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From Hiron to many NetWalkers♪

フォーカスロック

2006年08月03日 22時45分19秒 | Hikki
今日は私の愛するHikkiとZABADAKから、
それぞれ1曲ずつをリレイトさせて書いてみようと思います。


例えばいつものお店で買い物をすると、欲しいと思うものがかなりの確率で
見つかるのに、そこで欲張ってもっと大きいお店に行ってしまうと、
種類が沢山有り過ぎて買う前に疲れてしまう事があります。
あまりに膨大な情報の波には上手く乗れず、
飲まれてしまうという人は私だけでは無い筈。

繁華街の喧騒も似たようなもので、方々から聞こえてくる
お店の宣伝や音楽同士がぶつかり合い、相殺されているのを感じます。
多過ぎてキャパを越えてしまったものは、
一つ一つの存在意義までをも消してしまうものなのかもしれません。

ヘッドフォンをして
ひとごみの中に隠れると
もう自分は消えてしまったんじゃないか
と思うの                 
「宇多田ヒカル/For You」


この歌は私にはちょっと難しくて、未だによく分かっていないところがあるのですが、
この冒頭の部分の歌詞が何とも言えず好きです。
ひとり部屋にこもってヘッドフォンで音楽に浸ってもいいものなのに、
「ケンカ」の事も「君」の事も忘れたい「私」は
誰も自分の存在に目もくれない都会の雑踏の中にわざと身を置くことで
自分という存在を軽んじらせ、自虐的な想いに耽っているのでしょう。

けれどすれ違う誰とも心通わせる事も無い中で思い出すのは、
やはり他の誰でもない、忘れたかった筈の「君」ですよね。
「君」にピントが合わせられた後半は妙な小細工などせず、
「君」に対して直球で迫っていくテンションがいいですね。


一方、北欧系とも牧歌的とも評されるZABADAKは、
都会を匂わせるような歌詞は全くといってもいい程ありません。
けれど当たり前にある風景、自然の恵みに目を向けさせてくれるのが彼らのスタイルです。
大き過ぎる音を出してしまったらたちどころに消えてしまうもの、
気付こうとしなければ、そのまま知らずに過ごしてしまうものこそを
題材にしたテーマが多いですね。

耳を傾けて 地球(ほし)の歌うメロディ
あふれる音の中 ただひとつえらんで
「ZABADAK/遠い音楽」


この一節に込められた想いは、まさにそれではないでしょうか。
地球という舞台の上で何より素晴らしい音を奏でる楽器は、君の生命であると歌っています。
そしてそれぞれが一番大事だと思うただひとつのものに
音楽を、歌を奏でる事が出来た時に叶う50億のコーラス。
私は、そう解釈しています。

もしあふれる音の中に飲み込まれて消えてしまったなら、
それは永遠に触れる事の叶わない、遠い音楽なのかもしれません。