ちなみにこの時のZABADAKからのセットリストはアルバム『WATER GARDEN』より”Hide in the Bush”、『桜』より”アジアの花”、そして『私は羊』より”天使に近い夢”の3曲であった。このライブの様子はCDとDVDでそれぞれ鑑賞する事が出来る。

上野洋子 デビュー20周年記念ライヴ “YK20”~20周年につき初ソロ~<ライブCD>

上野洋子 デビュー20周年記念ライヴ “YK20”~20周年につき初ソロ~<ライブDVD>

山野楽器銀座本店では、このライブCDの発売記念イベントとして29日、上野洋子さんのミニライブ&トーク・サイン会を行うというので、私も参加する事に。集合時間になり会場へ向かう途中、何と店内で上野洋子さんご本人と鉢合わせるというハプニングが!ライブの時間も迫っている上に何か探し物をしているのか急ぎ足で店内を物色する姿を見て、声をかけるのは控えていた私。コンビニの袋を提げる上野さんの姿が見れただけでも良しとせねば。
今回のメンバーは昨年のライブでも共演していた武川雅寛さん、今回初の顔合わせとなった星川薫さんと上野さんの3人。ライブパート、トークパート共に各30分というところだった。この時のセットリストは”私の畑で”、”SSSメドレー”、”真白き花の島”、そして最後にZABADAKから”飛行夢(sora tobu yume)”で結んだ。トークパートはインタビュアーの質問に上野さんが答えていくという形式だった。それによると上野さんは、音楽以外については全てにおいて受動的なのだそうだ。人に誘われれば気兼ね無く行くが、自分からはあまりあれをしよう、これをしようとは思わないという事だ。最初に上野さんに対して抱いていたイメージとは程遠く、実際の彼女はざっくばらんで気さくな人という印象を持った。
常に音楽の事を考えている人で、旅行先などで変わった楽器を探す事が好きで、楽器の価値を知らないような古道具屋で楽器を値切ってみたり、楽器になるようなアイテムを探して時には100円ショップに赴く事もあるらしい。また、どんな身近な物でも楽器になりそうだと思えば音を鳴らしてみるのだそうで、釣竿のケースなども良い音がすると言って会場を沸かせていた。



ライブが終わると一旦上野さん達は退場し、別室に移動してサイン会が始まった。約200人弱のファン一人一人にサインをしていく上野さん。ライブCDのジャケットやCD盤にサインをもらう人が多い中、私が手にしていたのはZABADAKの『WATER GARDEN』。20年前のアルバムだ。断られるかもしれないという不安もあったが、やはり私にとってこのアルバムは特別なもの。「ここにお願い出来ますか?」と訊ねた私に、「あぁ、いいですよ」と上野さん。更に握手を申し出てみると快諾してくれた。「手がベタベタしてるけど」と言いながら差し出された右手の指の細いこと!そして長いこと!今こうして自分の目の前にいるのは長年ずっと憧れてきた人なのだと思うと、急に気が遠くなったのであった。