貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

ダイアスポア

2021-12-01 20:15:33 | 単品

ダイアスポア(Diaspore)。和名なし。ディアスポア、ジアスポアとも。
AlO(OH)。アルミニウム単独塩基の水酸塩。けっこう単純。でもちょっとレア。
透明のほか緑や赤といったいろいろな色がある。二股というかV字型になった結晶が時々出て珍重される。個体によっては多彩な方向変色を見せるものもあるらしい。美しいものはほぼトルコ産。

これは五反田産の原石。5000円しなかった。少し汚染があるけれど、渋い色で美しい。一応トルコ産。

光源変色はよく見られるようで、この石も電球色ライトでは赤くなる。まあ電球色で照らすと多くの石はそうなりますわな。
で、すごいのが透過光変色で、黄金色に透き通り、不思議な青が浮かび出る。写真ではうまく出ませんけど、幻想的で美しい。
方向変色はちょっとはっきりしない。多少青が強くなったり弱くなったりしますけど。



ダイアスポアにはズルタナイトという別名があるけど、それは登録商標だとか。こちらに至れり尽くせりの解説があります。このKARATZさんという会社はなかなかすごいですね。
ダイアスポアの名前は「細かく砕けて散らばる」の意味で、熱を加えるとばらばらになるからだそうです。

ちなみに「ディアスポラ(ダイアスポラ)」という言葉もあって、これは、ヘレニズム時代に地中海東部沿岸各地に散らばった古代ギリシャ人・ユダヤ人コロニーのことで、原始キリスト教はユダヤ人のディアスポラが揺籃となり、非ユダヤ社会へと拡がっていった。彼らはギリシャ語を使っていたので、イエスの言行録である「福音書」はヘブライ語ではなくギリシャ語で書かれた。と、まったく関係のない話。
関係ないけど、西洋人だったらダイアスポアでこれを思い浮かべるのではないか。少なくとも離散のニュアンスを感じるのではないか。だとしたら石名としては少し可哀そう。

一般にはあまり有名ではないけど、いい石だと思いますねえ。V字型のきれいな結晶もほしいけど、高いから諦め。


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