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シャープ、3月に経営破綻も 役立たずで存在感ゼロの高橋社長、膠着状態の再建策

2016年01月11日 08時15分20秒 | 経済
 2015年12月30日、東京証券取引所は大納会を迎え、経営再建中のシャープ株式は125円で取引を終えたが、これは14年末(268円)の半値以下。株式の時価総額は2126億円に急減した。一時は1965年11月以来となる100円台まで下落した。

 シャープ社長の高橋興三氏は今年1月5日、年頭あいさつで「直面する難局に全社一丸となって取り組むとともに、さまざまな改革を加速させる1年とする」という、録音されたメッセージを社員向けに発信した。これまでは年初に経営方針説明会を開いて社長自ら説明していたが、今年は取りやめた。高橋氏は15年秋以降、再建策には口を閉ざしてきた。政府系投資ファンド、産業革新機構と主力銀行による救済をひたすら待っている状態だ。

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http://biz-journal.jp/2016/1/post_13247.html

 シャープの経営危機は、売上高の3割を占める液晶事業の不振に起因する。海外勢との競争激化で主力の液晶パネルの値段が下がり、経営が悪化した。15年3月期には2223億円の最終赤字を計上。16年3月期も1000億円超の純損失の見通しだ。高橋氏は通期では「100億円の営業黒字を達成する」としてきたが、15年4~12月期は赤字になった模様だ。当然、資金繰りは厳しくなっている。

 16年3月31日に5100億円の協調融資の返済期限を迎える。シャープの15年9月末時点の手元資金は1750億円。破綻を回避するには、銀行に借り換えを認めてもらう必要があるが、そのためにも再建策を早くまとめなければならない。

 だが、経済産業省を所管する革新機構と主力銀行との思惑が交錯し、再建策の取りまとめは越年。膠着状態に陥ってしまい、シャープは崖っぷちに立たされたまま時間との勝負を迫られている。

●シャープ解体案

 シャープ支援に名乗り上げた革新機構の支援策は2本立てである。1つは革新機構がシャープ本体に出資する案。シャープ株式の過半数を取得、子会社にして抜本的な立て直しを進める。革新機構は出資と引き換えに、社長の高橋氏ら現経営陣の辞任や取引金融機関による債権放棄を求める。

 革新機構はシャープの経営権を握ったうえで液晶事業を分社化し、革新機構が35.6%の株式を握る中小型液晶大手、ジャパンディスプレイ(JDI=日立製作所、ソニー、東芝の液晶事業の統合会社)との統合を目指す。液晶事業を切り離した後に残る事業については、他社との提携や経営統合に踏み切る。エアコンや洗濯機など白物家電事業は東芝の同事業と統合させる案が浮上しており、東芝は前向きだ。

 革新機構は経営再建を進める東芝を支援する構えだ。東芝とシャープの白物家電事業を統合してつくる新会社に革新機構が出資。電機業界の大型再編につなげる青写真を描くもので、「シャープ解体案」とされる。

 もう1つはシャープ本体から液晶事業を切り離し、別会社にして革新機構が出資する案だ。液晶事業は、その後JDIと一体化させるという点ではシャープ本体への出資と同じシナリオだ。液晶事業をJDIと経営統合させ日本の液晶事業を集約して「日の丸液晶会社」にする。

シャープは7500億円の有利子負債があり、半分程度は液晶事業の負債とみられている。金利負担を軽くする意味でも、液晶事業を分社化して他社との共同運営に切り替え、負債を新会社に移す。

 しかし、JDIとの統合には独占禁止法という大きな壁が立ちはだかる。両社を合わせると、中小型液晶パネルの世界シェアは3割を超える。国ごとのに独禁法に触れるかどうかの審査を受けなければならない。大型液晶に続き中小型液晶に力を入れている中国が待ったをかけるのは確実との見方もある。

●鴻海の自信

 経産省がシャープへの出資にこだわるのは、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業がシャープの液晶技術に目をつけ、支援に名乗り上げているからだ。大きなサイズで高画質化できる「IGZO(イグゾー)」など、シャープが持つ液晶関連技術を海外に流出させるべきではないと経産省は考えている。

「台湾の中央通信(テレビ局)は(15年)12月26日、鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長が25日に堺市内で経営再建中のシャープについて『(私に)2年時間もらえれば赤字を解消し、3年目から黒字化できる』と語ったと報じた」(15年12月26日付日本経済新聞電子版より)

 鴻海はシャープが12年に経営危機に陥った際にも支援の手を差しのべた。シャープ堺工場が分社化したテレビ用大型液晶パネル生産会社、堺ディスプレイプロダクト(SDP)に出資した。スマートフォン(スマホ)などに使われる中小型液晶パネルに強みを持つシャープの技術をさらに取り込みたいという思惑から再度、支援に名乗り上げた。鴻海はシャープ本体に2000億円超出資する案や、液晶事業に限って支援することなどの複数の支援策を提示している。

●カギを握る革新機構と主力取引行の意向

 シャープの命運は、革新機構と主力取引行が握っている。革新機構は、いずれの案でもシャープの財務体質を改善させるために銀行団の債権放棄などの金融支援を求めている。

 15年6月にみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行は、それぞれ1000億円分のシャープの債務を優先株に振り替えるかたちで、計2000億円の金融支援をしたばかり。これ以上の債務棒引きにはすんなりとは応じられない。

「タイムリミットは3月31日。銀行団が協調融資した5100億円の返済期限だ。具体的な再建策を示さないと、メインバンク以外の銀行団の一部が借り換えに応じない可能性が高い。再建案がまとまらなければ、シャープの経営は破綻する。たとえ倒産を免れても、シャープ解体が現実味を帯びてくる。にもかかわらず、高橋社長は危機下にある企業の経営者としては役立たずといっていいほど機能しておらず、存在感がない」(市場筋)

 シャープ救済策をめぐる混迷は続く。
(文=編集部)

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