濃飛樹脂軌道

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EV充電器と電気事業法の壁(50kW)

2020-11-28 06:13:03 | 電気・化学
最近電気自動車乗りの間で「なんで急速充電器は50kW未満の機種が多いか!?」尋ねられるケースが頻発しているため、電気管理技術者として説明します。

以下、自身がEVsmartへ記載したコメントを原文のまま引用します。
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電力会社の低圧供給規定が49kW以下であり、50kW以上になると6600V高圧受電設備が必要になります…当然高圧電気は触れると危険なので専門の技術者として電気主任技術者の選任が必要になり万一の事態に対応すべく保安規定を策定して経済産業局へ届けなければなりません!その電気主任技術者も有資格者が少なく試験取得も結構な難関、理数系に強い人でないとなかなか合格しませんよ(理工系の僕は一発合格でしたが)…そこで主任技術者を外部委託で任せるパターンが多いですがそれにしても毎月数万円の費用が発生するのです。
電力会社とのやり取りも一連の申請が必要ですし、高圧受電設備も重量物の受電キュービクルを支えるべくしっかりした基礎を打たねばなりません。あと漏電への保安上アース(接地)工事も低圧の規定値100Ω以下でなく、高圧設備の10Ω以下にしないと受電できません!
電気代にしたって基本料金1kWあたり1600円前後、従量料金こそ20円/kWh前後ですが…仮に充電器1器あたり1日10回・1回あたり20kWh充電したとすると1ヶ月30日として毎月6000kWh・12万円、最大電力50kWなら基本料金8万円で毎月の電気代20万円かかります…毎月300回といってもユーザーが仮に100人なら単純に割って2000円分。ZESP3プレミアム10料金と大差ナシ
さらに先述の電気保安委託管理費も100kVA(充電器2台の場合)なら1万6千円前後かかりますし、NCS通信費もバカになりません。
このように急速充電器は何かとコストがかかり、高圧受電は設置費や基本料金の負担が大きく結局道の駅など1台だけの場所は50kW以下の機種にして低圧引込でコストを抑えるしかないのが現状です。
これらを考えるとなるべく自宅基礎充電で済ませたほうがインフラコストが減り電気自動車をより便利に使えると思いませんか!?
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もう50kWの数値だけでピンときましたが、低圧受電で気にならなかった高圧受電設備費設置費数百万円や高圧基本料金・維持費の高さが問題になります。電気主任技術者有資格者として高圧受電の現場へ赴く人間でないとなかなか気づかないです。
その高圧受電とて20年もの経年使用で素材の劣化や高負荷による発熱などで老朽化するのは当たり前。電気設備も大量生産ではなく高価になりがちなので設置者に放置の危険性を語ったところで費用的に厳しいところが多いです。
高圧電力のうまみは電気料金の安さですが(低圧受電の半額~6割)常に一定負荷でないと利用率低下でうまみが減ります。工場なら8時間の一定負荷でペイできても急速充電器専用だと1日30台10回としても5時間でありペイするのに時間がかかるのは想像に難くないでしょ!?これが20台充電して10時間稼働するならマシですが充電待ちも考えると厳しいですかね。ここは90kWで2台充電可能にする手段もアリ
それを考えると44kWの2台分配型充電器もあっていいと思います。最近の大型蓄電池電気自動車には厳しいですが電気事業法が変わらないことには致し方なし。
この受電制限理由は柱上変圧器の存在。重量的に単相30kVA変圧器2台のケースが多く、V結線で動力出力にすると30*1.73=52kVA。結局そこがボトルネック
当然柱上ですから仮に車がぶつかって倒壊すれば大ダメージ必至…電線地中化などしない限り危ない代物ですか!?
かといって狭い日本で地中化は難しく、仮に施工されても震災などで配管が曲がり停電長期化の危険も少なくない…実に厳しいじゃありませんか。


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