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金魚のひとりごと

縁日ですくってきた金魚も大きくなりました

心の結晶

2006年11月19日 | 回想

すみこちゃんは教室にいる。彼女は山道のわきに捨てられていた。顔だけを出して、泥だらけだった。
生徒たちは「ここに置き去りにしたらかわいそうだよ」と言って、教室に運んだ。大きなぬいぐるみだった。
自主的に集まって、カントリーレースの練習をしていた土曜日の昼下がりのことだった。
中のスポンジを全部出した。何度も何度も石鹸で洗った。ぐしょぐしょになった。
「きたないって言われたら、悲しいよな」一人がつぶやいた。生徒が連れて帰った。
リンスまでして、いい香りになった。ほころびも直した。
ぬけがらは、前よりも太って立派なぬいぐるみに戻った。
クラスマッチにも、体育館の集会にも連れていった。
すみこちゃんは、いつも一緒だ。ゴミとして捨てられていたすみこちゃん。
生徒たちは、彼女をクラスのアイドルに成長させた。
みんなで成長させた。すみこちゃんはみんなに認められた。みんなの手で輝いた。
そしてみんなのために役に立つことができた。生徒たちの優しい心の結晶だ。


人は誰でも認められたいと願っている。
輝きたいと願っている。役に立ちたいと願っている。
私はこの願いがかなう学校をつくろうと思う。 
                         
                       校長  阿部考伸


また新聞広告からの抜粋‥

今、全国的にいじめによる自殺が問題になっている

人に認められれば‥輝くことができれば‥人の役に立てれば‥
自殺問題なんか無くなるのになぁ

いろんなことを考えさせる新聞広告でした‥






心の宝もの

2006年11月12日 | 回想


三十年以上も前のことである。生徒が三回問題を起こすと、大抵退学だった。
くされたみかんがあると全体に広がるから、箱の外に出してしまおうという考えであった。「くされみかん論」である。
しかし問題は減らなかった。教師たちは考えた。家庭環境は?生育暦は?原因は?‥‥‥
生徒を立ち直らせようと、午前〇時を過ぎても会議は続いた。
問題は減っていったが、それでもまだ多かった。会議は沈痛になった。
突然S先生が話しだした。「みんなに消毒すればいいんだよ。うちの畑でキャベツ1個に虫がつくと、まわりにも消毒するんだ。問題の生徒だけを指導するのではなく、全体のかかわりの中で指導していけば、きっと助かるよ」と。みんなハッとした。
本校の生徒指導の原点が、この日生まれた。「キャベツ消毒論」と名付けた。
友だちから「つらいけど、がんばれよ」とメールが届く。クラスから励ましの手紙が次々届く。クラス委員とも話し合いもする。一人の問題にしないで、クラスみんなで考えた。
自分は何ができるかを。優しさをどう伝えるかを。

今年の夏、黙々と草むしりをする生徒がいた。「がんばれ」「早く教室に戻ってこいよ」、そっと声をかける生徒の姿があった。キャベツ消毒論がずーっと生き続けている姿だった。私は涙があふれそうになった。
ふれあいの中から優しさが育った。優しさが心の宝ものになっていく。
私は心の一流校をめざそうと思った。
                           校長  阿部考伸


こんな文章が新聞に載っていた。
最近の少子高齢化の影響で生徒を集めるのも大変なようで
どこの学校も広告を掲載している。

普通は学校の紹介や来年度入試日程のお知らせ
主な進学先や就職先、検定取得状況を併記しているのに
この学校は校長の文章と学校名だけ‥

この学校の評価は分からないけど
なんとなく心に残った新聞広告だった