歯によいとされること、悪いとされることは時代により異なる。医学が進歩した結果、最新の研究結果が明らかにした事実もあるからだ。
また、本当は歯によくないことでも、メディアの広告主にとって都合の悪い内容なために報道されないこともある。
ゆかしメディアでは、複数の歯科医師に取材し、彼ら彼女らから「匿名を条件に」歯によい習慣、悪い習慣を聞いた。
ガムは歯によくない
いきなり常識を破壊することを述べるが、事実である。
これこそ、ほとんど報道されないことだろう。
ガムは一体何がよくないのか。
実は、ガムは噛みあわせを悪くするのだ。
皆さんは、食べものを噛むとき、どのように噛んでいるだろうか?
虫歯があって痛むといったことがない限り、右の歯と左の歯で、均等に噛んでいるはずだ。前歯で食べ物を小分けにし、そのあと両方の奥歯にほぼ均等に送り、すりつぶしていく。奥歯にかかる力は右、左ともにほぼ同じだ。
一方、ガムを噛むときはどうだろうか? 基本的に、右の奥歯か左の奥歯かのどちらかを中心に噛む。片側だけ使うのは歯のバランスを崩し、噛み合わせを悪くしてしまうのだ。
さらに、ガムにはもっとまずいことがある。
「粘着性があり歯にくっつく」ということだ。
歯にくっつくものを長時間噛んでいると、歯はどのようになるだろうか?
歯が引っ張りあげられてしまう。
上下の歯は、アゴの骨に埋まっている。
いわば植木鉢に収まっている植物と同じだ。
そして、噛むとは、歯が骨にめり込む動きだ。
ただ、歯はこの動きには強い。
例えば、するめのような固いものを咬むと強い力が歯と骨にかかるが、これは平気だ。
歯はこのような押される力には慣れているからだ。
一方、引っ張り上げられる力に対してはどうか?
実はこれにすこぶる弱い。
何故か? 歯にくっつく食べ物は、自然界にはあまりないからだ。
数少ない例で、モチがある。
モチは歯にくっつき、歯を引っ張り上げる力を生じさせる。
とはいえモチは数回咀嚼するとゴクンと飲みこめるため、気にするほどのものではない。
それに比べ、ガムは30分でも1時間でも平気で噛める。
これが問題だ。
ガムの持続する粘りが、歯に悪影響なのだ。
最近は「歯によいガム」が増えていて、「キシリトール配合」を謳うものもたくさんある。
「キシリトールは歯の再石灰化に効果があるのでよいのでは?」と思われる方もいるかもしれない。
実は最新の研究結果によると、キシリトールに再石灰化の効果はあまりない。
キシリトール入りガムを噛んでも、「虫歯菌」ことミュータンス菌群がその成分を利用できない、という状態にするにすぎない。
口の中で一番大切なのは“唾液“である。
再石灰化を促し、歯を守るのにも、唾液は大きな働きをしている。
たとえば、口の中の唾液のPHは、中性に近い6.8だが、糖分の多く含まれた甘いものを食べると、プラーク(歯垢)の中は一気に酸性に傾く。
歯も溶けてしまう、PH4程度の強い酸性だ。
しかし時間が経つと、口の中は中性に戻っていく(約40分)。
何がそうさせるのか?
これも 唾液だ。
アルカリ性の唾液が増えることで、酸が中和されるのだ。
そして、先ほど述べたように、唾液には再石灰化促進の効果もある。
口の中のことは、唾液がほとんど解決してくれるのだ。
私たちがするべきは、唾液の活躍を邪魔しないこと。唾液の質と量を上げること。
それにはよく噛むこと。
なので、ガム以外の唾液がたくさん出る、固い食べ物を数多く噛むことも大切だ。
野菜は自然の歯のクリーナー
「歯磨きをしているのと同じ効果がある食べ物がある」と聞いたら驚くだろうか。
ある医院の歯科衛生士が「2週間歯を磨かなかったらどうなるか」を自分たちの口で実験したことがある。
来る日も来る日も歯磨きを我慢していると、日を追うごとに、だんだん歯茎が自然に出血するようになってきた。
口臭もひどいことになり、患者さんに申し訳ないので、リステリンの原液でこまめにうがいをし、歯を食いしばってなんとかやり終えたという。
さて、2週間かけてたっぷり汚した歯を、今度は何を使えばきれいになるか?
おそらく二度とされない(したくない)であろう貴重な実験でもあるので、清掃効果をいろいろと試してみることにした。
その歯科衛生士はまず歯磨きガムを噛んでみた。
ガムには粘着性もあり、歯をきれいにしてくれそう、と思ったからだ。
しかし、汚れを取る効果はほぼゼロに等しかった。
ガムにプラスの効果がないことを、ここでも証明してしまった。
次に、セロリを食べてみた。
今度は何と、荒くブラシをかけたかのようにきれいになったという。
セロリに限らず、キュウリなど他の野菜にも、高いブラッシング効果が認められたそうだ。
ガムを噛むよりも、野菜を生でバリバリ食べる。そのほうがよほど歯のためになる。
もちろん、一番よいのはブラッシングで常に清潔にすることだ。
歯茎に細菌が入ると、歯は菌を追い出そうとして、勝手に動いてしまうという。
歯が動くことは、噛み合わせに悪影響を与える。
歯を余計に動かさないためにも、歯と歯茎は常に清潔にしておく必要がある。
実は、歯磨きの大事な役割には、歯だけではなく、歯茎をマッサージすることもあるのだ。
それをしなければ歯茎は炎症を起こしてしまい、ついには自然に出血をするまでになってしまう。
歯磨きは1日1回でいい。ただし必ず
最後に、歯磨きはいつ行うのがいいか聞いてみた。
実はきちっと磨くのは、1日1回、夜にやれば充分だという。
私たちが日中、活動しているときは口内に唾液が出ている。唾液がきちんと出てさえいれば、口の中の問題が起こることはほとんどない。
問題は、唾液の出ないときだ。
人は寝ているとき、唾液が出ない。
虫歯を引き起こすミュータンス菌にしてみれば、絶好のチャンスということになる。日中に自分たちを抑え込んでいる唾液がないのをいいことに、一気に繁殖する。
「虫歯は寝ている間に起こる」のはそのためだ。
虫歯を予防するために、きちんと寝る前に歯を清潔にしておきたい。汚れや食べカスなどは、ミュータンス菌に活躍の場を提供するようなものだ。
しっかり磨き、デンタルフロスなどで歯の間の汚れやつまりも取り除こう。
歯科医での検診は、できれば月に1回受けるといい。歯ぐきの歯のプラーク(歯垢)は、自身の歯磨きでかなり落とすことができる。
しかし、歯ぐきの下のプラークは、歯科衛生士が行わなければ落とすことができない。
加えて、歯周病の悪玉菌は、一度きれいに清掃をしても、また3カ月経つと増えていく。
なので、歯科医院でのメインテナンスは最低3カ月に1回。
できたら1か月に1回を目安にしよう。
それを繰り返していくことが、もっともよい歯周病の予防になる。
歯はすべての健康のもと。
常にきれいに保ち、健やかな生活を心がけたいものだ。
また、本当は歯によくないことでも、メディアの広告主にとって都合の悪い内容なために報道されないこともある。
ゆかしメディアでは、複数の歯科医師に取材し、彼ら彼女らから「匿名を条件に」歯によい習慣、悪い習慣を聞いた。
ガムは歯によくない
いきなり常識を破壊することを述べるが、事実である。
これこそ、ほとんど報道されないことだろう。
ガムは一体何がよくないのか。
実は、ガムは噛みあわせを悪くするのだ。
皆さんは、食べものを噛むとき、どのように噛んでいるだろうか?
虫歯があって痛むといったことがない限り、右の歯と左の歯で、均等に噛んでいるはずだ。前歯で食べ物を小分けにし、そのあと両方の奥歯にほぼ均等に送り、すりつぶしていく。奥歯にかかる力は右、左ともにほぼ同じだ。
一方、ガムを噛むときはどうだろうか? 基本的に、右の奥歯か左の奥歯かのどちらかを中心に噛む。片側だけ使うのは歯のバランスを崩し、噛み合わせを悪くしてしまうのだ。
さらに、ガムにはもっとまずいことがある。
「粘着性があり歯にくっつく」ということだ。
歯にくっつくものを長時間噛んでいると、歯はどのようになるだろうか?
歯が引っ張りあげられてしまう。
上下の歯は、アゴの骨に埋まっている。
いわば植木鉢に収まっている植物と同じだ。
そして、噛むとは、歯が骨にめり込む動きだ。
ただ、歯はこの動きには強い。
例えば、するめのような固いものを咬むと強い力が歯と骨にかかるが、これは平気だ。
歯はこのような押される力には慣れているからだ。
一方、引っ張り上げられる力に対してはどうか?
実はこれにすこぶる弱い。
何故か? 歯にくっつく食べ物は、自然界にはあまりないからだ。
数少ない例で、モチがある。
モチは歯にくっつき、歯を引っ張り上げる力を生じさせる。
とはいえモチは数回咀嚼するとゴクンと飲みこめるため、気にするほどのものではない。
それに比べ、ガムは30分でも1時間でも平気で噛める。
これが問題だ。
ガムの持続する粘りが、歯に悪影響なのだ。
最近は「歯によいガム」が増えていて、「キシリトール配合」を謳うものもたくさんある。
「キシリトールは歯の再石灰化に効果があるのでよいのでは?」と思われる方もいるかもしれない。
実は最新の研究結果によると、キシリトールに再石灰化の効果はあまりない。
キシリトール入りガムを噛んでも、「虫歯菌」ことミュータンス菌群がその成分を利用できない、という状態にするにすぎない。
口の中で一番大切なのは“唾液“である。
再石灰化を促し、歯を守るのにも、唾液は大きな働きをしている。
たとえば、口の中の唾液のPHは、中性に近い6.8だが、糖分の多く含まれた甘いものを食べると、プラーク(歯垢)の中は一気に酸性に傾く。
歯も溶けてしまう、PH4程度の強い酸性だ。
しかし時間が経つと、口の中は中性に戻っていく(約40分)。
何がそうさせるのか?
これも 唾液だ。
アルカリ性の唾液が増えることで、酸が中和されるのだ。
そして、先ほど述べたように、唾液には再石灰化促進の効果もある。
口の中のことは、唾液がほとんど解決してくれるのだ。
私たちがするべきは、唾液の活躍を邪魔しないこと。唾液の質と量を上げること。
それにはよく噛むこと。
なので、ガム以外の唾液がたくさん出る、固い食べ物を数多く噛むことも大切だ。
野菜は自然の歯のクリーナー
「歯磨きをしているのと同じ効果がある食べ物がある」と聞いたら驚くだろうか。
ある医院の歯科衛生士が「2週間歯を磨かなかったらどうなるか」を自分たちの口で実験したことがある。
来る日も来る日も歯磨きを我慢していると、日を追うごとに、だんだん歯茎が自然に出血するようになってきた。
口臭もひどいことになり、患者さんに申し訳ないので、リステリンの原液でこまめにうがいをし、歯を食いしばってなんとかやり終えたという。
さて、2週間かけてたっぷり汚した歯を、今度は何を使えばきれいになるか?
おそらく二度とされない(したくない)であろう貴重な実験でもあるので、清掃効果をいろいろと試してみることにした。
その歯科衛生士はまず歯磨きガムを噛んでみた。
ガムには粘着性もあり、歯をきれいにしてくれそう、と思ったからだ。
しかし、汚れを取る効果はほぼゼロに等しかった。
ガムにプラスの効果がないことを、ここでも証明してしまった。
次に、セロリを食べてみた。
今度は何と、荒くブラシをかけたかのようにきれいになったという。
セロリに限らず、キュウリなど他の野菜にも、高いブラッシング効果が認められたそうだ。
ガムを噛むよりも、野菜を生でバリバリ食べる。そのほうがよほど歯のためになる。
もちろん、一番よいのはブラッシングで常に清潔にすることだ。
歯茎に細菌が入ると、歯は菌を追い出そうとして、勝手に動いてしまうという。
歯が動くことは、噛み合わせに悪影響を与える。
歯を余計に動かさないためにも、歯と歯茎は常に清潔にしておく必要がある。
実は、歯磨きの大事な役割には、歯だけではなく、歯茎をマッサージすることもあるのだ。
それをしなければ歯茎は炎症を起こしてしまい、ついには自然に出血をするまでになってしまう。
歯磨きは1日1回でいい。ただし必ず
最後に、歯磨きはいつ行うのがいいか聞いてみた。
実はきちっと磨くのは、1日1回、夜にやれば充分だという。
私たちが日中、活動しているときは口内に唾液が出ている。唾液がきちんと出てさえいれば、口の中の問題が起こることはほとんどない。
問題は、唾液の出ないときだ。
人は寝ているとき、唾液が出ない。
虫歯を引き起こすミュータンス菌にしてみれば、絶好のチャンスということになる。日中に自分たちを抑え込んでいる唾液がないのをいいことに、一気に繁殖する。
「虫歯は寝ている間に起こる」のはそのためだ。
虫歯を予防するために、きちんと寝る前に歯を清潔にしておきたい。汚れや食べカスなどは、ミュータンス菌に活躍の場を提供するようなものだ。
しっかり磨き、デンタルフロスなどで歯の間の汚れやつまりも取り除こう。
歯科医での検診は、できれば月に1回受けるといい。歯ぐきの歯のプラーク(歯垢)は、自身の歯磨きでかなり落とすことができる。
しかし、歯ぐきの下のプラークは、歯科衛生士が行わなければ落とすことができない。
加えて、歯周病の悪玉菌は、一度きれいに清掃をしても、また3カ月経つと増えていく。
なので、歯科医院でのメインテナンスは最低3カ月に1回。
できたら1か月に1回を目安にしよう。
それを繰り返していくことが、もっともよい歯周病の予防になる。
歯はすべての健康のもと。
常にきれいに保ち、健やかな生活を心がけたいものだ。