貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

パイライト・サン

2023-02-19 09:43:44 | 単品



オーパーツ? 
あるいは未知の生物の化石?
なんてね。
「パイライト・サン」。
前から欲しいなと思っていたけど、高くて手が出なかった。それがハッピーギフトさんでお手頃で出たので、石禁破りでポチっ。(もう石禁なんて言葉やめなよw)
有名なイリノイ州スパルタ産。アメリカというのはこういうパクリ地名がよくあるのですね。これ、“文化盗用”じゃねw?

不思議な形で、きらきらで、とてもいい。全面ギンギラではなくて、方向によって光の帯が移動するのが味わい。しかしこういうの、写真には写らないんだなあ。



動画はこちら

脆そうに見えるけど、しっかりしている。落っことしたけど(おいおい)壊れなかった。
放射円盤状の結晶というのはウェイヴェライト(銀星石)などいろいろあるけど、これだけ厚く立派なものはあんまりないでしょう。

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パイライト(黄鉄鉱 FeS2)は、堆積岩、熱水脈、変成岩など様々な環境で生成される一般的な鉱物で、しばしば立方体の結晶として産出するが、円盤状の結晶も各地の有機頁岩(海洋堆積岩)で見られる。金ぴかの円盤は古来珍重されてきたという。
アメリカ・イリノイ州のスパルタ地域は、5~6センチ、さらには十数センチに達する大きな円盤を産出することで知られている。
3億年前に形成されたヘリン泥炭層の上に有機物に富んだ泥が堆積し、バクテリアの働きによって無酸素環境が作られ、硫酸塩が還元されることによって、泥炭層と堆積頁岩(アンナ頁岩)層の間に硫化鉄が結晶したと考えられている。詳しくはイリノイ州地質調査所のサイト参照。
生物が生成に大きく関わっている石なのですね。遺骸が石になるのではなくて。こういうのって珍しいんじゃないかな。

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しかしサンに限らず、パイライトというのは問題のある石のようで。
「FeS2」つうのは見ればわかるように、酸素や水が加われば「酸化鉄+硫酸」になる。
パイライトと同質異形のマーカサイト(白鉄鉱)というのがあって、これは特に水に弱く、気を付けないとすぐに分解してしまうらしい。パイライトは比較的安定のようだけど基本的には同様。しかもマーカサイトを含んでいる標本だとあっけなく「逝ってしまう」らしい。おまけに分解の際に硫酸を出すからやばい。
ネットを見ると、「白い粉になりました」みたいな報告はちょぼちょぼある。イリノイ産のパイライト・サンも時折そうなるものがあるらしい。虹色光沢のものがやばいという風評もあるけれど真実のほどは定かではない。
さあ、どうでしょう。そのうち気が付いたら白い粉になっているか。持ちこたえるか。今のところは変な臭いはしませんけど。
その前にあちきの方が白い粉になるかもしれませんけどね。(君はずいぶん毒物を摂取しているから白くはならんのじゃないかね?)
ともあれケースに入れて密閉だけはしておくかな。

地上に出すと変わってしまう、あるいは壊れてしまうという石はけっこうあるようで。
ヴィヴィアナイト、コキンバイト、カルカンサイト、岩塩……
石は確固不変といったイメージがあるけど、必ずしもそうではない。
まあそういう「儚さ」もまた味わいと受け止めるしかないでしょうね。


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