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クロム鉱物およびクロムによる鉱物の発色

2024-04-18 20:23:42 | お便利メモ

クロム、英語の日本語読みではクロミウム(chromium)。原子番号24。モリブデン、タングステンとともに第6族元素(クロム族元素)と呼ばれる金属元素。単体での融点、沸点が非常に高く、硬い。様々な合金に用いられる。
クロムの存在量は岩石圏の0.02%を占めると考えられている。鉱業原料となるのは主にクロム鉄鉱(Chromite FeCr2O4)。

しかしながら、クロムを主成分として含む鉱物は、98と少ない。
クロム酸(CrO4)塩鉱物が27種類ほど。名前を知ってるのはクロコアイト(Crocoite PbCr6+O4)くらい。クロム鉄鉱はクロム酸塩ではなく酸化鉱物だそうで。確かに数が合わん。
クロム酸塩ではなくクロムを含む鉱物は72種。これも名前を知ってるのは、
 コスモクロア Kosmochlor NaCrSi2O6
 スティッチ(ク)タイト Stichtite Mg6Cr23+(OH)16[CO3]・4H2O)
 ウバロバイト Uvarovite 灰クロム柘榴石 Ca3Cr2(SiO4)3
 クロムスピネル Chromianspinel (Mg,Fe)(Cr,Al)2O4
くらい。
あれ? 27+72は99ですな。何か変。ま細かいことは……

一方、クロムはいろいろな鉱物内部に入り込んで、美しい色を作り出す。
最も有名なのはルビー。鉱物名はコランダム(Al2O3)。
このコランダムが三価クロムイオンを0.1%ほど含むと、それが紫および黄緑色光を吸収し、そのエネルギーを赤色発光として再度放出する。通常光による蛍光であって、この赤は入ってくる光の色に関係なく赤い。
また、アレキサンドライト(クリソベリルの一種)の光源変色および蛍光はクロムによるものと考えられている。ただし硫黄説もある。

クロムが入り込んで発色するものには次のようなものがある。
・エメラルド(ベリル)の緑(クロムを含まない緑ベリルはグリーン・ベリル)。
・ヒデナイト(スポデューメン、リチア輝石)の緑。
・クロムダイオプサイドの緑。
・クロムトレモナイトの緑。
・クロムデューウィライト(クロムジュウウェイ石)の緑。
・フックサイト(クロム雲母。白雲母の変種で独立種ではない)の緑。
・カメレライト(Kammererite ケメラライト 菫泥石)の紫。
・ジェイダイト(本翡翠 NaAlSi2O6)はクロムないし鉄を含有すると緑色になる。
・デマントイド(宝石名。アンドラダイト=灰鉄柘榴石の一種)の緑。
・クロムカルセドニーの緑ないし淡青。
・ベスビアナイトの一部はクロムによって緑に発色。
・スピネルではルビーと同じくクロムによって赤く発色。
ほかにもいろいろあるかもしれません。

なおクロムイオンは基本的に次のような色の原因となる。そうです。
 三価クロムイオン Cr3+ 緑色
 クロム酸イオン  CrO4 黄色
 二クロム酸イオン Cr2O7 赤橙色

蛇足。様々な金属の表面にクロムを拡散・浸透させることによって性能・外観を上げることを「クロマイジング」と呼ぶ。そうです。


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