すみこちゃんは教室にいる。彼女は山道のわきに捨てられていた。顔だけを出して、泥だらけだった。
生徒たちは「ここに置き去りにしたらかわいそうだよ」と言って、教室に運んだ。大きなぬいぐるみだった。
自主的に集まって、カントリーレースの練習をしていた土曜日の昼下がりのことだった。
中のスポンジを全部出した。何度も何度も石鹸で洗った。ぐしょぐしょになった。
「きたないって言われたら、悲しいよな」一人がつぶやいた。生徒が連れて帰った。
リンスまでして、いい香りになった。ほころびも直した。
ぬけがらは、前よりも太って立派なぬいぐるみに戻った。
クラスマッチにも、体育館の集会にも連れていった。
すみこちゃんは、いつも一緒だ。ゴミとして捨てられていたすみこちゃん。
生徒たちは、彼女をクラスのアイドルに成長させた。
みんなで成長させた。すみこちゃんはみんなに認められた。みんなの手で輝いた。
そしてみんなのために役に立つことができた。生徒たちの優しい心の結晶だ。
人は誰でも認められたいと願っている。
輝きたいと願っている。役に立ちたいと願っている。
私はこの願いがかなう学校をつくろうと思う。
校長 阿部考伸
また新聞広告からの抜粋‥
今、全国的にいじめによる自殺が問題になっている
人に認められれば‥輝くことができれば‥人の役に立てれば‥
自殺問題なんか無くなるのになぁ
いろんなことを考えさせる新聞広告でした‥