消えゆく森を取り戻そう
インドネシア・スマトラ島の森林保全活動
インドネシアのスマトラ島は、かつて、世界屈指の多様さを誇る自然林に島全体が覆われていました。
しかし、急激な森林破壊により、2009年までの25年間で森林が半減。
今では、「世界で最も森の減る速度が速い場所」とまでいわれています。
なぜ、このような事態が起きているのでしょうか。打つ手はあるのでしょうか。
現在、WWFがスマトラで行っている数々の活動を紹介しながら、現状をお伝えします。
最後の低地熱帯林
スマトラ島の大地を覆う深い熱帯林に、開発の手が伸び始めたのは、たった数十年ほど前のことでした。
容赦なく木々が皆伐された後には、成長が早く紙の原料として需要の高いアカシアや、パームオイルを
とるためのアブラヤシが植えられ、島の風景は猛スピードで変わってゆきました。
特に、中央部に位置するジャンピ州やリアウ州に広がる低地熱帯林は、平坦な地形であることから、
最も激しく開発が進みました。森を生息地とするスマトラトラやスマトラゾウなど希少な野生生物たちは、
すみかや食糧を奪われ、人の住む場所に出没するようになり、やがて、人にも動物にも被害が出る事故が起きるようになりました。
WWFは、1990年代後半から本格的い森林保全活動を開始。
現地で活動するほかのNGOと協力し、環境への十分な配慮をせずに大規模な伐採を行なっているAPP社やAPRIL社などの製紙会社に対し、
貴重な自然林の伐採をやめるよう交渉すると同時に、違法伐採の監視や、残りわずかとなった熱帯林の保全のため、
自然保護区の設立を政府に働きかけるなど、数々の活動を続けていました。
その甲斐あって、1995年に「ブキ・ティガプル国立公園」が誕生。2004年には、3万8,576ヘクタールの森が「テッソ・ニロ国立公園」に指定されました。
この二つの国立公園を中心とした森林地帯は、野生生物にとって開発の特に激しいスマトラ島中部に残る最後の砦といえるでしょう。
しかし、国立公園に指定されれば安心だというわけにはいきません。国立公園に指定されたのは、WWFなどが保護を求めてきた森林のごく一部に過ぎず、
どちらの公園の周囲にも、保護価値の高い、生物多様性の豊かな森が残っているからです。
スマトラトラやスマトラオランウータンの生息地は国立公園の外にも広がっており、今も大規模な伐採が続いています。
カメラに写ったスマトラトラ
インドネシアでは、森林伐採の際に行政機関の発効する伐採許可証が必要です。
しかし、生物多様性が豊かな森に伐採許可がでてしまったり、ある公約で保護されることになったはずの土地に、
重複して伐採許可が下りてしまうことも少なくありません。WWFを含む国内のNGOは、政府に森林保護強化を求めると同時に、
保護価値の高い森林の伐採権を取得した企業には、伐採の中止を訴えてきました。
2008年、インドネシア政府は、IUCN(国際自然保護連合)の総会である世界自然保護会議の場で、スマトラ島全域の生態系保全を考慮した土地利用を公約。
テッソ・ニロ国立公園の拡大を宣言するなど、森林保護への前向きな姿勢を示しました。
ところが翌年、ブキ・ティガブル国立公園周辺の森の大規模な伐採計画があきらかになるなど、状況な一進一退を繰り返しています。
WWFは現在、ブキ・ティガプル国立公園の周辺の森に自動撮影カメラを設置。絶滅の危機にあるスマトラトラの生息状況の調査をしています。
今年3月に設置したカメラは、たった2ヵ月間で47回ものトラの撮影に成功し、少なくとも12頭のトラの生息が確認されました。
しかし、この調査の結果は、実は必ずしも良い兆しとはいえません。本来、広い縄張りをもつトラが限られた場所で多く撮影されたということは、
それだけ生息に適した森が狭まっていると考えられるからです。また、自動撮影カメラには、トラの姿の他に、森を切り開くブルドーザーが写ったこともありました。
トラの生息地と違法伐採の現場は近接しているのです。
WWFは、わずかに残るトラなどの生息地で、新たな伐採計画を進める企業や政府に対し、計画の中止と森の保護を強く訴えています。
7月からは新たな自動撮影カメラも導入し、生息状況を更に調査しているところです。 WWFマガジンより
消えゆくスマトラ島の森と日本
スマトラ島の熱帯林の破壊は、日本で暮らす私たちの生活と深いつながりを持っています。
スマトラ島は、APP社やAPRIL社などアジアを代表する製紙メーカーの原料調達地です。
スマトラ島で伐採された木材から生産された紙は、日本でも大量に消費されています。現に2010年に日本が輸入したコピー用紙の80%がインドネシア産でした。
もちろん、インドネシア産の製品全ての合法性が疑われるわけではありませんが、既に製品になった紙を見ただけでは、違法伐採の原料で作られたか否かを判断することもできません。
適切な管理が行われている森林から生産された製品であることを示す「FSC(森林管理協議会)」の認証製品をWWFが推奨しているのは、違法伐採や貴重な自然林を
壊して生産される林産物の需要を減らすことで、消費者側から森林保護を後押ししようとしているからです。 WWFマガジンより
我が家にも多くの紙が反乱しています。
たくさん送られてくるダイレクトメール、そのままゴミ箱ってことも多々あります。
この多くの贅沢が豊かな森を食いつぶし、多くの動物の生活を奪う。そのお返しはきっとやってきますね。
インドネシア・スマトラ島の森林保全活動
インドネシアのスマトラ島は、かつて、世界屈指の多様さを誇る自然林に島全体が覆われていました。
しかし、急激な森林破壊により、2009年までの25年間で森林が半減。
今では、「世界で最も森の減る速度が速い場所」とまでいわれています。
なぜ、このような事態が起きているのでしょうか。打つ手はあるのでしょうか。
現在、WWFがスマトラで行っている数々の活動を紹介しながら、現状をお伝えします。
最後の低地熱帯林
スマトラ島の大地を覆う深い熱帯林に、開発の手が伸び始めたのは、たった数十年ほど前のことでした。
容赦なく木々が皆伐された後には、成長が早く紙の原料として需要の高いアカシアや、パームオイルを
とるためのアブラヤシが植えられ、島の風景は猛スピードで変わってゆきました。
特に、中央部に位置するジャンピ州やリアウ州に広がる低地熱帯林は、平坦な地形であることから、
最も激しく開発が進みました。森を生息地とするスマトラトラやスマトラゾウなど希少な野生生物たちは、
すみかや食糧を奪われ、人の住む場所に出没するようになり、やがて、人にも動物にも被害が出る事故が起きるようになりました。
WWFは、1990年代後半から本格的い森林保全活動を開始。
現地で活動するほかのNGOと協力し、環境への十分な配慮をせずに大規模な伐採を行なっているAPP社やAPRIL社などの製紙会社に対し、
貴重な自然林の伐採をやめるよう交渉すると同時に、違法伐採の監視や、残りわずかとなった熱帯林の保全のため、
自然保護区の設立を政府に働きかけるなど、数々の活動を続けていました。
その甲斐あって、1995年に「ブキ・ティガプル国立公園」が誕生。2004年には、3万8,576ヘクタールの森が「テッソ・ニロ国立公園」に指定されました。
この二つの国立公園を中心とした森林地帯は、野生生物にとって開発の特に激しいスマトラ島中部に残る最後の砦といえるでしょう。
しかし、国立公園に指定されれば安心だというわけにはいきません。国立公園に指定されたのは、WWFなどが保護を求めてきた森林のごく一部に過ぎず、
どちらの公園の周囲にも、保護価値の高い、生物多様性の豊かな森が残っているからです。
スマトラトラやスマトラオランウータンの生息地は国立公園の外にも広がっており、今も大規模な伐採が続いています。
カメラに写ったスマトラトラ
インドネシアでは、森林伐採の際に行政機関の発効する伐採許可証が必要です。
しかし、生物多様性が豊かな森に伐採許可がでてしまったり、ある公約で保護されることになったはずの土地に、
重複して伐採許可が下りてしまうことも少なくありません。WWFを含む国内のNGOは、政府に森林保護強化を求めると同時に、
保護価値の高い森林の伐採権を取得した企業には、伐採の中止を訴えてきました。
2008年、インドネシア政府は、IUCN(国際自然保護連合)の総会である世界自然保護会議の場で、スマトラ島全域の生態系保全を考慮した土地利用を公約。
テッソ・ニロ国立公園の拡大を宣言するなど、森林保護への前向きな姿勢を示しました。
ところが翌年、ブキ・ティガブル国立公園周辺の森の大規模な伐採計画があきらかになるなど、状況な一進一退を繰り返しています。
WWFは現在、ブキ・ティガプル国立公園の周辺の森に自動撮影カメラを設置。絶滅の危機にあるスマトラトラの生息状況の調査をしています。
今年3月に設置したカメラは、たった2ヵ月間で47回ものトラの撮影に成功し、少なくとも12頭のトラの生息が確認されました。
しかし、この調査の結果は、実は必ずしも良い兆しとはいえません。本来、広い縄張りをもつトラが限られた場所で多く撮影されたということは、
それだけ生息に適した森が狭まっていると考えられるからです。また、自動撮影カメラには、トラの姿の他に、森を切り開くブルドーザーが写ったこともありました。
トラの生息地と違法伐採の現場は近接しているのです。
WWFは、わずかに残るトラなどの生息地で、新たな伐採計画を進める企業や政府に対し、計画の中止と森の保護を強く訴えています。
7月からは新たな自動撮影カメラも導入し、生息状況を更に調査しているところです。 WWFマガジンより
消えゆくスマトラ島の森と日本
スマトラ島の熱帯林の破壊は、日本で暮らす私たちの生活と深いつながりを持っています。
スマトラ島は、APP社やAPRIL社などアジアを代表する製紙メーカーの原料調達地です。
スマトラ島で伐採された木材から生産された紙は、日本でも大量に消費されています。現に2010年に日本が輸入したコピー用紙の80%がインドネシア産でした。
もちろん、インドネシア産の製品全ての合法性が疑われるわけではありませんが、既に製品になった紙を見ただけでは、違法伐採の原料で作られたか否かを判断することもできません。
適切な管理が行われている森林から生産された製品であることを示す「FSC(森林管理協議会)」の認証製品をWWFが推奨しているのは、違法伐採や貴重な自然林を
壊して生産される林産物の需要を減らすことで、消費者側から森林保護を後押ししようとしているからです。 WWFマガジンより
我が家にも多くの紙が反乱しています。
たくさん送られてくるダイレクトメール、そのままゴミ箱ってことも多々あります。
この多くの贅沢が豊かな森を食いつぶし、多くの動物の生活を奪う。そのお返しはきっとやってきますね。
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