貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

ジャーマナイト(ゲルマン鉱)

2024-07-28 10:55:17 | ややレア

ずっと欲しいなと思っていたものをようやくゲット。エヌズさんのヤフオク版。貧石価格オーバーだけど途中でプライスダウンがあったのでまあ機会かなと。
かなりレア・ストーンではないかな。エヌズさん以外で見たことがない。
しかもこれ、かのツメブ鉱山産、「原産地標本」。すげえぜ。

まあ美しい。虹色というのではない。青と紫と金が主体のきらきら。見ほれる。





さらにさらに、こやつ、UVライトで妖しく蛍光する。(あれ?これドジ踏んだやつじゃね?w) しーっ。



Cu13Fe2Ge2S16。銅と鉄とゲルマニウムの硫化鉱物。熱水性とされるけど例の硫化物メルト生成物じゃないかな。
硬度4、比重4.46-4.59、立方(等軸)晶系。大きな結晶はまず出ない。
この輝きはゲルマニウムならではなのかと思ったけど、銅と鉄が入っているからそうは言えない。けどどう組み合わさってこの色が出るのか、不思議不思議。

ゲルマニウムは元素番号32、炭素族。半導体。英語ではジャーメイニアム。ドイツの古称ゲルマンに由来。蛮族名ですな。(こら) この石もゲルマナイトと表記したいのはわかるけど、そんな言葉はない。
ゲルは(政治家か?)レアメタルのリストに含まれたりするけれど、金属ではない。炭素族は炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、フレロビウム。あれ、金属あるじゃん。わけわからん。
電子部品に使われたり、医薬品、健康食品、健康器具に使われたり、実にアヤシイ物質。健康器具で「効果あり」という研究論文もあるみたいだけど、じゃあ何が作用しているのかとなるとはっきりしない。
あちきなんぞは小学生向け科学雑誌の付録でゲルマニウム・ラジオなるものを作った記憶がおぼろげにある。なんで電池がなくてラジオが聞けるのか不思議だったけど理屈は結局わからなかった。はるか昔の物語。
飛び交っている電波を捉える性質があるのなら、そこで発生する微弱電流が人の健康に何らかの作用を及ぼすのかもしれないけど、何か変な電波を捉えて悪魔に忍び込まれたりしないかしら。(あほ)

ゲルマニウムを含む鉱物は37種しかない。名前も全然聞いたことないものばかり。
ゲルマニウムは主にスファレライト(閃亜鉛鉱)に微量に含まれるものを回収して得る。他にこのジャーマナイト、レニエライト(Renierite、レニエル鉱、(Cu,Zn)11Fe4(Ge,As)2S16)、アージロダイト(Argyrodite、硫銀ゲルマニウム鉱、Ag8GeS6)などがあるが、産出量はきわめて少ない。
ゲルマニウム鉱物で日本原産のものに、ミチトシアイト(Michitoshiite-(Cu)、三千年鉱、Rh(Cu1-xGex))という合金鉱物がある。世界でただ一ヶ所、熊本県下益城郡美里町払川でしか発見されていない。名前は鉱物学者宮久三千年から。へえ、見てみたいですな。って Rh って何?

さて、ツメブ鉱山。ナミビアのオシコト(Oshikoto)地方にある世界的に有名な鉱山。銅、鉛、亜鉛、銀、ゲルマニウム、カドミウムのほか、様々な稀少鉱物を産する。1907年に創業、1996年に一度閉山したが、別会社が引き続き採掘を行っている模様。
なんと345種の鉱物を産し、72種の鉱物の「原産地」となっている。すごいですねえ。グの地図で見ると特に変わった地形ではなさそうなのに、どういうからくりなんでしょう。
ツメブ産の標本はあちこちで見る。美しく、高いものが多い。さすがだねえ、しかし貧石には遠い世界だねえ、と思っていたけど、今回ひょんなことからお迎えしてしまいました。めでたしめでたし。
ツメブ産だし、素晴らしく美しいし、お宝石となりました。


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