今日の一枚

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吉原手引草

2007-08-28 16:59:29 | 写真日記
 吉原手引草(よしはらてびきぐさ)松井今朝子
弟137回直木賞受賞。

 先日アマゾンで購入した本の一冊。
直木賞受賞作とは知らなかったので、帯に書いてあってびっくり
なんとなく『吉原』に興味があって、中味のことは解らずに
買ってしまった本なのです。

 浅田次郎『壬生義士伝』は人に語らしながら物語が
進んでいくのですけど、この本もその手法をとったようです。
吉原の引き手茶屋内儀、この引き手茶屋を通さなければ大見世には
上がれない。舞鶴屋見世番、番頭、抱え新造、床回し。
吉原の大見世で働く人たちの弁。
そしてその客達、伊丹屋繁斎、小千谷縮問屋西之屋甚五郎、
蔵前札差田之倉平十郎・・弁。
この人々が語るのは、当代一の花魁 葛城さんの話。
葛城花魁が起した騒動について述べて行くのです。

語る中で吉原のしきたりにも触れているのですが、
小さな時の売られた来た女の子達。
そのお国言葉を隠すために、独特の廓言葉が使われたようです。
7~8つから仕込まれて、花魁になる。
小さな禿(かむろ)は花魁が養っているのですって、
そして、花魁が禿を仕込んで、一人前の花魁に育てる。
花魁は食事と部屋は提供されるが、それ以外は全て自分で賄う。
吉原はいろんなしきたりがあるらしく、その都度祝儀やかかり、
衣装代等を自分で補うのだからかなりの出費があったそうです。

こうした出費を手助けしてくれるお馴染みさんが
たくさいるほど花魁の地位は上がるのです。

でも、花魁だろうが見知らぬ男に身を売ることには
変わりがない、その苦は並大抵ではなかったでしょうね。

 物語に戻ります。
葛城花魁は当代一の花魁。
身請け話も決まり、全盛期にあった花魁が忽然と姿を消してしまう。
その騒動の真相を探る若い男が多くの人たちの弁の中に
葛城花魁の生い立ち、秘密に迫っていくのです。

この人に語らすという手法は、私には読みやすく解りやすくて
好きですね。ついつい次はどうなるのと
かなりのハイペースで読んでしまいます。
ページ数は256ページ、一日で読んでしまいました。
読むのが遅い私としては、すごいことなのですよ

 ちなみに禿(かむろ)と読みますけど、見ての通りはげって漢字ですよね。
私もえッって
でも、貧しい家から買われてきた子供達は
貧しい着物を捨ててしまうのと一緒に、
いったん頭を丸坊主にされるのだそうです。
そんな事も関係しているのでしょうか?